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特開2024-3404プレス加工システムおよびプレス加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003404
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】プレス加工システムおよびプレス加工方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 45/04 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
B21D45/04 F
B21D45/04 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102521
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】592108676
【氏名又は名称】日伸工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】米川 喬士
(72)【発明者】
【氏名】松下 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】藤原 祐介
(72)【発明者】
【氏名】小足 弘之
(57)【要約】
【課題】打ち抜かれた製品が上型に付着するのを防止できるプレス加工方法を提供する。
【解決手段】プレス加工方法は、上型9を下型8へ向けて下降させ、被加工材Wから製品Pを打ち抜く打ち抜き工程と、上型9を上昇させて下型8から退避させる型開き工程と、を含む。打ち抜き工程において、下型8が備えるストリッパプレート84は、上型9に押圧されて上方位置から下方位置まで下降する。型開き工程において、ストリッパプレート84を下方位置に維持し、下型8が備えるパンチ81の上面に開口する第1エア孔N1からエアを吸引すると共に、上型9が備えるノックアウト94の下面に開口する第2エア孔N2から下方に向けてエアを噴出させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上型を下型へ向けて下降させ、被加工材から製品を打ち抜く打ち抜き工程と、
前記上型を上昇させて前記下型から退避させる型開き工程と、を含み、
前記打ち抜き工程において、前記下型が備えるストリッパプレートは、前記上型に押圧されて上方位置から下方位置まで下降し、
前記型開き工程において、前記ストリッパプレートを前記下方位置に維持し、前記下型が備えるパンチの上面に開口する第1エア孔からエアを吸引すると共に、前記上型が備えるノックアウトの下面に開口する第2エア孔から下方に向けてエアを噴出させるプレス加工方法。
【請求項2】
前記下型は、前記ストリッパプレートを前記上方位置へ持ち上げるためのエアシリンダを備え、
前記打ち抜き工程において、前記ストリッパプレートが前記上方位置に保持された状態において前記上型が下降を開始し、前記製品が打ち抜かれた後に前記エアシリンダがオフされる請求項1に記載のプレス加工方法。
【請求項3】
前記製品を回収する回収工程を更に含み、
前記回収工程において、前記第1エア孔から上方に向けてエアを噴出させると共に、前記回収ハンドの下面に開口する第3エア孔からエアを吸引することにより、前記製品を前記回収ハンドに吸着させて前記製品を回収する請求項1又は2に記載のプレス加工方法。
【請求項4】
前記第1エア孔が前記製品と対向する位置と、前記第3エア孔が前記製品と対向する位置は、平面視において偏位している請求項3に記載のプレス加工方法。
【請求項5】
前記製品を回収する回収工程と、
前記回収工程後に、前記ストリッパプレートを前記上方位置まで上昇させるストリッパ上昇工程と、を更に含み、
前記ストリッパ上昇工程において、前記ストリッパプレートはエアシリンダにより前記上方位置まで上昇される請求項1に記載のプレス加工方法。
【請求項6】
下型と、
前記下型に対して昇降可能な上型と、
エア機構と、を備え、
前記下型は、パンチと、前記パンチに対して上方位置と下方位置の間を上下動可能なストリッパプレートと、前記ストリッパプレートを前記上方位置に持ち上げるためのエアシリンダと、を備え、
前記下型はノックアウトを備え、
