(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034159
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】枕
(51)【国際特許分類】
A47G 9/10 20060101AFI20240306BHJP
A61H 39/04 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A47G9/10 T
A61H39/04 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138220
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】394000437
【氏名又は名称】ナオ・シング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085110
【弁理士】
【氏名又は名称】千明 武
(72)【発明者】
【氏名】直里 達也
【テーマコード(参考)】
3B102
4C101
【Fターム(参考)】
3B102AA01
3B102AB07
3B102AC01
4C101BB11
4C101BC15
4C101BE01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡単な構成によって安価かつ容易に製作できるとともに、良好な通気性を得られ、しかも頭皮や毛髪を刺激する多数の突起を容易かつ揺動自在に装着し、快適な就眠状態を得られる枕を提供する。
【解決手段】枕本体1の上部に合成樹脂製の多数のコンタクトピン6を突設した支持板3を配置し、前記コンタクトピン6の先端部を介し枕に載置した使用者12の頭部12aの頭皮や毛髪を押圧し刺激可能にした枕であり、支持板3に直杆状のコンタクトピン6を起倒ないし揺動可能に立設し、隣接するコンタクトピン6の前後左右の間隔を幅広に形成する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枕本体の上部に合成樹脂製の多数のコンタクトピンを突設した支持板を配置し、前記コンタクトピンの先端部を介し枕に載置した使用者の頭部の頭皮や毛髪を押圧し刺激可能にした枕において、前記支持板に直杆状のコンタクトピンを起倒ないし揺動可能に立設し、隣接するコンタクトピンの前後左右の間隔を幅広に形成したことを特徴とする枕。
【請求項2】
前記支持板に多数の通孔を離間して形成し、隣接する通孔の間隔を幅広に形成とともに、該通孔にコンタクトピンを挿入して立設した請求項1記載の枕。
【請求項3】
多数のコンタクトピンを立設した支持板を枕本体の上面に接着若しくは熱溶着または粘着テープで貼り付けた請求項1記載の枕。
【請求項4】
前記コンタクトピンの一端に略茸形のピンデスクを一体成形し、他端に略縦長球状のピントップ一体成形し、前記ピンデスクを枕本体中に埋設し、その上端部を支持板の下面に係合可能に配置した請求項1記載の枕。
【請求項5】
前記コンタクトピンのピンデスクの直上に、略円錐形のストッパを一体成形し、該ストッパとピンデスクの間に支持板を保持可能にした請求項4記載の枕。
【請求項6】
前記支持板にその板厚の約5~20倍長のコンタクトピンを立設した請求項4記載の枕
【請求項7】
直杆状の多数のコンタクトピンを突設した支持板を小形かつ複数形成し、この支持板を枕本体の上部に密接または離間して配置した請求項1記載の枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単な構成によって安価かつ容易に製作できるとともに、良好な通気性を得られ、しかも頭皮や毛髪を刺激する多数の突起を容易かつ揺動自在に装着し、快適な就眠状態を得られる枕に関する。
【背景技術】
【0002】
頭部載置面に多数の突起を設け、頭皮や毛髪を刺激するようにした枕が種々提案されている。
