(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034224
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20240306BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
F24F7/06 101Z
F24F7/06 101A
F24F7/007 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138331
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 亮
(72)【発明者】
【氏名】藤井 孝平
【テーマコード(参考)】
3L056
3L058
【Fターム(参考)】
3L056BA01
3L056BD07
3L056BF02
3L058BK02
3L058BK08
3L058BK09
(57)【要約】
【課題】レンジフードのファンの電源オンオフのための制御構成を低コスト化する。
【解決手段】電源スイッチ180は、ファン120への電源供給をオンオフする。メインマイコン155は、ユーザインターフェイスのための操作部105に対応して設けられるとともに、電源スイッチ180の制御信号Spwを生成する。サブマイコン165は、ファン120の動作を制御する。メインマイコン155及びサブマイコン165は、電気的に絶縁されており、通信線152及び絶縁素子170を経由したマイコン間通信が可能である。サブマイコン165は、マイコン間通信によりメインマイコン155から制御信号Spwに従って、電源スイッチ180のオンオフを制御する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンジフードであって、
ファンと、
前記ファンへの電源供給をオンオフするための電源スイッチと、
ユーザ操作のためのユーザインターフェイス部と、
前記ファンの動作を制御する第1制御部と、
前記ユーザインターフェイス部に対応して設けられ、前記電源スイッチの制御信号を生成する第2制御部とを備え、
前記第1制御部の第1電源電圧が用いられる電源1次側と、前記第2制御部及び前記ユーザインターフェイス部の第2電源電圧が用いられる電源2次側とは電気的に絶縁されており、
前記レンジフードは、
前記第1制御部及び前記第2制御部の間の通信手段を更に備え、
前記通信手段は、前記電源1次側及び前記電源2次側の電気的な絶縁を確保して信号を伝送するための絶縁素子を含んで構成され、
前記第1制御部は、前記通信手段によって前記第2制御部から伝送された前記制御信号に従って前記電源スイッチのオンオフを制御する、レンジフード。
【請求項2】
前記第2制御部の監視回路を更に備え、
前記監視回路は、前記第2制御部の異常を検知すると、前記第2制御部をリセットさせる様に構成される、請求項1記載のレンジフード。
【請求項3】
前記第2制御部は、前記ユーザインターフェイス部に対する前記ユーザ操作と、前記通信手段によって前記第1制御部から受信した情報とに基づいて、予め定められた前記ファンの電源カット条件が成立すると、前記電源スイッチをオフする様に前記制御信号を生成する、請求項1又は2に記載のレンジフード。
【請求項4】
前記ファンの吸込口に対して着脱可能に取り付けられたカバー部材と、
前記吸込口が、前記カバー部材が取付けられた閉状態及び前記カバー部材が取り外された開状態のいずれであるかを検知する検知器とを更に備え、
前記検知器の出力信号は、前記第1制御部に入力され、
前記第2制御部は、前記第1制御部から前記ファンの回転速度と、前記吸込口が前記開状態であるか否かを示す情報とを前記第1制御部から受信する、請求項3記載のレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードに関し、より特定的には、ファンへの電源供給をオンオフ制御するレンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
コンロ等の調理器具の上方に配設されるレンジフードでは、フードに内蔵されたファンの回転によって、調理の際に発生する油煙等の調理ガスをフード内部に吸い込んで、屋外等に排気することが一般的である。更に、レンジフードの構成の一態様として、ファンの吸込口に人の手が入らない様にするためのカバー部材を、ユーザのメンテナンス性確保のために容易に着脱可能に配置する機種が存在する。
【0003】
特許第5871391号公報(特許文献1)には、この様な構造のレンジフードにおいて、当該カバー部材(防護部材)が取り外されていると判断されると、ファンを回転するモータに通電できなくなる様にする制御が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レンジフードでは、安全面から、ユーザインターフェイス部分の機器と、ファンの関連機器との間で電気的な絶縁を確保する構成が望ましい。この場合には、ユーザインターフェイス側に全体動作を制御するメインマイコンを配置するとともに、ファン側には別個のサブマイコンを配置し、メインマイコン及びサブマイコンが、絶縁された別個の電源でそれぞれ動作する電源構成が採用される。
