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特開2024-34148パネル部材のシール構造及び屋根構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034148
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】パネル部材のシール構造及び屋根構造体
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/15 20060101AFI20240306BHJP
   E04B 1/682 20060101ALI20240306BHJP
   E04B 1/684 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
E04D13/15 Z
E04B1/682 A
E04B1/684 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138205
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000192589
【氏名又は名称】神鋼ノース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 知之
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001FA16
2E001FA19
2E001FA54
2E001FA71
2E001GA05
2E001GA67
2E001GA72
2E001GA73
2E001HE01
2E001LA03
2E001LA07
2E001MA04
2E001MA11
(57)【要約】
【課題】適切な位置に定形シール材を配置して良好な外観及びシール性を得ることができるパネル部材のシール構造及び屋根構造体を提供する。
【解決手段】パネル11と、パネル11の端面に取り付けられた破風板31と、を備えるパネル部材10において、パネル11と破風板31との隙間Gへ上方から定形シール材41が装着されてシールされるシール構造であって、定形シール材41は、隙間Gに嵌め込まれる本体部43と、本体部43の上部に連設されて側方へ延在され、パネル11の上面に密着されるアーム部45と、を備え、本体部43は、パネル11の端面に密着する第1側壁部51と、破風板31に密着する第2側壁部53と、第1側壁部51及び第2側壁部53の上部に連設された上壁部55と、第2側壁部53における上方位置と第1側壁部51における下方位置とに連設された筋交い部61と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲が枠部材で囲われた板状のコア部材の表裏に上面板及び下面板が貼り付けられたパネルと、前記パネルの端面に取り付けられた破風板と、を備えるパネル部材において、前記パネルと前記破風板との隙間へ上方から定形シール材が装着されてシールされるシール構造であって、
前記定形シール材は、
前記隙間に嵌め込まれる本体部と、
前記本体部の上部に連設されて側方へ延在され、前記パネルの上面に密着されるアーム部と、
を備え、
前記本体部は、
前記パネルの端面に密着する第1側壁部と、
前記破風板に密着する第2側壁部と、
前記第1側壁部及び前記第2側壁部の上部に連設された上壁部と、
前記第2側壁部における上方位置と前記第1側壁部における下方位置とに連設された筋交い部と、
を有する、
パネル部材のシール構造。
【請求項2】
前記本体部は、前記第1側壁部及び前記第2側壁部の下部に連設された底壁部を有する、
請求項1に記載のパネル部材のシール構造。
【請求項3】
前記第2側壁部は、前記破風板側における上縁部分及び下縁部分に突設されたリップ部を有する、
請求項1または請求項2に記載のパネル部材のシール構造。
【請求項4】
前記第2側壁部は、前記リップ部同士の間がポケット部とされ、前記ポケット部に不定形シール材が充填される、
請求項3に記載のパネル部材のシール構造。
【請求項5】
前記アーム部は、前記パネルの上面との対向側にポケット部を有し、前記ポケット部に不定形シール材が充填される、
請求項1または請求項2に記載のパネル部材のシール構造。
【請求項6】
前記第2側壁部は、前記破風板の上縁部を係止する係止片を有する、
請求項1または請求項2に記載のパネル部材のシール構造。
【請求項7】
前記パネルに前記破風板が設けられた前記パネル部材を備え、
請求項1に記載のシール構造によって、前記パネルと前記破風板との隙間がシールされた、
