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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034012
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】壁面設置機器の配線用構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/22 20060101AFI20240306BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20240306BHJP
   E04F 17/08 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H02G3/22
E04B2/74 541K
E04F17/08 B
H02G3/22 286
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137992
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】多田 周平
(72)【発明者】
【氏名】澤瀬 一徳
(72)【発明者】
【氏名】井上 雅之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 江里子
【テーマコード(参考)】
5G363
【Fターム(参考)】
5G363AA15
5G363BA01
5G363CA14
5G363CB11
5G363DB06
5G363DB17
(57)【要約】
【課題】壁面設置機器を壁面に密着させやすく、居室から見た場合の見栄えを良好とした、壁面設置機器の配線用構造を提供する。
【解決手段】居室の壁面Wsに取り付けられて通電により機能する壁面設置機器Aに対して少なくとも電力供給を行うための配線用構造1であって、前記壁面Wsの背面側である壁体Wの内部に設けられた、配線L1,L2を配置可能な空間を有する配線配置部2と、前記配線配置部2における前記空間に面して設けられた端子台3と、前記配線配置部2における前記壁面Ws側の領域を覆う隠蔽部4と、前記隠蔽部4を貫通し、前記配線配置部2に配置された配線L1,L2を前記居室側に取り出せる貫通穴である、一つ以上の配線出口部5と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
居室の壁面に取り付けられて通電により機能する壁面設置機器に対して少なくとも電力供給を行うための、壁面設置機器の配線用構造であって、
前記壁面の背面側である壁体の内部に設けられた、配線を配置可能な空間を有する配線配置部と、
前記配線配置部における前記空間に面して設けられた端子台と、
前記配線配置部における前記壁面側の領域を覆う隠蔽部と、
前記隠蔽部を貫通し、前記配線配置部に配置された配線を前記居室側に取り出せる貫通穴である、一つ以上の配線出口部と、を備える、壁面設置機器の配線用構造。
【請求項2】
前記壁面設置機器に対して電気信号の送信または受信が可能に接続される接続機器が前記壁面の正面側に設けられ、
一つの前記配線配置部において、前記配線出口部が複数設けられており、
前記配線配置部には、前記壁面設置機器と前記接続機器とを接続する接続配線が配置され、
複数の前記配線出口部のうち一つは、前記接続配線を前記居室から前記配線配置部に取り入れ、複数の前記配線出口部のうち他の一つは、前記接続配線を前記配線配置部から前記居室に取り出す、請求項1に記載の壁面設置機器の配線用構造。
【請求項3】
複数の前記配線出口部のうち一つは、前記壁面に対する正面視で前記壁面設置機器に覆われる位置に設けられ、
複数の前記配線出口部のうち他の一つは、前記壁面に対する正面視で前記壁面に面して配置された前記接続機器、または、前記接続機器を支持する支持体に覆われる位置に設けられる、請求項2に記載の壁面設置機器の配線用構造。
【請求項4】
前記壁面設置機器が、前記壁面に固定されたテレビ受像機であって、
前記接続機器が、前記テレビ受像機に対して映像信号または音声信号の入力または出力がされる機器である、請求項2に記載の壁面設置機器の配線用構造。
【請求項5】
前記端子台は複数設けられ、
複数の前記端子台には、電力供給用のものと信号用のものとが含まれる、請求項1~4のいずれかに記載の壁面設置機器の配線用構造。
【請求項6】
前記壁体の内部には詰め物が設けられており、
