(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034223
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
F24F 7/007 20060101AFI20240306BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F7/06 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138329
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 隆志
【テーマコード(参考)】
3L056
3L058
【Fターム(参考)】
3L056BD07
3L056BF02
3L058BK02
3L058BK08
3L058BK09
(57)【要約】
【課題】レンジフードのファン吸込口の開状態をユーザに報知する制御を、消費電力を抑制して実現する。
【解決手段】近接センサ140は、着脱可能な整流板110の近接有無を検出することで、ファン120の吸込口の開状態及び閉状態を検知する。サブマイコン165は、ファン120の動作を制御するとともに近接センサ140の検出信号を受ける。メインマイコン155は、ユーザによる操作部105を制御する。メインマイコン155及びサブマイコン165は、通信線152及び絶縁素子170を経由したマイコン間通信が可能である。レンジフード100の運転がオフされている状態において、サブマイコン165が、吸込口の閉状態、及び、ファン120の停止状態を検知すると、メインマイコン155及びサブマイコン165への電源供給を維持したままで、マイコン間通信が停止される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンジフードであって、
ファンと、
前記ファンの吸込口に対して着脱可能に取り付けられたカバー部材と、
前記吸込口が、前記カバー部材が取付けられた閉状態及び前記カバー部材が取外された開状態のいずれであるかを検知する検知器と、
ユーザ操作のためのユーザインターフェイス部と、
前記ファンの動作を制御するとともに前記検知器の出力信号を受ける第1制御部と、
前記ユーザインターフェイス部に対応して設けられた第2制御部と、
前記第1制御部及び前記第2制御部の間の通信手段とを備え、
前記レンジフードの運転がオフされている状態において、前記第1制御部が前記吸込口が前記閉状態であること、及び、前記ファンが停止状態であることを検知すると、前記第1制御部及び前記第2制御部への電源供給を維持したままで、前記通信手段による前記第1制御部及び前記第2制御部の間の通信が停止される、レンジフード。
【請求項2】
前記第1制御部及び前記第2制御部の間の通信が停止された状態において、前記レンジフードの運転がオンされたとき、又は、前記第1制御部が前記検知器の出力信号により前記吸込口の前記開状態を検知したときに、前記通信手段による前記第1制御部及び前記第2制御部の間の通信が開始される、請求項1記載のレンジフード。
【請求項3】
前記第1制御部及び前記第2制御部の間の通信が停止された期間において、前記ファンへの電源供給は継続される、請求項1又は2に記載のレンジフード。
【請求項4】
前記第1制御部は、前記吸込口が前記閉状態であり、かつ、前記ファンが停止状態である期間において第1の値から第2の値に変化する第1ステータス信号を生成し、
前記第2制御部は、前記レンジフードの運転がオフされている状態であり、かつ、前記第1ステータス信号が前記第2の値である期間において、前記第1の値から前記第2の値に変化する第2ステータス信号を生成し、
前記第1ステータス信号及び前記第2ステータス信号の両方が前記第2の値であることを条件に、前記第1制御部及び前記第2制御部の間の通信が停止される、請求項1又は2に記載のレンジフード。
【請求項5】
前記第1制御部の第1電源電圧を生成する電源1次側の電力変換器と、
前記第2制御部及び前記ユーザインターフェイス部の第2電源電圧を生成する電源2次側の電力変換器とを備え、
前記電源1次側及び前記電源2次側は電気的に絶縁されており、
前記通信手段は、前記第1制御部及び前記第2制御部の間の通信経路に接続された、前記電源1次側及び前記電源2次側の電気的な絶縁を確保して信号を伝送するための絶縁素子を含む、請求項1又は2に記載のレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードに関し、より特定的には、ファンのカバー部材を備えたレンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
コンロ等の調理器具の上方に配設されるレンジフードでは、フードに内蔵されたファンの回転によって、調理の際に発生する油煙等の調理ガスをフード内部に吸い込んで、屋外等に排気することが一般的である。更に、レンジフードの構成の一態様として、ファンの吸込口に人の手が入らない様にするためのカバー部材を、ユーザのメンテナンス性確保のために容易に着脱可能に配置する機種が存在する。
【0003】
