(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034092
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】空気処理装置
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20240306BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20240306BHJP
F24F 8/108 20210101ALI20240306BHJP
【FI】
F24F6/00 E
F24F6/00 G
F24F8/80 400
F24F8/80 300
F24F8/108 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138105
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】周防 聖行
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055AA07
3L055BA04
(57)【要約】
【課題】生乾き臭の発生抑制と空気清浄機能の低下の抑制とを両立させる空気処理装置を提供する。
【解決手段】対象空間(S)の空気を処理する空気処理装置は、ファン(21)を運転する通常運転モードの実行中に、加湿フィルタ(40)の吸水率が低下する状態を示す第1条件が成立した場合、ファン(21)の運転を停止する第1モードへ移行し、かつ、第1モードの実行中に、対象空間(S)の空気の汚れ度合いを示す第1指標が所定値以上になったとき、通常運転モードを再開する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間(S)の空気を処理する空気処理装置であって、
ケーシング(10)と、
前記ケーシング(10)内に形成される空気通路(AP)と、
前記空気通路(AP)の空気を搬送するファン(21)と、
前記空気通路(AP)に配置され、空気を清浄化する空気清浄部(U2)と、
前記空気通路(AP)に配置され、給水されることで空気を加湿する加湿フィルタ(40)と、
前記ファン(21)の運転を制御する制御部(C)とを備え、
前記制御部(C)は、
前記ファン(21)を運転する通常運転モードの実行中に、前記加湿フィルタ(40)の吸水率が低下する状態を示す第1条件が成立した場合、前記ファン(21)の運転を停止する第1モードへ移行し、かつ、
前記第1モードの実行中に、前記対象空間(S)の空気の汚れ度合いを示す第1指標が所定値以上になったとき、前記通常運転モードを再開する
ことを特徴とする空気処理装置。
【請求項2】
前記制御部(C)は、前記通常運転モードの実行中に前記第1条件が成立した場合、前記ファン(21)の回転数を低下させる第2モードへ移行し、かつ、前記第2モードの実行中に、前記第1指標が所定値以上になったとき、前記通常運転モードを再開し、
前記第1モードから前記通常運転モードが再開される前記第1指標の所定値は、前記第2モードから前記通常運転モードが再開される前記第1指標の所定値よりも高い
ことを特徴とする請求項1に記載の空気処理装置。
【請求項3】
前記ファン(21)の回転数が所定回転数より高い前記通常運転モードの実行中において、前記第1条件が成立したとき、
前記制御部(C)は、前記第1モードが選択されていた場合は前記第1モードへ移行する一方、前記第2モードが選択されていた場合は前記通常運転モードを継続する
ことを特徴とする請求項2に記載の空気処理装置。
【請求項4】
前記第1モード及び前記第2モードは、ユーザの操作によって選択される
ことを特徴とする請求項2または3に記載の空気処理装置。
【請求項5】
前記加湿フィルタ(40)に供給する水を貯留する貯水部(50)をさらに備え、
前記加湿フィルタ(40)の吸水率が低下する状態は、
前記貯水部(50)の貯水量が所定量以下になった状態、または、
前記対象空間(S)の湿度が設定湿度に達したことによる前記加湿フィルタ(40)への給水が停止した状態である
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の空気処理装置。
【請求項6】
前記加湿フィルタ(40)に供給する水を貯留する貯水部(50)と、
所定の情報をユーザに報知する報知部(81)とをさらに備え、
前記報知部(81)は、前記貯水部(50)の貯水量が所定量以下になった状態を示す前記第1条件が成立すると、貯水量が所定量以下になったことを音、光、または表示により発報する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の空気処理装置。
【請求項7】
空気中の臭いまたは埃を検知するセンサ(93)をさらに備え、
前記第1指標は、前記センサ(93)による検出値に基づく値である
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の空気処理装置。
【請求項8】
前記加湿フィルタ(40)は、円板状に形成され、周方向に回転することで給水されるように構成され、
前記制御部(C)は、前記通常運転モードの実行中、前記加湿フィルタ(40)の回転を停止させる
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の空気処理装置。
【請求項9】
前記加湿フィルタ(40)に供給する水を貯留する貯水部(50)をさらに備え、
前記加湿フィルタ(40)は、円板状に形成され、周方向に回転することで給水されるように構成され、
前記制御部(C)は、前記通常運転モードの実行中、前記加湿フィルタ(40)を回転させ、前記貯水部(50)の貯水量が所定量以下になった状態を示す前記第1条件が成立すると、前記加湿フィルタ(40)の回転数を低下させる