前記壁体の内部で前記詰め物が設けられない部分が、前記配線配置部における前記空間とされている、請求項1~4のいずれかに記載の壁面設置機器の配線用構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、居室の壁面に設けられる壁面設置機器の配線用構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
壁面設置機器の一例としてテレビ受像機がある。テレビ受像機を壁面に設けた例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された構成では、テレビ受像機が壁面に固定したパネルに取り付けられていて、壁面に設けられたマルチメディアコンセントに給電配線と信号配線が接続されている。また、テレビ受像機の下方に設けられた周辺機器(レコーダー等)に対して信号配線が接続されている。
【0003】
ここで、テレビ受像機周りをすっきりさせるため、配線を壁内に通すことで隠蔽することが検討された。例えば図7に示すように、テレビ受像機101の背面側の壁102の内部に配管103を設けておき、この配管103に、テレビ受像機101と周辺機器104と接続する配線105を通す構成である。この検討による場合であっても、マルチメディアコンセント106や電源コンセント107は壁面(壁102の外部)に設ける構成とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-59672号公報(図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで近年、有機ELテレビ等の普及によりテレビ受像機の本体、及び、支持のための架台のスリム化が進行している。このため、従来の設置方法のままでは、テレビ受像機の背面側にプラグや配線の出っ張りが存在することで、テレビ受像機を壁面に密着させることが難しくなり、見た目をすっきりさせることに限界が生じていた。また、壁内の配管に配線を通す方法では、配管の径の小ささから、配置できる配線の本数が制限され、多様化する周辺機器への対応の難しさがあり、また、入線作業がしにくい等の施工上の問題もあった。
【0006】
そこで本発明は、壁面設置機器を壁面に密着させやすく、居室から見た場合の見栄えを良好とした、壁面設置機器の配線用構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、居室の壁面に取り付けられて通電により機能する壁面設置機器に対して少なくとも電力供給を行うための、壁面設置機器の配線用構造であって、前記壁面の背面側である壁体の内部に設けられた、配線を配置可能な空間を有する配線配置部と、前記配線配置部における前記空間に面して設けられた端子台と、前記配線配置部における前記壁面側の領域を覆う隠蔽部と、前記隠蔽部を貫通し、前記配線配置部に配置された配線を前記居室側に取り出せる貫通穴である、一つ以上の配線出口部と、を備える、壁面設置機器の配線用構造である。
【0008】
この構成によれば、端子台が壁体の内部に位置する配線配置部に設けられるため、電力供給用等のプラグを壁内に位置させることができ、壁面設置機器と壁面との間の配線も最小限の長さとできる。このため、壁面設置機器を壁面に密着させるための障害をなくし、また、居室から見た場合の見栄えを損なう原因もなくすことができる。
【0009】
また、前記壁面設置機器に対して電気信号の送信または受信が可能に接続される接続機器が前記壁面の正面側に設けられ、一つの前記配線配置部において、前記配線出口部が複数設けられており、前記配線配置部には、前記壁面設置機器と前記接続機器とを接続する接続配線が配置され、複数の前記配線出口部のうち一つは、前記接続配線を前記居室から前記配線配置部に取り入れ、複数の前記配線出口部のうち他の一つは、前記接続配線を前記配線配置部から前記居室に取り出すものとできる。
【0010】
この構成によれば、壁面設置機器の他に接続機器を設けた場合にも対応できる。
【0011】
また、複数の前記配線出口部のうち一つは、前記壁面に対する正面視で前記壁面設置機器に覆われる位置に設けられ、複数の前記配線出口部のうち他の一つは、前記壁面に対する正面視で前記壁面に面して配置された前記接続機器、または、前記接続機器を支持する支持体に覆われる位置に設けられるものとできる。
【0012】
この構成によれば、壁面設置機器の他に接続機器を設けた場合であっても、配線出口部が接続機器または支持体に隠れるため、居室から見た場合の見栄えを損なう原因とならない。
【0013】
また、前記壁面設置機器が、前記壁面に固定されたテレビ受像機であって、前記接続機器が、前記テレビ受像機に対して映像信号または音声信号の入力または出力がされる機器である
ものとできる。
【0014】
この構成によれば、一般的な家庭における機器の使用状況に対応できる。
【0015】
