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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034085
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】メタン生成方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 1/12 20060101AFI20240306BHJP
   C02F 11/04 20060101ALI20240306BHJP
   C02F 1/20 20230101ALI20240306BHJP
   C02F 1/28 20230101ALI20240306BHJP
   C07C 9/04 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
C07C1/12
C02F11/04 A ZAB
C02F1/20 B
C02F1/28 M
C07C9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138095
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 哲也
【テーマコード(参考)】
4D037
4D059
4D624
4H006
【Fターム(参考)】
4D037AA11
4D037AB12
4D037BA23
4D059AA04
4D059AA05
4D059AA23
4D059BA12
4D059BB01
4D059BE49
4D059CA21
4D624AA10
4D624AB13
4D624BA07
4H006AA02
4H006AC13
4H006BA18
4H006BA21
4H006BA23
4H006BD84
(57)【要約】
【課題】大気中への二酸化炭素の排出量を抑制することを可能とするメタン生成方法を提供する。
【解決手段】廃水処理設備における廃水の処理に伴って発生したメタン及び二酸化炭素を回収する工程と、回収した前記メタン及び前記二酸化炭素を含む第1ガスと、アンモニアを含む第2ガスとを反応させることによってメタンを生成する工程と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃水処理設備における廃水の処理に伴って発生したメタン及び二酸化炭素を回収する工程と、
回収した前記メタン及び前記二酸化炭素を含む第1ガスと、アンモニアを含む第2ガスとを反応させることによってメタンを生成する工程と、を有するメタン生成方法。
【請求項2】
前記廃水処理設備は、前記廃水から分離された汚泥に含まれる有機物を消化する消化槽を備え、
前記メタン及び前記二酸化炭素を回収する工程では、前記消化槽における前記汚泥の消化に伴って発生した消化ガスを回収する、請求項1に記載のメタン生成方法。
【請求項3】
さらに、前記廃水処理設備における前記廃水の処理に伴って発生した前記アンモニアを回収する工程を有する、請求項1に記載のメタン生成方法。
【請求項4】
前記廃水処理設備は、前記廃水から分離された汚泥に含まれる有機物を消化する消化槽を備え、
前記アンモニアを回収する工程では、前記消化槽から排出された前記汚泥から前記アンモニアを回収する、請求項3に記載のメタン生成方法。
【請求項5】
前記メタンを生成する工程では、前記第1ガスと前記第2ガスとを反応させることによって前記メタンと窒素とを生成し、さらに、
生成した前記窒素を含むガスと水素を含むガスとを反応させることによってアンモニアを生成する工程と、
生成した前記アンモニアと前記第1ガスとを反応させることによってメタンをさらに生成する工程とを有する、請求項1に記載のメタン生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタン生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素を水素と反応させることによってメタンを生成するメタネーションが行われている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-095681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなメタネーションでは、例えば、他の設備において発生した二酸化炭素を利用することによって、大気中への二酸化炭素の排出量を抑制することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のように大気中への二酸化炭素の排出量を抑制するため、本発明におけるメタン生成方法は、廃水処理設備における廃水の処理に伴って発生したメタン及び二酸化炭素を回収する工程と、回収した前記メタン及び前記二酸化炭素を含む第1ガスと、アンモニアを含む第2ガスとを反応させることによってメタンを生成する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明におけるメタン生成方法によれば、大気中への二酸化炭素の排出量を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施の形態における廃水処理設備1000の構成について説明する図である。