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の空気処理装置。
【請求項10】
前記加湿フィルタ(40)に供給する水を貯留する貯水部(50)をさらに備え、
前記加湿フィルタ(40)は、円板状に形成され、かつ、周方向に回転することで給水されるように構成され、
前記制御部(C)は、前記通常運転モードの実行中、前記加湿フィルタ(40)を回転させ、前記貯水部(50)の貯水量が所定量以下になった状態を示す前記第1条件が成立すると、前記加湿フィルタ(40)の回転数を維持する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の空気処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の加湿器は、加湿フィルタに給水するタンク内の加湿水が残り少なくなると、送風装置の風量を低下させることで、タンク内の加湿水の減少速度を低下させる。このように残った加湿水での運転時間が長引かせることで、室内の急な湿度低下を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気清浄フィルタと加湿フィルタとを備えた空気処理装置では、タンク内の水がなくなった場合、タンクに給水されるまで風量は低下したままであり空気清浄機能が低下する。一方で、タンク内の水がなくなることで加湿フィルタが生乾きになると、フィルタ内に発生する雑菌により発生する不快臭が室内に吹き出されるため、ユーザに不快感を与える。このような空気処理装置において、加湿フィルタの不快臭の発生抑制と空気清浄機能の低下の抑制とを両立させることはこれまで検討されてこなかった。
【0005】
本開示の目的は、不快臭の発生抑制と空気清浄機能の低下の抑制とを両立させる空気処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、
対象空間(S)の空気を処理する空気処理装置であって、
ケーシング(10)と、
前記ケーシング(10)内に形成される空気通路(AP)と、
前記空気通路(AP)の空気を搬送するファン(21)と、
前記空気通路(AP)に配置され、空気を清浄化する空気清浄部(U2)と、
前記空気通路(AP)に配置され、給水されることで空気を加湿する加湿フィルタ(40)と、
前記ファン(21)の運転を制御する制御部(C)とを備え、
前記制御部(C)は、
前記ファン(21)を運転する通常運転モードの実行中に、前記加湿フィルタ(40)の吸水率が低下する状態を示す第1条件が成立した場合、前記ファン(21)の運転を停止する第1モード
へ移行し、かつ、
前記第1モードの実行中に、前記対象空間(S)の空気の汚れ度合いを示す第1指標が所定値以上になったとき、前記通常運転モードを再開する。
【0007】
第1の態様では、加湿フィルタ(40)の生乾きによる異臭発生の抑制及び空気清浄機能を両立させることができる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、
前記制御部(C)は、前記通常運転モードの実行中に前記第1条件が成立した場合、前記ファン(21)の回転数を低下させる第2モードへ移行し、かつ、前記第2モードの実行中に、前記第1指標が所定値以上になったとき、前記通常運転モードを再開し、
前記第1モードから前記通常運転モードが再開される前記第1指標の所定値は、前記第2モードから前記通常運転モードが再開される前記第1指標の所定値よりも高い。
【0009】
第2の態様では、第2モードは、第1モードよりも不快臭の吹き出し抑制効果は弱いが、空気清浄機能を発揮する。このように、不快臭の吹き出しの抑制を最優先する第1モードと、不快臭の吹き出しを抑制しつつ、空気清浄機能を発揮させる第2モードの2つの異なるモードを設けることができる。
【0010】
第3の態様は、第2の態様において、
前記ファン(21)の回転数が所定量より高い前記通常運転モードの実行中において、前記第1条件が成立したとき、
前記制御部(C)は、前記第1モードが選択されていた場合は前記第1モードへ移行する一方、前記第2モードが選択されていた場合は前記通常運転モードを継続する。
【0011】
第3の態様では、通常運転が比較的強い空気清浄運転を行っている場合、第2モードが選択されても、第1条件が成立した場合第2モードに移行しなくすることで、空気清浄機能を維持できる。
【0012】
第4の態様は、第2または第3の態様において、
前記第1モード及び前記第2モードは、ユーザの操作によって選択される。
【0013】
第4の態様では、ユーザは第1モードまたは第2モードを選択できる。
【0014】
第5の態様は、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、
前記加湿フィルタ(40)に供給する水を貯留する貯水部(50)をさらに備え、
前記加湿フィルタ(40)の吸水率が低下する状態は、
前記貯水部(50)の貯水量が所定量以下になった状態、または、
前記対象空間(S)の湿度が設定湿度に達したことによる前記加湿フィルタ(40)への給水が停止した状態である。
【0015】
第5の態様では、貯水部(50)の貯水量または対象空間(S)の湿度に基づいて第1条件の成否を判定できる。
【0016】
第6の態様は、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、
前記加湿フィルタ(40)に供給する水を貯留する貯水部(50)と、
所定の情報をユーザに報知する報知部(81)とをさらに備え、
前記報知部(81)は、前記貯水部(50)の貯水量が所定量以下になった状態を示す前記第1条件が成立すると、貯水量が所定量以下になったことを音、光、または表示により発報する。
【0017】
第6の態様では、報知部(81)が発報することで貯水部(50)への給水が促される。このことで、不快臭の発生を未然に抑制できる。さらに第1モードの運転から通常運転モードに比較的短時間で切り換わるため、空気清浄機能を早く復帰できる。