【0006】
この様な電源構成において、ファンの通電を制御する場合には、ファンのカバー部材の状態のみならず、待機状態の省電力化を図るためにも、全体動作を制御するメインマイコン側で、ファンの通電の制御指令を生成することが望ましい。しかしながら、メインマイコンは、サブマイコンと電気的に絶縁されているので、当該制御指令を伝達するためには絶縁素子を介した信号伝送が必要となる。このため、当該信号伝送のための構成が、コスト上昇を招くことが懸念される。
【0007】
本発明はこの様な問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、レンジフードのファンへの電源供給をオンオフするための制御構成を低コスト化することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面では、レンジフードは、ファンと、ユーザ操作のためのユーザインターフェイス部と、ファンへの電源供給をオンオフするための電源スイッチと、第1の制御部と、第2の制御部と、第1制御部及び第2制御部の間の通信手段とを備える。第1の制御部は、ファンの動作を制御する。第2の制御部は、ユーザインターフェイス部に対応して設けられて、電源スイッチの制御信号を生成する。第1制御部の第1電源電圧が用いられる電源1次側と、第2制御部及びユーザインターフェイス部の第2電源電圧が用いられる電源2次側とは電気的に絶縁される。通信手段は、電源1次側及び電源2次側の電気的な絶縁を確保して信号を伝送するための絶縁素子を含んで構成される。第1制御部は、通信手段によって第2制御部から伝送された制御信号に従って電源スイッチのオンオフを制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電源が絶縁された第1の制御部及び第2の制御部を備えた構成のレンジフードにおいて、ファンへの電源供給をオンオフするための制御構成を低コスト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係るレンジフードの外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示されたレンジフードの下面側の第1の斜視図である。
【
図3】
図1に示されたレンジフードの下面側の第2の斜視図である。
【
図4】比較例に係るレンジフードの制御系の構成を説明するブロック図である。
【
図5】本実施の形態に係るレンジフードの制御系の構成を説明するブロック図である。
【
図6】
図5に示された制御系におけるファンの電源スイッチのオンオフ制御を説明するフローチャートである。
【
図7】本実施の形態の変形例に係るレンジフードの制御系の構成を説明するブロック図である。
【
図8】
図5に示された制御系におけるサブマイコンの異常時の制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお以下では、図中の同一又は相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0012】
図1は、本実施の形態に係るレンジフードの外観を示す斜視図である。
【0013】
図1に示される様に、レンジフード100は、調理器具の代表例として示されるコンロ10の上方に配設される。コンロ10には、1個または複数個のバーナ12が配設され、各バーナ12に対応して操作部11が設けられている。又、コンロ10には、図示しないグリル部が配置されてもよい。各バーナ12及びグリル(図示せず)は、操作部11等へのユーザ操作に応じて、作動(燃焼)又は停止される。
【0014】
レンジフード100は、枠部材101と、照明102と、整流板110と、操作部105と、筐体に内蔵されるファン120(例えば、シロッコファン)とを備える。
【0015】
整流板110は、枠部材101の下縁によって形成される開口部に着脱可能に取り付けられる。整流板110が上記開口部に取り付けられた状態でファン120を回転駆動すると、枠部材101及び整流板110の隙間115から空気が吸い込まれて、図示しないダクトを通じて屋外へ排出される。
【0016】
操作部105は、ユーザ操作用の各種スイッチ、スピーカ、LED(Light Emitting Diode)による表示部等を含む。操作部105は、「ユーザインターフェイス部」の一例に相当する。ユーザは、操作部105を操作することによって、レンジフード100の運転オンオフを、直接的に指示することができる。照明102のオンオフ(点灯/消灯)についても、操作部105へのユーザ操作に応じて制御することができる。
【0017】
