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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034034
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】詰替え用パウチ
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/36 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
B65D33/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138023
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中澤 直希
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB26
3E064BA17
3E064BA24
3E064BA35
3E064BA36
3E064BA37
3E064BA38
3E064BA44
3E064BA54
3E064BB03
3E064BC08
3E064EA23
3E064FA04
3E064GA01
3E064HD01
3E064HE02
3E064HM01
3E064HN06
3E064HP01
3E064HP02
3E064HS05
(57)【要約】
【課題】内容物と外気の置換が円滑に行われ、迅速な注出が可能な詰替え用パウチを提案するものである。
【解決手段】それぞれ基材層とシーラント層を有する表面積層体2と、裏面積層体3と、これらの間にシーラント層が外側になるように逆V字形に折って挿入した底テープ4のそれぞれのシーラント層同士を対向させて左右サイドシール部9とボトムシール部10をシールすることによって底面部5と胴部6が形成されており、胴部の最上部の左右いずれかの角部には、注出口シール部13によって注出筒14が形成され、注出筒には開封することにより注出口15となる第1開封線16が設けられており、胴部の最上部の他の角部には、給気口シール部17によって給気筒18が形成され、給気筒には開封することにより給気口19となる第2開封線20が設けられていることを特徴とする詰替え用パウチ1である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ基材層とシーラント層を有する表面積層体と裏面積層体と底テープとから構成される詰替え用パウチであって、
表面積層体と、裏面積層体と、これらの間にシーラント層が外側になるように逆V字形に折って挿入した底テープのそれぞれのシーラント層同士を対向させて左右サイドシール部とボトムシール部をシールすることによって底面部と胴部が形成されており、
胴部の最上部の左右いずれかの角部には、注出口シール部によって注出筒が形成され、注出筒には開封することにより注出口となる第1開封線が設けられており、
胴部の最上部の他の角部には、給気口シール部によって給気筒が形成され、給気筒には開封することにより給気口となる第2開封線が設けられており、
前記注出筒と前記給気筒の間は、トップシール部によって密封されていることを特徴とする詰替え用パウチ。
【請求項2】
それぞれ基材層とシーラント層を有する表面積層体と裏面積層体と底テープとから構成される詰替え用パウチであって、
表面積層体と、裏面積層体と、これらの間にシーラント層が外側になるように逆V字形に折って挿入した底テープのそれぞれのシーラント層同士を対向させて左右サイドシール部とボトムシール部をシールすることによって底面部と胴部が形成されており、
胴部の最上部の左右いずれかの角部には、注出口シール部によって注出筒が形成され、注出筒には開封することにより注出口となる第1開封線が設けられており、
胴部の最上部の他の角部には、給気口シール部によって給気筒が形成され、給気筒には開封することにより給気口となる第2開封線が設けられており、
前記注出筒と前記給気筒の間は、下方に湾曲したトップシール部によって密封されていることを特徴とする詰替え用パウチ。
【請求項3】
それぞれ基材層とシーラント層を有する表面上部積層体と表面下部積層体と裏面積層体と底テープとから構成される詰替え用パウチであって、
表面下部積層体と、裏面積層体の下部と、これらの間にシーラント層が外側になるように逆V字形に折って挿入した底テープのそれぞれのシーラント層同士を対向させて左右サイドシール部とボトムシール部をシールすることによって底面部と胴部の下半分が形成されており、
前記表面上部積層体と裏面積層体の上部のそれぞれのシーラント層同士を対向させて左右サイドシール部をシールすることによって胴部の上半分が形成されて、最上部は、充填シール部によって密封されており、
前記表面上部積層体を、折込線によって基材層を内側にして180°折り返した部分と、前記表面下部積層体を上方に延設した部分との、それぞれのシーラント層同士を対向させて周縁をシールすることによって分岐部が形成されており、
分岐部の最上部の左右いずれかの角部には、注出口シール部によって注出筒が形成され、注出筒には開封することにより注出口となる第1開封線が設けられており、
分岐部の最上部の他の角部には、給気口シール部によって給気筒が形成され、給気筒には開封することにより給気口となる第2開封線が設けられており、
前記注出筒と前記給気筒の間は、下方に湾曲したトップシール部によって密封されていることを特徴とする詰替え用パウチ。