【0018】
第7の態様は、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、
空気中の臭いまたは埃を検知するセンサ(93)をさらに備え、
前記第1指標は、前記センサ(93)による検出値に基づく値である。
【0019】
第7の態様では、空気中の臭いまたは埃に基づいて空気の汚れ度合いを把握できる。
【0020】
第8の態様は、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、
前記加湿フィルタ(40)は、円板状に形成され、周方向に回転することで給水されるように構成され、
前記制御部(C)は、前記通常運転モードの実行中、前記加湿フィルタ(40)の回転を停止させる。
【0021】
第8の態様では、通常運転モードを、加湿を行わない空気清浄運転とすることができる。
【0022】
第9の態様は、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、
前記加湿フィルタ(40)に供給する水を貯留する貯水部(50)をさらに備え、
前記加湿フィルタ(40)は、円板状に形成され、周方向に回転することで給水されるように構成され、
前記制御部(C)は、前記通常運転モードの実行中、前記加湿フィルタ(40)を回転させ、前記貯水部(50)の貯水量が所定量以下になった状態を示す前記第1条件が成立すると、前記加湿フィルタ(40)の回転数を低下させる。
【0023】
第9の態様では、第1モードまたは第2モードにおいて、加湿フィルタ(40)の回転数を通常運転モードよりも低下させることで、貯水部(50)内の水位が低下する速さを抑えることができる。その結果、加湿フィルタ(40)の吸水率の低下を抑制できる。
【0024】
第10の態様は、第1~第9の態様のいずれか1つにおいて、
前記加湿フィルタ(40)に供給する水を貯留する貯水部(50)をさらに備え、
前記加湿フィルタ(40)は、円板状に形成され、かつ、周方向に回転することで給水されるように構成され、
前記制御部(C)は、前記通常運転モードの実行中、前記加湿フィルタ(40)を回転させ、前記貯水部(50)の貯水量が所定量以下になった状態を示す前記第1条件が成立すると、前記加湿フィルタ(40)の回転数を維持する。
【0025】
第10の態様では、第1モードまたは第2モードにおいて、加湿フィルタ(40)の回転数を通常運転モードと同じに維持することで、貯水部(50)内の残水による加湿フィルタへの給水が維持されるため、加湿フィルタ(40)の吸水率の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、実施形態に係る空気処理装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、空気処理装置の構成を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、制御部と各種の機器との関係を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、空気処理装置の運転の制御を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、報知部の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。また、以下に説明する各実施形態、変形例、その他の例等の各構成は、本発明を実施可能な範囲において、組み合わせたり、一部を置換したりできる。
【0028】
(1)空気処理装置の全体構成
図1及び
図2に示すように、空気処理装置(1)は、室内空間(S)に配置される床置き型である。室内空間(S)は、対象空間(S)の一例である。空気処理装置(1)は、室内の空気を処理する。具体的に、空気処理装置(1)は、加湿機能と空気清浄機能とを有する。ユーザは、空気清浄機能だけを選択することができるが、加湿機能を選択したときは空気清浄機能が伴う。
【0029】
空気処理装置(1)は、主に、ケーシング(10)、ファンユニット(U1)、空気清浄ユニット(U2)、加湿ユニット(U3)、及び制御部(C)を備える。以下の説明において、「前」、「後」、「右」、「左」、「上」、「下」は、空気処理装置(1)を後述の前面パネル(13a)から見たときの方向を示す(
図1参照)。
【0030】
(2)ケーシング
ケーシング(10)は、縦長の箱状に形成される。ケーシング(10)内には、上下方向にのびる空気通路(AP)が配置される。空気通路(AP)の下端は吸込口(15)に連通し、上端は吹出口(14)に連通する。空気通路(AP)には、下から順に送風室(2)、空気清浄室(3)、及び加湿室(4)が配置される。ケーシング(10)は、天板(11)、底板(12)、及び4つの側板(13)を有する。
【0031】
天板(11)には、操作パネル(16)と吹出口(14)とが設けられている。操作パネル(16)は、操作部(82)と報知部(81)とを有する。操作部(82)及び報知部(81)については後述する。操作パネル(16)は、天板(11)の中間よりも前寄りに配置される。
【0032】
吹出口(14)は、操作パネル(16)の後方に形成される。吹出口(14)は、左右方向全域に亘って形成される。吹出口(14)には、2枚のフラップ(17)が設けられる。各フラップ(17)は、回動可能に天板(11)に支持されており、吹出口(14)の開閉や風向を調節する。
【0033】
4つの側板(13)は、前面パネル(13a)、後面パネル(13b)、右側面パネル(13c)、及び左側面パネル(13d)である。右側面パネル(13c)及び左側面パネル(13d)の下部のそれぞれには、吸込口(15)が設けられる。吸込口(15)は室内空間(S)の空気を吸い込む。
