(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034175
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】可搬型集塵装置
(51)【国際特許分類】
B22D 43/00 20060101AFI20240306BHJP
B65G 69/18 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B22D43/00 F
B65G69/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138248
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100171583
【弁理士】
【氏名又は名称】梅景 篤
(72)【発明者】
【氏名】安井 浩
(72)【発明者】
【氏名】須山 健児
(72)【発明者】
【氏名】奥村 亮
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇
(72)【発明者】
【氏名】大木 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】林 由幸
【テーマコード(参考)】
3F078
【Fターム(参考)】
3F078AA04
3F078BB27
3F078EA18
(57)【要約】
【課題】搬送効率を向上可能な可搬型集塵装置を提供すること。
【解決手段】可搬型集塵装置3は、搬送装置2に搭載可能な集塵装置であって、搬送装置2により搬送される取鍋1を覆う鍋蓋6であって、取鍋1内において発生した粉塵を含むガスが流入する流入口とガスを排出する排出口とが設けられた鍋蓋6と、排出口から排出されたガスに含まれる粉塵を集塵する集塵機7と、を備え、集塵機7は、筐体71と、筐体71に収容されている集塵フィルタと、筐体71に設けられ、可搬型集塵装置3の外部に設けられた除塵装置4を接続するための除塵ノズル81と、集塵フィルタの上方に設けられ、除塵ノズル81を介して除塵装置4から供給されたエアーを集塵フィルタに向けて噴出するための供給管と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置に搭載可能な可搬型集塵装置であって、
前記搬送装置により搬送される取鍋を覆う鍋蓋であって、前記取鍋内において発生した粉塵を含むガスが流入する流入口と前記ガスを排出する排出口とが設けられた鍋蓋と、
前記排出口から排出された前記ガスに含まれる粉塵を集塵する集塵機と、
を備え、
前記集塵機は、
筐体と、
前記筐体に収容されている集塵フィルタと、
前記筐体に設けられ、前記可搬型集塵装置の外部に設けられた除塵装置を接続するための除塵ノズルと、
前記集塵フィルタの上方に設けられ、前記除塵ノズルを介して前記除塵装置から供給されたエアーを前記集塵フィルタに向けて噴出するための供給管と、
を備える、可搬型集塵装置。
【請求項2】
前記筐体は、前記集塵フィルタの下方に設けられ、前記集塵フィルタから払い落された粉塵を受ける回収空間を含み、
前記集塵機は、前記可搬型集塵装置の外部に設けられた集塵装置であって、前記回収空間から前記粉塵を集塵する集塵装置を接続するための集塵ノズルを更に備える、請求項1に記載の可搬型集塵装置。
【請求項3】
前記排出口から排出された前記ガスに外気を混入することで、前記ガスを冷却する冷却機構を更に備え、
前記鍋蓋は、前記排出口を囲むように設けられた排出フランジを含み、
前記筐体には、前記排出口から排出された前記ガスを吸入する吸入口が設けられ、
前記筐体は、前記吸入口を囲むように設けられた吸入フランジを含み、
前記冷却機構は、前記排出フランジと前記吸入フランジとの間に設けられた隙間により構成される外気導入機構を含む、請求項1又は請求項2に記載の可搬型集塵装置。
【請求項4】
前記集塵機は、前記集塵フィルタと前記吸入口との間に設けられ、前記集塵フィルタから前記吸入口に向かう気流を遮断する逆流防止弁を更に備える、請求項3に記載の可搬型集塵装置。
【請求項5】
前記集塵機は、前記除塵装置の動作の際に前記吸入口を塞ぐ閉塞部材を更に備える、請求項3に記載の可搬型集塵装置。
【請求項6】
前記集塵機は、消火剤を投入するための消火ノズルを備える、請求項1又は請求項2に記載の可搬型集塵装置。
【請求項7】
前記搬送装置に搭載され、前記集塵機を動作させるためのバッテリを更に備える、請求項1又は請求項2に記載の可搬型集塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可搬型集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、溶湯が入った取鍋を搬送する際に溶湯から発生した粉塵を集塵するため、搬送装置に集塵機を搭載することが記載されている。特許文献1に記載の集塵機においては、溶湯が入った取鍋が搬送されている間、吸引フードの吸引口が取鍋に向けられ、溶湯から発生した粉塵を含むガスが吸引フードを介して吸引される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の集塵機では、吸引フードが取鍋に向けられていない間、ダスト払落し処理を行うためにパルスジェットの噴出制御が行われており、集塵機が払落し(除塵)機能を有している。搬送装置の搬送効率(燃費)を向上させるために、搬送装置に搭載される集塵装置には、軽量化が望まれている。本開示は、搬送効率を向上可能な可搬型集塵装置を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る可搬型集塵装置は、搬送装置に搭載可能な集塵装置である。可搬型集塵装置は、搬送装置により搬送される取鍋を覆う鍋蓋であって、取鍋内において発生した粉塵を含むガスが流入する流入口とガスを排出する排出口とが設けられた鍋蓋と、排出口から排出されたガスに含まれる粉塵を集塵する集塵機と、を備える。集塵機は、筐体と、筐体に収容されている集塵フィルタと、筐体に設けられ、可搬型集塵装置の外部に設けられた除塵装置を接続するための除塵ノズルと、集塵フィルタの上方に設けられ、除塵ノズルを介して除塵装置から供給されたエアーを集塵フィルタに向けて噴出するための供給管と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示の各側面及び各実施の形態によれば、搬送効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施の形態に係る可搬型集塵装置を含む搬送システムを概略的に示す構成図である。
