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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034189
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/13 20060101AFI20240306BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240306BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B41J29/13
G03G21/16 133
H05K5/03 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138271
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 政季
(72)【発明者】
【氏名】茂木 万梨子
(72)【発明者】
【氏名】大須賀 未都
【テーマコード(参考)】
2C061
2H171
4E360
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061BB10
2C061CD07
2C061CD11
2C061CD13
2H171FA01
2H171HA06
2H171HA11
2H171HA13
2H171HA23
2H171HA24
2H171KA25
2H171MA01
2H171NA08
4E360AB02
4E360BA02
4E360BA04
4E360BB02
4E360BB17
4E360BB22
4E360BC03
4E360BC08
4E360EA12
4E360EC14
4E360ED04
4E360ED12
4E360GA46
4E360GB48
(57)【要約】
【課題】カバーの開閉操作を簡単にできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、左右方向に離間して位置する一対の左フレーム23および右フレーム24と、一対の左フレーム23と右フレーム24との間に位置する開口2Aと、係合部242とを有する筐体2と、開口2Aを開く開位置と、開口2Aを閉じる閉位置とに移動可能なフロントカバー31と、フロントカバー31に回転軸33を中心として回転可能に支持される回転レバー5であって、係合部242と係合することでフロントカバー31の移動を規制する係合爪531と、係合爪531と係合部242とが係合してフロントカバー31の移動が規制された状態から係合爪531と係合部242との係合が解除されフロントカバー31の移動が許容された状態に切り替わった後に右フレーム24と当接可能な当接部521と、を有する回転レバー5と、回転レバー5を回転させるスイッチ32とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に離間して位置する一対のフレームと、前記一対のフレームの間に位置する開口と、係合部と、を有する筐体と、
前記開口を開く開位置と、前記開口を閉じる閉位置とに移動可能なカバーと、
前記カバーに回転軸を中心として回転可能に支持される回転部材であって、
前記カバーが閉位置に位置した状態で前記係合部と係合することで前記カバーの移動を規制する爪部と、
前記爪部と前記係合部とが係合して前記カバーの移動が規制された状態から、前記爪部と前記係合部との係合が解除され前記カバーの移動が許容された状態に切り替わった後に前記フレームと当接可能な当接部と、
を有する回転部材と、
前記回転部材を回転させるためのスイッチと、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記当接部が前記フレームと当接した後に、前記カバーは前記開位置に移動する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記当接部は、前記回転軸から、前記回転軸の軸方向と交差する方向に延びる請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記スイッチは前記回転部材の当接面を押圧することで前記回転部材を回転させ、
前記回転軸の軸方向から見て、前記当接部と前記フレームが当接する当接点と前記回転軸との距離は、前記当接面と前記回転軸との距離よりも小さい請求項1~請求項3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記フレームは、前記当接部が当接する当て面を有し、
前記当て面は、前記第1方向と直交する第2方向の一側に面しており、前記回転部材が第1回転方向に回転することで、前記当接部は前記当て面に前記第2方向の一側から当接し、
