(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034115
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20240306BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138152
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹田 裕
(72)【発明者】
【氏名】内藤 慶太郎
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP76
5F083ER21
5F083GA10
5F083JA04
5F083JA05
5F083JA19
5F083JA39
5F083JA56
5F083PR03
5F083ZA28
5F101BA46
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】動作信頼性が向上する半導体装置を提供する。
【解決手段】第1の積層体と第2の積層体と半導体膜CHと電荷蓄積膜CTと、を有する半導体装置1であって、第1の積層体は、複数の導電層6が絶縁層7を介して積層される。第2の積層体は、第1の積層体の上方に、複数の導電層が絶縁層を介して積層される。半導体膜CHは、第1の積層体と第2の積層体を、第1の積層体及び第2の積層体の積層方向に通る。電荷蓄積膜CTは、半導体膜と第1の積層体及び第2の積層体との間に配される。第1の積層体における複数の導電層のうち第1の導電層WL4より第2の積層体から遠い第2の導電層DWL1と半導体膜とが交差する位置に情報記憶用の第1のメモリセルが形成される。電荷蓄積膜及び第1の導電層を含む積層方向の断面視において、第2の導電層の上側の角の欠け部6a1の欠け量は、第1の導電層の上側の角の欠け部6a1の欠け量より大きい。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電層が絶縁層を介して積層される第1の積層体と、
前記第1の積層体の上方に配され、複数の導電層が絶縁層を介して積層される第2の積層体と、
前記第1の積層体と前記第2の積層体を、前記第1の積層体及び前記第2の積層体の積層方向に通る半導体膜と、
前記半導体膜と前記第1の積層体及び前記第2の積層体との間に配される電荷蓄積膜と、
を備え、
前記第1の積層体における複数の導電層のうち前記第2の積層体に最も近い第1の導電層と前記半導体膜とが交差する位置に第1のダミーメモリセルが形成され、
前記第1の積層体における複数の導電層のうち前記第1の導電層より前記第2の積層体から遠い第2の導電層と前記半導体膜とが交差する位置に情報記憶用の第1のメモリセルが形成され、
前記電荷蓄積膜、前記半導体膜並びに前記第1及び第2の導電層を含む前記積層方向の断面視における前記第1の導電層の前記電荷蓄積膜との対向部での上側の角の欠け量は、前記断面視における前記第2の導電層の前記電荷蓄積膜との対向部での上側の角の欠け量より大きい
半導体装置。
【請求項2】
前記第1の導電層は、前記上側の角における前記積層方向に垂直な平面方向の欠け量をΔxとし、前記上側の角における前記積層方向の欠け量をΔzとし、前記積層方向の厚さをWWLとするとき、
Δx<Δz(1-Δz/WWL)
を満たす
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記電荷蓄積膜と前記第1の積層体及び前記第2の積層体との間に配され、側面が前記電荷蓄積膜に接触する第1の絶縁膜をさらに備え、
前記第1の導電層は、前記第1の導電層の下面の端部と前記電荷蓄積膜との間における前記第1の絶縁膜の前記平面方向の厚さをtBLK1とするとき、
Δx>(√(1.25)-1)tBLK1
を満たす
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電荷蓄積膜と前記第1の積層体及び前記第2の積層体との間に配される第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜と前記第1の導電層との間に配される第2の絶縁膜と、
をさらに備え、
前記第1の導電層は、前記第1の導電層の下面の端部と前記電荷蓄積膜との間における前記第1の絶縁膜の前記平面方向の厚さをtBLK1、前記第2の絶縁膜の前記平面方向の厚さをtBLK2とするとき、
Δx>(√(1.25)-1)(tBLK1+tBLK2/2.6)
を満たす
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
複数の導電層が絶縁層を介して積層される第1の積層体と、
前記第1の積層体の上方に配され、複数の導電層が絶縁層を介して積層される第2の積層体と、
前記第1の積層体と前記第2の積層体を、前記第1の積層体及び前記第2の積層体の積層方向に通る半導体膜と、
前記半導体膜と前記第1の積層体及び前記第2の積層体との間に配される電荷蓄積膜と、
を備え、
前記第2の積層体における複数の導電層のうち前記第1の積層体に最も近い第1の導電層と前記半導体膜とが交差する位置にダミーメモリセルが形成され、
前記第2の積層体における複数の導電層のうち前記第1の導電層より前記第1の積層体から遠い第2の導電層と前記半導体膜とが交差する位置に情報記憶用のメモリセルが形成され、
前記電荷蓄積膜、前記半導体膜並びに前記第1及び第2の導電層を含む前記積層方向の断面視における前記第1の導電層の前記電荷蓄積膜との対向部での下側の角の欠け量は、前記断面視における前記第2の導電層の前記電荷蓄積膜との対向部での下側の角の欠け量より大きい
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の導電層が絶縁層を介して積層された積層体を柱状の半導体膜が貫通し、各導電層と半導体膜との近接する部分をメモリセルとして機能させる3次元構造の半導体装置が知られている。この半導体装置では、動作信頼性を向上することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-126943号公報
【特許文献2】特開2012-015517号公報
【特許文献3】米国特許第9236395号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、動作信頼性を向上できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態によれば、第1の積層体と第2の積層体と半導体膜と電荷蓄積膜とを有する半導体装置が提供される。第1の積層体は、複数の導電層が絶縁層を介して積層される。第2の積層体は、第1の積層体の上方に配される。第2の積層体は、複数の導電層が絶縁層を介して積層される。半導体膜は、第1の積層体と第2の積層体を、第1の積層体及び第2の積層体の積層方向に通る。電荷蓄積膜は、半導体膜と第1の積層体及び第2の積層体との間に配される。第1の積層体における複数の導電層のうち第2の積層体に最も近い第1の導電層と半導体膜とが交差する位置に第1のダミーメモリセルが形成される。第1の積層体における複数の導電層のうち第1の導電層より第2の積層体から遠い第2の導電層と半導体膜とが交差する位置に情報記憶用の第1のメモリセルが形成される。電荷蓄積膜、半導体膜並びに第1及び第2の導電層を含む積層方向の断面視における第1の導電層の電荷蓄積膜との対向部での上側の角の欠け量は、断面視における第2の導電層の電荷蓄積膜との対向部での上側の角の欠け量より大きい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態にかかる半導体装置の構成を示す斜視図。
【
図2】第1の実施形態にかかる半導体装置の構成を示すブロック図。
【
図3】第1の実施形態におけるメモレイセルアレイの構成を示す回路図。
【
図4】第1の実施形態におけるメモレイセルアレイの構成を示す断面図。
【
図5】第1の実施形態におけるメモレイセルアレイの構成を示す拡大断面図。
【
図6】第1の実施形態における導電層の上側の角の欠け部を示す断面図。
【
図7】第1の実施形態における角の欠け量を規定するパラメータを示す断面図。
【
図8】第1の実施形態における角の欠け量を変化させた場合の欠け部の形状を示す断面図。
【
図9】第1の実施形態におけるΔzの上限(Δxの上限)の規定を示す断面図。
【
図10】第1の実施形態におけるΔxの下限(Δzの下限)の規定を示す断面図。
【
図11】第1の実施形態におけるΔzを変化させた場合のバックトンネル電流の特性を示す図。
【
図12】第1の実施形態におけるΔxを変化させた場合のバックトンネル電流の特性を示す図。
【
図13】第1の実施形態における絶縁膜の厚さを変化させた場合のバックトンネル電流の特性を示す図。
【
図14】第1の実施形態における導電層の厚さを変化させた場合のバックトンネル電流の特性を示す図。
【
図15】第1の実施形態における絶縁膜薄化・絶縁膜誘電率低下・ティアピラー径縮小を行った場合のバックトンネル電流の特性を示す図。
【
図16】第1の実施形態における角の欠け量を規定するパラメータを示す断面図。
【
図17】第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図。
【
図18】第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図。
【
図19】第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図。
【
図20】第2の実施形態における導電層の上側の角の欠け部を示す断面図。
【
図21】第2の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図。
【
図22】第3の実施形態における導電層の上側の角の欠け部を示す断面図。
【
図23】第3の実施形態にかかる半導体装置の製造方法を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体装置を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態にかかる半導体装置は、複数の導電層が絶縁層を介して積層された積層体を柱状の半導体膜が貫通し、各導電層と半導体膜との近接する部分をメモリセルとして機能させる3次元構造を有する。この半導体装置において、動作信頼性を向上するための工夫が施される。
【0009】
半導体装置1は、
図1に示すように構成される。
図1は、半導体装置1の概略構成を示す斜視図である。
【0010】
以下の説明では、基板SUBの表面に平行な平面内で互いに直交する方向をX方向及びY方向とし、より具体的には、X方向はワード線WLの延びる方向とし、Y方向はビット線BLの延びる方向とする。Z方向は、基板SUBの表面に直交する方向とする。このため、Z方向は、X方向及びY方向と直交する。
【0011】
図1に示すように、半導体装置1には、選択ゲートSGSと、ワード線WLと、選択ゲートSGDとが含まれる。選択ゲートSGSは、絶縁層7を介して基板SUBの上に積層される。
図1の例では、選択ゲートSGSは3層設けられる。ワード線WLは、最上層の選択ゲートSGSの上に絶縁層7を介して積層される。
図1の例では、ワード線WLはZ方向に沿って、絶縁層7と交互に複数層設けられる。選択ゲートSGDは、最上層のワード線WLの上に絶縁層7を介して積層される。選択ゲートSGS、ワード線WLおよび選択ゲートSGDは、それぞれX方向及びY方向に延びる板状である。
【0012】
図1の例では、選択ゲートSGD、ワード線WL、及び選択ゲートSGSは、スリットSTによりY方向に分断され絶縁される。ソース線SLは、層間絶縁膜81を介して基板SUBの+Z側に配されている。スリットSTは、ソース線SLの+Z側に設けられ、X方向及びZ方向に延在する。
【0013】
選択ゲートSGDは、例えば、分断膜SHEによりY方向に分断される。
図1の例では、Y方向に分割された選択ゲートSGD0とSGD1が示されている。分断膜SHEは、ワード線WLの上方(+Z側)に設けられ、X方向及びZ方向に延在する。このため、ワード線WL上には、選択ゲートSGD0と選択ゲートSGD1とがY方向に並んで配置される。
図1の例では、選択ゲートSGD0およびSGD1は、それぞれ、3層設けられる。
【0014】
基板SUBは、例えば、シリコン基板である。選択ゲートSGS、ワード線WL、選択ゲートSGDは、例えば、タングステン(W)を含む金属層である。絶縁層7および層間絶縁膜81は、例えば、酸化シリコンを含む絶縁体である。
【0015】