【
図6】
図6は、集塵動作の際の逆流防止弁を示す図である。
【
図7】
図7は、除塵動作の際の逆流防止弁を示す図である。
【
図8】
図8は、
図1に示される取鍋に鍋蓋を被せる工程を説明するための図である。
【
図9】
図9は、ブレイクフランジ及び外気導入ダンパによるガスの冷却を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(条項1)
本開示の一側面に係る可搬型集塵装置は、搬送装置に搭載可能な集塵装置である。可搬型集塵装置は、搬送装置により搬送される取鍋を覆う鍋蓋であって、取鍋内において発生した粉塵を含むガスが流入する流入口とガスを排出する排出口とが設けられた鍋蓋と、排出口から排出されたガスに含まれる粉塵を集塵する集塵機と、を備える。
【0009】
集塵機は、筐体と、筐体に収容されている集塵フィルタと、筐体に設けられ、可搬型集塵装置の外部に設けられた除塵装置を接続するための除塵ノズルと、集塵フィルタの上方に設けられ、除塵ノズルを介して除塵装置から供給されたエアーを集塵フィルタに向けて噴出するための供給管と、を備える。
【0010】
可搬型集塵装置においては、可搬型集塵装置の外部に設けられた除塵装置から除塵ノズルを介して供給されたエアーが、集塵フィルタに向けて噴出されることにより、集塵フィルタに捕集されている粉塵が払い落される。集塵機は集塵フィルタに粉塵を捕集することで、粉塵を集塵する。
【0011】
可搬型集塵装置の外部に設けられた除塵装置から除塵ノズルを介して供給されたエアーが、集塵フィルタに向けて噴出される構成によれば、除塵装置が可搬型集塵装置の外部に設けられているので、可搬型集塵装置は除塵機能を有する必要が無い。
【0012】
可搬型集塵装置は除塵機能を有する必要が無いため、可搬型集塵装置を軽量化することができる。可搬型集塵装置を軽量化することができる結果、搬送装置の搬送効率(燃費)を向上させることが可能となる。
【0013】
(条項2)
上記条項1に記載の可搬型集塵装置において、筐体は、集塵フィルタの下方に設けられ、集塵フィルタから払い落された粉塵を受ける回収空間を含んでもよい。集塵機は、可搬型集塵装置の外部に設けられた集塵装置であって、回収空間から粉塵を集塵する集塵装置を接続するための集塵ノズルを更に備えてもよい。
【0014】
除塵装置からエアーが供給されると、集塵フィルタから払い落された粉塵を含むエアーが集塵機の筐体の外部に漏れ出すことがある。集塵機が回収空間から粉塵を集塵する集塵装置を接続するための集塵ノズルを更に備える構成によれば、集塵ノズルに集塵装置が接続され、集塵装置により回収空間から粉塵が集塵される。集塵ノズルに集塵装置が接続され、集塵装置により回収空間から粉塵が集塵されるため、粉塵を含むエアーが筐体の外部に漏れ出す可能性を低減することができる。
【0015】
(条項3)
上記条項1又は上記条項2に記載の可搬型集塵装置は、排出口から排出されたガスに外気を混入することで、ガスを冷却する冷却機構を更に備えてもよい。鍋蓋は、排出口を囲むように設けられた排出フランジを含んでもよい。
【0016】
筐体には、排出口から排出されたガスを吸入する吸入口が設けられてもよい。筐体は、吸入口を囲むように設けられた吸入フランジを含んでもよい。冷却機構は、排出フランジと吸入フランジとの間に設けられた隙間により構成される外気導入機構を含んでもよい。
【0017】
冷却機構が外気導入機構を含む場合、排出フランジと吸入フランジとの間に設けられた隙間から外気が導入され、鍋蓋の排出口から排出されたガスに外気が混入されてガスが冷却される。
【0018】
冷却機構が外気導入機構を含む構成では、取鍋から離れた位置で外気がガスに混入されるので、取鍋内に外気が入り込む可能性が低減される。取鍋内に外気が入り込む可能性が低減されるため、取鍋内での燃焼が抑えられ、ガスの発生量及び粉塵の飛散が抑えられるので、粉塵が可搬型集塵装置の外部に漏れる可能性を低減することができる。
【0019】
(条項4)
上記条項3に記載の可搬型集塵装置において、集塵機は、集塵フィルタと吸入口との間に設けられ、集塵フィルタから吸入口に向かう気流を遮断する逆流防止弁を更に備えてもよい。
【0020】
除塵装置からエアーが供給されると、集塵フィルタから払い落された粉塵を含むエアーが、吸入口に向かって逆流することがある。集塵機が逆流防止弁を更に備える構成によれば、逆流防止弁により集塵フィルタから吸入口に向かう気流が遮断されるので、排出フランジと吸入フランジとの間に設けられた隙間から可搬型集塵装置の外部に漏れ出すことを抑制することができる。
【0021】
(条項5)
上記条項3又は上記条項4に記載の可搬型集塵装置において、集塵機は、除塵装置の動作の際に吸入口を塞ぐ閉塞部材を更に備えてもよい。集塵機が閉塞部材を備える場合、集塵フィルタから払い落された粉塵が、排出フランジと吸入フランジとの間に設けられた隙間から可搬型集塵装置の外部に漏れ出すことを抑制することができる。
【0022】
(条項6)
上記条項1~上記条項5のいずれか一項に記載の可搬型集塵装置において、集塵機は、消火剤を投入するための消火ノズルを備えてもよい。集塵機が消火ノズルを備える構成によれば、集塵機内において火災が発生した場合に、集塵機の内部を外気に曝すことなく、消火剤を供給することが可能となる。
【0023】
(条項7)
上記条項1~上記条項6のいずれか一項に記載の可搬型集塵装置は、搬送装置に搭載され、集塵機を動作させるためのバッテリを更に備えてもよい。例えば、搬送装置の外部から電源ケーブルにて電力を供給する場合には、搬送装置が走行可能な範囲が電源ケーブルの長さにより制限される。
【0024】
一方、可搬型集塵装置が搬送装置に搭載され集塵機を動作させるためのバッテリを更に備える構成によれば、搬送装置が走行可能な範囲が制限されない。搬送装置が走行可能な範囲が制限されないため、搬送装置の走行の自由度を向上させることが可能となる。
【0025】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態(以下、これを「本実施の形態」と称する場合がある。)が詳細に説明される。なお、図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。
【0026】
各図には、XYZ座標系が示される。Y軸方向は、X軸方向及びZ軸方向と交差(例えば、直交)する方向である。Z軸方向は、X軸方向及びY軸方向と交差(例えば、直交)する方向である。
