(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034207
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】付替えポンプ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
B65D47/34 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138297
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】先曽 洋一
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB12
3E084FA01
3E084FA03
3E084FA09
3E084FB01
3E084FC07
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
3E084LF01
(57)【要約】
【課題】ポンプ本体を一個の部材として取り外すことができ、分別廃棄が容易な付替えポンプを提供する。
【解決手段】上端開口のシリンダ4内に、中空のステム14と連係するピストン13を摺動可能にかつ抜け出し不能に挿入してなるポンプ本体2と、ポンプ本体2の上部に着脱可能に取り付けたカバー部材20とを具備する。カバー部材20は、前記シリンダ4の上端側に取外し可能に組み付けられ、かつ、容器体100の口頸部102の外面へ装着可能な装着キャップ22と、装着キャップ22の上部に昇降可能に嵌合させたヘッド本体32を有し、ヘッド本体32から、前記ステム14と連通するノズル46を突設させてなるノズルヘッド30と、前記ノズルヘッド30を上方へ付勢する付勢手段48とを備える。前記ステム14は前記ノズルヘッド30に連係させた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端開口のシリンダ(4)内に、中空のステム(14)と連係するピストン(13)を摺動可能にかつ抜け出し不能に挿入してなるポンプ本体(2)と、
このポンプ本体(2)の上部に着脱可能に取り付けたカバー部材(20)とを具備し、
前記カバー部材(20)は、
前記シリンダ(4)の上端側に取外し可能に組み付けられ、かつ、容器体(100)の口頸部(102)の外面へ装着可能な装着キャップ(22)と、
前記ステム(14)の上方に配置されたヘッド本体(32)からノズル(46)を突設させてなり、かつ、前記装着キャップ(22)の上部に昇降可能に嵌合されたノズルヘッド(30)と、
前記ノズルヘッド(30)を上方へ付勢する付勢手段(48)と、
を備え、前記ステム(14)が前記ノズルヘッド(30)と連動して昇降するようにノズルヘッド(30)側に連係させたことを特徴とする、付替えポンプ。
【請求項2】
前記ステム(14)の上部に取り付けられ、当該ステム(14)から前記ノズル(46)の内側へ延びるように配設した、屈曲可能なパイプ部材(50)を具備していることを特徴とする、請求項1に記載の付替えポンプ。
【請求項3】
前記ヘッド本体(32)の下面には、前記パイプ部材(50)を挿入するためのパイプ挿通孔(I)が開口されており、
前記パイプ部材(50)の長手方向の一部に、前記伸縮及び屈曲変形が可能な易変形部(56)を形成し、この易変形部(56)を前記ヘッド本体(32)内で屈曲させることにより、前記パイプ部材(50)が前記パイプ挿通孔(I)から前記ヘッド本体(32)の内部を経て前記ノズル(46)の内側へ突入されていることを特徴とする、請求項2に記載の付替えポンプ。
【請求項4】
前記ノズルヘッド(30)は、前記ヘッド本体(32)から前記ノズル(46)の先端に亘って、前記パイプ挿通孔(I)を含む下半部(30a)と、当該下半部の上面を開閉可能な上蓋である上半部(30b)とに2分割させてなることを特徴とする、請求項3に記載の付替えポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付替えポンプ、特にポンプ容器に使用される付替えポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポンプ容器の分野においては、組立て作業の効率化し、かつ、外観形状などを顧客の注文に応じて変更することを速やかに行うため、当該容器の各部品を予め組み立てて、これらの部品を一つにまとめた集合体とすること(モジュール化)が要請されている。