図2図2は、第1の実施の形態におけるメタネーション設備100の構成について説明する図である。
図3図3は、第1の実施の形態におけるメタン生成方法を説明するフローチャート図である。
図4図4は、第2の実施の形態におけるメタネーション設備200の構成について説明する図である。
図5図5は、第2の実施の形態におけるメタン生成方法を説明するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0009】
[第1の実施の形態における廃水処理設備1000]
初めに、第1の実施の形態における廃水処理設備1000について説明を行う。図1は、第1の実施の形態における廃水処理設備1000の構成について説明する図である。
【0010】
本実施の形態における廃水処理設備1000は、図1に示すように、例えば、メタネーション設備100と、最初沈殿池110と、反応槽120と、最終沈殿池130と、消化槽140と、脱水機150と、アンモニア回収装置160とを有する。
【0011】
最初沈殿池110は、ラインL11を介して排出された廃水(例えば、下水等の廃水)に含まれる有機物や浮遊物質(以下、これらを総称して汚濁物とも呼ぶ)を沈殿分離する。ラインL11は、例えば、廃水の供給元と最初沈殿池110とを連通する配管である。そして、最初沈殿池110は、分離した汚濁物を初沈汚泥としてラインL15から消化槽140に排出する。ラインL15は、例えば、最初沈殿池110と消化槽140とを連通する配管である。また、最初沈殿池110は、汚濁物を分離した廃水をラインL12から反応槽120に排出する。ラインL12は、例えば、最初沈殿池110と反応槽120とを連通する配管である。
【0012】
なお、ラインL15は、例えば、最初沈殿池110と濃縮槽(図示せず)とを連通し、さらに、濃縮槽と消化槽140とを連通する配管であってもよい。そして、濃縮槽は、この場合、例えば、最初沈殿池110から排出された初沈汚泥を濃縮して消化槽140に供給するものであってよい。
【0013】
反応槽120は、ラインL12を介して最初沈殿池110から供給された廃水を、活性汚泥による生物学的処理(例えば、標準活性汚泥法や循環式硝化脱窒法による生物学的処理)によって処理する。そして、反応槽120は、生物学的処理が行われた後の廃水をラインL13から最終沈殿池130に排出する。ラインL13は、例えば、反応槽120と最終沈殿池130とを連通する配管である。
【0014】
最終沈殿池130は、ラインL13を介して反応槽120から排出された廃水に含まれる汚泥を沈殿分離する。そして、最終沈殿池130は、沈殿分離した汚泥の一部を返送汚泥としてラインL21から反応槽120に返送する。ラインL21は、例えば、最終沈殿池130と反応槽120とを直接連通する配管、または、ラインL16と反応槽120とを連通する配管である。さらに、最終沈殿池130は、沈殿分離した汚泥のうちの返送汚泥以外の汚泥を余剰汚泥としてラインL16から消化槽140に排出する。ラインL16は、例えば、最終沈殿池130と消化槽140とを直接連通する配管、または、最終沈殿池130とラインL15とを連通する配管である。
【0015】
なお、ラインL16は、例えば、最終沈殿池130と濃縮装置(図示せず)とを連通し、さらに、濃縮装置と消化槽140とを連通する配管であってもよい。そして、濃縮装置は、例えば、最終沈殿池130から排出された余剰汚泥を濃縮して消化槽140に供給するものであってもよい。
【0016】
また、最終沈殿池130は、例えば、汚泥を分離した廃水(上澄み液)をラインL14から後段の滅菌処理装置(図示せず)に排出する。その後、滅菌処理装置(図示せず)は、例えば、ラインL14を介して最終沈殿池130から排出された廃水を滅菌し、減菌した処理水を放流する。ラインL14は、例えば、最終沈殿池130と滅菌処理装置とを連通する配管である。
【0017】