特許第5777968号公報(特許文献1)には、この様な構造のレンジフードにおいて、当該カバー部材の取り外しを検知する手段(リミットスイッチ)と、ファン(送風機)が駆動していることを検知する手段とを配置して、送風機の駆動が検出されているときにカバー部材の取り外しが検知されると、警報器(ブザー)が作動する制御が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レンジフードでは、ユーザインターフェイス側及びファン側のそれぞれに別個の制御部(マイコン)を配置する構成が採用されることがある。一例として、上述の警報器を含むユーザインターフェイス部分の機器と、ファンの関連機器との間で電源を絶縁するために、この様な構成が採用されることがある。
【0006】
この様な構成において、特許文献1の様にカバー部材及びファンの状態に応じてユーザインターフェイス側で警報を発するためには、ユーザインターフェイス側の制御基板(マイコン)と、ファン側の制御基板(マイコン)との間で相互に通信して、情報を送受信することが必要となる。
【0007】
一方で、ユーザの安全面に配慮すると、ファン(送風機)の通電状態に関わらず、カバー部材の着脱状態(即ち、ファン吸込口の開閉状態)に応じてユーザに警報を出力可能な制御とすることが好ましい。しかしながら、この場合には、ファンの停止時における、ユーザインターフェイス側及びファン側の間の通信による消費電力の増大が懸念される。
【0008】
本発明はこの様な問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、レンジフードのファン吸込口の開状態をユーザに報知する制御を、消費電力を抑制して実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある局面によれば、レンジフードは、ファンと、カバー部材と、検知器と、インターフェイス部と、第1制御部と、第2制御部と、第1制御部及び第2制御部の間の通信手段とを備える。カバー部材は、ファンの吸込口に対して着脱可能に取り付けられる。検知器は、吸込口が、カバー部材が取付けられた閉状態及びカバー部材が取り外された開状態のいずれであるかを検知する。第1制御部は、ファンの動作を制御するとともにセンサの検出信号を受ける。第2制御部は、インターフェイス部に対応して設けられる。レンジフードの運転がオフされている状態において、第1制御部が、吸込口が閉状態であること、及び、ファンが停止状態であることを検知すると、第1制御部及び第2制御部への電源供給を維持したままで、通信手段による第1制御部及び第2制御部の間の通信が停止される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レンジフードのファンの吸込口の開状態をユーザに報知する制御を、消費電力を抑制して実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態に係るレンジフードの外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示されたレンジフードの下面側の第1の斜視図である。
【
図3】
図1に示されたレンジフードの下面側の第2の斜視図である。
【
図4】本実施の形態に係るレンジフードの制御系の構成を説明するブロック図である。
【
図5】
図4の制御系における省電力運転の比較例を説明する概念的なタイミングチャートである。
【
図6】本実施の形態に係るレンジフードの省電力運転のための制御処理を説明するフローチャートである。
【
図7】
図6に示された省電力運転での動作例を説明するシーケンス図である。
【
図8】
図5に示された比較例に係る省電力運転におけるファン起動時の動作例を説明するシーケンス図である。
【
図9】本実施の形態に係るレンジフードの省電力運転におけるファン起動時の動作例を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお以下では、図中の同一又は相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0013】
図1は、本実施の形態に係るレンジフードの外観を示す斜視図である。
【0014】
図1に示される様に、レンジフード100は、調理器具の代表例として示されるコンロ10の上方に配設される。コンロ10には、1個または複数個のバーナ12が配設され、各バーナ12に対応して操作部11が設けられている。又、コンロ10には、図示しないグリル部が配置されてもよい。各バーナ12及びグリル(図示せず)は、操作部11等へのユーザ操作に応じて、作動(燃焼)又は停止される。
【0015】
レンジフード100は、枠部材101と、照明102と、整流板110と、操作部105と、筐体に内蔵されるファン120(例えば、シロッコファン)とを備える。
【0016】
整流板110は、枠部材101の下縁によって形成される開口部に着脱可能に取り付けられる。整流板110が上記開口部に取り付けられた状態でファン120を回転駆動すると、枠部材101及び整流板110の隙間115から空気が吸い込まれて、図示しないダクトを通じて屋外へ排出される。
【0017】
操作部105は、ユーザ操作用の各種スイッチ、スピーカ、LED(Light Emitting Diode)による表示部等を含む。操作部105は、「ユーザインターフェイス部」の一例に相当する。ユーザは、操作部105を操作することによって、レンジフード100の運転オンオフを、直接的に指示することができる。照明102のオンオフ(点灯/消灯)についても、操作部105へのユーザ操作に応じて制御することができる。
【0018】