屋根構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル部材のシール構造及び屋根構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の屋根や庇等の屋根材として、軽量で耐食性に優れたアルミニウム板をハニカム構造等により高強度化したパネルが広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このパネルを用いた屋根や庇では、パネルの端面に破風板が取り付けられ、パネルの端面と破風板との隙間に定形シール材が嵌め込まれてシールされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-19480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、パネルの端面と破風板との隙間に定形シール材を嵌め込む場合、定形シール材を押し込み過ぎてしまったり、押し込み不足による浮き上がりが生じたりすることがある。すると、定形シール材が適切な位置に配置されず、パネル部材を備えた屋根の外観が悪くなるだけでなく、シール性が低下するおそれがある。
【0006】
そこで本発明は、適切な位置に定形シール材を配置して良好な外観及びシール性を得ることができるパネル部材のシール構造及び屋根構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は下記構成からなる。
(1) 周囲が枠部材で囲われた板状のコア部材の表裏に上面板及び下面板が貼り付けられたパネルと、前記パネルの端面に取り付けられた破風板と、を備えるパネル部材において、前記パネルと前記破風板との隙間へ上方から定形シール材が装着されてシールされるシール構造であって、
前記定形シール材は、
前記隙間に嵌め込まれる本体部と、
前記本体部の上部に連設されて側方へ延在され、前記パネルの上面に密着されるアーム部と、
を備え、
前記本体部は、
前記パネルの端面に密着する第1側壁部と、
前記破風板に密着する第2側壁部と、
前記第1側壁部及び前記第2側壁部の上部に連設された上壁部と、
前記第2側壁部における上方位置と前記第1側壁部における下方位置とに連設された筋交い部と、
を有する、パネル部材のシール構造。
(2) 前記パネルに前記破風板が設けられた前記パネル部材を備え、上記(1)に記載のシール構造によって、前記パネルと前記破風板との隙間がシールされた、屋根構造体。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、適切な位置に定形シール材を配置して良好な外観及びシール性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る屋根構造体を備えた建築物の斜視図である。
図2図2は、パネルの一部を切り欠いて内部構造を示したパネルの概略斜視図である。
図3図3は、図1に示すパネルのIII-III線の断面図である。
図4図4は、図3におけるシール箇所の拡大図である。
図5A図5Aは、パネルと破風板との隙間への定形シール材の装着手順を説明するシール箇所の断面図である。
図5B図5Bは、パネルと破風板との隙間への定形シール材の装着手順を説明するシール箇所の断面図である。
図5C図5Cは、パネルと破風板との隙間への定形シール材の装着手順を説明するシール箇所の断面図である。
図6図6は、変形例1に係る定形シール材によってシールされたシール箇所の断面図である。
図7図7は、変形例2に係る定形シール材によってシールされたシール箇所の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るパネル部材のシール構造及び屋根構造体の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る屋根構造体100を備えた建築物の斜視図である。
図1に示すように、屋根構造体100は、パネル部材10と、パネル部材10を吊り下げた状態で固定するフレーム13とを有する。パネル部材10は、複数枚(図示例では2枚)のパネル11が、互いの一辺同士を対面させて接続される。フレーム13は、逆L字形に形成され、1本又は複数本(図示例では3本)が配置される。なお、図中のY方向はパネル11の接続方向、Z方向は高さ方向、X方向はY方向及びZ方向に直交する方向である。
【0012】
フレーム13は、例えば、H型鋼等の鋼材やアルミニウム合金等によって形成され、脚部13aと、脚部13aの上部から略水平方向に延びる梁部13bとを備える。図示例のフレーム13の形状は一例であって、特に図示した形状や各部の配置形態に限定されない。
