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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034130
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/22 20060101AFI20240306BHJP
   F25B 41/45 20210101ALI20240306BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B60H1/22 651A
F25B41/45
F25B1/00 321A
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138175
(22)【出願日】2022-08-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】足立 知康
(72)【発明者】
【氏名】中川 信也
(72)【発明者】
【氏名】小林 崇幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕之
(72)【発明者】
【氏名】野山 英人
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 克弘
(72)【発明者】
【氏名】森下 昌俊
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA02
3L211CA18
3L211CA20
3L211DA23
3L211DA27
3L211DA29
3L211DA33
3L211DA50
(57)【要約】
【課題】装置の大型化や製造コストの増大を防止しつつ安定した加熱能力を発揮する。
【解決手段】冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮機から吐出される冷媒により加熱対象物を加熱する加熱部と、圧縮機が吸入する冷媒中の液分を分離するアキュムレータと、加熱部を通過した冷媒をアキュムレータに導く循環流路と、加熱部を通過させずに圧縮機から吐出される冷媒を循環流路の第1合流部JP1で合流させるバイパス流路と、循環流路に配置され、加熱部から流出した冷媒を減圧する絞り弁40と、バイパス流路に配置され、圧縮機から吐出される冷媒を減圧する絞り弁と、を備え、第1合流部JP1は、循環流路の絞り弁40よりもアキュムレータ側かつ絞り弁40による冷媒の第1噴霧領域SA1に配置されている車両用空調装置を提供する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機から吐出される前記冷媒により加熱対象物を加熱する加熱部と、
前記圧縮機が吸入する前記冷媒中の液分を分離するアキュムレータと、
前記加熱部を通過した前記冷媒を前記アキュムレータに導く循環流路と、
前記加熱部を通過させずに前記圧縮機から吐出される前記冷媒を前記循環流路の第1合流部で合流させるバイパス流路と、
前記循環流路に配置され、前記加熱部から流出した前記冷媒を減圧する第1絞り機構と、
前記バイパス流路に配置され、前記圧縮機から吐出される前記冷媒を減圧する第2絞り機構と、を備え、
前記第1合流部は、前記循環流路の前記第1絞り機構よりも前記アキュムレータ側かつ前記第1絞り機構による前記冷媒の第1噴霧領域に配置されている空調装置。
【請求項2】
前記循環流路の前記第1絞り機構よりも前記アキュムレータ側に配置される第3絞り機構を備える請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
前記バイパス流路から前記冷媒の一部を分岐させて前記循環流路の前記第1合流部よりも前記アキュムレータ側の第2合流部で前記循環流路に合流させる分岐流路を備える請求項1または請求項2に記載の空調装置。
【請求項4】
前記循環流路の前記第1絞り機構よりも前記アキュムレータ側に配置される第3絞り機構と、
前記バイパス流路から前記冷媒の一部を分岐させて前記循環流路の前記第1合流部よりも前記アキュムレータ側の第2合流部で前記循環流路に合流させる分岐流路と、を備え、
前記第2合流部は、前記循環流路の前記第3絞り機構よりも前記アキュムレータ側かつ前記第3絞り機構による前記冷媒の第2噴霧領域に配置されている請求項1に記載の空調装置。
【請求項5】
前記第3絞り機構は、前記循環流路を形成する配管の一部の流路断面積を他の部分よりも減少させたオリフィスである請求項2または請求項4に記載の空調装置。
【請求項6】
前記第1合流部において、前記循環流路を該循環流路の中心軸に沿ってみた場合、前記バイパス流路は、前記バイパス流路の中心軸と前記循環流路の中心軸とが交差しないように前記循環流路に接続されている請求項1または請求項2に記載の空調装置。
【請求項7】
前記第2合流部において、前記循環流路を該循環流路の中心軸に沿ってみた場合、前記分岐流路は、前記バイパス流路の中心軸と前記循環流路の中心軸とが交差しないように前記循環流路に接続されている請求項3に記載の空調装置。
【請求項8】
前記第1合流部において、前記循環流路を該循環流路の中心軸に直交する所定方向からみた場合、前記循環流路の中心軸と前記バイパス流路の中心軸とがなす角度が90度以上かつ180度以下となるように前記バイパス流路が前記循環流路に接続されている請求項1または請求項2に記載の空調装置。
【請求項9】
前記第2合流部において、前記循環流路を該循環流路の中心軸に直交する所定方向からみた場合、前記循環流路の中心軸と前記分岐流路の中心軸とがなす角度が90度以上かつ180度以下となるように前記分岐流路が前記循環流路に接続されている請求項3に記載の空調装置。
【請求項10】
前記循環流路を該循環流路の中心軸に直交する所定方向からみた場合、前記第1合流部で前記バイパス流路から前記循環流路へ前記冷媒が流入する第1流入方向と、前記第2合流部で前記分岐流路から前記循環流路へ前記冷媒が流入する第2流入方向が対向している請求項3に記載の空調装置。
【請求項11】
前記第1合流部において、前記循環流路の内周面には該循環流路の中心軸回りの周方向に沿って複数箇所に凸部が形成されている請求項1または請求項2に記載の空調装置。
【請求項12】
前記第2合流部において、前記循環流路の内周面には該循環流路の中心軸回りの周方向に沿って複数箇所に凸部が形成されている請求項3に記載の空調装置。
【請求項13】
前記第1合流部において、前記循環流路の中心軸は鉛直方向に沿って配置されている請求項1または請求項2に記載の空調装置。
【請求項14】
前記第2合流部において、前記循環流路の中心軸は鉛直方向に沿って配置されている請求項3に記載の空調装置。
【請求項15】
前記第1噴霧領域は、前記循環流路を形成する配管の内径をDとした場合、前記第1絞り機構から10D以内の領域である請求項1または請求項2に記載の空調装置。
【請求項16】
前記第2噴霧領域は、前記循環流路を形成する配管の内径をDとした場合、前記第3絞り機構から10D以内の領域である請求項4に記載の空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンタルピの異なる冷媒同士を混合させて圧縮機へ吸入させる冷凍サイクル装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、エンタルピの異なるバイパス側冷媒と減圧部側冷媒とを均質に混合させるため、バイパス側冷媒と減圧部側冷媒とを積層型の熱交換器で熱交換させた後に合流させることが開示されている。特許文献1では、エンタルピの異なるバイパス側冷媒と減圧部側冷媒とを均質に混合させることにより、冷凍サイクル装置が安定した加熱能力を発揮できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-156567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、エンタルピの異なる2種の冷媒を合流させる前に熱交換させるための熱交換器が必要となるため、装置が大型化するとともに製造コストが増大してしまう。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、装置の大型化や製造コストの増大を防止しつつ安定した加熱能力を発揮することが可能な空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示は以下の手段を採用する。