【0034】
ケーシング(10)は、右側面パネル(13c)の一部を構成する給水扉(18)を有する。給水扉(18)の内側には、後述するタンク(60)が固定される(
図3参照)。給水扉(18)は手前側(右側)に引くことで傾斜するように回動し、給水扉(18)の上端が開く。
【0035】
(3)ファンユニット
ファンユニット(U1)は、送風室(2)に配置される。ファンユニット(U1)は、吸込口(15)に向かい合う位置に配置される。ファンユニット(U1)は、ファン(21)とファンモータ(22)とを有する。
【0036】
ファン(21)は、シロッコファンである。ファン(21)は、ファンモータ(22)の駆動により回転する。ファン(21)は、空気通路(AP)の空気を吸込口(15)から吹出口(14)に向かって搬送する。
【0037】
ファン(21)は、風量可変である。具体的に、ファンモータ(22)は、回転数可変である。ファンモータ(22)の回転数は、複数段階に切り換えられる。
【0038】
(4)空気清浄ユニット
空気清浄ユニット(U2)は、空気清浄室(3)に配置される。空気清浄ユニット(U2)は、空気を清浄化する。空気清浄ユニット(U2)は、集塵フィルタ(31)及び脱臭フィルタ(32)を有する。空気清浄ユニット(U2)は、空気清浄部(U2)の一例である。
【0039】
下から順に集塵フィルタ(31)及び脱臭フィルタ(32)が配置される。空気通路(AP)の空気は、集塵フィルタ(31)によって微細な花粉、PM2.5などの塵埃などが取り除かれた後、活性炭などを含む脱臭フィルタ(32)によってホルムアルデヒドや臭い成分などが吸着または分解される。
【0040】
(5)加湿ユニット
図2及び
図3に示すように、加湿ユニット(U3)は、加湿室(4)に配置される。加湿ユニット(U3)は、加湿フィルタ(40)、モータ(43)、タンク(60)及びトレイ(50)を備える。
【0041】
加湿フィルタ(40)は、空気通路(AP)に配置され、給水されることで空気を加湿する。加湿フィルタ(40)は、円板状に形成され、周方向に回転することで給水されるように構成される。加湿フィルタ(40)は、気化フィルタ(41)とフレーム(42)とを有する。加湿フィルタ(40)は、モータ(43)により駆動されることで回転する。
【0042】
気化フィルタ(41)は、吸水性を有する気化材である。気化フィルタ(41)は、例えば不織布である。加湿室(4)を通る空気は、吸水した気化フィルタ(41)を通過することで加湿される。気化フィルタ(41)は、フレーム(42)の内枠に固定される。
【0043】
フレーム(42)の外周面には、周方向に等間隔に配置される複数の水汲み部(42a)が設けられる。水汲み部(42a)は、トレイ(50)内の水を汲み上げ、気化フィルタ(41)に水を供給する。
【0044】
具体的に、加湿フィルタ(40)が回転することで、フレーム(42)の最下点を通過する水汲み部(42a)がトレイ(50)の水を順次汲み上げる。その後、水汲み部(42a)は、フレーム(42)の最上点付近を通過するときに、下方に水を放出する。これにより、加湿フィルタ(40)は吸水する。複数の水汲み部(42a)は連続して水を放出するため、気化フィルタ(41)には万遍なく水が供給される。
【0045】
トレイ(50)は、加湿フィルタ(40)に供給する水を貯留する。トレイ(50)は、貯水部(50)の一例である。トレイ(50)は、加湿フィルタ(40)の下方から給水扉(18)に亘って概ね水平方向に設けられる。トレイ(50)には、後述する水位センサ(57)が設けられる。
【0046】
タンク(60)は、トレイ(50)に供給する水を貯留する。タンク(60)は、給水扉(18)の内面に固定される。タンク(60)は、給水扉(18)の開閉に伴って回動する。給水扉(18)を開くと、給水口(67)が外部に露出する。タンク(60)は、ケーシング(10)から着脱可能に構成される。
【0047】
タンク(60)の上面には、給水口(67)が設けられる。タンク(60)の底面の中央付近には、タンク(60)とトレイ(50)とを連通する連通孔(64)が形成される。連通孔(64)には、開閉可能な給水弁(66)が設けられる。
【0048】
給水弁(66)は、トレイ(50)内に貯留する水の液面高さ(水位)に応じて開閉する。給水弁(66)は、所定の開閉部材(図示省略)によって開閉される。開閉部材は、トレイ(50)の水位が第1水位より高くなると、連通孔(64)が閉塞されるように給水弁(66)を押し上げる。これにより、タンク(60)からトレイ(50)への給水が停止する。一方、トレイ(50)内の水位が第1水位を下回ると、開閉部材が下がることで連通孔(64)が開放される。これにより、タンク(60)からトレイ(50)に給水される。第1水位については後述する。
【0049】
(6)センサ
図4に示すように、空気処理装置(1)は、水位センサ(57)、温度センサ(91)、湿度センサ(92)及び臭いセンサ(93)を有する。水位センサ(57)は、トレイ(50)の水位を検出する。水位センサ(57)は近接センサであり、開閉部材の上下移動により水位を検出する。温度センサ(91)は、室内空間(S)の空気温度を検出する。湿度センサ(92)は、室内空間(S)の湿度を検出する。臭いセンサ(93)は、空気中の汚れ度合いを検出する。温度センサ(91)、湿度センサ(92)及び臭いセンサ(93)は、吸込口(15)近傍に配置される。
【0050】
臭いセンサ(93)は、空気の臭い及び空気中の埃を検出する。臭いセンサ(93)は、センサ(93)の一例である。臭いセンサ(93)は、空気の臭いの程度、及び空気中の埃量の程度を示す信号を制御部(C)に出力する。
【0051】
(7)操作パネル
図1及び