【0013】
2枚のパネル11を有するパネル部材10は、フレーム13の梁部13bに支持され、梁部13bの脚部13aから延びる方向(X方向)へ向かって水平面から下方へ傾斜している。各パネル11は、パネル11の傾斜方向と直交する方向(Y方向)に、パネル端部を対面させて互いに接続される。また、各パネル11には、傾斜下方側の縁部に沿って長尺状の樋部材30が設けられる。パネル部材10は、図示例の2枚のパネル11からなるものに限らず、3枚以上のパネル11を接続した構成であってもよい。
【0014】
図2は、パネル11の一部を切り欠いて内部構造を示したパネル11の概略斜視図である。
図2に示すように、パネル11は、矩形板状のコア部材14と、コア部材14の周囲を囲んで配置される枠部材17と、コア部材14及び枠部材17を板厚方向に挟んで固定する上面板21及び下面板23と、を備える。
【0015】
コア部材14は、アルミニウム又はアルミニウム合金製の壁体を蜂の巣状に立設したハニカム構造体を芯材として備える。コア部材14がハニカム構造体であることで、軽量でしかも高剛性な構成にできる。
【0016】
枠部材17は、上面板21及び下面板23の外縁と同じ位置か、又は外縁よりも内側に最外縁を有する枠体であり、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金形材、角材等で構成される。コア部材14及び枠部材17の厚さ方向の両端は、上面板21と下面板23にそれぞれ塗布された接着剤19により、上面板21と下面板23に接着される。
【0017】
上面板21と下面板23は、アルミニウム又はアルミニウム合金板であり、その他にも、鉄板やステンレス板、樹脂板、CFRP板等、又はこれらを適宜組み合わせた板材であってもよい。
【0018】
コア部材14の厚さは、3mm~300mm程度である。また、上面板21及び下面板23の厚さは、それぞれ0.2mm~3.0mm、好ましくは1.5mm~2.5mmである。上面板21のフレーム13(図1参照)に固定される側には、スタッドボルト等の複数の支持ボルト25が設けられる。各支持ボルト25は、フレーム13に応じて適宜の間隔で設けられ、フレーム13の梁部13bに設けられた取付金具12に締結される。これにより、パネル11は、フレーム13の梁部13bに支持される。
【0019】
図3図1に示すパネル11のIII-III線断面図である。図4図3におけるシール箇所の拡大図である。
図3に示すように、パネル11の枠部材17には、上面板21及び下面板23との隅部に、凹部17a,17bが形成される。凹部17a,17bには、不定形シール材18A,18Bが設けられている。これにより、パネル11は、上面板21及び下面板23と枠部材17との隙間が、不定形シール材18A,18Bによって確実に密閉される。これら不定形シール材18A,18Bは、パネル11の製造時に枠部材17に組み付けられるため、屋根構造体の施工時におけるシール工程は不要となる。
【0020】
また、パネル11には、その端面に、破風板31が取り付けられる。この破風板31は、上縁がパネル11よりも上方へ僅かに延在されている。パネル11の枠部材17は、破風板31へ向かって突出する支持片33を有している。また、破風板31は、枠部材17へ向かって突出する固定片35を有している。固定片35は、支持片33の上部に配置され、ネジ37によって固定片35に締結される。これにより、破風板31が枠部材17に固定され、パネル11の端面が破風板31によって覆われる。
【0021】
図4に示すように、破風板31は、パネル11に対して隙間Gをあけて配置されている。パネル11の上縁と破風板31との隙間Gには、長尺の定形シール材41が嵌め込まれている。これにより、パネル11と破風板31とが、その上縁部においてシールされている。
【0022】
この定形シール材41は、例えば、ゴム等の弾性材料から形成されている。定形シール材41は、本体部43と、アーム部45とを有している。
【0023】
本体部43は、第1側壁部51と、第2側壁部53と、上壁部55と、底壁部57とを有している。上壁部55は、第1側壁部51及び第2側壁部53の上部に連設され、底壁部は、第1側壁部51及び第2側壁部53の下部に連設されている。これにより、本体部43は、断面視矩形状に形成されている。
【0024】
この定形シール材41の本体部43は、パネル11と破風板31との隙間Gに嵌め込まれる。パネル11と破風板31との隙間Gに嵌め込まれた状態で、本体部43は、第1側壁部51がパネル11側に配置され、第2側壁部53が破風板31側に配置される。
【0025】