本開示に係る空調装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から吐出される前記冷媒により加熱対象物を加熱する加熱部と、前記圧縮機が吸入する前記冷媒中の液分を分離するアキュムレータと、前記加熱部を通過した前記冷媒を前記アキュムレータに導く循環流路と、前記加熱部を通過させずに前記圧縮機から吐出される前記冷媒を前記循環流路の第1合流部で合流させるバイパス流路と、前記循環流路に配置され、前記加熱部から流出した前記冷媒を減圧する第1絞り機構と、前記バイパス流路に配置され、前記圧縮機から吐出される前記冷媒を減圧する第2絞り機構と、を備え、前記第1合流部は、前記循環流路の前記第1絞り機構よりも前記アキュムレータ側かつ前記第1絞り機構による前記冷媒の第1噴霧領域に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、装置の大型化や製造コストの増大を防止しつつ安定した加熱能力を発揮することが可能な空調装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1実施形態に係る車両用空調装置の冷媒回路図である。
図2】車両用空調装置のヒートポンプ暖房運転時の冷媒流れを示す冷媒回路図である。
図3】車両用空調装置のホットガス暖房運転時の冷媒流れを示す冷媒回路図である。
図4】第1合流部の近傍において、循環流路およびバイパス流路を循環流路の中心軸に直交する方向に沿ってみた断面図である。
図5図4に示す循環流路の第1変形例を示す断面図である。
図6図4に示す循環流路の第2変形例を示す断面図である。
図7図4に示す循環流路およびバイパス流路のA-A矢視断面図である。
図8図7に示す循環流路およびバイパス流路の変形例を示す断面図である。
図9】車両用空調装置のホットガス暖房運転時の動作を示すフローチャートである。
図10】車両用空調装置のホットガス暖房運転時の動作を示すフローチャートである。
図11】ホットガス暖房運転時の冷媒の状態を示すモリエル線図である。
図12】車両用空調装置の除湿暖房運転時の冷媒流れを示す冷媒回路図である。
図13】車両用空調装置の冷房運転時の冷媒流れを示す冷媒回路図である。
図14】本開示の第2実施形態に係る車両用空調装置の冷媒回路図である。
図15】第1合流部および第2合流部の近傍において、循環流路とバイパス流路と分岐流路とを循環流路の中心軸に直交する方向に沿ってみた断面図である。
図16図15に示す循環流路のB-B矢視断面図である。
図17図16に示すオリフィスの第1変形例を示す図である。
図18図16に示すオリフィスの第2変形例を示す図である。
図19図15に示す循環流路のC-C矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1実施形態〕
以下に、本開示の第1実施形態に係るヒートポンプ式の車両用空調装置(空調装置)100について、図1を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態の車両用空調装置100は、圧縮機10と、加熱部20と、アキュムレータ30と、絞り弁(第1絞り機構)40と、絞り弁(第2絞り機構)50と、開閉弁(切換部)61と、開閉弁(切換部)62と、開閉弁63と、開閉弁(第1開閉弁)64と、開閉弁(第2開閉弁)65と、絞り弁70と、室外熱交換器80と、室外ファン81と、車内熱交換器(蒸発器)85と、室内ブロワ86と、制御部90と、冷媒加熱ヒータ91と、圧力センサ92と、温度センサ93と、温度センサ94と、温度センサ95と、圧力センサ96と、を備える。
【0010】
本実施形態の車両用空調装置100は、車内に設置される加熱部20により温風を生成し、あるいは車内に設置される車内熱交換器85により冷風を生成し、車内へ送風する装置である。車両用空調装置100は、ヒートポンプ暖房運転時には室外熱交換器80を蒸発器として動作させ、冷房運転時には室外熱交換器80を凝縮器として動作させる。また、車両用空調装置100は、外気温が所定温度(例えば、-20℃)以下である場合に、室外熱交換器80に冷媒を通過させずに圧縮機10の動力のみで暖房を行うホットガス暖房運転を行うことが可能である。本実施形態の車両用空調装置100で用いられる冷媒は、例えば、HFO-1234yfである。
【0011】
圧縮機10は、アキュムレータ30から流入する冷媒を圧縮する装置である。圧縮機10は、例えば、モータ(図示略)を駆動して冷媒を圧縮する電動圧縮機である。圧縮機10は、冷媒配管L1から流入する冷媒を圧縮し、冷媒配管L2へ吐出する。冷媒配管L2へ吐出された冷媒は、冷媒配管L3および冷媒配管L4を介して加熱部20に導かれる。
【0012】
加熱部20は、圧縮機10から吐出される高温高圧の冷媒により室内ブロワ86により送風される空気(加熱対象物)を加熱する装置である。加熱部20により加熱された空気は、車室内へ送風される。加熱部20において空気との熱交換をした冷媒は冷媒配管L5の上流側配管L5aに配置される絞り弁40に導かれる。
【0013】
アキュムレータ30は、圧縮機10が吸入する冷媒中の液分の少なくとも一部を分離する装置である。アキュムレータ30は、冷媒配管L1を介して、気相または気液二相の冷媒を圧縮機10に導く。
【0014】
絞り弁40は、冷媒配管L5に配置され、加熱部20から流出した冷媒を減圧する機構である。絞り弁40の開度は、制御部90により制御される。絞り弁40で減圧された冷媒は、冷媒配管L5を流通する。
【0015】
絞り弁50は、冷媒配管L3に連結される冷媒配管L6に配置され、圧縮機10から吐出される冷媒を減圧する機構である。絞り弁50の開度は、制御部90により制御される。絞り弁50で減圧された冷媒は、冷媒配管L6から冷媒配管L7を介してアキュムレータ30に導かれる。冷媒配管L7は、車内熱交換器85とアキュムレータ30を連結する配管である。
【0016】
開閉弁61は、冷媒配管L8に配置され、冷媒配管L8に冷媒を流通させる開状態と冷媒配管L8に冷媒を流通させない閉状態とを切り換える装置である。冷媒配管L8は、冷媒配管L5と冷媒配管L9とを連結する配管である。冷媒配管L9は、冷媒配管L10と冷媒配管L7とを連結する配管である。冷媒配管L10は、室外熱交換器80と車内熱交換器85とを連結する配管である。
【0017】
開閉弁62は、冷媒配管L6に配置され、冷媒配管L6に冷媒を流通させる開状態と冷媒配管L6に冷媒を流通させない閉状態とを切り換える装置である。
開閉弁63は、冷媒配管L11に配置され、冷媒配管L11に冷媒を流通させる開状態と冷媒配管L11に冷媒を流通させない閉状態とを切り換える装置である。
【0018】
開閉弁64は、冷媒配管L5の下流側配管L5bに配置され、冷媒配管L5の冷媒配管L8との連結部分よりも室外熱交換器80側に冷媒を流通させる開状態と、冷媒配管L5の冷媒配管L8との連結部分よりも室外熱交換器80側に冷媒を流通させない閉状態とを切り換える装置である。