図4に示すように、操作パネル(16)は、報知部(81)及び操作部(82)を有する。報知部(81)は、所定の情報をユーザに報知する。例えば、報知部(81)は、現在の運転モード、室内温度、室内湿度、風量、トレイ(50)内の水位などを画面により表示したり音声を出力したりする。報知部(81)は、トレイ(50)の貯水量が所定量以下になると、貯水量が所定量以下になったことを発報する。具体的に、報知部(81)は、トレイ(50)の水位が第1水位より低くなると、その旨を音、光、または表示により発報する。
【0052】
操作部(82)は、ユーザが操作する各種のボタンを有する。操作部(82)は、電源ボタン、湿度設定ボタン、風量モードボタン、運転モードボタン、第1モードボタン、及び第2モードボタンを含む。
【0053】
風量モードボタンは、ファン(21)の風量を選択するボタンである。ファン(21)の風量は、ファン(21)の回転数と同義である。
【0054】
運転モードボタンは、運転モードを選択するボタンである。例えば、室内空間(S)をのどや肌にやさしい湿度に設定する運転モードや、一定時間毎に風量を切り換えることで、花粉を空気処理装置(1)内に取り込みやすくする運転モードなどがある。
【0055】
第1モードボタンは、第1モードを設定する。第1モードでは、トレイ(50)の水位が第1水位を下回ると、ファン(21)を停止するモードである。第2モードボタンは、第2モードを設定する。トレイ(50)の水位が第1水位を下回ると、ファン(21)の回転数を低下させるモードである。第1モードまたは第2モードはユーザの操作に基づいて選択できる。第1モード及び第2モードの詳細については、後述する。
【0056】
(8)制御部
図4に示すように、制御部(C)は、空気処理装置(1)の各種の機器と有線または無線により接続される。制御部(C)は、マイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウェアを格納するメモリディバイスとを備える。制御部(C)は、操作パネル(16)や各種のセンサから受信した情報に基づいて、各種の機器の動作を制御する。例えば、制御部(C)は、選択されたファン風量や運転モードに基づいて、ファン(21)の運転を制御する。
【0057】
制御部(C)は、臭いセンサ(93)から受信した空気の臭い及び空気中の埃量のそれぞれに基づいて、室内空間(S)の空気の汚れ度合いを判定する。空気の汚れ度合いは、5段階の汚れレベルに分類される。「1」から「5」に向かって順に空気汚れがひどくなっていき、「5」が最も空気が汚れている。汚れレベルは、第1指標の一例である。
【0058】
制御部(C)は、空気の臭い及び空気中の埃量のそれぞれを5段階で評価する。制御部(C)は、空気の臭いの評価値、及び空気の埃量の評価値のうち、高い方の評価値を空気の汚れレベルと判定する。例えば、制御部(C)は、空気の臭いの評価値「3」と判定し、空気中の埃量の評価値を「5」と判定した場合、高い方の評価値である「5」を空気の汚れレベルとして判定する。
【0059】
(9)空気処理装置の運転
次に、本実施形態の空気処理装置(1)の加湿運転及び空気清浄運転について説明する。加湿運転及び空気清浄運転では、操作部(82)に対するユーザの操作により風量モードが設定される。風量モードは、弱モード、標準モード、強モード、自動モード及びサーキュレータモードを有する。弱モード、標準モード、強モードの順にファン(21)の回転数は高くなる。言い換えると、弱モード、標準モード、強モードの順に風量は多くなる。また、弱モード、標準モード、強モードの順に、空気清浄機能及び加湿機能が高くなる。自動モードは、ファン(21)の回転数が自動で切り換えられるモードである。サーキューレータモードは、室内空間(S)において空気を循環させるモードである。強モード及びサーキュレータモードのファン(21)の回転数は所定回転数より高い。
【0060】
(9-1)加湿運転
加湿運転は、吸い込んだ室内空気を清浄化すると共に加湿して、再び室内空間に吹き出す運転である。加湿運転では、室内の湿度が設定された目標湿度となるように湿度調整される。なお、加湿運転では後述する空気清浄運転も同時に実行される。
【0061】
加湿運転では、ファン(21)及び加湿フィルタ(40)が回転する。制御部(C)は、設定された加湿量または風量に基づいて、ファン(21)及び加湿フィルタ(40)の回転数を制御する。
【0062】
ファン(21)の回転により、吸込口(15)から吸い込まれた室内空気は、送風室(2)から空気清浄室(3)へ搬送される。空気清浄室(3)に搬送された空気は、空気清浄ユニット(U2)を通過することで清浄化される。空気清浄ユニット(U2)を通過した空気は加湿室(4)へ搬送される。
【0063】
加湿室(4)に流入した空気は、回転している加湿フィルタ(40)を通過することで加湿される。加湿フィルタ(40)は、複数の水汲み部(42a)から次々に給水されることで、吸水状態を維持する。そのため、加湿フィルタ(40)を通過する空気は加湿され続ける。
【0064】
加湿室(4)から流出した空気は、吹出口(14)から室内空間(S)に向かって吹き出される。室内空間(S)の湿度が目標湿度に達すると加湿運転を停止する。具体的に、制御部(C)は加湿フィルタ(40)の回転を停止させる。なお、制御部(C)は、ファン(21)の運転を継続する。
【0065】
(9-2)空気清浄運転
空気清浄運転は、吸い込んだ室内空気を清浄化する運転である。制御部(C)は、選択された運転モードや風量に基づいてファン(21)の回転数を制御する。
【0066】
空気清浄運転では、上記加湿運転と同様に空気通路(AP)の空気は空気清浄ユニット(U2)を通過することで清浄化される。なお、空気清浄運転のみを実行する場合、加湿フィルタの回転は停止している。
【0067】
(10)加湿フィルタから発生する生乾き臭の抑制について