例えば、外側面を凹凸状に形成した中空の筒体の表面に多数の突起を突設し、この突起の間に複数の通気孔を形成した覆皮を被覆するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この枕は覆皮を筒体の凹凸状の表面に安定して被覆することが難しく、多数の突起が異方向に絡み合って頭皮や毛髪の刺激効果が減殺され、また筒体の凹部に突起が位置すると突起が沈み込んで、突起による均一な刺激効果を得られず、しかも通気孔の形成が難しいという問題があった。
【0003】
また、枕本体の一側面にソフト面を設け、その他側面にハード面を設け、ソフト面に粗大ウレタン素材からなる複数の突起を設け、ハード面にウレタンチップモールド素材からなる複数の突起を設けたものがある(例えば、特許文献2参照)。
しかし、この枕は枕本体にソフト面とハード面の製作を要するため、構成が複雑で製作が難しくなるとともに、突起の表面積が概して大きく高さが低いため、突起による頭皮や毛髪の刺激効果が乏しいという問題があった。
【0004】
更に、他の枕として、枕カバーの片面の中央に窓部を設け、この窓部の下面に当て布を当てて3辺縁を縫着し、枕カバーと当て布との間に合成樹脂板を挿入し、該合成樹脂板の上面に皮膚を刺激する複数の柔らかな突起を設け、その適宜位置に通気孔を形成したものがある(例えば、特許文献3参照)。
しかし、この枕は構造が複雑で部品点数が多く、製作が難しい上に突起が柔らかいため、突起による頭皮や毛髪の刺激効果が乏しいという問題があった。
【0005】
この他、この種の枕として、自動車のヘッドレストの湾曲表面に複数の突起を突設した突起カバーを被せ、この突起の外側に保護シートを被覆したものがある(例えば、特許文献4参照)。
しかし、この枕は、突起カバーに突起を一体形成しているため製作が難しく、しかも突起が概して柔らかいため、突起による頭皮や毛髪の刺激効果が乏しいという問題があった
更に、この他の枕として、柔軟な合成樹脂を半円形断面に成形し、その湾曲した頭部載置部の表面に半球状の多数の突起を設けたものがある(例えば、特許文献5参照)。
しかし、この枕は、突起が半球状に形成され、その突出高さが低いため、突起による頭皮や毛髪の刺激効果が乏しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-84646号公報
【特許文献2】登録実用新案第3046159号公報
【特許文献3】実開昭57-154372号公報
【特許文献4】意匠登録第581685号公報
【特許文献5】意匠登録第1547984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような問題を解決し、簡単な構成によって安価かつ容易に製作できるとともに、良好な通気性を得られ、しかも頭皮や毛髪を刺激する多数の突起を容易かつ揺動自在に装着し、快適な就眠状態を得られる枕を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、枕本体の上部に合成樹脂製の多数のコンタクトピンを突設した支持板を配置し、前記コンタクトピンの先端部を介し枕に載置した使用者の頭部の頭皮や毛髪を押圧し刺激可能にした枕において、前記支持板に直杆状のコンタクトピンを起倒ないし揺動可能に立設し、隣接するコンタクトピンの前後左右の間隔を幅広に形成し、コンタクトピンの強度を向上し、使用時における頭部の座屈荷重に安定して堪えられ、頭部の位置や変位に応じてコンタクトピンを安定して保持し、頭皮や毛髪に安定かつ一様な刺激効果を付与し得るともに、隣接するコンタクトピンの前後左右の間隔を幅広に形成して通気性を向上し、従来の通気孔の形成をなくして構成を簡潔にし、枕を容易かつ安価に製作し得るようにしている。
請求項2の発明は、支持板に多数の通孔を離間して形成し、隣接する通孔の間隔を幅広に形成とともに、該通孔にコンタクトピンを挿入して立設し、支持板に多数のコンタクトピンを一体成形する場合に比べて、コンタクトピンの強度を向上し、その先端部による頭皮や毛髪に対する刺激効果を向上し得るとともに、コンタクトピンの形状寸法の自由度を得られ、多様なコンタクトピンを得られるようにしている。