半導体装置1は、複数の柱状体4をさらに備える。柱状体4は、選択ゲートSGS、ワード線WLおよび選択ゲートSGDを貫いて、それらの積層方向であるZ方向に延びる。半導体装置1は、選択ゲートSGDの上方に設けられた複数のビット線BLをさらに備える。
【0016】
柱状体4は、それぞれコンタクトプラグ31を介してビット線BLに電気的に接続される。例えば、選択ゲートSGD0を共有する柱状体4のうちの1つと、選択ゲートSGD1を共有する柱状体4のうちの1つは、1つのビット線BLに電気的に接続される。
【0017】
なお、
図1では、図示の簡略化のために、選択ゲートSGDとビット線BLとの間に設けられる層間絶縁膜を省略している。
【0018】
半導体装置1では、選択ゲートSGD、ワード線WL、及び選択ゲートSGSが、それぞれ、導電層で構成される。ソース線SLの+Z側には、導電層と絶縁層7とが交互に積層された積層体SSTが構成される。積層体SSTが柱状体4で貫通されて3次元的なメモリセルの配列(メモリセルアレイ)が構成される。
【0019】
すなわち、半導体装置1において、ワード線WLと柱状体4とが交差する部分がメモリセルとして機能するように構成され、複数のメモリセルが3次元的に配列されたメモリセルアレイ2が構成される。また、選択ゲートSGSと柱状体4とが交差する部分がソース側選択ゲートとして機能し、選択ゲートSGD0,SGD1と柱状体4とが交差する部分がドレイン側選択ゲートとして機能する。半導体装置1では、積層体SSTにおけるワード線WLの積層数を増やすことによって、より微細なパターニング技術を利用しなくても、記憶容量を増加することが可能である。
【0020】
図2は、半導体装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すように、半導体装置1は、メモリセルアレイ2、周辺回路100、及びインタフェース200を有している。周辺回路100は、WL駆動回路110、SGS駆動回路120、SGD駆動回路130、SL駆動回路140、及びセンスアンプ回路150を含む。
【0022】
WL駆動回路110は、ワード線WLへの印加電圧を制御する回路であり、SGS駆動回路120は、選択ゲートSGSに印加する電圧を制御する回路である。SGD駆動回路130は、選択ゲートSGDに印加する電圧を制御する回路であり、SL駆動回路140は、ソース線SLに印加する電圧を制御する回路である。センスアンプ回路150は、ビット線BLに印加する電圧を制御する回路であるとともに、選択されたメモリセルからの信号に応じて読み出したデータを判定する回路である。
【0023】
周辺回路100は、インタフェース200経由で外部(例えば、半導体装置1が適用されるメモリシステムのメモリコントローラ)から入力された指示に基づいて、半導体装置1の動作を制御する。
【0024】
次に、メモリセルアレイ2の回路構成について
図3を用いて説明する。
図3は、メモリセルアレイ2の構成を示す回路図である。
【0025】
メモリセルアレイ2は、各々が複数のメモリセルトランジスタMTの集合である複数のブロックBLKを有する。以下では、メモリセルトランジスタMTを単にメモリセルMTと呼ぶことにする。
【0026】
各ブロックBLKは、ワード線WLおよびビット線BLに関連付けられたメモリセルMTの集合である複数のストリングユニットSU0,SU1,SU2,SU3を有する。各ストリングユニットSU0~SU3は、メモリセルMTが直列接続された複数のメモリストリングMSTを有する。なお、ストリングユニットSU0~SU3内のメモリストリングMSTの数は任意である。
【0027】
複数のストリングユニットSU0,SU1,SU2,SU3は、複数の選択ゲートSGD0,SGD1,SGD2,SGD3に対応しているとともに選択ゲートSGSを共有しており、ブロックBLKにおける複数の駆動単位として機能する。各ストリングユニットSUは、その対応する選択ゲートSGDと選択ゲートSGSとで駆動され得る。また、各ストリングユニットSUは、複数のメモリストリングMSTを含む。
【0028】
各メモリストリングMSTは、例えば10個のメモリセルMT(MT0~MT9)および選択トランジスタDGT,SGTを含んでいる。メモリセルMTは、コントロールゲートと電荷蓄積膜とを有し、データを不揮発に保持・記憶する。そして10個のメモリセルMTは、選択トランジスタDGTのソースと選択トランジスタSGTのドレインとの間に直列接続されている。なお、メモリストリングMST内のメモリセルMTの個数は10個に限定されない。
【0029】
各ストリングユニットSU0~SU3における選択トランジスタDGTのゲートは、それぞれ選択ゲートSGD0~SGD3に接続される。これに対して各ストリングユニットSUにおける選択トランジスタSGTのゲートは、例えば選択ゲートSGSに共通接続される。
【0030】
各ストリングユニットSU内にある各メモリストリングMSTの選択トランジスタDGTのドレインは、それぞれ異なるビット線BL0~BLk(kは任意の2以上の整数)に接続される。また、ビット線BL0~BLkは、複数のブロックBLK間で各ストリングユニットSU内にある1つのメモリストリングMSTを共通に接続する。更に、各選択トランジスタSGTのソースは、ソース線SLに共通に接続されている。
【0031】
つまりストリングユニットSUは、異なるビット線BL0~BLkに接続され、且つ同一の選択ゲートSGDに接続されたメモリストリングMSTの集合である。また各ブロックBLKは、ワード線WLを共通にする複数のストリングユニットSU0~SU3の集合である。そしてメモリセルアレイ2は、ビット線BL0~BLkを共通にする複数のブロックBLKの集合である。
【0032】
なお、ワード線WLを共有するメモリセルMTの群を「メモリセルグループMCG」と呼ぶことにすると、メモリセルグループMCGは、ワード線WLを介して一括して所定の電圧(例えば、書き込み電圧、読み出し電圧)を印加可能なメモリセルMTの集合の最小単位である。
【0033】
また、ワード線WL4とワード線WL5との間には、ダミーワード線DWL1及びダミーワード線DWL2が設けられる。各メモリストリングMSTにおけるメモリセルMT4とメモリセルMT5との間には、ダミーワード線DWL1及びダミーワード線DWL2に対応してダミーメモリセルDMT1とダミーメモリセルDMT2とが設けられる。ダミーメモリセルDMT1とダミーメモリセルDMT2とは、それぞれ、メモリセルMTと同様の構造を有し、データの記憶に使用されない。
【0034】
次に、メモリセルアレイ2の断面構成について
図4を用いて説明する。
図4は、メモリセルアレイ2の構成を示す断面図である。
【0035】
半導体装置1において、基板SUBの+Z側には、層間絶縁膜81を介して導電層3が配される。導電層3は、不純物を含む半導体(例えば、シリコン)を主成分とする材料または導電物(例えば、タングステンなどの金属)を主成分とする材料で形成され得る。導電層3は、XY方向に板状に延び、ソース線SL(
図1参照)として機能する。導電層3の+Z側には、複数の柱状体4が配される。複数の柱状体4は、XY方向に配列される。各柱状体4は、Z方向に延び、積層体SST(
図1参照)を貫通する。
【0036】
積層体SSTは、複数の積層体SST1,SST2が積層された構造を有する。
図4では、積層体SSTが2つの積層体SST1,SST2に分割される構造が例示されるが、積層体SSTが3つ以上に分割されてもよい。
【0037】
図4に示す各柱状体4は、導電層3の+Z側に、ティア4a、ジョイント部4b、ティア4c、キャップ層4dが順に積層される。積層体SSTは、導電層3の+Z側に、積層体SST1、ジョイント層JL、積層体SST2が順に積層される。積層体SST1,SST2は、それぞれ、ワード線WLなどとして機能する導電層6が絶縁層7を介して積層されて構成される。ティア4aは、Z方向に延び、積層体SST1を貫通する。ジョイント部4bは、ジョイント層JLに対応したZ位置を有する。ジョイント層JLは、酸化物(例えば、シリコン酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。ティア4cは、Z方向に延び、積層体SST2を貫通する。ティア4aは、+Z側の端部がジョイント部4bを介してティア4cに結合される。キャップ層4dは、XY方向に板状に延び、ティア4cの+Z側端を覆う。キャップ層4dは、例えば、不純物を含む半導体(例えば、ポリシリコン)を主成分とする材料で形成され得る。積層体SST2の+Z側には、層間絶縁膜82,83を介して導電層9が配される。導電層9は、導電物(例えば、タングステンなどの金属)を主成分とする材料で形成され得る。導電層9は、Y方向にライン状に延び、ビット線BL(
図1参照)として機能する。キャップ層4dは、コンタクトプラグ31を介してビット線BLに接続される。
【0038】
図5に示すように、各ティア4a,4cは、Z方向に沿った中心軸CA1,CA3を有する柱形状を有し、例えば略円柱形状を有する。
図5は、ジョイント部4b付近の構成を示す拡大断面図であり、
図4のA部分を拡大した拡大断面図である。各ティア4a,4cは、+Z側端の径に比べて-Z側端の径が狭いテーパ形状を有してもよい。各ティア4a,4cは、+Z側端の径に比べて-Z側端の径が狭く且つ+Z側端及び-Z側端の間の所定のZ位置で径が広がったボーイング形状を有してもよい。ティア4cの-Z側端の径は、ティア4aの+Z側端の径より小さい。
【0039】
ジョイント部4bは、Z方向に沿った中心軸CA2を有しXY方向に延びた円盤形状を有する。ジョイント部4bは、-Z側の面がティア4aの+Z側端に接触し、+Z側の面がティア4cの-Z側端に接触する。ジョイント部4bは、ティア4aの+Z側端をティア4cの-Z側端に結合し、ティア4a及びティア4cをZ方向に結合させる。ジョイント部4bは、ティア4aの+Z側端の径より大きな径を有し、ティア4cの-Z側端の径より大きな径を有する。ジョイント部4bの中心軸CA2のXY位置は、ティア4aの中心軸CA1のXY位置及び/又はティア4cの中心軸CA3のXY位置とずれていてもよい。すなわち、ティア4aの中心軸CA1のXY位置とティア4cの中心軸CA3のXY位置とが互いにずれていてもよい。これにより、ティア4a及びティア4cのXY位置合わせのマージンが確保され得る。ジョイント部4bは、導電層6のZ方向厚さより大きなZ方向幅を有し、絶縁層7のZ方向厚さより大きなZ方向幅を有する。これにより、ティア4a及びティア4cの結合マージンが確保され得る。これに応じて、ジョイント層JLは、導電層6のZ方向厚さより大きなZ方向厚さを有し、絶縁層7のZ方向厚さより大きなZ方向厚さを有する。
【0040】
ティア4aは、
図5に示すように、中心軸CA1側から順にコア部材CR、半導体膜CH、絶縁膜TNL、電荷蓄積膜CT、絶縁膜BLK1を有する。コア部材CRは、ティア4aの中心軸CA1近傍に配されティア4aの中心軸CA1に沿って延びた略円柱形状を有する。コア部材CRは、絶縁物(例えば、シリコン酸化物などの半導体酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。半導体膜CHは、コア部材CRを外側から囲むように配されティア4aの中心軸CA1に沿って延びた略円筒状の形状を有する。半導体膜CHは、さらにコア部材CRの-Z側の端部を覆うとともに、導電層3に接続される。半導体膜CHは、実質的に不純物を含まない半導体(例えば、ポリシリコン)を主成分とする材料で形成され得る。絶縁膜TNLは、半導体膜CHを外側から囲むように配されティア4aの中心軸CA1に沿って延びた略円筒状の形状を有する。絶縁膜TNLは、酸化物(例えば、シリコン酸化物またはシリコン酸窒化物)を主成分とする材料で形成され得る。電荷蓄積膜CTは、絶縁膜TNLを外側から囲むように配されティア4aの中心軸CA1に沿って延びた略円筒状の形状を含む。電荷蓄積膜CTは、窒化物(例えば、シリコン窒化物)を主成分とする材料で形成され得る。絶縁膜BLK1は、電荷蓄積膜CTを外側から囲むように配されティア4aの中心軸CA1に沿って延びた略円筒状の形状を有する。絶縁膜BLK1は、酸化物(例えば、シリコン酸化物、金属酸化物またはそれらの積層)を主成分とする材料で形成され得る。これにより、電荷蓄積膜CTが1対の絶縁膜TNL,BLK1で挟まれたONO型の3層構造が構成され得る。
【0041】
ジョイント部4bは、中心軸CA2側から順にコア部材CR、半導体膜CH、絶縁膜TNL、電荷蓄積膜CT、絶縁膜BLK1を有する。ジョイント部4bにおいて、コア部材CRは、ティア4aのコア部材CRより径の大きな略円盤形状を有する。半導体膜CHは、ティア4aの半導体膜CHより径の大きな中空円盤形状を有する。絶縁膜TNLは、ティア4aの絶縁膜TNLより径の大きな中空円盤形状を有する。電荷蓄積膜CTは、ティア4aの電荷蓄積膜CTより径の大きな中空円盤形状を有する。絶縁膜BLK1は、ティア4aの絶縁膜BLK1より径の大きな中空円盤形状を有する。