トレイ(50)内の水位低下により水汲み部(42a)がトレイ(50)内の水を汲めなくなると、加湿フィルタ(40)への水の供給量が減少して加湿フィルタ(40)の吸水率は低下する。加湿フィルタ(40)の吸水率が低下した状態が継続すると、気化フィルタ(41)は生乾きの状態になる。気化フィルタ(41)が生乾きになると、気化フィルタ(41)から雑菌等による不快臭が発生する。ファン(21)は継続して回転しているため、気化フィルタ(41)から発生する不快臭が吹出口(14)から室内空間(S)に吹き出され、ユーザに不快感を与えることになる。
【0068】
これに対し、加湿フィルタ(40)の吸水率が低下した場合、ファン(21)の回転数を低下させることにより吹出口(14)からの不快臭の吹き出しを抑えることはできるが、タンク(60)に給水されるまではファンは低速運転を継続するため、その間は空気清浄機能が低下してしまう。
【0069】
本実施形態の空気処理装置(1)は、空気清浄機能と加湿機能とを有し、不快臭の発生の抑制及び空気清浄機能の低下の抑制を両立させる。以下、具体的に説明する。
【0070】
(11)運転モード
本実施形態の空気処理装置(1)は、通常運転モード、第1モード及び第2モードを有する。各種の運転モードは制御部(C)により実行される。
【0071】
(11-1)通常運転モード
本実施形態の通常運転モードは、上述した加湿運転である。通常運転モードでは、ファン(21)と加湿フィルタ(40)とが設定された所定の回転数で運転される。所定の回転数は、ユーザの操作に基づいて選択された風量モードに基づいてもよいし、選択された加湿機能の強さに基づいてもよい。加湿フィルタ(40)の回転数は、加湿機能の強さによって制御されてもよい。
【0072】
(11-2)第1モード
第1モードは、ファン(21)を運転する通常運転モードの実行中に、加湿フィルタ(40)の吸水率が低下する状態を示す第1条件が成立した場合、加湿フィルタ(40)の回転数を低下させ、かつ、ファン(21)の運転を停止する運転モードである。
【0073】
第1条件は、トレイ(50)の貯水量が所定量以下になった状態のときに成立する。具体的に、トレイ(50)の水位が第1水位よりも低くなったときに成立する。第1水位は、1つの水汲み部(42a)が汲むことができる水の量が低下し始める水位である。具体的に、トレイ(50)の水位が第1水位よりも高い場合の気化フィルタ(41)の吸水率を100%とすると、トレイ(50)の水位が第1水位よりも低くなると、水汲み部(42a)が汲むことができる水の量は減少するため、気化フィルタ(41)の吸水率は100%を下回る。
【0074】
この場合、タンク(60)に給水することで、タンク(60)からトレイ(50)に水が供給される。トレイ(50)に水が供給されるとトレイ(50)の水位が上昇する。この水位が第1水位以上になると、水汲み部(42a)は十分な水の量を汲み上げることができ、再び気化フィルタ(41)の吸水率は100%になる。
【0075】
上述の通り、加湿フィルタ(40)の吸水率が低下した状態が継続されると、気化フィルタ(41)は生乾きの状態となって、気化フィルタ(41)から不快臭が発生し得る。しかし、第1モードでは、ファン(21)の運転が停止するため、空気通路(AP)の空気は加湿フィルタ(40)を通過することが制限される。そのため、吹出口(14)から不快臭を含んだ空気が吹き出されることが抑えられる。このように、第1モードでは、ファン(21)の運転が停止することで空気清浄機能は停止するが、不快臭を含む空気の吹き出し抑制が最優先で行われる。
【0076】
(11-3)第2モード
第2モードは、通常運転モードの実行中に第1条件が成立した場合、加湿フィルタ(40)及びファン(21)の回転数を低下させる運転モードである。具体的に、トレイ(50)の水位が第1水位よりも低くなると通常運転モードから加湿フィルタ(40)及びファン(21)の回転数が低下する。
【0077】
これにより、通常運転モードよりも空気清浄機能は低下するが、吹出口(14)から吹き出される不快臭を含んだ空気量は低下する。このように、第2モードでは、空気清浄機能を継続させつつ、不快臭を含む空気の吹き出し抑制が行われる。第2モードは、ファン(21)の運転を停止させる第1モードよりも不快臭を含む空気の吹き出し抑制の効果は低い。
【0078】
(12)空気処理装置の運転制御
本実施形態の空気処理装置(1)の運転制御について
図5を参照しながら説明する。
【0079】
ステップS11では、制御部(C)は、通常運転モードを実行する。通常運転モードは、加湿運転である。加湿運転では、ファン(21)と加湿フィルタ(40)とが回転する。
【0080】
ステップS12では、制御部(C)は、第1条件が成立したか判定する。具体的に、トレイ(50)の水位が第1水位より低いか否か判定される。第1条件が成立した判定された場合(ステップS12のYES)、ステップS13が実行される。また制御部(C)は、報知部(81)に所定の信号を出力する。報知部(81)の制御については後述する。第1条件が成立しなかったと判定された場合(ステップS12のNO)、再度ステップS12が実行される。
【0081】
ステップS13では、制御部(C)は、第1モードまたは第2モードが選択されているか判定する。第1モードまたは第2モードが選択されている場合(ステップS13のYES)、ステップS14が実行される。第1モード及び第2モードのいずれも選択されていない場合(ステップS13のNO)、通常運転モードは継続されステップS12が実行される。
【0082】
ステップS14では、制御部(C)は、第1モードが選択されたか判定する。第1モードが選択されていると判定された場合(ステップS14のYES)、ステップS15が実行される。第1モードが選択されていないと判定された場合(ステップS14のNO)、第2モードが選択されたと判定され、ステップS19が実行される。
【0083】
ステップS15では、制御部(C)は、空気の汚れレベルが「5」より低いか判定する。空気の汚れレベルが「5」未満と判定された場合(ステップS15のYES)、ステップS16が実行される。空気の汚れレベルが「5」であると判定された場合(ステップS15のNO)、通常運転モードが継続されステップS12が実行される。