開閉弁65は、冷媒配管L9に配置され、冷媒配管L9に冷媒を流通させる開状態と冷媒配管L9に冷媒を流通させない閉状態とを切り換える装置である。
【0019】
絞り弁70は、冷媒配管L10に配置され、室外熱交換器80から導かれる冷媒を減圧する機構である。絞り弁70の開度は、制御部90により制御される。絞り弁70で減圧された冷媒は、冷媒配管L10から車内熱交換器85へ導かれる。
【0020】
室外熱交換器80は、車外に設置され、外気と冷媒との間で熱交換を行う装置である。室外熱交換器80は、ヒートポンプ暖房運転時には蒸発器として動作し、冷媒を蒸発させて外気を冷却する。また、室外熱交換器80は、冷房運転時には凝縮器として動作し、冷媒を凝縮させて外気を加熱する。室外ファン81は、外気を室外熱交換器80へ送風して外気と冷媒との熱交換を促進させる装置である。
【0021】
車内熱交換器(蒸発器)85は、室外熱交換器80を通過し、絞り弁70で減圧された冷媒を蒸発させることにより、空気を冷却または除湿する装置である。室内ブロワ86は、車内熱交換器85に向けて空気を送風することにより、車内熱交換器85で冷却または除湿された空気を、加熱部20を介して車室内へ導く。
【0022】
制御部90は、車両用空調装置100の各部を制御する装置である。制御部90は、記憶部(図示略)に記憶された制御プログラムを読み出して実行することにより、車両用空調装置100の各部を制御する各種の処理を実行する。
【0023】
冷媒加熱ヒータ91は、冷媒配管L8の開閉弁61の下流側に配置され、アキュムレータ30に流入する冷媒を加熱する装置である。制御部90は、例えば、ホットガス暖房運転の開始時に、圧縮機10が吸入する冷媒の圧力を高めるために冷媒加熱ヒータ91を動作させて冷媒を加熱する。
【0024】
圧力センサ92は、冷媒配管L1を流通する冷媒の圧力を検出するセンサである。温度センサ93は、冷媒配管L1を流通する冷媒の温度を検出するセンサである。温度センサ94は、冷媒配管L2を流通する冷媒の温度を検出するセンサである。温度センサ95は、加熱部20と絞り弁40との間の冷媒配管L5を流通する冷媒の温度を検出するセンサである。圧力センサ96は、加熱部20と絞り弁40との間の冷媒配管L5を流通する冷媒の圧力を検出するセンサである。
【0025】
<ヒートポンプ暖房運転>
本実施形態に係る車両用空調装置100のヒートポンプ暖房運転時の動作について、図2を参照して説明する。図2は、車両用空調装置100のヒートポンプ暖房運転時の冷媒流れを示す冷媒回路図である。ヒートポンプ暖房運転は、例えば、室外熱交換器80が設置される車外の温度が所定温度(例えば、-20℃)以下ではない場合に実行される。
【0026】
図2に示す矢印は、冷媒の流通方向を示す。図2に示すように、ヒートポンプ暖房運転時に、冷媒は、圧縮機10,加熱部20,絞り弁40,室外熱交換器80,アキュムレータ30,圧縮機10の順に循環する。冷媒配管L1,L2,L3,L4,L5a(L5),L5b(L5),L9,L7は、冷媒を循環させる循環流路を形成する。
【0027】
ヒートポンプ暖房運転時に、室外熱交換器80は、蒸発器として動作し、冷媒を蒸発させて外気を冷却する。ヒートポンプ暖房運転時に、制御部90は、開閉弁64,65を開状態とし、開閉弁61,62,63を閉状態とする。
【0028】
<ホットガス暖房運転>
本実施形態に係る車両用空調装置100のホットガス暖房運転時の動作について、図3を参照して説明する。図3は、車両用空調装置100のホットガス暖房運転時の冷媒流れを示す冷媒回路図である。図3に示す矢印は、冷媒の流通方向を示す。ホットガス暖房運転は、例えば、室外熱交換器80が設置される車外の温度が所定温度(例えば、-20℃)以下である場合に実行される。
【0029】
図3に示すように、ホットガス暖房運転時に、冷媒の一部は、圧縮機10,加熱部20,絞り弁40,アキュムレータ30,圧縮機10の順に循環する。冷媒配管L1,L2,L3,L4,L5a,L8,L9,L7は、冷媒を循環させる循環流路を形成する。冷媒配管L5,L8,L9,L7は、加熱部20を通過した冷媒をアキュムレータ30に導く。
【0030】
また、冷媒の他の一部は、冷媒配管L4を流通せずに冷媒配管L3から冷媒配管L6を介して上流側配管L5aへ導かれる。冷媒配管L6は、加熱部20を通過させずに圧縮機10から吐出される冷媒を循環流路の第1合流部JP1で合流させるバイパス流路である。
【0031】
ホットガス暖房運転を行う場合、制御部90は、開閉弁63、開閉弁64および開閉弁65を閉状態とし、冷媒配管L1,L2,L3,L4,L5a,L8,L9,L7で形成する循環流路に冷媒を循環させる。そして、本実施形態の車両用空調装置100において、冷媒配管L1~L11からなる冷媒配管に封入される冷媒の封入量は、開閉弁64および開閉弁65を閉状態にした場合に加熱部20による空気の加熱が可能となるように設定されている。
【0032】
ここで、加熱部20を通過して循環流路(上流側配管L5a)を流通する液相または気液二相の冷媒と、バイパス流路(冷媒配管L6)から循環流路へ導かれる気相の冷媒とを良好に混合させる構成について説明する。図4は、第1合流部JP1の近傍において、循環流路(上流側配管L5a)およびバイパス流路(冷媒配管L6)を循環流路の中心軸Z1に直交する方向に沿ってみた断面図である。図4に示す絞り弁40は、冷媒を減圧する機構の詳細を省略して模式的に示したものである。
【0033】
図4に示すように、第1合流部JP1は、循環流路(上流側配管L5a)の絞り弁40よりも冷媒の流通方向の下流側であるアキュムレータ30側かつ絞り弁40による冷媒の第1噴霧領域SA1を含むように配置されている。第1噴霧領域SA1は、絞り弁40により減圧された液相または気液二相の冷媒が噴霧される領域である。第1噴霧領域SA1は、例えば、循環流路を形成する上流側配管L5aの内径をDとした場合、絞り弁40から10D以内の領域である。図4に示す中心軸Z1に沿った絞り弁40から第1噴霧領域SA1の端部までの距離Dis1が10D以内となる。
【0034】
図4に示すように、第1合流部JP1において、循環流路(上流側配管L5a)を中心軸Z1に直交する所定方向からみた場合、循環流路(上流側配管L5a)の中心軸Z1とバイパス流路(冷媒配管L6)の中心軸X1とがなす角度θが90度となっている。なお、角度θは、90度以外の他の角度としてもよい。
【0035】
図4に示す循環流路(上流側配管L5a)を中心軸Z1は、第1合流部JP1において、鉛直方向に沿って配置されるのが好ましい。中心軸Z1を鉛直方向に沿って配置することにより、循環流路において重力による冷媒の偏りが発生せず、循環流路に導かれる冷媒とバイパス流路から導かれる冷媒との混合が適切に促進される。
【0036】
図5は、図4に示す循環流路(上流側配管L5a)の第1変形例を示す断面図である。図5に示すように、第1合流部JP1において、循環流路(上流側配管L5a)を中心軸Z1に直交する所定方向からみた場合、循環流路(上流側配管L5a)の中心軸Z1とバイパス流路(冷媒配管L6)の中心軸X1とがなす角度θが135度となっている。
【0037】
図6は、図4に示す循環流路(上流側配管L5a)の第2変形例を示す断面図である。図6に示すように、第1合流部JP1において、循環流路(上流側配管L5a)を中心軸Z1に直交する所定方向からみた場合、循環流路(上流側配管L5a)の中心軸Z1とバイパス流路(冷媒配管L6)の中心軸X1とがなす角度θが180度となっている。
【0038】
図4から図6に示すように、循環流路(上流側配管L5a)の中心軸Z1とバイパス流路(冷媒配管L6)の中心軸X1とがなす角度θは、例えば、90度、135度、または180度とすることができる。また、角度θは、90度以上かつ180度以下の任意の角度に設定しても良い。角度θを90度未満の場合に比べ、循環流路を流通する冷媒とバイパス流路から導かれる冷媒との相対速度が大きくなり、循環流路を流通する冷媒とバイパス流路から導かれる冷媒との混合を促進することができる。