或いは、レンジフード100の運転オン及び運転オフの少なくとも一方は、コンロ10の作動及び停止に連動して制御されてもよい。この場合は、コンロ10の操作部11のユーザ操作に連動して、レンジフード100の運転が、オン及び/又はオフされる。同様に、照明102のオンオフについても、コンロ10の動作と連動して制御されてもよい。
【0018】
図2及び
図3には、
図1に示されたレンジフードの下面側の斜視図が示される。
図2には、整流板110が取付けられた状態の斜視図が示される。一方で、
図3には、整流板110が取り外された状態の斜視図が示される。
【0019】
図2を参照して、整流板110は、枠部材101の下縁によって形成される開口部よりも一回り小さい形状を有する。このため、整流板110が取り付けられた状態において、枠部材101と整流板110の間には、空気の通り道となる隙間115が形成される。
【0020】
図3を参照して、枠部材101の下面には、整流板110に設けられた被係止金具(図示せず)を係止するための係止金具111と、整流板110に設けられた連結金具(図示せず)を連結するためのロック部112とを有する。整流板110の被係止金具及び連結金具と、枠部材101下面の係止金具111及びロック部112とによって、整流板110を枠部材101に対して着脱可能とすることができる。
【0021】
図3に示される、整流板110が取り外された状態では、ファン120の下部に設けられた開口部で形成されるファン吸込口125が開状態となっており、回転体であるファン120(
図3ではシロッコファン)がユーザに対して露出される。
図2及び
図3から理解される様に、整流板110は、ファン吸込口125の「カバー部材」の一実施例に対応する。
【0022】
ファン吸込口125が開状態のときは、ユーザが回転体に直接接触し得る状態となっている。このため、安全面から、ファン吸込口125が開状態であるときには、ファン120が作動しない様に、ファン120への電源供給を自動的に遮断することが好ましい。
【0023】
例えば、整流板110が取付けられた状態であるか否かを検出するためのセンサとして、非接触式の近接センサを配置することで、整流板110が取り付けられていないときに、ファン吸込口125の開状態を検知することができる。尚、リミットスイッチ等の機械式のセンサを用いて、整流板110が取付けられた状態であるか否かを検出することも可能である。この様に、ファン吸込口125が開状態であるか否かを検知可能であれば、任意のセンサを用いることができる。
【0024】
又、レンジフード100の運転オフ時には、待機電力を削減するために、ファン120への通電を遮断することが好ましい。この様に、安全面及び消費電力削減の面から、ファン120への電源供給を自動制御するニーズが存在する。
【0025】
図4は、比較例に係るレンジフードの制御系の構成を説明するブロックである。
【0026】
図4を参照して、比較例に係るレンジフード100♯では、ファン側とユーザインターフェイス側との間で電気的な絶縁を確保するために、操作部105等のユーザインターフェイスを制御するためのメインマイコン155と、ファン120を制御するためのサブマイコン165とのそれぞれに対応させて、電気的に絶縁された電源1次側及び電源2次側が設けられる。
【0027】
サブマイコン165は、ファン120の近傍に配設された電源基板160に搭載される。電源基板160には、商用系統等の交流電源5と接続された電力変換器191,192が更に搭載される。
【0028】
電力変換器191は、交流電源5からの交流電圧を、電源1次側のDC電源電圧Vdc1に変換する。これに対して、電力変換器192は、交流電源5からの交流電圧を、電源2次側のDC電源電圧Vdc2に変換する。DC電源電圧Vdc1は「第1電源電圧」に対応し、DC電源電圧Vdc2は「第2電源電圧」に対応する。サブマイコン165は、電源1次側のDC電源電圧Vdc1の供給を受けて動作する。
【0029】
メインマイコン155は、操作基板150に搭載されて、電源2次側のDC電源電圧Vdc2の供給を受けて動作する。メインマイコン155は、操作部105へのユーザ操作に応じた信号を受けるとともに、ユーザ操作に応じてレンジフード100を動作させるための各種の制御指令を生成する。制御指令には、レンジフード100の運転オンオフと連動した、ファン120の動作指令(目標回転速度)及び、後述するファン120への電源供給を制御するための制御信号Spwが含まれる。
【0030】
更に、メインマイコン155には、赤外線通信等により、コンロ10のマイクロコンピュータ(図示)からの信号を受信することができる。これにより、コンロ10の運転に連動した、レンジフード100の制御が実現できる。
【0031】
電源基板160には、電源1次側及び電源2次側の間の電気的な絶縁が確保された、メインマイコン155及びサブマイコン165の間の相互通信(以下、「マイコン間通信」とも称する)のための電気的な絶縁素子170が更に搭載される。操作基板150のコネクタ156と電源基板160のコネクタ166との間を接続する通信線152と、絶縁素子170とを経由して、メインマイコン155及びサブマイコン165は、マイコン間通信することができる。
