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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034062
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】貯湯給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/174 20220101AFI20240306BHJP
   F24H 15/219 20220101ALI20240306BHJP
   F24H 15/325 20220101ALI20240306BHJP
   F24H 15/35 20220101ALI20240306BHJP
   F24H 15/36 20220101ALI20240306BHJP
   F24H 1/18 20220101ALI20240306BHJP
   F24H 1/00 20220101ALI20240306BHJP
【FI】
F24H15/174
F24H15/219
F24H15/325
F24H15/35
F24H15/36
F24H1/18 G
F24H1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138066
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】丸山 和久
(72)【発明者】
【氏名】品川 和毅
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA04
3L122AA22
3L122AA54
3L122AB22
3L122AB33
3L122BA02
3L122BA12
3L122BA14
3L122BB05
3L122BB15
3L122BB31
3L122DA02
3L122EA02
3L122EA05
3L122EA23
3L122FA12
3L122FA13
3L122FA28
3L122GA09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高温出湯回避通路によらずに高温給湯を防ぐことができる貯湯給湯システムを提供すること。
【解決手段】主熱源機4によって加熱された湯水を貯湯する貯湯タンク2を有する貯湯ユニット3と、貯湯ユニットから出湯される湯水を加熱又は非加熱で給湯する補助熱源機5を備え、貯湯ユニットが貯湯タンクからの湯水と上水を混合して補助熱源機に出湯するように構成された貯湯給湯システム1において、貯湯ユニットから出湯される湯水の温度を検知する出湯温度検知手段12cを備え、補助熱源機は、出湯温度検知手段の検知温度に基づいた湯水の加熱運転を行うための送風ファンとバーナと熱交換器と制御部とを有し、制御部は、出湯温度検知手段の検知温度が予め設定された規定温度以上の場合に、加熱運転を行わずに熱交換器に貯湯ユニットから出湯された湯水を流通させて送風ファンを駆動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主熱源機によって加熱された湯水を貯湯する貯湯タンクを有する貯湯ユニットと、前記貯湯ユニットから出湯される湯水を加熱して又は非加熱で給湯する補助熱源機を備え、前記貯湯ユニットが前記貯湯タンクからの湯水と上水を混合して前記補助熱源機に出湯するように構成された貯湯給湯システムにおいて、
前記貯湯ユニットから出湯される湯水の温度を検知する出湯温度検知手段を備え、
前記補助熱源機は、前記出湯温度検知手段の検知温度に基づいて湯水の加熱運転を行うために、送風ファンとバーナと熱交換器と、前記加熱運転を制御する制御部を有し、
前記制御部は、前記出湯温度検知手段の検知温度が予め設定された規定温度以上の場合に、前記加熱運転を行わずに前記熱交換器に前記貯湯ユニットから出湯された湯水を流通させて前記送風ファンを駆動することを特徴とする貯湯給湯システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記送風ファンを最大回転数で駆動することを特徴とする請求項1に記載の貯湯給湯システム。