【請求項4】
前記注出筒の中心線と、前記給気筒の中心線のなす角度は、80°以上180°以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の詰替え用パウチ。
【請求項5】
前記注出筒と前記給気筒は、左右対称に配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の詰替え用パウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰り返し使用する本容器に詰め替える内容物を収納するための詰替え用パウチに関し、特に内容物と外気の置換を円滑に行うことができ、注出性に優れた詰替え用パウチに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に使用されている詰替え用パウチとしては、底面部を有することにより自立性を備えた、いわゆるスタンディングパウチと称する軟包装袋が広く用いられている。一般的なスタンディングパウチは、容器の上部に注出口を開いて、この注出口を繰り返し使用する本容器の開口部に挿入し、内容物を注出するように設計されている。
【0003】
しかし一般的に注出口は一つだけであって、内容物と外気とを置換する手段がないため、内容物は自然落下にまかせるか、あるいは包装袋を外から押して、内容物を絞り出してやる操作が必要となり、円滑な注出が期待できなかった。
【0004】
特許文献1に記載された詰替用パウチは、この内容物と外気の置換をスムーズに行うことを可能とし、短時間で内容物を容器に詰め替えることができる詰替用パウチである。
【0005】
特許文献1に記載された詰替用パウチは、図8に示されたように、パウチ本体の上隅部にて上隅シール部によって、内容物流出路と外気流入路とが形成されるとともに、上隅シール部から延設される仕切りシール部によって内容物流出路と外気流入路とがパウチ本体内で隔離され、上隅シール部が所定位置にて切断されることにより、内容物流出路及び外気流入路がそれぞれ外気に連通されるように構成されたものである。
【0006】
しかし実際にこのような形状の詰替用パウチを試用してみると、内容物流出路と外気流入路が隣接して並んでいるため、注出された内容物が外気流入路に逆流して、これを閉塞させてしまったり、あるいは、内部から内容物が外気流入路に侵入してこれを閉塞させてしまったりする場合があるということが判明したのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-169043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は、内容物と外気の置換が円滑に行われ、迅速な注出が可能な詰替え用パウチを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、それぞれ基材層とシーラント層を有する表面積層体と裏面積層体と底テープとから構成される詰替え用パウチであって、
表面積層体と、裏面積層体と、これらの間にシーラント層が外側になるように逆V字形に折って挿入した底テープのそれぞれのシーラント層同士を対向させて左右サイドシール部とボトムシール部をシールすることによって底面部と胴部が形成されており、
胴部の最上部の左右いずれかの角部には、注出口シール部によって注出筒が形成され、注出筒には開封することにより注出口となる第1開封線が設けられており、
胴部の最上部の他の角部には、給気口シール部によって給気筒が形成され、給気筒には開封することにより給気口となる第2開封線が設けられており、
前記注出筒と前記給気筒の間は、トップシール部によって密封されていることを特徴とする詰替え用パウチである。
【0010】
本発明に係る詰替え用パウチは、注出口と給気口を左右独立に設けたことにより、給気口の詰まりが発生せず、円滑な注出が行われる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、それぞれ基材層とシーラント層を有する表面積層体と裏面積層体と底テープとから構成される詰替え用パウチであって、
表面積層体と、裏面積層体と、これらの間にシーラント層が外側になるように逆V字形に折って挿入した底テープのそれぞれのシーラント層同士を対向させて左右サイドシール部とボトムシール部をシールすることによって底面部と胴部が形成されており、
胴部の最上部の左右いずれかの角部には、注出口シール部によって注出筒が形成され、注出筒には開封することにより注出口となる第1開封線が設けられており、
胴部の最上部の他の角部には、給気口シール部によって給気筒が形成され、給気筒には開封することにより給気口となる第2開封線が設けられており、
前記注出筒と前記給気筒の間は、下方に湾曲したトップシール部によって密封されていることを特徴とする詰替え用パウチである。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、それぞれ基材層とシーラント層を有する表面上部積層体と表面下部積層体と裏面積層体と底テープとから構成される詰替え用パウチであって、
表面下部積層体と、裏面積層体の下部と、これらの間にシーラント層が外側になるように逆V字形に折って挿入した底テープのそれぞれのシーラント層同士を対向させて左右サイドシール部とボトムシール部をシールすることによって底面部と胴部の下半分が形成されており、
