(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034227
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】物品供給システム
(51)【国際特許分類】
B65B 35/06 20060101AFI20240306BHJP
B65G 43/08 20060101ALI20240306BHJP
B65G 47/68 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B65B35/06
B65G43/08 A
B65G47/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138336
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】筧 信一
【テーマコード(参考)】
3E054
3F027
3F070
【Fターム(参考)】
3E054AA13
3E054BA09
3E054CA09
3E054DD01
3E054DD07
3E054DD11
3E054DE03
3E054EA04
3E054FA03
3E054FE02
3E054GA01
3E054GB02
3E054GC02
3E054GC05
3E054HA05
3E054JA03
3F027AA02
3F027CA01
3F027DA15
3F027EA01
3F027FA14
3F070AA06
3F070BA05
3F070BA07
3F070BA10
3F070BD01
3F070BE08
3F070EA24
3F070EE07
(57)【要約】
【課題】ベルトコンベヤによって多列搬送されてくる物品が供給される複数の処理機において、断続運転が起こりにくい物品供給システムを提供する。
【解決手段】物品供給システムは、複数の物品Wを多列に載置して搬送するベルトコンベヤ10と、物品Wを処理する複数の処理機構30を備える。物品Wは、振分手段12によって列ごとに振り分けられ、搬送機構20によって各処理機構30に向けて搬送される。物品Wの検知情報により、処理量算出手段は、物品Wがそれぞれどの列に位置するかを判別し、判別した列ごとの物品Wを列に対応した処理機構30で処理する処理量Yを算出する。処理量Yに基づき、処理変更手段はその物品Wが処理機構30に到達するまでに、各処理機構30に対して変更する処理能力の値を生成する。これにより、多列で搬送されてくる物品Wを、複数の処理機構30に振り分け、列ごとの物品Wの数に応じて処理能力を調整することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品を、前記物品同士の間隔を空けて多列に載置して搬送するベルトコンベヤと、
前記ベルトコンベヤに載置された前記物品のうち、予め設定された所定時間において前記ベルトコンベヤの幅方向に並んだ各列の前記物品をまとめて検知する検知手段と、
搬送された前記物品を処理し、前記物品を処理する処理能力を変更可能な複数の処理機構と、
前記検知手段の下流側に設けられ、前記ベルトコンベヤに載置された前記物品を列ごとにそれぞれの前記処理機構に向けて振り分ける振分手段と、
前記振分手段によって振り分けられた前記物品を順次受け取り、前記処理機構の処理タイミングに同期するように前記処理機構に向けて順次搬送する搬送機構と、
前記検知手段によって前記所定時間に検知した前記物品がそれぞれどの前記列に位置するかを判別すると共に、判別した前記列ごとの前記所定時間に検知した前記物品を前記列に対応した前記処理機構で処理する単位時間当たりの処理量を算出する処理量算出手段と、
前記列ごとに、前記所定時間に検知された前記物品の先頭が前記処理機構に到達するまでに、前記処理量算出手段が算出した単位時間当たりの処理量の情報に基づいて、変更する前記処理能力の値を生成する処理変更手段と、を有し、
前記処理変更手段が生成した処理能力の値に基づいて、前記列ごとに対応した前記処理機構の処理能力を変更する、物品供給システム。
【請求項2】
前記処理機構は、帯状の包装材の両端縁を重合して筒状に成形して、前記筒状の包装材の重合部に前記包装材の送り方向に沿って縦シールを施すと共に、その後、前記筒状の包装材に包まれた前記物品を挟んだ前後の位置に、前記包装材の送り方向と交差する方向に横シールを施す横形製袋充填機である、請求項1に記載の物品供給システム。
