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  • 特開-サスペンション支持構造 図1
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  • 特開-サスペンション支持構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003415
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】サスペンション支持構造
(51)【国際特許分類】
   B60G 11/16 20060101AFI20240105BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
B60G11/16
B62D25/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102537
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 恒生
(72)【発明者】
【氏名】関根 貴弘
【テーマコード(参考)】
3D203
3D301
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BC14
3D203CA62
3D203CB09
3D203DA72
3D301AA76
3D301CA09
3D301DA08
3D301DA33
3D301DB17
(57)【要約】
【課題】本明細書は、サスペンションタワーの振動ノイズを抑える技術を提供する。
【解決手段】本明細書が開示するサスペンション支持構造は、放射状に延びる複数のビードが形成されている上板を備えているサスペンションタワーと、上板の下に位置しており、サスペンションの上端を支えるアッパ-マウントを備える。アッパ-マウントの上面には複数の突起が設けられており、それぞれの突起が隣り合うビードの間で上板の下面に当接している。アッパ-マウントの上面の全体が上板に接触する場合と比較して、突起を上板に接触させることで、サスペンションタワーの上板とアッパーマウントの間の接触面圧が高くなり、上板を介してサスペンションタワー全体から発せられるノイズが抑えられる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のサスペンション構造であって、
放射状に延びる複数のビードが形成されている上板を備えているサスペンションタワーと、
前記上板の下に配置されており、サスペンションの上端を支えるアッパ-マウントと、
を備えており、
前記アッパ-マウントの上面に複数の突起が設けられており、それぞれの前記突起は隣り合う前記ビードの間で前記上板の下面に当接している、サスペンション支持構造。
【請求項2】
複数の前記突起が円弧状に分布している、請求項1に記載のサスペンション支持構造。
【請求項3】
隣り合う前記ビードの間に一対の前記突起が配置されている、請求項1または2に記載のサスペンション支持構造。
【請求項4】
前記アッパーマウントは、前記上板を貫通して上方へ延びている複数のボルトを備えており、
前記アッパーマウントは前記ボルトで前記上板に固定されており、
前記上板には、隣り合う前記ビードの間に前記突起は位置しているが前記ボルトが位置していない突起エリアと、隣り合う前記ビードの間に前記突起は位置していないが前記ボルトが位置しているボルトエリアが交互に並んでいる、請求項1または2に記載のサスペンション構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、サスペンションを支持する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体では、タイヤを支えるサスペンションがサスペンションタワーの内部に配置される。サスペンションタワーの上板の下にアッパ-マウントが配置されており、そのアッパ-マウントがサスペンションの上端を支える。アッパーマウントは上板の下面に接する。例えば特許文献1に、そのような構造の一例が開示されている。特許文献1に開示された構造では、サスペンションタワーの上板には放射状に延びる複数のビードが設けられている。サスペンションタワーの上板はアッパーマウントとサスペンションを介してタイヤからから強い繰り返し荷重を受ける。複数のビードは上板の強度を高める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-93510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先に述べたように、サスペンションタワーの上板はアッパーマウントとサスペンションを介してタイヤからから強い繰り返し荷重を受ける。繰り返し荷重はサスペンションタワーの上板を振動させる。サスペンションタワーの上板の振動はサスペンションタワー全体に伝わり、ノイズとなる。本明細書は、サスペンションタワーの振動ノイズを抑える技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する技術の第1の態様では、サスペンション支持構造が、放射状に延びる複数のビードが形成されている上板を備えているサスペンションタワーと、上板の下に位置しており、サスペンションの上端を支えるアッパ-マウントを備える。アッパ-マウントの上面には複数の突起が設けられており、それぞれの突起が隣り合うビードの間で上板の下面に当接している。サスペンションタワーの上板とアッパ-マウントの接触面圧が低いと上板の振動ノイズが大きくなることがわかった。そこで、本明細書が開示するサスペンション構造では、アッパーマウントの上面に複数の突起を設け、その突起をサスペンションタワーの上板の下面に接触させる。アッパ-マウントの上面の全体が上板に接触する場合と比較して、突起を上板に接触させることで、サスペンションタワーの上板とアッパーマウントの間の接触面圧が高くなり、上板を介してサスペンションタワー全体から発せられるノイズが抑えられる。
【0006】
本明細書が開示する技術の第2の態様では、第1の態様において、複数の突起が円弧状に分布しているとよい。アッパーマウントとサスペンションタワーの上板との間に安定した接触状態を維持することができる。
【0007】
本明細書が開示する技術の第3の態様では、第1と第2の態様において、隣り合うビードの間に一対の突起が配置されていてもよい。アッパーマウントとサスペンションタワーの上板と接触状態がより一層安定する。
【0008】
本明細書が開示する技術の第4の態様では、第1と第2と第3の態様において、アッパーマウントは、上板を貫通して上方へ延びている複数のボルトを備えており、アッパーマウントはボルトで上板に固定されており、上板には、隣り合うビードの間に突起は位置しているがボルトが位置していない突起エリアと、隣り合うビードの間に突起は位置していないがボルトが位置しているボルトエリアが交互に並んでいてもよい。すなわち、突起とボルトがビードで隔てられる。アッパーマウントの振動荷重は突起とボルトを介して上板に伝わる。突起とボルトがビードで隔てられることで、上板に集中荷重が加わる箇所(突起とボルト)が分散する。