【0032】
比較例では、ファン120への電源供給を制御するための制御信号Spwは、マイコン間通信では無く、通信線152とは異なる通信線153と、絶縁素子170とは別個に配置された絶縁素子171とを用いて伝送される。絶縁素子171も、絶縁素子170と同様に、電源1次側及び電源2次側の間の電気的な絶縁を確保して信号及びデータ等を伝送するために配置される。絶縁素子170,171には、光結合方式のフォトカプラ、又は、磁気結合或いは容量結合を利用したアイソレータIC(Integrated Circuit)等を適用することができる。
【0033】
電源基板160は、コネクタ168を介して近接センサ140と電気的に接続される。近接センサ140は、取付け状態における整流板110の近傍に配置されて、検出物体である整流板110の近接の有無を検知することができる。近接センサ140には、コネクタ168を介して、サブマイコン165から動作電源電圧(例えば、5[V])が供給される。
【0034】
一方で、近接センサ140の出力信号は、コネクタ168を介して、サブマイコン165に入力される。サブマイコン165は、近接センサ140の出力信号に基づいて、ファン吸込口125が、整流板110が取り付けられた閉状態と、整流板110が取り外された開状態とのいずれであるかを検知することができる。近接センサ140は「検知器」の一実施例に対応する。
【0035】
ファン吸込口125が開状態及び閉状態のいずれであるかを示す情報は、通信線152及び絶縁素子170を介したマイコン間通信によって、サブマイコン165からメインマイコン155へ送信される。
【0036】
次に、ファン120の制御について説明する。
【0037】
ファン120は、DCファンモータ(図示せず)、及び、DCファンモータへの印加電圧を制御するコントローラ(図示せず)を有する。電源基板160(電源1次側)からファン120に対して、上記DCファンモータに印加される主回路電源電圧に相当する電源電圧Vs(例えば、140[V])と、上記コントローラに供給される制御電源電圧相当の電源電圧Vccとが、コネクタ167を介して供給される。
【0038】
本明細書では、ファン120への電源供給を制御するために、電源電圧Vccの供給経路に、メインマイコン155からの制御信号Spwに応じてオンオフされる電源スイッチ180が配置される。電源スイッチ180のオンオフにより、ファン120への電源供給(ここでは、電源電圧Vcc)が制御される。
【0039】
更に、ファン120は、DCファンモータの回転速度及び電流等を検出するためのセンサ(図示せず)を有する。当該センサによって検出された回転速度Pxは、コネクタ167を介して、サブマイコン165に入力される。ファン120の回転速度Pxについても、通信線152及び絶縁素子170を介したマイコン間通信によって、サブマイコン165からメインマイコン155へ送信される。
【0040】
サブマイコン165は、メインマイコン155からの動作指令(目標回転速度)に基づいて、ファン120の動作を制御する。ファン120は、目標回転速度に応じて、DCファンモータに印加される電圧を制御することで、回転速度が制御される。例えば、PWM(Pulse Width Modulation)制御によって、DCファンモータに印加されるDC電圧(平均値)を制御することで、DCファンモータ、即ち、ファン120の回転速度が制御される。
【0041】
一例として、サブマイコン165からファン120に対して、メインマイコン155からの目標回転速度に対応した、PWM制御のデューティ比を指示する速度指令電圧Vsp(アナログ電圧)を与えることができる。例えば、回転速度Px及び目標回転速度の偏差に基づくフィードバック制御によって、速度指令電圧Vspを生成することができる。ファン120では、DCファンモータ130に対する電源電圧Vsの印加をオンオフするための半導体スイッチング素子(図示せず)が当該速度指令電圧Vspに応じたデューティ比でオンオフ制御される。これにより、当該指令電圧に応じたデューティ比のパルス電圧(振幅が電源電圧Vs)がDCファンモータに印加されることで、PWM制御が実現される。
【0042】
或いは、サブマイコン165からDCファンモータ130に対しては、速度指令電圧Vspとして、上述のデューティ比を有するパルス信号が上述の半導体スイッチング素子のオンオフ制御信号として与えられてもよい。
【0043】
ファン120の停止指令時には、目標回転速度はゼロに設定されて、DCファンモータには電圧が印加されない状態となる。更に、電源スイッチ180がオフされると、ファン120への制御電源に相当する電源電圧Vccの供給が遮断されるため、上記コントローラでの待機電力のカットによってファン120の消費電力が削減される。
【0044】
又、近接センサ140によりファン吸込口125の開状態が検知されているときには、電源スイッチ180のオフによって、ファン120のコントローラへの通電が遮断されるため、ファン120を確実に停止することができる。
【0045】