消化槽140は、例えば、消化槽140内の嫌気性細菌によって、ラインL15を介して供給された初沈汚泥とラインL16を介して供給された余剰汚泥とのそれぞれに含まれる有機物を消化(分解)して消化汚泥を生成する。この場合、消化槽140内の嫌気性細菌は、有機物の消化の過程においてメタンガス及び二酸化炭素を含む消化ガス(以下、単に消化ガスとも呼ぶ)を生成する。
【0018】
脱水機150は、ラインL17を介して消化槽140から供給された消化汚泥を固形物と分離液(以下、単に分離液とも呼ぶ)とに分離する。ラインL17は、例えば、消化槽140と脱水機150とを連通する配管である。そして、脱水機150は、分離液をラインL18からアンモニア回収装置160に供給する。ラインL18は、例えば、脱水機150とアンモニア回収装置160とを連通する配管である。また、脱水機150は、分離液を分離した消化汚泥(固形物)をラインL20から焼却炉等の後段設備(図示せず)に供給する。ラインL20は、例えば、脱水機150と焼却炉等の後段設備とを連通する配管である。
【0019】
アンモニア回収装置160は、ラインL18を介して脱水機150から供給された分離液に含まれるアンモニアを回収する。具体的に、アンモニア回収装置160は、例えば、ストリッピングやゼオライト吸脱着等を行うことによってアンモニアの回収を行う。そして、アンモニア回収装置160は、回収したアンモニアをラインL3からメタネーション装置10に供給する。ラインL3は、例えば、アンモニア回収装置160とメタネーション装置10とを連通する配管である。
【0020】
また、アンモニア回収装置160は、アンモニアを回収した後の分離液をラインL19から最初沈殿池110に供給する。ラインL19は、例えば、アンモニア回収装置160と最初沈殿池110とを直接連通する配管、または、アンモニア回収装置160とラインL11とを連通する配管である。
【0021】
メタネーション設備100は、図1に示すように、例えば、メタネーションを行うメタネーション装置10を有する。
【0022】
具体的に、メタネーション装置10は、例えば、消化槽140において発生された消化ガスを回収する。そして、メタネーション装置10は、例えば、回収した消化ガスに含まれる二酸化炭素及びメタンと、アンモニア回収装置160において回収されたアンモニアとを反応させることによってメタネーションを行う。
【0023】
すなわち、本実施の形態におけるメタネーション設備100では、例えば、廃水処理設備1000(消化槽140)における廃水の処理に伴って発生した二酸化炭素を用いる(流用する)ことによってメタンの生成を行う。
【0024】
これにより、本実施の形態におけるメタネーション設備100は、例えば、廃水処理設備1000において発生した二酸化炭素を有効利用することが可能になる。そのため、メタネーション設備100は、例えば、廃水処理設備1000からの二酸化炭素の排出量を抑制することが可能になる。
【0025】
なお、以下、アンモニア回収装置160において回収されたアンモニアを用いることによってメタンを生成する場合について説明を行うが、これに限られない。本実施の形態におけるメタネーション設備100は、例えば、アンモニア回収装置160において回収されたアンモニア以外のアンモニア(例えば、市販のアンモニア)を用いることによってメタンを生成するものであってもよい。
【0026】
[第1の実施の形態におけるメタネーション設備100の詳細]
次に、第1の実施の形態におけるメタネーション設備100の詳細について説明を行う。図2は、第1の実施の形態におけるメタネーション設備100の構成について説明する図である。
【0027】
本実施の形態におけるメタネーション設備100は、メタネーション装置10に加えて、例えば、前処理装置20と、窒素分離装置30とを有する。
【0028】
前処理装置20は、ラインL1を介して消化槽140から供給された消化ガスに含まれる有害物を除去する。具体的に、前処理装置20は、例えば、硫化水素を含む硫黄化合物やシロキサン等を消化ガスから除去する。ラインL1は、例えば、消化槽140と前処理装置20とを連通する配管である。そして、前処理装置20は、有害物を除去した消化ガスをラインL4からメタネーション装置10に供給する。ラインL4は、例えば、前処理装置20とメタネーション装置10とを連通する配管である。
【0029】
なお、前処理装置20は、例えば、消化ガスに含まれる硫化水素等を除去する除去装置(図示せず)と、消化ガスに含まれる他の硫黄化合物やシロキサン等を除去する除去装置(図示せず)とをそれぞれ有するものであってもよい。
【0030】
メタネーション装置10は、例えば、ラインL4を介して前処理装置20から供給された消化ガスに含まれる二酸化炭素及びメタンと、ラインL3を介してアンモニア回収装置160から供給されたアンモニアとを反応させることによってメタンを生成する。