【0042】
ティア4cは、中心軸CA3側から順にコア部材CR、半導体膜CH、絶縁膜TNL、電荷蓄積膜CT、絶縁膜BLK1を有する。コア部材CRは、ティア4cの中心軸CA3近傍に配されティア4cの中心軸CA3に沿って延びた略円柱形状を有する。半導体膜CHは、コア部材CRを外側から囲むように配されティア4cの中心軸CA3に沿って延びた略円筒状の形状を有する。絶縁膜TNLは、半導体膜CHを外側から囲むように配されティア4cの中心軸CA3に沿って延びた略円筒状の形状を有する。電荷蓄積膜CTは、絶縁膜TNLを外側から囲むように配されティア4cの中心軸CA3に沿って延びた略円筒状の形状を有する。絶縁膜BLK1は、電荷蓄積膜CTを外側から囲むように配されティア4cの中心軸CA3に沿って延びた略円筒状の形状を有する。ティア4cのコア部材CR、半導体膜CH、絶縁膜TNL、電荷蓄積膜CT、絶縁膜BLK1は、それぞれティア4a及びジョイント部4bのコア部材CR、半導体膜CH、絶縁膜TNL、電荷蓄積膜CT、絶縁膜BLK1と同じ材料で形成される。これにより、電荷蓄積膜CTが1対の絶縁膜TNL,BLK1で挟まれたONO型の3層構造が構成され得る。
【0043】
ティア4aの半導体膜CHは、-Z側でソース線SLとしての導電層3に接続され、+Z側でジョイント部4bの半導体膜CHに接続される。ジョイント部4bの半導体膜CHは、+Z側でティア4cの半導体膜CHに接続される。ティア4cの半導体膜CHは、+Z側の端部がキャップ層4d及びコンタクトプラグ31を介してビット線BLとして機能する導電層9に接続される。すなわち、ティア4a、ジョイント部4b、ティア4cの半導体膜CHは、メモリストリングMSTにおけるチャネル領域(アクティブ領域)を含む。
【0044】
図4に示す各積層体SST1,SST2では、導電層6と絶縁層7とが交互に繰り返し積層される。各導電層6は、XY方向に板状に延びる。各導電層6は、導電物(例えば、タングステンなどの金属)を主成分とする材料で形成され得る。各導電層6は、+Z側の面、-Z側の面、及びティア4a,4cに対向する面が絶縁膜BLK2で覆われていてもよい。絶縁膜BLK2は、絶縁物BLK1と組成が異なっていてもよい。絶縁膜BLK2は、絶縁物(例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウムなどの金属酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。各絶縁層7は、XY方向に板状に延びる。各絶縁層7は、絶縁物(例えば、シリコン酸化物などの半導体酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。
【0045】
積層体SST1において、Z方向に互いに離間して配される複数の導電層6のうち、少なくとも最も-Z側の導電層6は、選択ゲートSGSとして機能し、少なくとも最も+Z側の導電層6は、ダミーワード線DWL1として機能し、他の導電層6は、ワード線WL0~WL4として機能する。
図1に示されるように、-Z側の複数の導電層6を選択ゲートSGSとして機能させてもよいし、これと同様に、ダミーワード線DWL1として機能する導電層6が+Z側に複数層設けられてもよい。
【0046】
選択ゲートSGSの導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、選択トランジスタSGTが形成される。ワード線WL0の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、メモリセルMT0が形成される。ワード線WL1の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、メモリセルMT1が形成される。ワード線WL2の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、メモリセルMT2が形成される。ワード線WL3の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、メモリセルMT3が形成される。ワード線WL4の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、メモリセルMT4が形成される。ダミーワード線DWL1の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、ダミーメモリセルDMT1が形成される。なお、ティア4aは、選択ゲートSGSの導電層6と交差する位置において、部分的に電荷蓄積膜CT及び絶縁膜BLK1が省略されていてもよい。
【0047】
積層体SST1上にジョイント層JLを介して積層された積層体SST2において、Z方向に互いに離間して配される複数の導電層6のうち、少なくとも最も+Z側の導電層6は、選択ゲートSGDとして機能し、少なくとも最も-Z側の導電層6は、ダミーワード線DWL2として機能し、他の導電層6は、ワード線WL5~WL9として機能する。
図1に示されるように、+Z側の複数の導電層6を選択ゲートSGDとして機能させてもよいし、これと同様に、ダミーワード線DWL2として機能する導電層6が-Z側に複数層設けられてもよい。
【0048】
ダミーワード線DWL2の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、ダミーメモリセルDMT2が形成される。ワード線WL5の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、メモリセルMT5が形成される。ワード線WL6の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、メモリセルMT6が形成される。ワード線WL7の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、メモリセルMT7が形成される。ワード線WL8の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、メモリセルMT8が形成される。ワード線WL9の導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、メモリセルMT9が形成される。選択ゲートSGDの導電層6が半導体膜CH及び電荷蓄積膜CTと交差する位置には、選択トランジスタDGTが形成される。なお、ティア4cは、選択ゲートSGDの導電層6と交差する位置において、部分的に電荷蓄積膜CT及び絶縁膜BLK1が省略されていてもよい。
【0049】
メモリセルMTへの情報の書き込み処理では、選択ワード線WLの導電層6へ書き込み電圧が印加され、非選択ワード線WLの導電層6へ転送電圧が印加され、半導体膜CHへ基準電圧が印加される。書き込み電圧は、半導体膜CHの電荷(電子)を電荷蓄積膜CTへ注入するための電位(例えば、20V)を有する。転送電圧は、書き込み電圧と基準電圧との間の電位(例えば、10V)を有する。基準電圧は、基準となる電位(例えば、0V)を有する。これにより、選択ワード線WLの導電層6と半導体膜CHとが交差する位置の選択メモリセルMTの電荷蓄積膜CTに電荷が蓄積され、選択メモリセルMTに情報が書き込まれる。
【0050】
メモリセルMTに対する情報の消去処理では、各ワード線WLの導電層6へ基準電圧が印加され、半導体膜CHへ消去電圧が印加され、選択ゲートSGS,SGDに両者の中間電圧が印加される。消去電圧は、半導体膜CHの反対電荷(正孔)を電荷蓄積膜CTへ注入するための電位(例えば、20V)を有する。基準電圧は、基準となる電位(例えば、0V)を有する。中間電圧は、消去処理と基準電圧との間の電位(例えば、5V)を有する。このような制御によって、選択トランジスタSGT,DGTのドレイン近傍でGIDL(Gate Induced Drain Leakage)により電子・正孔対を発生させ、反対電荷(正孔)を半導体膜CHから電荷蓄積膜CTに注入する。これにより、電荷蓄積膜CTに蓄積された電荷が消去され、メモリセルMTの情報が消去され得る。
【0051】
このとき、
図5に示すように、ダミーワード線DWL1の導電層6は、ジョイント部4bが存在することに伴い、+Z側の導電層6とのZ方向間隔G
D1D2が-Z側の導電層6とのZ方向間隔G
W4D1より大きい。これにより、ダミーワード線DWL1の導電層6から電荷蓄積膜CTへ向かう方向の電界が、-Z側の導電層6の電圧から受ける影響に比べて、+Z側の導電層6の電圧から受ける影響が少なくなる。このため、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の面6aにおける角部に電界集中が起こる可能性がある。これにより、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の面6aにおける角部から絶縁膜BLK1をトンネルした電荷がジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTに蓄積されるバックトンネル現象が発生する可能性がある。導電層6から絶縁膜BLK1をトンネルして電荷蓄積膜CTに蓄積される電荷の流れはバックトンネル電流とも呼ばれる。バックトンネル現象が発生すると、ジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTに意図しない情報が書き込まれるが、ジョイント部4b付近には、ワード線WLの導電層6が存在しないため、反対電荷を半導体膜CHから電荷蓄積膜CTに注入して電荷を消去することも困難である。
【0052】
一方、ワード線WL4の導電層6は、+Z側の導電層6とのZ方向間隔GW4D1が-Z側の導電層6とのZ方向間隔GW3W4と均等である。これにより、ワード線WL4の導電層6では、ダミーワード線DWL1の導電層6のような電界集中が起こりにくい。
【0053】
これに関して、半導体装置1は、ダミーワード線DWL1の導電層6の電荷蓄積膜CTとの対向部付近が、
図6に示すように角に欠け部を有して構成される。
図6は、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側(上側)の角の欠け部の構成を示す拡大断面図であり、
図5のB部分を拡大した拡大断面図である。
【0054】
すなわち、電荷蓄積膜CT、半導体膜CH及び導電層6を含むZ方向の断面視において、積層体SST1のダミーワード線DWL1の導電層6が電荷蓄積膜CTと対向する部分での+Z側の角の欠け量は、積層体SST1のワード線WL4の導電層6が電荷蓄積膜CTと対向する部分での+Z側の角の欠け量より大きい。同様に、積層体SST1のダミーワード線DWL1の導電層6が電荷蓄積膜CTと対向する部分での+Z側の角の欠け量は、積層体SST1のワード線WL3,WL2,WL1,WL0の導電層6が電荷蓄積膜CTと対向する部分での+Z側の角の欠け量より大きい(
図4参照)。
【0055】
図6に示すYZ断面において、導電層6の+Z側の面6aの延長面とティア4a側の端面6cの延長面とが+Z側で交わる交点を6acとする。交点6acと導電層6の+Z側の面6dとで特定される形状部分を欠け部6a1と呼ぶことにする。欠け部6a1は、中心軸CA1を含むYZ断面視で略三角形状を有する。ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の角の欠け部6a1の寸法は、ワード線WL4の導電層6の+Z側の角の欠け部6a1の寸法より大きい。角の欠け量は、欠け部6a1の寸法として特定されてもよいし、欠け部6a1に相似な形状部分の寸法として特定されてもよい。
【0056】
例えば、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の角に対応するZ位置で、ティア4aにおける電荷蓄積膜CTの外側面に凸部4a12aが配され、絶縁膜BLK1の内側面に凹部4a2bが配され、絶縁膜BLK1の外側面に凸部4a2aが配される。それに対応して導電層6の+Z側の端面6dがティア4aの側面から外側に後退されるように構成される。
【0057】
ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側に対応するZ位置の絶縁膜BLK1の外周面4a2とし、そのZ位置より若干高いZ位置の絶縁膜BLK1の外周面を4a1とする。ダミーワード線DWL1の導電層6の-Z側に対応するZ位置の絶縁膜BLK1の外周面4a3とし、そのZ位置より若干低いZ位置の絶縁膜BLK1の外周面を4a4とする。そのZ高さより若干低いZ位置の絶縁膜BLK1の外周面を4a5とする。そのZ高さより若干低いZ位置の絶縁膜BLK1の外周面を4a6とする。外周面4a1,4a2,4a3,4a4,4a5,4a6に対応した電荷蓄積膜CTの外周面を、それぞれ、4a11,4a12,4a13,4a14,4a15,4a16とする。
