(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034237
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】流動体の圧送システム
(51)【国際特許分類】
E04G 21/04 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
E04G21/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138348
(22)【出願日】2022-08-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和3年10月に五洋建設株式会社(東京都文京区後楽2-2-8)にコンクリートポンプ用流量計に係る取扱説明書を配布 (2)令和3年10月に飛島建設株式会社(東京都港区港南一丁目8番15号 Wビル5F)にコンクリートポンプ用流量計に係る取扱説明書を配布 (3)令和3年10月に株式会社鴻池組(大阪府大阪市中央区北久宝寺町3-6-1)にコンクリートポンプ用流量計に係る取扱説明書を配布 (4)令和3年10月に前田建設工業株式会社(東京都千代田区富士見二丁目10番2号)にコンクリートポンプ用流量計に係る取扱説明書を配布
(71)【出願人】
【識別番号】512270807
【氏名又は名称】株式会社北斗工業
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中平 憲文
(72)【発明者】
【氏名】對馬 陽公
(72)【発明者】
【氏名】武石 海斗
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172CA33
(57)【要約】
【課題】本発明は、圧送した流動体の配管における位置を的確に検出することができる圧送システムを提供する。
【解決手段】本発明の流動体の圧送システムSは、ポンプ車1から配管内に吐出された流動体の吐出量積算値を前記ポンプ車1からの前記流動体の吐出量特定信号に基づいて演算する吐出量積算値演算部21aと、前記吐出量積算値演算部21aが演算した前記吐出量積算値と、予め設定されている前記配管の内側断面積とに基づいて、圧送された前記流動体の前記配管の長さ方向における前端位置を演算する前端位置演算部21bと、を有することを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプから配管内に吐出された流動体の吐出量積算値を前記ポンプからの前記流動体の吐出量特定信号に基づいて演算する吐出量積算値演算部と、
前記吐出量積算値演算部が演算した前記吐出量積算値と、予め設定されている前記配管の内側断面積とに基づいて、圧送された前記流動体の前記配管の長さ方向における前端位置を演算する前端位置演算部と、
を有することを特徴とする流動体の圧送システム。
【請求項2】
前記吐出量積算値演算部及び前記前端位置演算部は、有線又は無線の信号線で前記ポンプに繋げられる前記流動体の流動制御装置に設けられ、
前記流動制御装置は、前記前端位置演算部が演算した前記前端位置を表示する表示部を有していることを特徴とする請求項1に記載の流動体の圧送システム。
【請求項3】
前記流動制御装置は、配管寸法情報が入力可能な入力部をさらに備え、
前記入力部は、前記流動体の前記配管の長さ方向における前記前端位置の停止予定位置が入力可能となっており、
前記流動制御装置は、圧送された前記流動体の前記前端位置が前記停止予定位置に達した際に、前記ポンプに対して前記流動体の圧送停止信号を、前記信号線を介して出力することを特徴とする請求項2に記載の流動体の圧送システム。
【請求項4】
前記流動制御装置には、通信回線を介して複数の端末が前記流動制御装置の情報を取得可能に繋げられていることを特徴とする請求項2に記載の流動体の圧送システム。
【請求項5】
前記流動制御装置の前記表示部は、前記入力部を兼ねるタッチパネルで構成されていることを特徴とする請求項3に記載の流動体の圧送システム。
【請求項6】
前記流動体は、第1の流動体と、この第1の流動体とは異なる第2の流動体とからなり、
前記第1の流動体は、前記第2の流動体よりも先行するように前記配管を介して圧送され、
前記第2の流動体は、前記第1の流動体に連続するように前記配管を介して圧送され、
前記前端位置演算部は、少なくとも前記第2の流動体の前記配管の長さ方向における前端位置を演算することを特徴とする請求項1に記載の流動体の圧送システム。
【請求項7】
前記第1の流動体がモルタルであり、前記第2の流動体が生コンクリートであるか、又は前記第1の流動体が生コンクリートであり、前記第2の流動体が水であることを特徴とする請求項6に記載の流動体の圧送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動体の圧送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生コンクリートをポンプから配管を介して打設現場まで圧送する圧送システムにおいて、圧送した所定量の生コンクリートに続いて水を圧送するいわゆる水打設を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような圧送システムによれば、生コンクリートに続く水によって、配管内に残存している生コンクリートを打設現場まで速やかに移動させることができるとともに、生コンクリート圧送後の配管内に付着した生コンクリートを洗浄することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の圧送システム(例えば、特許文献1参照)においては、コンクリートに要求される強度を担保するために、生コンクリートに続いて配管内を流動する水が、生コンクリートと一緒になって打設されることは避けなければならない。