前記カバーは、前記閉位置から前記開位置へ移動するときに、前記第2方向の一側へ向けて移動する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記回転軸は、前記第1方向において前記一対のフレームの間に位置する請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1回転方向において、前記当接面、前記当接部、および前記爪部の順に位置する請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記当接点と前記回転軸とを結んだ直線と、前記第1方向と直交する第2方向に沿って延びる仮想線とのなす角が、45度以上である請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記回転軸は、前記第2方向において前記当て面と同じ位置、または前記当て面よりも前記第2方向の一側に位置する請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記回転部材を前記爪部が前記係合部と係合する方向に付勢するバネをさらに有し、
前記フレームは、前記当接部が当接する当て面および前記係合部を有し、
前記爪部が前記係合部と係合した状態で、前記当接部と前記当て面との距離は、前記バネの長さよりも小さい請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記回転部材は、前記フレームに押圧される被押圧面を有し、
前記フレームは、前記カバーの開位置側へ向かうにつれて、前記被押圧面の押圧方向における下流側へ傾斜する傾斜面を有し、
前記回転部材が第1回転方向に回転することで、前記爪部と前記係合部との係合が解除されるとともに、前記当接部が前記フレームと当接し、
前記当接部が前記フレームと当接した後に、前記回転部材が前記バネの付勢力によって前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転することで、前記被押圧面が前記傾斜面に押圧されて、前記カバーが開位置に向けて移動する請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記カバーは、前記回転軸の軸方向における前記筐体の一側の端部を中心として回動することにより前記開位置と前記閉位置との間を移動可能であり、
前記傾斜面は、前記軸方向の前記一側へ向かうにつれて、前記被押圧面の押圧方向における下流側へ傾斜している請求項11に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、一対のフレームと一対のフレームの間に位置する開口とを有する筐体と、開口を開く開位置と開口を閉じる閉位置とに移動可能なカバーと、閉位置に位置した状態のカバーの移動を規制するロック状態と、カバーの移動を許容する解除状態とを切り替え可能なロック機構と、ロック機構におけるロック状態と解除状態との切り替え操作を行うスイッチと、フレームに設けられカバーを開位置側へ押圧する押圧部材と、を備えた画像形成装置が知られている。
【0003】
このような画像形成装置においては、スイッチを押し操作することでロック機構をロック状態から解除状態へ切り替えるとともに、押圧部材によってカバーを押圧することで、カバーが開位置へ移動する。また、開位置にあるカバーを閉位置側へ押し操作することで、カバーを閉位置へ移動させるとともに、ロック機構を解除状態からロック状態へ切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-126027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、画像形成装置はカバーを開位置側へ押圧する押圧部材を備えているため、カバーを閉位置側へ押し操作した際に、押圧部材が抵抗となってカバーを全体的に閉位置に移動させることができず、カバーに片閉まり等の開閉不良が発生するおそれがある。一方、画像形成装置に押圧部材を設けない構成とした場合は、スイッチを押し操作してロック機構を解除状態へ切り替えた際に、カバーの自重だけではカバーを開位置まで移動させることができないおそれがある。
【0006】
そこで、本発明においては、カバーを開位置と閉位置との間で移動させる開閉操作を簡単にすることができる画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する画像形成装置は、以下の特徴を有する。
【0008】