【0058】
外周面4a1,4a3,4a4,4a5,4a6が一体面を形成するか他の面の延長面上にあり第1の基準外周面を形成する。外周面4a2は、第1の基準外周面の外側に位置にする。外周面4a11,4a13,4a14,4a15,4a16が一体面を形成するか他の面の延長面上にあり第2の基準外周面を形成する。外周面4a12は、第2の基準外周面の外側に位置にする。これに応じて、ダミーワード線DWL1の導電層6が電荷蓄積膜CTと対向する部分での+Z側の角が、対応するワード線WL4の+Z側の角に比べて第1の基準外周面からより外側に後退した位置まで欠けている。
【0059】
外周面4a4と外周面4a5との間には段差面がほぼ存在しない。外周面4a14と外周面4a15との間には段差面がほぼ存在しない。これに応じて、ワード線WL4の導電層6が電荷蓄積膜CTと対向する部分での+Z側の角には、第1の基準外周面からより外側に後退した欠け部6a1は実質的に形成されない。あるいは、ワード線WL4の導電層6の+Z側の角に、YZ断面視で略直角三角形状の欠け部6a1が比較的小さな寸法で形成される。
【0060】
一方、外周面4a1と外周面4a2との間に、第1の基準外周面からXY方向外側に遠ざかるように延びた段差面4a1aが構成され、外周面4a11及び外周面4a12の間に第2の基準外周面よりも外側でやや傾斜して延びた傾斜面4a11aが構成される。これに応じて、ダミーワード線DWL1が電荷蓄積膜CTと対向する部分での導電層6の+Z側の角には、YZ断面視で略直角三角形状の欠け部6a1が比較的大きな寸法で形成される。
【0061】
すなわち、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の角のXY方向の欠け量がワード線WL4の導電層6の+Z側の角のXY方向の欠け量より大きい。同様に、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の角のXY方向の欠け量がワード線WL3,WL2,WL1,WL0の導電層6の+Z側の角のXY方向の欠け量より大きい。
【0062】
これにより、ワード線WL4,WL3,WL2,WL1,WL0の導電層6の+Z側の面6aの端部6a11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離に比べて、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の面6aの端部6a11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離を大きく確保できる。この結果、消去処理におけるダミーワード線DWL1の導電層6とジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象を抑制できる。
【0063】
次に、ダミーワード線DWL1の導電層6における角の欠け量の規定について検討する。角の欠け量は、前述のように、導電層6の+Z側の角の欠け部6a1の寸法として規定されてもよいし、欠け部6a1に相似な形状部分の寸法として規定されてもよい。角の欠け量は、
図7に示すようなパラメータを用いて規定されてもよい。
図7は、角の欠け量を規定するパラメータを示す断面図であり、
図6のC部分の拡大断面図である。
【0064】
図7に示すように、絶縁膜BLK2の膜厚がほぼ一様である場合、絶縁膜BLK1を介して電荷蓄積膜CTと対向するように形成された絶縁膜BLK2の+Z側の角の欠け部106a1は、導電層6の+Z側の角の欠け部6a1にほぼ相似な形状になる。欠け部106a1の形状・寸法を規定することで、欠け部6a1の形状・寸法を間接的に規定でき、導電層6の+Z側の角の欠け量を規定できる。欠け部106a1と欠け部6a1との相似比は、1に近いため、近似的に合同とみなすこともできる。
【0065】
電荷蓄積膜CT及び導電層6を含む断面において、欠け部106a1の+Z側端のXY方向長さをΔxとする。Δxは、導電層6の+Z側の角のXY方向の欠け量を示す。欠け部106a1のZ高さをΔzとする。Δzは、導電層6の+Z側の角のZ方向の欠け量を示す。導電層6のZ方向厚さをWWLとする。導電層6の-Z側の面6bの端部と電荷蓄積膜CTとの間における絶縁膜BLK1のXY方向厚さをtBLK1とする。導電層6の-Z側の面6bの端部と電荷蓄積膜CTとの間における絶縁膜BLK2のXY方向厚さをtBLK2とする。
【0066】
例えば、Δz/Δx=tan65°を維持しながら、XY方向の欠け量Δx、Z方向の欠け量Δzを変化させると、ダミーワード線DW1の導電層6の+Z側の角の欠け部6a1は、
図8(a)~
図8(c)に示すような形状になる。
図8(a)~
図8(c)は、ダミーワード線DW1の導電層6の+Z側の角の欠け量を変化させた場合の欠け部の形状を示す断面図である。
図8(a)は、XY方向の欠け量Δx、Z方向の欠け量Δzがともにほぼ0であり、角の欠け量が比較的小さい場合を示す。
図8(c)は、Z方向の欠け量ΔzがほぼW
WL程度であり、XY方向の欠け量Δxがそれに対応した量であり、角の欠け量が比較的大きい場合を示す。
図8(b)は、XY方向の欠け量Δx、Z方向の欠け量Δzがともに中間的な量であり、角の欠け量が中間的な量である場合を示す。
【0067】
図8(a)~
図8(c)のそれぞれについて、ダミーワード線DW1の導電層6付近の消去動作時の電流密度分布についてシミュレーションを行ったところ、次に示す結果が得られた。
【0068】
図8(a)の場合、点線の矢印で示すように、導電層6の+Z側の角から斜め上方向に絶縁膜BLK1をトンネルし電荷蓄積膜CTへ流れるバックトンネル電流が観測された。これは、+Z側の角の欠け量が不足しており、消去動作時に+Z側の角に電界集中が発生し、バックトンネル電流が発生するに至ったものと考えられる。
図8(a)の場合、+Z側の角の欠け量が適正値に対して不足している可能性がある。
【0069】
図8(c)の場合、一点鎖線の矢印で示すように、導電層6の-Z側の角から斜め下方向に絶縁膜BLK1をトンネルし電荷蓄積膜CTへ流れるバックトンネル電流が観測された。これは、+Z側の角の欠け量が過剰であり、消去動作時に-Z側の角に電界集中が発生し、バックトンネル電流が発生するに至ったものと考えられる。
図8(c)の場合、+Z側の角の欠け量が適正値に対して過剰である可能性がある。
【0070】
図8(b)の場合、バックトンネル電流がほとんど観測されなかった。これは、+Z側の角の欠け量が適正値であり、消去動作時に-Z側の角に電界集中が起こりにくく、バックトンネル電流が抑制されたものと考えられる。
【0071】
これらの結果から、角の欠け量には、適正範囲が存在する可能性がある。
【0072】
次に、角の欠け量の適正範囲の規定について検討する。
【0073】
まず、Z方向の欠け量Δzの適正範囲の上限について、
図9に示すように検討する。
図9は、Δzの上限(Δxの上限)の規定を示す断面図である。
【0074】
経験則であるが、Δzが導電層6の-Z側端まで達した状態でのΔxと同程度、導電層6の-Z側端より+Z側のZ位置に欠け部106a1の-Z側端が位置するようなΔzがΔzの上限になる。
【0075】
例えば、導電層6の+Z側の角の欠け部6a1が導電層6の-Z側端に達する場合、
図9(a)に示すように、欠け部6a1のZ高さが導電層6のZ方向厚さW
WLに均等となる。絶縁膜BLK2の厚さt
BLK2が一様であり、欠け部106a1は、近似的に、欠け部6a1をXY方向及びZ方向にそれぞれt
BLK2で並進移動させたものとみなせる。すなわち、欠け部6a1と欠け部106a1とは近似的に合同であるとみなせる。この場合、欠け部6a1のZ高さと欠け部106a1のZ高さとが略等しいので、次の数式1がなりたつ。
図9(a)では、Δzの-Z側端が-Z側の絶縁膜BLK2の-Z側の面からZ方向距離ΔD1≒t
BLK2のZ位置として示されている。
Δz≒W
WL・・・数式1
【0076】
このとき、欠け部6a1のZ高さに対するXY方向長さの割合と欠け部106a1のZ高さに対するXY方向長さの割合(Δx/Δz)とが等しいので、欠け部6a1のXY方向長さΔDは、次の数式2で表される。
ΔD=WWL×Δx/Δz・・・数式2
【0077】
Δz/Δxを一定に維持しながら
図9(a)に示すΔzをΔD分短くすると、
図9(b)に示すようなΔzが、Δzの上限として得られる。Δzの上限をΔz
thとすると、数式1,2より、Δzの上限Δz
thは、次の数式3で示される。
Δz
th=W
WL-ΔD=W
WL(1-Δx/Δz)・・・数式3
【0078】
これを、Z方向の欠け量Δzの上限の規定として示すと、数式4のようになる。
Δz<Δzth・・・数式4
【0079】
Δz/Δxを一定に維持しているので、Δzの上限の規定はΔxの上限の規定に書き直すことができる。数式3,4により得られる不等式をΔxについて解くと、Δxの上限の規定として、次の数式5が得られる。
Δx<Δz(1-Δz/WWL)・・・数式5
【0080】
次に、XY方向の欠け量Δxの適正範囲の下限について、
図10に示すように検討する。
図10は、Δxの下限(Δzの下限)の規定を示す断面図である。
【0081】
ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の面6aの端部6a11での電界がワード線WL4の導電層6の+Z側の面6aの端部6a11での電界より弱くなるΔxがΔxの下限になる。
【0082】
例えば、
図10(a)では、電荷蓄積膜CTへ0Vが印加され、ダミーワード線DWL1の導電層6へ電圧ΔVが印加されると、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の端部6a11から電荷蓄積膜CTへ向かう電界F
DWL1が発生する。電界F
DWL1のXY方向成分、Z方向成分をそれぞれF
X、F
Zとすると、電界F
DWL1は次の数式6で与えられる。
F
DWL1=(F
X
2+F
Z
2)
1/2・・・数式6
【0083】
絶縁膜BLK1がシリコン酸化物で形成され、絶縁膜BLK2がアルミニウム酸化物で形成される場合、絶縁膜BLK1,BLK2の物理膜厚tBLK1,tBLK2をシリコン酸化膜に換算した場合の電気膜厚がそれぞれtBLK1,tBLK2/2.6である。欠け部6a1と欠け部106a1とは近似的に合同であり、絶縁膜BLK1の物理膜厚tBLK1が近似的に一様であるとすると、XY方向成分FXは、次の数式7で与えられる。
FX=ΔV/(tBLK1+tBLK2/2.6+Δx)・・・数式7
【0084】
電界FDWL1、XY方向成分FX、Z方向成分FZは、それぞれ、ベクトル量である。電界FDWL1とXY方向成分FXとの成す角をΦとすると、Z方向成分FZは、次の数式8で与えられる。
FZ=[ΔV/{(tBLK1+tBLK2/2.6+Δx)/cosΦ}]×sinΦ・・・数式8
【0085】
数式7,8より、Z方向成分FZは、次の数式9のように書き直せる。
FZ=FXsinΦcosΦ≦0.5FX・・・数式9
【0086】
数式6~数式9より、次の数式10の関係が導ける。
FDWL1<{FX
2+(0.5FX)2}1/2=(1.25FX
2)1/2=√(1.25)FX=√(1.25)ΔV/(tBLK1+tBLK2/2.6+Δx)・・・数式10
【0087】
図10(b)では、電荷蓄積膜CTへ0Vが印加され、ワード線WL4の導電層6へ電圧ΔVが印加されると、ワード線WL4の導電層6の+Z側の端部6a11から電荷蓄積膜CTへ向かう電界F
WL4が発生する。
【0088】
絶縁膜BLK1がシリコン酸化物で形成され、絶縁膜BLK2がアルミニウム酸化物で形成される場合、絶縁膜BLK1,BLK2の物理膜厚tBLK1,tBLK2をシリコン酸化膜に換算した場合の電気膜厚がそれぞれtBLK1,tBLK2/2.6である。電界FWL4は、次の数式11で与えられる。
FWL4=ΔV/(tBLK1+tBLK2/2.6)・・・数式11
【0089】
数式10、数式11より、電界FDWL1が電界FWL4より弱くなる条件は、次の数式12で与えられる。
√(1.25)ΔV/(tBLK1+tBLK2/2.6+Δx)<ΔV/(tBLK1+tBLK2/2.6)・・・数式12
【0090】
数式12をΔxについて解くと、次の数式13が得られる。
Δx>{√(1.25)-1}(tBLK1+tBLK2/2.6)・・・数式13
【0091】
Δxの下限をΔxthとすると、Δxの下限Δxthの規定は、次の数式14で示される。
Δx>Δxth・・・数式14
【0092】
