(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003410
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】機能的骨盤ベルト
(51)【国際特許分類】
A61F 5/01 20060101AFI20240105BHJP
A61F 5/02 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
A61F5/01 K
A61F5/02 K
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102531
(22)【出願日】2022-06-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】522256831
【氏名又は名称】医療法人田中整形外科医院
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】弁理士法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏和
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB08
4C098BC03
4C098BC13
4C098BC16
(57)【要約】
【課題】骨盤輪不安定症の症状をより効果的に改善することができる骨盤ベルトを提供する。
【解決手段】骨盤ベルト1は、着用者100の腰の周囲に全周に亘って巻き付けられるように装着可能な横ベルト10と、着用者100の股間に通されるように装着可能であり、一端側において横ベルト10の後部に固定される被固定部22を有し、他端側において横ベルト10の前部の外側の面に仮止め可能な仮止め部24を有する縦ベルト20と、横ベルト10に仮止め部24が仮止めされた状態において縦ベルト20の前部を外側から押さえ付けて横ベルト10に固定させる固定ベルト30とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の腰の周囲に全周に亘って巻き付けられるように装着可能な横ベルトと、
前記着用者の股間に通されるように装着可能であり、一端側において前記横ベルトの後部に固定される被固定部を有し、他端側において前記横ベルトの前部の外側の面に仮止め可能な仮止め部を有する縦ベルトと、
前記横ベルトに前記仮止め部が仮止めされた状態において前記縦ベルトの前部を外側から押さえ付けて前記横ベルトに固定させる固定ベルトと、を備えていることを特徴とする骨盤ベルト。
【請求項2】
前記固定ベルトは、前記縦ベルトを左側および右側からそれぞれ固定する一対のベルトから構成され、
前記一対のベルトのそれぞれは、前記横ベルトの側部から前記縦ベルトの前部にかけて前記横ベルト及び前記縦ベルトの外側の面に押し付けられるように装着可能であることを特徴とする請求項1に記載の骨盤ベルト。
【請求項3】
前記一対のベルトのそれぞれの第1の端部は、前記横ベルトに固定され、
前記一対のベルトのそれぞれの第2の端部は、前記縦ベルトの外側の面に着脱可能となっていることを特徴とする請求項2に記載の骨盤ベルト。
【請求項4】
前記縦ベルトの前部に、左右両側に拡がる拡幅部が設けられ、
前記拡幅部の外側の面に、前記一対のベルトの前記第2の端部が着脱可能に係合される係合部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の骨盤ベルト。
【請求項5】
前記縦ベルトの前記被固定部は、前記横ベルトの内側に重ねられた状態で前記横ベルトに固定可能となっていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の骨盤ベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨盤を固定ないし矯正するために用いられる骨盤ベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
骨盤輪不安定症(骨盤のゆるみ)は、女性の骨盤の形態学的特徴及び女性ホルモンの影響により女性に多く見られるものである。骨盤輪とは、下肢から腰椎への体重伝達にあずかる骨盤の主要骨格部分のことであり、左右の仙腸関節および恥骨結合により連結されている輪状部分を指す。これらの連結部にゆるみが生じると、腰痛、殿部痛、股関節部痛、及び大腿部痛などの様々な症状が出るようになり、寝返りが辛い、仰臥位になれない、長く立っていられないなどの愁訴が出現するようになる。本ベルトは、この連結部のゆるみを復元する目的で作ったものである。