この要請に応えるため、ポンプ機構をモジュール化した吐出ポンプ(付替えポンプ)が提案されている(特許文献1)。そのポンプ機構は、シリンダ内に、中空のステムの下部に連結させたピストンガイドを挿入させ、かつ、ピストンガイドにシリンダに摺接するピストンを連係させ、ピストンの抜止め筒をシリンダの上部に嵌入し、ステムの上部に設けた受部と抜止め筒との間に、ステムを上方付勢するコイルスプリングを介装させてなる。
このポンプ機構のステムにノズルヘッドを、前記シリンダに、容器体の口頸部に嵌合する装着キャップを後付けで取り付けることで吐出ポンプを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今のゴミ処理事情においては、金属クズを廃プラスチック類から分別して廃棄することが求められている。故にポンプ式吐出器に金属製のコイルスプリングが含まれているときには、これを分別する必要がある。
しかしながら、特許文献1のポンプの場合には、モジュール化されたポンプ機構にコイルスプリングが組み込まれているため、分別廃棄が容易ではなかった。
【0005】
本発明の第1の目的は、ポンプ本体を一個の部材として取り外すことができ、分別廃棄が容易である付替えポンプを提供することであり、第2の目的は、付替え作業の際にポンプの外装部分を再利用できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、上端開口のシリンダ4内に、中空のステム14と連係するピストン13を摺動可能にかつ抜け出し不能に挿入してなるポンプ本体2と、
このポンプ本体2の上部に着脱可能に取り付けたカバー部材20とを具備し、
前記カバー部材20は、
前記シリンダ4の上端側に取外し可能に組み付けられ、かつ、容器体100の口頸部102の外面へ装着可能な装着キャップ22と、
前記ステム14の上方に配置されたヘッド本体32からノズル46を突設させてなり、かつ、前記装着キャップ22の上部に昇降可能に嵌合されたノズルヘッド30と、
前記ノズルヘッド30を上方へ付勢する付勢手段48と、
を備え、前記ステム14が前記ノズルヘッド30と連動して昇降するようにノズルヘッド30側に連係させた。
【0007】
本手段では、付替えポンプは、
図1に示す如く、ポンプ本体2に対してカバー部材20を着脱可能に取り付けてなる。
前記カバー部材20は、容器体100の口頸部102の外面へ装着する装着キャップ22と、この装着キャップ22の上部に昇降可能に嵌合させたノズルヘッド30と、前記ノズルヘッド30を上方へ付勢する付勢手段48とを備える。前記ポンプ本体2のステム14はノズルヘッド30と連動して昇降するようにノズルヘッド30側に連係している。
この構造によれば、装着キャップ22の上部にノズルヘッド30を着脱自在に嵌合させてなるカバー部材20を、ポンプ本体2に着脱自在に取り付け、ノズルヘッドの付勢手段48をカバー部材20に設けたから、ポンプ本体のモジュール化に適した構成を前提として、カバー部材20を再利用でき、かつ、ポンプ容器を分別廃棄する際にポンプ本体をそのまま廃棄することができる。
【0008】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ。記ステム14の上部に取り付けられ、当該ステム14から前記ノズル46の内側へ延びるように配設した、屈曲可能なパイプ部材50を具備している。
【0009】
本手段では、前述のステム14とノズル46とを連通する手段として、屈曲可能なパイプ部材50を用いている。
この構造によれば、中空ヘッド内の内容物の流路をパイプ部材50により形成することができる。
【0010】
第3の手段は、第2の手段を有し、かつ前記ヘッド本体32の下面には、前記パイプ部材50を挿入するためのパイプ挿通孔Iが開口されており、
前記パイプ部材50の長手方向の一部に、前記伸縮及び屈曲変形が可能な易変形部56を形成し、この易変形部56を前記ヘッド本体32内で屈曲させることにより、前記パイプ部材50が前記パイプ挿通孔Iから前記ヘッド本体32の内部を経て前記ノズル46の内側へ突入されている。
【0011】
本手段では、
図3の左下に示すように、パイプ部材50の長手方向の一部に、伸縮及び屈曲変形が可能な易変形部56を形成している。