【0027】
一例として、X軸方向は、前後方向であり、Y軸方向は、左右方向であり、Z軸方向は、上下方向である。説明の便宜上、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」及び「右」の用語が用いられるが、これらの方向に限定されない。
【0028】
なお、上下方向は、高さ方向と呼んでもよいし、第1の方向と呼んでもよいし、鉛直方向と呼んでもよい。前後方向は、第2の方向と呼んでもよいし、第1の水平方向と呼んでもよい。左右方向は、幅方向と呼んでもよいし、第3の方向と呼んでもよいし、第2の水平方向と呼んでもよい。
【0029】
図1を参照し、本実施の形態による可搬型集塵装置3を含む搬送システム100の構成を説明する。
図1は、本実施の形態による可搬型集塵装置3を含む搬送システム100を概略的に示す構成図である。
【0030】
図1に示す搬送システム100は、取鍋1を搬送するシステムである。取鍋1は、燃焼を伴ったり高温だったりするような被運搬物である例えば溶湯(アルミ溶湯及び鉄溶湯など)を収容するための容器(湯受け)である。取鍋1は、上端が開放された有底筒状の容器である。
【0031】
取鍋1は、筒体11と、底板12と、フランジ13と、を含む(
図8参照)。筒体11は、上下方向に延びる中空の筒状部材である。筒体11の上端には、開口11aが設けられている(
図8参照)。
【0032】
開口11aの周縁に沿ってフランジ13が設けられている。筒体11の下端は底板12により閉塞されている。開口11aを介して、筒体11と底板12とにより画定された内部空間に溶湯が流し込まれる。取鍋1内では、溶湯から粉塵を含む高温のガスG(
図9参照)が発生している。
【0033】
搬送システム100は、搬送装置2と、可搬型集塵装置3と、除塵装置4と、集塵装置5と、を含む。搬送装置2は、例えば、工場内において、取鍋1を搬送する。例えば、搬送装置2は、溶解炉と注湯機との間で取鍋1を搬送する。
【0034】
例えば、搬送装置2は、搬送装置2を運転する作業者(運転者)により選択された任意のルートを走行できる。以下の説明では、搬送装置2として、フォークリフトを例示する。
【0035】
搬送装置2は、搬送装置2の前部に設けられたフォーク21を含む。搬送装置2は、フォーク21を昇降させることにより、取鍋1の揚げ降ろしを行う。搬送装置2は、フォーク21に取鍋1を載せた状態で取鍋1を搬送する。
【0036】
可搬型集塵装置3は、搬送装置2に搭載可能な集塵装置である。可搬型集塵装置3は、搬送装置2により搬送される取鍋1内において発生したガスGに含まれる粉塵を集塵する。可搬型集塵装置3の詳細は後述する。
【0037】
例えば、可搬型集塵装置3は、搬送装置2の機能を邪魔しないように複数個所(例えば箇所A,B)によって搬送装置2に固定され、搬送装置2に着脱可能に搭載される。可搬型集塵装置3は、搬送装置2の左右方向の片側に偏って搭載される(
図2~
図4参照)。
【0038】
除塵装置4は、可搬型集塵装置3の外部に設けられた据置型の除塵装置である。除塵装置4は、除塵ステーションに設置されている。除塵ステーションは、可搬型集塵装置3により捕集された粉塵を払い落すための場所である。
【0039】
例えば、除塵装置4は、パルスジェット式の除塵装置であり、エアタンクと、パルスジェット機構と、を含む。除塵装置4には、ホースH1の一端が接続されている。除塵装置4は、ホースH1を介して圧縮エアーを可搬型集塵装置3に瞬間的に供給する。除塵装置4は、不図示の除塵スイッチを含む。除塵スイッチが操作されることにより、除塵装置4は圧縮エアーを供給して排気(ブロー)することで除塵する。
【0040】
集塵装置5は、可搬型集塵装置3の外部に設けられた据置型の集塵装置である。集塵装置5は、除塵ステーションに設置されている。集塵装置5には、ホースH2の一端が接続されている。集塵装置5は、ホースH2を介して可搬型集塵装置3から粉塵を吸気(バキューム)することで集塵する。除塵装置4と集塵装置5とをともに使用することで可搬型集塵装置3が集塵した粉塵を効率的に可搬型集塵装置3から除塵できる。
【0041】
次に、
図2~
図7を参照しながら、可搬型集塵装置3を詳細に説明する。
図2は、
図1の可搬型集塵装置の側面図である。
図3は、
図1の可搬型集塵装置の背面図である。
図4は、
図1の可搬型集塵装置の斜視図である。
【0042】
図5は、
図1に示される鍋蓋を概略的に示す図である。
図6は、集塵動作の際の逆流防止弁を示す図である。
図7は、除塵動作の際の逆流防止弁を示す図である。
図2及び
図3に示されるように、可搬型集塵装置3は、鍋蓋6と、集塵機7と、を含む。
【0043】
鍋蓋6は、取鍋1を覆うための部材である。
図5に示されるように、鍋蓋6は、本体部61と、脚部62と、一対のガイド部材63と、規制部材64と、一対の係止片65と、を含む。
【0044】
本体部61は、取鍋1の蓋として機能する部分である。本体部61は、板体66、貯留部67と、配管部68と、を含む。板体66は、本体部61を取鍋1に載置するための板状の部材である。
【0045】
板体66は、矩形状の外周形状を有する。板体66には、流入口61aが設けられている。流入口61aは、取鍋1の開口11aと同程度の大きさを有する。鍋蓋6が取鍋1に取り付けられている状態で、流入口61aは、取鍋1の開口11aと上下方向において向かい合う。
【0046】
貯留部67は、下端が開放された扁平な筒状の部分である。貯留部67内の貯留空間Vgは流入口61aと連通している。取鍋1内において発生した粉塵を含むガスGが取鍋1から流入口61aを通って貯留部67内の貯留空間Vgに流入する。
【0047】
配管部68は、貯留部67内に貯留されたガスGを排出するための流路を画定する部分である。配管部68は、貯留部67の側面から後方に延びている。配管部68の先端(後端)には、ガスGを排出する排出口61bが設けられている。
【0048】
排出口61bは、流入口61aよりも小さい。配管部68は、貯留部67内の貯留空間Vgと排出口61bとを連通している。配管部68は、排出口61bを囲むように設けられた排出フランジ68aを含む。
【0049】
排出フランジ68aは、排出口61bの周縁に沿って設けられている。なお、本体部61において、ガスGが流れる流路には、断熱材が設けられている。脚部62は、本体部61を支持する部分である。脚部62は、本体部61(板体66)から第1の方向における一方向である下方に延びている。
【0050】