【請求項3】
前記補助熱源機は、給湯流量調整弁を有し、
前記制御部は、前記出湯温度検知手段の検知温度が前記規定温度以上の場合に、前記給湯流量調整弁の開度を絞ることを特徴とする請求項1又は2に記載の貯湯給湯システム。
【請求項4】
前記補助熱源機は、前記熱交換器と前記熱交換器をバイパスするバイパス通路とに湯水を分配する分配弁を有し、
前記制御部は、前記出湯温度検知手段の検知温度が前記規定温度以上の場合に、前記熱交換器への分配比が最大となるように前記分配弁を駆動することを特徴とする請求項1又は2に記載の貯湯給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主熱源機で加熱して貯湯した湯水を給湯に使用する貯湯給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、加熱運転効率が高い主熱源機として例えばヒートポンプ式熱源機で加熱された湯水を貯湯タンクに貯湯し、この貯湯タンクの湯水を給湯に使用する貯湯給湯システムが広く利用されている。貯湯給湯システムは、主熱源機と、貯湯タンクを備えた貯湯ユニットと、主熱源機よりも加熱能力が大きい例えば燃焼式の補助熱源機を備えている。
【0003】
貯湯給湯システムには、貯湯ユニットから出湯された湯水が、補助熱源機を介して給湯栓に給湯されるように構成されたものがある。この貯湯給湯システムは、給湯栓の開栓により給湯使用が開始されると、貯湯ユニットの湯水混合部において貯湯タンクからの高温の湯水と上水とが混合され、温度が調整された湯水が貯湯ユニットから出湯される。そして、貯湯ユニットから出湯された湯水が、補助熱源機を介して給湯栓に給湯される。
【0004】
このとき補助熱源機は、貯湯ユニットから出湯された湯水の温度に応じて加熱して又は非加熱で給湯する。補助熱源機による加熱運転は、給湯設定温度の給湯が可能な温度の湯水が貯湯タンクにない場合に行い、貯湯ユニットから出湯された湯水を給湯設定温度になるように加熱して給湯する。一方、貯湯ユニットで給湯設定温度に調整された湯水が出湯される場合には、非加熱で給湯する。
【0005】
補助熱源機による加熱運転では、貯湯ユニットからの湯水を給湯設定温度に加熱するために、加熱能力を調整する。このとき、貯湯タンクの湯水温度が給湯設定温度未満であって給湯設定温度に近い温度の場合には、補助熱源機の最小加熱能力で加熱しても給湯設定温度よりも高温の給湯になる虞がある。そのため、補助熱源機で加熱する場合には、湯水混合部で上水を混合して所定の目標出湯温度以下に温度を下げた湯水を貯湯ユニットから出湯し、補助熱源機の加熱運転によって給湯設定温度に調整して給湯する。
【0006】
ところで、貯湯ユニットの湯水混合部において貯湯タンクからの湯水と上水の混合に不具合が生じた場合、貯湯ユニットから給湯設定温度よりも高温の湯水が出湯される虞がある。この場合、補助熱源機は、この高温の湯水を非加熱でそのまま給湯することになり、給湯使用者が予期しない高温の給湯によって火傷の危険がある。
【0007】
それ故、貯湯ユニットには、予め設定された規定温度以上の高温の出湯を回避するために、図5のように湯水混合部をバイパスして出湯通路に上水を供給するための高温出湯回避通路31と、この通路を開閉する高温出湯回避弁32が装備されている。そして、出湯通路に規定温度以上の高温の湯水が流通した場合に高温出湯回避弁32を開けることによって、高温出湯回避通路31を介して供給される上水が出湯通路の高温の湯水に混合され、温度が下がった湯水が給湯される。
【0008】
一方、高温の給湯を回避するものではないが、特許文献1のように、メンテナンス作業において貯湯タンクから安全に排水する技術が知られている。この特許文献1では、貯湯タンクの高温の湯水を、補助熱源機の熱交換器との間で循環させながら、補助熱源機の送風ファンを作動させて熱交換器で冷却することによって、貯湯タンクの湯水の温度を下げる。そして、安全な温度まで冷却された湯水が貯湯タンクから排水される。