【0084】
ステップS16では、制御部(C)は、第1モードを実行する。第1モードの移行により、加湿フィルタ(40)の回転数は低下し、かつ、ファン(21)の回転は停止する。
【0085】
ステップS17では、制御部(C)は、第1モードの停止条件が成立したか判定する。第1モードの停止条件は、空気の汚れレベルが所定値である「5」になったこと、または、タンク(60)への給水によりトレイ(50)の水位が第1水位以上になったことである。第1モードの停止条件が成立したと判定された場合(ステップS17のYES)、ステップS18が実行される。1モードの停止条件が成立したと判定されなかった場合(ステップS17のNO)、再びステップS17が実行される。
【0086】
ステップS18では、制御部(C)は、通常運転モードを再開する。この場合の通常運転モードでは、ファン(21)及び加湿フィルタ(40)は、第1モードに移行する前の回転数で運転する。ステップS18において通常運転モードが再開された場合、制御部(C)は、上述のステップS12からの処理を繰り返す。
【0087】
ステップS19では、制御部(C)は、第2モードの移行条件が成立したか判定する。第2モードの移行条件は、空気の汚れレベルが「1」であり、かつ、ファン(21)の設定が「弱モード」、「標準モード」または「自動モード」に設定されていることである。第2モードの移行条件が成立したと判定された場合(ステップS19のYES)、ステップS19が実行される。第2モードの移行条件が成立しないと判定された場合(ステップS19のNO)、通常運転モードは継続され、ステップS12が実行される。
【0088】
ステップS20では、制御部(C)は、第2モードを実行する。第2モードに移行すると、制御部(C)は、加湿フィルタ(40)及びファン(21)の回転数を低下させる。
【0089】
ステップS21では、制御部(C)は、第2モードの停止条件が成立したか判定する。第2モードの停止条件は、空気の汚れレベルが所定値である「2」以上になったこと、または、タンク(60)への給水によりトレイ(50)の水位が第1水位以上になったことである。第2モードの停止条件が成立したと判定された場合(ステップS21のYES)、通常運転モードが再開される(ステップS18)。この場合の通常運転モードでは、ファン(21)及び加湿フィルタ(40)は、第1モードに移行する前の回転数で運転する。第2モードの停止条件が成立しないと判定された場合(ステップS21のNO)、再びステップS21が実行される。
【0090】
(13)報知部の制御
報知部の制御について、
図6を参照しながら説明する。
【0091】
ステップS31~S32は、ステップS11~S12と同じであるため説明を省略する。
【0092】
ステップS33では、制御部(C)は、所定の信号を出力することで報知部(81)を作動させる。報知部(81)は、貯水量が所定量以下になったことを表示または発報する。具体的に、報知部(81)は、ユーザに対してタンク(60)に給水する旨を音、光、または表示によりユーザに報知する。
【0093】
ステップS34では、制御部(C)は、第1条件が成立したか再び判定する。トレイ(50)の水位が第1水位より低いと判定された場合(ステップS34のYES)、再びステップS34が実行される。トレイ(50)の水位が第1水位以上であるとされた場合(ステップS34のNO)、ステップS35が実行される。
【0094】
ステップS35では、制御部(C)は、報知部(81)の作動を停止させる。このことにより、報知部(81)は報知を停止する。
【0095】
(14)特徴
(14-1)特徴1
本実施形態の空気処理装置(1)は、通常運転モードの実行中に、加湿フィルタ(40)の吸水率が低下する状態を示す第1条件が成立した場合、前記ファン(21)の運転を停止する第1モードへ移行し、かつ、第1モードの実行中に空気の汚れレベルが所定値以上になったとき通常運転モードを再開する。
【0096】
本実施形態によると、通常運転モードの実行中に第1条件の成立によりファン(21)の運転を停止する。このことにより、加湿フィルタ(40)が生乾きになったときに発生する不快臭が空気処理装置(1)から吹き出されることが抑制される。さらに、空気の汚れレベルが「5」になると通常運転モードを再開する。このことで、室内空間(S)の空気汚れがひどくなることが抑制される。このように、加湿フィルタ(40)の不快臭の吹き出しの抑制と、空気清浄機能の低下の抑制とを両立できる。
【0097】
(14-2)特徴2
本実施形態の空気処理装置(1)は、通常運転モードの実行中に第1条件が成立した場合、ファン(21)の回転数を低下させる第2モードへ移行し、かつ、第2モードの実行中に、空気の汚れレベルが所定値になったとき、通常運転モードを再開する。第1モードから通常運転モードが再開される空気の汚れレベルは、第2モードから通常運転モードが再開される空気の汚れレベルよりも高い。
【0098】
本実施形態によると、第1モードは、第2モードよりも不快臭の吹き出し抑制を最優先で行う。第2モードは、空気清浄機能を通常運転モードよりも低下させつつ、不快臭の吹き出し抑制を行う。このように、空気処理装置(1)は、第1条件が成立したときに2つの異なるモードを選択的に実行できる。
【0099】
(14-3)特徴3
本実施形態の空気処理装置(1)では、ファン(21)の回転数が所定量より高い通常運転モードの実行中において、第1条件が成立したとき、制御部(C)は、第1モードが選択されていた場合は第1モードへ移行する一方、第2モードが選択されていた場合は通常運転モードを継続する。
【0100】
本実施形態によると、通常運転モードにおいて、ファン(21)の回転数が所定量よりも高い「強モード」または「サーキューレータモード」では、比較的強い空気清浄運転が実行される。そのため、第2モードが選択されている場合、第1条件が成立しても第2モードに移行せず通常運転モードを継続することで、空気清浄を優先して行うことができる。