本実施の形態では、鍋蓋6は、4本の脚部62を含む。4本の脚部62は、板体66の4つの角部に設けられ、板体66の下面から下方に延びている。4本の脚部62は、前後左右に互いに離間している。板体66と4本の脚部62とは、取鍋1を収容する収容空間Vlを画定している。
【0051】
一対のガイド部材63は、取鍋1を収容空間Vl内に誘導する部材である。一対のガイド部材63は、左右方向において互いに離間している。左側のガイド部材63は、左側の2本の脚部62の下端に架け渡されている。
【0052】
右側のガイド部材63は、右側の2本の脚部62の下端に架け渡されている。各ガイド部材63は、傾斜面63aと、側面63bと、を有する。一対のガイド部材63の傾斜面63aは、収容空間Vlの外部から内部に進むにつれて互いに近づくように傾斜している。
【0053】
一対のガイド部材63の傾斜面63aは、後端から前方に向かうにつれて互いに近づくように傾斜していると言ってもよい。側面63bは、傾斜面63aの前方に位置し、傾斜面63aと連なっている。一対のガイド部材63の側面63bは、左右方向において互いに向かい合っており、実質的に平行に配置されている。
【0054】
一対のガイド部材63の側面63bの離間距離は、左右方向において取鍋1の幅と同じかわずかに大きい。一対のガイド部材63の側面63bは、収容空間Vlにおける左右方向での取鍋1の位置を決める。
【0055】
規制部材64は、収容空間Vlに収容された取鍋1の前方向における移動を規制する部材である。規制部材64は、例えば、板状の形状を有する。規制部材64は、前方の2本の脚部62の下端に架け渡されている。規制部材64は、取鍋1の前方への移動を規制できれば、いかなる位置に設けられていてもよい。
【0056】
一対の係止片65は、搬送装置2により鍋蓋6を搬送するために用いられる。各係止片65は、フォークポケットとも称される。各係止片65は、本体部61(貯留部67)の上面に設けられ、前後方向に延びている。
【0057】
一対の係止片65は、左右方向に互いに離間している。一対の係止片65は、貯留部67の上面から上方に突出し、左右方向において互いに離れるように折り曲がっている。係止片65により画定される空間に搬送装置2のフォーク21が差し込まれることにより、鍋蓋6が揚げ降ろしされる。
【0058】
集塵機7は、鍋蓋6の排出口61bから排出されたガスGに含まれる粉塵を集塵する機構である。
図2及び
図3に示されるように、集塵機7は、筐体71と、外気導入ダンパ72(外気導入弁)と、集塵フィルタ73と、送風機74と、ダクト75と、排気ダクト76と、バッテリ77と、を含む。
【0059】
筐体71は、搬送装置2の側面(本実施の形態では、右側面)に取り付けられる。筐体71は、搬送装置2の側面に沿った薄型の扁平な形状を有している。筐体71は、例えば、筐体71を固定するためのフレームにより搬送装置2に取り付けられる。筐体71は、前端部71aと、下端部71bと、後端部71cと、を有する。
【0060】
前端部71aの前端には、排出口61bから排出されたガスGを吸入する吸入口71dが設けられている。吸入口71dは、例えば、排出口61bと同じか排出口61bよりも大きい。
【0061】
筐体71は、吸入口71dを囲むように設けられた吸入フランジ71eを含む。吸入フランジ71eは、吸入口71dの周縁に沿って設けられている。吸入フランジ71eは、前後方向において排出フランジ68aと離間している。
【0062】
吸入フランジ71eと排出フランジ68aとの間に設けられた隙間により、ブレイクフランジB(外気導入機構)が構成される。ブレイクフランジBは、排出口61bから排出されたガスGに外気を混入することでガスGを冷却するための冷却機構8を成している。
【0063】
前端部71aには、外気導入ダンパ72が設けられている。外気導入ダンパ72は、集塵機7内に導入される外気の流量を調整可能な弁体である。外気導入ダンパ72は、排出口61bから排出されたガスGに外気を混入することでガスGを冷却するための冷却機構8を成している。外気導入ダンパ72は、前端部71aの下面に設けられている。
【0064】
筐体71は、仕切板71fを含む。仕切板71fは、筐体71内に設けられ、前端部71aと後述の保持部71gとの間を仕切っている。仕切板71fは筐体71の上板から下方に向けて延びている。仕切板71fの下端には、後述の逆流防止弁84が設けられている。
【0065】
筐体71は、集塵フィルタ73を保持するための保持部(ホルダ)71gを含む。集塵フィルタ73は、筐体71に収容され、吸入口71dから吸入されたガスGに含まれる粉塵を捕捉するための部材である。
【0066】
集塵フィルタ73は、例えば、カートリッジフィルタである。保持部71gは、複数(本実施の形態では、6つ)の集塵フィルタ73を保持可能に構成されている。保持部71gは、複数の集塵フィルタ73が前後方向に配列されるように、複数の集塵フィルタ73を保持する。各集塵フィルタ73の下から上に向けてガスGが通過する。
【0067】
保持部71gの上板は、筐体71の内部空間をダーティーエリアとクリーンエリアとに区分している。ダーティーエリアは、集塵フィルタ73よりも上流に位置し、集塵フィルタ73により集塵されていない(粉塵を含む)空間である。
【0068】
クリーンエリアは、集塵フィルタ73よりも下流に位置し、集塵フィルタ73により集塵された後のクリーンエアーを含む空間である。下端部71bは、箱型形状を有する。下端部71bには、回収空間Vcが形成されている。上流と下流とは、ガスGの流れに着目した表現であって、ガスGはまず上流に流れ、次に下流に流れる。
【0069】
回収空間Vcは、保持部71g(集塵フィルタ73)の下方に設けられる。回収空間Vcは、集塵フィルタ73から払い落された粉塵を受ける。後端部71cは、筐体71の上部に設けられ、後方に延びている。
【0070】
後端部71cの上面には、ダクト75を介して送風機74が接続されている。送風機74は、例えば、ファンの回転により、集塵機7の外部に送風することで、集塵機7の内部の粉塵を吸引する力である吸引力を発生させる。集塵機7は、送風機74により、粉塵を吸気(バキューム)して集塵する。
【0071】
ダクト75の一端は、後端部71cの上面に接続されており、ダクト75の他端は、送風機74に接続されている。ダクト75は、後端部71cの上面から搬送装置2の運転席後方まで延びている。
【0072】
ダクト75は、バッテリ77を避けるように敷設されている。ダクト75の他端には、排気ダクト76が更に接続されている。排気ダクト76は、上下方向に延びており、排気ダクト76の先端には、排気口76aが設けられている。
【0073】