【0009】
また、貯湯給湯システムではないが、特許文献2には、即湯循環運転と浴槽の追い焚き循環運転を行う給湯機において、一方の循環運転によって他方の循環運転の加熱対象の湯水が熱交換器内で高温になっている場合に、この他方の循環運転開始前に送風ファンを駆動して熱交換器内の湯水を冷却する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4101144号公報
【特許文献2】特許第3252879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のように、貯湯ユニットから出湯された湯水が補助熱源機を介して給湯されるように構成された貯湯給湯システムは、貯湯タンクからの湯水と上水の混合に不具合がない正常な状態では、給湯設定温度又は目標出湯温度以下の湯水が補助熱源機に出湯される。そして、この正常な状態では、高温出湯回避弁が閉止されているので、貯湯給湯システムの使用期間が長くなると、高温出湯回避弁が例えば閉止状態で固着して、正常に作動させることができなくなってしまう虞がある。それ故、高温出湯回避通路によらずに高温の給湯を防ぐことが検討されている。
【0012】
しかし、貯湯給湯システムが貯湯タンクと補助熱源機の間で湯水を循環可能なよう構成されていないので、特許文献1のように貯湯タンクと補助熱源機の間で湯水を循環させて冷却することはできない。また、給湯栓の開度に応じた流量の湯水が補助熱源機を流通するので、特許文献2のように給湯機の熱交換器で循環開始前の静止した湯水を冷却する場合よりも、補助熱源機の熱交換器で湯水を冷却することが困難である。
【0013】
そこで、本発明は、高温出湯回避通路によらずに高温の給湯を防ぐことができる貯湯給湯システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明の貯湯給湯システムは、主熱源機によって加熱された湯水を貯湯する貯湯タンクを有する貯湯ユニットと、前記貯湯ユニットから出湯される湯水を加熱して又は非加熱で給湯する補助熱源機を備え、前記貯湯ユニットが前記貯湯タンクからの湯水と上水を混合して前記補助熱源機に出湯するように構成された貯湯給湯システムにおいて、前記貯湯ユニットから出湯される湯水の温度を検知する出湯温度検知手段を備え、前記補助熱源機は、前記出湯温度検知手段の検知温度に基づいて湯水の加熱運転を行うために、送風ファンとバーナと熱交換器と、前記加熱運転を制御する制御部を有し、前記制御部は、前記出湯温度検知手段の検知温度が予め設定された規定温度以上の場合に、前記加熱運転を行わずに前記熱交換器に前記貯湯ユニットから出湯された湯水を流通させて前記送風ファンを駆動することを特徴としている。
【0015】
上記構成によれば、貯湯給湯システムは、貯湯ユニットから出湯される湯水の温度に基づいて、この出湯された湯水を補助熱源機が加熱して又は非加熱で給湯するように構成されている。そして、補助熱源機の加熱運転を制御する制御部は、貯湯ユニットから出湯された湯水の温度が規定温度以上の場合には、この出湯された湯水を熱交換器に流通させて送風ファンを駆動することによって冷却する。従って、補助熱源機を介して給湯される湯水は、貯湯ユニットから出湯されたときよりも低温になるので、高温の給湯を防ぐことができる。
【0016】
請求項2の発明の貯湯給湯システムは、請求項1の発明において、前記制御部は、前記送風ファンを最大回転数で駆動することを特徴としている。
上記構成によれば、補助熱源機の送風ファンを最大回転数で駆動することによって最大風量で送風するので、熱交換器における冷却能力が大きくなり、貯湯ユニットから出湯された湯水を最大限冷却して高温の給湯を防ぐことができる。
【0017】
請求項3の発明の貯湯給湯システムは、請求項1又は2の発明において、前記補助熱源機は、給湯流量調整弁を有し、前記制御部は、前記出湯温度検知手段の検知温度が前記規定温度以上の場合に、前記給湯流量調整弁の開度を絞ることを特徴としている。