前記表面上部積層体と裏面積層体の上部のそれぞれのシーラント層同士を対向させて左右サイドシール部をシールすることによって胴部の上半分が形成されて、最上部は、充填シール部によって密封されており、
前記表面上部積層体を、折込線によって基材層を内側にして180°折り返した部分と、前記表面下部積層体を上方に延設した部分との、それぞれのシーラント層同士を対向させて周縁をシールすることによって分岐部が形成されており、
分岐部の最上部の左右いずれかの角部には、注出口シール部によって注出筒が形成され、注出筒には開封することにより注出口となる第1開封線が設けられており、
分岐部の最上部の他の角部には、給気口シール部によって給気筒が形成され、給気筒には開封することにより給気口となる第2開封線が設けられており、
前記注出筒と前記給気筒の間は、下方に湾曲したトップシール部によって密封されていることを特徴とする詰替え用パウチである。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、前記注出筒の中心線と、前記給気筒の中心線のなす角度が、80°以上180°以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の詰替え用パウチである。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、前記注出筒と前記給気筒が、左右対称に配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の詰替え用パウチである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る詰替え用パウチは、注出口と給気口を左右独立に設けたことにより、給気口の詰まりが発生せず、円滑な注出が行われる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、注出口と給気口との独立性がさらに高まるため、給気口から内容物が流出して給気口が詰まる現象を防止する効果がより高まる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、内容物を注出する際に分岐部を下方に向けてパウチを2つ折りにして注出するため、内容物を押出し易くなり、注出速度が高まる。
【0018】
請求項4に記載の発明のように、注出筒の中心線と、給気筒の中心線のなす角度を、80°以上180°以下とすることにより、内容物が給気口から流出することを防止する効果が高まる。
【0019】
請求項5に記載の発明のように、注出筒と給気筒を、左右対称に配置することにより、左右いずれでも注出口とすることができる。これにより、注出口と給気口を取り違えることもなく、また左利きの人でも右利きの人でも同じように使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明に係る詰替え用パウチの一実施態様を示した平面模式図である。
図2図2は、本発明に係る詰替え用パウチの他の実施態様を示した平面模式図である。
図3図3は、本発明に係る詰替え用パウチの他の実施態様を示した平面模式図である。
図4図4は、注出筒の中心線と、給気筒の中心線のなす角度の説明図である。
図5図5は、注出筒の中心線の求め方を示した説明図である。
図6図6は、比較例1の詰替え用パウチの形状を示した平面模式図である。
図7図7は、比較例2の詰替え用パウチの形状を示した平面模式図である。
図8図8は、特許文献1に記載された詰替用パウチの形状を示した平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面を参照しながら、本発明に係る詰替え用パウチについて詳細に説明する。図1は、本発明に係る詰替え用パウチ1の一実施態様を示した平面模式図である。
【0022】
本発明に係る詰替え用パウチ1は、それぞれ基材層とシーラント層を有する表面積層体2と裏面積層体3と底テープ4とから構成される詰替え用パウチである。
【0023】
表面積層体2と、裏面積層体3と、これらの間にシーラント層が外側になるように逆V字形に折って挿入した底テープ4のそれぞれのシーラント層同士を対向させて左右サイドシール部9とボトムシール部10をシールすることによって底面部5と胴部6が形成されている。
【0024】
胴部6の最上部の左右いずれかの角部には、注出口シール部13によって注出筒14が形成され、注出筒14には開封することにより注出口15となる第1開封線16が設けられている。
【0025】
胴部6の最上部の他の角部には、給気口シール部17によって給気筒18が形成され、給気筒18には開封することにより給気口19となる第2開封線20が設けられている。
注出筒14と給気筒18の間は、トップシール部11によって密封されている。
【0026】
本発明に係る詰替え用パウチ1は、このように注出口15と給気口19とを左右角部に隔離して配置したことに最大の特徴がある。このようにすることで、注出口と給気口が互いに干渉することなく、安定してその機能を果たすことが可能となったのである。
【0027】
なお、注出口15および給気口19の開口幅の範囲としては、10mm以上50mm以下であることが好ましい。10mm未満では内容物や空気の出し入れが困難であり、50mmを超える場合には、内容物が勢いよく流出してこぼれる恐れがある。
【0028】
なおトップシール部11は、内容物を充填する前には解放されていて、ここから内容物を充填し、その後にシールされる。
【0029】