即ち、画像形成装置は、第1方向に離間して位置する一対のフレームと、前記一対のフレームの間に位置する開口と、係合部と、を有する筐体と、前記開口を開く開位置と、前記開口を閉じる閉位置とに移動可能なカバーと、前記カバーに回転軸を中心として回転可能に支持される回転部材であって、前記カバーが閉位置に位置した状態で前記係合部と係合することで前記カバーの移動を規制する爪部と、前記爪部と前記係合部とが係合して前記カバーの移動が規制された状態から、前記爪部と前記係合部との係合が解除され前記カバーの移動が許容された状態に切り替わった後に前記フレームと当接可能な当接部と、を有する回転部材と、前記回転部材を回転させるためのスイッチと、を備える。
【0009】
これにより、ロック機構がロック状態から解除状態へ切り替わった後に、回転部材の当接部がフレームと当接することで、カバーを開位置へ向けて移動させることができ、カバーの開閉操作を簡単にすることができる。また、カバーを開位置から閉位置へ移動させるときに、カバーの移動を妨げることがない。
【0010】
また、前記当接部が前記フレームと当接した後に、前記カバーは前記開位置に移動する。
【0011】
これにより、当接部がフレームと当接した際の反力によりカバーを開位置に移動させることができる。
【0012】
また、前記当接部は、前記回転軸から、前記回転軸の軸方向と交差する方向に延びる。
【0013】
これにより、当接部がフレームと当接した際の反力を、カバーが効率的に受けることができる。
【0014】
また、前記スイッチは前記回転部材の当接面を押圧することで前記回転部材を回転させ、前記回転軸の軸方向から見て、前記当接部と前記フレームが当接する当接点と前記回転軸との距離は、前記当接面と前記回転軸との距離よりも小さい。
【0015】
このように、スイッチを操作して回転部材を回転させるときに、当接部がフレームと当接した状態の回転部材を、軽い力で回転させてカバーを開位置側へ向けて移動させることができる。
【0016】
また、前記フレームは、前記当接部が当接する当て面を有し、前記当て面は、前記第1方向と直交する第2方向の一側に面しており、前記回転部材が第1回転方向に回転することで、前記当接部は前記当て面に前記第2方向の一側から当接し、前記カバーは、前記閉位置から前記開位置へ移動するときに、前記第2方向の一側へ向けて移動する。
【0017】
これにより、回転部材の回転を、当接部をフレームの当て面に当接させることで止め、その反力によってカバーを開位置へ向けて移動させることができる。
【0018】
また、前記回転軸は、前記第1方向において前記一対のフレームの間に位置する。
【0019】
これにより、画像形成装置の小型化を図ることができる。
【0020】
また、前記第1回転方向において、前記当接面、前記当接部、および前記爪部の順に位置する。
【0021】
これにより、スイッチの操作によって回転部材を小さな回転ストロークで回転させることにより、カバーを開位置側へ向けて移動させることができる。
【0022】
また、前記当接部と前記フレームとの当接点と前記回転軸とを結んだ直線と、前記第1方向と直交する第2方向に沿って延びる仮想線とのなす角が、45度以上である。
【0023】
これにより、回転部材が回転して当接部がフレームの当て面と当接したときに、カバーに対して開位置へ移動する方向の力を効率良く加えることができる。
【0024】
また、前記回転軸は、前記第2方向において前記当て面と同じ位置、または前記当て面よりも前記第2方向の一側に位置する。
【0025】
これにより、回転部材が回転して当接部がフレームの当て面と当接したときに、カバーに対して、カバーが開位置へ移動する方向の力を効率良く加えることができる。また、回転部材とフレームとが干渉することを抑制でき、回転軸と当接部との距離を小さくすることができる。
【0026】
また、前記回転部材を前記爪部が前記係合部と係合する方向に付勢するバネをさらに有し、前記フレームは、前記当接部が当接する当て面および前記係合部を有し、前記爪部が前記係合部と係合した状態で、前記当接部と前記当て面との距離は、前記バネの長さよりも小さい。
【0027】
これにより、回転部材を、バネの付勢力に抗して回転させることで、当接部がフレームの当て面と当接した際の反力をカバーが確実に受けることができ、簡単にカバーを開くことができる。
【0028】
また、前記回転部材は、前記フレームに押圧される被押圧面を有し、前記フレームは、前記カバーの開位置側へ向かうにつれて、前記被押圧面の押圧方向における下流側へ傾斜する傾斜面を有し、前記回転部材が第1回転方向に回転することで、前記爪部と前記係合部との係合が解除されるとともに、前記当接部が前記フレームと当接し、前記当接部が前記フレームと当接した後に、前記回転部材が前記バネの付勢力によって前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転することで、前記被押圧面が前記傾斜面に押圧されて、前記カバーが開位置に向けて移動する。
