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特開2024-34010染毛用組成物、染毛剤、染毛方法、及び特定の化合物の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034010
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】染毛用組成物、染毛剤、染毛方法、及び特定の化合物の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/35 20060101AFI20240306BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A61K8/35
A61Q5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137990
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】516326380
【氏名又は名称】株式会社NIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 幸蔵
(72)【発明者】
【氏名】タンヤナン チャオチャイパット
(72)【発明者】
【氏名】鄭 真
(72)【発明者】
【氏名】岡田 久
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC302
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC581
4C083AC662
4C083AC712
4C083AC792
4C083AC841
4C083AD132
4C083AD202
4C083AD642
4C083CC36
4C083EE10
4C083EE26
4C083EE29
4C083FF01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】手及び皮膚を汚染せず、毛髪及び頭皮にダメージを与えず、高い色価の色素を迅速に形成する染毛用組成物、及び染毛剤を提供する。さらにこの染毛用組成物又は染毛剤を使用する染毛方法を提供する。
【解決手段】染毛用組成物又は染毛剤が、下記一般式(1)で表される化合物を含み、pHが5~8である。染毛方法が、この染毛用組成物又は染毛剤と毛髪を接触させる工程を含む。

上記一般式(1)において、Rは水素原子又は水酸基を示す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
染毛用組成物であって、
下記一般式(1)で表される化合物を含み、
pHが5~8であることを特徴とする染毛用組成物。
【化1】
上記一般式(1)において、Rは水素原子又は水酸基を示す。
【請求項2】
没食子酸、タンニン酸、タラタンニン、カテキン類、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、ブラジリン、ヘマトキシリン、1,8-ジヒドロキシナフタレン、4-アルコキシ-1-ナフトール類及び1,2,4-トリヒドロキシベンゼンからなる群から選ばれる少なくとも1つを更に含むことを特徴とする請求項1に記載された染毛用組成物。
【請求項3】
染毛剤であって、
下記一般式(1)で表される化合物を有効成分とし、
pHが5~8であることを特徴とする染毛剤。
【化2】
上記一般式(1)において、Rは水素原子又は水酸基を示す。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された染毛用組成物、若しくは請求項3に記載された染毛剤と毛髪を接触させる工程を含むことを特徴とする染毛方法。
【請求項5】
亜鉛イオン、アルミニウムイオン、鉄イオン、及び銅イオンからなる群から選ばれる少なくとも1つと前記一般式(1)で表される化合物の錯体を形成する錯体形成工程を更に含むことを特徴とする請求項4に記載された染毛方法。
【請求項6】
下記一般式(1)で表される化合物を染毛のために利用することを特徴とする使用。
【化3】
上記一般式(1)において、Rは水素原子又は水酸基を示す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛用組成物、染毛剤、染毛方法、及び特定の化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来知られている毛髪を段階的に染毛する染毛方法として、シャンプー、コンディショナー又はトリートメントに少量の染料を含有させ、シャンプー、コンディショニング又はトリートメント処理の過程で当該染料を少しずつ毛髪に染着させる方法が知られている。さらに前記従来の染毛方法として、空気酸化により色素に変換されるロイコ色素を用い、当該ヘアケア処理中にロイコ色素を空気酸化して発色させ、毛髪を段階的に着色させる方法も知られている。