上記構成によれば、貯湯ユニットから出湯された湯水の温度が規定温度以上の場合に給湯流量調整弁の開度を絞るので、補助熱源機を介して給湯される湯水の流量を小さくすることができる。従って、補助熱源機の熱交換器を流通する湯水の流量を小さくすることによって、この熱交換器で湯水の温度を大きく下げることができるので、高温の給湯を防ぐことができる。また、給湯栓を大きく開けても給湯される湯水が少量になるので、給湯使用者が貯湯給湯システムの異常発生に気づき易くなり、異常発生に気づいた給湯使用者が自発的に給湯栓を閉止するように促すことができる。
【0018】
請求項4の発明の貯湯給湯システムは、請求項1又は2の発明において、前記補助熱源機は、前記熱交換器と前記熱交換器をバイパスするバイパス通路とに湯水を分配する分配弁を有し、前記制御部は、前記出湯温度検知手段の検知温度が前記規定温度以上の場合に、前記熱交換器への分配比が最大となるように前記分配弁を駆動することを特徴としている。
上記構成によれば、貯湯ユニットから出湯された湯水の温度が規定温度以上の場合に熱交換器への分配比を最大にすることによって、貯湯ユニットから出湯された湯水の大部分を補助熱源機の熱交換器に流通させて冷却することができるので、高温の給湯を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の貯湯給湯システムによれば、高温出湯回避通路によらずに高温の給湯を防ぐことができ、従来装備されていた高温出湯回避通路と高温出湯回避弁を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例に係る貯湯給湯システムの説明図である。
図2図1の補助熱源機の説明図である。
図3】給湯運転制御のフローチャートである。
図4】高温給湯回避動作制御のフローチャートである。
図5】高温出湯回避通路と高温出湯回避弁を備えた貯湯給湯システムの1例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0022】
最初に、本発明の貯湯給湯システム1の構成について、図1に基づいて説明する。
貯湯給湯システム1は、貯湯タンク2を備えた貯湯ユニット3と、例えばヒートポンプ式の主熱源機4と、例えば燃焼式の補助熱源機5を有する。この貯湯給湯システム1は、主熱源機4で所定の目標貯湯温度に加熱された湯水を貯湯タンク2に貯湯する貯湯運転を行う。補助熱源機5は、貯湯ユニット3から出湯された湯水を、その温度に応じて加熱して、又は非加熱で、給湯栓6に給湯する。
【0023】
次に、貯湯ユニット3について説明する。
貯湯タンク2の下部には、主熱源機4に貯湯タンク2の湯水を供給するために、ポンプ7を備えた主熱源機往き通路8が接続されている。貯湯タンク2の上部には、主熱源機4で加熱された湯水を貯湯タンク2に貯湯するための主熱源機戻り通路9が接続されている。主熱源機戻り通路9の途中には、湯水の流路を切り替える切替弁10が配設され、この切替弁10において主熱源機戻り通路9から分岐された戻り分岐通路9aが、主熱源機往き通路8のポンプ7よりも上流部分に接続されている。
【0024】
主熱源機戻り通路9の切替弁10よりも上流側には、主熱源機4で加熱された湯水の温度を検知する戻り温度センサ9bが配設されている。例えば主熱源機4の起動直後における戻り温度センサ9bの検知温度が所定の貯湯設定温度よりも低い場合に、切替弁10を貯湯タンク2側から戻り分岐通路9a側に切り替えて、十分に加熱できるようになるまで貯湯タンク2に湯水を戻さずに循環させることができる。
【0025】
貯湯タンク2の底部には、矢印CWで示す上水を供給する給水通路11が接続されている。貯湯タンク2の頂部には、貯湯ユニット3から貯湯タンク2の湯水を出湯するための出湯通路12が接続されている。出湯通路12の途中には、混合弁14(湯水混合部)が配設されている。この混合弁14には、給水通路11の途中から分岐された給水分岐通路11aが接続されている。そして、貯湯タンク2からの湯水と給水分岐通路11aからの上水とが、混合弁14で混合されて出湯される。尚、混合弁14の代わりに、貯湯タンク2側の流量を調整する流量調整弁と、給水分岐通路11a側の流量を調整する流量調整弁とで湯水混合部が構成されていてもよい。
