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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003412
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】電動作業機
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/02 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
B25B21/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102533
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川合 靖仁
(57)【要約】
【課題】電動作業機の大型化を抑制すること。
【解決手段】電動作業機は、ステータ及び少なくとも一部がステータの内側に配置され回転軸を中心に回転するロータを有するモータと、回転軸に平行な前後方向においてステータよりも前方に配置され、ロータが発生する回転力により回転するスピンドルと、スピンドルの後部を回転可能に支持するスピンドルベアリングと、を備える。スピンドルベアリングは、ステータの径方向内側に配置される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ及び少なくとも一部が前記ステータの内側に配置され回転軸を中心に回転するロータを有するモータと、
前記回転軸に平行な前後方向において前記ステータよりも前方に配置され、前記ロータが発生する回転力により回転するスピンドルと、
前記スピンドルの後部を回転可能に支持するスピンドルベアリングと、を備え、
前記スピンドルベアリングは、前記ステータの径方向内側に配置される、
電動作業機。
【請求項2】
前記ステータは、ステータコアと、少なくとも一部が前記ステータコアの前部に固定されるインシュレータと、を有し、
前記スピンドルベアリングは、前記インシュレータの径方向内側に配置される、
請求項1に記載の電動作業機。
【請求項3】
前記スピンドルベアリングを保持するベアリングボックスを備え、
前記インシュレータは、前記ベアリングボックスに接続される、
請求項2に記載の電動作業機。
【請求項4】
前記ベアリングボックスは、前記インシュレータに設けられたピン部が挿入される挿入孔を有する、
請求項3に記載の電動作業機。
【請求項5】
前記ベアリングボックスは、前記ステータコアの前端面に接触する第1凸部を有する、
請求項3又は請求項4に記載の電動作業機。
【請求項6】
前記スピンドルを収容するハンマケースを備え、
前記ベアリングボックスは、前記ハンマケースの後端部の開口を覆うように配置される、
請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の電動作業機。
【請求項7】
前記モータの少なくとも一部を収容するリヤケースを備え、
前記リヤケースと前記ハンマケースとは、ねじにより固定される、
請求項6に記載の電動作業機。
【請求項8】
前記ハンマケースは、前記リヤケースの前端面に接触する第2凸部を有する、
請求項7に記載の電動作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、電動作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
インパクト工具に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような動力工具が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0187707号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動作業機を用いる作業性の向上のために、電動作業機の大型化を抑制する技術が要求される。
【0005】
本明細書で開示する技術は、電動作業機の大型化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、電動作業機を開示する。電動作業機は、ステータ及び少なくとも一部がステータの内側に配置され回転軸を中心に回転するロータを有するモータと、回転軸に平行な前後方向においてステータよりも前方に配置され、ロータが発生する回転力により回転するスピンドルと、スピンドルの後部を回転可能に支持するスピンドルベアリングと、を備えてもよい。スピンドルベアリングは、ステータの径方向内側に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本明細書で開示する技術によれば、電動作業機の大型化が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る電動作業機を示す前方からの斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る電動作業機の一部を示す後方からの斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る電動作業機の一部を示す側面図である。
図4図4は、実施形態に係る電動作業機の一部を示す縦断面図である。
図5図5は、実施形態に係る電動作業機の一部を示す横断面図である。
図6図6は、実施形態に係る電動作業機の一部を示す斜視断面図である。
図7図7は、実施形態に係る電動作業機の一部を示す前方からの分解斜視図である。
図8図8は、実施形態に係る電動作業機の一部を示す後方からの分解斜視図である。
図9図9は、実施形態に係るモータを示す前方からの斜視図である。
図10図10は、実施形態に係るモータを示す前方からの分解斜視図である。
図11図11は、実施形態に係るステータを示す前方からの分解斜視図である。
図12図12は、実施形態に係る電動作業機の一部を示す前方からの分解斜視図である。
図13図13は、実施形態に係る電動作業機の一部を示す後方からの分解斜視図である。
図14図14は、実施形態に係る電動作業機の動作を示す断面図である。
図15図15は、第1実施形態に係る電動作業機の動作を示す断面図である。
図16図16は、第1実施形態に係る電動作業機の動作を示す断面図である。
図17図17は、第1実施形態に係る電動作業機の動作を示す断面図である。
図18図18は、第1実施形態に係る電動作業機の動作を示す断面図である。
図19図19は、第1実施形態に係る電動作業機の動作を示す断面図である。
図20図20は、第1実施形態に係る電動作業機の動作を示す断面図である。
図21図21は、第1実施形態に係る電動作業機の動作を示す断面図である。
図22図22は、第1実施形態に係る電動作業機の動作を示す断面図である。
図23図23は、第1実施形態に係る電動作業機の動作を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動作業機は、ステータ及び少なくとも一部がステータの内側に配置され回転軸を中心に回転するロータを有するモータと、回転軸に平行な前後方向においてステータよりも前方に配置され、ロータが発生する回転力により回転するスピンドルと、スピンドルの後部を回転可能に支持するスピンドルベアリングと、を備えてもよい。スピンドルベアリングは、ステータの径方向内側に配置されてもよい。
【0010】
上記の構成では、スピンドルベアリングがステータの径方向内側に配置され、前後方向においてスピンドルベアリングがステータの少なくとも一部とオーバーラップするので、モータの回転軸と平行な前後方向における電動作業機の大型化が抑制される。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ステータは、ステータコアと、少なくとも一部がステータコアの前部に固定されるインシュレータと、を有してもよい。スピンドルベアリングは、インシュレータの径方向内側に配置されてもよい。
【0012】
上記の構成では、スピンドルベアリングがインシュレータの径方向内側に配置され、前後方向においてスピンドルベアリングがインシュレータの少なくとも一部とオーバーラップするので、モータの回転軸と平行な前後方向における電動作業機の大型化が抑制される。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動作業機は、スピンドルベアリングを保持するベアリングボックスを備えてもよい。インシュレータは、ベアリングボックスに接続されてもよい。
【0014】
上記の構成では、ステータとベアリングボックスとの相対移動が抑制される。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ベアリングボックスは、インシュレータに設けられたピン部が挿入される挿入孔を有してもよい。
【0016】
上記の構成では、ピン部が挿入孔に挿入されることにより、インシュレータとベアリングボックスとが接続される。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ベアリングボックスは、ステータコアの前端面に接触する第1凸部を有してもよい。
【0018】
上記の構成では、ステータがベアリングボックスの第1凸部に支持される。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動作業機は、スピンドルを収容するハンマケースを備えてもよい。ベアリングボックスは、ハンマケースの後端部の開口を覆うように配置されてもよい。
【0020】
上記の構成では、ベアリングボックスとハンマケースとが接続される。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動作業機は、モータの少なくとも一部を収容するリヤケースを備えてもよい。リヤケースとハンマケースとは、ねじにより固定されてもよい。
【0022】
上記の構成では、リヤケースとハンマケースとの相対移動が抑制される。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ハンマケースは、リヤケースの前端面に接触する第2凸部を有してもよい。
【0024】