本発明の第2実施態様においては、図2に示したように、注出筒14と給気筒18の間は、下方に湾曲したトップシール部11によって密封されている。トップシール部11が、このように下方に湾曲することにより、注出筒14と給気筒18の独立性がより高まり、内容物を注出する時に給気口19が内容物によって閉塞する危険性がより少なくなる。
【0030】
なお、湾曲したトップシール部11の深さaについては、5mm~80mmが好ましく、10mm~60mmがより好ましい。これは、注出の際、詰替え用パウチ1を傾けて本容器の開口部に注出筒14を挿入するときにaが5mm未満であると安定せず、80mmを超える場合には、取り回しが困難となるためである。
【0031】
なおこの実施態様においてもトップシール部11は、内容物を充填する前には解放されていて、内容物を充填した後にシールされる。
【0032】
図3は、本発明に係る詰替え用パウチ1の他の実施態様を示した平面模式図である。この実施態様は、それぞれ基材層とシーラント層を有する表面上部積層体2aと表面下部積層体2bと裏面積層体3と底テープ4とから構成される詰替え用パウチである。
【0033】
表面下部積層体2bと、裏面積層体3の下部と、これらの間にシーラント層が外側になるように逆V字形に折って挿入した底テープ4のそれぞれのシーラント層同士を対向させて左右サイドシール部9とボトムシール部10をシールすることによって底面部5と胴部6の下半分が形成されている。
【0034】
表面上部積層体2aと裏面積層体3の上部のそれぞれのシーラント層同士を対向させて左右サイドシール部9をシールすることによって胴部6の上半分が形成されて、最上部は、充填シール部12によって密封されている。
【0035】
表面上部積層体2aを、折込線8によって基材層を内側にして180°折り返した部分と、表面下部積層体2bを上方に延設した部分との、それぞれのシーラント層同士を対向させて周縁をシールすることによって分岐部7が形成されている。
【0036】
分岐部7の最上部の左右いずれかの角部には、注出口シール部13によって注出筒14が形成され、注出筒14には開封することにより注出口15となる第1開封線16が設けられている。
【0037】
分岐部7の最上部の他の角部には、給気口シール部17によって給気筒18が形成され、給気筒18には開封することにより給気口19となる第2開封線20が設けられており、注出筒14と給気筒18の間は、下方に湾曲したトップシール部11によって密封されている。
【0038】
この第3の実施態様においては、注出筒14と給気筒18の配置やトップシール部11の形状等は、第2の実施態様と共通であるが、これらの部分を胴部6から独立させて分岐部7として設けたことにより、詰替え用パウチ全体の形状としては、一見かなり異なるように見える。しかし本発明の主旨としては同一であり、注出時において、給気口19が閉塞し難いという独特の効果等も同一のものである。
【0039】
本実施態様においては、注出時には、胴部6を折込線8の位置で2つ折りにして、注出筒14、給気筒18を最上部にし、他の実施態様の場合と同様に注出することができる。この場合、2つ折りにした胴部6を重ねて圧縮することができるため、内容物を手で押し出す時の効率が良いという特徴を持っている。
【0040】
本実施態様においては、内容物を充填する際の開口部として胴部6の最上部を充填用開口部として利用することができる。この場合、充填用開口部としては、パウチの全幅を利用することができるため、充填効率が良好である。
【0041】
図4は、注出筒14の中心線21と、給気筒18の中心線22のなす角度αの説明図である。検討した結果、このαが80°以上180°以下であることにより、注出の際に内容物が給気口19から流出することを防止する効果が顕著であることが分かった。なお、αのさらに好ましい値の範囲としては、110°以上160°以下である。
【0042】
注出筒14の中心線21の求め方としては、図5に示したように、第1開封線16が注出口シール部13と交わる点を基準として、ここに水平な線を引き、注出口シール部13の内側の中点を求める。この水平線から5mm下に水平線を引き、同様に注出口シール部13の内側の中点を求める。この2つの中点を結んだ線を注出筒14の中心線21とする。給気筒18の中心線22も同様に決定する。
【0043】
本発明に係る詰替え用パウチ1に用いる積層体の構成について述べる。基材層としては、一般的には、印刷加工適性と耐熱性を備えた合成樹脂フィルムが用いられる。具体的には、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)等のポリエステル系樹脂、セロハン、三酢酸セルロース(TAC)樹脂等のセルロース系樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂(PMMA)、アイオノマー樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ナイロン-6、ナイロン-66等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂(PS)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、ポリカーボネート樹脂(PC)等の合成樹脂フィルムが用いられる。
【0044】
シーラント層の材質としては、ポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等が使用される。
【0045】