【0003】
上記の症状および愁訴を緩和するために、仙腸関節を締め付けて固定しようとする試みがある。そのため、流通している多くの骨盤ベルトは、腰回りに巻き付けられるベルトで構成されている。この種の骨盤ベルトには、着用中にずり上がりが生じて固定力が減少したり、強く締め付け過ぎた場合に運動障害が生じたりする課題がある。
【0004】
これに対して、特許文献1には、上記のように腰回りに巻き付けられる横ベルト(伸縮バンド帯)に加えて、横ベルトに着脱可能な2本の細長いベルト(包着帯)を備えた骨盤ベルトが開示されている。それぞれの細長いベルトは、横ベルトの後部から着用者の股間を通して横ベルトの前部まで延びるように取り付けられる。これにより、横ベルトのずり上がりが抑制されるとともに、座骨の押し上げが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたものを含む従来の骨盤ベルトを用いても、骨盤輪不安定症の症状を効果的に改善できないことがある。これは骨盤輪の力学的機能改善を目的にしたものではないからと考えられる。
【0007】
そこで、本発明は、骨盤輪不安定症の症状をより効果的に改善することができる骨盤ベルトを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る骨盤ベルトは、
着用者の腰の周囲に全周に亘って巻き付けられるように装着可能な横ベルトと、
前記着用者の股間に通されるように装着可能であり、一端側において前記横ベルトの後部に固定される被固定部を有し、他端側において前記横ベルトの前部の外側の面に仮止め可能な仮止め部を有する縦ベルトと、
前記横ベルトに前記仮止め部が仮止めされた状態において前記縦ベルトの前部を外側から押さえ付けて前記横ベルトに固定させる固定ベルトとを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る骨盤ベルトによれば、着用者の骨盤における左右の上前腸骨棘、恥骨結合、及び仙骨下方部を同時に押さえることで、骨盤輪に加わろうとする異常運動を効果的に抑制することができる。より具体的に、横ベルトのずり上がりは縦ベルトによって規制され、横ベルトに対する縦ベルトの固定強度は固定ベルトによって良好に維持される。そのため、左右の上前腸骨棘、恥骨結合、及び仙骨下方部がそれぞれ所要の力で圧迫された状態を良好に維持することができる。したがって、着用者の骨盤輪不安定症の症状を効果的に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る骨盤ベルトの使用例を示す正面図である。
【
図3】同骨盤ベルトを構成する各ベルトの外側の面を示す分解図である。
【
図4】同骨盤ベルトを構成する各ベルトの内側の面を示す分解図である。
【
図5】同骨盤ベルトの装着手順を説明するための正面図である。
【
図6】同骨盤ベルトの装着手順を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。
【0012】
[骨盤の構造]
本実施形態に係る骨盤ベルト1について説明する前に、骨盤の構造について簡単に説明する。
【0013】
図7に示すように、ヒトの骨盤は、仙骨110と左右の寛骨112とを備えている。仙骨110と各寛骨112は、仙腸関節120を介して互いに結合され、左右の寛骨112は恥骨結合122を介して互いに結合されている。骨盤の主要骨格部分である骨盤輪130は、左右の仙腸関節120及び恥骨結合122により連結されている輪状部分を指す。
【0014】
本願発明者は、左右の寛骨112における上前腸骨棘114、恥骨結合122、及び仙骨110下方部が同時に圧迫されることで、骨盤輪130に加わろうとする異常運動が効果的に抑制されると考えている。上前腸骨棘114、恥骨結合122、及び仙骨110下方部の4点を同時に圧迫することは、本実施形態に係る骨盤ベルト1の装着によって実現することができる。以下、骨盤ベルト1について説明する。
【0015】
[骨盤ベルト]
図1の正面図および
図2の背面図に示すように、骨盤ベルト1は、着用者100の腰の周囲に全周に亘って巻き付けられるように装着可能な横ベルト10と、着用者100の股間に通されるように装着可能な縦ベルト20と、縦ベルト20の前部を横ベルト10に固定させる固定ベルト(一対のベルト)30とを備えている。
【0016】