上記の構成では、リヤケースがハンマケースの第1凸部に支持される。
【0025】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0026】
実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、電動作業機の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。電動作業機は、動力源としてモータ6を有する。
【0027】
実施形態において、モータ6の回転軸AXに平行な方向を適宜、軸方向、と称し、回転軸AXの周囲を周回する方向を適宜、周方向又は回転方向、と称し、回転軸AXの放射方向を適宜、径方向、と称する。
【0028】
軸方向において電動作業機の中心から規定の方向に離隔する方向又は位置を適宜、軸方向一方側、と称し、軸方向一方側の反対側を適宜、軸方向他方側、と称する。周方向において規定の方向を適宜、周方向一方側、と称し、周方向一方側の反対側を適宜、周方向他方側、と称する。径方向において回転軸AXから離隔する方向又は位置を適宜、径方向外側、と称し、径方向外側の反対側を適宜、径方向内側、と称する。
【0029】
実施形態において、軸方向と前後方向とは、一致する。軸方向一方側が前方とみなされてもよい。軸方向他方側が後方とみなされてもよい。
【0030】
[電動作業機]
図1は、実施形態に係る電動作業機1を示す前方からの斜視図である。図2は、実施形態に係る電動作業機1の一部を示す後方からの斜視図である。図3は、実施形態に係る電動作業機1の一部を示す側面図である。図4は、実施形態に係る電動作業機1の一部を示す縦断面図である。図5は、実施形態に係る電動作業機1の一部を示す横断面図である。図6は、実施形態に係る電動作業機1の一部を示す斜視断面図である。図7は、実施形態に係る電動作業機1の一部を示す前方からの分解斜視図である。図8は、実施形態に係る電動作業機1の一部を示す後方からの分解斜視図である。実施形態において、電動作業機1は、電動工具の一種であるインパクトドライバである。
【0031】
電動作業機1は、ハウジング2と、リヤケース3と、ハンマケース4と、ベアリングボックス5と、モータ6と、ファン7と、後側ロータベアリング8と、前側ロータベアリング9と、減速機構10と、スピンドル11と、スピンドルベアリング12と、打撃機構13と、ハンマベアリング14と、工具保持シャフト15と、シャフトベアリング16と、可動アンビル17と、工具保持機構18とを備える。
【0032】
ハウジング2は、電動作業機1の構成要素の少なくとも一部を収容する。ハウジング2は、合成樹脂製である。実施形態において、ハウジング2は、ナイロン製である。ハウジング2は、一対の半割れハウジングにより構成される。ハウジング2は、左ハウジング2Lと、左ハウジング2Lよりも右方に配置される右ハウジング2Rとを含む。左ハウジング2Lと右ハウジング2Rとは、複数のねじ(不図示)により固定される。
【0033】
ハウジング2は、収容部2Aと、グリップ部2Bと、バッテリ保持部2Cとを有する。
【0034】
収容部2Aは、ハンマケース4を覆うように配置される。なお、収容部2Aは、リヤケース3及びハンマケース4の両方を覆うように配置されてもよい。収容部2Aは、筒状である。
【0035】
グリップ部2Bは、作業者に握られる。グリップ部2Bは、収容部2Aから下方に延びる。
【0036】
バッテリ保持部2Cは、バッテリパック19を保持する。バッテリ保持部2Cの下部にバッテリ装着部が設けられる。バッテリ保持部2Cは、バッテリ装着部を介してバッテリパック19を保持する。バッテリパック19は、バッテリ装着部に着脱される。バッテリ保持部2Cは、グリップ部2Bの下端部に接続される。
【0037】
リヤケース3は、モータ6の少なくとも一部及びファン7を収容する。リヤケース3は、合成樹脂製である。リヤケース3を形成する合成樹脂として、ナイロン樹脂が例示される。
【0038】
リヤケース3は、筒部3Aと、円板部3Bと、ベアリング保持部3Cと、ねじボス部3Dと、突出部3Eとを有する。
【0039】
筒部3Aは、回転軸AXを囲むように配置される。円板部3Bは、筒部3Aの後端部の開口を覆うように配置される。
【0040】
ベアリング保持部3Cは、円板部3Bの前面の中央部に配置される。ベアリング保持部3Cは、円板部3Bの前面から前方に突出する。ベアリング保持部3Cは、円筒状である。後側ロータベアリング8は、ベアリング保持部3Cに保持される。
【0041】
ねじボス部3Dは、筒部3Aの外周面に設けられる。ねじボス部3Dは、周方向に間隔をあけて4つ設けられる。ねじボス部3Dに設けられたねじ用開口3Fにねじ20の中間部が配置される。
【0042】
突出部3Eは、筒部3Aの外周面の下部から下方に突出する。突出部3Eは、ハウジング2の少なくとも一部に掛けられる。突出部3Eにねじ用開口3Gが設けられる。ねじ用開口3Gに挿入されたねじ(不図示)がハウジング2に結合される。これにより、周方向において、リヤケース3とハウジング2との相対移動が抑制される。
【0043】
ハンマケース4は、減速機構10、スピンドル11、打撃機構13、可動アンビル17、スピンドルベアリング12、ハンマベアリング14、及びシャフトベアリング16を収容する。ハンマケース4は、金属製である。ハンマケース4を形成する金属として、鉄、アルミニウム、又はマグネシウムが例示される。
【0044】
ハンマケース4は、筒状である。ハンマケース4は、大筒部4Aと、小筒部4Bと、凸部4Cと、ねじボス部4Dと、突出部4Eとを有する。
【0045】
大筒部4A及び小筒部4Bのそれぞれは、回転軸AXを囲むように配置される。小筒部4Bは、大筒部4Aよりも前方に配置される。大筒部4Aの内径は、小筒部4Bの内径よりも大きい。大筒部4Aの外径は、小筒部4Bの外径よりも大きい。凸部4Cは、大筒部4Aの後面から後方に突出する。
【0046】
凸部4Cは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。凸部4Cの後端面は、筒部3Aの前端面に接触する。
【0047】
ねじボス部4Dは、大筒部4Aの外周面に設けられる。ねじボス部4Dは、周方向に間隔をあけて4つ設けられる。ねじボス部4Dに設けられたねじ孔4Fにねじ20の前端部が挿入される。ねじ20がねじボス部3Dの後方からねじボス部3Dのねじ用開口3Fに挿入された状態で、ねじ20の前端部に設けられたねじ部は、ねじボス部4Dに設けられたねじ孔4Fに結合される。リヤケース3とハンマケース4とがねじ20により固定されることにより、リヤケース3とハンマケース4との相対移動が抑制される。
【0048】
突出部4Eは、大筒部4Aの外周面の下部から下方に突出する。突出部4Eは、ハウジング2の少なくとも一部に掛けられる。突出部4Eにねじ用開口4Gが設けられる。ねじ用開口4Gに挿入されたねじ(不図示)がハウジング2に結合される。これにより、周方向において、ハンマケース4とハウジング2との相対移動が抑制される。
【0049】
ベアリングボックス5は、大筒部4Aの後端部の開口を覆うように配置される。ベアリングボックス5は、スピンドルベアリング12を保持する。
【0050】
ベアリングボックス5は、大筒部5Aと、小筒部5Bと、前側円環部5Cと、後側円環部5Dと、凸部5Eと、回り止め部5Fと、ボス部5Gとを有する。
【0051】
大筒部5A及び小筒部5Bのそれぞれは、回転軸AXを囲むように配置される。小筒部5Bは、大筒部5Aよりも後方に配置される。大筒部5Aの内径は、小筒部5Bの内径よりも大きい。大筒部5Aの外径は、小筒部5Bの外径よりも大きい。
【0052】
前側円環部5Cは、大筒部5Aの後端部と小筒部5Bの前端部とを繋ぐように配置される。前側円環部5Cの外縁部は、大筒部5Aの後端部に接続される。前側円環部5Cの内縁部は、小筒部5Bの前端部に接続される。
【0053】
後側円環部5Dは、小筒部5Bの後端部に配置される。後側円環部5Dの外縁部は、小筒部5Bの後端部に接続される。
【0054】
スピンドルベアリング12は、小筒部5Bの径方向内側に配置される。小筒部5Bの内周面は、スピンドルベアリング12の外輪の外周面に接触する。スピンドルベアリング12の後端部は、後側円環部5Dの前面に支持される。
【0055】
凸部5Eは、前側円環部5Cの後面の周縁部から後方に突出する。凸部5Eは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。凸部5Eの後端面は、後述する外側コア25の前端面に接触する。
【0056】
ボス部5Gは、前側円環部5Cの後面から後方に突出する。ボス部5Gは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。ボス部5Gは、径方向内側を向く凸部5Eの内面に一体的に形成される。ボス部5Gに設けられた挿入孔5Hに、後述するインシュレータ26のピン部28Cが挿入される。
【0057】
凸部5Eの後端面は、ボス部5Gの後端面よりも後方に配置される。ボス部5Gの後端面よりも後方の凸部5Eの内面に凹部5Jが設けられる。凹部5Jは、凸部5Eの内面から径方向外側に窪むように設けられる。凹部5Jは、前後方向に延びる。ピン部28Cは、ボス部5Gの後方から挿入孔5Hに挿入される。
【0058】
ピン部28Cが挿入孔5Hに挿入されるとき、後述する円柱部28Bが凹部5Jにガイドされる。ピン部28Cが挿入孔5Hに挿入された後、円柱部28Bは、凹部5Jに支持される。ピン部28Cが挿入孔5Hに挿入されることにより、前後方向及び周方向のそれぞれにおいて、ベアリングボックス5とステータ21との相対移動が抑制される。
【0059】
モータ6は、電動作業機1の動力源である。モータ6は、バッテリパック19から供給される電力に基づいて駆動する電動モータである。モータ6は、インナロータ型のブラシレスモータである。
【0060】
モータ6は、ステータ21と、ロータ22とを有する。ステータ21は、リヤケース3に支持される。ロータ22の少なくとも一部は、ステータ21の内側に配置される。ロータ22は、ステータ21に対して回転する。ロータ22は、前後方向に延びる回転軸AXを中心に回転する。
【0061】
図9は、実施形態に係るモータ6を示す前方からの斜視図である。図10は、実施形態に係るモータ6を示す前方からの分解斜視図である。図11は、実施形態に係るステータ21を示す前方からの分解斜視図である。