バッテリ77は、集塵機7を動作させるために、集塵機7に電力を供給する。バッテリ77は、例えば、送風機74に電力を供給する。バッテリ77の例としては、鉛蓄電池が挙げられる。
【0074】
バッテリ77は、搬送装置2に搭載されている。バッテリ77は、例えば、搬送装置2の運転席後方において、送風機74、ダクト75及び排気ダクト76と干渉しない位置に配置されている。
【0075】
集塵機7は、消火ノズル78を更に含む。消火ノズル78は、筐体71内に消火剤を投入するための投入口である。消火ノズル78には、例えば、消火器が接続される。消火ノズル78は、筐体71の側面に設けられる。消火ノズル78は、例えば、集塵フィルタ73に消火剤を噴射可能な位置に設けられる。
【0076】
本実施の形態では、2つの消火ノズル78が前後に離間して配置されている。消火ノズル78の数は、2つに限られず、1つでもよく、3つ以上でもよい。集塵機7は、除塵ノズル81と、供給管82と、集塵ノズル83と、逆流防止弁84と、閉塞部材85と、を更に含む。除塵ノズル81は、除塵装置4を接続するための接続口である。
【0077】
除塵ノズル81は、筐体71に設けられている。具体的には、除塵ノズル81は、後端部71cの後面に設けられている。除塵ノズル81には、ホースH1の他端が接続される。除塵ノズル81は、ホースH1の抜けを防止するためのロック機構を含んでもよい。
【0078】
供給管82は、除塵ノズル81を介して除塵装置4から供給されたエアーを集塵フィルタ73に向けて噴出するための配管である。供給管82は、筐体71内において前後方向に延びており、集塵フィルタ73(保持部71g)の上方に設けられている。
【0079】
具体的には、供給管82の一端は、除塵ノズル81に接続されており、供給管82の他端は、閉塞されている。供給管82は、複数の集塵フィルタ73の全体にわたって敷設されている。
【0080】
供給管82には、複数(本実施の形態では、6つ)の噴出口82aが設けられている。噴出口82aは、集塵フィルタ73と1対1で設けられており、各噴出口82aは、当該噴出口82aに対応する集塵フィルタ73の上に位置している。
【0081】
除塵装置4から供給されたエアーが、供給管82の噴出口82aから集塵フィルタ73に向けて噴出される。本実施の形態では、噴出口82aから高圧のエアーが瞬間的に噴出される。噴出されたエアーにより、集塵フィルタ73が捕集している粉塵が払い落され、回収空間Vcに回収される。集塵機7は集塵フィルタ73に粉塵を捕集することで、粉塵を集塵する。
【0082】
集塵ノズル83は、集塵装置5を接続するための接続口である。集塵ノズル83は、筐体71の下端部71bに設けられている。集塵ノズル83には、ホースH2の他端が接続される。
【0083】
集塵ノズル83は、ホースH2の抜けを防止するためのロック機構を含んでもよい。集塵装置5により回収空間Vcから粉塵が集塵される。逆流防止弁84は、集塵フィルタ73から吸入口71dに向かう気流を遮断する部材である。
【0084】
逆流防止弁84は、例えば、ゴムなどの弾性部材により構成された板状部材である。逆流防止弁84は、集塵フィルタ73と吸入口71dとの間に設けられている。具体的には、逆流防止弁84の上端は、仕切板71fの下端に固定されている。
【0085】
逆流防止弁84の下端は、自由端である。集塵機7が停止している状態では、逆流防止弁84の下端は筐体71の上下方向に延びる内面の後方から当該内面に接触しており、吸入口71dと集塵フィルタ73との間を遮断している。
【0086】
図6に示されるように、集塵動作の際(送風機74が動作している際)には、吸入口71dから集塵フィルタ73に向かう気流が生じるので、逆流防止弁84の下端が捲れ上がる。
【0087】
逆流防止弁84の下端が捲れ上がるため、逆流防止弁84の下端は筐体71の内面から離れるので、吸入口71dから吸入されたガスGは、逆流防止弁84と筐体71の内面との間を通過する。
【0088】
除塵動作の際には、送風機74が停止し、供給管82の噴出口82aから集塵フィルタ73に向けてエアーが噴出されるので、集塵フィルタ73を通過したエアーが吸入口71dに向かう。
【0089】
集塵フィルタ73を通過したエアーが吸入口71dに向かう際、
図7に示されるように、逆流防止弁84の下端が筐体71の内面に押し付けられ、集塵フィルタ73と吸入口71dとの間の流路が遮断される。
【0090】
閉塞部材85は、除塵装置4の動作の際に、吸入口71dを塞ぐ部材である。閉塞部材85は、例えば、ゴムなどの弾性の性質を持つ部材である弾性部材、鉄板などの高い合成を持つ部材である高剛体部材、又は鉄板にゴムを組み合わせたような複数の部材である複合部材により構成された栓である。
【0091】
次に、
図8及び
図9を更に参照しながら、搬送システム100における取鍋1の搬送動作を説明する。
図8は、
図1に示される取鍋に鍋蓋を被せる工程を説明するための図である。
図9は、ブレイクフランジ及び外気導入ダンパによるガスGの冷却を説明するための図である。まず、集塵機7が起動される。
【0092】
具体的には、送風機74に電力が供給され、送風機74が動作を開始する。送風機74により、吸入口71dから筐体71の内部空間、ダクト75及び排気ダクト76を順に通って、排気口76aから排出される気流が生成される。
【0093】
図8に示されるように、搬送装置2のフォーク21により、取鍋1が持ち上げられる。取鍋1が持ち上げられた際、取鍋1は、地面からわずかに浮く程度に持ち上げられる。取鍋1が地面からわずかに浮く程度に持ち上げられた状態で、搬送装置2は、取鍋1が一対のガイド部材63の間を通って規制部材64に当接するまで前進する。
【0094】
一対のガイド部材63の傾斜面63aは、前後方向において、収容空間Vlの外部から内部に進むにつれて互いに近づくように傾斜しており、最外端(最後端)において取鍋1の左右方向における長さ(幅)よりも離間している。
【0095】
最外端(最後端)において取鍋1の左右方向における長さ(幅)よりも離間しているため、取鍋1を収容空間Vl内に搬送する際に、左右方向において収容空間Vlと取鍋1との位置合わせを正確に行わなくても、傾斜面63aに沿って取鍋1が収容空間Vlに案内される。
【0096】
一対のガイド部材63の側面63bの離間距離は、左右方向において取鍋1の幅と同じかわずかに大きい。一対のガイド部材63の側面63bの離間距離は、左右方向において取鍋1の幅と同じかわずかに大きいため、一対のガイド部材63の側面63bにより、収容空間Vlにおける左右方向での取鍋1の位置が定まる。規制部材64により、収容空間Vlにおける前後方向での取鍋1の位置が定まる。