Δz/Δxを一定に維持しながらΔxを変化させるとすると、Δxの下限の規定は、次の数式15のようなΔzの下限の規定に書き直すことができる。
Δz>(Δz/Δx)Δxth=(Δz/Δx){√(1.25)-1}(tBLK1+tBLK2/2.6)・・・数式15
【0093】
図9、
図10の検討により、Δx、Δzの適正範囲として、それぞれ、次の数式16,17が得られる。
Δx
th={√(1.25)-1}(t
BLK1+t
BLK2/2.6)<Δx<Δz(1-Δz/W
WL)・・・数式16
(Δz/Δx)Δx
th=(Δz/Δx){√(1.25)-1}(t
BLK1+t
BLK2/2.6)<Δz<Δz
th=W
WL(1-Δx/Δz)・・・数式17
【0094】
あるいは、絶縁膜BLK2のXY方向厚さtBLK2が絶縁膜BLK1のXY方向厚さtBLK1に比べて十分に小さい場合、又は、絶縁膜BLK2が省略される場合、次の数式18が成り立つ。
tBLK1+tBLK2/2.6≒tBLK1・・・数式18
【0095】
数式18を数式16,17に適用すると、Δx、Δzの適正範囲として、それぞれ、次の数式19,20が得られる。
Δxth={√(1.25)-1}tBLK1<Δx<Δz(1-Δz/WWL)・・・数式19
(Δz/Δx)Δxth=(Δz/Δx){√(1.25)-1}tBLK1<Δz<Δzth=WWL(1-Δx/Δz)・・・数式20
【0096】
例えば、ダミーワード線DWL1の導電層6から電荷蓄積膜CTへのバックトンネル電流についてΔz/Δxを一定に維持しながらΔzを変化させてシミュレーションを行った結果を
図11に示す。
図11は、Δzを変化させた場合のバックトンネル電流の特性を示す図である。
図11において、縦軸が規格化したバックトンネル電流値を示し、横軸がΔz-Δz
thを示す。
図11では、バックトンネル電流の許容上限値が一点鎖線で示されている。
図11では、Δz/Δxが同じプロットを線でつないで示す。
【0097】
例えば、Δz/Δx=tan60°を維持しながらΔzを変化させると、Δzの適正範囲ARzにおいて、バックトンネル電流が確実に許容上限値以下に抑えられることが示される。適正範囲ARzは、上記の数式17又は数式20で与えられる。
図11では、適正範囲ARzの上限が、数式17又は数式20の上限からΔz
thを減じた値としてゼロで示される。適正範囲ARzの下限は、図示しないが、数式17又は数式20の下限からΔz
thを減じた値になる。
【0098】
Δz/Δx=tan65°を維持しながらΔzを変化させると、Δzの適正範囲ARzにおいて、バックトンネル電流が確実に許容上限値以下に抑えられることが示される。
【0099】
Δz/Δx=tan70°を維持しながらΔzを変化させると、Δzの適正範囲ARzにおいて、バックトンネル電流が確実に許容上限値以下に抑えられることが示される。
【0100】
Δz/Δx=tan75°を維持しながらΔzを変化させると、Δzの適正範囲ARzにおいて、バックトンネル電流が確実に許容上限値以下に抑えられることが示される。
【0101】
Δz/Δx=tan80°を維持しながらΔzを変化させると、Δzの適正範囲ARzにおいて、バックトンネル電流が確実に許容上限値以下に抑えられることが示される。
【0102】
Δz/Δx=tan85°を維持しながらΔzを変化させると、Δzの適正範囲ARzにおいて、バックトンネル電流が確実に許容上限値以下に抑えられることが示される。
【0103】
これにより、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の角の欠け部6a1をΔzの適正範囲ARzに従って構成することで、バックトンネル現象を効果的に抑制できることが確認される。
【0104】
図11に示すシミュレーション結果を、Δz/Δxの値を用い、Δxの変化についてのシミュレーション結果として書き直すと、
図12のようになる。
図12は、Δxを変化させた場合のバックトンネル電流の特性を示す図である。
図12において、縦軸が規格化したバックトンネル電流値を示し、横軸がΔx-Δx
thを示す。
図12では、バックトンネル電流の許容上限値が一点鎖線で示されている。
図12では、簡略化のため、Δz/Δxが同じプロットを線でつないでいない。
【0105】
例えば、Δz/Δxを様々な値に維持しながらΔxを変化させると、Δxの適正範囲ARxにおいて、バックトンネル電流が確実に許容上限値以下に抑えられることが示される。適正範囲ARzは、上記の数式16又は数式19で与えられる。
図12では、適正範囲ARxの下限が、数式16又は数式19の下限からΔz
thを減じた値としてゼロで示される。適正範囲ARxの上限は、図示しないが、数式16又は数式19の上限からΔz
thを減じた値になる。
【0106】
これにより、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の角の欠け部6a1をΔxの適正範囲ARxに従って構成することで、バックトンネル現象を効果的に抑制できることが確認される。
【0107】
次に、適正範囲ARxの有効性について確認する。
【0108】
図13は、絶縁膜BLK2の厚さt
BLK2を変化させた場合のバックトンネル電流の特性を示す図である。
【0109】
例えば、
図13(a)は、絶縁膜BLK2の厚さt
BLK2がt
21(例えば、4nm)である場合について、バックトンネル電流の特性を示す。Δz/Δxを様々な値に維持しながらΔxを変化させると、Δxの適正範囲ARxにおいて、バックトンネル電流が確実に許容上限値以下に抑えられることが示される。
【0110】
図13(b)は、絶縁膜BLK2の厚さt
BLK2がより薄いt
22(<t
21、例えば、3nm)である場合について、バックトンネル電流の特性を示す。Δz/Δxを様々な値に維持しながらΔxを変化させると、Δxの適正範囲ARxにおいて、バックトンネル電流が確実に許容上限値以下に抑えられることが示される。
【0111】
図13(c)は、絶縁膜BLK2の厚さt
BLK2がさらにより薄いt
23(<t
22、例えば、2nm)である場合について、バックトンネル電流の特性を示す。Δz/Δxを様々な値に維持しながらΔxを変化させると、Δxの適正範囲ARxにおいて、バックトンネル電流が確実に許容上限値以下に抑えられることが示される。
【0112】
図13により、絶縁膜BLK2の厚さt
BLK2をt
21→t
22→t
23と薄くしていった場合、適正範囲ARxが有効であり、バックトンネル電流が確実に許容上限値以下に抑えられることが確認される。
【0113】
図14は、ダミーワード線DWL1の導電層6の厚さを変化させた場合のバックトンネル電流の特性を示す図である。
【0114】
例えば、
図14(a)は、ダミーワード線DWL1の導電層6の厚さW
WLがW
11(例えば、15nm)である場合について、バックトンネル電流の特性を示す。Δz/Δxを様々な値に維持しながらΔxを変化させると、Δxの適正範囲ARxにおいて、バックトンネル電流が確実に許容上限値以下に抑えられることが示される。
【0115】
図14(b)は、ダミーワード線DWL1の導電層6の厚さW
WLがより厚いW
12(>W
11、例えば、25nm)である場合について、バックトンネル電流の特性を示す。Δz/Δxを様々な値に維持しながらΔxを変化させると、Δxの適正範囲ARxにおいて、バックトンネル電流が確実に許容上限値以下に抑えられることが示される。
【0116】
図14(c)は、ダミーワード線DWL1の導電層6の厚さW
WLがさらにより厚いW
13(>W
12、例えば、30nm)である場合について、バックトンネル電流の特性を示す。Δz/Δxを様々な値に維持しながらΔxを変化させると、Δxの適正範囲ARxにおいて、バックトンネル電流が確実に許容上限値以下に抑えられることが示される。
【0117】
図14により、ダミーワード線DWL1の導電層6の厚さW
WLをW
11→W
12→W
13と厚くしていった場合、適正範囲ARxが有効であり、バックトンネル電流が確実に許容上限値以下に抑えられることが確認される。
【0118】
図15は、絶縁膜BLK1の薄化・絶縁膜BLK2の誘電率低下・ピラー4aの径縮小を行った場合のバックトンネル電流の特性を示す図である。
【0119】
例えば、
図15(a)は、絶縁膜BLK1の厚さが標準的な厚さより薄膜化された厚さ(例えば、4nm)である場合について、バックトンネル電流の特性を示す。Δz/Δxを様々な値に維持しながらΔxを変化させると、Δxの適正範囲ARxにおいて、バックトンネル電流が確実に許容上限値以下に抑えられることが示される。
【0120】
図15(b)は、絶縁膜BLK2の誘電率が標準的な値より低下した値(例えば、比誘電率の値が3.9)である場合について、バックトンネル電流の特性を示す。Δz/Δxを様々な値に維持しながらΔxを変化させると、Δxの適正範囲ARxにおいて、バックトンネル電流が確実に許容上限値以下に抑えられることが示される。
【0121】
図15(c)は、ティア4aの直径が標準的な直径より縮小された直径(例えば、90nm)である場合について、バックトンネル電流の特性を示す。Δz/Δxを様々な値に維持しながらΔxを変化させると、Δxの適正範囲ARxにおいて、バックトンネル電流が確実に許容上限値以下に抑えられることが示される。
【0122】
図15により、絶縁膜BLK1の薄化・絶縁膜BLK2の誘電率低下・ティア4aの径縮小を行った場合、適正範囲ARxが有効であり、バックトンネル電流が確実に許容上限値以下に抑えられることが確認される。
【0123】
なお、
図5に示すように、電荷蓄積膜CT、半導体膜CH及び導電層6を含むZ方向の断面視において、積層体SST2のダミーワード線DWL2が電荷蓄積膜CTと対向する部分での導電層6の-Z側の角の欠け量は、積層体SST2のワード線WL5が電荷蓄積膜CTと対向する部分での導電層6の-Z側の角の欠け量より大きくてもよい。同様に、積層体SST2のダミーワード線DWL2の導電層6が電荷蓄積膜CTと対向する部分での-Z側の角の欠け量は、積層体SST2のワード線WL6,WL7,WL8,WL9の導電層6が電荷蓄積膜CTと対向する部分での-Z側の角の欠け量より大きくてもよい。
【0124】
例えば、積層体SST2において、ダミーワード線DWL2の導電層6の-Z側の角のXY方向の欠け量がワード線WL5の導電層6の-Z側の角のXY方向の欠け量より大きくてもよい。同様に、ダミーワード線DWL2の導電層6の-Z側の角のXY方向の欠け量がワード線WL6,WL7,WL8,WL9の導電層6の-Z側の角のXY方向の欠け量より大きくてもよい。
【0125】
これにより、ワード線WL5,WL6,WL7,WL8,WL9の導電層6の-Z側の面6bの端部6b11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離に比べて、ダミーワード線DWL2の導電層6の-Z側の面6bの端部6b11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離を大きく確保できる。この結果、消去処理におけるダミーワード線DWL2の導電層6とジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象を抑制できる。
【0126】
このとき、ダミーワード線DWL2の導電層6における-Z側の角の欠け量について、
図16のように規定されてもよい。
図16は、角の欠け量を規定するパラメータを示す断面図である。
【0127】
図16に示すように、絶縁膜BLK2の膜厚がほぼ一様である場合、絶縁膜BLK1を介して電荷蓄積膜CTと対向するように形成された絶縁膜BLK2の-Z側の角の欠け部106a1aは、導電層6の-Z側の角の欠け部6a1aにほぼ相似な形状になる。欠け部106a1aの形状・寸法を規定することで、欠け部6a1aの形状・寸法を間接的に規定でき、導電層6の-Z側の角の欠け量を規定できる。欠け部106a1aと欠け部6a1aとの相似比は、1に近いため、近似的に合同とみなすこともできる。
【0128】
中心軸CA1(
図5参照)を含む断面において、欠け部106a1aの-Z側端のXY方向長さをΔxaとする。Δxaは、導電層6の-Z側の角のXY方向の欠け量を示す。欠け部106a1aのZ高さをΔzaとする。Δzaは、導電層6の-Z側の角のZ方向の欠け量を示す。導電層6のZ方向厚さをW
WLとする。導電層6の+Z側の面6aの端部と電荷蓄積膜CTとの間における絶縁膜BLK1のXY方向厚さをt
BLK1とする。導電層6の+Z側の面6aの端部と電荷蓄積膜CTとの間における絶縁膜BLK2のXY方向厚さをt
BLK2とする。
【0129】
図9、
図10と同様に検討を行うと、Δxa、Δzaの適正範囲として、それぞれ、次の数式21,22が得られる。
Δx
th={√(1.25)-1}(t
BLK1+t