アーム部45は、本体部43における第1側壁部51と上壁部55との角部に連設されており、上壁部55からパネル11側へ向かって側方へ延在され、パネル11の上面に沿って配置される。アーム部45におけるパネル11との対向部分には、ポケット部69が形成されている。
【0026】
定形シール材41は、本体部43に筋交い部61を有している。筋交い部61は、本体部43における第1側壁部51と底壁部57との隅部と、第2側壁部52と上壁部55との隅部とにわたって形成されている。これにより、筋交い部61は、第2側壁部53における上方位置と第1側壁部51における下方位置とに連設されている。なお、第1側壁部51は、底壁部57よりも下方側へ延在されている。
【0027】
また、本体部43には、第2側壁部53と上壁部55との角部及び第2側壁部53と底壁部57との角部に、それぞれ外方へ突出するリップ部63,65を有している。これにより、第2側壁部53における破風板31との対向部分には、リップ部63,65の間の凹状部分からなるポケット部67が形成されている。
【0028】
パネル11の上縁と破風板31との隙間Gに嵌め込まれる定形シール材41は、第1側壁部51がパネル11の端面に密着され、第2側壁部53のリップ部63,65が破風板31に密着される。また、定形シール材41は、アーム部45がパネル11の上面に密着される。これにより、パネル11の上縁と破風板31との隙間Gが定形シール材41によってシールされる。
【0029】
本体部43のポケット部67には、ゲル状の不定形シール材71が設けられており、この不定形シール材71が破風板31に密着し、破風板31との高いシール性が確保される。また、アーム部45のポケット部69にも、ゲル状の不定形シール材73が設けられており、この不定形シール材73がパネル11の上面に密着し、パネル11との高いシール性が確保される。
【0030】
次に、パネル11と破風板31との隙間Gへ定形シール材41を装着させる場合について説明する。
図5A図5Cは、パネル11と破風板31との隙間Gへの定形シール材41の装着手順を説明するシール箇所の断面図である。
【0031】
図5Aに示すように、定形シール材41のポケット部67,69に不定形シール材71,73を充填し、この定形シール材41をパネル11と破風板31との隙間Gへ向かって近づける。
【0032】
図5Bに示すように、定形シール材41の本体部43をパネル11と破風板31との隙間Gへ挿し込み、アーム部45をパネル11の上面に当接させる。すると、アーム部45は、ポケット部69に充填された不定形シール材73がパネル11の上面に密着される。或いは、不定形シール材71の充填前の定形シール材41をパネル11と破風板31との隙間Gに差し込みながら、その一部を浮かせた状態で保持し、形成されたポケット部に不定形シール材71(71も同様)を注入する。これにより、パネル11の上面と定形シール材41のアーム部45とがシールされる。また、定形シール材41は、本体部43のリップ部65が破風板31に接触し、本体部43における破風板31側が持ち上がって傾いた姿勢となる。なお、はみ出た不定形シール材71,73は除去しておく。
【0033】
次に、定形シール材41の本体部43をパネル11と破風板31との隙間Gへ上方から押し込む。すると、定形シール材41は、パネル11の上面に当接されたアーム部45における本体部43側の根元部分を中心として本体部43が回動しながらパネル11と破風板31との隙間Gへ嵌め込まれる。
【0034】
これにより、図5Cに示すように、定形シール材41は、本体部43の第2側壁部53のリップ部63,65が破風板31に密着されるとともに、第2側壁部53のポケット部67に充填された不定形シール材71が破風板31に密着される。これにより、破風板31と定形シール材41の本体部43とがシールされる。
【0035】
このように、本体部43が回動しながらパネル11と破風板31との隙間Gへ嵌め込まれる定形シール材41は、パネル11と破風板31との隙間Gへスライドされて嵌め込まれる場合と比べ、押し込み過ぎなく正規の位置へ容易に装着できる。また、本体部43の第2側壁部53は、本体部43が回動しながらパネル11と破風板31との隙間Gへ嵌め込まれることにより、破風板31に対して次第に近接し、略垂直方向から密着される。したがって、パネル11と破風板31との隙間Gへスライドされて嵌め込まれる場合と比べ、不定形シール材71を漏出させることなく破風板31へ密着させることができ、良好なシール性を確保できる。
【0036】
ところで、アーム部45における本体部43側の根元部分を中心として回動しながらパネル11と破風板31との隙間Gへ嵌め込まれる本体部43には、回動方向R(図5B参照)に沿った圧縮力が付与される。