この構造によれば、顧客の注文などに対応した所要の形態のノズルヘッドを有するカバー部材を、モジュール仕様のポンプ本体に組み付ける作業において、多様なノズルヘッドの形態に対応して易変形部56の伸縮及び屈曲変形により適切に対応でき、作業効率が高まる。
【0012】
第4の手段は、第3の手段を有し、かつ前記ノズルヘッド30は、前記ヘッド本体32から前記ノズル46の先端に亘って、前記パイプ挿通孔Iを含む下半部30aと、当該下半部の上面を開閉可能な上蓋である上半部30bとに2分割させてなる。
【0013】
本手段では、前記ノズルヘッド30は、
図3に示すように、前記ヘッド本体32から前記ノズル46の先端に亘って、前記パイプ挿通孔Iを含む下半部30aと、当該下半部の上面を開閉可能な上蓋である上半部30bとに2分割させてなる。
この構造によれば、ノズルヘッド30にパイプ部材50を取り付ける作業において、
図4(A)に示す如く上蓋30bの開蓋状態でパイプ挿通孔Iにパイプ部材50を挿通させ、次に、
図4(B)に示すように易変形部56を屈曲させ、次に上蓋30bを閉蓋することにより、前記取付け作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、付替えポンプを分別して廃棄するときに、ポンプ本体を一個の部材として取り外してそのまま廃棄できるために、分別廃棄が容易である。また、ポンプの外装部分であるノズルヘッド及び装着キャップを再利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る付替えポンプの断面図である。
【
図2】
図1に示す付替えポンプのポンプ本体の断面を示す図である。
【
図4】
図1に示す付替えポンプのノズルヘッドにパイプ部材を取り付ける作業の説明図であり、同図(A)は上蓋の開蓋状態でパイプ挿通孔にパイプ部材を挿入する段階を、また同図(B)はパイプ部材の易変形部を屈曲させて上蓋を閉蓋する段階を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1から
図4は、本発明の実施形態に係る付替えポンプ1を示している。
この付替えポンプは、ポンプ本体2と、カバー部材20と、パイプ部材50とからなる。
ポンプ本体2、パイプ部材50、並びに、カバー部材20のうちで後述のノズルヘッド30及び装着キャップ22は、例えば合成樹脂材で形成することができる。
前記付替えポンプ1は、
図1に想像線で示す容器体100の口頸部102に装着して使用される。同図中、103は前記口頸部102の外面に形成された第1オネジ部である。容器体100の内容物を使い切ったときには、ポンプ本体2ごと、別途に用意した付替え容器と付け替える。
なお、本明細書において、「付替えポンプ」とは付替え容器のポンプという意味である。
図2に付替え容器の流通時の形態を一部省略して示している。同図中で、符号19で示す部材は捨てキャップである。
【0017】
ポンプ本体2は、モジュール仕様に形成されている。
ここで、「モジュール仕様」とは、形態上まとまりのある一個の部材として組み立てることが可能な構造であることをいう。
以下の解説では、ポンプ本体の構造のうち従来公知の事柄に関しては簡略に説明する。
本実施形態では、ポンプ本体2は、
図1に示す如く、シリンダ4の下部内に弁部材8を載置するとともに、シリンダ4の上部内に、ピストン13及びステム14を含む作動部材10を昇降可能に収容させて、この作動部材10の抜出し防止用の抜止め筒16を、シリンダ4の上部(後述の延長筒部4b)に取り付けている。
前記シリンダ4は、シリンダ周壁4aの下端から縮径部kを介して、吸い上げパイプを取り付けるための取付筒部5を垂設しており、かつ前記シリンダ周壁4aの外面上端から突設する外向きフランジ6の下面にパッキングPを取り付けるとともに、前記シリンダ周壁4aから延長筒部4bを上方へ延設している。また図示例では、前記外向きフランジ6の下側に位置させて、前記シリンダ周壁4aに通気孔jを開口している。
もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
前記弁部材8は、前記縮径部kに載置された縦長の部材である。弁部材8の下部には、複数の弾性支承片を介して支えられた弁板9が配備されており、この弁板9と前記縮径部kに形成した弁座とで、第1逆止弁V1が形成されている。