請求項3の発明は、多数のコンタクトピンを立設した支持板を枕本体の上面に接着若しくは熱溶着または粘着テープで貼り付け、枕本体と支持板とコンタクトピンを一体的に装着するようにしている。
【0009】
請求項4の発明は、コンタクトピンの一端に略茸形のピンデスクを一体成形し、他端に略縦長球状のピントップを一体成形し、前記ピンデスクを枕本体中に埋設し、その上端部を支持板の下面に係合可能に配置し、ピンデスクを枕本体中にアンカ-部材として機能させ、ピンデスクの安定した揺動ないし起倒作動を促すとともに、ピントップによる頭皮や毛髪に対する安定した刺激効果を得られるにようにしている。
請求項5の発明は、コンタクトピンのピンデスクの直上に、略円錐形のストッパを一体成形し、該ストッパとピンデスクの間に支持板を保持可能にし、コンタクトピンの強度を補強するとともに、支持板を安定して保持し得るようにしている。
請求項6の発明は、支持板にその板厚の約5~20倍長のコンタクトピンを立設し、コンタクトピンによる種々の弾性効果を得られるとともに、毛髪の多少に容易に対応し得るようにしている。
請求項7の発明は、直杆状の多数のコンタクトピンを突設した支持板を小形かつ複数形成し、この支持板を枕本体の上部に密接または離間して配置し、1枚構成の支持板に比べて支持板を容易かつ安価に製作できるとともに、複数の支持板が使用者の頭部の位置や移動に応じて個々に上下動ないし揺動し、これにコンタクトピンが個々に変位してピントップが同動し、使用者の頭皮や毛髪の要所に精密かつきめ細かく接触し、きめ細かに刺激し得るようにしている。
そして、経年使用により一の支持板が使用し得なくなった場合は、例えば当該支持板を取外し、新たな支持板に取り替えて取付けることで、長期に亘って一様な使用状態を得られるようにしている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明は、支持板に直杆状のコンタクトピンを起倒ないし揺動可能に立設し、隣接するコンタクトピンの前後左右の間隔を幅広に形成したから、コンタクトピンの強度を向上し、頭部の座屈荷重に安定して堪えられるとともに、頭部の位置や変位に応じてコンタクトピンを安定して保持し、頭皮や毛髪に安定かつ一様な刺激効果を付与できるとともに、隣接するコンタクトピンの前後左右の間隔を幅広に形成して通気性を向上し、従来の通気孔の形成をなくして構成を簡潔にし、枕を容易かつ安価に製作することができる。
請求項2の発明は、支持板に多数の通孔を離間して形成し、隣接する通孔の間隔を幅広に形成するとともに、該通孔にコンタクトピンを挿入して立設し、支持板に多数のコンタクトピンを一体成形する場合に比べて、コンタクトピンの強度を向上し、その先端部による頭皮や毛髪に対する刺激効果を向上し得るとともに、コンタクトピンの形状寸法の自由度を得られ、多様なコンタクトピンを得られる効果がある。
請求項3の発明は、多数のコンタクトピンを立設した支持板を枕本体の上面に接着若しくは熱溶着または粘着テープで貼り付けたから、枕本体と支持板とコンタクトピンを一体的に装着することができる。
【0011】
請求項4の発明は、コンタクトピンの一端に略茸形のピンデスクを一体成形し、他端に略縦長球状のピントップを一体成形し、ピンデスクを枕本体中に埋設し、その上端部を支持板の下面に係合可能に配置したから、ピンデスクを枕本体中にアンカ-部材として機能させ、ピンデスクの安定した揺動ないし起倒作動を促せるとともに、ピントップによる頭皮や毛髪に対する安定した刺激効果を得ることができる。
請求項5の発明は、コンタクトピンのピンデスクの直上に、略円錐形のストッパを一体成形し、該ストッパとピンデスクの間に支持板を保持可能にしたから、コンタクトピンの強度を補強できるとともに、支持板を安定して保持することができる。
請求項6の発明は、支持板にその板厚の約5~20倍長のコンタクトピンを立設し、コンタクトピンによる種々の弾性効果を得られるとともに、毛髪の多少に容易に対応することができる。