従来においては作業者が配管出口の生コンクリートの吐出状況などを目視にて監視してはいるものの、配管内で生コンクリートに続く水の位置判定は難しい。そのため配管出口から生コンクリートに続いて不用意に水を吐出させて生コンクリートと水とを一緒に打設してしまう恐れもある。したがって、生コンクリートなどの流動体の圧送システムにおいては、圧送した流動体の配管における位置を的確に検出することができるものが望まれている。
【0005】
本発明の課題は、圧送した流動体の配管における位置を的確に検出することができる圧送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決した流動体の圧送システムは、ポンプから配管内に吐出された流動体の吐出量積算値を前記ポンプからの前記流動体の吐出量特定信号に基づいて演算する吐出量積算値演算部と、前記吐出量積算値演算部が演算した前記吐出量積算値と、予め設定されている前記配管の内側断面積とに基づいて、圧送された前記流動体の前記配管の長さ方向における前端位置を演算する前端位置演算部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の流動体の圧送システムによれば、圧送した流動体の配管における位置を的確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る流動体の圧送システムの構成説明図である。
【
図2】
図1の圧送システムを構成するポンプ部の構成説明図である。
【
図3】
図1の圧送システムを構成する流動制御装置(流量計)の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】流動制御装置(流量計)の制御部の動作手順を説明するフロー図である。
【
図5A】
図1の圧送システムの起動時における流動制御装置(流量計)の表示部の画面を示す模式図である。
【
図5B】
図5Aの表示部の画面において、配管寸法情報の入力部がポップアップした状態を示す模式図である。
【
図5C】第1の流動体(モルタル)に続いて第2の流動体(生コンクリート)が圧送されている様子を模式的に示す配管の部分断面図である。
【
図5D】第1の流動体(モルタル)に続いて第2の流動体(生コンクリート)が圧送されている際の表示部の画面の一例を示す模式図である。
【
図6A】流動制御装置(流量計)の表示部の画面において、水打設時における水停止位置の入力部がポップアップした状態を示す模式図である。
【
図6B】第1の流動体(生コンクリート)に続いて第2の流動体(水)が圧送されている様子を模式的に示す配管の部分断面図である。
【
図6C】第2の流動体(水)が停止予定位置(水打設停止距離)で停止した様子を模式的に示す配管の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の流動体の圧送システム(以下、単に圧送システムと称する)を実施するための形態(実施形態)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、本発明について、生コンクリートをポンプから配管を介して打設現場まで圧送する圧送システムを例にとって具体的に説明する。また、本実施形態では、後記する実施例にて生コンクリートに先行してモルタル(先行剤)を圧送するもの、及び生コンクリートに続いて水を圧送するもの(水打設)を例にとってさらに具体的に本発明について説明する。
なお、本発明の圧送システムは、このようなモルタル、生コンクリート、水などの流動体に限定されることなく、配管を介して圧送し得る例えば流動化処理土などの様々な流動体に適用することができる。
【0010】
≪圧送システム≫
本実施形態の圧送システムは、トンネルの施工現場に配管を介して生コンクリートを圧送するものを想定している。なお、以下の説明においては、特に明記しない限りにおいて、生コンクリートを単に「流動体」と称することがある。
図1は、本実施形態に係る流動体Fの圧送システムSの構成説明図である。
図1に示すように、圧送システムSは、ポンプ車1と、ポンプ車1から配管5を介して圧送される流動体Fの流量計2と、インタネット4を介して流量計2の情報を取得可能な端末3と、を有している。
なお、ポンプ車1は、特許請求の範囲にいう「ポンプ」に相当する。流量計2は、ポンプ車1から吐出する流動体Fの吐出量などを表示するとともに、後に詳しく説明するように、ポンプ車1と協働することで配管5における流動体Fの動きを制御する。すなわち、本実施形態での流量計2は、特許請求の範囲にいう「流動体の流動制御装置」に相当する。
【0011】
<ポンプ車>
図1に示すように、ポンプ車1は、アジテータ車6から供給された生コンクリート(流動体F)をホッパ1aにて受け入れる。
また、ポンプ車1は、受け入れた生コンクリート(流動体F)を次に説明するポンプ部10(
図2参照)にて配管5へと吐出する。
【0012】
図2は、ポンプ車1(
図1参照)におけるポンプ部10の構成説明図である。