本実施形態の作動部材10は、中空で縦筒状のステム14の下部に連結させたピストンガイド12をシリンダ4の上部内に挿入させるとともに、前記ピストンガイド12の周囲に、シリンダ4の内面に摺接する筒状のピストン13を上下動可能に連係させ、このピストン13の上側で、前記ステム14と抜止め筒16との間に、前記通気孔jを開閉するための開閉筒15を嵌挿させてなる。前記ピストンガイド12の筒壁の下端部からは、鍔状部12aが外方突設されており、この鍔状部12aと前記ピストン13の下端部とで第2逆止弁V2が形成されている。もっとも、これらの構造は適宜変更することができ、たとえば第1逆止弁V1及び第2逆止弁V2の態様は変更することができる。
前記抜止め筒16は、図示例において、前記延長筒部4bを内外両側から挟持する2重筒状に形成されており、その外筒部の外面に後述の起立筒26に螺合させるための第2オネジ部17が形成されている。
これらの構造は適宜変形することができる。
本発明のポンプ本体2が従来のものと異なる点は、ステムを上方へ押し上げる付勢手段(コイルスプリングなど)を装備しておらず、ポンプ本体2の外部に配置した付勢手段を利用してステム14が上方へ牽引されるように構成したことである。ポンプ本体が金属製の付勢手段を有しないから、分別廃棄の際に、ポンプ本体全体をそのまま廃棄できる。
【0018】
カバー部材20は、前記ポンプ本体2の上部を囲み、かつ、当該ポンプ本体2に対して着脱可能に取り付けられている。
本実施形態において、前記カバー部材20は、装着キャップ22と、ノズルヘッド30と、付勢手段であるコイルスプリング48とで構成されている。
これら構成要素のうちで、装着キャップ22及びノズルヘッド30は、容器体に装着させた状態での付替えポンプの外装部分である。前述のように、顧客からの注文に応じた外観形状の変更を想定して、付替えポンプをモジュール仕様のポンプ本体と外装部分とに分けることにより、組立て作業を効率化できる。その上でコイルスプリング48をカバー部材20に組み込むことにより、分別廃棄も容易となる。
【0019】
前記装着キャップ22は、本実施形態では、前記シリンダ4の外向きフランジ6に取外し可能に組み付けられた装着筒23を有し、この装着筒23の上端から内向きのフランジ状壁部25を介して起立筒26を立設させている。
前記装着筒23の内面には、前記第1オネジ部103とかみ合う第1メネジ部24が形成されている。
また前記起立筒26の下部の内面には、前記抜止め筒16の第2オネジ部17とかみ合う第2メネジ部27が形成されている。
本実施形態では、前記第1オネジ部103及び第1メネジ部24と、第2オネジ部17及び第2メネジ部27との螺旋の向きを反対にしている。
すなわち、前記第1オネジ部103及び第1メネジ部24は順ねじに、また第2オネジ部17及び第2メネジ部27は逆ねじにそれぞれ形成している。
また前記第2メネジ部27の上側に位置させて、前記起立筒26の内面には、コイルスプリング48を支持するための下側保持部29が形成されている。図示例の下側保持部29は、内向きフランジ状の環状リブに形成されているが、その構造は適宜変更することができる。
また前記下側保持部29の上面には、前記起立筒26に連設させて、前記コイルスプリング48の外面へ当接して保持するための複数の下側当接板r1を付設している。
また前記起立筒26の上端側には、後述の垂下筒38と連係させるための周状の起立筒側係止リブ28が形成されている。
【0020】
前記ノズルヘッド30は、前記装着キャップ22の起立筒26に対して昇降可能かつ着脱自在に嵌合されている。
前記ノズルヘッド30は、
図1に示す如く、前記装着キャップ22の上側に配置されたヘッド本体32から筒状のノズル46を外方(図示例では側外方)へ突設させてなる。
そして、前記ヘッド本体32の底板33の適所(図示例では中央部)に、後述のパイプ部材50を挿入するためのパイプ挿通孔Iを開口し、パイプ挿通孔Iの周囲から、連結筒34を、また前記底板33の周端から、連結筒34より長い垂下筒38をそれぞれ垂設されている。
【0021】
前記ヘッド本体32は、中空の筐体であり、
図1に示すように、パイプ部材50がパイプ挿通孔Iからヘッド本体32の内部を経てノズル46内へ至ることが可能に構成されていれば、どのような構造でも構わない。従って、ノズルヘッド30の設計上の自由度が大となる。