【0009】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】車体前部の平面図である。
図2】サスペンションタワー上部とアッパーマウントの斜視図である。
図3】サスペンションタワーの近傍の平面図である。
図4図3のIV-IV線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して実施例のサスペンション構造について説明する。図1は、車体2の前部の平面図である。図1では、エンジンルーム3を覆うボンネット(エンジンフード)の図示は省略した。車体2の前部の左右にタイヤホイール5が配置されており、それぞれのタイヤホイール5の上にサスペンションタワー6が設けられている。サスペンションタワー6の上板10に、下側からアッパーマウント20が取り付けられている。
【0012】
図2に、サスペンションタワー6の上部とアッパーマウントの斜視図を示し、図3に、サスペンションタワー6の近傍の平面図を示す。図2では、理解を助けるために、アッパーマウント20をサスペンションタワー6の下方に描いてある。図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。図4に示すように、サスペンションタワー6の内側にサスペンション30(ダンパ31とサスペンションコイル32)が配置される。アッパーマウント20は、サスペンション30の上端を支える円板形状の部品である。アッパーマウント20は、サスペンションタワー6の上板10の下面に当接する。アッパーマウント20の中央には、ボス22が設けられており、ボスがダンパ31の上端と嵌合する。ボス22は、サスペンションタワー6の上板10の中央に設けられた貫通孔11から上へ突出している。
【0013】
アッパーマウント20の上面からは3本のボルト24が上方へ向けて延びている。アッパーマウント20は、ボルト24とナット25によって上板10に固定されている。
【0014】
アッパーマウント20の上面には複数の突起23が設けられており、図4に示されているように、突起23が上板10の下面に接している。突起23の周囲では、アッパーマウント20と上板10の間に隙間Gが確保されている。
【0015】
アッパーマウント20の突起23が上板10の下面に接しており、突起23の周囲ではアッパーマウント20と上板10の間に隙間Gが設けられている構造の利点を説明する。
【0016】
サスペンション30はタイヤを支える部品である。サスペンションタワー6の上板10はアッパーマウント20とサスペンション30を介してタイヤからから強い繰り返し荷重を受ける。繰り返し荷重はサスペンションタワー6の上板10を振動させる。サスペンションタワー6の上板10の振動はサスペンションタワー6の全体に伝わり、ノイズとなる。
【0017】
上板10とアッパーマウント20の接触面圧が低いと上板10の振動がサスペンションタワー6の全体に伝わり易くなり、ノイズが大きくなる。そこで、アッパーマウント20の上面に突起23を設け、突起23が上板10の下面に接し、突起23の周囲ではアッパーマウント20と上板10の間に隙間Gを設ける。突起23と上板10の間の面圧が高くなるため、上板を介してサスペンションタワー全体から発せられるノイズが抑えられる。
【0018】
また、上板10の剛性が低いと振動が大きくなる。そこで、上板10の上面には、上板10の中央から放射状に延びる複数のビード12が設けられている。ビードとは、板(上板10)に設けられた中空の凸条である。上板10の上面に放射状のビード12を設けることで、上板10の剛性が高まる。なお、上板10には放射状に延びる6本のビード12a-12fが設けられているが、複数のビードを区別なく表すときにはビード12と総称する。
【0019】
ビード12によって上板10の剛性を高め、突起23によってアッパーマウント20と上板10の間の接触面圧を高めることで、サスペンションタワー6が発するノイズが抑えられる。
【0020】
サスペンション支持構造をさらに詳しく説明する。図3の平面図によく示されているように、複数の突起23は、円弧に沿って配置されている。複数の突起23を円弧に沿って配置することで、上板10に対してアッパーマウント20が安定して接触する。
【0021】
また、図2図3に示されているように、上板10には、放射状に延びる6本のビード12a-12fが設けられている。突起23は、隣り合うビード12の間に位置している。また、一対の隣り合うビード12の間に、2個の突起23が設けられている。6本のビード12が放射状に配置されていることで、上板10には6個のビード間エリア13が形成されている。ビード間エリア13とは、隣り合うビード12の間のエリアを意味する。
【0022】
突起23は、ビード間エリア13a、13c、13eに位置しており、ビード間エリア13b、13d、13fには配置されていない。一方、ビード間エリア13b、13d、13fには、ボルト孔14が設けられており、ボルト孔14にアッパーマウント20のボルト24が通過する。アッパーマウント20は、ビード間エリア13b、13d、13fにて、ボルト24とナット25で上板10に固定される。
【0023】
ビード間エリア13a、13c、13eには、突起23は位置しているがボルト24は位置していない。ビード間エリア13b、13d、13fには、ボルト24が位置しているが突起23は位置していない。別言すれば、突起23は位置しているがボルト24は位置していないビード間エリアと、ボルト24は位置しているが突起23は位置していないビード間エリアが交互に並んでいる。
【0024】
上記の構造により、上板10にて、突起23とボルト24はビード12で隔てられる。アッパーマウント20の振動荷重は突起23とボルト24を介して上板に伝わる。突起23とボルト24がビード12で隔てられることで、上板10に集中荷重が加わる箇所(突起23とボルト24)が分散する。
【0025】
突起23は、隣り合うビード12の中間に位置する。突起23が隣り合うビード12の中間に位置することも、アッパーマウント20が上板10に安定して接触することに貢献する。
【0026】
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。突起23の数は、複数であればいくつでもよい。隣り合うビードの間に1個の突起23が配置されるだけでもよい。ビードの数も、複数であればいくつでもよい。
【0027】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0028】
2:車体 3:エンジンルーム 5:タイヤホイール 6:サスペンションタワー 10:上板 11:貫通孔 12、12a-12f:ビード 13、13a-13f:ビード間エリア 14:ボルト孔 20:アッパーマウント 22:ボス 23:突起 24:ボルト 25:ナット 30:サスペンション 31:ダンパ 32:サスペンションコイル
図1
図2
図3
図4