【0031】
具体的に、メタネーション装置10は、例えば、Ni系触媒またはRu系触媒を用いることによって以下の式1に示すように反応させる。
【0032】
【数1】
【0033】
このように、本実施の形態におけるメタネーション設備100では、例えば、消化ガスに含まれる二酸化炭素をアンモニアと反応させることによってメタンの生成を行う。
【0034】
これにより、本実施の形態におけるメタネーション設備100では、例えば、メタネーションの触媒反応に伴う発熱量を抑制することが可能になる。そのため、メタネーション設備100では、例えば、メタネーションの触媒反応中における局所高温の発生を抑止することが可能になり、局所冷却の機能を備えたメタネーション装置10を用いる必要がなくなる。
【0035】
また、本実施の形態におけるメタネーション設備100では、例えば、消化槽140において発生した消化ガスに含まれるメタンと二酸化炭素との分離を行わずに、メタンとをそれぞれ含む状態の消化ガスを用いてメタネーションを行う。
【0036】
これにより、本実施の形態におけるメタネーション設備100では、例えば、メタネーションの触媒反応に寄与しない予め含まれているメタンの存在により、発熱のペースを緩和することが可能になる。そのため、メタネーション設備100では、上記の場合と同様に、例えば、メタネーションの触媒反応中における局所高温の発生を抑止することが可能になり、局所冷却の機能を備えたメタネーション装置10を用いる必要がなくなる。また、メタネーション設備100では、例えば、消化槽140において発生した消化ガスに含まれるメタンと二酸化炭素とを分離する装置(例えば、二酸化炭素の分離装置や回収装置)を用いる必要がなくなる。
【0037】
したがって、メタネーション設備100では、例えば、メタネーション装置10の構造を簡略化することが可能になり、メタンの生成に伴うコストを削減することが可能になる。
【0038】
なお、メタネーション装置10において行われるメタネーションでは、上記の式1に示すように、メタンに加えて窒素と水とが生成される。そのため、メタネーション装置10は、図2に示すように、例えば、ラインL7を介して水(凝縮水)を外部に排出する。ラインL7は、例えば、メタネーション装置10とメタネーション装置10が設けられた建屋(図示せず)の外とを連通する配管である。また、メタネーション装置10は、図2に示すように、例えば、ラインL5を介してメタン及び窒素を含むガス(以下、混合ガスとも呼ぶ)を窒素分離装置30に供給する。ラインL5は、例えば、メタネーション装置10と窒素分離装置30とを連通する配管である。
【0039】
窒素分離装置30は、ラインL5を介してメタネーション装置10から供給された混合ガスに含まれるメタンと窒素とを分離する。そして、窒素分離装置30は、ラインL6を介して窒素を外部に排出する。ラインL6は、例えば、窒素分離装置30と窒素分離装置30が設けられた建屋(図示せず)の外とを連通する配管である。また、窒素分離装置30は、ラインL2を介してメタンを発電装置やボイラー等の他の装置(以下、単に他の装置とも呼ぶ)に供給する。ラインL2は、例えば、窒素分離装置30と他の装置とを連通する配管である。すなわち、窒素分離装置30は、例えば、メタンを燃料等として用いる他の装置に対してメタンを供給する。
【0040】
なお、上記の例では、メタネーション装置10が窒素分離装置30に対して混合ガスを供給する場合について説明を行ったが、これに限られない、メタネーション装置10は、例えば、他の装置に対して混合ガスを直接供給するものであってもよい。
【0041】
[第1の実施の形態におけるメタン生成方法]
次に、第1の実施の形態におけるメタン生成方法について説明を行う。図3は、第1の実施の形態におけるメタン生成方法を説明するフローチャート図である。
【0042】
消化槽140は、例えば、最初沈殿池110から供給された初沈汚泥と最終沈殿池130から供給された余剰汚泥とに含まれる有機物を消化(分解)することによって、メタンガス及び二酸化炭素を含む消化ガスを生成する。そして、メタネーション設備100は、例えば、消化槽140において生成された消化ガスを回収する(図3のステップS1)。
【0043】
また、アンモニア回収装置160は、例えば、脱水機150から供給された分離液に含まれるアンモニアを回収する(図3のステップS2)。
【0044】
その後、メタネーション設備100は、例えば、ステップS1において回収した消化ガスに含まれるメタン及び二酸化炭素と、ステップS2においてアンモニア回収装置160が回収したアンモニアとを反応させることによってメタンを生成する(図3のステップS3)。
【0045】