【0101】
(14-4)特徴4
本実施形態の空気処理装置(1)では、第1モード及び第2モードは、ユーザの操作によって選択される。これにより、ユーザは、不快臭の吹き出し抑制を最優先で行うか、不快臭の吹き出し抑制と空気清浄とを行うかを選択できる。
【0102】
(14-5)特徴5
本実施形態の空気処理装置(1)では、加湿フィルタ(40)の吸水率が低下する状態は、トレイ(50)の貯水量が所定量以下になった状態である。具体的に、第1条件は、トレイ(50)の水位が第1水位より低下すると成立する。このことで、加湿フィルタ(40)の吸水率が低下したことを把握できる。
【0103】
(14-6)特徴6
本実施形態の空気処理装置(1)は、所定の情報をユーザに報知する報知部(81)を備える。報知部(81)は、トレイ(50)の水位が第1水位よりも低下したことを音、光、または表示によりユーザに報知する。
【0104】
ユーザにタンク(60)への給水が促される結果、不快臭の発生を未然に抑制できる。これにより第1モードの運転から通常運転モードに比較的早く切り換えることができ、空気清浄機能を早く復帰できる。
【0105】
(14-7)特徴7
本実施形態の空気処理装置(1)は、空気中の臭い及び埃を検知する臭いセンサ(93)を備える。空気の汚れレベルは、臭いセンサ(93)による検出値に基づく値である。臭いセンサ(93)の検出値に基づいて、室内空間(S)の空気の汚れ度合いを把握できる。
【0106】
(14-8)特徴8
本実施形態の空気処理装置(1)は、通常運転モードの実行中、加湿フィルタ(40)を回転させ、第1条件が成立すると加湿フィルタ(40)の回転数を低下させる。
【0107】
本実施形態によると、第1モードまたは第2モードでは、加湿フィルタ(40)の回転数は、通常運転モードよりも低下する。このことにより、水汲み部(42a)が水を汲む速度が抑えられ、トレイ(50)内の水位低下の速度が抑えられる。加湿フィルタ(40)の吸水率の低下が抑制され、加湿フィルタ(40)が生乾き状態になるまで時間を延ばすことができる。
【0108】
(15)その他の実施形態
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0109】
第1条件は、室内空間(S)の湿度が設定湿度に達したことによる加湿フィルタ(40)への給水が停止した状態であるとしてもよい。具体的に、室内空間(S)の湿度が設定湿度に達すると、それ以上室内空間(S)の空気を加湿する必要はないため、加湿フィルタ(40)の回転は停止する。加湿フィルタ(40)への給水が停止するため、この状態が継続されると気化フィルタ(41)は生乾きの状態となる結果、不快臭が発生し得る。
【0110】
空気処理装置(1)は、通常運転モードの実行中、加湿フィルタ(40)の回転を停止させてもよい。言い換えると、通常運転モードは加湿を行わない空気清浄運転としてもよい。
【0111】
第1モード及び第2モードでは、第1条件が成立しても、加湿フィルタ(40)の回転数を維持するとしてもよい。このことにより、トレイ(50)内の残りの水の供給が維持されるため、加湿フィルタ(40)の吸水率の低下を抑制できる。言い換えると、気化フィルタ(41)が生乾き状態になるまで時間を延ばすことができる。
【0112】
上記実施形態において、第1モードの停止条件または第2モードの停止条件は、空気の汚れレベルがそれぞれ設定された汚れレベルになった時に加え、ユーザの操作により加湿運転がONからOFFに切り換わったとき、運転モードを変更したとき、空気処理装置(1)の運転を停止したとき、または電源をリセットしたときの少なくとも1つが行われたときとしてもよい。
【0113】
第1モードまたは第2モードから再開された通常運転モードは、第1モードまたは第2モードの移行前の通常運転モードと同じでなくてもよい。言い換えると、第1モードまたは第2モードから再開された通常運転モードと、第1モードまたは第2モードの移行前の通常運転モードとで、ファン(21)の回転数または加湿フィルタ(40)の回転数が異なっていてもよい。
【0114】
臭いセンサ(93)は、空気の臭いまたは空気中の埃を検出してもよい。
【0115】
上記実施形態において、第1モードから通常運転モードが再開されるときの室内空間(S)の空気の汚れレベルは、第1モードから通常運転モードが再開されるときの室内空間(S)の空気の汚れレベルよりも高ければよく、例えば「2」以上であってもよい。
【0116】
空気処理装置(1)の制御のステップS19において、空気の汚れレベルが「1」であれば、第2モードに移行せず通常運転モードが継続されるとしてもよい。また、ファン(21)の所定回転数より高い「強モード」または「サーキューレータモード」の場合、第2モードに移行せず通常運転モードが継続されるとしてもよい。また、ファン(21)の回転数によらず、空気清浄機能を優先させる運転が設定されている場合、第2モードに移行せず通常運転モードが継続されるとしてもよい。
【0117】
空気の汚れ度合いとして、5段階の汚れレベルに分類される例を説明したが、5段階以上または4段階以下の汚れレベルで分類されてもよい。また、臭いセンサ(93)によって検知された数値の閾値を設定して、汚れ度合いを判定してもよい。
【0118】
以上、実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態及び変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0119】
以上説明したように、本開示は、空気処理装置について有用である。
【符号の説明】
【0120】
1 空気処理装置
10 ケーシング
21 ファン
40 加湿フィルタ
50 トレイ(貯水部)
81 報知部
93 臭いセンサ(センサ)
AP 空気通路
C 制御部
S 対象空間(室内空間)
U2 空気清浄部