【0037】
このような圧縮力が本体部43に付与される定形シール材41は、その本体部43に筋交い部61を有している。この筋交い部61は、第2側壁部53における上方位置と第1側壁部51における下方位置とに連設されている。つまり、筋交い部61は、アーム部45における本体部43側の根元部分を中心として回動する本体部43において、その回動方向Rに沿って配置される。
【0038】
したがって、アーム部45における本体部43側の根元部分を中心として回動しながらパネル11と破風板31との隙間Gへ嵌め込まれることにより、回動方向Rに沿う圧縮力が付与される本体部43は、筋交い部61によって補強されて大きな変形が抑えられる。
【0039】
ここで、筋交い部61が無い場合では、本体部43は、回動方向Rに沿う圧縮力によって潰れるように変形し、パネル11と破風板31との隙間Gにおいて、正規の位置よりも押し込まれ過ぎてしまうおそれがある。そして、本体部43が押し込まれ過ぎた定形シール材41は、引き上げて正規の位置へ戻すことが困難となる。このため、パネル部材10は、外観が悪化するとともに、パネル11と破風板31との隙間Gにおけるシール性が低下する。
【0040】
これに対して、本実施形態に係るパネル部材10のシール構造によれば、定形シール材41の筋交い部61を有する本体部43は、圧縮力による大きな変形が筋交い部61によって抑えられる。したがって、定形シール材41を、パネル11と破風板31との隙間Gにおいて、押し込み過ぎを抑えて正規の位置に嵌め込むことができ、外観の悪化を抑えつつ良好なシール性を確保できる。
【0041】
しかも、定形シール材41の本体部43は、第1側壁部51及び第2側壁部53の下部に連設された底壁部57を有するので、底壁部57によって本体部43の耐圧縮性が高められる。これにより、付与される圧縮力による本体部43の大きな変形をより良好に抑えられる。
【0042】
また、第2側壁部53における破風板31側における上縁部分及び下縁部分に突設されたリップ部63,65を有する本体部43は、リップ部63,65が破風板31に密着ことにより、より良好なシール性が得られる。また、破風板31にリップ部63,65が密着することにより、パネル11と破風板31との隙間Gに嵌め込んだ本体部43の浮き上がりが抑えられ、施工性を向上できる。
【0043】
また、第2側壁部53のポケット部67に不定形シール材71が充填されるので、本体部43と破風板31との間のシール性を高められ、さらに、アーム部45のポケット部69に不定形シール材73が充填されるので、アーム部45とパネル11の上面との間のシール性を高められる。
【0044】
次に、定形シール材41の変形例について説明する。
なお、上記実施形態と同一構成部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0045】
(変形例1)
図6は、変形例1に係る定形シール材41Aによってシールされたシール箇所の断面図である。
図6に示すように、変形例1に係る定形シール材41Aは、底壁部57のない本体部43を備えている。この定形シール材41Aでは、本体部43に底壁部57がないことにより、第2側壁部53は、上壁部55との連設箇所を中心として容易に揺動可能とされる。
【0046】
この変形例1に係る定形シール材41Aでは、アーム部45における本体部43側の根元部分を中心として本体部43を回動させながらパネル11と破風板31との隙間Gへ嵌め込む際に(図5B参照)、破風板31に下端が接触した第2側壁部53が、上壁部55との連設箇所を中心として容易に揺動する。したがって、パネル11と破風板31との隙間Gへ定形シール材41Aを押し込む際に要する挿入力を低減でき、装着作業性を向上できる。
【0047】
(変形例2)
図7は、変形例2に係る定形シール材41Bによってシールされたシール箇所の断面図である。
図7に示すように、変形例2に係る定形シール材41Bは、本体部43の上方側のリップ部63に、側方へ突出する係止片63aを有している。
【0048】
この変形例2に係る定形シール材41Bでは、パネル11と破風板31との隙間Gへ本体部43を嵌め込むと、係止片63aが破風板31の上縁を係止する。これにより、パネル11と破風板31との隙間Gへの本体部43の押し込み過ぎをより抑えることができ、定形シール材41Bを正規の位置に配置して良好なシール性を得ることができる。
【0049】