【0029】
このように、回転部材の被押圧面がフレームの傾斜面に押圧されることでカバーが開位置側へ移動するため、カバーを安定して開位置に移動させることができる。
【0030】
また、前記カバーは、前記回転軸の軸方向における前記筐体の一側の端部を中心として回動することにより前記開位置と前記閉位置との間を移動可能であり、前記傾斜面は、前記軸方向の前記一側へ向かうにつれて、前記被押圧面の押圧方向における下流側へ傾斜している。
【0031】
これにより、被押圧面が傾斜面に押圧された際に、回転部材は傾斜面から受けた開位置側へ向かう力をカバーに効果的に伝達することができ、カバーを円滑に開位置へ移動させることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、カバーの開閉操作を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】フロントカバーが閉位置にある状態の画像形成装置を示す斜視図である。
図2】フロントカバーが開位置にある状態の画像形成装置を示す斜視図である。
図3】フロントカバーの開閉機構が構成される画像形成装置の前端部かつ右端部を示す正面断面図である。
図4】ロック機構がロック状態に切り替えられた状態の、画像形成装置の前端部かつ右端部を示す平面断面図である。
図5】回転レバーを示す斜視図である。
図6】回転レバーの係合爪と右フレームの係合部との係合状態が解除され、回転レバーの当接部が右フレームの当て面に当接した状態の、画像形成装置の前端部かつ右端部を示す平面断面図である。
図7】回転レバーが右フレームの当て面から前方への反力を受け、フロントカバーが前方へ回動した状態の、画像形成装置の前端部かつ右端部を示す平面断面図である。
図8】スイッチ、回転レバー、および右フレームの当て面の位置関係を示す平面図である。
図9】回転レバーの被押圧面が右フレームの傾斜面に押圧されることにより、フロントカバーが前側へ移動する様子を示す平面図である。
図10図9におけるZ-Z断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
【0035】
[画像形成装置]
以下の説明においては、図1図2に示すように画像形成装置1が使用可能に設置された状態を基準として、前後、左右、上下の各方向を定める。
【0036】
図1図2に示す画像形成装置1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態であり、電子写真方式により、シートに画像を形成するレーザプリンタである。但し、画像形成装置1は電子写真方式に限るものではなく、インクジェット方式等の他の方式に構成することも可能である。
【0037】
画像形成装置1は略直方体の筐体2を備えている。筐体2は、シートを支持する給紙トレイ10、および給紙トレイ10から給紙されるシートに画像を形成する画像形成部を収容している。筐体2の上面には、画像形成部により画像が形成されたシートが排出される排出トレイ21が形成されている。排出トレイ21は前方から後方に向かって下がる傾斜面を有しており、排出トレイ21の後方にはシートが排出される排出口22が開口している。
【0038】
図2に示すように、筐体2は、左右方向に離間して位置する一対の左フレーム23および右フレーム24を有している。左右方向は、第1方向の一例であり、一対の左フレーム23および右フレーム24は、第1方向に離間して位置する一対のフレームの一例である。左フレーム23は、筐体2内の左端部に位置しており、前後方向および上下方向に延出している。右フレーム24は、筐体2内の右端部に位置しており、前後方向および上下方向に延出している。
【0039】
筐体2の前面には、シートをジャム処理するための、または画像形成部の構成部材であるプロセスカートリッジ4を交換するための開口2Aが形成されている。開口2Aは、左右方向において左フレーム23と右フレーム24との間に位置している。開口2Aは、一対のフレームの間に位置する開口の一例である。
【0040】
筐体2は、開口2Aを開閉可能なフロントカバー31を有している。フロントカバー31は、筐体2の下端部に形成された左右方向に延びる回動軸部311を中心として回動することにより、開口2Aを開く開位置(図2に示す位置)と、開口2Aを閉じる閉位置(図1に示す位置)とに移動可能である。フロントカバー31は、開口を開く開位置と、開口を閉じる閉位置とに移動可能なカバーの一例である。
【0041】
図1に示すように、閉位置にあるフロントカバー31の上面の右端部には、フロントカバー31を開く際に操作するスイッチ32が設けられている。スイッチ32は、画像形成装置1の前端部かつ右端部に位置している。スイッチ32は押下操作可能に構成されており、フロントカバー31が閉位置にある状態でスイッチ32が押下操作されると、閉位置に保持されていたフロントカバー31のロック状態が解除され、フロントカバー31は開方向へ移動可能となる。