BLK2/2.6)<Δxa<Δza(1-Δza/W
WL)・・・数式21
(Δza/Δxa)Δx
th=(Δza/Δxa){√(1.25)-1}(t
BLK1+t
BLK2/2.6)<Δza<Δz
th=W
WL(1-Δxa/Δza)・・・数式22
【0130】
あるいは、絶縁膜BLK2のXY方向厚さtBLK2が絶縁膜BLK1のXY方向厚さtBLK1に比べて十分に小さい場合、又は、絶縁膜BLK2が省略される場合、上記の数式18が成り立つ。
【0131】
数式18を数式21,22に適用すると、Δxa、Δzaの適正範囲として、それぞれ、次の数式23,24が得られる。
Δxth={√(1.25)-1}tBLK1<Δxa<Δza(1-Δza/WWL)・・・数式23
(Δza/Δxa)Δxth=(Δza/Δxa){√(1.25)-1}tBLK1<Δza<Δzth=WWL(1-Δxa/Δza)・・・数式24
【0132】
次に、半導体装置1の製造方法について
図17~
図19を用いて説明する。
図17(a)~
図19(c)は、それぞれ、半導体装置1の製造方法を示す断面図である。
【0133】
図17(a)に示す工程では、基板SUB(
図1参照)にトランジスタを形成し、基板SUB上に、コンタクトプラグ、配線膜及びビアプラグ等を形成するとともにそれらの周囲に層間絶縁膜81を形成する。これにより、周辺回路100が形成される。層間絶縁膜81は、基板SUBの+Z側に、絶縁物(例えば、シリコン酸化物などの半導体酸化物)を主成分とする材料を堆積させることにより形成され得る(
図4参照)。層間絶縁膜81の+Z側に導電層3が堆積される。導電層3は、不純物を含む半導体(例えば、シリコン)を主成分とする材料または導電物(例えば、タングステンなどの金属)を主成分とする材料で形成され得る。
【0134】
導電層3の+Z側に、絶縁層7iと犠牲層5iとを交互に複数回堆積し、最上層の絶縁層7i上に犠牲層5i1、犠牲層5i2を順に積層して、積層体SST1iを形成する。絶縁層7iは、酸化物(例えば、シリコン酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。犠牲層5iは、窒化物(例えば、シリコン窒化物)を主成分とする材料で形成され得る。犠牲層5i1は、窒化物(例えば、シリコン窒化物)を主成分とする材料で形成され得る。犠牲層5i2は、酸素がドープされた窒化物(例えば、シリコン酸窒化物)を主成分とする材料で形成され得る。各絶縁層7i及び各犠牲層5iは、概ね同様な膜厚で堆積され得る。犠牲層5i1の膜厚と犠牲層5i2の膜厚との合計は、各犠牲層5iの膜厚と概ね均等である。積層体SST1iでは、最も+Z側の犠牲層5iが組成の異なる複数層(犠牲層5i1、犠牲層5i2)に積層化される。
【0135】
積層体SST1iの+Z側に、ジョイント層JLiが堆積される。ジョイント層JLiは、酸化物(例えば、シリコン酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。ジョイント層JLiは、絶縁層7iの膜厚より厚く犠牲層5iの膜厚より厚い膜厚で形成される。
【0136】
図17(b)に示す工程では、メモリホール10の形成位置が開口されたレジストパターンをジョイント層JLiの上に形成する。レジストパターンをマスクとしてRIE(Reactive Ion Etching)法などの異方性エッチングを行い、ジョイント層JLj及び積層体SST1jを貫通し導電層3に到達するメモリホール10を形成する。
【0137】
このとき、RIEの処理ガスに対して、犠牲層5i2のエッチングレートは、犠牲層5i1のエッチングレートより大きく、絶縁層7iのエッチングレートより大きく、ジョイント層JLiのエッチングレートより大きい。このため、犠牲層5i2の側面がエッチングされて後退し、メモリホール10の内側面におけるジョイント層JLiとの界面側に、YZ断面視で三角形状の凹部10j1が形成される。凹部10j1の窪み幅(リセス量)は、エッチング時間で調整されてもよいし、犠牲層5i2の組成(例えば、
図17(a)の成膜時に窒化物にドープされる酸素濃度)で調整されてもよいし、その両者で調整されてもよい。
【0138】
図17(c)に示す工程では、ジョイント孔11の形成位置が開口されたレジストパターンをジョイント層JLjの上に形成する。レジストパターンの開口は、Z方向から見た場合にメモリホール10iを内側に含むように形成される。レジストパターンをマスクとしてRIE法などの異方性エッチングを行い、ジョイント孔11をジョイント層JLに形成する。ジョイント孔11は、メモリホール10iより大きな径でジョイント層JLの厚さより浅い深さで形成される。ジョイント孔11の深さは、異方性エッチングのエッチング時間で調整され得る。
【0139】
図18(a)に示す工程では、メモリホール10i及びジョイント孔11に犠牲膜14が埋め込まれる。犠牲膜14は、絶縁層7及び犠牲層5,51,52に対してエッチング選択比を確保可能な材料(例えば、アモルファスシリコン)で形成され得る。犠牲膜14は、メモリホール10iに埋め込まれた柱状部12とジョイント孔11に埋め込まれた円盤状部13とを含む。柱状部12は、側面に凸部121を有する。凸部121は、積層体SST1kにおける最も+Z側の犠牲層52に対してXY方向に当接する。
【0140】
図18(b)に示す工程では、ジョイント層JL及び犠牲膜14の+Z側に、絶縁層7i、犠牲層5i2、犠牲層5i1を順に積層し、犠牲層5i1上に絶縁層7iと犠牲層5iとを交互に複数回堆積して、積層体SST2iを形成する。絶縁層7iは、酸化物(例えば、シリコン酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。犠牲層5i2は、酸素がドープされた窒化物(例えば、シリコン酸窒化物)を主成分とする材料で形成され得る。犠牲層5i1は、窒化物(例えば、シリコン窒化物)を主成分とする材料で形成され得る。犠牲層5iは、窒化物(例えば、シリコン窒化物)を主成分とする材料で形成され得る。各絶縁層7i及び各犠牲層5iは、積層体SST1iにおける各絶縁層7i及び各犠牲層5i(
図7(a)参照)と概ね同様な膜厚で堆積され得る。犠牲層5i1の膜厚と犠牲層5i2の膜厚との合計は、各犠牲層5iの膜厚と概ね均等である。積層体SST2iでは、最も-Z側の犠牲層5iが組成の異なる複数層(犠牲層5i2、犠牲層5i1)に積層化される。
【0141】
図18(c)に示す工程では、メモリホール15の形成位置が開口されたレジストパターンを積層体SST2iの上に形成する。レジストパターンをマスクとしてRIE法などの異方性エッチングを行い、積層体SST2jを貫通し犠牲膜14の+Z側の面を露出するメモリホール15を形成する。
【0142】
このとき、RIEの処理ガスに対して、犠牲層5i2のエッチングレートは、犠牲層5i1のエッチングレートより大きく、絶縁層7iのエッチングレートより大きい。このため、犠牲層5i2の側面がエッチングされて後退し、メモリホール15の内側面における絶縁層7iとの界面側に、YZ断面視で略三角形状の凹部151が形成される。凹部151の窪み幅(リセス量)は、エッチング時間で調整されてもよいし、犠牲層5i2の組成(例えば、
図18(b)の成膜時に窒化物にドープされる酸素濃度)で調整されてもよいし、その両者で調整されてもよい。
【0143】
図19(a)に示す工程では、犠牲膜14が除去される。これにより、積層体SST2j、ジョイント層JL、積層体SST1kを貫通し導電層3(
図4参照)に到達するメモリホール16が形成される。メモリホール16は、導電層3の+Z側に、メモリホール10j、ジョイント孔11、メモリホール15を順に含む。メモリホール16は、ジョイント層JLの-Z側の犠牲層52のZ位置に凹部10j1を有し、ジョイント層JLの+Z側の犠牲層52のZ位置に凹部151を有する。
【0144】
図19(b)に示す工程では、メモリホール16の側面及び底面に、絶縁膜BLK1、電荷蓄積膜CT、絶縁膜TNLを順に堆積する。このとき、メモリホール16の側面の凹部10j1,151に、絶縁膜BLK1が埋め込まれ得る。絶縁膜BLK1は、酸化物(例えば、シリコン酸化物、金属酸化物またはそれらの積層)を主成分とする材料で形成され得る。電荷蓄積膜CTは、窒化物(例えば、シリコン窒化物)を主成分とする材料で形成され得る。絶縁膜TNLは、酸化物(例えば、シリコン酸化物またはシリコン酸窒化物)を主成分とする材料で形成され得る。絶縁膜BLK1、電荷蓄積膜CT、絶縁膜TNLにおけるメモリホール16の底面の部分が選択的に除去された後、メモリホール16の側面及び底面に半導体膜CHが堆積される。半導体膜CHは、実質的に不純物を含まない半導体(例えば、ポリシリコン)を主成分とする材料で形成され得る。そして、メモリホール16にコア部材CRが埋め込まれる。コア部材CRは、絶縁物(例えば、シリコン酸化物などの半導体酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。これにより、積層体SST1k、ジョイント層JL、積層体SST2jをZ方向に貫通する柱状体4が形成される。柱状体4は、導電層3の+Z側に、積層体SST1kをZ方向に貫通するティア4a、ジョイント層JLをZ方向にほぼ貫通するジョイント部4b、積層体SST2jをZ方向に貫通するティア4cを順に含む。ティア4aは、側面に凸部4a2aを有する。凸部4a2aは、積層体SST1kにおける犠牲層52に対してXY方向に当接する。ティア4cは、側面に凸部4c2aを有する。凸部4c2aは、積層体SST2jにおける犠牲層52に対してXY方向に当接する。
【0145】
図19(c)に示す工程では、積層体SST1kの犠牲層5,51,52と積層体SST2jの犠牲層5,51,52とがそれぞれ除去される。除去によって形成された空隙の露出面に絶縁膜BLK2が堆積される。絶縁膜BLK2は、絶縁物(例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウムなどの金属酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。そして、空隙に導電層6が埋め込まれる。導電層6は、導電物(例えば、タングステンなどの金属)を主成分とする材料で形成され得る。これにより、導電層6と絶縁層7とが交互に繰り返し積層された積層体SST1が形成され、導電層6と絶縁層7とが交互に繰り返し積層された積層体SST2が形成される。ティア4aの側面の凸部4a2aは、積層体SST1における最も+Z側の導電層6に絶縁膜BLK2を介してXY方向に当接する。すなわち、ダミーワード線DWL1の導電層6が電荷蓄積膜CTと対向する部分での+Z側の角のXY方向の欠け量が、ワード線WL4の導電層6が電荷蓄積膜CTと対向する部分での+Z側の角のXY方向の欠け量より大きい構造が形成される。ティア4cの側面の凸部4c2aは、積層体SST2における最も-Z側の導電層6に絶縁膜BLK2を介してXY方向に当接する。すなわち、ダミーワード線DWL2の導電層6が電荷蓄積膜CTと対向する部分での-Z側の角のXY方向の欠け量が、ワード線WL5の導電層6が電荷蓄積膜CTと対向する部分での-Z側の角のXY方向の欠け量より大きい構造が形成される。
【0146】
以上のように、第1の実施形態では、半導体装置1は、電荷蓄積膜CT、半導体膜CH及び導電層6を含むZ方向の断面視において、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の角の欠け量が、ワード線WL4の導電層6の+Z側の角の欠け量より大きい。これにより、ワード線WL4の導電層6の+Z側の面6aの端部6a11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離に比べて、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の面6aの端部6a11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離を大きく確保できる。この結果、消去処理におけるダミーワード線DWL1の導電層6とジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象を抑制できる。
【0147】
例えば、半導体装置1において、ダミーワード線DWL1の導電層6は、+Z側の角のXY方向の欠け量Δxが数式16又は数式19を満たすように構成される。あるいは、ダミーワード線DWL1の導電層6は、+Z側の角のZ方向の欠け量Δzが数式17又は数式20を満たすように構成される。これにより、ダミーワード線DWL1の導電層6から絶縁膜BLK1をトンネルして電荷蓄積膜CTへ流れるバックトンネル電流を効果的に抑制できる。
【0148】