また、前記端子台は複数設けられ、複数の前記端子台には、電力供給用のものと信号用のものとが含まれるものとできる。
【0016】
この構成によれば、電力供給用の配線と信号用の配線の両方を配線配置部に配置できる。
【0017】
また、前記壁体の内部には詰め物が設けられており、前記壁体の内部で前記詰め物が設けられない部分が、前記配線配置部における前記空間とされているものとできる。
【0018】
この構成によれば、一般的な建築物の構造を大きく変えることを要しない。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、壁面設置機器を壁面に密着させるための障害をなくし、また、居室から見た場合の見栄えを損なう原因もなくすことができる。よって、壁面設置機器を壁面に密着させやすく、居室から見た場合の見栄えを良好とできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る壁面設置機器の配線用構造の設置対象である壁面と、壁面近くに設けられた機器とを示す図である。
図2】本実施形態に係る配線配置部の周囲を示す横断面図である。
図3】本実施形態に係る配線配置部の周囲を示す、図2のIII-III位置における縦断面図である。
図4】本実施形態に係る配線配置部と、壁面近くに設けられた機器との位置関係を示す概略図である。
図5】本実施形態に係る配線配置部の縦断面での配線設置例を示す概略図である。
図6】(a)及び(c)は本実施形態に係る端子台を有するコンセントの一例を示す正面図であり、(b)は本実施形態に係る配線出口部が形成された穴あきプレートを示す正面図である。
図7】本発明の前に検討された配線要領の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明につき、壁面設置機器Aの配線用構造1の一実施形態を取り上げて、図面とともに以下説明を行う。
【0022】
壁面設置機器Aは、家庭等における居室の壁面Wsに取り付けられて通電により機能する機器である。本実施形態の壁面設置機器Aは、図1に示すようなテレビ受像機(特に、液晶テレビや有機ELテレビ等、画面寸法に比べて奥行寸法が小さく(薄く)、壁面Wsへの取り付けに適したもの)である。以下、壁面設置機器Aがテレビ受像機であるとして説明する。壁面設置機器Aはテレビ受像機に限定されるものではなく、映像機器または音響機器では例えばディスプレイ(画像のみを表示する機器)、スピーカー、音楽プレイヤーである。なお、映像または音楽信号が無線で送受信されるような機器であっても、外部からの電力供給が有線で行われる機器は壁面設置機器Aに含まれる。また、映像機器または音響機器以外であっても良く、例えば、空調機器、時計、照明装置、姿見、写真パネル、魚類飼育用の水槽、水耕栽培装置、電気式で形態が変化する装飾品等も壁面設置機器Aに含まれる(電力供給が有線で行われる機器であることが条件である)。また、複数台の機器の組み合わせであってもよい。壁面設置機器Aは、直接、または架台を介して壁面Wsに取り付けられる。
【0023】
本実施形態では、壁面設置機器Aに対して接続機器Bが組み合わされて用いられる。接続機器Bは、壁面設置機器Aに対して電気信号の送信または受信(または送受信)が可能に接続される機器である。接続は接続配線L2(例えば映像信号配線、音声信号配線、両機器の連係動作のための配線等であり、電気信号配線や光信号配線)により有線接続される。本実施形態では壁面設置機器Aであるテレビ受像機に対して映像信号または音声信号(またはその両方)の入力または出力(または入出力)がされる機器、例えばハードディスクレコーダー、DVD・ブルーレイプレイヤー、コンピュータ、ゲーム機である。接続機器Bは壁面設置機器Aと同様に居室の壁面Wsに取り付けられるものであってもよいし、図1に示すように居室の床面に置かれた支持体Rとしてのラック、または、壁面Wsに設けられた棚に支持されたり、収納されたりするものであってもよい。接続機器Bはその他に、例えば、アンプ、外付けスピーカー、サラウンド機器である。接続機器Bは壁面Wsの正面側に設けられる。接続機器Bは壁面Wsに対して当接するように設けてもよいし、壁面Wsに対して所定距離をおいて設けてもよい。
【0024】
本実施形態の配線用構造1は、配線配置部2、端子台3、隠蔽部4、配線出口部5を備える。配線用構造1の各構成は、建物の建設時に壁体Wにあらかじめ設けておくことが好ましいが、既存の建物の壁体Wを改造する後施工で設けてもよい。
【0025】