【0042】
[フロントカバーの開閉機構]
図3図5に示すように、画像形成装置1は、フロントカバー31に支持される回転レバー5を備えている。回転レバー5は、左右方向において、フロントカバー31の右端部に位置している。
【0043】
フロントカバー31は回転軸33を有しており、回転レバー5は、フロントカバー31に回転軸33を中心として回転可能に支持されている。回転レバー5は、回転部材の一例である。回転軸33の軸心Pは、フロントカバー31が閉位置にあるときに上下方向に沿って延びている。回転レバー5は、フロントカバー31が閉位置にある状態では、水平方向に回転可能である。回転軸33の軸心Pが延びる方向は、回転軸33の軸方向である。
【0044】
回転レバー5は、第1アーム51と、第2アーム52と、第3アーム53とを有している。第1アーム51は、回転軸33から第1突出方向に向けて突出している。第2アーム52は、回転軸33から第1突出方向とは異なる第2突出方向に突出している。第3アーム53は、回転軸33から第1突出方向および第2突出方向とは異なる第3突出方向に突出している。第1突出方向、第2突出方向、および第3突出方向は、それぞれ回転軸33の軸方向と交差する方向である。
【0045】
本実施形態においては、第1突出方向は略前方であり、第1アーム51は回転軸33から略前方へ突出した後、屈曲して左方に延出している。第2突出方向は右斜め前方であり、第3突出方向は略後方である。
【0046】
フロントカバー31のスイッチ32は、圧縮バネ34により上方に付勢されており、圧縮バネ34の付勢力に抗して押下操作されることにより下方へ移動する。スイッチ32は、押下片321を有している。押下片321の下端には、右方へいくに従って上方へ傾斜する傾斜面である押下面321aが形成されている。第1アーム51における先端側の上面は、スイッチ32の押下面321aが当接可能な当接面511である。当接面511は、左方へいくに従って下方へ傾斜する傾斜面である。
【0047】
押下面321aは、スイッチ32が下方へ移動することにより当接面511に当接して、当接面511を下方に押圧する。当接面511が押下面321aにより下方へ押圧されると、回転レバー5は、第1アーム51が左方へ移動する第1回転方向W1(図4における反時計回り方向)に回転する。スイッチ32は、回転レバー5を回転させるためのスイッチである。本実施形態では、スイッチ32が回転レバー5を直接押圧しているが、スイッチ32は間接的に回転レバー5を押圧してもよい。例えば、スイッチ32が、スイッチ32の移動に連動して移動するリンク機構を介して回転レバー5を押圧するように構成してもよい。
【0048】
右フレーム24は、前端に当て面241を有している。当て面241は、前後方向における前側に面している。前後方向は、第1方向と直交する第2方向の一例であり、前側は第2方向の一側の一例である。
【0049】
第2アーム52は、当て面241と当接可能な当接部521を有している。当接部521は、第2アーム52の先端部分に位置している。当接部521は、当て面241と離間した状態から、回転レバー5が第1回転方向W1に回転することで、当て面241と当接する。
【0050】
当接部521が形成される第2アーム52は、回転軸33から回転軸33の軸方向と交差する方向である第2突出方向に延びている。第2突出方向は、回転レバー5の第1回転方向W1と交差する方向である。
【0051】
右フレーム24は、第3アーム53が係合可能な係合部242を有している。第3アーム53は、右フレーム24の係合部242に係合可能な係合爪531を有している。係合爪531は、爪部の一例である。
【0052】
画像形成装置1は、フロントカバー31のカバーフレーム35と回転レバー5の第3アーム53との間に配置される圧縮バネ6を備えている。第3アーム53は、圧縮バネ6により、回転レバー5が第1回転方向W1とは反対の第2回転方向W2へ回転する側へ付勢されている。
【0053】
第3アーム53の係合爪531は、フロントカバー31が閉位置に位置する状態において第3アーム53が圧縮バネ6によって付勢され、回転レバー5が第2回転方向W2に回転することで、右フレーム24の係合部242と係合する。係合爪531と係合部242とが係合することによって、閉位置に位置するフロントカバー31が、開位置側へ移動することが規制される。
【0054】
一方、係合爪531と係合部242とが係合した状態から、回転レバー5が第1回転方向W1に回転して係合爪531と係合部242との係合状態が解除されると、フロントカバー31の移動が許容され、閉位置に位置するフロントカバー31の開位置側への移動が可能となる。