或いは、レンジフード100の運転オン及び運転オフの少なくとも一方は、コンロ10の作動及び停止に連動して制御されてもよい。この場合は、コンロ10の操作部11のユーザ操作に連動して、レンジフード100の運転が、オン及び/又はオフされる。同様に、照明102のオンオフについても、コンロ10の動作と連動して制御されてもよい。
【0019】
図2及び
図3には、
図1に示されたレンジフードの下面側の斜視図が示される。
図2には、整流板110が取付けられた状態の斜視図が示される。一方で、
図3には、整流板110が取外された状態の斜視図が示される。
【0020】
図2を参照して、整流板110は、枠部材101の下縁によって形成される開口部よりも一回り小さい形状を有する。このため、整流板110が取り付けられた状態において、枠部材101と整流板110の間には、空気の通り道となる隙間115が形成される。
【0021】
図3を参照して、枠部材101の下面には、整流板110に設けられた被係止金具(図示せず)を係止するための係止金具111と、整流板110に設けられた連結金具(図示せず)を連結するためのロック部112とを有する。整流板110の被係止金具及び連結金具と、枠部材101下面の係止金具111及びロック部112とによって、整流板110を枠部材101に対して着脱可能とすることができる。
【0022】
図3に示される、整流板110が取り外された状態では、ファン120の下部に設けられた開口部で形成されるファン吸込口125が開状態となっており、回転体であるファン120(
図3ではシロッコファン)がユーザに対して露出される。
図2及び
図3から理解される様に、整流板110は、ファン吸込口125の「カバー部材」の一実施例に対応する。
【0023】
ファン吸込口125が開状態のときは、ユーザが回転体に直接接触し得る状態となっている。このため、安全面から、ファン吸込口125が開状態であることについては、操作部105等のユーザインターフェイスを通じて、ユーザに確実に報知することが望まれる。
【0024】
例えば、整流板110が取付けられた状態であるか否かを検出するためのセンサとして、非接触式の近接センサを配置することで、整流板110が取り付けられていないときに、ファン吸込口125の開状態を検知することができる。尚、リミットスイッチ等の機械式のセンサを用いて、整流板110が取付けられた状態であるか否かを検出することも可能である。この様に、ファン吸込口125が開状態であるか否かを検知可能であれば、任意のセンサを用いることができる。
【0025】
図4には、本実施の形態に係るレンジフードの制御系の構成を説明するブロック図が示される。
【0026】
図4を参照して、レンジフード100では、ファン側とユーザインターフェイス側との間で電気的な絶縁を確保するために、操作部105等のユーザインターフェイスを制御するためのメインマイコン155と、ファン120を制御するためのサブマイコン165とのそれぞれに対応させて、グランドが異なる電源1次側及び電源2次側が設けられる。
【0027】
サブマイコン165は、ファン120の近傍に配設された電源基板160に搭載される。電源基板160には、電気的に絶縁されたメインマイコン155及びサブマイコン165の間の相互通信(以下、「マイコン間通信」とも称する)のための電気的な絶縁素子170と、商用系統等の交流電源5と接続された電力変換器180,190とが更に搭載される。
【0028】
絶縁素子170には、光結合方式のフォトカプラ、又は、磁気結合或いは容量結合を利用したアイソレータIC(Integrated Circuit)等を適用することができる。絶縁素子170及びメインマイコン155の間には、通信線152が接続される。これにより、メインマイコン155及びサブマイコン165は、マイコン間通信することができる。即ち、通信線152及び絶縁素子170は「通信手段」の一実施例に対応する。
【0029】
電力変換器190は、交流電源5からの交流電圧を、電源1次側のDC電源電圧Vdc1に変換する。これに対して、電力変換器180は、交流電源5からの交流電圧を、電源2次側のDC電源電圧Vdc2に変換する。DC電源電圧Vdc1は「第1電源電圧」に対応し、DC電源電圧Vdc2は「第2電源電圧」に対応する。又、サブマイコン165は「第1の制御部」の一実施例に対応し、メインマイコン155は「第2の制御部」の一実施例に対応する。
【0030】
サブマイコン165は、電源1次側のDC電源電圧Vdc1の供給を受けて動作する。ファン120は、電源電圧Vdcxを受けて回転動作するDCファンモータ130を含む。DCファンモータ130には、回転速度及び電流等を検出するためのファンセンサ135が設けられる。DCファンモータ130の回転速度は、ファン120の回転速度と等価である。ファンセンサ135による検出値は、サブマイコン165に入力され、更に、通信線152及び絶縁素子170を介したマイコン間通信により、メインマイコン155へ送信される。
【0031】
サブマイコン165は、メインマイコン155からの動作指令に基づいて、ファン120の動作を制御する。当該動作指令は、DCファンモータ130の目標回転速度を含む。サブマイコン165は、目標回転速度に応じて、DCファンモータ130に印加される電圧を制御する。
【0032】