前記パンチの上面には前記エア機構に連通する第1エア孔が設けられ、
前記ノックアウトの下面には前記エア機構に連通する第2エア孔が設けられ、
前記下型と前記上型の間に被加工材が配置された状態において前記上型を下降させることにより前記被加工材から製品が打ち抜かれ、
前記上型が上昇して型開きする際に、前記エア機構は前記第1エア孔からエアを吸引すると共に前記第2エア孔からエアを噴出し、前記ストリッパプレートは前記下方位置に維持されるプレス加工システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工材から製品を打ち抜くプレス加工システムおよびプレス加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被加工材から製品を打ち抜くプレス加工装置として、上型にパンチを、下型にダイを備えるものがあるが、このようなプレス加工装置では打ち抜かれた製品がダイの下方に落下することから製品に傷がつく恐れがあった。
【0003】
そこで、下型にパンチ、上型にダイを備え、製品を下方から上方に向けて打ち抜くプレス加工装置が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1に開示のプレス加工装置(打ち抜き装置)では、下型にパンチと可動ストリッパが設けられ、可動ストリッパはコイルばねによって上方に付勢されている。そして、ダイを備える上型を下型に向けて降下させることによって、上型と下型の間に配置された被加工材から製品が打ち抜かれる。このとき、可動ストリッパは、上型の降下に連動して降下し、上型が上昇する際にコイルばねの付勢力によって押し上げられる。
【0005】
また、このように打ち抜かれた製品をプレス加工装置から排出させるためのワーク搬出装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-192489号公報
【特許文献2】特開2005-262294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
被加工材から打ち抜かれた製品は上型に付着しやすく、このように製品が上型に付着してしまうと、ワーク搬出装置による搬出ができなくなるという問題があった。被加工材が薄板の場合は特に、製品が上型に付着しやすい。
【0008】
本発明は、打ち抜かれた製品が上型に付着するのを防止できるプレス加工システム及びプレス加工方法の提供を目的とする。
【0009】
本発明は、打ち抜かれた製品を確実に回収可能なプレス加工システム及びプレス加工方法の提供を他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るプレス加工方法は、上型を下型へ向けて下降させ、被加工材から製品を打ち抜く打ち抜き工程と、前記上型を上昇させて前記下型から退避させる型開き工程と、を含み、前記打ち抜き工程において、前記下型が備えるストリッパプレートは、前記上型に押圧されて上方位置から下方位置まで下降し、前記型開き工程において、前記ストリッパプレートを前記下方位置に維持し、前記下型が備えるパンチの上面に開口する第1エア孔からエアを吸引すると共に、前記上型が備えるノックアウトの下面に開口する第2エア孔から下方に向けてエアを噴出させる。
【0011】
本発明にかかるプレス加工システムは、下型と、前記下型に対して昇降可能な上型と、エア機構と、を備え、前記下型は、パンチと、前記パンチに対して上方位置と下方位置の間を上下動可能なストリッパプレートと、前記ストリッパプレートを前記上方位置に持ち上げるためのエアシリンダと、を備え、前記下型はノックアウトを備え、前記パンチの上面には前記エア機構に連通する第1エア孔が設けられ、前記ノックアウトの下面には前記エア機構に連通する第2エア孔が設けられ、前記下型と前記上型の間に被加工材が配置された状態において前記上型を下降させることにより前記被加工材から製品が打ち抜かれ、
前記上型が上昇して型開きする際に、前記エア機構は前記第1エア孔からエアを吸引すると共に前記第2エア孔からエアを噴出し、前記ストリッパプレートは前記下方位置に維持される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るプレス加工方法によれば、打ち抜き工程においてストリッパプレートは上方位置から下方位置まで下降し、型開き工程において下方位置に維持されるので、打ち抜かれた製品が被加工材に穿設された打ち抜き孔に製品が嵌まり製品の回収時に製品が抜き打ち孔に引っ掛かるのを防止でき、これにより製品の回収を確実に行うことができる。