【0062】
ステータ21は、ステータコア23と、インシュレータ26と、コイル29とを有する。ステータコア23は、ロータ22よりも径方向外側に配置される。ステータコア23は、積層された複数の鋼板を含む。鋼板は、鉄を主成分とする金属製の板である。インシュレータ26は、ステータコア23の表面の少なくとも一部を覆うように配置される。インシュレータ26は、ステータコア23に固定される。インシュレータ26は、合成樹脂製の電気絶縁部材である。
【0063】
実施形態において、ステータコア23は、内側コア24と、外側コア25とを含む。外側コア25は、内側コア24の周囲に配置される。
【0064】
内側コア24は、内側ヨーク部24Aと、ティース部24Bと、連結部24Cとを含む。
【0065】
内側ヨーク部24Aは、円環状である。
【0066】
ティース部24Bは、内側ヨーク部24Aの外周面から径方向外側に突出する。ティース部24Bは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。
【0067】
連結部24Cは、ティース部24Bの径方向の外端部に接続される。周方向において、連結部24Cの寸法は、ティース部24Bの寸法よりも大きい。連結部24Cは、ティース部24Bの径方向の外端部から周方向一方側及び周方向他方側のそれぞれに張り出すように設けられる。
【0068】
外側コア25は、実質的に円環状である。外側コア25の径方向内側の内周面には、連結部24Cの少なくとも一部が配置される凹部25Aが設けられる。
【0069】
連結部24Cの少なくとも一部が凹部25Aに配置されることにより、内側コア24と外側コア25とが連結される。内側コア24と外側コア25とが連結され、内側コア24と外側コア25とが一体になることにより、ステータコア23が形成される。
【0070】
実施形態において、インシュレータ26は、後側インシュレータ27と、前側インシュレータ28とを含む。後側インシュレータ27は、ステータコア23の後部に固定される。前側インシュレータ28は、ステータコア23の前部に固定される。インシュレータ26は、内側コア24の表面を覆うように配置される。
【0071】
後側インシュレータ27は、外側コア25の後端面に接触する後側プレート部27Aを有する。後側プレート部27Aは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。後側プレート部27Aは、コイル29よりも径方向外側に配置される。後側プレート部27Aは、径方向外側を向くコイル29の外周部を支持する。
【0072】
前側インシュレータ28は、コイル29の外周部を支持する支持プレート部28Dと、内側コア24の前端面に接触する前側プレート部28Aと、前側プレート部28Aの前面から前方に突出する円柱部28Bと、円柱部28Bの前端部から前方に突出するピン部28Cとを有する。支持プレート部28Dは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。前側プレート部28A及び円柱部28Bのそれぞれは、径方向外側を向く支持プレート部28Dの外面に固定される。ピン部28Cは、支持プレート部28Dの前端部よりも前方に配置される。ピン部28Cの太さは、円柱部28Bの太さよりも細い。
【0073】
コイル29は、インシュレータ26を介してステータコア23に装着される。コイル29は、複数配置される。コイル29は、後側インシュレータ27及び前側インシュレータ28を介してティース部24Bの周囲に配置される。コイル29とステータコア23とは、インシュレータ26により電気的に絶縁される。複数のコイル29は、渡り線30を介して相互に接続される。バッテリパック19からの電流は、ヒュージング端子31及び渡り線30を介してコイル29に供給される。
【0074】
ロータ22は、回転軸AXを中心に回転する。ロータ22は、ロータマグネット32と、ロータシャフト33とを有する。
【0075】
ロータシャフト33は、鋼製である。ロータシャフト33にロータマグネット32が固定される。ロータシャフト33は、ロータマグネット32に固定される。ロータマグネット32は、円筒状である。ロータシャフト33は、ロータマグネット32よりも径方向内側に配置される。
【0076】
ロータシャフト33は、ロータマグネット32が固定されるマグネット固定部33Aと、ロータマグネット32の後端面よりも後方に配置されるファン固定部33Bと、ファン固定部33Bの後端面から後方に突出する後側支持部33Cと、ロータマグネット32の前端面よりも前方に配置される前側支持部33Dとを有する。
【0077】
ファン固定部33Bの直径は、マグネット固定部33Aの直径よりも大きい。後側支持部33C及び前側支持部33Dのそれぞれの直径は、マグネット固定部33Aの直径よりも小さい。後側支持部33Cの直径は、前側支持部33Dの直径よりも小さい。
【0078】
ロータシャフト33の後側支持部33Cは、後側ロータベアリング8に回転可能に支持される。ロータシャフト33の前側支持部33Dは、前側ロータベアリング9に回転可能に支持される。後側ロータベアリング8は、リヤケース3のベアリング保持部3Cに保持される。前側ロータベアリング9は、スピンドル11に保持される。ロータシャフト33の前端部は、スピンドル11の内側に配置される。
【0079】
ロータシャフト33の前端部にピニオンギヤ48が固定される。ピニオンギヤ48は、減速機構10の少なくとも一部に連結される。ロータシャフト33は、ピニオンギヤ48を介して減速機構10に連結される。
【0080】
ファン7は、モータ6を冷却するための気流を生成する。ファン7は、モータ6よりも後方に配置される。ファン7は、ブッシュ7Aを介してロータシャフト33のファン固定部33Bに固定される。ファン7は、ロータ22の回転により回転する。ロータシャフト33が回転することにより、ファン7は、ロータシャフト33と一緒に回転する。ファン7の回転により、モータ6の周囲に気流が生成され、モータ6が冷却される。
【0081】
減速機構10は、ロータシャフト33とスピンドル11とを連結する。減速機構10は、ロータ22の回転をスピンドル11に伝達する。減速機構10は、ロータシャフト33の回転速度よりも低い回転速度でスピンドル11を回転させる。減速機構10は、遊星歯車機構を含む。
【0082】
図12は、実施形態に係る電動作業機1の一部を示す前方からの分解斜視図である。図13は、実施形態に係る電動作業機1の一部を示す後方からの分解斜視図である。
【0083】
減速機構10は、ピニオンギヤ48の周囲に配置される複数のプラネタリギヤ58と、複数のプラネタリギヤ58のそれぞれを支持するピン59と、複数のプラネタリギヤ58の周囲に配置されるインターナルギヤ60とを有する。複数のプラネタリギヤ58のそれぞれは、ピニオンギヤ48に噛み合う。プラネタリギヤ58は、ピン59を介してスピンドル11に回転可能に支持される。スピンドル11は、プラネタリギヤ58により回転される。インターナルギヤ60は、プラネタリギヤ58に噛み合う内歯を有する。
【0084】
インターナルギヤ60は、ベアリングボックス5に固定される。図7及び図8に示すように、インターナルギヤ60の外面に凸部62が設けられる。凸部62は、インターナルギヤ60の外周面から径方向外側に突出する。凸部62は、周方向に間隔をあけて複数設けられる。上述のように、ベアリングボックス5は、周方向に間隔をあけて配置される複数の回り止め部5Fを有する。隣り合う一対の回り止め部5Fの間に凹部5Kが形成される。凸部62は、凹部5Kに配置される。凸部62が凹部5Kに配置されることにより、ベアリングボックス5とインターナルギヤ60との相対回転が抑制される。ベアリングボックス5は、前側インシュレータ28を介してリヤケース3及びハンマケース4のそれぞれに固定される。インターナルギヤ60は、ハンマケース4及びリヤケース3に対して常に回転不可能である。
【0085】
モータ6の駆動によりロータシャフト33が回転すると、ピニオンギヤ48が回転し、プラネタリギヤ58がピニオンギヤ48の周囲を公転する。プラネタリギヤ58は、インターナルギヤ60の内歯に噛み合いながら公転する。プラネタリギヤ58の公転により、ピン59を介してプラネタリギヤ58に接続されているスピンドル11は、ロータシャフト33の回転速度よりも低い回転速度で回転する。
【0086】
スピンドル11は、モータ6の回転力により回転する。スピンドル11の少なくとも一部は、減速機構10よりも前方に配置される。スピンドル11は、工具保持シャフト15よりも後方に配置される。スピンドル11は、ロータ22により回転する。スピンドル11は、減速機構10により伝達されたロータ22の回転力により回転する。スピンドル11は、モータ6の回転力を、打撃機構13を介して工具保持シャフト15に伝達する。
【0087】
スピンドル11は、スピンドルシャフト部11Aと、フランジ部11Bと、ピン支持部11Cと、連結部11Dと、凸部11Eとを有する。
【0088】
スピンドルシャフト部11Aは、軸方向に延びる。スピンドルシャフト部11Aは、回転軸AXを囲むように配置される。スピンドルシャフト部11Aの外周面の前端部にスピンドル突起部69が設けられる。スピンドル突起部69は、スピンドルシャフト部11Aの外周面の前端部から径方向外側に突出する。スピンドル突起部69は、回転軸AXの周囲に2つ設けられる。2つのスピンドル突起部69は、回転軸AXを挟むように配置される。以下の説明において、一方のスピンドル突起部69を適宜、第1スピンドル突起部691、と称し、他方のスピンドル突起部69を適宜、第2スピンドル突起部692、と称する。
【0089】
スピンドルシャフト部11Aの外周面にボール溝70が形成される。ボール溝70は、スピンドル突起部69よりも後方に配置される。ボール溝70は、回転軸AXを囲むように形成される。ボール溝70は、スピンドルシャフト部11Aの外周面から径方向内側に凹むように形成される。
【0090】
フランジ部11Bは、スピンドルシャフト部11Aの後部に設けられる。フランジ部11Bは、スピンドルシャフト部11Aの後部から径方向外側に突出する。フランジ部11Bの前面にスピンドル溝71が設けられる。スピンドル溝71は、周方向に複数設けられる。本実施形態において、スピンドル溝71は、周方向に3つ設けられる。