例えば、PWM(Pulse Width Modulation)制御によって、DCファンモータ130に印加されるDC電圧(平均値)を制御することで、DCファンモータ130(即ち、ファン)の回転速度が制御される。一例として、サブマイコン165からファン120に対して、メインマイコン155からの目標回転速度に対応した、PWM制御のデューティ比を指示する指令電圧が与えられると、DCファンモータ130に対する電源電圧Vdcxの印加をオンオフするための半導体スイッチング素子(図示せず)が当該デューティ比に従ってオンオフ制御される、これにより、当該指令電圧に応じたデューティ比のパルス電圧が、DCファンモータ130に印加される。尚、パルス電圧のデューティ比は、ファンセンサ135によって検出されたDCファンモータ130の回転速度と、目標回転速度との偏差を補償するためのフィードバック制御によって決められてもよい。
【0033】
又、サブマイコン165からファン120に対しては、PWM制御が適用されたパルス信号が、上述の半導体スイッチング素子のオンオフ制御信号として与えられてもよい。
【0034】
ファン120の停止指令時には、DCファンモータ130の目標回転速度はゼロに設定されて、DCファンモータ130には電圧が印加されない状態となる。尚、ファン120に対する電源電圧Vdcxの供給をオンオフするための給電スイッチ(図示せず)が更に配置されてもよい。
【0035】
サブマイコン165には、整流板110の着脱を検知するための近接センサ140の出力信号が入力される。近接センサ140は、取付け状態における整流板110の近傍に配置されて、検出物体である整流板110の近接の有無を検知することができる。サブマイコン165は、近接センサ140の出力信号に基づいて、ファン吸込口125が整流板110が取り付けられた閉状態と、整流板110が取り外された開状態とのいずれであるかを検知することができる。近接センサ140は「検知器」の一実施例に対応する。
【0036】
ファン吸込口125が開状態及び閉状態のいずれであるかを示す情報は、通信線152及び絶縁素子170を介したマイコン間通信によって、サブマイコン165からメインマイコン155へ送信される。
【0037】
電力変換器180によって生成された、電源2次側のDC電源電圧Vdc2は、操作基板150へ伝達される。操作基板150には、DC電源電圧Vdc2の供給を受けて動作する、メインマイコン155、LED156、及び、ブザー157が搭載される。
【0038】
メインマイコン155は、上述の様に、通信線152及び絶縁素子170を介したマイコン間通信により、サブマイコン165との間で情報を送受信することができる。更に、メインマイコン155には、赤外線通信等により、コンロ10のマイクロコンピュータ(図示)からの信号を受信することができる。これにより、コンロ10の運転に連動した、レンジフード100の制御が実現できる。
【0039】
メインマイコン155は、操作部105へのユーザ操作に応じた信号を受けるとともに、ユーザ操作に応じてレンジフード100を動作させるための各種の制御指令を生成する。制御指令には、レンジフード100の運転オンオフと連動した、ファン120の動作指令(目標回転速度)が含まれる。或いは、ファン120に上述の給電スイッチが配置されている場合には、動作指令には、当該給電のオンオフ指令が更に含まれてもよい。
【0040】
更に、メインマイコン155は、操作部105での表示内容、並びに、LED156及びブザー157の動作を制御する。従って、メインマイコン155は、LED156及びブザー157を用いて、ユーザに対して異常(エラー)を報知することができる。即ち、LED156及びブザー157についても「ユーザインターフェイス部」の一例に対応する。或いは、メインマイコン155は、操作部105を用いて、ユーザに異常を報知してもよい。本実施の形態に係るレンジフード100では、メインマイコン155は、サブマイコン165から送信された情報を用いて、ファン吸込口125の開状態であるときには、ユーザに対して異常を報知する機能を有する。
【0041】
次に、レンジフード100の消費電力を削減するための省電力運転について説明する。例えば、レンジフード100の運転がオフされており、かつ、照明102も消灯されているときには、マイコン間通信の消費電力が支配的になる。一方で、ファン吸込口125の開状態を検知してユーザに報知するためには、マイコン間通信の実行が必要であるので、ファン吸込口125の開状態の検知機能と、消費電力の削減との両立が課題となる。
【0042】
図5は、
図4の制御系における省電力運転の比較例を説明する概念的なタイミングチャートである。
【0043】
図5を参照して、時刻txでは、近接センサ140によってファン吸込口125の閉状態が検知されている下で、予め定められた省電条件が成立する。これに応じて、時刻t0から、サブマイコン165及びファン120への電源供給を停止する省電力運転が実行される。即ち、比較例では、ファン120に上述の給電スイッチが配置されていることが前提とされており、ファン120の電源オフ期間では当該給電スイッチはオフされる。
【0044】
一方で、省電力運転中には、ファン吸込口125の状態(開/閉のいずれであるか)を監視するために、サブマイコン165については、電源供給が継続的に停止されるのではなく電源オン期間が間欠的に設けられる。例えば、一定の周期Tc毎に、サブマイコン165の電源オン期間が設けられると、各電源オン期間において、サブマイコン165は、近接センサ140の出力信号を取得して、マイコン間通信によってメインマイコン155に転送する。
【0045】