【0022】
前記垂下筒38は、前記起立筒26の上部に、昇降自在かつ摺動可能に嵌合されている。図示例の垂下筒38は、起立筒26の外面に嵌合されているが、起立筒26の内面に嵌合させても構わない。
前記垂下筒38の下端側には、ノズルヘッド30が上限位置にあるときに、前記起立筒側係止リブ28の下面に係止(アンダーカット結合)させるための周状の垂下筒側係止リブ39が形成されている。
これら起立筒側係止リブ28と垂下筒側係止リブ39とにより、前記垂下筒38が起立筒26から不意に抜け出すことを防止する係合部Sを形成している。
なお、起立筒側係止リブ28及び垂下筒側係止リブ39は、利用者が前記垂下筒38を前記起立筒26から強制的に引き抜くことにより、相互に分離することができる。
これらの構成は適宜変更することができ、例えば起立筒側係止リブ28及び垂下筒側係止リブ39の形状は周状でなくても構わない。
また、起立筒側係止リブ28及び垂下筒側係止リブ39の外面のそれぞれにネジ部を設けてもよく、その場合、利用者が前記垂下筒38と前期起立筒26を回転(螺合)させて相互に分離することもできる。
【0023】
前記連結筒34は、前記ステム14の上端部の外面に嵌着されており、前記ノズルヘッド30を下降させたときに、連結筒34を介してステム14が押し下げられるように形成している。
前記連結筒34の内面下端側には、周状の牽引用突起35が形成されている。
この牽引用突起35は、後述の継手管52の突起受53の下側にアンダーカット結合しており、継手管52を介して前記ステム14に連係している。
これら牽引用突起35及び前記突起受53により、ステム14をヘッド本体32側へ連係手段Tを形成している。ノズルヘッド30が上昇するときには、前記連係手段Tを介して前記ステム14が引き上げられる。
【0024】
また前記垂下筒38及び連結筒34の間では、
図1に示す如く、前記底板33より後述のコイルスプリング48の上端に当接させる複数の上側当接板r2が垂設されており、これら上側当接板r2の下端部で前記コイルスプリング48の上端部を保持する上側保持部40を形成している(
図3参照)。
図示例では、前記複数の上側当接板r2は、下側から見て垂下筒38の半径方向に配向され、前記垂下筒38及び連結筒34に両端部を連設させている。そして、前記上側当接板r2を切り欠くことにより、この切欠きnがコイルスプリング48の外面に当接するように形成している。
【0025】
前記ノズル46は、本実施形態では、前記ヘッド本体32の側面から側外方(水平方向外側)へ突設された直筒状の部位であるが、その配置・向き・形状は適宜変更することができる。
図示例のノズル46は、液体の吐出筒だけではなく、
図1に示すように、後述のパイプ材54の先部57を嵌合・保持するための保持筒としての役割を有する。もっとも、この構造は適宜変更することができる。
前記ノズル46の先端部の内面には、後述の先部57の係止リブaを嵌着して係止させるための受溝bが周設されている。
【0026】
本実施形態では、前記ノズルヘッド30は、
図1に示す如く、前記ヘッド本体32から前記ノズル46の先端に亘って、前記パイプ挿通孔Iを含む基盤部(下半部)30aと、当該下半部の上面を開閉可能な上蓋(上半部)30bとに2分割させている。
図示例では、これら基盤部30a及び上蓋30bをノズル46の突出方向と反対側でヒンジhにより連結しており、ヒンジhを中心として、前記上蓋30bを、
図3に示す開蓋位置(180°反転位置)へ回転させることが可能に設けている。
このノズルヘッド30は、
図3の開蓋状態で金型成形することができる。
図示例においては、まず、
図1に示す横筒状のノズル46は、その筒軸оを含む水平面により、筒軸方向から見て半円形状の下側分割片46aと上側分割片46bとに分割されている。
そして、前記ヘッド本体32は、下側分割片46aと連続する本体下半部32aと、上側分割片46bに連続する本体上半部32bとに分割されている。
前記本体上半部32bは、天板42の周端から蓋周壁44を垂設してなり、この蓋周壁44は前記底板33の外周部に載置されている。
前記本体下半部32aは、前記底板33の上面から、前記蓋周壁44の内面下端部に着脱可能に嵌合する嵌合筒部37を立設してなる。
そして、
図1の状態で、前記ヒンジhの反対側で蓋周壁44から外方へ前記ノズル46の上側分割片46bを延設するとともに、前記底板33側から上側分割片46bの下面と重なり合う下側分割片46aを突設している。