配線配置部2は、図2及び図3に示すように、壁面Wsに形成された、配線L1,L2を配置可能な空間を有する部分である。配線配置部2には、壁面設置機器A、接続機器Bの各々に電力供給を行う給電配線L1と、壁面設置機器Aと接続機器Bとを接続する接続配線L2と、その他配線L3(テレビ信号配線、LAN配線等)が配置される。本実施形態の配線配置部2は、壁面Wsを形成する壁体Wに、壁面Wsの正面側から背面側に向かって凹む凹部である。本実施形態では上下に縦長で、空間が直方体状とされた凹部である。空間(凹部)の形状はこれに限定されず、水平方向に横長であったり、斜めに延びた形状であったりしてもよい。また、縦横が同じ長さ(壁面Wsへの正面視で)、例えば正方形状や円形状であってもよい。配線配置部2の形成範囲について、本実施形態では、図3に示したように下端が床面と同一高さとされているが、形成範囲は適宜設定することができる。
【0026】
ここで、壁体Wの内部には詰め物Fとしてグラスウール等の遮音材が設けられる場合がある。この遮音材は、特にマンション等の集合住宅において、壁体Wに防振機能を持たせることにより、壁面設置機器Aから生じる振動(音声等に由来)を減衰させ、隣接する住戸に与える影響を低減させるために設けられる。このように壁体Wに遮音材が設けられる場合、壁体Wの内部で遮音材が設けられない(壁面Wsを基準として)凹部状の部分が、配線配置部2における空間とされる。このように配線配置部2を、詰め物Fを設けないことで形成できることから、一般的な建築物の構造を大きく変えることを要さずに、配線用構造1を構成できる。なお、二重壁等で内部が空間となっている壁体Wにおいては、元々存在していた空間を配線配置部2として利用することもできるが、この場合、配線L1,L2をスムーズに通すことができるようにするため、配線配置部2とする部分を板材等で仕切ったり、配線L1,L2に対するガイドとなる物体を配置したりすることが好ましい。ただし場合によっては、仕切りやガイドとなる物体を配置せず、壁体Wにおける内部空間をそのまま配線配置部2に利用することも可能である。
【0027】
端子台3は、配線配置部2の内部に設けられている。本実施形態では、配線配置部2の壁面Wsから最も奥側にある面に設けられている。端子台3は、最も奥側にある面ではなく、側面(右、左、上、下のいずれかを向いた面)に設けられていてもよい。端子台3には一つの端子31が設けられていてもよいし、複数の端子31が設けられていてもよい。本実施形態では、端子台3は複数設けられている。複数の端子台3には、電力供給用のものと信号用のものとが含まれる。電力供給用と信号用とが一つにまとめられた端子台3であってもよい。端子31は、例えば、電源端子、接地端子、テレビ信号端子、LAN端子である。
【0028】
本実施形態では、上方に設けられる端子台3が、図6(a)に示すように、電源端子311(2対)、接地端子312、テレビ信号端子313、LAN端子314が組み合わされたマルチメディアコンセントであり、下方に設けられる端子台3が、図6(c)に示すように、電源端子311(2対)を有するコンセント(電源コンセント)とされている。
【0029】
端子台3は例えば箱状であって、端子台3の背面は壁体Wの内部における壁面Wsから離れた部分に固定される。また、場合によっては建物の構造体(コンクリート、鉄骨、木材)に対して固定することもできる。配線配置部2の奥側には、端子台3の厚み分の段差が生じる。この段差はそのままとしてもよいが、図3に示すように、配線配置部2の奥側に板状体6を配置することで、段差を少なくしてもよい。
【0030】
隠蔽部4は、配線配置部2における壁面Ws側の領域を覆う部分である。隠蔽部4は壁体Wを構成する板材とは別個の板状体であって、表面が壁面Wsにおいて壁紙Wpがない場合の表面と同一平面となるように設けられている。壁紙Wpが隠蔽部4とその周囲とにわたって貼られるため、隠蔽部4(下記の配線出口部5の周囲部分を除く)は居室からは見えないようにされている。居室側には配線出口部5とその周囲部分(穴あきプレート5a)のみが露出する。配線用構造1における配線出口部5とその周囲部分の他の構成を居室から見えにくくできるため、見栄えを良くできる。
【0031】
配線出口部5は、隠蔽部4を壁面Wsに対して直交する方向に貫通し、配線配置部2に配置された配線L1,L2を居室側に取り出せる貫通穴(本実施形態では丸穴)である。配線出口部5には、図6(b)に示すような、一般に流通している穴あきプレート5aによって構成できる。この穴あきプレート5aは平面視が正方形状であって、中央に例えば丸穴が貫通している。この丸穴が配線出口部5となる。図面には明確に現れていないが、穴あきプレート5aを壁体Wに固定するために枠状の支持体を用いることができる。丸穴の周囲である板状部分は、隠蔽部4の一部としての機能も発揮する。ただし、この板状部分は壁面Ws上の壁紙Wpよりも居室側に設けることができる。穴あきプレート5aは壁体Wに対して着脱可能とされており、入線作業の際等に取り外される。これにより、隠蔽部4における開口を一時的に大きくできるので、入線作業の作業性を良好にできる。