【0091】
ピン支持部11Cは、フランジ部11Bよりも後方に配置される。ピン支持部11Cは、円環状である。フランジ部11Bの一部とピン支持部11Cの一部とは、連結部11Dを介して連結される。凸部11Eは、ピン支持部11Cから後方に突出する。
【0092】
プラネタリギヤ58は、フランジ部11Bとピン支持部11Cとの間に配置される。ピン59の前端部は、フランジ部11Bに支持される。ピン59の後端部は、ピン支持部11Cに支持される。プラネタリギヤ58は、ピン59を介してフランジ部11B及びピン支持部11Cのそれぞれに回転可能に支持される。
【0093】
凸部11Eは、スピンドルベアリング12の内側に配置される。凸部11Eは、スピンドルベアリング12に回転可能に支持される。スピンドルベアリング12の内輪の前端部に対向する位置にワッシャ74が配置される。
【0094】
スピンドルベアリング12は、ステータ21の径方向内側に配置される。前後方向において、スピンドルベアリング12と、ステータ21の少なくとも一部とは、オーバーラップする。
【0095】
実施形態において、スピンドルベアリング12は、インシュレータ26の前側インシュレータ28の径方向内側に配置される。前後方向において、スピンドルベアリング12と前側インシュレータ28の少なくとも一部とは、オーバーラップする。前後方向において、スピンドルベアリング12とコイル29の少なくとも一部とは、オーバーラップする。スピンドルベアリング12は、ステータコア23よりも前方に配置される。なお、前後方向において、スピンドルベアリング12とステータコア23の前端部とがオーバーラップしてもよい。
【0096】
打撃機構13は、モータ6により駆動される。モータ6の回転力は、減速機構10及びスピンドル11を介して打撃機構13に伝達される。打撃機構13は、モータ6により回転するスピンドル11の回転力に基づいて、可動アンビル17を回転方向に打撃する。
【0097】
打撃機構13は、ハンマ75と、カムリング76と、ボール77と、弾性部材78と、ワッシャ79と、回転ボール80とを有する。
【0098】
ハンマ75は、可動アンビル17を回転方向に打撃する。ハンマ75は、可動アンビル17を介して工具保持シャフト15を回転方向に打撃する。ハンマ75は、スピンドル11に支持される。ハンマ75は、スピンドルシャフト部11Aの周囲に配置される。ハンマ75は、スピンドルシャフト部11Aに回転可能に支持される。ハンマ75は、減速機構10よりも前方に配置される。
【0099】
ハンマ75は、ハンマケース4に対して軸方向に移動しない。なお、実質的には、ハンマ75は、例えばガタつきに起因して、ハンマケース4に対して軸方向に僅かに移動する可能性がある。ハンマ75は、スピンドル11に対して相対回転することができる。ハンマ75は、スピンドルシャフト部11Aに支持された状態で、スピンドルシャフト部11Aに対して相対回転することができる。ハンマ75は、スピンドル11に対して軸方向に変位せずに、可動アンビル17を回転方向に打撃する。
【0100】
ハンマ75は、後側外筒部81と、前側外筒部82と、内筒部83とを有する。後側外筒部81、前側外筒部82、及び内筒部83のそれぞれは、回転軸AXを囲むように配置される。後側外筒部81と前側外筒部82と内筒部83とは、一体である。
【0101】
前側外筒部82は、後側外筒部81よりも前方に配置される。後側外筒部81の前端部は、前側外筒部82の後端部に接続される。後側外筒部81の外径は、前側外筒部82の外径よりも大きい。後側外筒部81の内径は、前側外筒部82の内径よりも大きい。
【0102】
内筒部83は、スピンドルシャフト部11Aに支持される。内筒部83は、後側外筒部81及び前側外筒部82よりも径方向内側に配置される。内筒部83の前端部は、前側外筒部82の後端部に接続される。前側外筒部82は、内筒部83よりも径方向外側且つ前側に配置される。後側外筒部81は、内筒部83及び前側外筒部82よりも径方向外側に配置され且つ前側外筒部82よりも後方に配置される。
【0103】
前側外筒部82の内周面にハンマ突起部84が設けられる。ハンマ突起部84は、前側外筒部82の内周面から径方向内側に突出する。ハンマ突起部84は、回転軸AXの周囲に2つ設けられる。2つのハンマ突起部84は、回転軸AXを挟むように配置される。2つのハンマ突起部84は、相互に対向するように配置される。以下の説明において、一方のハンマ突起部84を適宜、第1ハンマ突起部841、と称し、他方のハンマ突起部84を適宜、第2ハンマ突起部842、と称する。
【0104】
内筒部83は、スピンドルシャフト部11Aの周囲に配置される。内筒部83の内周面とスピンドルシャフト部11Aの外周面とは対向する。内筒部83の内周面にボール溝85が形成される。ボール溝85は、回転軸AXを囲むように形成される。ボール溝85は、内筒部83の内周面から径方向外側に凹むように形成される。
【0105】
後側外筒部81の内周面にガイド溝86が設けられる。ガイド溝86は、後側外筒部81の内周面において軸方向に延びるように形成される。ガイド溝86は、後側外筒部81の後端部から前方に延びるように形成される。ガイド溝86は、ハンマ75の回転軸AXの周囲に間隔をあけて複数設けられる。本実施形態において、ガイド溝86は、回転軸AXの周囲に6つ設けられる。6つのガイド溝86は、周方向に等間隔で設けられる。
【0106】
カムリング76は、ボール77を介してフランジ部11Bと相対回転可能に連結される。カムリング76は、ハンマ75と軸方向に相対移動可能且つ相対回転不可能に連結される。カムリング76は、フランジ部11Bの前面に対向するように配置される。カムリング76は、ハンマの後部に連結される。
【0107】
カムリング76は、後側外筒部81の内側に配置される。カムリング76とハンマ75とは、軸方向に相対移動することができる。上述のように、ハンマ75は、ハンマケース4に対して軸方向に移動しない。なお、実質的には、ハンマ75は、例えばガタつきに起因して、ハンマケース4に対して軸方向に僅かに移動する可能性がある。カムリング76は、ハンマ75の後側外筒部81の内側において、ハンマケース4に対して軸方向に移動する。
【0108】
カムリング76の外周面にカムスライド部87が設けられる。カムスライド部87は、カムリング76の外周面から径方向外側に突出する。カムスライド部87は、カムリング76の回転軸AXの周囲に間隔をあけて複数設けられる。カムスライド部87は、回転軸AXの周囲に6つ設けられる。6つのカムスライド部87は、周方向に等間隔で設けられる。カムスライド部87は、ガイド溝86に配置される。1つのカムスライド部87が1つのガイド溝86に配置される。カムスライド部87は、ガイド溝86を軸方向に移動する。カムリング76は、カムスライド部87を介してガイド溝86にガイドされながら、ハンマ75に対して軸方向に移動することができる。
【0109】
ハンマ75が有するガイド溝86は、カムリング76を軸方向にガイドし、ハンマ75とカムリング76との相対回転を抑制するガイド部として機能する。
【0110】
カムリング76の内周面にカム溝88が設けられる。カム溝88は、周方向に複数設けられる。本実施形態において、カム溝88は、周方向に3つ設けられる。
【0111】
カムリング76は、フランジ部11Bよりも前方に配置される。カムリング76は、ハンマ75の後側外筒部81の内側に配置された状態で、フランジ部11Bの前面に対向するように配置される。
【0112】
ボール77は、スピンドル11とカムリング76との間に配置される。ボール77は、フランジ部11Bとカムリング76との間に配置される。スピンドル11のフランジ部11Bとカムリング76とは、ボール77を介して相対回転することができる。
【0113】
ボール77は、鉄鋼のような金属製である。フランジ部11Bは、ボール77の少なくとも一部が配置されるスピンドル溝71を有する。スピンドル溝71は、フランジ部11Bの前面の一部に設けられる。回転軸AXに直交する面内において、スピンドル溝71は、円弧状である。カムリング76は、ボール77の少なくとも一部が配置されるカム溝88を有する。カム溝88は、カムリング76の内周面の一部に設けられる。回転軸AXに直交する面内において、カム溝88は、円弧状である。ボール77は、スピンドル溝71とカム溝88との間に配置される。上述のように、スピンドル溝71は、3つ設けられる。カム溝88は、3つ設けられる。ボール77は、3つ設けられる。1つのボール77が、1つのスピンドル溝71と1つのカム溝88との間に配置される。ボール77は、スピンドル溝71の内側及びカム溝88の内側のそれぞれを転がることができる。カムリング76は、ボール77に伴って移動可能である。
【0114】
スピンドル溝71の少なくとも一部は、周方向一方側に向かって後方に傾斜する。スピンドル溝71の少なくとも一部は、周方向他方側に向かって後方に傾斜してもよい。
【0115】
カム溝88の少なくとも一部は、周方向一方側に向かって後方に傾斜する。カム溝88の少なくとも一部は、周方向他方側に向かって後方に傾斜してもよい。
【0116】
フランジ部11Bとカムリング76との相対回転において、ボール77がスピンドル溝71とカム溝88との間をスピンドル溝71の中央部から周方向一方側の端部に向かって移動することにより、カムリング76は、ボール77から力を受けて、前方に移動する。
【0117】
また、フランジ部11Bとカムリング76との相対回転において、ボール77がスピンドル溝71とカム溝88との間を周方向一方側の端部からスピンドル溝71の中央部に向かって移動することにより、カムリング76は、ボール77から力を受けて、後方に移動する。
【0118】
フランジ部11Bとカムリング76との相対回転において、ボール77がスピンドル溝71とカム溝88との間をスピンドル溝71の中央部から周方向他方側の端部に向かってを移動することにより、カムリング76は、ボール77から力を受けて、前方に移動する。
【0119】
また、フランジ部11Bとカムリング76との相対回転において、ボール77がスピンドル溝71とカム溝88との間を周方向他方側の端部からスピンドル溝71の中央部に向かって移動することにより、カムリング76は、ボール77から力を受けて、後方に移動する。
【0120】