また前記底板33には、前記パイプ挿通孔Iから前記下側分割片46aへ連続する横溝部gを凹設している。
なお、図示しないが、上蓋30bの裏面から垂下壁部を垂設させてもよい。この垂下壁部は、上蓋が閉蓋の状態の時、大径管部52bの上端部に当接又は近接させている。
図1の状態で、前記垂下壁部は、易変形部56と連結筒34との間の位置(すなわちヒンジ側)に配置させる。
【0027】
前記コイルスプリング48は、前記ノズルヘッド30を上方に付勢する手段であり、前記下側保持部29と前記上側保持部40との間に取外し可能に介装している。
コイルスプリング48の素材は、金属とすることが好適である。
本実施形態の構造によれば、金属製のコイルスプリング48は、ポンプ本体2の外側に配置されているから、内容物が金属と化学反応を生ずる性質のものであっても、内容物との接触を回避することができ、カバー部材20の内側に配置されているから、浴室などにポンプ容器を置いても、外部の水に接して錆びるなどの不都合を生じにくい。
なお、コイルスプリング48は、付勢手段48の一例であり、ノズルヘッド30を付勢できればどのような形態でもよい。
【0028】
パイプ部材50は、前記ステム14の上部に取り付けられ、当該ステム14から前記ノズル46の内側へ延びる部材である。
本実施形態のパイプ部材50は、継手管52と、パイプ材54とで形成されている。
もっともこの構造へ適宜変更することができ、例えば継手管52は省略しても構わない。この場合には、継手管52の代わりに前記ステム14の上部を前記連結筒34に嵌着すればよい。
【0029】
前記継手管52は、剛性を有し、前記ステム14及び前記ステム14を接続する継手の役割を果たす。図示例の継手管52は、下半部である小径管部52aから段差cを介して大径管部52bを突出して成る。
前記小径管部52aの外面には、ステム14が嵌着されており、かつ、このステム14の上端は前記段差cに突き当てられている。
前記大径管部52b内には、後述のパイプ材54の基部55が嵌着されている。
また前記大径管部52bの外面は、前記連結筒34内に嵌着され、固定させている。
大径管部52bの外面の上端側には、前記牽引用突起35の下側に係止(アンダーカット連結)する突起受53が形成されている。図示例の突起受53は、周状のリブとして形成されているが、その形態は適宜変更することができる。
【0030】
前記パイプ材54は、パイプ部材50の本体であり、長手方向の少なくとも一部(図示例では長手方向の中間部)が屈曲可能に形成されている。
本実施形態では、
図3に示すように、パイプ材54の中間部を、屈曲及び伸縮変形が可能な蛇腹状の易変形部56に形成している。そして、この易変形部56の両側に、相対的に変形しにくい直筒状の基部55及び先部57を連設させている。
前記パイプ材54は、前記基部55を前記継手管52の大径管部52b内に嵌着せるとともに、前記易変形部56を前記ヘッド本体32内で屈曲及び伸長させて、前記先部57をノズル46内へ突入させることにより、前記ノズルヘッド30内に配備されている。
前記パイプ材54の先部57の外面には、前記ノズル46内の受溝bと嵌合する係止リブaが周設されている。
【0031】
前記構成において、本発明の付替えポンプ1を組み立てるときには、
図3に示すように、モジュール化されたポンプ本体2のステム14に、パイプ部材50の継手管52の小径管部52aを嵌着させる。次に、ヘッド本体32の上半部である上蓋30bを開蓋させた状態で、ヘッド本体32の内部へ、下側から、パイプ部材50を嵌着したポンプ本体2を挿入する。
そして、
図4(A)に示すように、パイプ部材50をパイプ挿通孔Iに挿通させ、さらにカバー部材20に対してポンプ本体2を押し上げることにより、突起受53の下側に牽引用突起35を係止させる。
次に、
図4(A)に想像線で示すようにパイプ材54の先部57を上方に引き上げて、易変形部56を引き延ばし、先部57をノズル46の下側分割片46aへ倒すことにより、易変形部56を屈曲させ、かつ、前記先部57の横向き状態での下側部分を、前記下側分割片46a及び横溝部g内へ嵌合させる。
この際に前記先部57の係止リブaを、前記下側分割片46aの受溝b部分に嵌め合わせる。ここで、前記易変形部56は伸縮可能であるから、パイプ部材50の長さが足りずに、係止リブaを受溝b部分に嵌め合わせることができないということがない。