【0003】
前記染料を少しずつ毛髪に染着させる方法は、ヘアケア時に手及び皮膚への着色が避けられないという欠点を有する。一方、前記毛髪を段階的に着色させる方法は、染毛にやや時間を要するが、手及び皮膚への着色が軽減されるという利点を有する。
【0004】
前記毛髪を段階的に着色させる方法として、1,2,4-トリヒドロキシベンゼンを用いる方法(特許文献1)、5,6-ジヒドロキシインドールを用いる方法(特許文献2)、1,8-ジヒドロキシナフタレンを用いる方法(特許文献3)等が知られている。しかしながら、いずれの方法も色素の形成のために多段階の工程を要し、所望の色相を得るために長い時間を要するか、もしくは多数回の染毛処理を必要としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭63-064401号公報
【特許文献2】特開2006-160669号公報
【特許文献3】特表2013-512861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、手及び皮膚を汚染せず、毛髪及び頭皮にダメージを与えず、高い色価の色素を迅速に形成する染毛用組成物、及び染毛剤を提供することである。さらに本発明が解決しようとする別の課題は、前記染毛用組成物又は染毛剤と特定の金属イオンの錯体を形成する錯体形成工程を含む染毛方法、及び特定の化合物の染毛のための使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題に鑑み検討を重ね、特定の化合物が空気中の酸素により迅速に酸化されて高い色価の色素を形成することを見出した。本発明はこれらの知見に基づき完成されるに至ったものである。
【0008】
本発明は、下記一般式(1)で表される化合物を含み、pHが5~8である染毛用組成物に関する。
【化1】
上記一般式(1)において、Rは水素原子又は水酸基を示す。
本発明の染毛用組成物は、好ましくは、没食子酸、タンニン酸、タラタンニン、カテキン類、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、ブラジリン、ヘマトキシリン、1,8-ジヒドロキシナフタレン、4-アルコキシ-1-ナフトール類及び1,2,4-トリヒドロキシベンゼンからなる群から選ばれる少なくとも1つを更に含む。
【0009】
本発明は、下記一般式(1)で表される化合物を有効成分とし、pHが5~8である染毛剤に関する。
【化2】
上記一般式(1)において、Rは水素原子又は水酸基を示す。
【0010】
本発明は、前記染毛用組成物又は染毛剤と毛髪を接触させる工程を含む染毛方法に関する。
本発明の染毛方法は、好ましくは、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、鉄イオン、及び銅イオンからなる群から選ばれる少なくとも1つと前記一般式(1)で表される化合物の錯体を形成する錯体形成工程を更に含む。
【0011】
さらに本発明は、下記一般式(1)で表される化合物を染毛のために利用する使用に関する。
【化3】
上記一般式(1)において、Rは水素原子又は水酸基を示す。
【発明の効果】
【0012】
本発明の染毛用組成物、染毛剤それぞれは、手及び皮膚を汚染せず、毛髪及び頭皮にダメージを与えず、高い色価の色素を迅速に形成する染毛用組成物、染毛剤を提供する。本発明の染毛方法は、手及び皮膚を汚染せず、毛髪及び頭皮にダメージを与えず、高い色価の色素を迅速に形成する染毛方法を提供する。さらに本発明の特定の化合物の染毛のための使用は、当該特定の化合物を、手及び皮膚を汚染せず、毛髪及び頭皮にダメージを与えず、高い色価の色素を迅速に形成する染毛のために利用する使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ロイコナフタザリンを含むシャンプーで人毛白髪毛束を洗髪した際の染毛度合いを示す図。
図2】1,2,4-トリヒドロキシベンゼンを含むシャンプーで人毛白髪毛束を洗髪した際の染毛度合いを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明について更に詳細に説明する。
なお、数値範囲の「~」は、断りがなければ、以上から以下を表し、両端の数値をいずれも含む。また、数値範囲を示したときは、上限値および下限値を適宜組み合わせることができ、それにより得られた数値範囲も開示したものとする。
【0015】
本発明の染毛用組成物は下記一般式(1)で表される化合物を含み、更に本発明の染毛剤は下記一般式(1)で表される化合物を有効成分とする。
【0016】
【化4】
【0017】