時刻tyでは、省電条件が成立している下で、近接センサ140がファン吸込口125の閉状態から開状態への変化を検知する。時刻ty以降で最初に設けられたサブマイコン165の電源オン期間において、メインマイコン155は、近接センサ140の出力信号に基づいて、ユーザに異常(エラー)を報知することができる。この結果、省電力運転中であっても、定期的にファン吸込口125の状態を監視することができる。
【0046】
しかしながら、比較例では、サブマイコン165の電源オン期間が間欠的に設けられる毎にマイコン間通信による消費電力が発生するので、
図5の周期Tcをある程度長くしないと電力削減効果は小さくなる。一方で、当該周期Tcを長くすると、ファン吸込口125の閉状態から開状態に変化してから、サブマイコン165の電源がオンされるまでのタイムラグが長くなる可能性があり、ユーザに対する異常報知が遅れることが懸念される。この様なトレードオフの関係に照らして、比較例に係る省電力運転には、改善の余地があることが理解される。
【0047】
次に、
図6を用いて、本実施の形態に係るレンジフードの省電力運転のための制御処理を説明する。本実施の形態に係る省電力運転では、メインマイコン155及びサブマイコン165により、
図6のフローチャートに示された制御処理が実行される。
【0048】
メインマイコン155は、ステップ(以下、単に「S」とも表記する)110では、メインマイコン側の省電条件Mが成立しているか否かを判定する。代表的には、レンジフード100の運転がオフされているときに、省電条件Mが成立していると判断されて、S110はYES判定とされる。省電条件が成立しないときには、S110はNO判定とされる。
【0049】
一例として、レンジフード100の運転がオフの状態とは、操作部105においてレンジフード100の運転スイッチ(図示せず)がオフされており、コンロ10等との連動による運転オンが指示されていない状態を意味するものとする。
【0050】
或いは、省電条件Mには、操作部105、LED156、及び、ブザー157に対する動作指令が生成されていないことが更に含まれてもよい。この場合には、レンジフード100の運転がオフされており、かつ、操作部105、LED156、及び、ブザー157に対する動作指令が生成されていないときに、S110はYES判定とされる。この様に、省電条件Mは、少なくとも、レンジフード100の運転がオフされていることを含む。
【0051】
メインマイコン155は、S120では、サブマイコン165からの、通信停止の可否を示すステータス信号ST1の値を確認する。ステータス信号ST1は「第1ステータス信号」に対応する。ステータス信号ST1が、通信停止「可」を示す値(「第2の値」に対応)である場合にはS120はYES判定とされ、通信停止が「否」を示す値(「第1の値」に対応)である場合では、S120はNO判定とされる。
【0052】
メインマイコン155は、S110及びS120での判定結果に従って、S130,S140により、サブマイコン165に対する通信指示を示すステータス信号ST2を設定する。ステータス信号ST2は「第2ステータス信号」に対応する。
【0053】
具体的には、S110及びS120の両方がYES判定である場合には、ステータス信号ST2は、サブマイコン165に対して通信の「停止」を指示する値(「第2の値」に対応)に設定される(S130)。一方で、S110及びS120の少なくとも一方がNO判定であると、ステータス信号ST2は、サブマイコン165に対して通信の「開始」を指示する値(「第1の値」に対応)に設定される(S140)。
【0054】
更に、S140では、通信の「開始」を指示する値のステータス信号ST2が、マイコン間通信を用いて、サブマイコン165へ送信される。これに対して、S130では、ステータス信号ST2の値が前回値から変化したときに、変化後のステータス信号ST2の値が、サブマイコン165に送信される。即ち、ステータス信号ST2が「停止」を指示する値に維持される期間中には、ステータス信号ST2の値がサブマイコン165に対して都度送信されることはない。
【0055】
メインマイコン155は、S150では、メインマイコン155からのステータス信号ST2に従ったサブマイコン165からのデータ受信が無いことを確認する。「停止」を指示する値のステータス信号ST2の送信に応答して、サブマイコン165からのデータ受信が無くなると、S150がYES判定とされて、処理はS160に進められる。メインマイコン155は、S160では、サブマイコン165に対する通信を停止する。
【0056】
これに対して、「開始」を指示する値のステータス信号ST2の送信後においてサブマイコン165からのデータ受信がある場合、S150がNO判定とされて、処理はS170に進められる。メインマイコン155は、S170では、サブマイコン165に対する通信を実行する。
【0057】
次に、サブマイコン165での制御処理を説明する。サブマイコン165は、S210では、サブマイコン側の省電条件Sが成立しているか否かを判定する。例えば、DCファンモータ130(即ち、ファン120)の回転速度がゼロ、即ち、ファン120が停止状態であるときに、省電条件Sが成立していると判断されて、S210はYES判定とされる。
【0058】
一方で、DCファンモータ130の回転速度がゼロでないときには、省電条件Sが成立しないと判断されて、S210はNO判定とされる。従って、レンジフード100の運転がオフされて、ファン120の停止(目標回転速度=0)が指示された後でも、DCファンモータ130の回転速度がゼロになるまでの間は、S210はNO判定とされる。
【0059】