図2に示すように、このポンプ部10においては、ホッパ1a(
図1参照)に受け入れられた流動体F(
図1参照)が、吸入吐出弁室15内に流入すると、図示しないセンサがこれを検知して2連の圧送ピストン12のそれぞれが、2連の圧送シリンダ11内を交互に往復運動し始める。具体的には、それぞれの圧送ピストン12を駆動する2連の油圧シリンダ13によって、一方の圧送ピストン12が吸入吐出弁室15から離れるように後退すると、他方の圧送ピストン12は吸入吐出弁室15に近づくように前進する。このような圧送ピストン12を内側で進退させる圧送シリンダ11の開放側は、ホッパ1a(
図1参照)に所定の配管(図示を省略)を介して接続される吸入吐出弁室15と連通している。
なお、本実施形態でのポンプ部10の起動動作は、前記のように、センサが流動体Fを検出することで自動的に行われる構成を想定しているが、ポンプ車1のポンプスイッチ(図示を省略)をユーザが所定のタイミングでONにすることで行われる構成であってもよい。
【0013】
吸入吐出弁室15には、配管5(
図1参照)が接続される流動体F(
図1参照)の吐出口17が形成されている。
また、吸入吐出弁室15内には、送出管16が配置されている。送出管16の一端側は、吐出口17に接続されている。そして、送出管16の他端側は、駆動シリンダ14によって、2連の圧送シリンダ11の開放側のそれぞれに対して、次に説明する所定のタイミングで連結されるように移動可能となっている。
【0014】
このポンプ部10においては、前記のように、一方の圧送ピストン12が圧送シリンダ11内で後退する際には、送出管16の他端側は、前進する他方の圧送ピストン12側の圧送シリンダ11の開放側に接続される。これにより後退する一方の圧送ピストン側の圧送シリンダ11内には、吸入吐出弁室15内の流動体F(
図1参照)が流入する。そして、前進する他方の圧送ピストン12は、圧送シリンダ11内に満たされた流動体Fを、送出管16を介して吐出口17から配管5(
図1参照)へと吐出する。
【0015】
次に、他方の圧送ピストン12が圧送シリンダ11から流動体F(
図1参照)を吐出した後に後退し始めると、送出管16の他端側は、これとは逆に前進し始める一方の圧送ピストン12側の圧送シリンダ11の開放側に接続される。これにより後退する他方の圧送ピストン側の圧送シリンダ11内には、吸入吐出弁室15内の流動体Fが流入する。そして、前進する一方の圧送ピストン12は、圧送シリンダ11内に満たされた流動体Fを、送出管16を介して吐出口17から配管5(
図1参照)へと吐出する。
【0016】
本実施形態でのポンプ部10は、このような2連の圧送ピストン12による交互の進退動作の繰り返しによって、ホッパ1a(
図1参照)に受け入れた流動体F(
図1参照)を配管5に対して連続的に吐出する。
また、ポンプ部10は、圧送ピストン12が上死点に達したことを検知するピストン検出器18aを2連の圧送シリンダ11のそれぞれに有している。
ピストン検出器18aは、圧送ピストン12が圧送シリンダ11から流動体Fを送り出した進退方向のスライド回数に対応してカウント信号を出力する。
ポンプ部10による流動体Fの吐出量は、圧送ピストン12の1回のスライド当たりの単位吐出量に、圧送ピストン12のスライド回数を乗じて求められる。
ポンプ車1(ポンプ)は、ピストン検出器18aが出力したカウント信号を、送受信装置19及び有線又は無線の信号線9(
図1参照)を介して流量計2(
図1参照)に送信する。なお、このカウント信号は、特許請求の範囲にいう「流動体の送出量特定信号」に相当する。
【0017】
また、ポンプ車1(
図1参照)は、貯水タンク8(
図1参照)の水をポンプ部10(
図2参照)にて配管5(
図1参照)へと吐出することもできる。
図2中、符号18bは、吐出口17に設けられた電磁流量計である。電磁流量計18b(
図2参照)は、配管5(
図1参照)内に吐出される水の流量を検出する。電磁流量計18b(
図2参照)が検出した流量特定信号は、送受信装置19(
図2参照)及び有線又は無線の信号線9(
図1参照)を介して流量計2(
図1参照)に送信される。
この水の吐出工程(水打設工程)については後に詳しく説明する。
【0018】
図1に示すように、このようなポンプ車1(ポンプ)に一端側が接続される配管5の他端側(配管出口5a)は、トンネル7内の施工現場7a(例えば、セントルに設けられた打設口)に臨んでいる。
なお、本実施形態での配管5は、複数種類(複数規格)のものが繋げられて構成されている。具体的には、配管5は、後記するように、配管ZX200、配管ZX130、配管M1、配管S1などからなるものを想定している。ただし、配管5は、数及び規格においてこれに限定されるものではない。
【0019】
<流量計(流動制御装置)>
次に、流量計2(
図1参照)について説明する。
図3は、
図1の圧送システムSを構成する流量計2の内部構成を示すブロック図である。
図3に示すように、流量計2は、制御部21と、記憶部22と、表示部23と、入力部24と、を主に備えて構成されている。
【0020】
(制御部)
図3に示す制御部21は、CPU(Central Processing Unit)で構成され、インタネット4(
図1参照)と連携して圧送システムS(
図1参照)を統括的に制御する。特に、本実施形態での制御部21は、後に詳しく説明する吐出量積算値演算部21aと、前端位置演算部21bと、流動体停止判断部21cとからなる構成要素を有している。