スピンドル11のフランジ部11Bとカムリング76とは、スピンドル溝71及びカム溝88により規定される可動範囲において、軸方向及び回転方向のそれぞれに相対移動することができる。
【0121】
カムリング76は、ボール77を介してスピンドル11のフランジ部11Bに連結される。カムリング76は、モータ6により回転されるスピンドル11の回転力に基づいて、スピンドル11と一緒に回転することができる。カムリング76は、回転軸AXを中心に回転する。
【0122】
弾性部材78は、カムリング76を後方に移動させる弾性力を常時発生する。軸方向において、弾性部材78は、ハンマ75とカムリング76との間に配置される。弾性部材78の少なくとも一部は、スピンドルシャフト部11Aの周囲に配置される。実施形態において、ハンマ75は、ハンマ75の後面から前方に窪むように形成された凹部89を有する。凹部89は、後側外筒部81の内周面と、内筒部83の外周面と、フランジ部11B及びカムリング76よりも前方に配置される支持面90とにより規定される。支持面90は、後側外筒部81の内周面の前端部と内筒部83の外周面の前端部とを結ぶように配置される。支持面90は、円環状である。弾性部材78の少なくとも一部は、凹部89の内側に配置される。軸方向において、弾性部材78は、カムリング76の前面とフランジ部11B及びカムリング76よりも前方に配置されたハンマ75の支持面90との間に配置される。
【0123】
実施形態において、弾性部材78の後部は、スピンドルシャフト部11Aの周囲に配置される。弾性部材78の前部は、凹部89の内側において内筒部83の周囲に配置される。実施形態において、弾性部材78は、複数の皿ばね91を含む。複数の皿ばね91は、軸方向に複数配置される。実施形態において、皿ばね91は、軸方向に4枚配置される。皿ばね91は、円環状である。実施形態において、一部の皿ばね91は、スピンドルシャフト部11Aの周囲に配置され、一部の皿ばね91は、内筒部83の周囲に配置される。
【0124】
ハンマ75は、スピンドルシャフト部11Aの周囲に配置される。カムリング76は、フランジ部11Bよりも前方に配置され、ボール77を介してフランジ部11Bに連結される。カムリング76は、カムスライド部87及びガイド溝86を介してハンマ75の後部に連結される。スピンドルシャフト部11Aとハンマ75とカムリング76とにより、閉鎖空間が規定される。閉鎖空間は、スピンドルシャフト部11Aの外周面と、内筒部83の外周面と、支持面90と、後側外筒部81の内周面と、カムリング76の前面とにより規定される。弾性部材78は、閉鎖空間に配置される。
【0125】
ワッシャ79は、弾性部材78の前端部を支持する。ワッシャ79は、内筒部83よりも径方向外側に配置される。ワッシャ79は、円環状である。ワッシャ79は、内筒部83を囲むように配置される。ワッシャ79は、凹部89の内側に配置される。ワッシャ79は、凹部89の内側においてハンマ75の少なくとも一部に支持される。
【0126】
弾性部材78の後端部は、カムリング76の前面に接触する。弾性部材78の前端部は、ワッシャ79に接触する。弾性部材78の前端部は、ワッシャ79を介してハンマ75に接続される。実施形態において、弾性部材78の後端部とは、軸方向に配置される複数の皿ばね91のうち最も後方に配置される皿ばね91の後端部をいう。弾性部材78の前端部とは、軸方向に配置される複数の皿ばね91のうち最も前方に配置される皿ばね91の前端部をいう。
【0127】
回転ボール80は、スピンドルシャフト部11Aとハンマ75との間に配置される。回転ボール80は、ボール溝70とボール溝85と間に配置される。回転ボール80の一部は、ボール溝70に配置され、回転ボール80の一部は、ボール溝85に配置される。回転ボール80は、スピンドル11の回転軸AXの周囲に複数配置される。上述のように、ハンマ75は、スピンドルシャフト部11Aに対して相対回転することができる。回転ボール80は、ハンマ75のベアリングとして機能する。回転ボール80により、ハンマ75とスピンドルシャフト部11Aとが円滑に相対回転することができる。
【0128】
実施形態において、モータ6が起動する前の初期状態において、弾性部材78の弾性力を調整するねじ93が設けられる。ねじ93は、初期状態における弾性部材78の圧縮量を調整することにより、弾性部材78の弾性力を調整する。
【0129】
弾性部材78の後端部は、カムリング76を介してフランジ部11Bに支持されている。ねじ93は、弾性部材78の前端部の位置を移動することにより、弾性部材78の圧縮量を調整する。
【0130】
ねじ93は、ワッシャ79に接触する。ねじ93は、ワッシャ79を介して弾性部材78の前端部に接続される。ねじ93は、ハンマ75に形成されたねじ孔94に配置される。ねじ孔94は、後側外筒部81の前端面95と支持面90とを貫通するように形成される。回転軸AXに直交する面内において、前端面95は、円環状である。前端面95は、前方を向く。ねじ孔94は、ハンマ75の回転軸AXの周囲に間隔をあけて複数形成される。ねじ93は、複数のねじ孔94のそれぞれに1つずつ配置される。実施形態において、ねじ孔94は、回転軸AXの周囲に間隔をあけて6つ形成される。ねじ93は、6つのねじ孔94のそれぞれに1つずつ配置される。
【0131】
ねじ93の後端部は、ワッシャ79の前面に接触する。ねじ93の回転により、弾性部材78の圧縮量が調整される。ねじ93が一方向に回転することにより、ハンマ75に対してねじ93が後方に移動する。ねじ93が後方に移動することにより、ワッシャ79を介して弾性部材78の前端部が後方に移動する。弾性部材78の後端部がカムリング76を介してフランジ部11Bに支持されている状態で、弾性部材78の前端部が後方に移動することにより、弾性部材78が圧縮される。ねじ93が他方向に回転することにより、ハンマ75に対してねじ93が前方に移動する。弾性部材78の後端部がカムリング76を介してフランジ部11Bに支持されている状態で、弾性部材78の前端部が前方に移動することにより、弾性部材78が伸長される。
【0132】
弾性部材78の圧縮量の調整は、電動作業機1の組立作業において実施される。スピンドルシャフト部11Aとハンマ75とカムリング76とにより規定される閉鎖空間に弾性部材78が配置されるように、スピンドル11とハンマ75とカムリング76とが連結された後、前端面95よりも前方からねじ孔94にねじ締め工具が挿入される。ねじ締め工具の先端部は、ねじ孔94を介してねじ93の工具穴に挿入される。組立者は、ねじ締め工具を介してねじ93を回転させることにより、弾性部材78の圧縮量を調整することができる。また、複数のねじ93のそれぞれの軸方向の位置が調整されることにより、スピンドル11に対する弾性部材78の傾斜角度が調整される。
【0133】
ハンマベアリング14は、ハンマ75を回転可能に支持する。ハンマベアリング14は、ハンマケース4に保持される。ハンマベアリング14は、ハンマ75の周囲に配置される。実施形態において、ハンマベアリング14は、ハンマ75の前端部を回転可能に支持する。実施形態において、ハンマベアリング14は、前側外筒部82の周囲に配置される。ハンマベアリング14の後端部の少なくとも一部は、後側外筒部81の前端面95に接触する。ハンマケース4は、ハンマベアリング14の前端部に対向する対向面96を有する。対向面96は、後方を向く。ハンマベアリング14の前端部とハンマケース4の対向面96とは、間隙を介して対向する。ハンマベアリング14は、ボールベアリングである。ハンマベアリング14の外輪は、ハンマケース4の大筒部4Aの内周面に接触する。ハンマベアリング14の内輪は、ハンマ75の前側外筒部82の外周面に接触する。
【0134】
実施形態において、ハンマベアリング14は、ねじ孔94の前端部を覆うように配置される。電動作業機1の組立作業においては、ねじ締め工具によりねじ93が回転されて弾性部材78の圧縮量が調整された後、ハンマベアリング14が前側外筒部82の周囲に配置される。
【0135】
工具保持シャフト15は、ロータ22の回転力に基づいて回転する電動作業機1の出力部である。工具保持シャフト15の少なくとも一部は、スピンドル11よりも前方に配置される。工具保持シャフト15は、工具保持部97と、工具保持部97よりも後方に配置されるアンビル部98とを有する。工具保持部97は、前後方向に延びるロッド状である。アンビル部98は、工具保持部97の後部に接続される。
【0136】
工具保持部97は、先端工具を保持する。工具保持部97は、先端工具が挿入される工具孔99を有する。工具孔99は、工具保持部97の前端面から後方に延びるように形成される。先端工具は、工具保持シャフト15に装着される。
【0137】
アンビル部98は、工具保持部97よりも後方に配置される。アンビル部98は、工具保持部97の後部に接続される。アンビル部98は、回転軸AXを囲むように配置される。アンビル部98は、スピンドルシャフト部11Aの前端部が挿入される凹部100を有する。スピンドル突起部69を含むスピンドルシャフト部11Aの前端部は、凹部100の内側に配置される。凹部100は、アンビル部98の後端面から前方に窪むように形成される。
【0138】
アンビル部98は、アンビル部98の外周面103とアンビル部98の内周面101とを貫通するアンビル孔104を有する。アンビル孔104は、径方向に延びるように形成される。アンビル孔104は、回転軸AXの周囲に2つ設けられる。2つのアンビル孔104は、回転軸AXを挟むように配置される。
【0139】
実施形態において、スピンドルシャフト部11Aの前端部に支持ボール106が支持される。スピンドルシャフト部11Aの前端面に支持凹部105が設けられる。支持凹部105の内面は、半球面状である。支持ボール106は、支持凹部105に配置される。支持ボール106は、凹部100の内面のうち後方を向く対向面に接触する。
【0140】
工具保持シャフト15は、シャフトベアリング16に回転可能に支持される。シャフトベアリング16は、工具保持部97の周囲に配置される。シャフトベアリング16は、ハンマケース4の小筒部4Bの内側に配置される。シャフトベアリング16は、ハンマケース4の小筒部4Bに保持される。シャフトベアリング16は、工具保持部97の前部を回転可能に支持する。実施形態において、シャフトベアリング16は、軸方向に2つ配置される。シャフトベアリング16と工具保持部97との間にOリング107が配置される。
【0141】