サブマイコン165は、S220では、近接センサ140の出力信号に基づいて、ファン吸込口125が閉状態であるか否かを判定する。閉状態であるときには、S220はYES判定され、開状態であるときは、S220はNO判定とされる。
【0060】
サブマイコン165は、S210及びS220での判定結果に従って、S230,S240により、通信可否を示すステータス信号ST1を設定する。
【0061】
具体的には、S210及びS220の両方がYES判定である場合、即ち、省電条件S(210)が成立し、かつ、近接センサ140によってファン吸込口125が閉状態であることが検知されている場合には、S230により、ステータス信号ST1は、メインマイコン155との通信停止が「可」であることを示す値に設定される。
【0062】
これに対して、S110及びS120の少なくとも一方がNO判定であると、S240により、ステータス信号ST1は、メインマイコン155との通信停止が「否」であることを示す値に設定される。即ち、省電条件Sが成立していても、ファン吸込口125が開状態であることが検知されている場合には、ステータス信号ST1は、メインマイコン155との通信停止が「否」であることを示す値に設定される。
【0063】
更に、S240では、通信停止の「否」を指示する値のステータス信号ST1が、マイコン間通信を用いて、メインマイコン155へ送信される。これに対して、S230では、ステータス信号ST1の値が前回値から変化したときに、変化後のステータス信号ST2の値が、メインマイコン155に送信される。即ち、ステータス信号ST1が通信停止の「可」を示す値に維持される期間中には、ステータス信号ST1の値がメインマイコン155に対して都度送信されることはない。
【0064】
サブマイコン165は、ステータス信号ST1が、通信停止が「否」であることを示す値に設定されると(S240)、S270に処理を進めて、メインマイコン155との通信を実行する。
【0065】
一方で、ステータス信号ST1が、メインマイコン155との通信停止が「可」であることを示す値に設定されると(S230)、サブマイコン165は、S250により、メインマイコン155のステータス信号ST2が、通信の「停止」を指示する値に設定されているか否かを判定する。そして、メインマイコン155は、S250がYES判定の場合には、S260により、メインマイコン155との通信を停止する。
【0066】
この様に、ステータス信号ST1及びST2を相互に確認することにより、メインマイコン側及びサブマイコン側の両方で所定の省電条件が成立し、かつ、近接センサ140によってファン吸込口125が閉状態である期間において、メインマイコン155及びサブマイコン165によるマイコン間通信が停止される。
【0067】
又、本実施の形態に係る省電力運転では、
図5に示された比較例とは異なり、省電条件の成立後においても、サブマイコン165の電源はオフされず、
図6に示された制御処理(S210~S270)が実行される。このため、マイコン間通信の停止中に、近接センサ140によってファン吸込口125が開状態に変化したことが検知されると、直ちにS220がNO判定に転じることで、マイコン間通信が開始される。これにより、ファン吸込口125が開状態であることを示す情報が、サブマイコン165からメインマイコン155に伝達されるので、
図5の比較例で説明した様なタイムラグを生じさせることなく、ユーザに対して異常(エラー)を報知することができる。
【0068】
一般的に、サブマイコン165が
図6の制御処理を実行する際の消費電力は、マイコン間通信の消費電力よりも大幅に小さい。従って、マイコン間通信が定期的(周期Tc)に実行される
図5の比較例に対して、省電条件の成立後におけるサブマイコン165の消費電力を削減することが可能である。
【0069】
図7には、
図6に示された省電力運転での動作例を説明するシーケンス図が示される。
【0070】
図7において、時刻t1では、近接センサ140によってファン吸込口125が閉状態であることが検知されているが、省電条件S(S210)が不成立のため、サブマイコン側のステータス信号ST1は、通信停止が「否」であることを示す値に設定される。
【0071】
これに応じて、メインマイコン155において、ステータス信号ST2は、通信の「開始」を指示する値に設定される。時刻t2には、このステータス信号ST2が、メインマイコン155からサブマイコン165へ送信される。
【0072】
時刻t3においても、サブマイコン側の状態は時刻t1と同様であるので、ファン吸込口125の状態を示す情報、及び、ステータス信号ST1は、時刻t1と同様の内容で、サブマイコン165からメインマイコン155に送信される。これにより、時刻t4において、時刻t2と同様のステータス信号ST2が、メインマイコン155からサブマイコン165に送信される。
【0073】
時刻t5aでは、メインマイコン側で省電条件Mが成立する。これに応じて、或いはそれ以前に、ファン120に対して停止(目標回転速度=0)の指示が発せられている。これに応じて、DCファンモータ130の回転速度は低下する。
【0074】
時刻t5bにおいて、近接センサ140によってファン吸込口125の閉が検知されている下で、DCファンモータ130の回転速度がゼロになることでサブマイコン側の省電条件Sが成立する。これに応じて、サブマイコン165では、ステータス信号ST1が、通信停止の「可」を示す値に変更される。時刻t6では、通信停止の「可」を示す値のステータス信号ST1が、サブマイコン165からメインマイコン155へ送信される。