【0026】
貯湯タンク2には、複数の貯湯温度センサ2a~2dが高さ方向に所定の間隔を空けて配設されており、貯湯タンク2に貯湯された湯水の温度とその温度の湯水の貯湯量を検知することができる。そして、貯湯された湯水の降温を防ぐため、これら貯湯温度センサ2a~2dと貯湯タンク2を覆うように図示外の保温材が配設されている。
【0027】
給水通路11には、給水通路11から供給される上水の温度(給水温度)を検知する給水温度センサ11bが配設されている。出湯通路12には、貯湯ユニット3からの出湯流量を検知する出湯流量センサ12aと、貯湯タンク2から出湯される湯水の温度を検知する貯湯タンク出湯温度センサ12bと、貯湯ユニット3からの出湯温度を検知する出湯温度センサ12c(出湯温度検知手段)が配設されている。
【0028】
貯湯ユニット3の出湯通路12と補助熱源機5の給水口5aが湯水通路15によって接続されている。補助熱源機5の給湯口5bには、給湯栓6に接続された湯水通路16が接続されている。貯湯ユニット3から出湯された湯水は、補助熱源機5を介して給湯栓6に給湯される。
【0029】
貯湯運転では、主熱源機4とポンプ7を駆動して貯湯タンク2と主熱源機4の間で湯水を循環させ、主熱源機4で加熱した湯水を貯湯タンク2の上部から貯湯する。貯湯ユニット3は、この貯湯運転と貯湯ユニット3から出湯する湯水の温度調整を制御する貯湯ユニット制御部18を有する。貯湯ユニット制御部18と補助熱源機5には、例えば給湯設定温度等を給湯使用者が設定するための操作端末19が接続されている。尚、操作端末19は複数台接続されていてもよく、貯湯ユニット3に対応する操作端末19が貯湯ユニット制御部18に接続され、補助熱源機5に対応する操作端末が補助熱源機5に接続されていてもよい。
【0030】
次に、補助熱源機5について説明する。
図2に示すように、補助熱源機5は、給水口5aと給湯口5bを接続する給湯通路21と、給湯通路21の途中に配設された熱交換器22と、送風ファン23と、送風ファン23から送られる空気を利用して燃料ガスを燃焼させるバーナ24を有する。給湯通路21を流通する湯水は、送風ファン23によって熱交換器22に送られるバーナ24の燃焼ガスの熱(燃焼熱)を利用して、熱交換器22で加熱される。熱交換器22は、燃焼ガスの顕熱を利用する一次熱交換器と燃焼ガスの潜熱を利用する二時熱交換器によって構成され、燃焼ガスとの熱交換のために大きい表面積を備えている。
【0031】
給湯通路21は熱交換器22の上流側に分配弁25を有し、この分配弁25において給湯通路21からバイパス通路26が分岐されている。また、給湯通路21は熱交換器22の下流側に給湯流量調整弁27を有し、熱交換器22と給湯流量調整弁27の間にバイパス通路26が熱交換器22をバイパスして接続されている。分配弁25は、給水口5aから入水した湯水を熱交換器22側の給湯通路21とバイパス通路26とに、分配比を調整して分配する。給湯流量調整弁27は、補助熱源機5から給湯される湯水の流量を調整する。
【0032】
補助熱源機5は、給湯流量調整弁27において給湯通路21から分岐された湯張り通路28を介して浴槽に湯水を供給することができる。また、補助熱源機5は、説明を省略するが、浴槽の湯水の追い焚き機能と温水暖房機能を備えている。
【0033】
給湯通路21は、入水温度センサ5cと、給湯温度センサ5dと、給湯流量センサ5eを有する。入水温度センサ5cは、給水口5aから入水する湯水の入水温度を検知する。給湯温度センサ5dは、補助熱源機5を介して給湯される湯水の給湯温度を検知する。給湯流量センサ5eは、分配弁25によって熱交換器22側に分配された湯水の流量を検知し、この流量と分配弁25の分配比に基づいて補助熱源機5を介して給湯される湯水の流量が算出される。貯湯ユニット3から出湯された湯水は、補助熱源機5を介して給湯栓6に供給され、給湯栓6から矢印HWで示すように給湯される(図1参照)。