【請求項3】
前記搬送機構は、前記搬送機構における上流側に前記物品を排出する排出手段を備えており、前記振分手段によって振り分けられた前記物品が所定数を超えて搬送されてきた場合に、前記排出手段によって前記所定数を超えた分の前記物品を排出する、請求項1または請求項2に記載の物品供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不規則な搬送間隔で搬送されてくる物品を包装機に供給する物品供給装置として、種々の態様が知られている。例えば特許文献1には、包装能力(単位時間当たりの処理数)を変更できる包装機によって、物品の到来量が不規則になっても処理機が断続運転することを減らすことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば多列に搬送されてくる大量の物品を複数に処理する場合には、例えば進路が長く途中で曲がっているベルトコンベヤによって、物品の間隔が空いたり(狭まったり)、物品がベルトコンベヤのつなぎ目を渡るときに物品の位置がずれたりすることが多くなるなどで、搬送される物品の間隔や位置が不規則になり易い。そのため、複数の処理機のうち、特定の処理機に物品が想定以上に供給されるなどして、処理機の処理能力を超えてしまうなど、処理機の断続運転が起こり易くなる懸念があった。
【0005】
本発明は、ベルトコンベヤによって多列搬送されてくる物品が供給される複数の処理機において、断続運転が起こりにくい物品供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の物品供給システムは次の手段をとる。先ず請求項1に係る発明は、複数の物品(W)を、前記物品(W)同士の間隔を空けて多列に載置して搬送するベルトコンベヤ(10)と、前記ベルトコンベヤ(10)に載置された前記物品(W)のうち、予め設定された所定時間において前記ベルトコンベヤ(10)の幅方向に並んだ各列の前記物品(W)をまとめて検知する検知手段(13)と、搬送された前記物品(W)を処理し、前記物品(W)を処理する処理能力を変更可能な複数の処理機構(30)と、前記検知手段(13)の下流側に設けられ、前記ベルトコンベヤ(10)に載置された前記物品(W)を列ごとにそれぞれの前記処理機構(30)に向けて振り分ける振分手段(12)と、前記振分手段(12)によって振り分けられた前記物品(W)を順次受け取り、前記処理機構(30)の処理タイミングに同期するように前記処理機構(30)に向けて順次搬送する搬送機構(20)と、前記検知手段(13)によって前記所定時間に検知した前記物品(W)がそれぞれどの前記列に位置するかを判別すると共に、判別した前記列ごとの前記所定時間に検知した前記物品(W)を前記列に対応した前記処理機構(30)で処理する単位時間当たりの処理量(Y)を算出する処理量算出手段と、前記列ごとに、前記所定時間に検知された前記物品(W)の先頭が前記処理機構(30)に到達するまでに、前記処理量算出手段が算出した単位時間当たりの処理量(Y)の情報に基づいて、変更する前記処理能力の値を生成する処理変更手段とを有し、前記処理変更手段が生成した処理能力の値に基づいて、前記列ごとに対応した前記処理機構の処理能力を変更する。
【0007】
この請求項1に係る発明によれば、物品供給システムは、複数の物品(W)を多列に載置して搬送するベルトコンベヤ(10)と、搬送された物品(W)を処理する複数の処理機構(30)を備えている。ベルトコンベヤ(10)の下流には、複数の振分手段(12)が備えられている。振分手段(12)と処理機構(30)の間には、搬送機構(20)が備えられている。物品(W)は、振分手段(12)によって列ごとに振り分けられ、搬送機構(20)によってそれぞれの処理機構(30)に向けて搬送される。また物品供給システムは、検知手段(13)を備えている。検知手段(13)は、所定時間においてベルトコンベヤ(10)上に幅方向に並んだ物品(W)をまとめて検知する。この検知情報により、所定時間に通過した物品(W)の個数を列ごとに把握することができる。処理量算出手段は、搬送されてきた物品(W)の個数に基づいて、判別した列ごとの物品(W)を列に対応した処理機構(30)で処理する単位時間当たりの処理量(Y)を列ごとに算出する。