【0075】
メインマイコン155では、このステータス信号ST1に応じてS120がYES判定されるため、ステータス信号ST2が、通信の「停止」を指示する値に変更される。このステータス信号ST2(通信を「停止」)は、時刻t7にて、メインマイコン155からサブマイコン165へ送信される。
【0076】
これに応じて、サブマイコン165では、S250がYES判定とされることで、通信が停止される(S260)。一方で、メインマイコン155では、それまでに送信されたステータス信号ST2(通信を「開始」)に応じて、既にサブマイコン165から送信されたデータの受信が終了すると、S150がYES判定に転じることで、通信が停止される(S160)。メインマイコン155及びサブマイコン165の両方で通信が停止される結果、マイコン間通信が停止されて、消費電力が削減される。
【0077】
図6のフローチャートから理解される通り、マイコン間通信の停止後において、代表的にはレンジフード100の運転オンに応じて、メインマイコン側の省電条件Mが成立しなくなると、ステータス信号ST1,ST2の値が変わることによって、マイコン間通信が再開される。
【0078】
更に、メインマイコン側及びサブマイコン側の両方において省電条件の成立が継続されていても、近接センサ140によってファン吸込口125の開状態が検知されると、マイコン間通信は再開される。
【0079】
図7の例では、時刻t9において、サブマイコン165において、省電条件が成立している下で、近接センサ140によってファン吸込口125の開状態が検知される。これにより、サブマイコン165では、S220がNO判定とされることにより、ステータス信号ST1が通信停止を「否」とする値に変更される。
【0080】
時刻t10では、変更後のステータス信号ST1(通信停止「否」)が、ファン吸込口125が開状態であることを示す情報とともに、サブマイコン165からメインマイコン155へ送信される。これに応じて、メインマイコン155では、S120がNO判定とされることで、ステータス信号ST2が通信の「開始」を指示する値に変更され、時刻t11では、当該ステータス信号ST2(通信「開始」)が、メインマイコン155からサブマイコン165へ送信される。これにより、マイコン間通信が再開される。
【0081】
更に、メインマイコン155では、時刻t10にサブマイコン165から送信された情報を用いて、ファン吸込口125の開状態である異常(エラー)を、LED156及びブザー157等を用いて、ユーザに対して報知することができる。
【0082】
上述した様に、本実施の形態に係る省電力運転では、消費電力が大きいマイコン間通信を停止した上で、サブマイコン165の電源オフ期間は設けられず、電源供給が維持される。この結果、マイコン間通信の停止中においてもファン120への電源供給を維持すると、省電力運転からの復帰の際のファン120の起動に対しても、以下に説明する効果が生じる。
【0083】
図8は、比較例(
図5)に係る省電力運転におけるファン起動時の動作例を説明するシーケンス図である。
【0084】
図8に示される様に、比較例に係る省電力運転では、時刻taにおいて、省電力条件が成立すると、
図5で説明した様に、サブマイコン165及びファン120の電源もオフされる。時刻taでは、例えば、
図6での省電条件M(S110)及び省電条件S(S210)の両方が成立する。
【0085】
時刻tbにおいて、操作部105に対するユーザ操作、又は、コンロ10との連動によって、レンジフード100の運転がオンされると、省電条件が不成立となって省電力運転が終了される。これに応じて、メインマイコン155からの動作指令に応じて、サブマイコン165及びファン120が電源オンされて、両者への電源供給が再開される。更に、メインマイコン155からサブマイコン165には、ファン120の作動のための動作指令が送信される。
【0086】
この際に、サブマイコン165に対して電源オンが指示されることで電源供給が開始されてから、実際にファン120が作動を開始(起動)するまでの間に下記の様なタイムラグが発生する。まず、サブマイコン165の電源起動のための所要時間T1(例えば、0.5~1[秒])、及び、マイコン起動処理の所要時間T2(例えば、1.5~2[秒])が発生する。
【0087】
サブマイコン165の起動処理が終了すると、メインマイコン155との間で、通信開始指示及びその応答が送受信されることで、マイコン間通信が再開される。マイコン間通信が再開されると、時刻tcにおいて、DCファンモータ130の目標回転速度が、メインマイコン155からサブマイコン165へ送信される。この際にマイコン間通信の成立の所要時間T3は、例えば、0.1~0.2[秒]程度である。
【0088】
そして、時刻tdにおいて、サブマイコン165は、メインマイコン155からの目標回転速度に応じた制御指令(例えば、上述のPWM制御の指令)をファン120に対して出力する。
【0089】
ファン120は、サブマイコン165からの制御指令に応じて、ファン起動の遅延時間T4(例えば、0.1~0.2[s])を伴って、時刻teで動作(回転)を開始する。これにより、レンジフード100の運転のオンに応答した、ファン120の起動が実現される。
【0090】
この様に、
図5で説明した比較例によれば、省電力運転が終了される時刻tbからファン120が実際に起動する時刻teまでの間には、上述のT1+T2+T3+T4(例えば、3[秒]前後程度)のタイムラグが発生することが理解される。