基材層とシーラント層の間に、中間層を設ける場合もある。中間層は、積層体の強度や厚さ、コシの調整、ガスバリア性の付与等を目的として用いられる。中間層としては、基材層やシーラント層に用いられるものと同様の合成樹脂フィルムを用いることができる。中間層をガスバリア層として用いる場合には、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニル
アルコールフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体フィルム、ガスバリア性ナイロンフィルム、ガスバリア性ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のガスバリア性フィルムや、PETフィルム等にアルミニウム等の金属を蒸着した金属蒸着フィルムや、PETフィルムに酸化アルミニウムや酸化珪素等の無機酸化物を蒸着させた無機酸化物蒸着フィルム、あるいは、ポリ塩化ビニリデンコーティング、水溶性樹脂と無機層状化合物を含有する被膜や金属アルコキシドあるいはその加水分解物とイソシアネート化合物を反応させた被膜からなる樹脂層などのガスバリアコーティング層、あるいはアルミニウム箔等の金属箔などを用いることができる。
【0046】
以下、実施例、比較例に基づいて、本発明に係る詰替え用パウチ1の優位性を確認した。詰替え用パウチに用いた積層体の構成としては、基材フィルムとして厚さ15μmのポリアミドフィルム(延伸ナイロンフィルム)を用い、中間層として厚さ12μmのアルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用い、シーラント層として厚さ120μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルムを用いた。3層の貼り合わせには、2液硬化型のポリエステル/ウレタン系ドライラミネート接着剤を用いた。
【0047】
<実施例1>
図1に示した形状の詰替え用パウチを作成した。外寸法は、幅130mm、高さ234mmである。注出口および給気口の幅は、いずれも16.5mm、角度αは120°である。内容物として、市販のシャンプーを300ml充填した。
【0048】
<実施例2>
図2に示した形状の詰替え用パウチを作成した。aの値を30mmとした以外の、外寸法、注出口および給気口の幅、角度α等は実施例1と同様である。
【0049】
<実施例3>
図3に示した形状の詰替え用パウチを作成した。aの値、外寸法、注出口および給気口の幅、角度α等は実施例2と同様である。なお折込線の位置は、高さ方向の中央である。
【0050】
<実施例4>
角度αを90°とした以外は、実施例1と同様にして詰替え用パウチを作成し、内容物を充填した。
【0051】
<実施例5>
角度αを150°とした以外は、実施例1と同様にして詰替え用パウチを作成し、内容物を充填した。
【0052】
<比較例1>
比較例1として、図6に示したような、給気口のない従来型のパウチを作成し、同様に内容物を充填した。
【0053】
<比較例2>
比較例2として、図7に示したような、注出口と給気口が並んで存在するパウチを作成し、同様に内容物を充填した。
【0054】
評価方法として、以下の各項目について評価した。
<給気口の詰まりの有無>
水平:パウチを台上に寝かせて置き、20秒放置する。その後垂直に戻し、直ちに注出口および給気口を開封し、30°の角度で注出を行った際に、給気口から内容物が流出した場合、詰まりとしてカウントする。なお実施例3のパウチについては、注出口が上から見
える状態で寝かせる。
垂直:パウチを台上に垂直に置き、20秒放置する。その後直ちに注出口および給気口を開封し、30°の角度で注出を行った際に、給気口から内容物が流出した場合、詰まりとしてカウントする。
【0055】
<注ぎ時間>
水平:パウチを台上に寝かせて置き、20秒放置する。その後垂直に戻し、直ちに注出口および給気口を開封し、30°の角度で注出を行った際に、内容物を排出し終わるまでの時間を計測する。20袋づつ実施し、平均値を注ぎ時間とする。なお実施例3のパウチについては、注出口が上から見える状態で寝かせる。
垂直:パウチを台上に垂直に置き、20秒放置する。その後直ちに開封口および給気口を開封し、30°の角度で注出を行った際に、内容物を排出し終わるまでの時間を計測する。同様に20袋づつ実施し、平均値を注ぎ時間とする。
【0056】
以上の結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1の結果から、本発明に係る詰替え用パウチは、給気口の詰まりが発生せず、注ぎ時間も短くて済むことが分かる。特に実施例3の形状が優れていることが分かる。
【符号の説明】
【0059】
1・・・詰替え用パウチ
2・・・表面積層体
2a・・・表面上部積層体
2b・・・表面下部積層体
3・・・裏面積層体
4・・・底テープ
5・・・底面部
6・・・胴部
7・・・分岐部
8・・・折込線
9・・・サイドシール部
10・・・ボトムシール部
11・・・トップシール部
12・・・充填シール部
13・・・注出口シール部
14・・・注出筒
15・・・注出口
16・・・第1開封線
17・・・給気口シール部
18・・・給気筒
19・・・給気口
20・・・第2開封線
21・・・注出筒の中心線
22・・・給気筒の中心線
a・・・湾曲したトップシール部の深さ
α・・・注出筒の中心線と給気筒の中心線のなす角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8