次に、前記ヒンジhを中心として、ノズルヘッド30の上蓋30bを回転させ、基盤部30aと重ね合わせる。この際に本体下半部32aの嵌合筒部37が本体上半部32bの蓋周壁44に嵌合させることにより、前記重ね合わせ状態が保持される。
【0032】
前記付替えポンプ1を使用するときには、カバー部材20の装着筒23を容器体100の口頸部102に螺合させ、
図1の状態からノズルヘッド30を押し下げればよい。そうすると、ノズルヘッド30の垂下筒38が装着キャップ22の起立筒26に沿って下方へ摺動し、ノズルヘッド30とともにステム14が下降し、シリンダ4内の液体が第2逆止弁V2、ステム14、パイプ部材50の内部を通って、ノズル46の先端から吐出される。
ノズルヘッド30の押下げを解放すると、コイルスプリング48の弾性復元力により、ノズルヘッド30が上昇し、ノズルヘッド側の牽引用突起35と継手管52の突起受53とを介してステム14が引き上げられる。これにより、シリンダ4内が負圧化し、第2逆止弁V2が閉じるとともに、容器体100内の液体が第1逆止弁V1を介して前記シリンダ4内に流入する。
【0033】
次に付替容器の交換方法について説明する。
容器体100内の内容物を最後迄使い切った後、当該容器体100から付替えポンプ1を外す。
次に装着キャップ22を逆ネジの開方向へ回転させて、ポンプ本体2から分離させる。ポンプ本体2はそのまま破棄する。
そして、上蓋30bを開蓋し、上方からパイプ部材50を引き抜く。このパイプ部材はそのまま破棄する。
カバー部材20は再利用する。但し、使えなくなった場合(例えばコイルスプリング48が弾性疲労により劣化した場合)には、ノズル46を装着キャップ22から引き抜き、コイルスプリング48を取り外して分別廃棄する。
次に新しい付替容器と新しいパイプ部材を用意する。そして、捨てキャップ19を外し、パイプ部材50を付替えポンプ1にセットし、カバー部材20の装着キャップ22を容器体100に螺着する。
【0034】
前記構成及び作用によれば、装着キャップ22の上部にノズルヘッド30を昇降可能かつ着脱自在に嵌合させてなるカバー部材20を、ポンプ本体2に着脱自在に取り付けるから、ポンプ本体2のモジュール化に適した構造であり、ノズルヘッドの付勢手段48をカバー部材20に設けたから、分別廃棄の際にポンプ本体をそのまま捨てることができ、かつ、カバー部材20を再利用できる。
ノズルヘッド30の内容物の流路はパイプ部材50で形成することができる。
そして屈曲及び伸縮が可能なパイプ部材50でステム14とノズル46とを連通させるから、多様な形態のノズルヘッドに対してパイプ部材50の屈曲及び伸縮変形により対応できる。
ノズルヘッド30は、パイプ挿通孔Iを含む基盤部(下半部)30aと、上蓋(上半部30b)とに2分割させたから、パイプ部材50の取り付け作業が容易である。
【符号の説明】
【0035】
1…付替えポンプ 2…ポンプ本体 4…シリンダ 4a…シリンダ周壁
4b…延長筒部 5…取付筒部 6…外向きフランジ 8…弁部材 9…弁板
10…作動部材 12…ピストンガイド 12a…鍔状部 13…ピストン
14…ステム 15…開閉筒 16…抜止め筒 17…第2オネジ部
19…捨てキャップ
20…カバー部材 22…装着キャップ 23…装着筒 24…第1メネジ部
25…フランジ状壁部 26…起立筒 27…第2メネジ部
28…起立筒側係止リブ 29…下側保持部
30…ノズルヘッド 30a…下半部(基盤部) 30b…上半部(上蓋)
32…ヘッド本体 32a…本体下半部 32b…本体上半部
33…底板 34…連結筒 35…牽引用突起
37…嵌合筒部 38…垂下筒 39…垂下筒側係止リブ 40…上側保持部
42…天板 44…蓋周壁 46…ノズル 46a…下側分割片 46b…上側分割片
48…コイルスプリング(付勢手段)
50…パイプ部材 52…継手管 52a…小径管部 52b…大径管部
53…突起受 54…パイプ材 55…基部 56…易変形部 57…先部
100…容器体 102…口頸部 103…第1オネジ部
a…係止リブ b…受溝 c…段差 g…横溝部 h…ヒンジ
I…パイプ挿通孔 j…通気孔 k…縮径部 n…切欠き о…筒軸
P…パッキン r1…下側当接板 r2…上側当接板 S…係合部 T…連係手段
V1…第1逆止弁 V2…第2逆止弁