【0013】
また、型開き工程において、パンチの上面に開口する第1エア孔からエアを吸引すると共に、ノックアウトの下面に開口する第2エア孔から下方に向けてエアを噴出させるので、打ち抜かれた製品が上型に付着して持ち上げられてしまうのを防止できる。
【0014】
本発明に係るプレス加工システムによれば、上型が上昇して型開きする際に、エア機構はパンチの上面に開口する第1エア孔からエアを吸引すると共に、ノックアウトの下面に開口する第2エア孔からエアを噴出し、ストリッパプレートは下方位置に維持されるので、上述したのと同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るプレス加工システムの外観斜視図。
図2図1に示すプレス加工システムの機能ブロック図。
図3図1のIII―III線断面図であり、被加工材を省略した図。
図4図1に示すプレス加工システムにおいて実行されるプレス加工方法を表すフローチャート。
図5図1に示すプレス加工システムにおいて実行されるプレス加工方法を模式的に表す説明図。
図6図1に示すプレス加工システムにおける第1エア孔と第3エア孔の位置関係の一例を示す透視平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係るプレス加工システムおよびプレス加工方法について説明する。
【0017】
図1及び図2を参照して、本実施形態に係るプレス加工システム1は、一枚の被加工材Wから所定形状の製品P(図5(d))を連続的に順次打ち抜くものであって、プレス機2と、被加工材Wを間欠的に搬送するための搬送装置3と、打ち抜かれた製品Pを回収する回収装置4と、エア機構5と、制御手段10と、を備え、プレス機2は、プレス金型6と、プレス金型6が装着されるパンチプレス部7と、を備える。
【0018】
図3に示す様に、プレス金型6は、下型(下金型)8と、上型(上金型)9と、を備える。下型8は、パンチ81と、パンチ81を支持するパンチホルダ82と、パンチホルダ82を保持するパンチプレート83と、ストリッパプレート84と、を備える。ストリッパプレート84は、図3に示す上端位置と図5(d)に示す下端位置の間を昇降自在に構成されている。また、ストリッパプレート84には、ストリッパプレート84を上下方向に貫通する貫通孔84aが設けられ、パンチ81の先端部(上端部)が貫通孔84aに挿入されている。
【0019】
そして、ストリッパプレート84が上端位置にあるとき、パンチ81の先端はストリッパプレート84の貫通孔84a内に位置し、図5(d)に示す様にストリッパプレート84が下端位置にあるとき、パンチ81の先端はストリッパプレート84の貫通孔84aから突出する。
【0020】
下型8は更に、ストリッパプレート84に接続されたエアシリンダ85を備え、エアシリンダ85がオンされると、ストリッパプレート84は図3に示す上方位置に維持される。 また、パンチ81の上面には第1エア孔N1が開口して設けられ、下型8には第1エア孔N1に連通する第1空気路R1が設けられている。本実施形態においては、第1空気路R1は、パンチ81を上下方向に貫通し、パンチプレート83をL字状に貫通して横方に開口している。
【0021】
上型9は、上死点(型開き位置)と下死点(型閉め位置)の間を下型8に対して昇降可能であり、ダイ91と、ダイ91を支持するダイホルダ92と、ダイホルダ92を保持するダイバックプレート93と、ノックアウト94と、を備える。ダイ91には、パンチ81の外形に対応するダイ孔91aが設けられ、ノックアウト94の先端(下端)はダイ孔91aに挿入されている。
【0022】
上型9は更に、ノックアウト94に固定された可動プレート95と、上型ダイセット96と、可動プレート95と上型ダイセット96の間に設けられたバネ97と、を備える。ノックアウト94は可動プレート95と共にダイ91に対して上下動可能であり、バネ97により下方に付勢されている。また、ノックアウト94及び可動プレート95の下方向への移動は、可動プレート95の下面がダイ91の上面に当接することにより規制される。
【0023】