【0097】
フォーク21により取鍋1を上昇させることにより、取鍋1に鍋蓋6が被せられ、取鍋1とともに鍋蓋6が持ち上げられる。取鍋1とともに鍋蓋6が持ち上げられる動作により、搬送装置2は、取鍋1に鍋蓋6が被せられた状態で取鍋1を搬送できる。
【0098】
搬送装置2において取鍋1に鍋蓋6が被せられた状態では、取鍋1のフランジ13が板体66の下面に当接しているので、収容空間Vlにおける上下方向での取鍋1の位置が定まる。
【0099】
以上のようにして、取鍋1が収容空間Vl内の所望の位置に配置されることにより、排出口61bから吸入口71dにガスGを排出可能なように、鍋蓋6と集塵機7との位置が定まる。鍋蓋6と集塵機7との位置が定まった際に、吸入フランジ71eと排出フランジ68aとが予め定められた距離だけ離間し、ブレイクフランジBが形成される。
【0100】
図9に示されるように、搬送装置2が取鍋1を搬送している間、取鍋1において発生した高温のガスGは、本体部61内の流路を通って排出口61bから吸入口71dに排出される。
【0101】
高温のガスGが吸入口71dに排出された際に、送風機74により生成されている気流により、ブレイクフランジB及び外気導入ダンパ72から外気Gcが筐体71内に導入される。
【0102】
ブレイクフランジB及び外気導入ダンパ72から外気Gcが筐体71内に導入され、取鍋1において発生したガスGに外気Gcが混入されることにより、冷却されたガスGである冷却ガスGmが生成される。
【0103】
冷却ガスGmは、逆流防止弁84を通過すると、各集塵フィルタ73の下端から上端に向けて集塵フィルタ73を通過する。冷却ガスGmが集塵フィルタ73を通過する際、ガスGに含まれる粉塵が集塵フィルタ73により捕集される。集塵フィルタ73を通過したガスGであるクリーンエアーは、ダクト75及び排気ダクト76を順に通って、排気口76aから可搬型集塵装置3の外部に排出される。
【0104】
搬送装置2は、目的地に到着すると、脚部62の下端が地面に当接するまでフォーク21により取鍋1を下降させる。搬送装置2が取鍋1を下降させる動作により、鍋蓋6が自立するので、取鍋1から鍋蓋6が外される。取鍋1が搬送装置2から降ろされ、集塵機7(送風機74)が停止される。以上により、取鍋1の搬送動作が終了する。
【0105】
続いて、
図1及び
図10を参照しながら、搬送システム100における集塵フィルタ73の除塵動作を説明する。
図10は、除塵動作を説明するための図である。除塵動作は、取鍋1の搬送中又は取鍋1を搬送した後に実施される。まず、搬送装置2が除塵ステーションに移動する。集塵機7(送風機74)が動作している場合には、集塵機7(送風機74)が停止される。
【0106】
除塵ノズル81にホースH1の他端が接続され、集塵ノズル83にホースH2の他端が接続される。さらに、閉塞部材85が吸入口71dに取り付けられ、吸入口71dが閉塞部材85により塞がれる。
【0107】
集塵装置5が起動された後、除塵装置4の除塵スイッチが操作されると、除塵装置4は、ホースH1を介して圧縮エアーを可搬型集塵装置3に供給する。
図10に示されるように、圧縮エアーが、除塵ノズル81を介して供給管82に供給され、供給管82の各噴出口82aから集塵フィルタ73に向けて噴出される。
【0108】
噴出されたエアーにより、集塵フィルタ73が捕集している粉塵が払い落され、回収空間Vcに回収される。回収空間Vcに回収された粉塵は、ホースH2を介して集塵装置5により集塵される。
【0109】
回収空間Vcに回収された粉塵が集塵装置5により集塵される際、集塵フィルタ73を通過したエアーが集塵ノズル83に向かうが、逆流防止弁84の下端が筐体71の内面に押し当てられることにより、集塵フィルタ73と吸入口71dとの間の流路が遮断される。
【0110】
集塵フィルタ73と吸入口71dとの間の流路が遮断されるため、集塵フィルタ73から払い落された粉塵が、ブレイクフランジBから可搬型集塵装置3の外部に漏れる可能性が低減される。
【0111】
エアーの一部が逆流防止弁84を通過したとしても、吸入口71dが閉塞部材85により塞がれているので、集塵フィルタ73から払い落された粉塵が、ブレイクフランジBから可搬型集塵装置3の外部に漏れる可能性が低減される。
【0112】
ホースH1が除塵ノズル81から外され、ホースH2が集塵ノズル83から外される。以上により、集塵フィルタ73の除塵動作が終了する。次に、可搬型集塵装置3の作用効果を説明する。溶湯を保持している取鍋1の開口11aが板状の蓋により閉塞されると、取鍋1内の空気が熱により膨張し、蓋が外れることがある。
【0113】
溶湯を保持している取鍋1の開口11aが板状の蓋により閉塞される場合、作業者が搬送装置2から降りて取鍋1に蓋を被せるので、作業性が低下する。取鍋1内のアルミ成分が冷却するので、できるだけ早く搬送することが望まれる。
【0114】
取鍋1ができるだけ早く搬送されることが望まれるため、従来は、取鍋1の開口11aが開放された状態で、取鍋1がフォークリフトにより搬送されることが多い。取鍋1の開口11aが開放された状態で、取鍋1がフォークリフトにより搬送される場合、取鍋1内で発生した粉塵が取鍋1から漏れ出し、作業環境が悪化するおそれがある。
【0115】
一方、可搬型集塵装置3においては、取鍋1を鍋蓋6が覆っており、鍋蓋6の排出口61bから排出されたガスGに含まれる粉塵が、集塵機7により集塵される。鍋蓋6の排出口61bから排出されたガスGに含まれる粉塵が集塵機7により集塵されるため、取鍋1の搬送中において集塵することができるので、作業環境を改善することができる。
【0116】
本実施の形態では、搬送装置2としてフォークリフトが用いられるので、搬送装置2を運転する作業者により選択された任意のルートを走行しながら、取鍋1において発生したガスGに含まれる粉塵を集塵することができる。
【0117】
可搬型集塵装置3においては、鍋蓋6の排出口61bから排出されたガスGに外気が混入されてガスGが冷却される。鍋蓋6の排出口61bから排出されたガスGに外気が混入されてガスGが冷却される構成により、集塵機7が熱により損傷する可能性を低減することができる。
【0118】
さらに、排出口61bは、取鍋1の開口11aから離れている。排出口61bが取鍋1の開口11aから離れているため、取鍋1から離れた位置で外気がガスGに混入されるので、取鍋1内に外気が入り込む可能性が低減される。
【0119】