制御部21は、これらの構成要素を有することで、ポンプ車1(
図1参照)が圧送した流動体F(
図1参照)の配管5(
図1参照)での前端位置P1(
図1参照)を検出するとともに、流動体Fを予め設定した停止予定位置P2(
図1参照)に停止させるように圧送システムSを制御する。また、制御部21は、インタネット4上の所定のサーバ(図示を省略)に対して端末3と共有する制御情報をアップロードする。この制御部21が実行する具体的な手順については、圧送システムSの動作とともに後に説明する。
【0021】
(記憶部)
図3に示す記憶部22は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、microSDカード、HDD(Hard Disk Drive)などで構成される。記憶部22には、制御部21が実行する圧送システムS(
図1参照)の制御に必要なプログラム、このプログラムの実行に際して参照するパラメータなどの不揮発性又は揮発性のデータが格納される。特に、本実施形態での記憶部22は、吐出量積算値格納部22aと、配管寸法情報格納部22bと、停止予定位置格納部22cとからなる構成要素を有している。これらの構成要素には、制御部21が流動体F(
図1参照)の前端位置P1(
図1参照)を検出する際に、又は流動体Fを停止予定位置P2(
図1参照)に停止させる際に参照するデータが格納される。これらの構成要素については、制御部21が実行する手順とともに後に詳しく説明する。
【0022】
(表示部及び入力部)
図3に示す本実施形態での表示部23は、液晶ディスプレイなどで構成されるものを想定している。表示部23は、ポンプ車1(
図1参照)からのカウント信号や、記憶部22に格納されたデータに基づいて制御部21が作成した画面を表示する。具体的には、表示部23は、流動体F(
図1参照)のポンプ吐出流量[m
3/h]や、流動体Fの吐出量積算値[m
3]、配管5(
図1参照)の長さ[m]などの情報をユーザが視認可能に表示する。なお、表示部23が表示する画面の構成は、これらに限定されずに圧送システムSの実施態様に応じて適宜に設定することができる。
【0023】
本実施形態での入力部24は、表示部23を構成する液晶ディスプレイの表面にユーザが触れることで入力が可能となるタッチパネル25を想定している。具体的には、入力部24は、表示部23に表示された入力項目の位置に形成された光透過性のタッチスイッチにユーザが触れると、表示部23の画面に入力画面がポップアップするようになっている。ユーザは、入力画面のタッチスイッチを介して必要な情報を流量計2(
図1参照)に入力することとなる。ただし、入力部24は、これに限定されるものではなく、例えば機械的に働く複数のキーボタンからなるものにて構成することもできる。
【0024】
<端末>
端末3は、
図1に示すように、インタネット4(通信回線)を介して流量計2に繋げられている。本実施形態の圧送システムSにおいては、複数の端末3を有するものを想定している。
端末3としては、インタネット4の図示しないサーバを介して流量計2にアクセスすることができれば特に制限はなく、例えばスマートホン、タブレット、パーソナルコンピュータなどを使用することができる。このような端末3によれば、一般に公開されているブラウザを使用することによって、後記するように、流量計2の表示部23(
図3参照)における情報を共有することができる。
【0025】
≪圧送システムの動作≫
次に、
図1から
図3を参照しながら圧送システムSの動作について説明する。
本実施形態の圧送システムSは、ユーザがポンプ車1の起動スイッチをONにすることによって、これに連動して流量計2の起動スイッチがONになるように構成されている。ただし、圧送システムSは、ユーザがポンプ車1の起動スイッチと流量計2の起動スイッチとを個別にONにするものであっても構わない。
そして、流量計2は、起動することによってインタネット4と接続される。流量計2の制御部21は、インタネット4との接続を起点に、後に詳しく説明する制御に必要なパラメータなどを、この制御工程と並行してインタネット4の所定のサーバ(図示を省略)に対して逐次にアップロードする。
【0026】
次に、圧送システムSは、ユーザがタッチパネル25で構成される入力部24を介して配管5の寸法情報(配管寸法情報)を入力すると、制御部21は、記憶部22の配管寸法情報格納部22bにこれを記憶させる。本実施形態での配管寸法情報格納部22bには、予めポンプ車1に繋げられている内径が既知の配管5の種類ごとに、配管5の長さを記憶させることができる。
制御部21は、配管寸法情報格納部22bに記憶された配管5の種類ごとの長さに基づいて総配管距離[m]を表示部23に表示する。
また、圧送システムSは、ユーザがタッチパネル25で構成される入力部24を介して流動体Fの配管5の長さ方向における所定の停止予定位置P2(
図1参照)、すなわちポンプ車1(
図1参照)からの配管5(
図1参照)の長さ[m]として停止予定位置P2を入力すると、制御部21は、記憶部22の停止予定位置格納部22cにこれを記憶させる。
制御部21は、停止予定位置格納部22cに記憶された停止予定位置P2(
図1参照)を表示部23に表示する。
【0027】
一方、アジテータ車6が生コンクリート(流動体F)をポンプ車1に供給すると、ポンプ車1は、ポンプ部10によって配管5へと吐出する。この際、ポンプ車1は、流量計2に向けて、前記のカウント信号(流動体Fの送出量特定信号)を、有線又は無線の信号線9を介して流量計2に向けて送信する。