【0039】
図7は、図4に示す循環流路(上流側配管L5a)およびバイパス流路(冷媒配管L6)のA-A矢視断面図である。本実施形態の上流側配管L5aは、断面視が円形の配管である。図7に示すように、第1合流部JP1において、循環流路(上流側配管L5a)を中心軸Z1に沿ってみた場合、バイパス流路(冷媒配管L6)は、バイパス流路の中心軸X1と循環流路の中心軸Z1とが交差しないように循環流路に接続されている。
【0040】
バイパス流路の中心軸X1と循環流路の中心軸Z1とのオフセットされる長さL2は、例えば、D/8以上かつD/3以下に設定するのが好ましい。なお、本実施形態では、バイパス流路の中心軸X1と循環流路の中心軸Z1とが交差しないようにしたが、バイパス流路の中心軸X1と循環流路の中心軸Z1とが交差するようにバイパス流路を循環流路に接続してもよい。
【0041】
図7に示すように、本実施形態の上流側配管L5aは、第1合流部JP1において、内周面L5a1が凹凸のない円形となっているが、他の態様であってもよい。例えば、第1合流部JP1において、上流側配管L5aの内周面L5a1を凹凸形状としてもよい。図8は、図7に示す循環流路およびバイパス流路の変形例を示す断面図である。
【0042】
図8に示すように、第1合流部JP1において、循環流路(上流側配管L5a)の内周面L5a1には中心軸Z1回りの周方向に沿って複数箇所に凸部L5a2が形成されている。そのため、バイパス流路から循環流路に導かれる冷媒が循環流路の内周面L5a1に衝突する際に凸部L5a2によって冷媒の流れが乱れ、この乱れによって循環流路に導かれる冷媒とバイパス流路から導かれる冷媒との混合が促進される。凸部L5a2は、中心軸Z1と平行に延びるように形成しても良いし、中心軸Z1回りに螺旋状に旋回するように形成してもよい。
【0043】
ここで、図9から図11を参照して、車両用空調装置100のホットガス暖房運転時の動作について説明する。図9および図10は、車両用空調装置100のホットガス暖房運転時の動作を示すフローチャートである。図9および図10に示す各ステップは、制御部90により実行される。図11は、ホットガス暖房運転時の冷媒の状態を示すモリエル線図である。
【0044】
ステップS101で、制御部90は、開閉弁61,63,64,65を閉状態とするよう制御する。
ステップS102で、制御部90は、圧力センサ92が検出する冷媒の圧力LPが閾値圧力を上回っているかどうかを判断し、YESであればステップS108へ処理を進め、NOであればステップS103に処理を進める。
【0045】
ステップS103で、制御部90は、開閉弁62を開状態とするよう制御する。制御部90は、開閉弁62を開状態とし圧縮機10を動作させることにより、圧縮機10から吐出される冷媒の全量を、冷媒配管L6を介してアキュムレータ30に導くように循環させる。このように、制御部90は、車両用空調装置100を、圧縮機10から吐出される冷媒を加熱部20へ導かずに冷媒配管L6へ導く第1運転モードとする。
【0046】
ステップS104で、制御部90は、絞り弁50の開度を調整するよう制御する。ステップS104が実行されるのは、ステップS102でNOと判断された場合であり、圧力センサ92が検出する冷媒の圧力LPが閾値圧力以下で加熱部20を用いたホットガス暖房運転ができない状態である。
【0047】
そこで、ステップS104では、加熱部20を用いたホットガス暖房運転が実行できる状態にするために、絞り弁50の開度を調整して冷媒配管L6を介してアキュムレータ30に導かれる冷媒の循環量を調整する。制御部90は、圧力センサ92が検出する冷媒の圧力LPと閾値圧力との差が大きいほど絞り弁50の開度が大きくなるように、絞り弁50の開度を制御する。このようにすることで、加熱部20を用いたホットガス暖房運転が実行できる状態にするために要する起動時間を短縮することができる。
【0048】
ステップS105で、制御部90は、圧力センサ92が検出する冷媒の圧力LPが閾値圧力を上回っているかどうかを判断し、YESであればステップS106へ処理を進め、NOであればステップS104の絞り弁50の開度の調整を再び実行する。
【0049】
ステップS106で、制御部90は、ステップS107で開閉弁61を開状態とするのに先立って、絞り弁40の開度を調整する。絞り弁40の開度は、開閉弁61を開状態とした際に冷凍サイクルを循環する冷媒の圧力の低下を抑制するように調整される。
【0050】
ステップS107で、制御部90は、開閉弁61を開状態とするよう制御する。開閉弁61を開状態とすることにより、圧縮機10から吐出される冷媒の一部が、圧縮機10,加熱部20,絞り弁40,アキュムレータ30,圧縮機10の順に循環する。
【0051】
このように、制御部90は、車両用空調装置100を、圧縮機10から吐出される冷媒を加熱部20へ導かずに冷媒配管L6へ導く第1運転モードを、圧縮機10から吐出される冷媒を加熱部20および冷媒配管L6の双方へ導く第2運転モードに切り換える。開閉弁61は、第1運転モードと第2運転モードを切り換える切換部として機能する。制御部90は、圧縮機10が吸入する冷媒の圧力が閾値圧力を超えたことに応じて、第1運転モードを第2運転モードに切り換えるよう開閉弁61を制御する。
【0052】
ステップS108で、制御部90は、開閉弁62を開状態とするよう制御する。ステップS109で、制御部90は、開閉弁62を開状態とするよう制御する。制御部90は、開閉弁62および開閉弁61を開状態とし圧縮機10を動作させることにより、圧縮機10から吐出される冷媒の一部が加熱部20に導かれ、圧縮機10から吐出される冷媒の他の一部が加熱部20を経由せずに冷媒配管L6からアキュムレータ30に導かれる状態とする。
【0053】
ステップS110で、制御部90は、加熱部20へ冷媒を導くホットガス暖房運転を行うにあたって、加熱部20を通過した冷媒が液冷媒となるように、絞り弁40の開度を調整する。制御部90は、図11に示すb点の冷媒の温度とb´点の冷媒の温度の差分である過冷却度SCが所定の値となるように絞り弁40の開度を調整する。制御部90は、過冷却度SCを、温度センサ95が検出する温度と圧力センサ96が検出する圧力から算出する。
【0054】
ステップS111で、制御部90は、図11に示す点a,b,cの比エンタルピha,hb,hcをそれぞれ算出する。点aの比エンタルピhaは、温度センサ94が検出する温度と、圧力センサ96が検出する圧力から算出される。点bの比エンタルピhbは、温度センサ95が検出する温度と、圧力センサ96が検出する圧力から算出される。点cの比エンタルピhcは、温度センサ93が検出する温度または圧力センサ92が検出する圧力のいずれかと、圧縮機10を駆動するモータの回転数から算出される。
【0055】
ステップS112で、制御部90は、冷媒配管L6の冷媒循環量Gr1を算出する。冷媒循環量Gr1は、絞り弁50の開度と、点aの圧力HPと、点cの圧力LPと、温度センサ93が検出する温度から算出される。
【0056】
ステップS113で、制御部90は、冷媒配管L5の冷媒循環量Gr2を算出する。冷媒循環量Gr2は、絞り弁40の開度と、点bの圧力HPと、点cの圧力LPと、温度センサ93が検出する温度から算出される。
【0057】
ステップS114で、制御部90は、圧力センサ92が検出する冷媒の圧力LPが所定圧力を上回っているかどうかを判断し、YESであればステップS115へ処理を進め、NOであればステップS116に処理を進める。所定圧力は、前述した閾値圧力よりも高く、ホットガス暖房運転に適した圧力として予め定められたものである。