また、第1の実施形態では、半導体装置1は、電荷蓄積膜CT、半導体膜CH及び導電層6を含むZ方向の断面視において、ダミーワード線DWL2の導電層6の-Z側の角の欠け量が、ワード線WL5の導電層6の-Z側の角の欠け量より大きい。これにより、ワード線WL5の導電層6の-Z側の面6bの端部6b11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離に比べて、ダミーワード線DWL2の導電層6の-Z側の面6bの端部6b11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離を大きく確保できる。この結果、消去処理におけるダミーワード線DWL2の導電層6とジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象を抑制できる。
【0149】
例えば、半導体装置1において、ダミーワード線DWL2の導電層6は、-Z側の角のXY方向の欠け量Δxaが数式21又は数式23を満たすように構成される。あるいは、ダミーワード線DWL2の導電層6は、-Z側の角のZ方向の欠け量Δzaが数式22又は数式24を満たすように構成される。これにより、ダミーワード線DWL2の導電層6から絶縁膜BLK1をトンネルして電荷蓄積膜CTへ流れるバックトンネル電流を効果的に抑制できる。
【0150】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0151】
第1の実施形態では、ダミーワード線の導電層の角に対応する位置でティアにおける絶縁膜BLK1の外側面が凸部を有し内側面が凹部を有する構成が例示されるが、第2の実施形態では、絶縁膜BLK1の外側面が凸部を有し内側面が略平坦である構成が例示される。
【0152】
図20に示すように、第2の実施形態にかかる半導体装置101においても、ダミーワード線DWL1の導電層6の電荷蓄積膜CTとの対向部付近が、角に欠け部を有して構成される。
図20は、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側(上側)の角の欠け部の構成を示す拡大断面図であり、
図5のB部分を拡大した拡大断面図に相当する。
【0153】
例えば、ダミーワード線DWL1の導電層6が電荷蓄積膜CTと対向する部分での+Z側の角に対応するZ位置で、ティア4aにおける電荷蓄積膜CTの側面が平坦で且つ絶縁膜BLK1の側面に凸部4a2aが配される。すなわち、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の角に対応するZ位置で、絶縁膜BLK1の内側面が略平坦であり、絶縁膜BLK1の外側面が凸部4a2aにより外側へ突出しており、絶縁膜BLK1のXY方向膜厚が部分的に厚くなっている。これにより、導電層6の+Z側の端面6dがティア4aの外側へ後退するように構成される。
【0154】
外周面4a1,4a3,4a4,4a5が一体面である第1の基準外周面を形成する。外周面4a2は、第1の基準外周面の外側に位置にする。外周面4a11,4a13,4a14,4a15が一体面である第2の基準外周面を形成する。外周面4a12は、ほぼ第2の基準外周面内に位置する。ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の角に対応するZ位置で、絶縁膜BLK1のXY方向膜厚さが部分的に厚くなり、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の角がワード線WL4の中心軸CA1側の+Z側の角に比べて第1の基準外周面からより外側に後退した位置まで欠けている。
【0155】
これに応じて、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の角には、YZ断面視で略直角三角形状の欠け部6a1が比較的大きな寸法で形成される。ワード線WL4の導電層6の+Z側の角には、欠け部6a1は実質的に形成されないか、YZ断面視で略直角三角形状の欠け部6a1が比較的小さな寸法で形成される。
【0156】
すなわち、積層体SST1のダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の角の欠け量は、積層体SST1のワード線WL4の導電層6の+Z側の角の欠け量より大きい。同様に、積層体SST1のダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の角の欠け量は、積層体SST1のワード線WL3,WL2,WL1,WL0の導電層6の+Z側の角の欠け量より大きい。
【0157】
これにより、ワード線WL4,WL3,WL2,WL1,WL0の導電層6の+Z側の面6aの端部6a11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離に比べて、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の面6aの端部6a11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離をさらに大きく確保できる。この結果、消去処理におけるダミーワード線DWL1の導電層6とジョイント部4b(
図5参照)付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象をさらに抑制できる。
【0158】
同様に、図示しないが、ダミーワード線DWL2の導電層6が電荷蓄積膜CTと対向する部分での-Z側の角に対応するZ位置で、ティア4cにおける電荷蓄積膜CTの側面が平坦で且つ絶縁膜BLK1の側面に凸部4c2aが配される。すなわち、ダミーワード線DWL2の導電層6の-Z側の角に対応するZ位置で、絶縁膜BLK1の内側面が平坦であり、絶縁膜BLK1の外側面が凸部4c2aにより外側へ突出している。
【0159】
これに応じて、ダミーワード線DWL2の導電層6の-Z側の角には、YZ断面視で略直角三角形状の欠け部6a1aが比較的大きな寸法で形成される。ワード線WL5の導電層6が電荷蓄積膜CTと対向する部分での-Z側の角には、欠け部6a1aは実質的に形成されないか、YZ断面視で略直角三角形状の欠け部6a1aが比較的小さな寸法で形成される。
【0160】
すなわち、積層体SST2のダミーワード線DWL2の導電層6の-Z側の角の欠け量は、積層体SST2のワード線WL5の導電層6の-Z側の角の欠け量より大きい。同様に、積層体SST2のダミーワード線DWL2の導電層6の-Z側の角の欠け量は、積層体SST2のワード線WL6,WL7,WL8,WL9の導電層6の-Z側の角の欠け量より大きい。
【0161】
これにより、ワード線WL5の導電層6の-Z側の面6bの端部6b11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離に比べて、ダミーワード線DWL2の導電層6の-Z側の面6bの端部6b11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離をさらに大きく確保できる。この結果、消去処理におけるダミーワード線DWL2の導電層6とジョイント部4b(
図5参照)付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象をさらに抑制できる。
【0162】
また、半導体装置101の製造方法が
図21に示すように、次の点で第1の実施形態と異なる。
図21(a)~
図21(c)は、半導体装置101の製造方法を示す断面図である。
【0163】
図17(a)~
図19(a)に示す工程が行われた後、
図21(a)に示す工程が行われる。
図21(a)に示す工程では、メモリホール16の側面及び底面に絶縁膜BLK1が堆積される。このとき、メモリホール16の側面の凹部10j1,151(
図19(a)参照)に、絶縁膜BLK1が埋め込まれ得る。絶縁膜BLK1は、酸化物(例えば、シリコン酸化物、金属酸化物またはそれらの積層)を主成分とする材料で形成され得る。絶縁膜BLK1は、そのXY方向厚さが所望のXY方向厚さ(
図19(b)参照)より厚くなるように堆積される。このとき、絶縁膜BLK1の外側面には、ジョイント層JLの-Z側の犠牲層52のZ位置に凸部4a2aが形成され、ジョイント層JLの+Z側の犠牲層52のZ位置に凸部4c2aが形成される。絶縁膜BLK1の内側面には、ジョイント層JLの-Z側の犠牲層52のZ位置に凹部10j11が形成され、ジョイント層JLの+Z側の犠牲層52のZ位置に凹部1511が形成される。
【0164】
図21(b)に示す工程では、メモリホール16の側面及び底面の絶縁膜BLK1が、RIE法などの異方性エッチングでエッチバックされスリミングされる。スリミングは、凸部4a2a,4c2a以外のZ位置において絶縁膜BLK1のXY方向厚さが所望のXY方向厚さ(
図19(b)参照)に均等になるように、その加工時間が制御される。これにより、絶縁膜BLK1の内側面において、ジョイント層JLの-Z側の犠牲層52のZ位置の部分が平坦化され、ジョイント層JLの+Z側の犠牲層52のZ位置の部分が平坦化される。
【0165】
図21(c)に示す工程では、メモリホール16の側面及び底面に、電荷蓄積膜CT、絶縁膜TNLを順に堆積する。絶縁膜BLK1、電荷蓄積膜CT、絶縁膜TNLにおけるメモリホール16の底面の部分が選択的に除去された後、メモリホール16の側面及び底面に半導体膜CHが堆積される。そして、メモリホール16にコア部材CRが埋め込まれる。これにより、積層体SST1k、ジョイント層JL、積層体SST2jをZ方向に貫通する柱状体4が形成される。柱状体4は、導電層3の+Z側に、積層体SST1kをZ方向に貫通するティア4a、ジョイント層JLをZ方向にほぼ貫通するジョイント部4b、積層体SST2jをZ方向に貫通するティア4cを順に含む。
【0166】
ティア4aにおいて、絶縁膜BLK1は、外側面が凸部4a2aを有するが、内側面が凸部を有さず平坦である。凸部4a2aは、積層体SST1kにおける犠牲層52に対してXY方向に当接する。ティア4cにおいて、絶縁膜BLK1は、外側面が凸部4c2aを有するが、内側面が凸部を有さず平坦である。凸部4c2aは、積層体SST2jにおける犠牲層52に対してXY方向に当接する。
【0167】
【0168】
以上のように、第2の実施形態では、半導体装置101において、ダミーワード線DWL1の導電層6と電荷蓄積膜CTとの間の絶縁膜BLK1は、外側面が導電層6の側へ突出する凸部4a2aを有し、内側面が略平坦である。これにより、ワード線WL4の導電層6の+Z側の端部6a11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離に比べて、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の端部6a11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離をさらに大きく確保できる。したがって、消去処理におけるダミーワード線DWL1の導電層6とジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象をさらに抑制できる。
【0169】
また、半導体装置101において、ダミーワード線DWL2の導電層6と電荷蓄積膜CTとの間の絶縁膜BLK1は、外側面が導電層6の側へ突出する凸部4c2aを有し、内側面が略平坦である。これにより、ワード線WL5の導電層6の-Z側の端部6b11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離に比べて、ダミーワード線DWL2の導電層6の-Z側の端部6b11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離をさらに大きく確保できる。したがって、消去処理におけるダミーワード線DWL2の導電層6とジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象をさらに抑制できる。
【0170】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態にかかる半導体装置について説明する。以下では、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0171】
第1の実施形態及び第2の実施形態では、ダミーワード線の導電層に対応する位置でティアの側面に凸部が配される構成を例示するが、第3の実施形態では、ダミーワード線の導電層とティアとの間に絶縁膜が追加される構成を例示する。
【0172】
図22に示すように、第3の実施形態にかかる半導体装置201においても、ダミーワード線DWL1の導電層6の電荷蓄積膜CTとの対向部付近が、角に欠け部を有して構成される。