シャフトベアリング16よりも後方に、シャフトベアリング16から後方に抜けることを抑制する抑制部材108が配置される。抑制部材108は、小筒部4Bの内周面に形成された溝に配置される。抑制部材108として、スナップリング又はCリングが例示される。抑制部材108は、シャフトベアリング16の後端面に接触するように配置される。抑制部材108により、シャフトベアリング16が小筒部4Bから後方に抜けることが抑制される。
【0142】
可動アンビル17は、工具保持シャフト15に移動可能に支持される。本実施形態において、可動アンビル17は、工具保持シャフト15に対して径方向のみに移動する。可動アンビル17は、工具保持シャフト15に対して軸方向及び径方向には移動しない。
【0143】
可動アンビル17は、アンビル部98に移動可能に支持される。可動アンビル17は、アンビル孔104に配置される。可動アンビル17は、2つのアンビル孔104のそれぞれに1つずつ配置される。可動アンビル17は、円柱状(ピン状)の部材である。可動アンビル17は、可動アンビル17の中心軸と工具保持シャフト15の回転軸AXとが平行になるように、アンビル孔104に配置される。以下の説明において、一方の可動アンビル17を適宜、第1可動アンビル171、と称し、他方の可動アンビル17を適宜、第2可動アンビル172、と称する。
【0144】
可動アンビル17は、アンビル孔104にガイドされながら径方向に移動することができる。アンビル孔104の内面は、可動アンビル17を径方向にガイドするガイド面として機能する。アンビル部98の凹部100にスピンドルシャフト部11Aの前端部が配置される。スピンドルシャフト部11Aの前端部にスピンドル突起部69が配置される。スピンドル突起部69が可動アンビル17に接触した場合、可動アンビル17は、径方向外側に移動する。スピンドル突起部69が可動アンビル17から離れた場合、可動アンビル17は、径方向内側に移動する。
【0145】
可動アンビル17は、可動アンビル17の少なくとも一部が工具保持シャフト15のアンビル部98の外周面103から径方向外側に突出する第1状態と、可動アンビル17が工具保持シャフト15のアンビル部98の外周面103よりも径方向内側に配置される第2状態とに変化するように移動する。スピンドル11の回転において、スピンドル突起部69と可動アンビル17とが接触することにより、可動アンビル17が第2状態から第1状態に変化する。すなわち、スピンドル突起部69が可動アンビル17に接触した場合、可動アンビル17の少なくとも一部は、アンビル部98の外周面103よりも径方向外側に配置される。
【0146】
可動アンビル17が第1状態において、ハンマ75のハンマ突起部84は、可動アンビル17に接触可能である。ハンマ75は、可動アンビル17が第1状態において可動アンビル17を打撃する。可動アンビル17が第2状態において、ハンマ75のハンマ突起部84は、可動アンビル17に接触不可能である。ハンマ75は、可動アンビル17が第2状態においてスピンドルシャフト部11Aの周囲を回転する。
【0147】
工具保持機構18は、ハンマケース4よりも前方において、工具保持部97の周囲に配置される。工具保持機構18は、工具保持部97の工具孔99に挿入された先端工具を保持する。工具保持機構18は、先端工具を着脱可能である。
【0148】
工具保持機構18は、保持ボール110と、リーフスプリング111と、スリーブ112と、コイルスプリング113と、位置決め部材114とを備える。
【0149】
工具保持部97は、保持ボール110を支持する支持凹部115を有する。支持凹部115は、工具保持部97の外面に形成される。本実施形態において、支持凹部115は、工具保持部97に2つ形成される。
【0150】
保持ボール110は、工具保持部97に移動可能に支持される。保持ボール110は、支持凹部115に配置される。保持ボール110は、1つの支持凹部115に1つ配置される。
【0151】
工具保持部97に、支持凹部115の内面と工具孔99の内面とを結ぶ貫通孔が形成される。保持ボール110の直径は、径方向において貫通孔の最も内側の部分における直径よりも小さい。保持ボール110が支持凹部115に支持された状態で、保持ボール110の少なくとも一部を介して、工具孔99の内側に配置される。保持ボール110は、工具孔99に挿入された先端工具を固定することができる。保持ボール110は、先端工具を固定する係合位置と先端工具の固定を解除する解除位置とに移動可能である。
【0152】
リーフスプリング111は、保持ボール110を係合位置に移動させる弾性力を発生する。リーフスプリング111は、工具保持部97の周囲に配置される。リーフスプリング111は、保持ボール110を前方に移動させる弾性力を発生する。
【0153】
スリーブ112は、円筒状の部材である。スリーブ112は、工具保持部97の周囲に配置される。スリーブ112は、工具保持部97の周囲において軸方向に移動可能である。スリーブ112は、係合位置に配置されている保持ボール110が係合位置から脱出することを阻止することができる。スリーブ112は、軸方向に移動されることにより、保持ボール110を係合位置から解除位置に移動可能な状態に変化させることができる。
【0154】
スリーブ112は、工具保持部97の周囲において、保持ボール110の径方向外側への移動を阻止する阻止位置と径方向外側への移動を許容する許容位置とに移動可能である。
【0155】
スリーブ112が阻止位置に配置されることにより、係合位置に配置されている保持ボール110が径方向外側に移動することが抑制される。すなわち、スリーブ112が阻止位置に配置されることにより、係合位置に配置されている保持ボール110が係合位置から脱出することが阻止される。スリーブ112が阻止位置に配置されることにより、先端工具が保持ボール110により固定された状態が維持される。
【0156】
スリーブ112が許容位置に移動されることにより、係合位置に配置されている保持ボール110が径方向外側に移動することが許容される。スリーブ112は、許容位置に移動されることにより、保持ボール110を係合位置から解除位置に移動可能な状態に変化させる。すなわち、スリーブ112が許容位置に配置されることにより、係合位置に配置されている保持ボール110が係合位置から脱出することが許容される。スリーブ112が許容位置に配置されることにより、先端工具が保持ボール110により固定された状態が解除可能になる。
【0157】
コイルスプリング113は、スリーブ112が阻止位置に移動するように弾性力を発生する。コイルスプリング113は、工具保持部97の周囲に配置される。阻止位置は、許容位置よりも後方に規定される。コイルスプリング113は、スリーブ112を後方に移動させる弾性力を発生する。
【0158】
位置決め部材114は、工具保持部97の外面に固定されたリング状の部材である。位置決め部材114は、スリーブ112の後端部に対向可能な位置に固定される。位置決め部材114は、スリーブ112を阻止位置に位置決めする。コイルスプリング113から後方に移動する弾性力を付与されているスリーブ112は、位置決め部材114に接触することにより、阻止位置に位置決めされる。
【0159】
[電動作業機の動作]
次に、電動作業機1の動作について説明する。図14から図23のそれぞれは、本実施形態に係る電動作業機1の動作を示す断面図である。図14図16図18図20、及び図22のそれぞれは、可動アンビル17を通る断面図である。図15図17図19図21、及び図23のそれぞれは、カムリング76を通る断面図である。
【0160】
実施形態において、スピンドル突起部69は、第1スピンドル突起部691と、第2スピンドル突起部692とを含む。ハンマ突起部84は、第1ハンマ突起部841と、第2ハンマ突起部842とを含む。可動アンビル17は、第1可動アンビル171と、第2可動アンビル172とを含む。
【0161】
作業対象にねじ締め作業を実施するとき、ねじ締め作業に使用される先端工具(ドライバビット)が、工具保持シャフト15の工具孔99に挿入される。工具孔99に挿入された先端工具は、工具保持機構18により保持される。
【0162】
ねじ締め作業において、作業者は、工具保持シャフト15が正転方向に回転するように、グリップ部2Bの上部に設けられている正逆転切換レバー41(図1及び図2を参照)を操作する。正逆転切換レバー41が操作されることにより、モータ6の回転方向が正転方向及び逆転方向の一方から他方に切り換えられる。モータ6の回転方向が切り換えられることにより、スピンドル11の回転方向が切り換えられる。
【0163】
先端工具が工具保持シャフト15に装着された後、作業者は、グリップ部2Bを例えば右手で握って、グリップ部2Bの上部の前部に設けられているトリガレバー40(図1及び図2参照)を右手の人差し指で引き操作する。トリガレバー40が引き操作されると、バッテリパック19からモータ6に電力が供給され、モータ6が起動する。モータ6の起動により、ロータ22のロータシャフト33が回転する。ロータシャフト33が回転すると、ロータシャフト33の回転力がピニオンギヤ48を介してプラネタリギヤ58に伝達される。プラネタリギヤ58は、インターナルギヤ60の内歯に噛み合った状態で、自転しながらピニオンギヤ48の周囲を公転する。プラネタリギヤ58は、ピンを介してスピンドル11に回転可能に支持される。プラネタリギヤ58の公転により、スピンドル11は、ロータシャフト33の回転速度よりも低い回転速度で回転する。
【0164】
図14及び図15のそれぞれは、工具保持シャフト15に掛かる負荷が低い状態で回転している低負荷状態の電動作業機1の断面図を示す。
【0165】
図14に示すように、低負荷状態においては、スピンドル突起部69と可動アンビル17とが接触し、可動アンビル17とハンマ突起部84とが接触する。また、スピンドル突起部69と可動アンビル17とが接触し、可動アンビル17とハンマ突起部84とが接触する。
【0166】
低負荷状態においては、可動アンビル17は、スピンドル突起部69との接触により径方向外側に移動する。可動アンビル17の少なくとも一部は、アンビル部98の外周面よりも径方向外側に配置される。可動アンビル17の少なくとも一部がアンビル部98の外周面よりも径方向外側に配置されるので、低負荷状態においては、ハンマ突起部84は、可動アンビル17の少なくとも一部に接触する。
【0167】