【0034】
補助熱源機5は、貯湯タンク2に貯湯されている湯水の温度では給湯設定温度の給湯ができない場合に、バーナ24の燃焼熱を利用して、貯湯ユニット3から出湯された湯水を熱交換器22で加熱する加熱運転を行う。加熱運転の加熱能力は、貯湯ユニット3から出湯された湯水の温度に応じてバーナ24における燃焼量を調整することによって調整される。そして、熱交換器22で加熱された湯水とバイパス通路26からの湯水が混合され、給湯設定温度に調整された湯水が給湯される。
【0035】
加熱運転と、この加熱運転による給湯を制御するために、補助熱源機5は、入水温度センサ5cと給湯温度センサ5dの検知温度に基づいて、送風ファン23と分配弁25と給湯流量調整弁27の駆動を制御する補助熱源機制御部29(制御部)を備えている。図示を省略するが、補助熱源機制御部29には、操作端末19が接続され、貯湯ユニット制御部18と通信するための通信線が接続されている。
【0036】
次に貯湯給湯システム1の給湯運転制御について図3のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。この給湯運転制御は、貯湯ユニット制御部18と補助熱源機制御部29とが通信により連携して行い、湯水温度、流量のような検知情報及び判定結果は貯湯ユニット制御部18と補助熱源機制御部29とで共有される。
【0037】
給湯運転制御が開始されると、S1において出湯流量センサ12aが検知する出湯流量が、予め設定された最低作動流量以上であるか否か判定する。このS1は給湯開始の判定ステップであり、例えば給湯栓6の開栓による給湯使用の開始に伴って貯湯ユニット3からの出湯開始を検知するために、貯湯ユニット制御部18が繰り返しS1の判定を行うように構成されている。最低作動流量は、貯湯給湯システム1が温度を給湯設定温度で給湯するために予め設定された流量である。S1の判定がYesの場合はS2に進む。S1の判定がNoの場合はS1の判定を繰り返す。
【0038】
次にS2において、貯湯タンク出湯温度センサ12bで検知される貯湯タンク2からの湯水温度が、給湯設定温度以上であるか否か判定する。S2は、貯湯ユニット制御部18が貯湯タンク2内の給湯設定温度で給湯可能な湯水の有無を判定するステップであり、貯湯温度センサ2a~2dの検知温度に基づいて判定することもできる。S2の判定がYesの場合はS3に進む。S2の判定がNoの場合はS6に進む。
【0039】
次にS3において、混合弁14で貯湯タンク2からの湯水と上水を混合することによって給湯設定温度に調整した湯水を貯湯ユニット3から出湯し、出湯通路12に接続された湯水通路15を介して補助熱源機5に供給してS4に進む。このとき、貯湯ユニット制御部18は、貯湯タンク出湯温度センサ12bの検知温度と、給水温度センサ11bの検知温度と、出湯流量センサ12aの検知流量に基づいて、出湯温度センサ12cの検知温度が給湯設定温度になるように、混合弁14を駆動して混合比を調整する。
【0040】
次にS4において、貯湯ユニット3から出湯された湯水を補助熱源機5で加熱せずに、開栓された給湯栓6に湯水通路16を介して給湯してS5に進む。補助熱源機制御部29は、入水温度センサ5cの検知温度が給湯設定温度であるため、加熱運転を行わずにそのまま流通させる。S2の判定で給湯設定温度の湯水が補助熱源機5に入水することが既に分かっているので、入水温度センサ5cの検知温度に関わらず加熱運転を開始しないようにしてもよい。
【0041】
次にS5において、出湯流量が最低作動流量未満であるか否か判定する。給湯使用の終了により給湯運転を終了することを判定するステップである。S5の判定がYesの場合はリターンし、次の給湯使用に備えて給湯運転制御がS1から開始される。S5の判定がNoの場合はS2に戻る。
【0042】