【0058】
ステップS115で、制御部90は、(ha-hc)×Gr1>(hc-hb)×Gr2となるように絞り弁50の開度を増加させる。このようにすることで、絞り弁40で減圧された冷媒および絞り弁50で減圧された冷媒を含むアキュムレータ30に流入する流入冷媒中のガス冷媒の割合が、アキュムレータ30から流出する流出冷媒中のガス冷媒の割合よりも多くすることができる。
【0059】
図11において、絞り弁50の開度を増加させることにより、アキュムレータ30の出口側(圧縮機10の吸入側)に対応する点cを、点dよりも点eに近づけることができる。点dは絞り弁40の下流側に対応し、点eは絞り弁50の下流側に対応する。
【0060】
そして、アキュムレータ30に流入する流入冷媒中のガス冷媒の割合を、アキュムレータ30から流出する流出冷媒中のガス冷媒の割合よりも多くすることで、アキュムレータ30に貯留される液冷媒が減少する。これにより、冷凍サイクルを流通する冷媒の増加に伴って圧縮機10に流入する冷媒の圧力が増加し、圧縮機10の動力低下を抑制することができる。
【0061】
ステップS116で、制御部90は、(ha-hc)×Gr1<(hc-hb)×Gr2となるように絞り弁50の開度を減少させる。このようにすることで、絞り弁40で減圧された冷媒および絞り弁50で減圧された冷媒を含むアキュムレータ30に流入する流入冷媒中の液冷媒の割合が、アキュムレータ30から流出する流出冷媒中の液冷媒の割合よりも多くすることができる。図11において、絞り弁50の開度を減少させることにより、アキュムレータ30の出口側(圧縮機10の吸入側)に対応する点cを、点eよりも点dに近づけることができる。
【0062】
そして、アキュムレータ30に流入する流入冷媒中の液冷媒の割合を、アキュムレータ30から流出する流出冷媒中の液冷媒の割合よりも多くすることで、アキュムレータ30に貯留される液冷媒が増加してアキュムレータ30から流出する冷媒に含まれる液冷媒の割合が減少する。これにより、冷凍サイクルを流通する冷媒の減少に伴って圧縮機10に流入する冷媒の圧力が減少し、圧縮機10のトルク増加を抑制することができる。
【0063】
ステップS117で、制御部90は、ホットガス暖房運転を終了する指示が入力されたかどうかを判断し、YESであれば本フローチャートの処理を終了させる。NOであればステップS110以降の処理を再び実行する。
【0064】
以上で説明したホットガス暖房運転において、制御部90は、圧縮機10の動力を減少させる場合、アキュムレータ30に流入する流入冷媒中の液冷媒の割合が変化しないように絞り弁40の開度(第1開度)および絞り弁50の開度(第2開度)を制御する。また、制御部90は、圧縮機10の動力を増加させる場合、アキュムレータ30に流入する流入冷媒中の液冷媒の割合が変化しないように絞り弁40の開度(第1開度)および絞り弁50の開度(第2開度)を制御する。
【0065】
<除湿暖房運転>
本実施形態に係る車両用空調装置100の除湿暖房運転時の動作について、図12を参照して説明する。図12は、車両用空調装置100の除湿暖房運転時の冷媒流れを示す冷媒回路図である。
【0066】
図12に示す矢印は、冷媒の流通方向を示す。図12に示すように、除湿暖房運転時に、冷媒は、圧縮機10,加熱部20,絞り弁40,室外熱交換器80,車内熱交換器85,アキュムレータ30,圧縮機10の順に循環する。冷媒配管L1,L2,L3,L4,L5a,L5b,L10,L7は、冷媒を循環させる循環流路を形成する。
【0067】
除湿暖房運転時に、室外熱交換器80は、蒸発器として動作し、冷媒を蒸発させて外気を冷却する。除湿暖房運転時に、制御部90は、開閉弁64を開状態とし、開閉弁61,62,63,65を閉状態とする。制御部90は、室内ブロワ86を駆動させて車内熱交換器85で除湿された空気を加熱部20へ導くことにより、空気に含まれる水分を除湿しつつ加熱部20で空気を加熱して送風することができる。
【0068】
<冷房運転>
本実施形態に係る車両用空調装置100の冷房運転時の動作について、図13を参照して説明する。図13は、車両用空調装置100の冷房運転時の冷媒流れを示す冷媒回路図である。
【0069】
図13に示す矢印は、冷媒の流通方向を示す。図13に示すように、冷房運転時に、冷媒は、圧縮機10,室外熱交換器80,車内熱交換器85,アキュムレータ30,圧縮機10の順に循環する。冷媒配管L1,L2,L11,L5b,L10,L7は、冷媒を循環させる循環流路を形成する。
【0070】
冷房運転時に、室外熱交換器80は、凝縮器として動作し、冷媒を凝縮させて外気を加熱する。冷房運転時に、制御部90は、開閉弁63を開状態とし、開閉弁61,62,64,65を閉状態とする。制御部90は、室内ブロワ86を駆動させて室外熱交換器80で冷却された空気を車室内に送風することができる。
【0071】
以上で説明した本実施形態の車両用空調装置100が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態の車両用空調装置100によれば、圧縮機10から吐出される高温高圧の冷媒の一部が加熱部20に供給され、加熱部20により空気(加熱対象物)が加熱される。加熱部20を通過した冷媒は絞り弁40により減圧され、冷媒配管L5,L8,L9,L7によりアキュムレータ30に導かれる。また、圧縮機10から吐出される高温高圧の冷媒の他の一部が冷媒配管L6(バイパス流路)に導かれ、絞り弁50により減圧される。絞り弁50で減圧された冷媒は、冷媒配管L7を流通する冷媒と合流し、アキュムレータ30に導かれる。
【0072】
本実施形態の車両用空調装置100によれば、第1合流部JP1は、循環流路(上流側配管L5a)の絞り弁40よりもアキュムレータ30側かつ絞り弁40による冷媒の第1噴霧領域SA1に配置されている。絞り弁40により循環流路(上流側配管L5a)を流通する冷媒が減圧されて噴霧状となって比表面積が増大している状態で、バイパス流路(冷媒配管L6)から導かれる高温高圧の冷媒が循環流路に合流するため、循環流路を流通する冷媒とバイパス流路から導かれる冷媒の混合が促進される。そして、車両用空調装置100は、装置の大型化や製造コストの増大を防止しつつ安定した加熱能力を発揮することができる。
【0073】
本実施形態の車両用空調装置100によれば、第1合流部JP1においてバイパス流路の中心軸X1と循環流路の中心軸Z1とが交差しないため、バイパス流路から循環流路へ導かれた冷媒が循環流路の中心軸Z1回りに旋回する旋回流を形成する。バイパス流路から循環流路へ導かれた冷媒が旋回流となるため、循環流路を流通する冷媒とバイパス流路から導かれる冷媒の混合が更に促進される。
【0074】
本実施形態の車両用空調装置100によれば、循環流路の中心軸Z1とバイパス流路の中心軸X1とがなす角度θが90度以上かつ180度以下となるため、この角度θを90度未満の場合に比べ、循環流路を流通する冷媒とバイパス流路から導かれる冷媒との相対速度が大きくなり、循環流路を流通する冷媒とバイパス流路から導かれる冷媒との混合が更に促進される。
【0075】
本実施形態の車両用空調装置100によれば、第1合流部JP1において循環流路の内周面L5a1に凸部L5a2が形成されているため、バイパス流路から循環流路に導かれる冷媒が循環流路の内周面L5a1に衝突する際に冷媒の流れが乱れ、この乱れによって循環流路に導かれる冷媒とバイパス流路から導かれる冷媒との混合が促進される。
【0076】
本実施形態の車両用空調装置100によれば、オリフィス41から上流側配管L5aの内径をDとした場合に10D以内の第1噴霧領域SA1に配置される第1合流部JP1でバイパス流路から冷媒を合流させることにより、循環流路に導かれる冷媒とバイパス流路から導かれる冷媒との混合が適切に促進される。