請求項7の発明は、直杆状の多数のコンタクトピンを突設した支持板を小形かつ複数形成し、この支持板を枕本体の上部に密接または離間して配置したから、1枚構成の支持板に比べて支持板を容易かつ安価に製作できるとともに、複数の支持板が使用者の頭部の位置や移動に応じて個々に上下動ないし揺動し、これにコンタクトピンが個々に変位してピントップが同動し、使用者の頭皮や毛髪の要所に精密かつきめ細かく接触し、きめ細かに刺激することができる。
そして、経年使用により一の支持板が使用し得なくなった場合は、例えば当該支持板を取外し、新たな支持板に取り替えて取付けることで、長期に亘って一様な使用状態を得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態を分解して示す斜視図である。
【
図2】本発明の要部を拡大して示す斜視図で、支持板に形成した多数の通孔にコンタクトピンを挿入して立設した状況を示している。
【
図3】本発明の要部を拡大して示す斜視図で、支持板に形成した多数の通孔にコンタクトピンを挿入する状況を示している。
【
図4】本発明の要部を拡大して示す断面図で、支持板の通孔にコンタクトピンを挿入して立設した状況を示している。
【0013】
【
図5】本発明の要部を拡大して示す斜視図で、支持板に形成した多数の通孔にコンタクトピンを挿入した状況を示している。
【
図6】本発明の要部を拡大して示す断面図で、支持板に形成した多数の通孔にコンタクトピンを挿入して立設し、コンタクトピンの外側に保護布と枕カバーを配置した状況を示している。
【0014】
【
図7】本発明の使用状態を拡大して示す断面図で、枕の上面に使用者の頭部を載置している状況を示している。
【
図8】本発明の要部を拡大して示す断面図で、枕の載置部上面から頭部の載置を解除し、コンタクトピンが揺動若しくは圧潰状態から解放されて立設状態を回復した状況を示している。
【
図9】本発明の他の実施形態を示す斜視図で、支持板を小形かつ複数形成し、この支持板を枕の上部に密着または離間して配置している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を適用した図示の実施形態について説明すると、
図1乃至
図8において1は発泡ポリウレタン製の柔軟な枕本体で略横長矩形に形成され、その上面に例えば平坦な頭部載置面1aを形成している。
前記頭部載置面1aに該載置面1aと略同形同大または若干小形の薄厚のゴムまたは合成樹脂製の支持板3が接着され、該支持板3の厚さは実施形態の場合、0.5~2mmに形成されている 図中、4はその接着層である。この場合、支持板を接着する代わりに、枕本体1の上面に支持板3を熱溶着または粘着テープで貼り付けることも可能である。
【0016】
前記支持板3に多数の通孔5が縦横斜めに形成され、該通孔5に合成樹脂製の直杆状のコンタクトピン6が下方から差し込まれ、起倒かつ揺動可能に立設されている。
前記コンタクトピン6は弾性を有する小径の棒状に形成され、その長さは実施形態の場合、21mm、太さは1mmに形成され、その下端部に扁平な茸形のピンデスク7が一体成形され、該ピンデスク7を基点に起倒かつ揺動可能に支持されている。
前記コンタクトピン6の上端部にピントップ8が突設され、該ピントップ8を介して頭皮や毛髪を押圧可能にしている。前記ピントップ8は後述する防護布および枕カバーに接触可能に配置され、それらからの突出を阻止して使用者12の眼球への接触ないし挿入事故を防止可能にしている。12aは使用者12の頭部である。
【0017】
前記ピンデスク7の直上に略円錐形のストッパ9が一体成形され、該ストッパ9は通孔5に圧入可能にされ、その下端部とピンデスク7の間に支持板3を保持可能にしている。
図中、dは縦横に隣接するコンタクトピン6相互の間隔で、実施形態では6~7mmの幅広に形成されている。
この他、10は前述した防護布で、メリヤス地によって伸縮可能に形成され、11は布製の枕カバーで袋状に形成され、13は敷布団で、その上面に本発明の枕が載置される。
【0018】