この様に、電源スイッチ180のオンオフにより、ファン120への電源供給を制御することができる。メインマイコン155によって制御信号Spwを生成することで、操作部105に対するユーザ操作に応じて省電力運転のタイミングを設定し、かつ、近接センサ140によって検知されるファン吸込口125の状態(開/閉)に対応してユーザの安全を確保する様に、ファン120への通電を適切なタイミングで遮断することが可能となる。
【0046】
しかしながら、
図4の比較例では、電源スイッチ180を、メインマイコン155からの制御信号Spwに応じて直接的にオンオフする構成としているため、制御信号Spw専用の通信線153及び絶縁素子171が配置されることで、コストの上昇が懸念される。
【0047】
これに対して、
図5には、本実施の形態に係るレンジフードの制御系の構成を説明するブロック図が示される。
【0048】
図5に示される様に、本実施の形態に係るレンジフード100では、制御信号Spwは、通信線152及び絶縁素子170を用いたマイコン間通信により、メインマイコン155からサブマイコン165へ送信される点が、
図4に示された比較例と異なる。サブマイコン165は、マイコン間通信により受信した制御信号Spwに従って、電源スイッチ180のオンオフを制御する。
【0049】
本実施の形態に係るレンジフード100のその他の部分の構成は、
図4に示されたレンジフード100♯と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。即ち、
図5では、
図4での電力変換器191,192の表記は省略されているが、サブマイコン165(電源1次側)及びメインマイコン155(電源1次側)は、
図4と同様のDC電源電圧Vdc1及びVdc2によってそれぞれ動作する。
【0050】
図6には、
図5に示されたレンジフードでのファンの電源スイッチ(電源スイッチ180)のオンオフ制御を説明するフローチャートが示される。
図6に示された制御処理は、メインマイコン155によって繰り返し実行される。
【0051】
図6を参照して、メインマイコン155は、ステップ(以下、単に「S」と表記する)110により、マイコン間通信によって、サブマイコン165からファン120の状態、及び、ファン吸込口125の状態(開/閉)を示す情報を取得する。更に、メインマイコン155は、S120により、S110で取得した状態と、操作部105への操作状態に基づいて、予め定められたファン120の電源カット条件が成立しているか否かを判定する。
【0052】
例えば、レンジフード100の運転オフが一定期間継続されたときに、省電力のために、S120の電源カット条件が成立していると判定することができる。又、レンジフード100の運転オンオフに関わらず、ファン吸込口125の開状態が検知されているときには、安全面からにファン120が回転しない様にするために、S120の電源カット条件が成立していると判定することができる。
【0053】
メインマイコン155は、ファン120の電源カット条件が成立しているときには(S120のYES判定時)、S130により、電源スイッチ180のオフを指令する様に制御信号Spwを生成する。反対に、ファン120の電源カット条件が成立していないときには(S120のNO判定時)、S140により、電源スイッチ180のオンを指令する様に、制御信号Spwが生成される。
【0054】
メインマイコン155は、S150では、マイコン間通信により、制御信号Spwをサブマイコン165に送信する。尚、S150において、制御信号Spwは、値が変化したときに限って送信される一方で、値が変わらないときには送信されなくてもよい。
【0055】
サブマイコン165は、メインマイコン155から送信された制御信号Spwに従って、電源スイッチ180をオンオフ制御する。この結果、省電力或いは安全面の要求から、メインマイコン155による制御によって、ファン120への電源供給をオフすることが可能となる。
【0056】
図5及び
図4の比較から理解される様に、本実施の形態に係るレンジフード100では、比較例に係るレンジフード100♯(
図4)での、比較的高コストの部品である絶縁素子171及び通信線153の配置が不要となる。これにより、低コスト化を図ることができる。
【0057】
更に、通信に異常が生じて、メインマイコン155からサブマイコン165に情報が送信できなくなった場合には、サブマイコン165によって、電源スイッチ180のオフによるファン120の確実な停止が可能である。この結果、通信異常に対して、安全側にファン120への電源供給を制御することができる。
【0058】
又、ファン120に対しては、電源スイッチ180のオンによるコントローラ(図示せず)への電源電圧Vccの供給開始後に、速度指令電圧Vspが入力されることが求められる順序制約が存在する場合があるが、レンジフード100では、サブマイコン165によって、電源スイッチ180のオンオフと、速度指令電圧Vspの出力とが実行されるので、通信タイミング等に影響されず、安定的に当該順序制約を満たすことができる。