図22は、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側(上側)の角の欠け部の構成を示す拡大断面図であり、
図5のB部分を拡大した拡大断面図に相当する。
【0173】
ダミーワード線DWL1の導電層6とティア4aとの間には、絶縁膜BLK3が追加されている。絶縁膜BLK3は、電荷蓄積膜CTから遠い側の面が絶縁膜BLK2を介して導電層6に対向し、電荷蓄積膜CTに近い側の面がティア4aの外周面4a2に当接している。すなわち、ワード線WL4の導電層6とティア4aとの間には絶縁膜BLK2が単独で介在するのに対し、ダミーワード線DWL1の導電層6とティア4aとの間には絶縁膜BLK2に加えて絶縁膜BLK3がさらに介在する。また、ダミーワード線DWL1の導電層6が電荷蓄積膜CTと対向する部分での+Z側の角が、ワード線WL4の中心軸CA1側の+Z側の角に比べて第1の基準外周面からより外側に後退した位置まで欠けている。
【0174】
これに応じて、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の角には、YZ断面視で略直角三角形状の欠け部6a1が比較的大きな寸法で形成される。ワード線WL4の導電層6の+Z側の角には、欠け部6a1は実質的に形成されないか、YZ断面視で略直角三角形状の欠け部6a1が比較的小さな寸法で形成される。
【0175】
すなわち、積層体SST1のダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の角の欠け量は、積層体SST1のワード線WL4の導電層6の+Z側の角の欠け量より大きい。同様に、積層体SST1のダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の角の欠け量は、積層体SST1のワード線WL3,WL2,WL1,WL0の導電層6の+Z側の角の欠け量より大きい。
【0176】
これにより、ワード線WL4,WL3,WL2,WL1,WL0の導電層6の+Z側の面6aの端部6a11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離に比べて、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の面6aの端部6a11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離を大きく確保できる。この結果、消去処理におけるダミーワード線DWL1の導電層6とジョイント部4b(
図5参照)付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象を抑制できる。
【0177】
ダミーワード線DWL1の導電層6とティア4aとの間に介在する絶縁膜BLK3は、絶縁膜BLK1(例えば、シリコン酸化物)と組成が異なっていてもよいし、絶縁膜BLK2(例えば、アルミニウム酸化物、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウムなどの金属酸化物)と組成が異なっていてもよい。絶縁膜BLK3は、絶縁膜BLK1より誘電率が低い材料で形成されていてもよい。絶縁膜BLK3は、例えば、炭素、フッ素、窒素、水素、ホウ素を含む群から選択された1つ以上の元素を含むシリコン酸化物で形成されていてもよいし、シリコン酸化物を低密度化又は多孔質化した材料で形成されていてもよい。これにより、絶縁膜BLK3は、物理的な膜厚に比べてシリコン酸化膜に換算した場合の電気的な膜厚を厚く確保できるので、効果的にバックトンネル現象を抑制できる。
【0178】
なお、外周面4a1,4a3,4a4,4a5が一体面である第1の基準外周面を形成する。外周面4a2は、ほぼ第1の基準外周面内に位置にする。外周面4a11,4a13,4a14,4a15が一体面である第2の基準外周面を形成する。外周面4a12は、ほぼ第2の基準外周面内に位置する。絶縁膜BLK3は、絶縁膜BLK1を介して電荷蓄積膜CTと対向するように形成された絶縁膜BLK2の+Z側の傾斜面と外周面4a12(外周面4a2)との間に介在している。傾斜面は、電荷蓄積膜CTから見て、+Z側のZ位置ほどXY位置が外側になる。これに応じて、絶縁膜BLK3は、+Z側のZ位置ほどXY方向膜厚がより厚くなっている。
【0179】
同様に、図示しないが、ダミーワード線DWL2の導電層6とティア4cとの間には、絶縁膜BLK3が追加されている。絶縁膜BLK3は、電荷蓄積膜CTから遠い側の面が絶縁膜BLK2を介して導電層6に対向し、電荷蓄積膜CTに近い側の面がティア4cの外周面に当接している。ワード線WL5の導電層6とティア4cとの間には絶縁膜BLK2が単独で介在するのに対し、ダミーワード線DWL2の導電層6とティア4cとの間には絶縁膜BLK2に加えて絶縁膜BLK3がさらに介在する。
【0180】
これに応じて、ダミーワード線DWL2の導電層6の-Z側の角には、YZ断面視で略直角三角形状の欠け部6a1aが比較的大きな寸法で形成される。ワード線WL5の導電層6が電荷蓄積膜CTと対向する部分での-Z側の角には、欠け部6a1aは実質的に形成されないか、YZ断面視で略直角三角形状の欠け部6a1aが比較的小さな寸法で形成される。
【0181】
すなわち、積層体SST2のダミーワード線DWL2の導電層6の-Z側の角の欠け量は、積層体SST2のワード線WL5の導電層6の-Z側の角の欠け量より大きい。同様に、積層体SST2のダミーワード線DWL2の導電層6の-Z側の角の欠け量は、積層体SST2のワード線WL6,WL7,WL8,WL9の導電層6の-Z側の角の欠け量より大きい。
【0182】
これにより、ワード線WL5,WL6,WL7,WL8,WL9の導電層6の-Z側の面6bの端部6b11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離に比べて、ダミーワード線DWL2の導電層6の-Z側の面6bの端部6b11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離を大きく確保できる。この結果、消去処理におけるダミーワード線DWL2の導電層6とジョイント部4b(
図5参照)付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象を抑制できる。
【0183】
ダミーワード線DWL2の導電層6とティア4cとの間に介在する絶縁膜BLK3は、絶縁膜BLK1(例えば、シリコン酸化物)と組成が異なっていてもよいし、絶縁膜BLK2(例えば、アルミニウム酸化物、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウムなどの金属酸化物)と組成が異なっていてもよい。絶縁膜BLK3は、絶縁膜BLK1より誘電率が低い材料で形成されていてもよい。絶縁膜BLK3は、例えば、炭素、フッ素、窒素、水素、ホウ素を含む群から選択された1つ以上の元素を含むシリコン酸化物で形成されていてもよいし、シリコン酸化物を低密度化又は多孔質化した材料で形成されていてもよい。これにより、絶縁膜BLK3は、物理的な膜厚に比べてシリコン酸化膜に換算した場合の電気的な膜厚を厚く確保できるので、効果的にバックトンネル現象を抑制できる。
【0184】
また、半導体装置201の製造方法が
図23に示すように、次の点で第1の実施形態と異なる。
図23(a)~
図23(c)は、半導体装置201の製造方法を示す断面図である。
【0185】
図17(a)~
図19(a)に示す工程が行われた後、
図23(a)に示す工程が行われる。
図23(a)に示す工程では、メモリホール16の側面及び底面に絶縁膜BLK3が堆積される。このとき、メモリホール16の側面の凹部10j1,151(
図19(a)参照)に、絶縁膜BLK3が埋め込まれ得る。絶縁膜BLK3は、絶縁物を主成分とする材料で形成され得る。絶縁膜BLK3は、絶縁膜BLK1より誘電率の低い絶縁物を主成分とする材料で形成されてもよい。
【0186】
図23(b)に示す工程では、メモリホール16の側面及び底面の絶縁膜BLK3が、RIE法などの異方性エッチングでエッチバックされ除去される。これにより、メモリホール16の側面の凹部10j1,151に埋め込まれた絶縁膜BLK3が残される。
【0187】
図23(c)に示す工程では、メモリホール16の側面及び底面に、絶縁膜BLK1、電荷蓄積膜CT、絶縁膜TNLを順に堆積する。絶縁膜BLK1、電荷蓄積膜CT、絶縁膜TNLにおけるメモリホール16の底面の部分が選択的に除去された後、メモリホール16の側面及び底面に半導体膜CHが堆積される。そして、メモリホール16にコア部材CRが埋め込まれる。これにより、積層体SST1k、ジョイント層JL、積層体SST2jをZ方向に貫通する柱状体4が形成される。柱状体4は、導電層3の+Z側に、積層体SST1kをZ方向に貫通するティア4a、ジョイント層JLをZ方向にほぼ貫通するジョイント部4b、積層体SST2jをZ方向に貫通するティア4cを順に含む。
【0188】
ティア4aにおいて、絶縁膜BLK3は、絶縁膜BLK1と犠牲膜52との間に介在する。ティア4cにおいて、絶縁膜BLK3は、絶縁膜BLK1と犠牲膜52との間に介在する。
【0189】
【0190】
以上のように、第3の実施形態では、半導体装置201において、ダミーワード線DWL1の導電層6とティア4aとの間に絶縁膜BLK3が追加された構造が構成される。これにより、ワード線WL4の導電層6の+Z側の端部6a11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離に比べて、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の端部6a11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離をさらに大きく確保できる。したがって、消去処理におけるダミーワード線DWL1の導電層6とジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象をさらに抑制できる。
【0191】
また、第3の実施形態では、半導体装置201において、ダミーワード線DWL1の導電層6とティア4aとの間に介在する絶縁膜BLK3は、絶縁膜BLK1より誘電率の低い絶縁物を主成分とする材料で形成され得る。これにより、ワード線WL4の導電層6の+Z側の端部6a11と電荷蓄積膜CTとの電気的なXY方向距離に比べて、ダミーワード線DWL1の導電層6の+Z側の端部6a11と電荷蓄積膜CTとの電気的なXY方向距離をさらに大きく確保できる。したがって、消去処理におけるダミーワード線DWL1の導電層6とジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象をさらに抑制できる。
【0192】
また、第3の実施形態では、半導体装置201において、ダミーワード線DWL2の導電層6とティア4cとの間に絶縁膜BLK3が追加された構造が構成される。これにより、ワード線WL5の導電層6の-Z側の端部6b11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離に比べて、ダミーワード線DWL2の導電層6の-Z側の端部6b11と電荷蓄積膜CTとのXY方向距離をさらに大きく確保できる。したがって、消去処理におけるダミーワード線DWL2の導電層6とジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象をさらに抑制できる。
【0193】
また、第3の実施形態では、半導体装置201において、ダミーワード線DWL2の導電層6とティア4cとの間に介在する絶縁膜BLK3は、絶縁膜BLK1より誘電率の低い絶縁物を主成分とする材料で形成され得る。これにより、ワード線WL5の導電層6の-Z側の端部6b11と電荷蓄積膜CTとの電気的なXY方向距離に比べて、ダミーワード線DWL2の導電層6の-Z側の端部6b11と電荷蓄積膜CTとの電気的なXY方向距離をさらに大きく確保できる。したがって、消去処理におけるダミーワード線DWL2の導電層6とジョイント部4b付近の電荷蓄積膜CTとの間のバックトンネル現象をさらに抑制できる。
【0194】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0195】
1,101,201 半導体装置、4 柱状体、4b ジョイント部、6 導電層、7 絶縁層、CH 半導体膜、CT 電荷蓄積膜、DMT1,DMT2 ダミーメモリセル、MT,MT0~MT9 メモリセル、SST,SST1,SST1i,SST1j,SST1k,SST2,SST2i,SST2j 積層体。