そして、このカウント信号を受信した流量計2の制御部21は、次のような手順を実行して圧送される配管5内における流動体Fの前端位置P1を演算するとともに、流動体Fを予め設定した停止予定位置P2に停止させる。
【0028】
図4は、制御部21(
図3参照)の動作手順を説明するフロー図である。
図4に示すように、制御部21の吐出量積算値演算部21aは、ポンプ車1(
図1参照)からのカウント信号を受信する(ステップS101)。この際、吐出量積算値演算部21aは、前記のように、カウント信号に基づいて流動体F(
図1参照)の吐出量[m
3]を演算する。
また、吐出量積算値演算部21aは、演算した流動体Fの吐出量[m
3]を積算することによって、ポンプ車1から吐出された流動体Fの吐出量積算値[m
3]を演算する(ステップS102)。そして、吐出量積算値演算部21aは、演算した吐出量積算値[m
3]を吐出量積算値格納部22a(
図3参照)に記憶させる。
【0029】
次に、制御部21(
図3参照)は、
図4に示すように、配管5(
図1参照)における流動体F(
図1参照)の前端位置P1(
図1参照)を演算する(ステップS103)。具体的には、制御部21の前端位置演算部21b(
図3参照)は、吐出量積算値格納部22a(
図3参照)を参照して格納されている流動体Fの吐出量積算値[m
3]を取得する。
また、前端位置演算部21bは、配管寸法情報格納部22b(
図3参照)を参照して格納されている配管5の内径[m]を取得する。そして、前端位置演算部21bは、配管5の内径[m]から求めた配管5の内側断面積[m
2]にて流動体Fの吐出量積算値[m
3]を除することによって、ポンプ部10(
図2参照)側から送り出された流動体Fの配管5における到達距離[m]に等しい、流動体Fの前端位置P1を検出する。
【0030】
次に、制御部21(
図3参照)の流動体停止判断部21c(
図3参照)は、記憶部22(
図3参照)の停止予定位置格納部22c(
図3参照)を参照して格納されている停止予定位置P2(
図1参照)を取得する(ステップS104)。
【0031】
そして、流動体停止判断部21cは、
図4に示すように、流動体F(
図1参照)の前端位置P1(
図1参照)が停止予定位置P2に到達したか否かを判断する(ステップS105)。
流動体停止判断部21cは、前端位置P1が停止予定位置P2に到達していない場合(ステップS105のNO)には、ステップS101からステップS105を繰り返す。ちなみに、ステップS102においては、吐出量積算値格納部22aに格納された吐出量積算値[m
3]は、ポンプ車1から吐出量積算値演算部21aがカウント信号を受信するたびに上書きされて更新されることとなる。
【0032】
また、流動体停止判断部21cは、前端位置P1が停止予定位置P2に到達したと判断した場合(ステップS105のYES)には、ポンプ車1(
図1参照)に向けて流動体Fの圧送停止信号を送信する(ステップS106)。送受信装置19(
図2参照)を介して圧送停止信号を受信したポンプ部10(
図2参照)は、配管5(
図1参照)への流動体Fの圧送を停止する。
これにより流動体Fの前端位置P1が停止予定位置P2に到達した状態が維持されることで、流量計2による圧送システムS(
図1参照)の一連の制御工程は終了する。
【0033】
≪圧送システムの奏する作用効果≫
本実施形態の圧送システムSの制御部21は、ポンプ車1から配管5内に吐出される流動体Fの吐出量積算値をポンプ車1からの流動体Fの吐出量特定信号に基づいて演算する吐出量積算値演算部21aと、この吐出量積算値演算部21aが演算した吐出量積算値と、予め設定されている配管5の内径とに基づいて、圧送された流動体Fの配管5の長さ方向における前端位置P1を演算する前端位置演算部21bと、を有している。
このような圧送システムSによれば、圧送した流動体Fの配管5における前端位置P1を的確に検出することができる。
【0034】
また、このような圧送システムSにおいては、吐出量積算値演算部21a及び前端位置演算部21bは、有線又は無線の信号線9でポンプ車1に繋げられる流量計2(流動制御装置)に設けられ、この流量計2は、前端位置演算部21bが演算した前端位置P1を表示する表示部23を有している。
このような圧送システムSによれば、ユーザは、表示部23を目視にて監視することで、圧送した流動体Fの配管5における前端位置P1をさらに的確に把握することができる。
【0035】
また、このような圧送システムSの流量計2(流動制御装置)は、配管寸法情報が入力可能な入力部24をさらに備え、入力部24は、流動体Fの配管5の長さ方向における停止予定位置P2が入力可能となっている。また、流量計2(流動制御装置)は、圧送された流動体Fの前端位置P1が停止予定位置P2に達した際に、ポンプ車1に対して流動体Fの圧送停止信号を、信号線9を介して出力するようになっている。
このような圧送システムSによれば、予め配管5に設定した停止予定位置P2に流動体Fを的確に停止させることができる。
【0036】
また、このような圧送システムSの流量計2(流動制御装置)には、インタネット4を介して複数の端末3が流量計2の情報を取得可能に繋げられている。
このような圧送システムSによれば、各端末3にて流量計2(流動制御装置)の表示部23に表示される画像を共有することができる。
【0037】