ノックアウト94の下面には第2エア孔N2が開口して設けられ、上型9には第2エア孔N2に連通する第2空気路R2が設けられている。本実施形態では、第2空気路R2は、ノックアウト94を上下方向に貫通し、可動プレート95をL字状に貫通して横方向に開口している。
【0024】
パンチプレス部7(図1)は、上型9が下型8に対して昇降するように上型9を移動させると共に、エアシリンダ85をオン/オフ制御することによりストリッパプレート84の上下動を制御する。
【0025】
図1を参照して、回収装置4は、回収ハンド41と、回収ハンド41を上下方向及び水平方向に駆動するための駆動機構42と、を備える。図3に示す様に、回収ハンド41の下面には第3エア孔N3が開口して設けられ、回収ハンド41には第3エア孔N3に連通する第3空気路R3が設けられている。
【0026】
エア機構5は、第1~第3空気路R1~R3に接続されており、これら第1~第3空気路R1~R3を介して第1エア孔N1からのエアの噴出、第2エア孔N2からのエアの噴出/吸引、及び第3エア孔N3からのエアの吸引を行う。制御手段10は、プレス機2,搬送装置3,回収装置4,及びエア機構5を制御する。
【0027】
次に、本実施形態のプレス加工システム1におけるプレス加工方法について、図4のフローチャートを参照して説明する。なお、当該プレス加工方法におけるプレス加工システム1の駆動制御は、制御手段10が所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0028】
まず、プレス加工システム1は初期状態に設定される(S1)。初期状態では、図5(a)に示す様に、上型9は型開き位置(上死点)に位置づけられ、エアシリンダ85はオンされてストリッパプレート84は上端位置に保持される。また、被加工材Wは上型9と下型8の間の所定位置に配置され、回収ハンド41は所定の初期位置で待機する。
【0029】
次に、被加工材Wから製品Pを打ち抜くための打ち抜き工程を実行する。この打ち抜き工程ではまず、パンチプレス部7が上型9の下降を開始する(S3)。すると、図5(b)に示す様に、上型9の下面(ダイ91)が被加工材Wに当接し、被加工材Wがダイ91とストリッパプレート84により挟持される。更に上型9の下降を続けると、上型9に押圧されてストリッパプレート84も下降する。これは、上型9を下降させる力が、エアシリンダ85のストリッパプレート84を押し上げる力に勝るためである。また、ダイ孔91aがパンチ81に向けて進出し、ノックアウト94はバネ97の付勢力に抗して可動プレート95と共にダイ91に対して相対的に上昇する(図5(c)参照)。その結果、被加工材Wはパンチ81によりせん断されて、パンチ81の外形に対応した製品Pが打ち抜かれる(S4)。
【0030】
その後、パンチプレス部7はエアシリンダ85をオフし(S5)、図5(c)に示す様に上型9が型閉じ位置(下死点)に到達すると(このとき、ストリッパプレート84も下方位置に到達する)、パンチプレス部7は上型9の下降を停止する(S7)。これにより型抜き工程が終了する。
【0031】
次に、上型9を上昇させて下型8から退避させるための型開き工程を実行する。この型開き工程ではまず、パンチプレス部7が上型9の上昇を開始すると共に、エア機構5は第1エア孔N1からエアを吸引し、また第2エア孔N2からエアを噴出する(S9)。このように、第1エア孔N1からエアを吸引すると共に、第2エア孔N2からエアを噴出することにより、製品Pが上型9に付着して持ち上げられてしまうのを防止して、製品Pを確実にパンチ81の上面に維持することができる。なお、このときエアシリンダ85はオフ状態に維持される。これにより、上型9が上昇して上型9によるストリッパプレート84への押圧が解かれても、図5(d)に示す様にストリッパプレート84は自重により下端位置に維持され、打ち抜かれた製品Pと被加工材Wとは離隔した状態に保たれる。
【0032】
そして、上型9が上死点に到達したら、パンチプレス部7は上型9の上昇を停止すると共に、エア機構5は第2エア孔N2からのエアの噴出を停止する(S11)。これにより型開き工程が終了する。
【0033】