【0059】
一方で、レンジフード100では、サブマイコン165に異常が発生したときに、メインマイコン155が、当該異常を検知して電源スイッチ180をオフすることができなくなる。このため、レンジフード100では、サブマイコン165に対してリセット回路190を配置することが好ましい。
【0060】
例えば、リセット回路190は、サブマイコン165に対して周期的にウオッチドッグタイマ(WDT)による監視を実行し、ウオッチドッグタイマのタイムアウトによってサブマイコン165の異常状態を検知すると、サブマイコン165をリセット(再起動)する。リセット回路190は「監視回路」の一実施例に対応する。
【0061】
リセット回路190の配置により、サブマイコン165の異常をメインマイコン155で検知できなかった場合にも、自動的にサブマイコン165がリセットされるので、ファン120の制御を安全化することができる。
【0062】
図7には、本実施の形態の変形例に係るレンジフードの制御系の構成を説明するブロック図が示される。
【0063】
図7を参照して、本実施の形態の変形例に係るレンジフード100Xは、
図5に示されたレンジフード100の構成と比較して、
図4(比較例)と同様の通信線153及び絶縁素子171を更に備える点で異なる。
【0064】
通信線153及び絶縁素子171は、サブマイコン165に異常が発生したときに制御信号Spwを電源スイッチ180へ伝送するための予備経路として配置される。レンジフード100Xのその他の部分の構成は、レンジフード100(
図4及び
図5)と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。
【0065】
図8には、本実施の形態の変形例に係るレンジフードでのサブマイコンの異常時の制御を説明するフローチャートが示される。
図8に示される制御処理は、
図6に示された制御処理に加えて、メインマイコン155によって繰り返し実行される。
【0066】
メインマイコン155は、S210では、マイコン間通信を通じて、サブマイコン165に異常が発生しているか否かを判定する。メインマイコン155は、異常が検知されると(S210のYES判定時)、S220により、ファン120への電源供給をオフするために、電源スイッチ180をオフする様に、制御信号Spwを生成する。更に、メインマイコン155は、S230により、S220で生成された制御信号Spwを通信線153に対して出力する。これにより、制御信号Spwは、通信線153及び絶縁素子171を経由して、電源スイッチ180に対して伝送される。従って、サブマイコン165に異常が発生していても、メインマイコン155によって電源スイッチ180をオフすることができる。
【0067】
一方で、S210において、サブマイコン165の異常が検知されない場合には(NO判定時)、S220及びS230による処理はスキップされる。この場合には、
図6に示された制御処理により、マイコン間通信によってメインマイコン155からサブマイコン165に伝送された制御信号Spwに従って、サブマイコン165によって電源スイッチ180のオンオフ、即ち、ファン120への電源供給が制御される。
【0068】
この様に、本実施の形態の変形例に係るレンジフードでは、サブマイコン165の異常発生時に、ファン120の電源供給をオフすることにより、確実にファン120を停止させる制御を実現することができる。
【0069】
尚、本実施の形態及びその変形例では、ファン120の制御電源に相当する電源電圧Vccの供給をオンオフするための電源スイッチ180によって、ファン120への電源供給のオンオフを制御する例を説明した。但し、ファン120の電源供給のオンオフ制御は、DCファンモータの電源電圧Vsの供給経路に配置された電源スイッチを、メインマイコン155からの制御信号Spwに従ってサブマイコン165がオンオフ制御することで実現されてもよい。
【0070】
或いは、本実施の形態での電源スイッチ180(電源電圧Vcc)と、電源電圧Vsに対応して配置される電源スイッチとの両方を配置する構成としてもよい。この場合にも、各電源スイッチについて、メインマイコン155からの制御信号Spwに従ってサブマイコン165がオンオフ制御する構成とすることができる。
【0071】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0072】
10 コンロ、11 操作部(コンロ)、12 バーナ、100,100X レンジフード、101 枠部材、102 照明、105 操作部(レンジフード)、110 整流板、111 係止金具、112 ロック部、115 隙間、120 ファン、125 ファン吸込口、130 ファンモータ、140 近接センサ、150 操作基板、152,153 通信線、155 メインマイコン、156,166,167,168 コネクタ、160 電源基板、165 サブマイコン、170,171 絶縁素子、180 電源スイッチ、190 リセット回路、Spw 制御信号(電源スイッチ)、Vcc,Vs 電源電圧。