取鍋1内での燃焼が抑えられ、取鍋1におけるガスGの発生量及び粉塵の飛散が抑えられるので、粉塵が可搬型集塵装置3の外部に漏れる可能性を低減することができる。さらに、取鍋1内での燃焼が抑えられるので、ガスGの温度上昇を抑制することができる。
【0120】
ガスGの温度上昇を抑制することができる結果、作業環境を改善することができる。鍋蓋が自立不能に構成されている場合、搬送装置2又は作業者により鍋蓋が取鍋1に被せられた後、鍋蓋が被せられた取鍋1が搬送装置2により持ち上げられて搬送される。
【0121】
一方で、可搬型集塵装置3においては、鍋蓋6は、脚部62により自立可能に構成されている。鍋蓋6が脚部62により自立可能に構成されているため、搬送装置2により取鍋1を収容空間Vl内に搬送し、取鍋1とともに鍋蓋6を持ち上げるだけで、取鍋1に鍋蓋6を被せた状態で取鍋1を搬送することができる。取鍋1とともに鍋蓋6を持ち上げるだけで、取鍋1に鍋蓋6を被せた状態で取鍋1を搬送することができるため、鍋蓋6を取鍋1に被せる作業を簡易化することができる。
【0122】
一対のガイド部材63の傾斜面63aは、収容空間Vlの外部から内部に進むにつれて互いに近づくように傾斜している。一対のガイド部材63の傾斜面63aは、収容空間Vlの外部から内部に進むにつれて互いに近づくように傾斜しているため、取鍋1を収容空間Vl内に搬送する際に、左右方向において収容空間Vlと取鍋1との位置合わせを正確に行わなくても、傾斜面63aに沿って取鍋1が収容空間Vlに案内される。
【0123】
さらに、一対のガイド部材63の側面63bの離間距離は、取鍋1の左右方向の長さ(幅)と同じかわずかに大きい。一対のガイド部材63の側面63bの離間距離は、取鍋1の左右方向の長さ(幅)と同じかわずかに大きいため、一対のガイド部材63の側面63bにより、左右方向での取鍋1の位置が決めることができる。一対のガイド部材63の側面63bにより、左右方向での取鍋1の位置が決めることができる結果、鍋蓋6を取鍋1に被せる作業を更に簡易化することができる。
【0124】
鍋蓋6は、収容空間Vlに収容された取鍋1の前方向における移動を規制する規制部材64を含む。鍋蓋6が規制部材64を含む構成によれば、取鍋1が規制部材64に当接するまで取鍋1を収容空間Vl内に搬送することにより、前後方向において取鍋1の位置決めを行うことができる。
【0125】
以上のように、取鍋1は、鍋蓋6に対して所望の位置に配置される。取鍋1が鍋蓋6に対して所望の位置に配置されるため、取鍋1内で発生したガスGを、本体部61内に設けられた流路を介して確実に集塵機7に排出することができる。
【0126】
さらに、収容空間Vl内における取鍋1の位置が定まることにより、排出フランジ68aと吸入フランジ71eとの位置関係は、実質的に一定となる。排出フランジ68aと吸入フランジ71eとの位置関係が実質的に一定となるため、収容空間Vlに取鍋1を収容するだけで、排出口61bから吸入口71dにガスGを排出可能なように、鍋蓋6と集塵機7とを配置することができる。
【0127】
排出フランジ68aと吸入フランジ71eとの間に設けられた隙間によりブレイクフランジBが構成されている。集塵機7の動作の際において、排出フランジ68aと吸入フランジ71eとの間に設けられた隙間から外気が導入され、鍋蓋6の排出口61bから排出されたガスGに外気が混入されてガスGが冷却される。
【0128】
鍋蓋6の排出口61bから排出されたガスGに外気が混入されてガスGが冷却されるため、取鍋1内で発生したガスGを冷却する冷却機構8を簡易な構造で実現することができる。
【0129】
上述のように、排出フランジ68aと吸入フランジ71eとの位置関係は、実質的に一定であるので、排出フランジ68aと吸入フランジ71eとの前後方向における離間距離も実質的に一定である。
【0130】
排出フランジ68aと吸入フランジ71eとの前後方向における離間距離も実質的に一定であるため、ブレイクフランジBから導入される外気の量は略一定となる。取鍋1において発生するガスGの温度が高い場合、及び、可搬型集塵装置3の外気温度が高い場合には、ガスGを冷却するためにより多くの外気を導入する必要がある。
【0131】
ガスGを冷却するためにより多くの外気を導入する必要がある問題に対し、集塵機7は、冷却機構8として外気導入ダンパ72を含む。外気導入ダンパ72は、集塵機7(筐体71)内に導入される外気の流量を調整可能に構成されている。
【0132】
外気導入ダンパ72が集塵機7(筐体71)内に導入される外気の流量を調整可能に構成されているため、外気の流量を調整することにより、ガスGをより確実に冷却することができる。例えば、季節により外気温が変化したとしても、ガスGを冷却することができる。
【0133】
可搬型集塵装置3においては、可搬型集塵装置3の外部に設けられた除塵装置4から除塵ノズル81を介して供給されたエアーが、各集塵フィルタ73に向けて噴出されることにより、各集塵フィルタ73に捕集されている粉塵が払い落される。
【0134】
可搬型集塵装置3の外部に設けられた除塵装置4から除塵ノズル81を介して供給されたエアーが、各集塵フィルタ73に向けて噴出される構成によれば、除塵装置4が可搬型集塵装置3の外部に設けられているので、可搬型集塵装置3は除塵機能を有する必要が無い。除塵機能を有する必要が無いため、可搬型集塵装置3は、エアタンク及びパルスジェット機構などを含まなくてもよい。
【0135】
可搬型集塵装置3がエアタンク及びパルスジェット機構などを含まなくてもよいため、可搬型集塵装置3を軽量化できる。可搬型集塵装置3を軽量化できる結果、搬送装置2の搬送効率(燃費)を向上させることができる。可搬型集塵装置3が除塵機能を有する必要が無いことから、可搬型集塵装置3を小型化することができる。
【0136】
可搬型集塵装置3を小型化することができるため、可搬型集塵装置3が搬送装置2の走行の妨げとなりにくい。さらに、複数台の搬送装置2で除塵装置4を共有することができるので、コストを削減することができる。
【0137】
除塵装置4からエアーが供給されると、集塵フィルタ73から払い落された粉塵を含むエアーが筐体71の外部に漏れ出すことがある。例えば、排出フランジ68aと吸入フランジ71eとの間に設けられた隙間から、エアーが漏れ出し得る。
【0138】
可搬型集塵装置3においては、集塵フィルタ73の除塵動作の際、集塵ノズル83に集塵装置5が接続され、集塵装置5により回収空間Vcから粉塵が集塵される。集塵ノズル83に集塵装置5が接続され集塵装置5により回収空間Vcから粉塵が集塵されるため、粉塵を含むエアーが筐体71の外部に漏れ出す可能性を低減することができる。粉塵を含むエアーが筐体71の外部に漏れ出す可能性を低減することができる結果、作業環境を一層改善することができる。