処理変更手段は、算出された処理量(Y)に基づいて、その物品(W)が処理機構(30)に到達するまでに、それぞれの処理機構(30)に対して変更する処理能力の値を生成する。この構成により、搬送されてくる物品(W)の列ごとに、単位時間当たりの処理量(Y)が算出されて、それぞれの処理機構(30)の処理量(Y)が調整される。すなわち多列で搬送されてくる物品(W)を、複数の処理機構(30)に振り分けて、列ごとの物品(W)の数に応じて処理機構(30)の処理能力を調整することができる。よって、大量に搬送されてくる物品(W)の数が変動しても、それぞれの処理機構(30)において断続運転が起こりにくい物品供給システムを提供できる。
【0008】
次に、請求項1に従属する請求項2に係る発明は、前記処理機構(30)は、帯状の包装材の両端縁を重合して筒状に成形して、前記筒状の包装材の重合部に前記包装材の送り方向に沿って縦シールを施すと共に、その後、前記筒状の包装材に包まれた前記物品(W)を挟んだ前後の位置に、前記包装材の送り方向と交差する方向に横シールを施す横形製袋充填機である。
【0009】
この請求項2に係る発明によれば、物品供給システムは、処理機構(30)として複数の横形製袋充填機を備えている。ベルトコンベヤ(10)に多列に載置されて搬送されてくる物品(W)は、列ごとにそれぞれ横形製袋充填機に振り分けられて包装される。横形製袋充填機は、搬送されてくる物品(W)の数に応じて、物品Wを包装する単位時間当たりの処理量(Y)が変更される。これにより、多列で搬送されてくる物品(W)を、複数の横形製袋充填機に振り分けて、列ごとの物品(W)の数に応じて横形製袋充填機の包装能力を調整することができる。よって、大量に搬送されてくる物品(W)の数が変動しても、それぞれの横形製袋充填機において、横形製袋充填機への包装材の送り出しを停止する機会を減らすことができる。すなわち、横形製袋充填機において断続運転を起こりにくくすることができる。
【0010】
次に、請求項1または請求項2に従属する請求項3に係る発明は、前記搬送機構(20)は、前記搬送機構(20)における上流側に前記物品(W)を排出する排出手段(26)を備えており、前記振分手段(12)によって振り分けられた前記物品(W)が所定数を超えて搬送されてきた場合に、前記排出手段(26)によって前記所定数を超えた分の前記物品(W)を排出する。
【0011】
この請求項3に係る発明によれば、搬送機構(20)は排出手段(26)を備えている。物品(W)が搬送機構(20)に所定数を超えて搬送されてきた場合には、所定数を超えた分の物品(W)が排出手段(26)により系外へ排出される。これにより、処理機構(30)に向かって搬送される物品(W)の数が所定数を超えないように維持される。よって、処理機構(30)の処理能力の限界を超えない範囲で物品(W)を搬送できる。また、搬送される物品(W)の前後の間隔を保つことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、ベルトコンベヤによって多列搬送されてくる物品が供給される複数の処理機において、断続運転が起こりにくい物品供給システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る物品供給システムを構成する各装置の配置を示す略体平面図である。
【
図2】実施形態に係る搬送機構の略体正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態について、図面を用いて説明する。本実施形態に係る物品供給システムは、ベルトコンベヤ10によって多列に載置されて搬送されてくる複数の物品Wを、列ごとに振り分けて複数の包装部30(処理機構)に供給する物品供給システムである。
【0015】
図1に示すように、物品供給システムは、複数の物品Wを多列搬送するベルトコンベヤ10と、物品Wを包装する複数(本実施形態では5基)の包装部30を備えており、それぞれの包装部30に向けて物品Wを搬送するための複数の振分けガイド12(振分手段)と搬送機構20を備えている。また、物品供給システムは、ベルトコンベヤ10に載置された物品Wをまとめて検知する検知装置13(検知手段)と、搬送機構20が備える装置や包装部30などを制御する制御部(不図示)を備えている。
【0016】