低負荷状態においては、可動アンビル17のくさび効果により、可動アンビル17がスピンドル突起部69とハンマ突起部84との間を通過することができず、スピンドル11とハンマ75と工具保持シャフト15との相対回転が阻止される。工具保持シャフト15は、可動アンビル17を介してハンマ75及びスピンドル11と一緒に回転する。
【0168】
カムリング76は、ガイド溝86及びカムスライド部87を介してハンマ75に連結されている。また、カムリング76は、弾性部材78の弾性力により、スピンドル11のフランジ部11Bに押し付けられている。そのため、ハンマ75とスピンドル11とが相対回転しない低負荷状態においては、カムリング76は、スピンドル11及びハンマ75と一緒に回転する。すなわち、低負荷状態においては、スピンドル11とハンマ75と工具保持シャフト15とカムリング76とは、一緒に回転する。
【0169】
図15に示すように、低負荷状態においては、ボール77がスピンドル溝71の中央部に配置されている状態で、カムリング76とスピンドル11とが一緒に回転する。低負荷状態においては、軸方向において、カムリング76は、ハンマ75の後側外筒部81の後端部に配置される。
【0170】
図16及び図17のそれぞれは、工具保持シャフト15に掛かる負荷が低負荷状態から高負荷状態に遷移した直後の遷移状態の電動作業機1の断面図を示す。
【0171】
ねじ締め作業の進行により、工具保持シャフト15に掛かる負荷が高くなると、工具保持シャフト15の回転速度が低下する。ハンマ75は、可動アンビル17を介して工具保持シャフト15に連結されているので、工具保持シャフト15の回転速度の低下に伴って、ハンマ75の回転速度も低下する。また、カムリング76は、ガイド溝86及びカムスライド部87を介してハンマ75に連結されているので、ハンマ75の回転速度の低下に伴って、カムリング76の回転速度も低下する。一方、スピンドル11は、モータ6の回転力により回転するので、スピンドル11の回転速度は低下しない。
【0172】
スピンドル11の回転速度は低下しないものの、工具保持シャフト15、ハンマ75、及びカムリング76の回転速度が低下するので、工具保持シャフト15、ハンマ75、及びカムリング76と、スピンドル11との相対回転が開始される。工具保持シャフト15とハンマ75とカムリング76とは、一緒に回転する。
【0173】
図16に示すように、低負荷状態から高負荷状態に遷移した場合、工具保持シャフト15及びハンマ75とスピンドル11との相対回転により、スピンドル突起部69が可動アンビル17から離れる。
【0174】
カムリング76は、ガイド溝86及びカムスライド部87を介してハンマ75に連結されているので、ハンマ75の回転速度の低下に伴って、カムリング76の回転速度も低下する。スピンドル11の回転速度は低下しないので、カムリング76の回転速度が低下した状態で、スピンドル11の回転が継続されると、ボール77がスピンドル溝71及びカム溝88の内側を移動する。
【0175】
図17に示すように、低負荷状態から高負荷状態に遷移した場合、ボール77は、スピンドル溝71の中央部から端部に向かって移動する。カムリング76は、ボール77から力を受けて、前方に移動する。カムリング76は、ガイド溝86にガイドされながら前方に移動する。カムリング76は、弾性部材78の弾性力に抗って前方に移動する。
【0176】
このように、スピンドル11のフランジ部11Bとカムリング76とが正転方向に一緒に回転している状態で、工具保持シャフト15が低負荷状態から高負荷状態に遷移し、カムリング76の回転速度が低下して、フランジ部11Bとカムリング76とが相対回転を開始した場合、ボール77がスピンドル溝71の中央部から周方向他方側の端部に向かって移動することにより、カムリング76は、ボール77から力を受けて、前方に移動する。
【0177】
図18及び図19のそれぞれは、低負荷状態から高負荷状態に遷移してから所定時間経過後の高負荷状態の電動作業機1の断面図を示す。
【0178】
高負荷状態の継続により、工具保持シャフト15、ハンマ75、及びカムリング76のそれぞれの回転が停止する。工具保持シャフト15、ハンマ75、及びカムリング76のそれぞれの回転が停止しても、スピンドル11は、モータ6の回転力により回転し続ける。
【0179】
工具保持シャフト15が高負荷状態においては、工具保持シャフト15、ハンマ75、及びカムリング76のそれぞれの回転が停止した状態で、スピンドル11の回転が継続される。カムリング76は、ボール77から力を受けて、弾性部材78の弾性力に抗って前方に移動する。
【0180】
図18に示すように、工具保持シャフト15、ハンマ75、及びカムリング76のそれぞれの回転が停止した状態で、スピンドル11の回転が継続されることにより、回転方向においてスピンドル突起部69が可動アンビル17から更に離れる。スピンドル突起部69が可動アンビル17から離れることにより、可動アンビル17は、径方向内側に移動可能な状態になる。可動アンビル17がアンビル部98の外周面103よりも径方向内側に移動することにより、ハンマ突起部84と可動アンビル17とが離れる。すなわち、可動アンビル17によるハンマ75のロックが解除され、ハンマ75はスピンドル11に対して回転可能な状態になる。
【0181】
ハンマ75のロックが解除されることにより、カムリング76もスピンドル11に対して回転可能な状態になる。カムリング76は、弾性部材78の弾性力により、ハンマ75に対して後方に移動する。カムリング76は、ガイド溝86にガイドされながら後方に移動する。カムリング76は、スピンドル11に対して回転可能なので、後方に移動することにより、ボール77から力を受けて、正転方向に回転する。すなわち、カムリング76は、後方に移動しながら正転方向に回転する。ボール77は、スピンドル溝71の端部から中央部に向かって移動する。ハンマ75は、カムスライド部87及びガイド溝86を介してカムリング76に連結されているので、カムリング76が正転方向に回転することにより、ハンマ75も、正転方向に回転する。
【0182】
このように、ハンマ75のロックが解除された後、カムリング76が後方へ移動するように弾性部材78から弾性力を受けた場合、ボール77がスピンドル溝71の周方向他方側の端部からスピンドル溝71の中央部に向かって移動することにより、カムリング76は、ボール77から力を受けて、フランジ部11Bと相対回転しながら後方に移動する。
【0183】
図20及び図21のそれぞれは、ハンマ75が可動アンビル17を打撃するために回転しているハンマ回転状態の電動作業機1の断面図を示す。
【0184】
図20に示すように、ハンマ75の回転状態において、スピンドル11は、モータ6の回転力により正転方向に回転する。ハンマ75は、弾性部材78の弾性力により回転するカムリング76と一緒に正転方向に回転する。スピンドル11は、第1可動アンビル171から離れた第1スピンドル突起部691が第2可動アンビル172に接近し、第2可動アンビル172から離れた第2スピンドル突起部692が第1可動アンビル171に接近するように回転する。また、ハンマ75は、第1可動アンビル171から離れた第1ハンマ突起部841が第2可動アンビル172に接近し、第2可動アンビル172から離れた第2ハンマ突起部842が第1可動アンビル171に接近するように回転する。
【0185】
第1ハンマ突起部841は、第1スピンドル突起部691を追いかけるように、スピンドル11の周囲を正転方向に旋回する。第1スピンドル突起部691は、第1ハンマ突起部841よりも先に第2可動アンビル172に到達する。第2ハンマ突起部842は、第2スピンドル突起部692を追いかけるように、スピンドル11の周囲を正転方向に旋回する。第2スピンドル突起部692は、第2ハンマ突起部842よりも先に第1可動アンビル171に到達する。
【0186】
図22及び図23のそれぞれは、ハンマ75が可動アンビル17を打撃している打撃状態の電動作業機1の断面図を示す。
【0187】
上述のように、第1スピンドル突起部691は、第1ハンマ突起部841よりも先に第2可動アンビル172に到達する。第1スピンドル突起部691は、第2可動アンビル172に接触する。第2可動アンビル172は、第1スピンドル突起部691との接触により径方向外側に移動する。第2可動アンビル172の少なくとも一部は、アンビル部98の外周面103よりも径方向外側に配置される。
【0188】
第1ハンマ突起部841は、第1スピンドル突起部691が第2可動アンビル172に到達した後に、第2可動アンビル172に到達する。すなわち、第1ハンマ突起部841は、第2可動アンビル172が径方向外側に移動した後に、第2可動アンビル172に到達する。第1ハンマ突起部841は、アンビル部98の外周面103よりも径方向外側に配置された第2可動アンビル172を回転方向に打撃する。第2可動アンビル172が第1ハンマ突起部841に打撃されるとき、径方向における第2可動アンビル172の位置は、第1スピンドル突起部691により拘束され、周方向における第2可動アンビル172の位置は、アンビル孔104の内面により拘束される。これにより、第1ハンマ突起部841は、第2可動アンビル172を打撃することができる。
【0189】
第2スピンドル突起部692は、第2ハンマ突起部842よりも先に第1可動アンビル171に到達する。第1可動アンビル171は、第2スピンドル突起部692との接触により径方向外側に移動する。第2ハンマ突起部842は、第1可動アンビル171が径方向外側に移動した後に、第1可動アンビル171に到達する。第2ハンマ突起部842は、アンビル部98の外周面103よりも径方向外側に配置された第1可動アンビル171を回転方向に打撃する。第1可動アンビル171が第2ハンマ突起部842に打撃されるとき、径方向における第1可動アンビル171の位置は、第2スピンドル突起部692により拘束され、周方向における第1可動アンビル171の位置は、アンビル孔104の内面により拘束される。これにより、第2ハンマ突起部842は、第1可動アンビル171を打撃することができる。
【0190】
第1ハンマ突起部841による第2可動アンビル172の打撃と、第2ハンマ突起部842による第1可動アンビル171の打撃とは、実質的に同時に実施される。可動アンビル17は、工具保持シャフト15のアンビル孔104に配置された状態で、ハンマ突起部84により打撃される。工具保持シャフト15は、2つの可動アンビル17を介して、ハンマ75により回転方向に打撃される。