このように構成した実施形態の枕を製作する場合は、発泡ポリウレタンによって枕本体1を樹脂成形する。この場合、実施形態の枕本体1は頭部載置1a側の上面を平坦に形成しているが、枕本体1の長さ方向に二つの山形部を離間して平行に形成し、その間に頭部を載置する鞍部を形成することも可能である。
次に支持板3を製作する。支持板3は、適宜大の薄厚のゴムまたは合成樹脂板を使用し、これを枕本体1と同形または小さめに裁断し、その表面に例えばプレス機を用いて多数の通孔5を等間隔に形成する。
【0019】
一方、支持板3の製作と前後してコンタクトピン6を製作する。コンタクトピン6は一組の金型を使用し、その成形溝に溶解した合成樹脂を流し込み、小径の棒状のピン6を成形し、その両端部にピンデスク7とピントップ8を成形し、ピンデスク7の近接位置にストッパ9を一体成形する。この場合、隣接する通孔5の間隔は、前述のように従来のものに比べて幅広に形成されている。
【0020】
そして、コンタクトピン6を製作後、該ピン6を支持板3の裏面から通孔5に圧入する その場合、先ずピントップ8を通孔5に圧入して貫通し、この後、ピントップ8に同動してストッパ9を通孔5に挿入し、ストッパ9の下端部とピンデスク7の上端部との間に支持板3を保持する。この状況は
図2~4のようである。
【0021】
こうして、各通孔5にコンタクトピン6を挿入すると、多数のコンタクトピン6が支持板3上に林立して立設される。この平面状況は
図5のようである。
【0022】
この後、枕本体1の上面に接着剤を塗布し、その接着面に多数のコンタクトピン6を立設した支持板3の下面を押し付け、枕本体1の上面に支持板3を接着する。
この場合、支持板を接着する代わりに、枕本体1の上面に支持板3を熱溶着または粘着テープで貼り付けることも可能である。
枕本体1の上面に支持板3を接着後は、コンタクトピン6の下端部のピンデスク7が枕本体1中に押し込まれてアンカ-部材として機能し、その上端部が支持板3の下面と係合して、コンタクトピン6の上方への離脱ないし抜けが阻止され、またストッパ9の下面が枕本体1の上面に係合して、支持板3の浮き上がりを阻止する。
【0023】
この後、支持板3に立設された多数のコンタクトピン6のピントップ8上に防護布10が被せられ、この状態で袋状の枕カバー11に収納し、そのスライドファスナー(図示略)を閉操作して収容される。
【0024】
このように本発明の枕は、隣接するコンタクトピン6の間隔dが従来に比べて約1.5~2倍幅広であるから、通気性が良好で従来のようにコンタクトピン6の間に通気孔を設ける必要がなく、その分構成が簡潔になって容易かつ安価に製作し得る。
【0025】
こうして枕カバー11に収納された支持板3と多数のコンタクトピン6は、枕カバー11に隠蔽され、該枕カバー11の上面はコンタクトピン6のピントップ8上に沿って略平面状態に置かれ、コンタクトピン6の突出高さ分、高枕状に形成される。この状況は
図7のようである。
このような枕を使用する場合は、コンタクトピン6を上方に配置して枕を敷布団1上に載置し、該枕の上面に使用者12の頭部12aを載置する。
【0026】
このため、使用者12の頭部12aの重さによって、枕が枕本体1の弾性に抗して押し下げられ、同時にコンタクトピン6のピントップ8が使用者12の頭皮や毛髪に間接的に接触する。
その際、頭部12aの形状と位置によって、枕本体1の沈み込みが区々になるため、枕本体1の上面が凹状に湾曲し、これに支持板3が同動してコンタクトピン6が揺動ないし起倒変位する。そして、コンタクトピン6が弾性に抗して、頭部12aの重量に押し曲げられ、若しくは押し倒される。
【0027】
すなわち、コンタクトピン6は
図4の直立姿勢から左右へ揺動し、ピントップ8の上下位置が変化する。このようなコンタクトピン6の挙動は、ピンデスク7を基点に形成され、かつ通孔5とコンタクトピン6との裕度によって許容される。
その際、ピンデスク7は枕本体1中に埋め込まれてアンカー部材として機能し、コンタクトピン6を抜け止めするとともに、ストッパ9が支持板3に係合して、コンタクトピン6の安定した動作を形成する。