図1及び
図2に
図3及び
図4を併せて参照しながら、横ベルト10、縦ベルト20、及び固定ベルト30の構成について具体的に説明する。
図3は、横ベルト10、縦ベルト20、及び固定ベルト30の外側の面(表面)を示す図であり、
図4は、横ベルト10及び縦ベルト20の内側の面(裏面、すなわち着用者100との密着面)を示す図である。
【0017】
[横ベルト]
横ベルト10は、着用者100の腰に後ろ側から押し当てられる中央ベース部11と、中央ベース部11の左端部および右端部からそれぞれ横方向に延びる一対のウイング部12とを備えている。
【0018】
中央ベース部11は、例えば、上底よりも下底が長い台形状となっている。中央ベース部11の内側の面には、縦ベルト20の後端部が着脱可能に係合される第1係合部13が設けられている。第1係合部13は、例えば面ファスナーで構成されている。
【0019】
ウイング部12は、着用者100の腰の側部を経由して正面部まで巻き付けられる部分である。各ウイング部12は、着用者100の正面側において他方のウイング部12と重なるような長さを有する。各ウイング部12は、例えば、先端に向かって徐々に幅が狭くなるテーパ状に形成されている。
【0020】
ウイング部12は、長さ方向に伸縮可能な伸縮部14を有する。伸縮部14は、ウイング部12の長さ方向中間部、より具体的には、着用者100の腰の側部に押し当てられる部分に設けられている。伸縮部14は、例えば、メッシュ生地で構成されている。
【0021】
ウイング部12の先端部には、任意の面ファスナーに対して着脱可能な第2係合部15が設けられている。第2係合部15は、例えば、その全面に亘って任意の面ファスナーに係合可能な生地で構成されている。本実施形態では、ウイング部12における伸縮部14よりも先端側の部分全体が第2係合部15となっている。
【0022】
一方のウイング部12の先端部の内側の面には、他方のウイング部12の第2係合部15に係合可能な第3係合部16が設けられている。第3係合部16は、面ファスナーで構成されている。なお、本実施形態において、第3係合部16は、着用者100の腰の右側に巻き付けられるウイング部12に設けられているが、左側のウイング部12に設けられてもよい。
【0023】
[縦ベルト]
図3及び
図4における縦ベルト20の上側部分は、着用者100の背面側に装着される部分(後部)であり、
図3及び
図4における縦ベルト20の下側部分は、着用者100の正面側に装着される部分(前部)である。
【0024】
縦ベルト20の長さ方向中間部、すなわち着用者100の股間に通される部分には、補強部21が設けられている。補強部21は、縦ベルト20の長さ方向に延びる帯状部である。補強部21は、例えば、2層の生地の間に板状の芯材が介在することで構成されている。
【0025】
縦ベルト20の第1の端部(後ろ側の端部)には、横ベルト10の後部に固定される被固定部22が設けられている。被固定部22は、縦ベルト20の外側の面に設けられている。被固定部22は、例えば、面ファスナーで構成されている。被固定部22は、横ベルト10の第1係合部13に着脱可能となっている。
【0026】
縦ベルト20の第2の端部(前側の端部)には、左右両側に拡がる拡幅部23が設けられている。拡幅部23は、例えば、先端に向かって徐々に幅が拡がるような三角形状に形成されている。
【0027】
図4に示すように、拡幅部23の内側の面には、横ベルト10の前部に仮止め可能な仮止め部24が設けられている。より具体的に、仮止め部24は、ウイング部12の第2係合部15の外側の面に着脱可能となっている。仮止め部24は、拡幅部23の幅方向中央部に設けられている。仮止め部24は、面ファスナーで構成されている。
【0028】
図1及び
図3に示すように、拡幅部23の外側の面には、固定ベルト30の先端部が着脱可能に係合される第4係合部25が設けられている。第4係合部25は、拡幅部23の幅方向中央よりも左側および右側に1つずつ設けられている。第4係合部25は、例えば面ファスナーで構成されている。各第4係合部25は、幅方向に延びるように設けられている。より具体的に、第4係合部25は、幅方向外側に向かって長さ方向の先端側に傾斜して配置されている。第4係合部25は、拡幅部23の略全幅に亘って配置されている。第4係合部25が幅方向の広い範囲に亘って設けられていることにより、縦ベルト20の前部に対する固定ベルト30の係合可能な領域が広く確保されている。
【0029】
[固定ベルト]
図1及び