【0055】
つまり、第3アーム53の係合爪531と、圧縮バネ6と、右フレーム24の係合部242とによって、フロントカバー31のロック機構が構成されている。ロック機構は、フロントカバー31が閉位置に位置した状態で係合爪531と係合部242とが係合して、フロントカバー31の開位置側への移動を規制するロック状態と、係合爪531と係合部242との係合状態が解除されて、フロントカバー31の移動を許容する解除状態とを切り替え可能である。
【0056】
このように、フロントカバー31のロック機構は、係合爪531と右フレーム24の係合部242とが係合してフロントカバー31の移動が規制された状態であるロック状態と、係合爪531と右フレーム24の係合部242との係合が解除されフロントカバー31の移動が許容された状態である解除状態とを切り替え可能である。これにより、ロック機構を適切にロック状態に切り替えることができ、フロントカバー31を安定して閉位置に保持することが可能となっている。
【0057】
図4に示すように、フロントカバー31が閉位置に位置してロック機構がロック状態にあるときに、スイッチ32が押下操作されて回転レバー5が第1回転方向W1に回転すると、図6に示すように、係合爪531と係合部242との係合状態が解除されてロック機構は解除状態に切り替わる。また、回転レバー5が第1回転方向W1に回転することで、ロック機構が解除状態に切り替わった後に、第2アーム52の当接部521が、右フレーム24の当て面241に前方から当接する。
【0058】
当接部521が当て面241に当接した後に、スイッチ32の押下操作によって回転レバー5が第1回転方向W1にさらに力を受けると、当接部521が当て面241を後方へ向けて押圧する。図7に示すように、当接部521が当て面241を押圧すると、回転レバー5は当て面241から前方への反力を受け、回転レバー5を支持するフロントカバー31は、回動軸部311を中心として前方へ回動する。
【0059】
フロントカバー31は、第2アーム52の当接部521が右フレーム24の当て面241に当接した際の反力により前方へ回動した後、自重等によってさらに前側へ回動して、開位置まで移動することが可能である。
【0060】
このように、ロック機構がロック状態から解除状態へ切り替わった後に、回転レバー5の当接部521が右フレーム24の当て面241と当接することで、フロントカバー31を開位置へ向けて移動させることができ、フロントカバー31の開閉操作を簡単にすることが可能となっている。
【0061】
また、フロントカバー31は、回転レバー5の当接部521が右フレーム24の当て面241と当接した後に、開位置に向けて移動するように構成されているため、当接部521が当て面241と当接した際の反力によりフロントカバー31を開位置に移動させることが可能である。
【0062】
また、右フレーム24の当て面241は前側に面しており、回転レバー5の当接部521は当て面241に前側から当接し、フロントカバー31は開位置へ移動するときに前側へ向けて移動する。従って、回転レバー5の第1回転方向W1への回転を、当接部521を当て面241に当接させることで止め、その反力によってフロントカバー31を開位置へ向けて移動させることが可能である。
【0063】
この場合、回転レバー5の当接部521は、回転レバー5の回転中心となる回転軸33から、回転軸33の軸方向と交差する第2突出方向に延びているため、当接部521が右フレーム24の当て面241と当接した際の反力を、フロントカバー31が効率的に受けることができる。
【0064】
また、スイッチ32を押下操作してフロントカバー31を開位置側へ移動させる場合には、スイッチ32の押下面321aが第1アーム51の当接面511を押圧することにより回転レバー5が回転して、フロントカバー31を移動させる。このため、スイッチ32を押下操作する速さを変化させることにより、フロントカバー31が開位置側へ移動する速度を調節することが可能である。
【0065】
また、図4に示すように、ロック機構がロック状態にあるときの当接部521と当て面241との距離L1は、ロック機構がロック状態にあるときの圧縮バネ6の長さL2よりも小さくなるように設定されている。つまり、係合爪531が係合部242と係合した状態で、当接部521と当て面241との距離L1は、圧縮バネ6の長さL2よりも小さい。従って、回転レバー5を、圧縮バネ6を圧縮させながら、圧縮バネ6の付勢力に抗して回転させることができる。これにより、当接部521が右フレーム24の当て面241と当接した際の反力をフロントカバー31が確実に受けることで、簡単にフロントカバー31を開くことができる。
【0066】