また、このような圧送システムSの流量計2(流動制御装置)における表示部23は、入力部24を兼ねるタッチパネル25で構成されている。
このような圧送システムSによれば、流量計2(流動制御装置)に接続される複数種類(複数規格)にわたる配管5のそれぞれの配管寸法情報を入力する際に、表示部23に表示される数値に対応付けた必要な数値変更を、表示部23に重ね合わせられた入力部24を介して行うことができる。これにより複数種類(複数規格)の配管5にわたる配管寸法情報の入力を正確かつ迅速に行うことができる。
【実施例0038】
次に、本実施形態の圧送システムにおけるさらなる具体的態様として、ポンプ車から生コンクリートに先行してモルタル(先行剤)を配管に圧送するもの(実施例1)、及び生コンクリートに続いて水を配管に圧送するもの(実施例2)について説明する。
なお、以下の実施例1及び実施例2において、前記実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0039】
(実施例1)
本実施例で参照する
図5Aは、圧送システムS(
図1参照)の起動時における流量計2(
図1参照)の表示部23(
図3参照)の画面を示す模式図である。
図5Bは、
図5Aの表示部23の画面において、配管寸法情報の入力部24(
図3参照)がポップアップした状態を示す模式図である。
【0040】
本実施例では、まず圧送システムS(
図1参照)が起動した際の、流量計2(
図1参照)における表示部23(
図3参照)の画面構成について説明する。
図5Aに示すように、表示部23には、ポンプ車1(
図1参照)のステータスの表示欄23aと、ポンプ吐出量[m
3/h]の表示欄23bと、打設積算値[m
3]の表示欄23cと、先行剤位置[m]の表示欄23dと、総配管距離[m]の表示欄23eと、水打設吐出量[m
3/h]の表示欄23fと、管内容量[m
3]の表示欄23gと、水打設距離[m]の表示欄23hと、水打設停止距離[m]の表示欄23iと、が映し出される。
【0041】
また、表示部23(
図3参照)には、ポンプ前面圧[MPa]の表示欄23jと、雰囲気温度[℃]の表示欄23kと、流動体温度[℃]の表示欄23lと、配管寸法情報の表示欄23mと、日時の表示欄23nと、経過時間の表示欄23oと、インタネット接続の表示欄23pと、通信状態の表示欄23qと、が映し出される。
【0042】
ステータスの表示欄23aには、ポンプ車1(
図1参照)における流動体F(
図1参照)の圧送状態が表示される。
ちなみに、圧送システムS(
図1参照)の起動時で、ポンプ車1のポンプ部10(
図2参照)が動作していないときには、表示欄23aは、
図5Aに示すように「停止」の用語を表示する。また、表示欄23aには、ポンプ部10の運転状況に応じて、「圧送中」、「逆送中」、「水打設」又は「水打設停止」の用語が表示されることとなる。ちなみに、「逆送中」とは、ポンプ車1が配管5(
図1参照)側から流動体Fを吸引している状態である。また、「水打設」及び「水打設停止」については、実施例2にて説明する。
【0043】
表示欄23bには、圧送している流動体F(
図1参照)の単位時間当たりのポンプ吐出量[m
3/h]が表示される。ポンプ車1(
図1参照)が流動体F(
図1参照)の圧送を停止しているときには、「0[m
3/h]」と表示される。
表示欄23cには、ポンプ車1(
図1参照)が配管5(
図1参照)へと吐出した生コンクリート(流動体F)の吐出量積算値[m
3]が打設積算値[m
3]として表示される。
表示欄23dには、配管5に圧送した先行剤としてのモルタルの後端位置P3(
図5C参照)が先行剤位置[m]として表示される。ちなみに、本実施例においては、後に説明するように、このモルタルに続いて圧送される生コンクリートの前端位置P1(
図5C参照)が先行剤位置[m]として表示される。
【0044】
表示欄23eには、ポンプ車1(
図1参照)に接続される複数種類からなる配管5(
図1参照)の合計長さが総配管距離[m]として表示される。
なお、水打設吐出量[m
3/h]の表示欄23fと、管内容量[m
3]の表示欄23gと、水打設距離[m]の表示欄23hと、水打設停止距離[m]の表示欄23iと、については、水打設を行う実施例2において説明する。
【0045】
表示欄23jには、ポンプ車1(
図1参照)が流動体F(
図1参照)を圧送しているときの、ポンプ部10(
図2参照)の吐出口17(
図2参照)における流動体Fの圧力がポンプ前面圧[MPa]として表示される。
表示欄23kには、流量計2(
図1参照)の周囲の大気温度が雰囲気温度[℃]として表示される。
表示欄23lには、ホッパ1a(
図1参照)での流動体F(
図1参照)の温度が流動体温度[℃]として表示される。
【0046】
表示欄23mの配管寸法情報には、
図5Aに示すように、例えば、配管ZX200、配管ZX130、配管M1、配管S1などからなるものを所定長さで繋げて配管5(
図1参照)を形成していることが表示される。
表示欄23nには、圧送システムS(
図1参照)を運転した日時が表示される。
表示欄23oには、流動制御装置としての流量計2(
図1参照)がインタネット4(
図1参照)に対して情報接続している時間が経過時間として表示される。
表示欄23pには、インタネット4との接続状況が表示される。表示欄23pには、インタネット4との接続状況に応じて、
表示欄23qには、ポンプ車1(
図1参照)及びインタネット4に対する流量計2の通信状況が表示される。
【0047】