上記一般式(1)において、Rは水素原子又は水酸基を示す。前記化合物はロイコ色素であり、天然色素であるナフタザリン又はジュグロンの還元により、容易に得ることができる(J. Org. Chem., Vol.43, No.24, 4617)。
【0018】
前記化合物は水には難溶だが、一般的な有機溶媒には易溶である。前記化合物の有機溶媒溶液は、そのpHが5以下であれば空気存在下でも極めて安定で、長期間保存することができる。一方、前記有機溶媒溶液にアルカリを加えてそのpHを7以上にすると、空気酸化(自動酸化)が起こり、特にpHを8より大きくすると空気酸化が速やかに起こり、濃色の色素が生成する。
【0019】
したがって、本発明の染毛用組成物及び染毛剤は、空気を遮断した条件でそのpHを5~8に調製し、空気を完全に遮断できるエアレス容器、不活性ガスを圧入するエアゾール型容器等に充填して保管される。
【0020】
本発明の染毛用組成物及び染毛剤の形態及び形状は限定されない。すなわち、粉末状、固体状、ゲル化剤によりゲル化されたゲル状体、ないし溶媒に溶解している液状体であってもよい。本発明の染毛用組成物及び染毛剤は、好ましくは液体状であり、より好ましくはシャンプー、コンディショナー及びトリートメントからなる群から選ばれる少なくとも1つとして使用される。
【0021】
前記一般式(1)で表される化合物は、空気酸化を受けて主に黄褐色のジュグロン又は暗赤色のナフタザリンを生成し、白髪を黄褐色から暗褐色に染めることができる。さらに、ジュグロン、ナフタザリンのそれぞれは種々の金属イオンと錯体を形成して様々な色相に変化し得るので、本発明の染毛用組成物及び染毛剤は、白髪を実質的にあらゆる色調に染めることができる。
【0022】
本発明の染毛用組成物及び染毛剤は、空気酸化を受けて着色物質を生成する他のポリフェノール類を更に含んでいてよい。好ましい具体例としては、没食子酸、タンニン酸、タラタンニン、カテキン類、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)、ブラジリン、ヘマトキシリン、1,8-ジヒドロキシナフタレン、4-アルコキシ-1-ナフトール類及び1,2,4-トリヒドロキシベンゼン等を挙げることができる。これらのポリフェノール類の1種又は2種以上が使用される。
【0023】
本発明の染毛方法は、本発明の染毛用組成物又は染毛剤と毛髪を接触させる工程を含む。さらに本発明の染毛方法は、本発明の染毛用組成物又は染毛剤と、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、鉄イオン、及び銅イオンからなる群から選ばれる少なくとも1つの錯体を形成する錯体形成工程を含んでいてよい。
【0024】
前記金属イオンは、予め本発明の染毛用組成物又は染毛剤に添加しておいても、前記金属イオンを含まない本発明の染毛用組成物又は染毛剤による染毛処理の後、該金属イオンを含むトニック、コンディショナー等のヘアケア剤で毛髪を処理してもよい。
【0025】
前記一般式(1)で表される化合物の含有量に特定の範囲に制限されない。例えば、本発明の染毛用組成物又は染毛剤が、シャンプー、コンディショナー、及びトリートメントからなる群から選ばれる少なくとも1つとして使用される場合、前記含有量は好ましくは0.005~1.0質量%であり、より好ましくは0.03~0.2質量%である。
【0026】
前記一般式(1)で表される化合物を予め少量の有機溶媒に溶解し、次いで空気遮断条件下で適量の界面活性剤を添加して、徐染型のシャンプー等を調製することができる。
【0027】
前記有機溶媒としては、以下のものが挙げられる。
エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブチレングリコール、イソプレングリコール、ペンチレングリコール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、安息香酸エチル、安息香酸ヒドロキシエチル、カルビトール、エトキシジグリコール等の合成有機溶媒。
【0028】
アルガン油、ココナッツ油、亜麻仁油、スクワラン、スクワレン、オリーブ油、ツバキ油、ホホバ油、パーム油、グレープシード油、硬化ヒマシ油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーム核油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ヤシ油、落花生油等の天然有機溶媒。
【0029】
これらの有機溶媒の1種又は2種以上が使用される。前記有機溶媒として、前記一般式(1)で表される化合物の溶解度が高く、染毛性が良好な有機溶媒が好ましい。具体的には、好ましい前記有機溶媒として、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、安息香酸エチル、安息香酸ヒドロキシエチル、エトキシジグリコール等を挙げることができる。