ベルトコンベヤ10は、物品Wを多列に載置することができる搬送面10aを備えている。本実施形態では、複数の物品Wが、物品W同士の間隔を空けて、搬送面10aの幅方向において概ね5列に並ぶように載置されて搬送される。
【0017】
検知手段として、例えばベルトコンベヤ10の搬送面10aの上方に、搬送面10aの幅方向に亘って3Dカメラなどの検知装置13が配設されている。検知装置13は、ベルトコンベヤ10に載置された物品Wのうち、予め設定された所定時間においてベルトコンベヤ10の幅方向に並んだ物品Wをまとめて検知する。検知装置13は、ベルトコンベヤ10の搬送面10aを幅方向に横切るように設定された検知ライン13aを通過したときの物品Wの情報を検知する(検知手段に相当する)。そして、後述する制御部で検知装置13の検知情報を基に所定時間ごとの通過した物品Wかどうか判定する(検知手段に相当する)。ここで、所定時間は、物品Wを検知している時間をいう。所定時間(一定時間)は、常に連続して通過した物品Wの個数を把握できる間隔とされる。検知装置13は、連続した所定時間の物品Wを検知する。検知により取得した物品Wの情報は、制御部に送られる。
【0018】
検知装置13より下流側には、複数(本実施形態では5基)の搬送機構20が配設されている。搬送機構20は、その搬送方向がベルトコンベヤ10の搬送方向と交差する方向(
図1に示す手前方向)となるように、ベルトコンベヤ10と接続されて配置されている。また複数の搬送機構20は、互いに隣接しており、並行して配設されている。言い換えれば、ベルトコンベヤ10から物品Wの搬送経路が分岐するように、複数の搬送機構20が配設されている。
【0019】
また、ベルトコンベヤ10における検知装置13より下流側に、搬送機構20との接続箇所に対応して複数(本実施形態では5基)の振分ガイド12が設けられている。振分ガイド12は、ベルトコンベヤ10に載置された物品Wを列ごとにそれぞれの包装部30に向けて振り分ける。振分ガイド12は、平面視においてベルトコンベヤ10の搬送方向に対して傾斜した角度で配置されている。これらの振分ガイド12は、ベルトコンベヤ10の搬送面10aに載置された物品Wのうち、手前側から順に1列分の物品Wを搬送機構20に向けて案内し、奥側の残りの列の物品Wを通過させる構成となっている。振分ガイド12の側面に当接した物品Wは、ベルトコンベヤ10の搬送面10a上を振分ガイド12の側面に沿って移動し、搬送機構20に受け渡される。
【0020】
搬送機構20は、
図2に示すように、搬送コンベヤ21と、搬送コンベヤ21の下流側に配設された受渡しコンベヤ23、供給コンベヤ24が直列上に並べて配列されている。
図1,2に示すように、搬送コンベヤ21は、複数のベルトコンベヤ22と、排出手段26、物品ガイド27,28を備えている。搬送機構20は、振分ガイド12によって振り分けられた物品Wを順次受け取り包装部30に向かって搬送する。
【0021】
ベルトコンベヤ22は、駆動モータとしてのサーボモータにより回転する無端状の搬送面を備えている。ベルトコンベヤ22とベルトコンベヤ22の境界付近には、物品Wを検知するセンサ25が設けられている(
図2参照)。次のベルトコンベヤ22に渡る際に物品Wを検知することにより、センサ25が検知した物品Wの前後間隔を求めて、物品Wが所定の間隔に揃うように検出したセンサ25よりも下流側のベルトコンベヤ22の速度調整が行われる。受渡しコンベヤ23の手前のベルトコンベヤ22は、受渡しコンベヤ23に送られる物品Wの間隔が受渡しコンベヤ23の処理タイミングに合う間隔となるように物品Wを受け渡す。
【0022】
受渡しコンベヤ23と供給コンベヤ24は、駆動モータとしてのサーボモータにより回転する無端状の搬送面を備えたベルトコンベヤである。受渡しコンベヤ23は、前後の間隔が調整された物品Wを搬送コンベヤ21から受け取り、供給コンベヤ24に受け渡す。供給コンベヤ24は、包装部30に物品Wを供給する。供給コンベヤ24は、後述する包装部30の包装処理速度と動作タイミングに対応するように物品Wを送り出す速度とタイミングが制御部によって調整される。受渡しコンベヤ23は、供給コンベヤ24と同じ速度、すなわちフィルム送り速度に合わせて速度が調整される。受渡しコンベヤ23と供給コンベヤ24は、包装部30の処理タイミングすなわち包装部30の一包装サイクルに同期するように、包装部30の製袋部30aに向けて物品Wを順次搬送する。このようにして、搬送機構20は、不規則に搬入された物品Wを所定間隔で搬送するようにして、包装部30の一包装サイクルに合わせた間隔で包装部30に搬送する。