S2の判定がNoの場合には、S6において、混合弁14で貯湯タンク2からの湯水と上水を混合することによって給湯設定温度よりも低温の目標出湯温度以下に調整した湯水を貯湯ユニット3から出湯し、補助熱源機5に供給してS7に進む。目標出湯温度は給湯設定温度よりも例えば10℃低い温度に設定され、貯湯ユニット制御部18は出湯温度センサ12cの検知温度が目標出湯温度になるように混合弁14の混合比を調整する。目標出湯温度で出湯することによって、補助熱源機5が最小加熱能力で加熱運転を行った場合でも給湯設定温度に調整して給湯することができる。貯湯タンク2の湯水の温度によっては、目標出湯温度よりも低温の湯水が貯湯ユニット3から出湯されるが、補助熱源機5で給湯設定温度に調整して給湯することができる。
【0043】
次にS7において、貯湯ユニット3から出湯された湯水を補助熱源機5で加熱して給湯設定温度に調整し、開栓された給湯栓6に給湯してS8に進む。補助熱源機制御部29は、入水温度センサ5cの検知温度に基づいて加熱能力を調整する。
【0044】
次にS8において、給湯流量が最低作動流量未満であるか否か判定する。給湯使用の終了により給湯運転を終了することを判定するステップである。S8の判定がNoの場合はS6に戻る。S8の判定がYesの場合はS9に進む。そして、S9において補助熱源機5による湯水の加熱を停止してリターンし、次の給湯使用に備えて給湯運転制御がS1から開始される。
【0045】
上記のように給湯運転制御では、貯湯ユニット3から出湯される湯水の温度は、混合弁14によって給湯設定温度又は給湯設定温度よりも低い目標出湯温度以下に調整されている。しかし、例えば混合弁14の故障によって、貯湯タンク2からの高温の湯水と低温の上水の混合に不具合が発生し、貯湯タンク2からの湯水が高温のまま出湯される虞がある。このとき、補助熱源機5は、貯湯ユニット3から出湯された湯水を非加熱でそのまま給湯するので、給湯設定温度よりも高温の湯水が給湯され危険である。
【0046】
そこで、貯湯給湯システム1は、出湯温度センサ12cの検知温度が予め設定された規定温度以上である場合に、高温の湯水が給湯されないように補助熱源機5において冷却動作を行う。この冷却動作の制御について、図4に基づいて説明する。この冷却動作制御は、給湯運転制御と同様に貯湯ユニット制御部18と補助熱源機制御部29とが通信により連携して行い、給湯使用の開始によって開始される。
【0047】
冷却動作制御が開始されると、S11において出湯温度が予め設定された規定温度以上であるか否か判定する。このS11は貯湯ユニット3からの高温出湯の判定ステップであり、混合弁14における上水の混合の不具合を検知するために、貯湯ユニット制御部18が繰り返しS11の判定を行うように構成されている。規定温度は、長時間接触しなければ火傷しない温度として例えば50℃に設定されている。
【0048】
S11の判定がYesの場合はS12に進む。S11の判定がNoの場合はS11の判定を繰り返す。尚、S11の判定は、入水温度センサ5cの検知温度に基づいて補助熱源機制御部29が行うこともできるが、貯湯ユニット制御部18が上流側で高温の湯水を検知することにより、高温の給湯を防止する時間を確保し易くなる。この判定結果は補助熱源機制御部29に送信されて共有される。
【0049】
次にS12において、補助熱源機5の送風ファン23を最大回転数で駆動させてS13に進む。補助熱源機制御部29は、高温の湯水が入水することがわかっているので、入水温度センサ5cが検知する前に加熱運転を開始せずに送風ファン23の駆動を開始することができる。そして熱交換器22を流通する高温の湯水が、送風される空気との熱交換によって冷却されるので、温度が下がった湯水が給湯栓6に給湯され、危険が小さくなる。
【0050】
次にS13において、補助熱源機5の給湯流量調整弁27の開度を絞ってS14に進む。給湯栓6の開度が大きくても高温の湯水の流量が小さくなるので、熱交換器22で温度を大きく下げることができ、危険が一層小さくなる。また、給湯栓6の開度によらず給湯される湯水が少量になるので、給湯使用者に貯湯給湯システム1の異常発生の察知を促すことができ、異常発生に気づいた給湯使用者に給湯栓6の閉栓を促すことができる。
【0051】