【0030】
前記有機溶媒の含有量は特定の範囲に制限されない。前記含有量は、好ましくは、質量ベースで、前記一般式(1)で表される化合物の5倍~500倍、より好ましくは10倍~80倍である。
【0031】
本発明の染毛用組成物及び染毛剤は、界面活性剤を含有していてよい。前記界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤等が挙げられる。
【0032】
前記アニオン性界面活性剤としては、オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0033】
前記カチオン性界面活性剤としては、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアラミドプロピルジメチルアミン等が挙げられる。
【0034】
前記非イオン性界面活性剤としては、アルキルグルコシド類、脂肪酸アルカノールアミド類、ポリビニルピロリドン類、ポリエチレンオキシド類、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル類、ポリエチレンオキシドジエーテル類、ポリエチレンオキシドモノフェニルエーテル類、ポリプロピレンオキシド類、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル類、ポリプロピレンオキシドジアルキルエーテル類、ポリエチレンオキシド脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、グリセリンモノエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステル類等が挙げられる。
【0035】
前記両性界面活性剤としては、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ラウラミドプロピルベタイン等を挙げることができる。
これらの界面活性剤の1種又は2種以上が使用される。
【0036】
本発明で好ましい界面活性剤は、適度な洗浄力を有するアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤である。
【0037】
本発明の染毛用組成物及び染毛剤において、前記界面活性剤の含有量は特定の範囲に制限されない。前記含有量は、質量ベースで、好ましくは前記一般式(1)で表される化合物の10倍~500倍であり、より好ましくは30倍~300倍である。
【0038】
本発明の染毛用組成物及び染毛剤は、前記一般式(1)で表される化合物以外の染料を含有していてよい。前記染料として、酸性染料、塩基性染料、及びHC染料等を挙げることができる。前記染料として、酸性染料が好ましく用いられ、黄色406号、黄色407号、橙色205号、赤色227号、紫401号、黒色401号等がより好ましく用いられる。また、ローソン、ジュグロン、ブラジレイン、ヘマテイン等の植物由来色素を併用することができる。
【0039】
本発明の染毛用組成物及び染毛剤は、シャンプー等後の髪質を改良する目的で、種々のカチオンポリマーを含んでいてよい。前記カチオンポリマーの具体例として、デンプン、セルロース、グアーガム、タラガム、キトサン、ヒアルロン酸等の天然多糖類をヒドロキシプロピルトリモニウム化したもの、および合成多糖類に四級アンモニオ基を導入したポリクオタニウム類等を挙げることができる。前記ポリクオタニウム類として、ポリクオタニウム6、ポリクオタニウム7、ポリクオタニウム10、ポリクオタニウム11、ポリクオタニウム22等が好ましく用いられる。本発明の染毛用組成物又は染毛剤中の前記カチオンポリマーの含有量は、好ましくは0.02~1.5質量%である。
【0040】
本発明の染毛用組成物及び染毛剤は、前記一般式(1)で表される化合物の酸化を抑制するため、安定化剤を含んでいてよい。前記安定化剤の具体例として、アスコルビン酸、エリソルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム等を挙げることができる。本発明の染毛用組成物又は染毛剤中の前記安定化剤の含有量は、好ましくは0.01~0.5質量%である。
【0041】
本発明の染毛用組成物及び染毛剤は、各種添加剤を含んでいてよい。前記添加剤として、湿潤剤、増粘剤、動植物エキス、アミノ酸類、防腐剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、皮膚コンディショニング剤、消炎剤、色素、香料などが挙げられる。
【0042】
前記湿潤剤として、以下のものが挙げられる。
グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、イソプレングリコール、ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビット、グルコース、マルチトール、キシロース、ジヒドロキシアセトン、エリトルロース等。