このように圧送システムSが起動すると、流量計2(
図1参照)の制御部21(
図3参照)は、インタネット4(
図1参照)と接続される。この際、表示欄23pには「ログ取得開始する」と表示されている。この圧送システムSは、タッチスイッチを有しており、ユーザが「ログ取得開始する」と記された表示欄23pに触れると、制御部21は、インタネット4の所定のサーバ(図示を省略)にログファイルを形成する。制御部21は、配管5(
図1参照)内における流動体F(
図1参照)の流動及び停止についての制御に係る所定の情報をサーバに送信して、サーバ上のプログラムがログファイルに追記する。
【0048】
なお、圧送システムSの起動時に、流量計2がインタネット4に接続されていない場合には、表示欄23pには、「net接続確認する」と表示される。ユーザが「net接続確認する」と記された表示欄23pに触れると、制御部21はインタネット4との接続を実行する。また、制御部21が、所定の情報をログファイルにアップロードしているときには、表示欄23pには、「計測中」と表示される。
【0049】
このように圧送システムSが起動した状態で、ユーザが表示欄23mに触れると入力部24(
図3参照)がポップアップ画面24a(
図5B参照)として現れる。
図5Bに示すように、ポップアップ画面24aは、ユーザが触れた、例えば配管ZX200の長さ[m]について入力可能に現れる。このポップアップ画面24aは、ZX200の長さ[m]を示す数値24a1を上下に挟むように、この数値24a1を加減するタッチボタン24a2が配置されている。
また、図示は省略するが、他の配管ZX130、配管M1、及び配管S1についても、ユーザが該当する表示欄23mに触れると、前記の配管ZX200と同様に入力部24(
図3参照)がポップアップ画面として現れる。
ポップアップ画面24aから必要な配管寸法情報(長さ)の入力が完了すると、制御部21(
図3参照)は、配管ZX200、配管ZX130、配管M1、及び配管S1の長さの合計を演算してその合計長さを総配管距離[m]として表示欄23eに表示させる。
【0050】
次に、ポンプ車1(
図1参照)のホッパ1a(
図1参照)には、予め定められた所定量のモルタルと、このモルタルに続いて生コンクリートが投入される。これらモルタルと生コンクリートとは、アジテータ車6(
図1参照)からそれぞれ荷下ろしされる。
本実施例でのモルタルは、生コンクリートよりも先行して配管5を流動することにより、後に続く生コンクリートの配管5内におけるアーチングを防止する。
以下では、モルタルを第1の流動体と称し、生コンクリートを第2の流動体と称することがある。
【0051】
図5Cは、第1の流動体F1(モルタル)に続いて第2の流動体F2(生コンクリート)が圧送されている様子を模式的に示す配管の部分断面図である。
図5Dは、第1の流動体F1(モルタル)に続いて第2の流動体F2(生コンクリート)が圧送されている際の表示部の画面の一例を示す模式図である。
図5Cに示すように、配管5内で第2の流動体F2に先行する第1の流動体F1は、ポンプ車1で圧送される第2の流動体F2によって配管出口5aに向けて圧送される。第1の流動体F1(モルタル)の後端位置P3は、第2の流動体F2(生コンクリート)の前端位置P1に等しくなる。
本実施例1での第2の流動体F2(生コンクリート)の前端位置P1は、前記実施形態での流動体F(生コンクリート)の前端位置P1(
図1参照)と同様にして求められる。
図5Dに示すように、表示欄23dには、第1の流動体F1(モルタル)の後端位置P3に代えて第2の流動体F2(生コンクリート)の前端位置P1が先行剤位置[m]として表示される。
【0052】
この
図5Cに示す配管5内の第1の流動体F1(モルタル)は、第2の流動体F2(生コンクリート)と一緒に打設されないように廃棄される。
【0053】
(実施例2)
本実施例では、実施例1での生コンクリート(第2の流動体F2(
図5C参照))に続いて水を配管5(
図1参照)に圧送する、いわゆる水打設を行う圧送システムS(
図1参照)について説明する。このような水打設により配管5内に残存している生コンクリートは打設現場まで速やかに移動する。また、生コンクリート圧送後の配管5内に付着した生コンクリートは、この水打設により洗浄される。
この水打設は、実施例1で示したように、施工現場7a(
図1参照)に所定量の生コンクリートが圧送されて配管5の全体にわたって生コンクリートが残存しているとともにポンプ部10(
図2参照)が駆動していない状態で開始される。
以下では、生コンクリートを、実施例1とは異なって第1の流動体と称し、水を第2の流動体と称する。
【0054】
図6Aは、表示欄23iの画面において、水打設停止距離の入力部24がポップアップした状態を示す模式図である。
図6Bは、第1の流動体F1(生コンクリート)に続いて第2の流動体F2(水)が圧送されている様子を模式的に示す配管5の部分断面図である。
図6Cは、第2の流動体F2(水)の前端位置P1が停止予定位置P2(水打設停止距離)で停止した様子を模式的に示す配管5の部分断面図である。
【0055】
本実施例においては、ユーザが、
図5Aに示した表示欄23iに触れると、ユーザが要求する水打設停止距離の入力部24(
図3参照)がポップアップする。
図6Aに示すように、ポップアップ画面24aには、水打設停止距離を表す数値24a1を上下に挟むように、この数値24a1を加減するタッチボタン24a2が配置されている。