このように、本実施の形態におけるメタネーション設備100は、例えば、廃水処理設備1000における廃水の処理に伴って発生したメタン及び二酸化炭素を回収し、回収したメタン及び二酸化炭素を含むガス(以下、第1ガスとも呼ぶ)と、アンモニアを含むガス(以下、第2ガスとも呼ぶ)とを反応させることによってメタンを生成する。
【0046】
具体的に、廃水処理設備1000は、例えば、廃水から分離された汚泥に含まれる有機物を消化する消化槽140を備える。そして、メタネーション設備100は、例えば、消化槽140における汚泥の消化に伴って発生した消化ガスを回収する。また、メタネーション設備100は、この場合、例えば、回収した消化ガスに含まれる硫黄化合物(例えば、硫化水素)とシロキサンとのうちの少なくともいずれかを除去する。
【0047】
また、本実施の形態におけるアンモニア回収装置160は、例えば、廃水処理設備1000における廃水の処理に伴って発生したアンモニアを回収する。具体的に、アンモニア回収装置160は、例えば、消化槽140から排出された汚泥からアンモニアを回収する。そして、メタネーション設備100は、例えば、アンモニア回収装置160が回収したアンモニアを用いることによってメタンを生成する。
【0048】
これにより、本実施の形態におけるメタネーション設備100は、例えば、消化槽140において発生した二酸化炭素を有効利用することが可能になる。そのため、メタネーション設備100は、例えば、廃水処理設備1000からの二酸化炭素の排出量を抑制することが可能になる。言い換えれば、メタネーション設備100は、例えば、消化槽140において発生した二酸化炭素からメタンを生成することによって、ネガティブエミッションを達成することが可能になる。
【0049】
また、本実施の形態におけるメタネーション設備100では、例えば、消化汚泥から分離された分離液に含まれるアンモニアを用いてメタネーションを行うことで、最初沈殿池110に供給される分離液(ラインL19を介して最初沈殿池110に供給される分離液)に含まれるアンモニアの量を抑制することが可能になる。そのため、メタネーション設備100は、例えば、反応槽120に供給されるアンモニアの量を抑制することが可能になり、アンモニアに含まれる窒素成分の脱窒に要する酸素量を抑制することが可能になる。したがって、メタネーション設備100は、例えば、反応槽120内に供給する必要がある酸素量(すなわち、曝気コスト)を抑制することが可能になる。
【0050】
なお、上記の例では、消化槽140において発生された消化ガスに含まれる二酸化炭素をアンモニアと反応させてメタンを生成する場合について説明を行ったが、アンモニアに代えて水素を用いるものであってもよい。具体的に、メタネーション設備100では、例えば、消化ガスに含まれる二酸化炭素を、再生可能エネルギーから生成された水素や市販の水素と反応させることによってメタンを生成するものであってもよい。
【0051】
[第2の実施の形態におけるメタネーション設備200]
次に、第2の実施の形態におけるメタネーション設備200について説明を行う。図4は、第2の実施の形態におけるメタネーション設備200の構成について説明する図である。以下、第1の実施の形態におけるメタネーション設備100と異なる点について説明を行う。
【0052】
メタネーション設備200は、メタネーション設備100と同様に、メタネーションを行うことによってメタンを生成する設備であり、例えば、メタネーション設備100の代わりに廃水処理設備1000において用いることが可能な設備である。
【0053】
具体的に、メタネーション設備200は、メタネーション設備100と同様に、例えば、メタネーション装置10と、前処理装置20とを有する。また、メタネーション設備200は、メタネーション設備100と異なり、例えば、アンモニア生成装置40を有する。
【0054】
アンモニア生成装置40は、ラインL31を介してメタネーション装置10から供給された混合ガスに含まれる窒素と、ラインL32を介して外部から供給された水素とを反応させることによってアンモニアを生成する。ラインL31は、例えば、メタネーション装置10とアンモニア生成装置40とを連通する配管である。また、ラインL32は、例えば、水素の供給元とアンモニア生成装置40とを連通する配管である。なお、アンモニア生成装置40に供給される水素は、例えば、再生可能エネルギーから生成された水素であってよいし、市販の水素であってもよい。
【0055】
具体的に、アンモニア生成装置40は、例えば、鉄系触媒を用いることによって以下の式2に示すように反応させる。
【0056】
【数2】
【0057】