【0043】
前記増粘剤として、以下のものが挙げられる。
ペクチン、カラギナン、ガラクトマンナン、キサンタンガム、グアーガム、タラガム、アラビアガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン等。
【0044】
前記動植物エキスとして、以下のものが挙げられる。
プラセンタエキス、海洋性プラセンタエキス、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン 、加水分解シルク、加水分解エラスチン、酵母エキス、アロエエキス、コンフリーエキス 、シャクヤクエキス、シソエキス、センブリエキス、ハマメリス水、ヒキオコシエキス、 ホップエキス、セージエキス、マロニエエキス、モモ葉エキス、ユキノシタエキス、メリッサエキス、ヨモギエキス、ローズマリーエキス、コメヌカ発酵エキス、マツエキス、プルーンエキス、トレハロース、ヒアルロン酸ナトリウム、ダイズ醗酵エキス、ヒドロキシエチルキトサン、水溶性コラーゲン、アマチャヅルエキス、ウイキョウエキス、カッコンエキス、キウイエキス、キュウリエキス、クチナシエキス、クロレラエキス、ジオウエキス、バクモンドウエキス、ヘチマエキス、ボタンエキス、フキタンポポエキス 、ブクリョウエキス、ブドウ葉エキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、リンゴエキス 、サイタイエキス、加水分解酵母エキス、ムコ多糖、ハチミツ、加水分解シルク、アロエベラエキス、モモ葉エキス、オトギリソウエキス、カワラヨモギエキス、キイチゴエキス、グレープフルーツエキス、オーキッドエキス、レンゲソウエキス、アテロコラーゲン等。
【0045】
前記アミノ酸類として、以下のものが挙げられる。
グリシン、アラニン、γ-アミノ酪酸、L-アスパラギン酸、L-アルギニン、L-イソロイシン、L-グルタミン、L-グルタミン酸 、L-トレオニン、L-チロシン、L-トリプトファン、L-バリン、L-ヒスチジン塩酸塩、L-ヒドロキシプロリン、L-プロリン、L-ロイシン、L-メチオニン、塩酸リジン等。
【0046】
前記防腐剤として、以下のものが挙げられる。
メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパ ラベン、フェノキシエタノール、ビサボロール、ヒノキチオール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ウンデシレン酸、ピオニン、lーメントール、d-カンフル等。
【0047】
前記紫外線吸収剤として、以下のものが挙げられる。
パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、オキシベンゾン、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、サリチル酸オクチル等。
【0048】
前記金属イオン封鎖剤として、以下のものが挙げられる。
エデト酸、エデト酸塩、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム、エチレンジアミンテトラキス(2-ヒドロキシイソプロピル)ジオレイン酸塩、ヒドロキシエタンジスルホン酸、ヒドロキシエタンジスルホン酸四ナトリウム、フィチン酸等。
【0049】
前記pH調整剤として、以下のものが挙げられる。
乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸やそれらの塩類、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパンジオール等。
【0050】
前記皮膚コンディショニング剤として、以下のものが挙げられる。
カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、水添ポリイソブテン、セテアリルアルコール、ミリスチルアルコール、加水分解エラスチン、加水分解ケラチン、加水分解コラーゲン、加水分解コラーゲンエチル、加水分解コラーゲンヘキサデシル、水溶性コラーゲン、キシリット、グアノシン、グアニン、グルクロン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、細胞間脂質、酸性ムコ多糖類、水溶性エラスチン、スフィンゴ脂質、セリシン、大豆リゾリン脂質リゾレシチン、大豆リン脂質、トサカ抽出液 、卵黄リン脂質、加水分解コンキオリン、加水分解卵殻膜解物、動物胎盤エキス、ローヤルゼリーエキス等。
【0051】
前記消炎剤として、以下のものが挙げられる。
グリチルリチン酸ジカリウム、アラントイン、塩酸ジフェンヒドラミン、グアイアズレンスルホン酸ナトリウム、ニコチン酸ベンジル、塩化リゾチーム、アミノカプロン酸等。