【0139】
除塵装置4からエアーが供給されると、集塵フィルタ73から払い落された粉塵を含むエアーが、吸入口71dに向かって逆流することがある。可搬型集塵装置3においては、逆流防止弁84により集塵フィルタ73から吸入口71dに向かう気流が遮断されるので、排出フランジ68aと吸入フランジ71eとの間に設けられた隙間から可搬型集塵装置3の外部に粉塵を含むエアーが漏れ出すことを抑制することができる。
【0140】
排出フランジ68aと吸入フランジ71eとの間に設けられた隙間から可搬型集塵装置3の外部に粉塵を含むエアーが漏れ出すことを抑制することができる結果、作業環境を一層改善することができる。
【0141】
除塵装置4の動作の際において、閉塞部材85により吸入口71dが塞がれる。閉塞部材85により吸入口71dが塞がれるため、集塵フィルタ73から払い落された粉塵が、吸入口71dから可搬型集塵装置3の外部に漏れ出すことを抑制することができる。集塵フィルタ73から払い落された粉塵が、吸入口71dから可搬型集塵装置3の外部に漏れ出すことを抑制することができる結果、作業環境を一層改善することができる。
【0142】
集塵機7内において火災が発生した場合に、例えば、点検口などが開放されると、点検口から大量の空気(酸素)が流入するので、燃焼を促進するおそれがある。一方、集塵機7は、消火剤を投入するための消火ノズル78を含むので、集塵機7の内部を外気に曝すことなく、消火剤を投入することができる。
【0143】
さらに、集塵機7内において火災が発生した場合には、作業者は、例えば、消火ノズル78に消火器を接続することにより、消火ノズル78から消火剤を投入すればよい。消火ノズル78に消火器を接続することにより、消火ノズル78から消火剤を投入すればよいため、作業者は、集塵機7内において火災が発生した場合の初期対応を迅速化することができる。
【0144】
搬送装置2が予め定められたルートを走行する場合には、集塵機7は外部の電源から電源ケーブルを介して電力の供給を受けることが考えられる。しかし、搬送装置2は、搬送装置2を運転する作業者により選択された任意のルートを走行できるので、外部の電源から電源ケーブルにて集塵機7(送風機74)に電力を供給する場合には、搬送装置2が走行可能な範囲が電源ケーブルの長さにより制限される。
【0145】
一方、可搬型集塵装置3では、搬送装置2にバッテリ77が搭載されており、バッテリ77から集塵機7に電力が供給される。バッテリ77から集塵機7に電力が供給されるため、搬送装置2が走行可能な範囲が制限されない。搬送装置2が走行可能な範囲が制限されない結果、搬送装置2の走行の自由度を向上させることができる。
【0146】
筐体71は、搬送装置2の側面に沿った薄型の形状を有しているので、搬送装置2の走行の妨げとなりにくい。筐体71は搬送装置2の一方の側面に設けられるので、搬送装置2としてフォークリフトが用いられる場合でも、作業者が搬送装置2に乗降することができる。
【0147】
なお、本開示に係る可搬型集塵装置は上記実施の形態に限定されない。上記実施の形態では、搬送装置2としてフォークリフトが例示されているが、搬送装置2はフォークリフトに限られない。例えば、搬送装置2は、予め定められたルートを走行する無人の台車であってもよい。
【0148】
鍋蓋6は、取鍋1内において発生したガスGを集塵機7に排出すればよい。例えば、鍋蓋6は、自立可能に構成されていなくてもよい。すなわち、鍋蓋6は、脚部62を含まなくてもよい。
【0149】
作業者が本体部61に対する取鍋1の位置を合わせてもよい。作業者が本体部61に対する取鍋1の位置を合わせる場合、鍋蓋6は、ガイド部材63及び規制部材64を含まなくてもよい。鍋蓋6は、作業者により持ち運ばれてもよい。鍋蓋6が作業者により持ち運ばれる場合、鍋蓋6は、係止片65を含まなくてもよい。
【0150】
上記実施の形態では、可搬型集塵装置3は、冷却機構8として、ブレイクフランジB及び外気導入ダンパ72を含むが、いずれか一方のみを含んでいてもよい。冷却機構8は、取鍋1において発生したガスGに外気を混入することで、ガスGを冷却すればよく、鍋蓋6の流入口61aにおいて外気を導入してもよい。集塵機7が耐熱性の部材により構成されている場合には、可搬型集塵装置3は、冷却機構8を備えていなくてもよい。
【0151】
上記実施の形態では、バッテリ77は、集塵機7専用のバッテリであるが、搬送装置2のバッテリと共用されてもよい。バッテリ77が搬送装置2のバッテリと共用される構成によれば、可搬型集塵装置3を更に軽量化(小型化)することができる。
【0152】
集塵機7(送風機74)は外部電源から電力の供給を受けてもよい。集塵機7(送風機74)が外部電源から電力の供給を受ける場合、可搬型集塵装置3はバッテリ77を含まなくてもよい。集塵機7は、消火ノズル78を含まなくてもよい。
【0153】
作業者が回収空間Vcに回収された粉塵を廃棄してもよい。作業者が回収空間Vcに回収された粉塵を廃棄する場合、集塵機7は、集塵装置5に接続されなくてもよい。すなわち、集塵機7は、集塵ノズル83を含まなくてもよい。
【0154】
集塵機7は、逆流防止弁84及び閉塞部材85のいずれか一方を含まなくてもよい。集塵機7が逆流防止弁84及び閉塞部材85のいずれか一方を含まない場合も、逆流防止弁84及び閉塞部材85のいずれかにより、集塵フィルタ73から払い落された粉塵が、吸入フランジ71eと排出フランジ68aとの間に設けられた隙間から可搬型集塵装置3の外部に漏れ出すことを抑制することができる。集塵機7は、逆流防止弁84及び閉塞部材85の両方を含まなくてもよい。
【0155】
消火ノズル78は、筐体71内に消火剤を投入するために使用されず、火災が発生しておらず、可搬型集塵装置3が集塵動作をしている際に、作業者が目視で集塵の様子を確認する際に使用されてもよい。
【符号の説明】
【0156】
1…取鍋、2…搬送装置、3…可搬型集塵装置、4…除塵装置、5…集塵装置、6…鍋蓋、7…集塵機、8…冷却機構、61a…流入口、61b…排出口、61…本体部、62…脚部、63…ガイド部材、63a…傾斜面、63b…側面、64…規制部材、68a…排出フランジ、71…筐体、71d…吸入口、71e…吸入フランジ、72…外気導入ダンパ(外気導入弁)、73…集塵フィルタ、74…送風機、77…バッテリ、78…消火ノズル、81…除塵ノズル、82…供給管、82a…噴出口、83…集塵ノズル、84…逆流防止弁、85…閉塞部材、100…搬送システム、B…ブレイクフランジ(外気導入機構)、Vc…回収空間、Vl…収容空間。