【0191】
工具保持シャフト15は、ハンマ75により回転方向に打撃されるので、高いトルクで回転軸AXを中心に回転する。そのため、ねじは作業対象に高いトルクで締め付けられる。
【0192】
図23に示すように、カムリング76が後方に移動することにより、打撃状態においては、ボール77がスピンドル溝71の中央部に配置される。
【0193】
打撃状態が終了した後、電動作業機1は、打撃状態から低負荷状態に遷移する。
【0194】
なお、図14から図23を参照して説明したように、実施形態においては、スピンドル11が半回転することにより、可動アンビル17がハンマ突起部84により打撃される。すなわち、実施形態においては、スピンドル11が1回転する間にハンマ突起部84による可動アンビル17の打撃が2回実施される。スピンドル11が1回転する間にハンマ突起部84による可動アンビル17の打撃が1回実施されてもよい。スピンドル11が1回転する間にハンマ突起部84による可動アンビル17の打撃が1回実施される場合、可動アンビル17の打撃が2回実施される場合に比べて、ハンマ突起部84は高い回転速度及び高い慣性力で可動アンビル17を打撃することができる。すなわち、スピンドル11が1回転する間にハンマ突起部84による可動アンビル17の打撃が1回実施される場合、可動アンビル17の打撃が2回実施される場合に比べて、ハンマ75は、高い打撃エネルギーで可動アンビル17を打撃することができる。弾性部材78の弾性エネルギー(ばね定数)及びスピンドル11の回転速度の一方又は両方が調整されることにより、スピンドル11が1回転する間にハンマ突起部84が可動アンビル17を打撃する回数を調整することができる。また、副次的な効果として、弾性部材78の変形のし易さに起因して、ハンマ突起部84による可動アンビル17の打撃開始のタイミングが早まるので、ねじ締め作業において先端工具の先端部がねじの工具孔(十字孔)から外れてしまうカムアウト現象の発生が抑制される。
【0195】
なお、本実施形態において、可動アンビル17が2つ設けられ、ハンマ突起部84が2つ設けられることとした。可動アンビル17が3つ設けられ、ハンマ突起部84が3つ設けられてもよい。可動アンビル17が4つ設けられ、ハンマ突起部84が4つ設けられてもよい。可動アンビル17及びハンマ突起部84のそれぞれが5つ以上の任意の複数設けられてもよい。
【0196】
なお、図14から図23に示した例は、ねじ締め作業のために、スピンドル11とカムリング76とハンマ75と工具保持シャフト15とが正転方向に回転する例である。ねじ緩め作業を実施する場合、作業者は、正逆転切換レバー41を操作して、スピンドル11とカムリング76とハンマ75と工具保持シャフト15とを逆転方向に回転させる。ねじ緩め作業において、スピンドル11のフランジ部11Bとカムリング76とが逆転方向に一緒に回転している状態で、工具保持シャフト15が高負荷状態となり、カムリング76の回転速度が低下して、フランジ部11Bとカムリング76とが相対回転を開始した場合、ボール77がスピンドル溝71の中央部から周方向一方側の端部に向かって移動することにより、カムリング76は、ボール77から力を受けて、前方に移動する。また、ハンマ75のロックが解除された後、カムリング76が後方へ移動するように弾性部材78から弾性力を受けた場合、ボール77がスピンドル溝71の周方向一方側の端部からスピンドル溝71の中央部に向かって移動することにより、カムリング76は、ボール77から力を受けて、フランジ部11Bを相対回転しながら後方に移動する。
【0197】
[効果]
以上説明したように、実施形態において、電動作業機1は、ステータ21及び少なくとも一部がステータ21の内側に配置され回転軸AXを中心に回転するロータ22を有するモータ6と、回転軸AXに平行な前後方向においてステータ21よりも前方に配置され、ロータ22が発生する回転力により回転するスピンドル11と、スピンドル11の後部を回転可能に支持するスピンドルベアリング12と、を備える。スピンドルベアリング12は、ステータ21の径方向内側に配置される。
【0198】
上記の構成では、スピンドルベアリング12がステータ21の径方向内側に配置され、前後方向においてスピンドルベアリング12がステータ21の少なくとも一部とオーバーラップするので、モータ6の回転軸AXと平行な前後方向における電動作業機1の大型化が抑制される。モータ6の回転軸AXと平行な前後方向の電動作業機1の寸法は、リヤケース3の後端部と工具保持シャフト15の前端部との前後方向の寸法をいう。本明細書で開示する技術によれば、モータ6の回転軸AXと平行な前後方向の電動作業機1の寸法の大型化が抑制される。
【0199】
実施形態において、ステータ21は、ステータコア23と、少なくとも一部がステータコア23の前部に固定されるインシュレータ26と、を有する。スピンドルベアリング12は、インシュレータ26の径方向内側に配置される。
【0200】
上記の構成では、スピンドルベアリング12がインシュレータ26(前側インシュレータ28)の径方向内側に配置され、前後方向においてスピンドルベアリング12がインシュレータ26の少なくとも一部とオーバーラップするので、モータ6の回転軸と平行な前後方向における電動作業機1の大型化が抑制される。
【0201】
実施形態において、電動作業機1は、スピンドルベアリング12を保持するベアリングボックス5を備える。インシュレータ26は、ベアリングボックス5に接続される。
【0202】
上記の構成では、ステータ21とベアリングボックス5との相対移動が抑制される。
【0203】
実施形態において、ベアリングボックス5は、インシュレータ26に設けられたピン部28Cが挿入される挿入孔5Hを有してもよい。
【0204】
上記の構成では、ピン部28Cが挿入孔5Hに挿入されることにより、インシュレータ26とベアリングボックス5とが接続される。
【0205】
実施形態において、ベアリングボックス5は、ステータコア23の前端面に接触する第1凸部である凸部5Eを有する。
【0206】
上記の構成では、ステータ21がベアリングボックス5の凸部5Eに支持される。
【0207】
実施形態において、電動作業機1は、スピンドル11を収容するハンマケース4を備える。ベアリングボックス5は、ハンマケース4の後端部の開口を覆うように配置される。
【0208】
上記の構成では、ベアリングボックス5とハンマケース4とが接続される。
【0209】
実施形態において、電動作業機1は、モータ6の少なくとも一部を収容するリヤケース3を備える。リヤケース3とハンマケース4とは、ねじ20により固定される。
【0210】
上記の構成では、リヤケース3とハンマケース4との相対移動が抑制される。
【0211】
[他の実施形態]
上述の実施形態においては、電動作業機1がインパクト工具の一種であるインパクトドライバであることとした。インパクト工具は、インパクトレンチでもよい。また、電動作業機1は、インパクト工具でなくてもよい。本明細書で開示した技術は、モータとスピンドルとスピンドルベアリングとを有する電動作業機に広く適用可能である。
【0212】
上述の実施形態において、電動作業機1の電源は、バッテリパック19でなくてもよく、商用電源(交流電源)でもよい。
【符号の説明】
【0213】
1…電動作業機、2…ハウジング、2A…収容部、2B…グリップ部、2C…バッテリ保持部、2L…左ハウジング、2R…右ハウジング、3…リヤケース、3A…筒部、3B…円板部、3C…ベアリング保持部、3D…ねじボス部、3E…突出部、3F…ねじ用開口、3G…ねじ用開口、4…ハンマケース、4A…大筒部、4B…小筒部、4C…凸部、4D…ねじボス部、4E…突出部、4F…ねじ孔、4G…ねじ用開口、5…ベアリングボックス、5A…大筒部、5B…小筒部、5C…前側円環部、5D…後側円環部、5E…凸部、5F…回り止め部、5G…ボス部、5H…挿入孔、5J…凹部、5K…凹部、6…モータ、7…ファン、7A…ブッシュ、8…後側ロータベアリング、9…前側ロータベアリング、10…減速機構、11…スピンドル、11A…スピンドルシャフト部、11B…フランジ部、11C…ピン支持部、11D…連結部、11E…凸部、12…スピンドルベアリング、13…打撃機構、14…ハンマベアリング、15…工具保持シャフト、16…シャフトベアリング、17…可動アンビル、18…工具保持機構、19…バッテリパック、20…ねじ、21…ステータ、22…ロータ、23…ステータコア、24…内側コア、24A…内側ヨーク部、24B…ティース部、24C…連結部、25…外側コア、25A…凹部、26…インシュレータ、27…後側インシュレータ、27A…後側プレート部、27D…支持プレート部、28…前側インシュレータ、28A…前側プレート部、28B…円柱部、28C…ピン部、28D…支持プレート部、29…コイル、30…渡り線、31…ヒュージング端子、32…ロータマグネット、33…ロータシャフト、33A…マグネット固定部、33B…ファン固定部、33C…後側支持部、33D…前側支持部、40…トリガレバー、41…正逆転切換レバー、48…ピニオンギヤ、58…プラネタリギヤ、59…ピン、60…インターナルギヤ、62…凸部、69…スピンドル突起部、70…ボール溝、71…スピンドル溝、74…ワッシャ、75…ハンマ、76…カムリング、77…ボール、78…弾性部材、79…ワッシャ、80…回転ボール、81…後側外筒部、82…前側外筒部、83…内筒部、84…ハンマ突起部、85…ボール溝、86…ガイド溝、87…カムスライド部、88…カム溝、89…凹部、90…支持面、91…皿ばね、93…ねじ、94…ねじ孔、95…前端面、96…対向面、97…工具保持部、98…アンビル部、99…工具孔、100…凹部、101…内周面、103…外周面、104…アンビル孔、105…支持凹部、106…支持ボール、107…Oリング、108…抑制部材、110…保持ボール、111…リーフスプリング、112…スリーブ、113…コイルスプリング、114…位置決め部材、115…支持凹部、171…第1可動アンビル、172…第2可動アンビル、691…第1スピンドル突起部、692…第2スピンドル突起部、841…第1ハンマ突起部、842…第2ハンマ突起部、AX…回転軸。
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