また、図8に示すように、回転レバー5の当接部521と右フレーム24の当て面241とは当接点Aにて当接している。回転軸33の軸方向から見て、回転軸33と当接部521の当接点Aとの距離L3は、回転軸33と第1アーム51の当接面511との距離L4よりも小さく設定されている。また、回転軸33の軸方向から見て、回転軸33と当接部521の当接点Aとの距離L3は、回転軸33とスイッチ32との距離L5よりも小さく設定されている。従って、スイッチ32を押下操作して回転レバー5を回転させるときに、当接部521が右フレーム24の当て面241と当接した状態の回転レバー5を、軽い力で回転させてフロントカバー31を開位置側へ向けて移動させることができる。
【0067】
また、回転レバー5を支持する回転軸33は、左右方向において、右フレーム24の左方、つまり左フレーム23と右フレーム24との間に位置している。従って、回転レバー5が、左右方向において左フレーム23および右フレーム24よりも外側に飛び出すことがなく、画像形成装置1の小型化を図ることが可能である。
【0068】
また、スイッチ32により押圧される回転レバー5の当接面511、右フレーム24に当接する回転レバー5の当接部521、および右フレーム24の係合部242に係合する係合爪531は、回転軸33を中心とした第1回転方向W1において、当接面511、当接部521、および係合爪531の順に位置している。従って、スイッチ32の押下操作によって回転レバー5を小さな回転ストロークで回転させることにより、フロントカバー31を開位置側へ向けて移動させることが可能となっている。
【0069】
また、画像形成装置1においては、当接点Aと回転軸33の軸心Pとを結んだ直線Xと、前後方向に沿って延びる仮想線Yとのなす角θは、45度以上となるように設定されている。
【0070】
このように、直線Xと仮想線Yとのなす角θを45度以上とすることで、回転レバー5が回転して当接部521が右フレーム24の当て面241と当接したときに、フロントカバー31に対して開位置へ移動する方向の力を効率良く加えることが可能である。なお、角θは、フロントカバー31に対して力を効率良く加えるといった観点からは、45度以上かつ135度以下であることが好ましい。
【0071】
また、回転軸33は、フロントカバー31が閉位置にあるときに、前後方向において軸心Pが右フレーム24の当て面241と同じ位置、または当て面241よりも前側に位置するように配置されている。このように回転軸33を配置することで、回転レバー5が回転して当接部521が右フレーム24の当て面241と当接したときに、フロントカバー31に対して、フロントカバー31が開位置へ移動する方向の力を効率良く加えることができる。また、回転レバー5と右フレーム24とが干渉することを抑制でき、回転軸33と当接部521との距離を小さくすることができる。
【0072】
なお、フロントカバー31に対して力を効率良く加えるといった観点からは、回転軸33は、前後方向において、右フレーム24の当て面241が回転軸33の直径Rの範囲内に位置するように配置されることが好ましい。
【0073】
図9に示すように、右フレーム24は、係合部242の前方に傾斜面243を有している。回転レバー5の第3アーム53は、右フレーム24の傾斜面243に押圧される被押圧面532を有している。傾斜面243は、前側へ向かうにつれて右側へ傾斜している。被押圧面532は、圧縮バネ6の付勢力により、傾斜面243に対して右側へ向けて押圧されている。前側は、フロントカバー31の開位置側であり、右側は、被押圧面532の押圧方向における下流側である。
【0074】
図9(a)には、スイッチ32の押下操作によって回転レバー5が第1回転方向W1に回転して、回転レバー5の係合爪531と右フレーム24の係合部242との係合が解除され、当接部521が当接した当て面241からの反力によりフロントカバー31が前方へ回動した状態を示している。
【0075】
図9(a)に示す状態からスイッチ32の押下操作を停止すると、図9(b)に示すように、圧縮バネ6の付勢力により回転レバー5が第2回転方向W2に回転して、回転レバー5の被押圧面532が、右フレーム24の傾斜面243に右側へ向けて押圧される。被押圧面532が傾斜面243に押圧されると、傾斜面243は右側へ向かうにつれて前側へ傾斜しているため、回転レバー5および回転レバー5を支持するフロントカバー31は前側へ移動する。
【0076】
図9(c)に示すように、被押圧面532がさらに傾斜面243に押圧され、回転レバー5が第2回転方向W2に回転してスイッチ32を押下操作する前の位置まで戻ると、回転レバー5およびフロントカバー31は、さらに前側へ移動する。
【0077】