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0050】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 周囲が枠部材で囲われた板状のコア部材の表裏に上面板及び下面板が貼り付けられたパネルと、前記パネルの端面に取り付けられた破風板と、を備えるパネル部材において、前記パネルと前記破風板との隙間へ上方から定形シール材が装着されてシールされるシール構造であって、
前記定形シール材は、
前記隙間に嵌め込まれる本体部と、
前記本体部の上部に連設されて側方へ延在され、前記パネルの上面に密着されるアーム部と、
を備え、
前記本体部は、
前記パネルの端面に密着する第1側壁部と、
前記破風板に密着する第2側壁部と、
前記第1側壁部及び前記第2側壁部の上部に連設された上壁部と、
前記第2側壁部における上方位置と前記第1側壁部における下方位置とに連設された筋交い部と、
を有する、パネル部材のシール構造。
この構成のパネル部材のシール構造によれば、定形シール材の本体部がパネルと破風板との隙間に嵌め込まれ、本体部の第1側壁部がパネルの端面に密着し、本体部の第2側壁部が破風板に密着する。さらに、定形シール材のアーム部がパネルの上面に密着する。これにより、パネルと破風板との隙間が定形シール材によって良好にシールされる。
また、定形シール材をパネル部材に装着させる際に、定形シール材の本体部は、パネルの上面に当接したアーム部における本体部側の根元部分を中心として回動しながらパネルと破風板との隙間へ嵌め込まれる。このとき、本体部には、回動方向に沿う圧縮力が付与されるが、筋交い部を有する本体部は、圧縮力による大きな変形が筋交い部によって抑えられる。したがって、定形シール材を、パネルと破風板との隙間において、押し込み過ぎを抑えて正規の位置に嵌め込むことができ、外観の悪化を抑えつつ良好なシール性を確保できる。
【0051】
(2) 前記本体部は、前記第1側壁部及び前記第2側壁部の下部に連設された底壁部を有する、(1)に記載のパネル部材のシール構造。
この構成のパネル部材のシール構造によれば、底壁部によって本体部の耐圧縮性が高められる。これにより、付与される圧縮力による本体部の大きな変形をより良好に抑えられる。
【0052】
(3) 前記第2側壁部は、前記破風板側における上縁部分及び下縁部分に突設されたリップ部を有する、(1)または(2)に記載のパネル部材のシール構造。
この構成のパネル部材のシール構造によれば、第2側壁部の上縁部分及び下縁部分に突設されたリップ部が破風板に密着することにより、より良好なシール性が得られる。また、破風板にリップ部が密着することにより、パネルと破風板との隙間に嵌め込んだ本体部の浮き上がりが抑えられ、施工性を向上できる。
【0053】
(4) 前記第2側壁部は、前記リップ部同士の間がポケット部とされ、前記ポケット部に不定形シール材が充填される、(3)に記載のパネル部材のシール構造。
この構成のパネル部材のシール構造によれば、リップ部同士の間のポケット部に充填された不定形シール材によって本体部と破風板との間のシール性を高められる。
【0054】
(5) 前記アーム部は、前記パネルの上面との対向側にポケット部を有し、前記ポケット部に不定形シール材が充填される、(1)~(4)のいずれか一つに記載のパネル部材のシール構造。
この構成のパネル部材のシール構造によれば、アーム部のポケット部に充填された不定形シール材によってアーム部とパネルの上面との間のシール性を高められる。
【0055】
(6) 前記第2側壁部は、前記破風板の上縁部を係止する係止片を有する、(1)~(5)のいずれか一つに記載のパネル部材のシール構造。
この構成のパネル部材のシール構造によれば、係止片が破風板の上縁を係止することにより、パネルと破風板との隙間への本体部の押し込み過ぎをより抑えることができ、定形シール材を正規の位置に配置して良好なシール性を得ることができる。
【0056】
(7) 前記パネルに前記破風板が設けられた前記パネル部材を備え、(1)~(6)のいずれか一つに記載のシール構造によって、前記パネルと前記破風板との隙間がシールされた、屋根構造体。
この構成の屋根構造体によれば、パネル部材と破風板との隙間が良好にシールされ、しかも、良好な外観を有する建築物を構築できる。
【符号の説明】
【0057】
10 パネル部材
11 パネル
14 コア部材
17 枠部材
21 上面板
23 下面板
31 破風板
41,41A,41B 定形シール材
43 本体部
45 アーム部
51 第1側壁部
53 第2側壁部
55 上壁部
57 底壁部
61 筋交い部
63,65 リップ部
63a 係止片
67,69 ポケット部
71,73 不定形シール材
100 屋根構造体
G 隙間
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7