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  • 特開-電力量計 図1
  • 特開-電力量計 図2
  • 特開-電力量計 図3
  • 特開-電力量計 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034225
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】電力量計
(51)【国際特許分類】
   G01R 11/00 20060101AFI20240306BHJP
   G01R 22/06 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G01R11/00 H
G01R22/06 130Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138333
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】311002034
【氏名又は名称】富士電機メーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 晋
(72)【発明者】
【氏名】山内 芳准
(72)【発明者】
【氏名】原山 滋章
(72)【発明者】
【氏名】川口 知久
(72)【発明者】
【氏名】日高 尉仁
(57)【要約】
【課題】単相2線式の配電系統を接続する設置時に負荷電流の情報なしに誤結線の検出が可能な電力量計を提供する。
【解決手段】検出すべき電流が流れる2本の導体1,2と、2本の導体1,2に流れる電流の大きさに応じてそれぞれ信号を出力する電流検出部13と、2本の導体1,2に印加される電圧を検出する電圧検出部12と、電流検出部13と電圧検出部12との出力から電力および電力量を算出する電力演算部14とを備える電力量計10であって、2本の導体1,2のうちの所定の導体2は配電系統が接続される際、配電系統のアース4に接続されて正接続となり、2本の導体1,2のうち一方の導体2は電力量計10の回路グランド5に接続され、回路グランド5とアース4との電位差をもとに2本の導体1,2に対する配電系統の誤結線を検出する誤結線検出部15を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電系統から検出すべき電流が流れる2本の導体と、前記2本の導体に流れる電流の大きさに応じてそれぞれ信号を出力する電流検出部と、前記2本の導体に印加される電圧を検出する電圧検出部と、前記電流検出部と前記電圧検出部との出力から電力および電力量を算出する電力演算部と、前記電力演算部で算出した結果を出力する出力部とを備える電力量計であって、
前記2本の導体のうちの所定の導体は前記配電系統が接続される際、前記配電系統のアースに接続されて正接続となり、
前記2本の導体のうち一方の導体は前記電力量計の回路グランドに接続され、
前記回路グランドと前記アースとの電位差をもとに前記2本の導体に対する前記配電系統の誤結線を検出する誤結線検出部を備えることを特徴とする電力量計。
【請求項2】
前記電力量計の筐体に接続され、前記アースとの間に対地静電容量を形成する電極を備え、
前記誤結線検出部は、前記電極と、前記一方の導体とに接続されることを特徴とする請求項1に記載の電力量計。
【請求項3】
前記2本の導体は、単相2線式の配電系統に接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の電力量計。
【請求項4】
前記誤結線検出部は、前記回路グランドと前記電極との電位差が一定値以上の場合、前記配電系統が誤結線であるとして検出することを特徴とする請求項2に記載の電力量計。
【請求項5】
前記誤結線検出部は、前記配電系統のアースに接続すべき前記所定の導体と、前記電極とに接続されることを特徴とする請求項2に記載の電力量計。
【請求項6】
前記誤結線検出部は、4つ以上の抵抗と、1つ以上のオペアンプとで構成される差動増幅回路であることを特徴とする請求項1または2に記載の電力量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単相2線式の配電系統を接続する設置時に負荷電流の情報なしに誤結線の検出が可能な電力量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電力量計における、配電系統からの電力供給線の誤結線を検出する方法としては、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に記載された電力量計は、三相3線式の配電系統に変圧器、変流器を接続し、そこに三相電力量計を接続した構成であり、電力量計の内部に乗算回路を配置している。この特許文献1の誤結線検出方法では、変圧器・変流器により計測した電圧・電流を乗算回路にて乗算し、得られた電力の正負の極性や力率角の情報を用いて誤結線の有無を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-124806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の電力量計では、誤結線の検出に電力を算出しているため、設置時に負荷電流の情報が必要であり、誤結線の有無を判断するためには、負荷を接続し、実際に電流を流して確認しなければならないという問題があった。
【0005】
また、上記の電力量計は、三相3線式の配電系統用の構成であり、単相2線式の配電系統で使用する場合、誤結線を正常に判定できないという問題もある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、単相2線式の配電系統を接続する設置時に負荷電流の情報なしに誤結線の検出が可能な電力量計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、配電系統から検出すべき電流が流れる2本の導体と、前記2本の導体に流れる電流の大きさに応じてそれぞれ信号を出力する電流検出部と、前記2本の導体に印加される電圧を検出する電圧検出部と、前記電流検出部と前記電圧検出部との出力から電力および電力量を算出する電力演算部と、前記電力演算部で算出した結果を出力する出力部とを備える電力量計であって、前記2本の導体のうちの所定の導体は前記配電系統が接続される際、前記配電系統のアースに接続されて正接続となり、前記2本の導体のうち一方の導体は前記電力量計の回路グランドに接続され、前記回路グランドと前記アースとの電位差をもとに前記2本の導体に対する前記配電系統の誤結線を検出する誤結線検出部を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記の発明において、前記電力量計の筐体に接続され、前記アースとの間に対地静電容量を形成する電極を備え、前記誤結線検出部は、前記電極と、前記一方の導体とに接続されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記の発明において、前記2本の導体は、単相2線式の配電系統に接続されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記の発明において、前記誤結線検出部は、前記回路グランドと前記電極との電位差が一定値以上の場合、前記配電系統が誤結線であるとして検出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記誤結線検出部は、前記配電系統のアースに接続すべき前記所定の導体と、前記電極とに接続されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、前記誤結線検出部は、4つ以上の抵抗と、1つ以上のオペアンプとで構成される差動増幅回路であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、単相2線式の配電系統を接続する設置時に負荷電流の情報なしに誤結線の検出が可能な電力量計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施の形態である電力量計に配電系統の電力供給線が正接続された状態を示す模式図である。
図2図2は、本発明の実施の形態である電力量計に配電系統の電力供給線が誤接続された状態を示す模式図である。
図3図3は、誤結線検出部の一例を示すとともに、配電系統の電力供給線が正接続された場合における誤結線検出部との接続状態を示す図である。
図4図4は、誤結線検出部の一例を示すとともに、配電系統の電力供給線が誤接続された場合における誤結線検出部との接続状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態である電力量計10に配電系統の電力供給線3が正接続された状態を示す模式図である。また、図2は、本発明の実施の形態である電力量計10に配電系統の電力供給線3が誤接続された状態を示す模式図である。さらに、図3は、誤結線検出部15の一例を示すとともに、配電系統の電力供給線3が正接続された場合における誤結線検出部15との接続状態を示す図である。また、図4は、誤結線検出部15の一例を示すとともに、配電系統の電力供給線3が誤接続された場合における誤結線検出部15との接続状態を示す図である。
【0017】
図1及び図2に示すように、電力量計10は、単相2線式の配電系統から電力供給線3を介して検出すべき電流が流れる2本の導体1,2と、2本の導体1,2に印加される電圧を検出する電圧検出部12と、2本の導体1,2に流れる電流の大きさに応じてそれぞれ信号を出力する電流検出部13と、電圧検出部12と電流検出部13との出力から電力および電力量を算出する電力演算部14と、電力演算部14で算出した結果を表示あるいは外部出力する出力部16とを有する。さらに、電力量計10は、2本の導体1,2に対する配電系統の電力供給線3の誤接続を検出する誤結線検出部15を有する。なお、出力部16は、誤結線検出部15の検出結果をも出力する。
【0018】
また、電圧検出部12、電流検出部13、電力演算部14、誤結線検出部15及び出力部16は、基板ユニット11上に設けられている。ここで、基板ユニット11及び2本の導体1,2は、筐体6内に配置されている。
【0019】
配電系統は電源20を介した電力供給線3が2本の導体1,2の各入力接続端子1S,2Sに接続される。また、負荷8は、2本の導体1,2の各出力接続端子1L,2Lに接続される。ここで、配電系統の正接続は、図1に示すように、アース4に接続された電力供給線3が入力接続端子2Sに接続された状態である。また、配電系統の誤接続は、図2に示すように、アース4に接続された電力供給線3が入力接続端子1Sに接続された状態である。ここで、入力接続端子2Sを有する導体2は、所定の導体である。
【0020】
電力量計10の筐体6には、筐体6に接続された電極7を有する。電極7とアースとの間に対地静電容量が生じ、コンデンサ9が形成される。
【0021】
また、2本の導体のうち一方の導体(導体2)は電力量計10内の基板ユニット11の回路グランド5に接続される。具体的には、電圧検出部12と導体2と接続する配線の途中で回路グランド5に接続される。
【0022】
そして、誤結線検出部15は、電極7に接続するとともに、回路グランド5に接続される。誤結線検出部15の回路グランド5への接続は、電圧検出部12と導体2とを接続する配線に接続すればよい。この場合、回路グランド5は、電圧検出部12と誤結線検出部15とに対して共通接続される。
【0023】
なお、誤結線検出部15は、図3及び図4に示すように、4つ以上の抵抗R1~R4と、1つ以上のオペアンプ30とで構成される差動増幅回路である。反転入力端子T1の前段には抵抗R1が接続され、非反転入力端子T2の前段には抵抗R3が接続される。また、出力端子T3と反転入力端子T1との間には抵抗R2が接続され、非反転入力端子と回路グランド5との間には抵抗R4が接続される。なお、抵抗R1,R3の各他端は、誤結線検出部15の入力端子T11,T12にそれぞれ接続される。
【0024】
<誤結線の検出>
誤結線検出部15による誤結線の検出は、まず、回路グランド5に接続される導体2の電圧と、電極7の電圧とを測定しておく。配電系統の電力供給線3が導体1に正接続された場合、アース4が導体2に接続されるため、導体2に接続される回路グランド5とアース4とは同電位となる。この結果、オペアンプ30の非反転入力端子T2には電流がほぼ流れないため、導体2の電圧と、電極7の電圧の差は、ほぼ0となり、差動増幅回路である誤結線検出部15の出力もほぼ0となる。
【0025】
一方、配電系統の電力供給線3が導体2に誤接続された場合、図2及び図4に示すように、アース4が導体1に接続されることになり、回路グランド5とアース4との間に電位差が生じる。この場合、図4に示すように、回路グランド5を介して電流ループRTが形成され、電位差に応じた電流が流れ、誤結線検出部15は、導体2と電極7との間の電位差を検出する。そして、誤結線検出部15は、導体2と電極7との間の電位差が一定値以上となった場合、誤結線(誤接続)として判定出力する。
【0026】
本実施の形態では、電力量計10を単相2線式の配電系統に接続する場合、負荷電流の情報がなくても、誤結線を容易に検出することができる。
【0027】
なお、上記の実施の形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0028】
1,2 導体
1L,2L 出力接続端子
1S,2S 入力接続端子
3 電力供給線
4 アース
5 回路グランド
6 筐体
7 電極
8 負荷
9 コンデンサ
10 電力量計
11 基板ユニット
12 電圧検出部
13 電流検出部
14 電力演算部
15 誤結線検出部
16 出力部
20 電源
30 オペアンプ
R1~R4 抵抗
RT 電流ループ
T1 反転入力端子
T2 非反転入力端子
T3 出力端子
T11,T12 入力端子
図1
図2
図3
図4