【0032】
一つの配線配置部2において、配線出口部5が複数設けられていてもよい。複数の配線出口部5のうち一つは、接続配線L2を居室から配線配置部2に取り入れ、複数の配線出口部5のうち他の一つは、接続配線L2を配線配置部2から居室に取り出す。複数の配線出口部5のうち一つは、壁面Wsに対する正面視で壁面設置機器Aに覆われる位置に設けられ、複数の配線出口部5のうち他の一つは、壁面Wsに対する正面視で壁面Wsに面して配置された接続機器B、または、接続機器Bを支持する支持体R(ラック等)に覆われる位置に設けられる。なお、前記「位置」とは、壁面設置機器Aの設置が想定される位置のことである。このため、配線用構造1の各構成を形成する時点で、壁面設置機器Aまたは接続機器Bが居室内に実在している必要はない。
【0033】
本実施形態では、配線配置部2の上端部と下部(下端から少し上に離れた部分)の2箇所に配線出口部5が設けられている。このような位置関係とすることで、配線出口部5(具体的には、隠蔽部4を貫通する貫通穴)が居室にいる者から見えないようにできるので、すっきりした見た目が損なわれない。なお、壁面設置機器Aのみを用いる場合、配線配置部2の形状(長さ)とは関係なく、配線出口部5を1箇所だけに設けることもできる。
【0034】
以上のように構成された、本実施形態の配線用構造1は、図4に示すように配置された壁面設置機器Aと接続機器Bとに対し、図5に示すように各種配線L1,L2を取り回すことができる。端子台3に接続される配線(給電配線L1、アース配線、アンテナ配線、インターネット配線、有線放送配線等)は、端子台3から配線配置部2を通って配線出口部5から居室に取り出される。壁面設置機器Aと接続機器Bとを接続する接続配線L2(光配線、HDMI(登録商標)配線、リモコン連携配線等)は、一つの配線出口部5から配線配置部2に取り入れられ、配線配置部2を通って他の一つの配線出口部5から居室に取り出される。各配線L1,L2は、長さ調整のため、配線配置部2において適宜弛ませて配置することができる。また、複数本の配線L1,L2を、結束具等を用いて束ねることもできる。給電配線L1の端部に設けられているプラグは、端子台3が配置された配線配置部2の内部に位置する。また、壁面Wsと壁面設置機器A、接続機器Bの各々との間には最小限の長さの配線L1,L2が露出することになる。
【0035】
壁面設置機器Aまたは接続機器Bの増設や取り換えの際には、配線配置部2を通す各配線L1,L2を増加させるか、または、入れ替えることができる。特にこの際、配線出口部5に設けられる穴あきプレート5aを一時的に取り外すことで、端子台3の正面側空間をある程度広く確保できることから、作業がしやすい。
【0036】
以上のように本実施形態の配線用構造1によると、壁面設置機器Aを壁面Wsに密着させるための障害をなくし、また、居室から見た場合の見栄えを損なう原因もなくすことができる。よって、壁面設置機器Aを壁面Wsに密着させやすく、居室から見た場合の見栄えを良好とできる。
【0037】
以上、本発明につき一実施形態を取り上げて説明してきたが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0038】
例えば、配管材を用いて配線配置部2を形成することもできる。この場合、配管内の空間に面するように端子台3が設けられる。配管材を用いる場合、丸ごと用いてもよいし、半割れ状態に加工した上で用いてもよい。また、直管とエルボとを適宜組み合わせることができる。
【0039】
また、隠蔽部4につき、壁面Wsを形成する板材を兼用させることもできる。この場合、配線出口部5は前記板材に直接的に形成される。
【0040】
また、壁体Wの内部に詰め物Fが設けられた場合、この詰め物Fは前記実施形態では遮音材であったが、これに限定されず、他の機能を有するもの(例えば断熱材)であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 配線用構造
2 配線配置部
3 端子台、コンセント
31 端子
311 電源端子
312 接地端子
313 テレビ信号端子
314 LAN端子
4 隠蔽部
5 配線出口部
5a 穴あきプレート
6 板状体
A 壁面設置機器、テレビ受像機等
B 接続機器、ハードディスクレコーダー等
F 詰め物、遮音材等
L1 配線、給電配線
L2 配線、接続配線
L3 配線、その他配線
R 支持体、ラック等
W 壁体
Ws 壁面
Wp 壁紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7