【0077】
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態に係る車両用空調装置100Aについて説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0078】
第1実施形態の車両用空調装置100Aは、ホットガス暖房運転時の循環流路(冷媒配管L1,L2,L3,L4,L5a,L8,L9,L7)において、絞り弁40よりもアキュムレータ30側に他の減圧機構を配置しないものであった。それに対して、本実施形態の車両用空調装置100Aは、ホットガス暖房運転時の循環流路において、絞り弁40よりもアキュムレータ30側に減圧機構であるオリフィス(第3絞り機構)41を配置したものである。
【0079】
図14は、本開示の第2実施形態に係る車両用空調装置100Aの冷媒回路図である。図14に示すように、車両用空調装置100Aは、第1実施形態の車両用空調装置100に加え、分岐流路(冷媒配管L12)と、オリフィス41と、を備える。
【0080】
図14に示すように、オリフィス41は、循環流路(上流側配管L5a,冷媒配管L8)の絞り弁40よりもアキュムレータ30側に配置される。分岐流路は、バイパス流路(冷媒配管L6)から冷媒の一部を分岐部BPで分岐させて循環流路(上流側配管L5a,冷媒配管L8)の第1合流部JP1よりもアキュムレータ30側の第2合流部JP2で循環流路に合流させる。
【0081】
ここで、加熱部20および絞り弁40を通過して循環流路(上流側配管L5a,冷媒配管L8)を流通する気液二相の冷媒と、分岐流路(冷媒配管L12)から循環流路へ導かれる気相の冷媒とを良好に混合させる構成について説明する。図15は、第1合流部JP1および第2合流部JP2の近傍において、循環流路とバイパス流路と分岐流路とを循環流路の中心軸Z1に直交する方向に沿ってみた断面図である。図15において、第1合流部JP1の近傍は、第1実施形態と同様であるため、以下での説明を省略する。
【0082】
図15に示すように、第2合流部JP2は、循環流路(上流側配管L5a,冷媒配管L8)のオリフィス41よりも冷媒の流通方向の下流側であるアキュムレータ30側かつオリフィス41による冷媒の第2噴霧領域SA2を含むように配置されている。第2噴霧領域SA2は、オリフィス41により減圧された気液二相の冷媒が噴霧される領域である。第2噴霧領域SA2は、例えば、循環流路を形成する冷媒配管L8の内径をDとした場合、オリフィス41から10D以内の領域である。図15に示す中心軸Z1に沿ったオリフィス41から第2噴霧領域SA2の端部までの距離Dis2が10D以内となる。
【0083】
図15に示すように、第2合流部JP2において、循環流路(冷媒配管L8)を中心軸Z1に直交する所定方向からみた場合、循環流路(冷媒配管L8)の中心軸Z1と分岐流路(冷媒配管L12)の中心軸X2とがなす角度αが90度となっている。なお、角度αは、90度以外の他の角度としてもよく、90度以上かつ180度以下の任意の角度に設定するのが好ましい。
【0084】
図示を省略するが、第2合流部JP2において、循環流路(冷媒配管L8)を中心軸Z1に沿ってみた場合、バイパス流路(冷媒配管L6)は、バイパス流路の中心軸X1と循環流路の中心軸Z1とが交差しないように循環流路に接続されている。
【0085】
図15に示す循環流路(冷媒配管L8)の中心軸Z1は、第2合流部JP2において、鉛直方向に沿って配置されるのが好ましい。中心軸Z1を鉛直方向に沿って配置することにより、循環流路において重力による冷媒の偏りが発生せず、循環流路に導かれる冷媒とバイパス流路から導かれる冷媒との混合が適切に促進される。
【0086】
図15に示すように、循環流路(上流側配管L5a)を循環流路の中心軸Z1に直交する所定方向からみた場合、第1合流部JP1でバイパス流路(冷媒配管L6)から循環流路(上流側配管L5a)へ冷媒が流入する第1流入方向ID1と、第2合流部JP2で分岐流路(冷媒配管L12)から循環流路(冷媒配管L8)へ冷媒が流入する第2流入方向ID2が対向している。ここで、対向しているとは、循環流路(上流側配管L5a,冷媒配管L8)を循環流路の中心軸Z1に直交する所定方向からみた場合に、第1流入方向ID1と第2流入方向ID2とが180度または180度から所定角度(例えば、10度)の範囲内であることをいう。
【0087】
図16は、図15に示す循環流路のB-B矢視断面図である。図16に示すように、本実施形態のオリフィス41は、循環流路(冷媒配管L8)を形成する配管の一部の流路断面積を他の部分よりも減少させた絞り機構である。図16に示すオリフィス41は、中心軸Z1回りに環状に形成される板状部材であり、外径が冷媒配管L8の内径と同じDであり、中心に開口穴41aが形成されている。
【0088】
図16に示すオリフィス41は、図17に示す第1変形例のオリフィス41としてもよい。図17は、図16に示すオリフィス41の第1変形例を示す図である。図17に示すオリフィス41は、中心に開口穴41aが形成されているとともに、開口穴41aよりも径が小さい複数の開口穴41bが形成されている。
【0089】
図16に示すオリフィス41は、図18に示す第2変形例のオリフィス41としてもよい。図18は、図16に示すオリフィス41の第2変形例を示す図である。図18に示すオリフィス41は、中心に開口穴が形成されておらず、中心以外の複数箇所に開口穴41aよりも径が小さい開口穴41bが形成されている。
【0090】
図16から図18に示すように、本実施形態の上流側配管L5aは、第2合流部JP2において、内周面L8aが凹凸のない円形となっているが、他の態様であってもよい。例えば、第2合流部JP2において、冷媒配管L8の内周面L8aを凹凸形状としてもよい。図19は、図15に示す循環流路のC-C矢視断面図である。
【0091】
図19に示すように、第2合流部JP2において、循環流路(冷媒配管L8)の内周面L8aには中心軸Z1回りの周方向に沿って複数箇所に凸部L8bが形成されている。そのため、分岐流路(冷媒配管L12)から循環流路(冷媒配管L8)に導かれる冷媒が循環流路の内周面L8aに衝突する際に凸部L8bによって冷媒の流れが乱れ、この乱れによって循環流路に導かれる冷媒とバイパス流路から導かれる冷媒との混合が促進される。凸部L8bは、中心軸Z1と平行に延びるように形成しても良いし、中心軸Z1回りに螺旋状に旋回するように形成してもよい。
【0092】
なお、本実施形態において、分岐流路(冷媒配管L12)とオリフィス41は、それぞれ車両用空調装置100Aに1つずつ設けるものとしたが、上述した個数に限定するものではなく、数を増やすことでさらに混合を促進してもよい。例えば、図14に示す分岐部BPとは異なる他の1または複数の分岐部BPを設け、他の分岐部BPに分岐流路を接続し、複数の合流部で循環流路(冷媒配管L8)に合流させるようにしてもよい。この場合、循環流路(冷媒配管L8)の複数の合流部の上流側のそれぞれにオリフィス41を配置するのが好ましい。
【0093】
また、本実施形態において、循環流路(冷媒配管L8)の第2合流部JP2の上流側にオリフィス41を配置するものとしたが、オリフィス41を循環流路(冷媒配管L8)に配置しない態様としてもよい。オリフィス41が循環流路(冷媒配管L8)に配置されていない態様であっても、分岐流路(冷媒配管L12)から循環流路(冷媒配管L8)に冷媒を流入させることにより、循環流路を流通する冷媒の混合を促進することができる。
【0094】
以上説明した本実施形態の車両用空調装置100Aが奏する作用および効果について説明する。