次に、製品Pを回収する回収工程を実行する。この回収工程ではまず、駆動機構42が回収ハンド41を製品Pの上方位置まで進出させた後に下降させることで、図5(e)に示す様に回収ハンド41の下面を製品Pに当接させる(S13)。次に、エア機構5がパンチ81の第1エアN1からエアを噴出させると共に、回収ハンド41の第3エア孔N3からエアを吸引する(S15)。これにより、製品Pは回収ハンド41に吸着される。その後、図5(f)に示す様に駆動機構42は回収ハンド41を所定量だけ上昇させ(S17)、エア機構5は第1エアN1からのエア噴出を停止する(S19)。駆動機構42は回収ハンド41を所定の搬出位置まで移動させ(S21)、エア機構5は第3エア孔N3からのエア吸引を停止する(S23)。これにより、製品Pの回収ハンド41への吸着が解かれ、製品Pは所定の搬出位置に載置される(落下する)。その後、駆動機構42は回収ハンド41を初期位置に戻し(S25)、これにより回収工程が終了する。
【0034】
次に、パンチプレス部7はエアシリンダ85をオンする(S27)。これにより、図5(g)に示す様に、ストリッパプレート84はエアシリンダ85により上方位置まで持ち上げられる。搬送装置3により被加工材Wが所定量だけ搬送され(S29)、S3へ戻り、上記処理を繰り返す。
【0035】
このように、本実施形態に係るプレス加工システム1によれば、型開き工程の際に、パンチ81に形成された第1エア孔N1からエアを吸引し、ノックアウト94に設けられた第2エア孔N2からエアを噴出させるので、被加工材Wが薄板(例えば厚さ1.0mm以下)からなる場合であっても、打ち抜かれた製品Pが上型9に付着して持ち上げられるのを防止できる。これにより、製品Pは確実にパンチ81の上面に維持され、回収ハンド41による製品回収を滞りなく実行することができる。
【0036】
また、型開き工程及び回収工程の間もエアシリンダ85をオフ状態に維持することによっても、回収ハンド41による製品回収を滞りなく実行することができる。即ち、従来のように型開き工程の際に上型9が上昇するのに伴いストリッパプレート84が上方位置に戻ると、被加工材Wも持ち上げられ、被加工材Wに穿設された打ち抜き孔Waに製品Pが嵌まってしまう。この状態で回収ハンド41を用いた回収工程を実行しようとしても、製品Pが被加工材Wの打ち抜き孔Waに引っ掛かり、回収不能となる虞が生じる。これに対し、本実施形態においてはストリッパプレート84を下方位置に保持しておくことで製品Pが被加工材W(打ち抜き孔Wa)に引っ掛かることがなく、回収ハンド41による製品Pの回収を確実に行うことができる。
【0037】
更に、打ち抜き工程において、製品Pはエアシリンダ85がオンの状態(即ち、ストリッパプレート84に上向きの力がかかった状態)で打ち抜かれるため、製品Pの打ち抜きを良好に行うことができる。
【0038】
ここで、第1~第3エア孔N1~N3の個数は任意であり、製品Pの寸法や形状に応じて適宜設定できる。また、第1~第3エア孔N1~N3の形成位置に制限はないが、例えば図6に示す様に、下型8の第1エア孔N1が製品Pに対向する位置と、回収ハンド41の第3エア孔N3が製品Pに対向する位置とが、平面視において偏位しているのが好ましい。このように第1エア孔N1と第3エア孔N3が上下方向に対向しないようにすることで、製品P(被加工材W)が変形しやすい素材からなる場合であっても、第1,第3エア孔N1,N3からの空気圧によって製品Pが変形するのを防止できる。同様に、下型8の第1エア孔N1が製品Pに対向する位置と、上型9の第2エア孔N2が製品Pに対向する位置とが、平面視において偏位しているのが好ましい。
【0039】
以上、本発明の実施形態に係るプレス加工システム及びプレス加工方法について添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態における金型6は一対のパンチ81とダイ91を備え、一回の打ち抜き工程において一個の製品Pを打ち抜くように構成されているが、複数対のパンチとダイを設け、一回の打ち抜き工程において複数個の製品を同時に打ち抜く構成とすることもでき、同時に打ち抜かれる複数個の製品は同一の形状であっても異なる形状であっても構わない。
【符号の説明】
【0041】
1 プレス加工システム
2 プレス機
3 搬送装置
4 回収装置
5 エア機構
6 金型
8 下型
9 上型
81 パンチ
84 ストリッパプレート
85 エアシリンダ
91 ダイ
94 ノックアウト
N1 第1エア孔
N2 第2エア孔
N3 第3エア孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6