【0023】
搬送機構20は、
図1に示すように、搬送機構20における上流側に物品Wを排出する排出手段26を備えている。排出手段26は、振分ガイド12によって振り分けられた物品Wが後述する処理量Yの上限値Ymax(所定数)を超えて包装部30に向けて搬送されてきた場合に、検知装置13からの検知情報に基づく制御部の排出指令により、上限値Ymax(所定数)を超えた分の物品Wを搬送経路外に排出する。本実施形態では、例えばエアによる排出装置が選択される。
【0024】
搬送コンベヤ21の上流側には、物品ガイド27,28が配設されている。物品ガイド27,28は、振分ガイド12によって振り分けられた物品Wを、搬送機構20の搬送方向に沿うように案内する。これにより、搬送コンベヤ21上における物品Wの幅方向における位置が整えられる。
【0025】
搬送機構20より下流側には、搬送された物品Wを包装(処理)する包装部30として、横形製袋充填機が配設されている。横形製袋充填機は、製袋部30a(
図2参照)で帯状のフィルム(包装材)の両端縁を重合して筒状に成形して、筒状のフィルムの重合部にフィルムの送り方向に沿って縦シールを施すと共に、その後、筒状のフィルムに包まれた物品Wを挟んだ前後の位置に、フィルムの送り方向と交差する方向に横シールを施すこと、すなわち制御部による包装動作の制御により包装品を得る横形製袋充填機である。なお、包装動作の制御としては、包装運転の開始や停止の制御やシーラー温度制御などが含まれる。包装部30は、後述する処理変更手段の情報に基づき、単位時間当たりに物品Wを包装(処理)する処理数(処理能力)を変更する。
【0026】
制御部は、検知装置13の検知情報に基づいて後述する演算処理を行う処理量算出手段と処理変更手段を備えている。また、制御部は、センサ25の情報に基づき、搬送機構20の個々のベルトコンベヤ22を制御する。また、制御部30は、包装部の包装動作を制御する。
【0027】
なお処理量算出手段は、検知装置13によって予め設定された所定時間に検知した物品Wが、それぞれどの列に位置するかを判別すると共に、判別した列ごとの所定時間に検知した物品Wを列に対応した包装部30で処理する処理量Yを算出する。処理変更手段は、列ごとに、所定時間に検知された物品Wの先頭が包装部30に到達するまでに、処理量算出手段が算出した処理量Yの情報に基づいて、変更する処理能力の値を生成する。制御部は、処理変更手段の情報を基に、各包装部30の包装動作を変更する。
【0028】
処理量算出手段により、例えば所定時間をt秒間(t<60)として、判別した列ごとの物品Wをその列に対応した包装部30で包装する1分間当たりの処理量Yを算出する場合を説明する。表1に示すように、1回目に検知装置13から受信したt秒間における物品Wの個数をX1、2回目に受信した次のt秒間における物品Wの個数をX2、以降、X3、X4、X5、・・・とする。なお物品Wの個数は、各列においてそれぞれ算出される。処理量算出手段は、検知された物品Wの個数を受信するごとに、1分間当たりの物品Wの個数(処理量Y)を算出する。具体的には、最新の受信データと直前の受信データを基に、2t秒間における物品Wの個数Qを算出し、個数Qに基づいて1分間当たりの物品Wの個数Yを算出する。例えば、3回目のデータを受信したときは、X2+X3が2t秒間における物品Wの個数Qとして算出される。そして、X2+X3に所定係数αを掛けて1分間当たりの物品Wの個数、すなわち物品Wを包装部30で包装する1分間当たりの処理量Yを算出する。
【表1】
【0029】
処理変更手段は、列ごとに、所定時間に検知された物品Wの先頭が包装部30に到達するまでに、処理量算出手段が算出した処理量Yの情報に基づいて、変更する処理能力の値を生成する。例えば表2に示すように、算出された処理量Yの値に応じた包装部30の処理能力が予め設定されている。処理量Yが基準値A以下であるとき、包装部30は100%の処理能力で物品Wを包装するように設定されている。処理量Yの値が基準値Aを超えて、例えばA<Y≦A+aになった場合には、包装部30の処理能力を101%に変更する処理能力の値を生成する。さらに処理量Yの値が増加して、例えばA+d<Y≦A+eになった場合には、包装部30の処理能力を105%に変更する処理能力の値を生成する。制御部は、処理変更手段の情報を基に、各包装部30の包装動作を変更する。