本実施形態の車両用空調装置100Aによれば、第2合流部JP2において分岐流路(冷媒配管L12)の中心軸X1と循環流路(上流側配管L5a)の中心軸Z1とが交差しないため、分岐流路から循環流路へ導かれた冷媒が循環流路の中心軸Z1回りに旋回する旋回流を形成する。分岐流路から循環流路へ導かれた冷媒が旋回流となるため、循環流路を流通する冷媒と分岐流路から導かれる冷媒の混合が更に促進される。
【0095】
本実施形態の車両用空調装置100Aによれば、循環流路の中心軸Z1と分岐流路の中心軸X1とがなす角度が90度以上かつ180度以下となるため、この角度を90度未満の場合に比べ、循環流路を流通する冷媒と分岐流路から導かれる冷媒との相対速度が大きくなり、循環流路を流通する冷媒と分岐流路から導かれる冷媒との混合が更に促進される。
【0096】
本実施形態の車両用空調装置100Aによれば、第1流入方向ID1と第2流入方向ID2が対向しているため、第1流入方向ID1でバイパス流路から流入した冷媒が循環流路を形成する配管の径方向の一方に偏っていたとしても、第2流入方向ID2で分岐流路から流入する冷媒により偏りを減らすことができる。
【0097】
本実施形態の車両用空調装置100Aによれば、第2合流部JP2において循環流路の内周面L5a1に凸部L5a2が形成されているため、分岐流路から循環流路に導かれる冷媒が循環流路の内周面L5a1に衝突する際に冷媒の流れが乱れ、この乱れによって循環流路に導かれる冷媒と分岐流路から導かれる冷媒との混合が促進される。
【0098】
本実施形態の車両用空調装置100Aによれば、循環流路の中心軸Z1が鉛直方向に沿って配置されているため、循環流路において重力による冷媒の偏りが発生せず、循環流路に導かれる冷媒と分岐流路から導かれる冷媒との混合が適切に促進される。
【0099】
本実施形態の車両用空調装置100Aによれば、オリフィス41から上流側配管L5aの内径をDとした場合に10D以内の第2噴霧領域SA2に配置される第2合流部JP2で分岐流路から冷媒を合流させることにより、循環流路に導かれる冷媒と分岐流路から導かれる冷媒との混合が適切に促進される。
【0100】
以上説明した各実施形態に記載の空調装置は例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係る空調装置(100)は、冷媒を圧縮する圧縮機(10)と、前記圧縮機から吐出される前記冷媒により加熱対象物を加熱する加熱部(20)と、前記圧縮機が吸入する前記冷媒中の液分を分離するアキュムレータ(30)と、前記加熱部を通過した前記冷媒を前記アキュムレータに導く循環流路(L5,L8,L7)と、前記加熱部を通過させずに前記圧縮機から吐出される前記冷媒を前記循環流路(L5,L8,L7)の第1合流部(JP1)で合流させるバイパス流路(L6)と、前記循環流路に配置され、前記加熱部から流出した前記冷媒を減圧する第1絞り機構(40)と、前記バイパス流路に配置され、前記圧縮機から吐出される前記冷媒を減圧する第2絞り機構(50)と、を備え、前記第1合流部は、前記循環流路の前記第1絞り機構よりも前記アキュムレータ側かつ前記第1絞り機構による前記冷媒の第1噴霧領域(SA1)に配置されている。
【0101】
本開示の第1態様に係る空調装置によれば、圧縮機から吐出される高温高圧の冷媒の一部が加熱部に供給され、加熱部により加熱対象物が加熱される。加熱部を通過した冷媒は第1絞り機構により減圧され、循環流路によりアキュムレータに導かれる。また、圧縮機から吐出される高温高圧の冷媒の他の一部がバイパス流路に導かれ、第2絞り機構により減圧される。第2絞り機構で減圧された冷媒は、第1合流部で循環流路を流通する冷媒と合流し、アキュムレータに導かれる。
【0102】
本開示の第1態様に係る空調装置によれば、第1合流部は、循環流路の第1絞り機構よりもアキュムレータ側かつ第1絞り機構による冷媒の第1噴霧領域に配置されている。第1絞り機構により循環流路を流通する冷媒が減圧されて噴霧状となって比表面積が増大している状態で、バイパス流路から導かれる高温高圧の冷媒が循環流路に合流するため、循環流路を流通する冷媒とバイパス流路から導かれる冷媒の混合が促進される。そして、空調装置は、装置の大型化や製造コストの増大を防止しつつ安定した加熱能力を発揮することができる。
【0103】
本開示の第2態様に係る空調装置は、第1態様において、更に、前記循環流路の前記第1絞り機構よりも前記アキュムレータ側に配置される第3絞り機構(41)を備える。
本開示の第2態様に係る空調装置によれば、第3絞り機構により循環流路を流通する冷媒が減圧されて噴霧状となる。そのため、第3絞り機構に流入する冷媒の混合を更に促進させてアキュムレータに導くことができる。
【0104】
本開示の第3態様に係る空調装置は、第1態様または第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記バイパス流路から前記冷媒の一部を分岐させて前記循環流路の前記第1合流部よりも前記アキュムレータ側の第2合流部で前記循環流路に合流させる分岐流路を備える。
本開示の第3態様に係る空調装置によれば、バイパス流路から分岐させた冷媒の一部を第2合流部で循環流路に合流させることにより、循環流路を流通する冷媒の混合を促進することができる。
【0105】
本開示の第4態様に係る空調装置は、第1態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記循環流路の前記第1絞り機構よりも前記アキュムレータ側に配置される第3絞り機構と、前記バイパス流路から前記冷媒の一部を分岐させて前記循環流路の前記第1合流部よりも前記アキュムレータ側の第2合流部で前記循環流路に合流させる分岐流路と、を備え、前記第2合流部は、前記循環流路の前記第3絞り機構よりも前記アキュムレータ側かつ前記第3絞り機構による前記冷媒の第2噴霧領域に配置されている。
【0106】
本開示の第4態様に係る空調装置によれば、第2合流部は、循環流路の第3絞り機構よりもアキュムレータ側かつ第3絞り機構による冷媒の第2噴霧領域に配置されている。第3絞り機構により循環流路を流通する冷媒が減圧されて噴霧状となって比表面積が増大している状態で、分岐流路から導かれる高温高圧の冷媒が循環流路に合流するため、循環流路を流通する冷媒と分岐流路から導かれる冷媒の混合が更に促進される。
【0107】
本開示の第5態様に係る空調装置は、第2態様または第4態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第3絞り機構は、前記循環流路を形成する配管の一部の流路断面積を他の部分よりも減少させたオリフィスである。
本開示の第5態様に係る空調装置によれば、比較的簡素なオリフィスを循環流路に配置することにより、循環流路を流通する冷媒の比表面積を増大させて冷媒の混合を促進させることができる。
【0108】
本開示の第6態様に係る空調装置は、第1態様または第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1合流部において、前記循環流路を該循環流路の中心軸に沿ってみた場合、前記バイパス流路は、前記バイパス流路の中心軸(X1)と前記循環流路の中心軸(Z1)とが交差しないように前記循環流路に接続されている。
【0109】
本開示の第6態様に係る空調装置によれば、第1合流部においてバイパス流路の中心軸と循環流路の中心軸とが交差しないため、バイパス流路から循環流路へ導かれた冷媒が循環流路の中心軸回りに旋回する旋回流を形成する。バイパス流路から循環流路へ導かれた冷媒が旋回流となるため、循環流路を流通する冷媒とバイパス流路から導かれる冷媒の混合が更に促進される。
【0110】
本開示の第7態様に係る空調装置は、第3態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第2合流部において、前記循環流路を該循環流路の中心軸に沿ってみた場合、前記分岐流路は、前記バイパス流路の中心軸と前記循環流路の中心軸とが交差しないように前記循環流路に接続されている。