なお、ポップアップ画面24aにて入力された水打設停止距離[m]は、前記実施形態での停止予定位置P2(
図1参照)に対応しており、制御部21は、停止予定位置格納部22c(
図3参照)にこれを記憶させる。そして、制御部21は、水打設停止距離を表示欄23iに表示させる。
【0056】
次に、ポンプ車1(
図1参照)と貯水タンク8(
図1参照)とが所定の配管(図示を省略)にて接続される。そして、ユーザが、ポンプ車1の前記したポンプスイッチ(図示を省略)をONにすると、起動したポンプ部10(
図2参照)によって、貯水タンク8(
図1参照)の第2の流動体(水)は、ポンプ部10の吐出口17(
図2参照)から配管5(
図1参照)へと吐出される。
【0057】
図6Bに示すように、第1の流動体F1(生コンクリート)に続いて第2の流動体F2(水)が配管5内を介して圧送される。
この際、ポンプ部10(
図2参照)の電磁流量計18b(
図2参照)は、水である第2の流動体F2(
図6B参照)の単位時間当たりの吐出量[m
3/h]を検出するとともに、この流量特定信号を流量計2(
図1参照)の制御部21(
図3参照)に送信する。この流量特定信号は、特許請求の範囲にいう「流動体の吐出量特定信号」に相当する。なお、水の吐出量[m
3/h]は、ピストン検出器18a(
図2参照)が出力するカウント信号によっても検出することができる。
【0058】
また、制御部21は、電磁流量計18b(
図2参照)からの信号に基づいて、前記実施形態での吐出量積算値[m
3]と同様にして水である第2の流動体F2(
図6B参照)の吐出量積算値[m
3]を演算する。そして、制御部21は、演算した吐出量積算値[m
3]を、管内容量[m
3]として表示欄23g(
図5A参照))に表示させる。
【0059】
また、制御部21は、前記実施形態での生コンクリートの前端位置P1と同様にして前端位置演算部21b(
図3参照)が第2の流動体F2(水)の前端位置P1(
図6B参照)を演算する。
第2の流動体F2(水)の前端位置P1は、ポンプ車1(
図1参照)から第2の流動体(水)の前端位置P1までの配管5(
図1参照)の距離である水打設距離[m]として表示欄23h(
図5A参照)に表示される。
【0060】
そして、制御部21(
図3参照)の流動体停止判断部21c(
図3参照)は、
図6Cに示すように、前記実施形態と同様にして、第2の流動体F2(水)の前端位置P1が停止予定位置P2(水打設停止距離)に到達したときに、ポンプ車1(
図1参照)に向けて圧送停止信号を送信する。
図6Cに示すように、配管5内の第1の流動体F1(生コンクリート)は、第2の流動体F2(水)と一緒に打設されることが回避される。
【0061】
[実施例の圧送システムの作用効果]
実施例1の圧送システムSによれば、第1の流動体F1(モルタル)に続いて第2の流動体F2(生コンクリート)が圧送される際に、制御部21の前端位置演算部21bは、少なくとも第2の流動体F2(生コンクリート)の前端位置P1を演算する。
このような圧送システムSによれば、圧送した第2の流動体F2(生コンクリート)の配管5における前端位置P1を的確に検出することができる。
配管5内の第1の流動体F1(モルタル)は、第2の流動体F2(生コンクリート)と一緒に打設されないように廃棄することができる。また、配管5内の第1の流動体F1(モルタル)を廃棄する際に、安全を見越して第1の流動体F1(モルタル)に続く第2の流動体F2(生コンクリート)のいくらかの量を廃棄することを想定した場合であっても、廃棄される第2の流動体F2(生コンクリート)の量を確実に低減することができる。
【0062】
また、実施例2の圧送システムSによれば、第1の流動体F1(生コンクリート)に続いて第2の流動体F2(水)が圧送される際に、制御部21の前端位置演算部21bは、少なくとも第2の流動体F2(水)の前端位置P1を演算する。
このような圧送システムSによれば、圧送した第2の流動体F2(水)の配管5における前端位置P1を的確に検出することができる。
このような圧送システムSは、配管5内の第1の流動体F1(生コンクリート)と第2の流動体F2(水)とが一緒に打設されることを、より確実に防止する。
また、実施例2の圧送システムSによれば、第2の流動体F2(水)の前端位置P1を、予め設定した停止予定位置P2(水打設停止距離)に停止させることができる。これにより圧送システムSは、さらに確実に第1の流動体F1(生コンクリート)と第2の流動体F2(水)とが一緒に打設されることを防止する。
【0063】
以上、本発明に係る実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、前記実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
前記実施形態では、流動体Fの前端位置P1が停止予定位置P2に到達すると、流動体Fの圧送が停止する圧送システムSについて説明したが、停止予定位置P2を設定しない場合においても、前端位置P1が配管出口5aに到達した際に、流動体Fの圧送が停止する構成とすることもできる。
【0064】
また、本発明の圧送システムSは、例えば第1の流動体F1及び第2の流動体F2といった2種類の流動体Fが配管5に存在する場合を想定しているが、本発明は、配管5に3種類以上の流動体Fが存在する構成とすることもできる。
また、本発明の圧送システムSは、先行剤としてモルタルを使用するものを想定しているが、先行剤はモルタルに限定されるものではない。