【表2】
【0030】
なお、制御部は、処理量Yを算出してから該当する物品Wが包装部30に到達するまでの間に、緩やかに包装部の処理能力を変更する。例えば、処理能力を101%から105%に変更する場合、105%の処理能力を必要とする量の物品Wが包装部30に到達する直前に処理能力を急激に上昇させるのではなく、該当する物品Wが到達するまでの間に徐々に処理能力を上昇させるように設定されている。
【0031】
また、包装部30により適正な包装がなされるように、処理能力を変更できる範囲として、フィルムの熱シールが不足して剥がれることを防ぎ得る許容できる最大処理量として処理量Yの上限値Ymaxと、過度に熱を加えてフィルムが融けたりするなどの不具合を防ぎ得る許容できる下限値Yminが設定されている。例えば、処理量Yの値が基準値A以下において下限値Yminを下回る場合には、包装部30の作動が停止するように設定されている。処理量Yの値がA+i<Yにおいて上限値Ymaxを上回る場合には、搬送機構20における上流側で物品Wが系外へ排出されるように設定されている。
【0032】
制御部は、
図2を参照として、各搬送コンベヤ21の境界に設けられたセンサ25で物品Wを検出し、検出したセンサ25よりも下流側のベルトコンベヤ22を変速することにより前後の物品Wの間隔を調整する。これにより、物品Wは搬送コンベヤ21上で前後の物品Wとの間隔が調整されて、供給コンベヤ24に向かって搬送される。また、制御部は、各包装部30に付設されたエンコーダパルスから得た包装処理速度に基づき、供給コンベヤ24の搬送速度を変更する。これにより、供給コンベヤ24は、包装部30の一包装サイクルごと、同期するように包装処理速度と同じ速度で物品Wを供給する。
【0033】
次に、上記物品搬送システムによる各物品Wの動作及び制御について説明する。
図1を参照として、物品Wは、ベルトコンベヤ10の搬送面10aに多列に載置され、搬送される。検知ライン13aを通過する物品Wが検知装置13によって検知されると、検知された情報が制御部に送られる。制御部における処理量算出手段は、検知装置13からの検知情報に基づき、物品Wがそれぞれどの列に位置するかを判別すると共に、判別した列ごとの物品Wをその列に対応した包装部30で包装する単位時間当たりの処理量Yを算出する。制御部における処理変更手段は、処理量算出手段が算出した処理量Yの情報に基づいて、変更する処理能力の値を生成する。制御部は、処理変更手段の情報を基に、各包装部30の包装動作を変更する。
【0034】
包装部30の処理能力は、制御部が処理量Yを算出してから該当する物品Wが包装部30に到達するまでの間に、算出された処理能力に到達するように、緩やかに変更される。また、制御部により、包装部30の処理能力の変更されるタイミングに応じて供給コンベヤ24の速度が調整され、さらに受渡しコンベヤ23の速度が供給コンベヤ24と同速度になるように調整される。検知装置13によって検知された物品Wは、振分ガイド12によって列ごとにそれぞれの搬送機構20に送られる。
【0035】
各搬送機構20においては、センサ25で物品Wの通過を検知して、センサ25が検知した物品Wの前後間隔を求めて、検出したセンサ25よりも下流側のベルトコンベヤ22の速度調整が行われる(
図2参照)。これにより、ベルトコンベヤ22上の物品Wの前後の間隔が徐々に整えられる。搬送コンベヤ21の終端のベルトコンベヤ22から受渡しコンベヤ23に移った物品Wは、包装部30の包装タイミングに合わせた間隔に調整されている。間隔が調整された物品Wは、受渡しコンベヤ23から供給コンベヤ24に受け渡される。このとき受渡しコンベヤ23と供給コンベヤ24は、包装部30の一包装サイクルに同期するように、搬送速度が調整される。供給コンベヤ24は、フィルム送りのタイミングに合わせて製袋部30aに向けて筒状のフィルム内に物品Wを供給する。供給を受けた包装部30が、処理変更手段によって算出された包装能力で物品Wを包装する。
【0036】
処理量Yの値が処理能力の上限値Ymaxを超えた場合には、検知情報に基づいて、搬送機構20における上流側において排出手段26により上限値Ymaxを超えた物品Wが系外へ排出される。また、処理量Yの値が処理能力の下限値Yminを下回る場合には、検知情報に基づく制御部の制御によって、下限値Yminの超える物品Wが搬送コンベヤ21に到達するまで受渡しコンベヤ23と供給コンベヤ24と包装部30の運転が停止する。