図3に示すように、本実施形態に係る骨盤ベルト1は、一対の固定ベルト30を備えている。固定ベルト30は、横ベルト10に縦ベルト20の仮止め部24(
図4参照)が仮止めされた状態において縦ベルト20の前部を外側から押さえ付けて横ベルト10に固定させる機能を有する。
【0030】
図2及び
図3に示すように、各固定ベルト30の第1の端部には、横ベルト10に固定される被固定部31が設けられている。被固定部31は、例えば縫い付けによって、横ベルト10に固定されている。より具体的に、被固定部31は、例えば、横ベルト10のウイング部12における伸縮部14の基端側に隣接する部分に固定されている。また、被固定部31は、ウイング部12の幅方向(上下方向)の中央よりも上側部分に固定されている。固定ベルト30は、常に横ベルト10に固定されていることにより、脱落が防止される。
【0031】
各固定ベルト30は、被固定部31からウイング部12の長さ方向に沿って延びるように設けられている。固定ベルト30は、ウイング部12よりも短く、ウイング部12の先端には届かない長さを有する。固定ベルト30における被固定部31とは反対側の端部は、横ベルト10に固定されない自由端となっている。
【0032】
固定ベルト30の自由端には、縦ベルト20の外側の面に着脱可能な第5係合部32が設けられている。より具体的に、第5係合部32は、縦ベルト20の第4係合部25に係合可能となっている。第5係合部32は、例えば面ファスナーで構成されている。
【0033】
[骨盤ベルトの装着手順]
主として
図5及び
図6を参照しながら、骨盤ベルト1の装着手順について説明する。
【0034】
図5に示すように、まず、横ベルト10が着用者100の腰に巻き付けられるように装着される。具体的には、横ベルト10の中央ベース部11が腰の後部に押し当てられながら、一方(左側)のウイング部12が側方から正面側へ巻き付けられ、さらに他方(右側)のウイング部12も同様に巻き付けられる。このとき、骨盤が側方から圧迫されるように両方のウイング部12が締め付けられる。
【0035】
さらに、ウイング部12の伸縮部14が適宜伸ばされながら、正面側でウイング部12の先端部同士が重ね合わされ、一方(左側)のウイング部12の第2係合部15の外側の面に他方(右側)のウイング部12の第3係合部16が係合される。これにより、横ベルト10が腰に装着される。
【0036】
ただし、このような横ベルト10の装着作業の前に、横ベルト10の第1係合部13(
図2参照)に、縦ベルト20の後端部を予め固定しておくことが好ましい。ここで、縦ベルト20の後端部にある被固定部22は、縦ベルト20の外側の面に設けられており、横ベルト10の内側に重ねられた状態で横ベルト10に固定可能となっている。そのため、横ベルト10の装着が完了すると、着用者100の腰と横ベルト10との間に介在する縦ベルト20の後端部は、横ベルト10によって外側から押し付けられることで、横ベルト10に強固に固定された状態になる。
【0037】
続いて、横ベルト10の後部に縦ベルト20の後端部の被固定部22が固定された状態で、縦ベルト20の装着が行われる。
【0038】
縦ベルト20は、着用者100の股間に通されて装着される。このとき、骨盤が後方および下方から圧迫されるように、縦ベルト20が締め付けられる。
図6に示すように、着用者100の正面側に配置された縦ベルト20の拡幅部23は、横ベルト10の前部に仮止めされる。具体的には、拡幅部23の内側の面にある仮止め部24(
図4参照)が、横ベルト10の前部における外側のウイング部12の第2係合部15(
図5参照)に仮止めされる。
【0039】
図6に示す仮止め状態でおいて、縦ベルト20の前部は、横ベルト10に対して強固には固定されておらず、このままの状態では縦ベルト20による骨盤への圧迫が不足または不安定になり得る。
【0040】
そこで、固定ベルト30を用いて、縦ベルト20が横ベルト10に完全に固定される。具体的に、縦ベルト20は、一対の固定ベルト30によって左側および右側からそれぞれ固定される。より具体的には、縦ベルト20の左側の第4係合部25に左側の固定ベルト30の第5係合部32が係合され、縦ベルト20の右側の第4係合部25に右側の固定ベルト30の第5係合部32が係合される。
【0041】
このとき、縦ベルト20の第4係合部25は、固定ベルト30の長さ方向に沿って延びるように配置されており、第4係合部25の長さ範囲における任意の位置で固定ベルト30の第5係合部32が係合可能になっている。そのため、着用者100の体型に関わらず、固定ベルト30の第5係合部32を縦ベルト20の第4係合部25に確実に係合させることができる。