【0091】
尚、比較例に係る省電力運転中には、サブマイコン165及びファン120への電源供給が停止され。このため、
図8において、サブマイコン165及びファン120への電源供給が再開される時刻tbから、再起動後のサブマイコン165からファン120に制御指令が送信される時刻tdまでの間には、上述のT1+T2+T3のタイムラグが発生する。このため、ファン120への電源供給が時刻tbで再開される際に、ファン120の電源起動に係る処理は、時刻tcまでに終了可能であることが期待できる。即ち、ファン120への電源供給を再開する際の所要時間が、省電力運転終了からファン起動までのタイムラグに影響する可能性は低い。
【0092】
図9は、本実施の形態に係るレンジフードの省電力運転におけるファン起動時の動作例を説明するシーケンス図である。
【0093】
図9の例では、時刻tb以前では、メインマイコン側及びサブマイコン側の両方で省電条件(S110,S210)が成立し、かつ、ファン吸込口125が閉状態であるため、マイコン間通信を停止する省電力運転が実行されている。本実施の形態に係る省電力運転では、マイコン間通信が停止される一方で、メインマイコン155及びサブマイコン165の電源はオフされず、電源供給は維持されている。
【0094】
更に、マイコン間通信の停止中においても、ファン120への電源供給は維持されている。ファン120に上述の給電スイッチが配置されている場合には、マイコン間通信の停止中に当該給電スイッチはオンに維持される。尚、本実施の形態に係るレンジフード100では、ファン120に給電スイッチは配置されていなくてもよく、この場合には、自然に、マイコン間通信の停止中におけるファン120への電源供給は維持される。
【0095】
図8と同様に、時刻tbにおいて運転スイッチ(SW)がオンされると、メインマイコン側において、省電条件(S110)が不成立となって、ステータス信号ST2が通信の「開始」を指示する値に変更され、かつ、当該ステータス信号ST2をサブマイコン165に送信することで、メインマイコン155及びサブマイコン165の両方で通信が実行される状態となる(S170,S270)。即ち、メインマイコン155及びサブマイコン165の間での送受信を伴わずに、マイコン間通信の停止が解かれる。
【0096】
従って、メインマイコン155は、サブマイコン165からの信号の受信を待つことなく、時刻tcにおいて、DCファンモータ130の目標回転速度を、サブマイコン165に対して送信することができる。この結果、時刻tb~tcの間において、
図8での所要時間T1~T3が不要になる。
【0097】
時刻tdにおいて、
図8と同様に、サブマイコン165は、メインマイコン155からの目標回転速度に応じた制御指令(例えば、上述のPWM制御のデューティ比の指令電圧)をファン120に対して出力する。
【0098】
ファン120は、サブマイコン165からの制御指令に応じて、
図8と同様の遅延時間T4(例えば、0.1~0.2[s])を伴って、時刻teで動作(回転)を開始する。これにより、レンジフード100の運転オンに応答した、ファン120の起動が実現される。
【0099】
この結果、本実施の形態に係る省電力運転では、時刻tb~teの間には、上述のT4のみのタイムラグが発生することになり、比較例(
図8)に対して、ファン120が起動されるまでのタイムラグを短縮できることが理解される。
【0100】
尚、
図9(本実施の形態)では、時刻tb~tcまでのタイムラグが小さい。このため、
図8(比較例)と同様に、省電条件の成立に応じてファン120への電源供給を停止した場合には、省電力運転が終了される時刻tbにおいてファン120への電源供給が再開された際に、時刻tdまでに、ファン120の電源起動に係る処理が終了しない虞がある。従って、本実施の形態では、サブマイコン165への電源供給が維持されるマイコン間通信の停止時においては、ファン120への電源供給についても維持することが好ましい。
【0101】
以上説明した様に、本実施の形態に係るレンジフードによれば、サブマイコン165でファン吸込口125の開状態が検知されるとマイコン間通信の停止を解除する省電力運転の適用によって、レンジフードのファン吸込口の開状態を速やかにユーザに報知する制御と、消費電力の抑制とを両立することができる。
【0102】
更に、省電力運転では、サブマイコン165への電源供給を維持したままで、ファン吸込口125が閉状態の間にマイコン間通信を停止するので、ファン120への電源供給を併せて維持することにより、省電力運転からファン120を起動する際のタイムラグについても短縮することができる。
【0103】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0104】
5 交流電源、10 コンロ、11 操作部(コンロ)、12 バーナ、100 レンジフード、101 枠部材、102 照明、105 操作部(レンジフード)、110 整流板、111 係止金具、112 ロック部、115 隙間、120 ファン、125 ファン吸込口、130 DCファンモータ、135 ファンセンサ、140 近接センサ、150 操作基板、152 通信線、155 メインマイコン、157 ブザー、160 電源基板、165 サブマイコン、170 絶縁素子、180,190 電力変換器、ST1,ST2 ステータス信号、Vdc1,Vdc2,Vdcx 電源電圧。