【0037】
上記実施形態に係る物品供給システムは、次のような効果がある。
(1)上記物品供給システムは、複数の物品Wを多列に載置して搬送するベルトコンベヤ10と、搬送された物品Wを処理する複数の包装部30(処理機構)を備えている。ベルトコンベヤ10の下流には、複数の振分ガイド12(振分手段)が備えられている。振分ガイド12と包装部30の間には、搬送機構20が備えられている。物品Wは、複数の振分ガイド12によって列ごとに振り分けられ、搬送機構20によってそれぞれの包装部30に向けて搬送される。また物品供給システムは、検知装置13(検知手段)と制御部を備えている。検知装置13は、検知装置13に設定された検知ライン13aを通過したときの物品Wの情報を検知する。制御部は、この検知情報により、検知装置13の検知情報を基に所定時間ごとの通過した物品Wかどうか判定する。制御部における処理量算出手段は、検知装置13の検知情報に基づいて、検知装置13によって予め設定された所定時間に検知した物品Wが、それぞれどの列に位置するかを判別すると共に、判別した列ごとの所定時間に検知した物品Wを列に対応した包装部30で処理する処理量Yを算出する。さらに制御部における処理変更手段は、処理量算出手段が算出した処理量Yに基づいて、列ごとに、所定時間に検知された物品Wが包装部30に到達するまでに、それぞれの包装部30に対して変更する処理能力の値を生成する。さらに制御部は、処理変更手段の情報を基に、各包装部30の包装動作を変更する。この構成により、搬送されてくる物品Wがどの列に位置するか判別して、判別した列に対応した包装部30の包装動作を、判別した物品Wが包装部30に到達するまでに、判別した物品Wを処理できる処理能力に変更できるため、大量に搬送されてくる物品Wの数が変動しても、それぞれの包装部30において断続運転が起こりにくい物品供給システムを提供できる。
(2)物品供給システムは、少なくとも振分ガイド12より上流にある検知装置13で物品Wを検知することによって、物品Wを検知してから検知した物品Wが包装部30に到達するまでに、時間の余裕をもって単位当たり(実施例では10秒間隔)の各包装部30へ搬送される物品Wの個数を算出できる。このように算出することによって、包装部30の処理能力を速やかに変更でき、包装部30が断続運転する機会を減らすことができる。
(3)物品供給システムは、複数の横形製袋充填機(包装部30)を備えている。ベルトコンベヤ10に多列に載置されて搬送されてくる物品Wは、列ごとにそれぞれ横形製袋充填機に振り分けられて包装される。横形製袋充填機は、搬送されてくる物品Wの数に応じて、単位時間当たりの処理量Yが変更される。これにより、多列で搬送されてくる物品Wを、複数の包装部30に振り分けて、列ごとの物品Wの数に応じて横形製袋充填機の包装能力(処理能力)を調整することができる。よって、大量に搬送されてくる物品Wの数が変動しても、それぞれの横形製袋充填機において、横形製袋充填機へのフィルムの送り出しを停止する機会を減らすことができる。すなわち、横形製袋充填機において断続運転を起こりにくくすることができる。
(4)物品供給システムは、搬送機構20における上流側に排出手段26を備えている。物品Wが搬送機構20に所定数を超えて搬送されてきた場合には、所定数を超えた分の物品Wが排出手段26により系外へ排出される。これにより、包装部30に向かって搬送される物品Wの数が所定数を超えないように維持される。よって、包装部30の処理能力の限界を超えない範囲で物品Wを搬送できる。これにより、包装部30が処理量Yの上限値Ymax(所定数)を超えることなく処理できる。すなわち、処理能力を超えることによる、処理不良の製品を出さないために包装部30が断続運転する機会を減らすことができる。また、受渡しコンベヤ23と供給コンベヤ24により搬送される物品Wの前後の間隔を保つことができ、包装部30の包装タイミングに合わせて物品Wを供給することができる。
(5)上記物品供給システムに係る検知手段は、単一の検知装置13で、多列に載置された物品Wの個数を列ごと(包装部30ごと)に検出できる。これにより、1列ごとに対応した検知装置を配設する場合と比べて、装置の構成を簡略化することができる。よって、物品供給システムの製造コストを減らすことできる。また、複数の検知装置を制御することに比べて、制御を単純にできる。