【0042】
この係合作業は、固定ベルト30の先端部が着用者100の正面側に十分に引っ張られた状態で行われる。これにより、各固定ベルト30は、横ベルト10の側部から縦ベルト20の前部にかけて横ベルト10及び縦ベルト20の外側の面に押し付けられるように装着される。これにより、縦ベルト20の前部は、固定ベルト30によって外側から押し付けられることで、横ベルト10に強固に固定される。
【0043】
以上の手順により、骨盤ベルト1の装着が完了する(
図1参照)。なお、骨盤ベルト1の装着後に着用者100の股間から縦ベルト20を一時的に取り外す必要が生じたときは、縦ベルト20の第4係合部25から固定ベルト30の第5係合部32を外すとともに、横ベルト10の第2係合部15から縦ベルト20の仮止め部24を外せばよい。このとき、横ベルト10は装着したままでよいため、側方から骨盤を圧迫した状態は維持できる。
【0044】
図1及び
図2に示す骨盤ベルト1の装着状態において、着用者100の左右の上前腸骨棘114(
図7参照)は、横ベルト10及び一対の固定ベルト30によって効果的に圧迫される。また、着用者100の恥骨結合122及び仙骨110下方部(
図7参照)は、縦ベルト20によって効果的に圧迫される。
【0045】
骨盤ベルト1の装着状態において、横ベルト10、縦ベルト20、及び固定ベルト30は、相互に固定されていることによりそれぞれの変位が規制されている。そのため、例えば、横ベルト10のずり上がりが縦ベルト20によって抑制されることで、横ベルト10による上前腸骨棘114等の圧迫状態を良好に維持することができる。また、各固定ベルト30には、縦ベルト20によって斜め下方に引っ張られる力が作用するため、固定ベルト30によって上前腸骨棘114をより効果的に圧迫することができる。さらに、縦ベルト20は、固定ベルト30によって横ベルト10に強固に固定されており、縦ベルト20の前部には、一対の固定ベルト30によって斜め左上方および斜め右上方に引っ張られる力が作用する。そのため、縦ベルト20のずり下がり又は緩みが抑制されることで、縦ベルト20による恥骨結合122及び仙骨110下方部の圧迫状態を良好に維持することができる。
【0046】
このように、本実施形態に係る骨盤ベルト1を装着すれば、上前腸骨棘114、恥骨結合122、及び仙骨110下方部の4点が同時に圧迫されることで、骨盤輪130の緩みを効果的に制限して、骨盤輪130の固定および安定を効果的に実現できる。したがって、骨盤輪130に加わろうとする異常運動が効果的に制限され、着用者100の腰痛、殿部痛、股関節部痛、および大腿部痛などの骨盤輪不安定症の症状を効果的に改善し、寝返りが辛い、仰臥位になれない、長く立っていられないなどの愁訴を抑制することができる。
【0047】
また、骨盤ベルト1によって骨盤周囲筋が圧迫されることもないため、着用者100は、骨盤ベルト1を装着した状態で運動を行うことも可能である。
【0048】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0049】
例えば、上述の実施形態では、2本の固定ベルト30を備えた骨盤ベルト1について説明したが、本発明において、固定ベルトの本数は、横ベルトに縦ベルトを固定させる機能を果たし得る限り、1本または3本以上であってもよい。
【0050】
また、上述の実施形態では、固定ベルト30の第1の端部が横ベルト10に常時固定されている例について説明したが、本発明において、固定ベルトは、横ベルトに対して着脱可能であってもよい。
【0051】
さらに、上述の実施形態では、縦ベルト20の後端部(被固定部22)が横ベルト10に着脱可能である例について説明したが、本発明において、縦ベルトの後端部は横ベルトに常時固定されていてもよい。
【0052】
また、上述の実施形態では、縦ベルト20の後端部(被固定部22)が横ベルト10の内側の面に固定される例について説明したが、横ベルトの後部が複数の層からなる場合、縦ベルトの後端部は、横ベルトの後部における最内層の内側の面に固定されてもよいし、層間に挟み込まれて固定されてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 骨盤ベルト
10 横ベルト
13 第1係合部
14 伸縮部
15 第2係合部
16 第3係合部
20 縦ベルト
21 補強部
22 被固定部
23 拡幅部
24 仮止め部
25 第4係合部
30 固定ベルト
31 被固定部
32 第5係合部