つまり、回転レバー5が第1回転方向W1に回転することで、係合爪531と係合部242との係合が解除されるとともに、当接部521が当て面241と当接した後に、回転レバー5が圧縮バネ6の付勢力によって第2回転方向W2に回転することで、被押圧面532が傾斜面243に押圧されて、フロントカバー31が開位置に向けて移動するように構成されている。被押圧面532が傾斜面243に押圧されることで開位置に向けて移動したフロントカバー31は、その後、自重により開位置まで移動することが可能である。
【0078】
このように、回転レバー5の被押圧面532が圧縮バネ6の付勢力により右フレーム24の傾斜面243に押圧されることで、フロントカバー31が開位置側へ移動するため、フロントカバー31を安定して開位置に移動させることが可能となっている。
【0079】
この場合、フロントカバー31は、下端部の回動軸部311を中心として前斜下方へ回動することにより開位置側へ移動する。下端部は、回転軸33の軸方向における一端部の一例である。また、図10に示すように、回転レバー5の被押圧面532が押圧される右フレーム24の傾斜面243は、下側へ向かうにつれて右側へ傾斜しており、傾斜面243に押圧される被押圧面532を有する第3アーム53には、下向きの力が傾斜面243から作用する。
【0080】
従って、被押圧面532が傾斜面243に押圧された際に、第3アーム53は上方へ浮き上がることがなく、傾斜面243から受けた開位置側へ向かう力をフロントカバー31に効果的に伝達することができ、フロントカバー31を円滑に開位置へ移動させることが可能である。
【0081】
また、開位置に位置するフロントカバー31を閉位置に移動させる場合には、開位置にあるフロントカバー31を閉位置側へ押し操作することで、フロントカバー31を閉位置へ移動させるとともに、ロック機構を解除状態からロック状態へ切り替えることができる。
【0082】
具体的には、開位置にあるフロントカバー31を閉位置側へ押し操作すると、回転レバー5が後方へ移動して、回転レバー5の被押圧面532が右フレーム24の傾斜面243に前側から当接する。被押圧面532が傾斜面243に当接した状態で回転レバー5が後方へ移動すると、被押圧面532が傾斜面243に押圧されて、回転レバー5が圧縮バネ6の付勢力に抗して第1回転方向W1に回転する。その後、フロントカバー31が閉位置に到達すると、回転レバー5の係合爪531が右フレーム24の係合部242に係合して、ロック機構を解除状態からロック状態に切り替わる。
【0083】
この場合、後方へ移動する回転レバー5が当接する右フレーム24の傾斜面243は、前後方向に対して傾斜しており、回転レバー5は後方への移動に伴って第1回転方向W1に回転するため、回転レバー5が傾斜面243から受ける前方への反力はさほど大きくない。従って、フロントカバー31を開位置から閉位置へ移動させるときに、フロントカバー31の移動を妨げることがなく、フロントカバー31に片閉まり等の開閉不良が発生することを抑制できる。
【0084】
なお、画像形成装置1においては、スイッチ32、回転レバー5、圧縮バネ6、ならびに右フレーム24の当て面241、係合部242、および傾斜面243等によって、フロントカバー31の開閉機構が構成されている。
【0085】
また、本実施形態においては、フロントカバー31のロック機構および開閉機構は、フロントカバー31の右端部に備えられているが、フロントカバー31の左端部に備えることもできる。また、フロントカバー31のロック機構および開閉機構は、フロントカバー31の左端部および右端部の両方に備えることもできる。
【0086】
フロントカバー31のロック機構および開閉機構を、フロントカバー31の左端部または右端部の一方に備えた場合、ロック機構および開閉機構を備えていない側の左フレーム23または右フレーム24に、フロントカバー31を開位置側へ押圧するバネ等の押圧部材を装着することができる。これにより、フロントカバー31を閉位置に移動させる際に、フロントカバー31が受ける開位置側への押圧力を左右でより均等にすることができ、フロントカバー31に片閉まり等の開閉不良が発生することをより抑制できる。
【符号の説明】
【0087】
1 画像形成装置
2 筐体
2A 開口
5 回転レバー
6 圧縮バネ
23 左フレーム
24 右フレーム
31 フロントカバー
32 スイッチ
33 回転軸
241 当て面
242 係合部
243 傾斜面
521 当接部
531 係合爪
532 被押圧面
A 当接点
L1 (ロック機構がロック状態にあるときの当接部と当て面との)距離
L2 (ロック機構がロック状態にあるときの圧縮バネの)長さ
L3 (回転軸と当接部との)距離
L4 (回転軸と当接面との)距離
W1 第1回転方向
W2 第2回転方向
X (当接点と回転軸の軸心とを結んだ)直線
Y (前後方向に沿って延びる)仮想線
θ (直線Xと仮想線Yとのなす)角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10