そして、アンモニア生成装置40は、生成したアンモニアをラインL33からメタネーション装置10に供給する。ラインL33は、例えば、アンモニア生成装置40とメタネーション装置10とを直接連通する配管、または、アンモニア生成装置40とラインL3とを連通する配管である。
【0058】
すなわち、本実施の形態におけるアンモニア生成装置40は、例えば、メタネーション装置10において発生した窒素を用いることによってアンモニアを生成し、生成したアンモニアをメタネーション装置10に供給する。
【0059】
これにより、本実施の形態におけるメタネーション設備200では、例えば、アンモニア回収装置160において回収されたアンモニアに加え、アンモニア生成装置40において生成されたアンモニアについても用いることによってメタネーションを行うことが可能になる。
【0060】
なお、アンモニア生成装置40は、メタネーション装置10から供給された混合ガスに含まれるメタンをラインL34から他の装置(発電装置やボイラー等の他の装置)に供給する。ラインL34は、例えば、アンモニア生成装置40と他の装置とを連通する配管である。また、アンモニア生成装置40は、メタネーション装置10から供給された混合ガスに含まれる水蒸気が凝縮した水(凝縮水)をラインL35から外部に供給する。ラインL35は、例えば、アンモニア生成装置40とアンモニア生成装置40が設けられた建屋(図示せず)の外とを連通する配管である。
【0061】
また、メタネーション装置10とアンモニア生成装置40との間に、メタネーション装置10において発生した、メタン、窒素、及び水蒸気を含む混合ガスから水蒸気を除去する装置(換言すれば、この混合ガスから水蒸気を凝縮し凝縮水にして除去する装置)を設置し、水蒸気量を低下させたガスをアンモニア生成装置40に供給するようにしてもよい。
【0062】
[第2の実施の形態におけるメタン生成方法]
次に、第2の実施の形態におけるメタン生成方法について説明を行う。図5は、第2の実施の形態におけるメタン生成方法を説明するフローチャート図である。
【0063】
消化槽140は、例えば、最初沈殿池110から供給された初沈汚泥と最終沈殿池130から供給された余剰汚泥とに含まれる有機物を消化(分解)することによって、メタンガス及び二酸化炭素を含む消化ガスを生成する。そして、メタネーション設備100は、例えば、消化槽140において生成された消化ガスを回収する(図5のステップS11)。
【0064】
また、アンモニア回収装置160は、例えば、脱水機150から供給された分離液に含まれるアンモニアと、後述するS14において生成されたアンモニアとのそれぞれを回収する(図5のステップS12)。
【0065】
その後、メタネーション設備100は、例えば、ステップS11において回収した消化ガスに含まれるメタン及び二酸化炭素と、ステップS12において回収したアンモニアとを反応させることによってメタンを生成する(図5のステップS13)。
【0066】
さらに、アンモニア生成装置40は、例えば、ステップS13においてメタンとともに生成された窒素と、水素の供給元から供給された水素とを反応させることによってアンモニアを生成する(図5のステップS14)。
【0067】
このように、本実施の形態におけるメタネーション設備100は、例えば、第1ガスと第2ガスとを反応させることによってメタンと窒素とを生成する。そして、メタネーション設備100は、例えば、生成した窒素を含むガスと水素を含むガスとを反応させることによってアンモニアを生成し、生成したアンモニアと第1ガスとを反応させることによってメタンをさらに生成する工程とを有する。
【0068】
これにより、本実施の形態におけるメタネーション設備200では、例えば、アンモニア生成装置40において生成されたアンモニアについても用いることによってメタネーションを行うことが可能になる。そのため、メタネーション設備200では、例えば、市販のアンモニアの必要量を抑制することが可能になり、メタンの生成に要するコストをより削減することが可能になる。
【符号の説明】
【0069】
10:メタネーション装置 20:前処理装置
30:窒素分離装置 40:アンモニア生成装置
100:メタネーション設備 110:最初沈殿池
120:反応槽 130:最終沈殿池
140:消化槽 150:脱水機
160:アンモニア回収装置 200:メタネーション設備
1000:廃水処理設備 L1:ライン
L2:ライン L3:ライン
L4:ライン L5:ライン
L6:ライン L7:ライン
L11:ライン L12:ライン
L13:ライン L14:ライン
L15:ライン L16:ライン
L17:ライン L18:ライン
L19:ライン L20:ライン
L31:ライン L32:ライン
L33:ライン L34:ライン
L35:ライン
図1
図2
図3
図4
図5