(6)複数配設された包装部30の処理能力を個別に変更できるため、一例としてカーブコンベヤなど列に応じた搬送量が変わることがあっても、複数の包装部30は、変化した搬送量に応じた包装能力に個別で変更し、断続運転が起こりにくくすることができる。
【0038】
<変更例>
本発明は、上述した実施形態で説明した構成に限定されず、要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
(1)上記実施形態では、処理機構として横形製袋充填機を採用した例を示したが、これに限られず、例えば横三方包装機を選択しても良い。また、容器や箱などに物品Wを移載する鉾詰め装置を選択しても良い。早期に物品Wの個数を検知して箱詰め装置の処理能力を変更することにより、物品Wの位置ずれや転倒の発生を減らすことができる。
(2)検知手段は、物品Wの個数を検知できる手段であれば、3Dカメラのほか、CCDカメラ、光電センサ、ラインセンサなどを選択しても良い。
(3)上記実施形態では、振分手段として振分ガイド12をベルトコンベヤ10の搬送面10a上に配設する例を示したが、これに限られず、例えばロボットやプッシャーによって物品Wを振り分けて各搬送機構20に物品Wを受け渡す構成としても良い。
(4)上記実施形態では、包装部30を5基配設した構成を示したが、これに限られず、複数であれば包装部30の台数を適宜変更できる。また、包装部30は、一部だけ能力を固定する包装機であっても良い。
(5)搬送機構20は、搬送コンベヤ21の一部または全部を、リニアモータにより搬送する構成としても良い。
(6)上記実施形態に係る物品供給システムは、搬送機構20の構成に、包装部30へ物品Wを供給する供給コンベヤ24が含まれる例を示したが、供給コンベヤ24を含まない構成としても良い。この場合、横形製袋充填機に供給コンベヤ24と製袋部30aが含まれる構成としても良い。
(7)搬送機構20は、一時的に物品Wを貯留する貯留部を備えていても良い。例えば、特許第5478112号のように、搬送コンベヤ21と受渡しコンベヤ23の間に、物品Wを貯留させるコンベヤを配設した構成としても良い。これにより、搬送されてきた物品Wの数が処理能力の下限値を下回る場合に、包装部30の運転を停止させることなく、不足分の物品Wを送り出すことができる。すなわち、空の包装を作らないようにするために行う断続運転の頻度を抑制できる。
(8)上記実施形態では、物品供給システムにおいて一つの制御部が(i)検知装置13の検知情報に基づき処理量算出手段と処理変更手段を制御する、(ii)センサ25などの情報に基づき搬送機構20の個々のベルトコンベヤ22を制御する、(iii)包装部30の包装動作を制御する構成を示したが、これに限られず、上記(i)、(ii)、(iii)の一部または全部を分割した構成としても良い。例えば、上記(i)と(ii)を一つの制御部で行い、上記(iii)を他の制御部で行う構成としても良い。さらに、上記(i)、(ii)、(iii)の処理または制御をそれぞれ別々の制御部で行う構成としても良い。説明の便宜上、すべての包装部30の包装動作を一つの制御部で制御する例を示したが、各包装部30ごとに包装動作を制御する制御部を持つ構成としても良い。また、上位、下位の設定をもって制御を行う構成としても良い。また、分割した制御部の間で情報を伝達する構成としても良い。また、各列算出タイミングは、包装機に物品が届くタイミングの速さに倣って、早い順から算出しても良い。
(9)上記説明及び表1と表2におけるt、X、α、A、Y、Ymax、Ymin、a~i等の値は、搬送される物品W、各装置の構成などに応じて、任意に設定されるものである。
(10)包装部30の適正な処理が可能な処理能力の範囲については、100%未満となるように設定しても良い。例えば、基準値Aの場合に包装能力を100%としたとき、包装能力を90%から110%の範囲で変更するようにしても良い。
【符号の説明】
【0039】
W:物品 Y:処理量
10:ベルトコンベヤ 12:振分ガイド(振分手段) 13:検知装置(検知手段)
20:搬送機構 21:搬送コンベヤ(搬送機構) 23:受渡しコンベヤ(搬送機構) 24:供給コンベヤ(搬送機構) 26:排出手段 30:包装部(処理機構)