【0052】
本発明の染毛用組成物及び染毛剤は、毛髪に繰り返し、シャンプー等のヘアケア処理を施すことで高い染毛効果をもたらす。前記ヘアケア処理の回数は特定の範囲に限定されないが、好ましくは1日1回で1週間以上、より好ましく1か月以上継続して処理するとよい。さらに本発明の染毛用組成物又は染毛剤を通常のシャンプーとして日常的に使用することが特に好ましい。本発明の染毛用組成物又は染毛剤をシャンプーとして用いる場合、1回の使用量は毛量に応じて適宜調整され、1回のシャンプー時間は長いほど良いが、通常は2分~5分の範囲である。シャンプー後はお湯ですすぐのみでよいが、引き続きコンディショナー及び/又はトリートメント処理をしてもよい。前述のように、コンディショナー及び/又はトリートメント中に金属イオンを添加することで染毛の色調を変えることができる。アルミニウムイオンの添加は明るい褐色に、一方、亜鉛イオン、銅イオン、及び鉄イオンからなる群から選ばれる少なくとも1つの添加は暗い褐色ないし黒色に変化させる。
【実施例0053】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】
(合成例)
前述の文献(J. Org. Chem., Vol. 43, No. 24, 4617)に記載の方法に従い、ナフタザリン又はジュグロンを希塩酸中、塩化第一錫と100℃で反応させ、ロイコナフタザリン(前記一般式(1)において、Rが水酸基の化合物)もしくはロイコジュグロン(前記一般式(1)において、Rが水素原子の化合物)を合成した。
【0055】
(実施例1)
前記合成例で得たロイコナフタザリン7mgをベンジルオキシエタノール200mgに加熱溶解させ、下記に示す組成の界面活性剤原液9.8gと窒素を充満させたグローブボックス内で混合してシャンプー1を調製した。
【0056】
ラウロイルメチルアラニンNa 3.00質量%
オレフィン(C14-C16)スルホン酸Na 1.80質量%
デシルグルコシド 3.60質量%
コカミドプロピルベタイン 1.50質量%
ポリクオタニウム10 0.80質量%
アスコルビン酸 0.05質量%
精製水 85.05質量%
乳酸 4.20質量%
【0057】
前記シャンプー1の適量を、お湯で湿らせたビューラックス社製100%人毛白髪毛束1gに塗り、十分泡立たせながら3分間シャンプーを行い、お湯ですすぎ、ドライヤーで乾燥させた。白髪毛束は淡赤褐色に染まっていた。シャンプーを5回および10回繰り返すと、白髪毛束は更に濃色に染まった。結果を図1に示す。
【0058】
(比較例1)
実施例1において、ロイコナフタザリンの代わりに、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン50mgを用いて比較用シャンプーを調製し、シャンプー1回、5回及び10回の操作を行った。結果を図2に示す。白髪毛束は徐々に褐色に染まったが、図1と比較すると、ロイコ色素を多量に用いたにもかかわらず、染毛性は低かった。
【0059】
(実施例2)
実施例1において、ロイコナフタザリン7mgの代わりにロイコジュグロン10mgを用いてシャンプー2を調製した。実施例1と同様にシャンプー処理を行ったところ、白髪毛束は淡黄褐色に染まった。
【0060】
(実施例3)
実施例1において、ロイコジュグロン5mgも更に使用してシャンプー3を調製した。実施例1と同様にシャンプーを行うと、白髪毛束は淡褐色に染まった。
【0061】
(実施例4)
実施例1において、没食子酸水和物5mgを更に用いてシャンプー4を調製した。実施例1と同様にシャンプーを行うと、白髪毛束は比較的濃い淡褐色に染まった。
【0062】
(実施例5)
実施例1において、ヘマトキシリン水和物5mgを更に用いてシャンプー5を調製した。実施例1と同様にシャンプーを行うと、白髪毛束は淡茶褐色に染まった。
【0063】
(実施例6)
実施例1において、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン5mgを更に用いてャンプー6を調製した。実施例1と同様にシャンプーを行うと、白髪毛束は淡黒褐色に染まった。
【0064】
(実施例7)
実施例1で染めた淡赤褐色の白髪毛束に、1質量%のグルコン酸銅を含むトニック液(10質量%エタノール溶液)を均一にスプレーし、室温で乾燥させた。白髪毛束は淡赤褐色から淡黒色に変化した。また、1質量%のグルコン酸亜鉛を含むトニック液(10質量%エタノール溶液)をスプレーすると、毛束は淡茶褐色に変化した。一方、1質量%の乳酸アルミニウムを含むトニック液(10質量%エタノール溶液)をスプレーすると、毛束は明るい淡褐赤色に変化した。
前記結果から、ロイコナフタザリンの空気酸化処理により染毛した色調を、金属イオンで更に処理して色調を種々に変化させられることが確認された。
図1
図2