【0111】
本開示の第7態様に係る空調装置によれば、第2合流部において分岐流路の中心軸と循環流路の中心軸とが交差しないため、分岐流路から循環流路へ導かれた冷媒が循環流路の中心軸回りに旋回する旋回流を形成する。分岐流路から循環流路へ導かれた冷媒が旋回流となるため、循環流路を流通する冷媒と分岐流路から導かれる冷媒の混合が更に促進される。
【0112】
本開示の第8態様に係る空調装置は、第1態様または第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1合流部において、前記循環流路を該循環流路の中心軸に直交する所定方向からみた場合、前記循環流路の中心軸と前記バイパス流路の中心軸とがなす角度が90度以上かつ180度以下となるように前記バイパス流路が前記循環流路に接続されている。
【0113】
本開示の第8態様に係る空調装置によれば、循環流路の中心軸とバイパス流路の中心軸とがなす角度が90度以上かつ180度以下となるため、この角度を90度未満の場合に比べ、循環流路を流通する冷媒とバイパス流路から導かれる冷媒との相対速度が大きくなり、循環流路を流通する冷媒とバイパス流路から導かれる冷媒との混合が更に促進される。
【0114】
本開示の第9態様に係る空調装置は、第3態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第2合流部において、前記循環流路を該循環流路の中心軸に直交する所定方向からみた場合、前記循環流路の中心軸と前記分岐流路の中心軸とがなす角度が90度以上かつ180度以下となるように前記分岐流路が前記循環流路に接続されている。
【0115】
本開示の第9態様に係る空調装置によれば、循環流路の中心軸と分岐流路の中心軸とがなす角度が90度以上かつ180度以下となるため、この角度を90度未満の場合に比べ、循環流路を流通する冷媒と分岐流路から導かれる冷媒との相対速度が大きくなり、循環流路を流通する冷媒と分岐流路から導かれる冷媒との混合が更に促進される。
【0116】
本開示の第10態様に係る空調装置は、第3態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記循環流路を該循環流路の中心軸に直交する所定方向からみた場合、前記第1合流部で前記バイパス流路から前記循環流路へ前記冷媒が流入する第1流入方向と、前記第2合流部で前記分岐流路から前記循環流路へ前記冷媒が流入する第2流入方向が対向している。
【0117】
本開示の第10態様に係る空調装置によれば、第1流入方向と第2流入方向が対向しているため、第1流入方向でバイパス流路から流入した冷媒が循環流路を形成する配管の径方向の一方に偏っていたとしても、第2流入方向で分岐流路から流入する冷媒により偏りを減らすことができる。
【0118】
本開示の第11態様に係る空調装置は、第1態様または第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1合流部において、前記循環流路の内周面には該循環流路の中心軸回りの周方向に沿って複数箇所に凸部(L5a2)が形成されている。
【0119】
本開示の第11態様に係る空調装置によれば、第1合流部において循環流路の内周面に凸部が形成されているため、バイパス流路から循環流路に導かれる冷媒が循環流路の内周面に衝突する際に冷媒の流れが乱れ、この乱れによって循環流路に導かれる冷媒とバイパス流路から導かれる冷媒との混合が促進される。
【0120】
本開示の第12態様に係る空調装置は、第3態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第2合流部において、前記循環流路の内周面には該循環流路の中心軸回りの周方向に沿って複数箇所に凸部が形成されている。
【0121】
本開示の第12態様に係る空調装置によれば、第2合流部において循環流路の内周面に凸部が形成されているため、分岐流路から循環流路に導かれる冷媒が循環流路の内周面に衝突する際に冷媒の流れが乱れ、この乱れによって循環流路に導かれる冷媒と分岐流路から導かれる冷媒との混合が促進される。
【0122】
本開示の第13態様に係る空調装置は、第1態様または第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1合流部において、前記循環流路の中心軸は鉛直方向に沿って配置されている。
本開示の第13態様に係る空調装置によれば、循環流路の中心軸が鉛直方向に沿って配置されているため、循環流路において重力による冷媒の偏りが発生せず、循環流路に導かれる冷媒とバイパス流路から導かれる冷媒との混合が適切に促進される。
【0123】
本開示の第14態様に係る空調装置は、第3態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第2合流部において、前記循環流路の中心軸は鉛直方向に沿って配置されている。
本開示の第14態様に係る空調装置によれば、循環流路の中心軸が鉛直方向に沿って配置されているため、循環流路において重力による冷媒の偏りが発生せず、循環流路に導かれる冷媒と分岐流路から導かれる冷媒との混合が適切に促進される。
【0124】
本開示の第15態様に係る空調装置は、第1態様または第2態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第1噴霧領域は、前記循環流路を形成する配管の内径をDとした場合、前記第1絞り機構から10D以内の領域である。
本開示の第15態様に係る空調装置によれば、第1絞り機構から10D以内の第1噴霧領域に配置される第1合流部でバイパス流路から冷媒を合流させることにより、循環流路に導かれる冷媒とバイパス流路から導かれる冷媒との混合が適切に促進される。
【0125】
本開示の第16態様に係る空調装置は、第4態様において、更に以下の構成を備える。すなわち、前記第2噴霧領域は、前記循環流路を形成する配管の内径をDとした場合、前記第3絞り機構から10D以内の領域である。
本開示の第16態様に係る空調装置によれば、第3絞り機構から10D以内の第2噴霧領域に配置される第2合流部で分岐流路から冷媒を合流させることにより、循環流路に導かれる冷媒と分岐流路から導かれる冷媒との混合が適切に促進される。
【符号の説明】
【0126】
10 圧縮機
20 加熱部
30 アキュムレータ
40 絞り弁(第1絞り機構)
41 オリフィス(第3絞り機構)
41a,41b 開口穴
50 絞り弁
61,62,63 開閉弁
64 開閉弁(第1開閉弁)
65 開閉弁(第2開閉弁)
70 絞り弁
80 室外熱交換器
81 室外ファン
85 車内熱交換器(蒸発器)
86 室内ブロワ
90 制御部
91 冷媒加熱ヒータ
92,96 圧力センサ
93,94,95 温度センサ
100,100A 車両用空調装置
Dis1,Dis2 距離
Gr1,Gr2 冷媒循環量
ID1 第1流入方向
ID2 第2流入方向
JP1 第1合流部
JP2 第2合流部
L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8,L9,L10,L11,L12 冷媒配管
L5a 上流側配管
L5a1 内周面
L5a2 凸部
L5b 下流側配管
SA1 第1噴霧領域
SA2 第2噴霧領域
SC 過冷却度
X1,X2,Z1 中心軸
ha,hb,hc 比エンタルピ
θ,α 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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