次にS14において、補助熱源機5の分配弁25を、熱交換器22への分配比が最大となるように駆動してS15に進む。入水した高温の湯水の大部分を熱交換器22に流通させて温度を下げることができるので、危険が一層小さくなる。
【0052】
最後にS15において、異常発生時動作を行って終了する。異常発生時動作は、例えば操作端末19から音声と表示によって異常発生を報知すると共に、貯湯運転、加熱運転等を禁止する。また、例えば貯湯給湯システム1がインターネットを介して貯湯給湯システム1の管理サーバに接続されている場合には、異常発生情報を管理サーバに送信するようにしてもよい。給湯流量調整弁27が閉止機能を有する場合には、給湯流量調整弁27の開度を絞った状態で給湯栓6が閉止されて給湯流量がゼロになった後で、給湯流量調整弁27を閉止して、給湯を禁止してもよい。尚、上記S12、S13、S14,S15の順番は入れ替えることが可能であり、同時に行われてもよい。
【0053】
以上のように、図1の貯湯給湯システム1は高温の給湯を防止することができるので、例えば図5の従来の貯湯給湯システムに装備されていた高温出湯回避通路31及びこの通路を開閉する高温出湯回避弁32を省略している。それ故、高温給湯防止機能を備えながら貯湯給湯システム1の製造コストを低減することができる。
【0054】
上記の貯湯給湯システム1の作用、効果について説明する。
貯湯給湯システム1は、貯湯ユニット3から出湯される湯水の温度に基づいて、この出湯された湯水を補助熱源機5が加熱して又は非加熱で給湯するように構成されている。そして、補助熱源機5の加熱運転を制御する補助熱源機制御部29(制御部)は、貯湯ユニット3から出湯された湯水の温度が規定温度以上である場合には、この出湯された湯水を熱交換器22に流通させて送風ファン23を駆動することによって冷却する。従って、補助熱源機5を介して給湯される湯水は、貯湯ユニット3から出湯されたときよりも低温になるので、高温の給湯を防ぐことができる。
【0055】
このとき、送風ファン23を最大回転数で駆動して最大風量で送風する。従って、熱交換器22における冷却能力が最大になり、貯湯ユニット3から出湯された湯水を最大限冷却して高温給湯を防ぐことができる。
【0056】
また、給湯流量調整弁27の開度を絞るので、補助熱源機5を介して給湯される湯水の流量を小さくすることができる。従って、貯湯ユニット3から出湯されて熱交換器22を流通する湯水の温度を熱交換器22で大きく下げることができるので、高温給湯を防ぐことができる。また、給湯栓6を大きく開けても給湯される湯水が少量になるので、貯湯給湯システム1の異常発生を給湯使用者が気づき易くなり、異常発生に気づいた給湯使用者が給湯栓6を閉止するように促すことができる。
【0057】
熱交換器22への分配比を最大にすることによって、貯湯ユニット3から出湯された湯水の大部分を熱交換器22に流通させて冷却することができるので、高温給湯を防ぐことができる。
【0058】
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0059】
1 :貯湯給湯システム
2 :貯湯タンク
2a~2d:貯湯温度センサ(貯湯熱量検知手段)
3 :貯湯ユニット
4 :主熱源機
5 :補助熱源機
5a :入水口
5b :給湯口
5c :入水温度センサ
5d :給湯温度センサ
5e :給湯流量センサ
6 :給湯栓
7 :ポンプ
8 :主熱源機往き通路
9 :主熱源機戻り通路
9a :戻り分岐通路
10 :切替弁
11 :給水通路
11a :給水分岐通路
11b :給水温度センサ
12 :出湯通路
12a :出湯流量センサ
12b :貯湯タンク出湯温度センサ
12c :出湯温度センサ(出湯温度検知手段)
14 :混合弁(湯水混合部)
15,16:湯水通路
18 :貯湯ユニット制御部
19 :操作端末
21 :給湯通路
22 :熱交換器
23 :送風ファン
24 :バーナ
25 :分配弁
26 :バイパス通路
27 :給湯流量調整弁
28 :湯張り通路
29 :補助熱源機制御部(制御部)
31 :高温出湯回避通路
32 :高温出湯回避弁
図1
図2
図3
図4
図5