【0028】
そして、コンタクトピン6の挙動によってピントップ8の上下位置が変化し、その変位が保護布10と枕カバー11を通じて、直上の頭部12aや毛髪の間に接触ないし進入して、頭皮や毛髪を押圧し快適な刺激を惹起する。
【0029】
この場合、コンタクトピン6は従来のような毛髪状のピンに比べて大径で直杆状であり、その下部にストッパ9が形成されて補強され、また下端部と下部をピンデスク7とストッパ9で安定して支持されているから、十分な強度を得られ、頭部12aの重量による座屈荷重によって折損したり変形する惧れがない。
したがって、コンタクトピン6は直上に頭部12aの重量を受けても湾曲したり折損せず、略直杆状の姿勢を維持して頭皮や毛髪を押圧し、所期のいわゆる指圧効果を奏する。
【0030】
なお、使用者12が寝姿勢を変え、または寝返りをすると、頭部12aの位置が変わるが、その位置変化によって枕本体1が変位し、これに支持板3が同動してコンタクトピン6が揺動ないし起倒変位し、前述と同様にコンタクトピン6が直立姿勢から左右へ揺動し、ピントップ8の上下位置が変化し、ピントップ8による頭皮や毛髪の押圧作用と刺激を得られる。
【0031】
一方、使用者12が起床し、頭部12aが枕から離れると、枕本体1が頭部12aの重さから解放され、弾性により原状を回復し、これに支持板3とコンタクトピン6が同動して、ピントップ8による使用者12の頭皮や毛髪の押圧を解消する。
その際、枕本体1の位置変化や上動変位によって、支持板3が上下動かつ揺動変位し、これにコンタクトピン6が同動して押圧姿勢を解除し、その弾性により起き上がって原状を回復する。
【0032】
図9は本発明の他の実施形態を示す斜視図で、枕本体1の上面に単一の支持板3を取付ける代わりに、支持板3より小形の複数の支持板14を形成し、これらの支持板14を前述と同様に、枕本体1の上面に接着し、若しくは熱溶着または粘着テープで貼り付け取付け、複数の支持板14を略密着配置し、または適当な間隔を設けて配置する。
【0033】
このように構成することで、1枚構成の支持板14に比べて支持板14を容易かつ安価に製作でき、また複数の支持板14が使用者12の頭部12aの位置に応じて個々に上下動ないし揺動し、これにコンタクトピン6が個々に変位してピントップ8が同動し、使用者12の頭皮や毛髪の要所に精密かつきめ細かく接触し、きめ細かに刺激する。
なお、使用により一の支持板14が損傷し使用し得なくなった場合は、当該支持板14を取外し、新たな支持板14に取り替えて取付ければ、長期に亘る使用が可能になる。
【0034】
このように本発明の枕は、枕本体の上部に合成樹脂製の多数のコンタクトピンを突設した支持板を配置し、該コンタクトピンの先端部を介し枕に載置した使用者の頭部の頭皮や毛髪を押圧し刺激可能にした枕において、支持板に直杆状のコンタクトピンを起倒ないし揺動可能に立設し、また隣接するコンタクトピンの前後左右の間隔を幅広に形成し、コンタクトピンの強度を向上し、頭部の座屈荷重に安定して堪えられ、頭部の位置や変位に応じてコンタクトピンを安定して保持し、頭皮や毛髪に安定かつ一様な刺激効果を付与し得るともに、隣接するコンタクトピンの前後左右の間隔を幅広に形成して通気性を向上し、従来の通気孔をなくして構成を簡潔にし、枕を容易かつ安価に製作し得るようにしたものである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
このように本発明の枕は、コンタクトピンの強度を向上し、頭部の座屈荷重に安定して堪えられるとともに、頭部の位置や変位に応じてコンタクトピンを安定して保持し、頭皮や毛髪に安定かつ一様な刺激効果を与えられるとともに、隣接するコンタクトピンの前後左右の間隔を幅広に形成して通気性を向上し、従来の通気孔をなくして構成を簡潔にし、枕を容易かつ安価に製作することができるようにしている。
【符号の説明】
【0036】
1 枕本体
3 支持板
5 通孔
6 コンタクトピン
7 ピンデスク
8 ピントップ
9 ストッパ
12 使用者
12a 頭部
14 支持板