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特開2024-34238温度管理方法、情報処理システム、プログラム及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034238
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】温度管理方法、情報処理システム、プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20240306BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
F25D23/00 301N
F25D11/00 101E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138349
(22)【出願日】2022-08-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和 3年12月 7日に、アイリスオーヤマ株式会社のウェブサイトにて公開(https://www.irisohyama.co.jp/led/houjin/liconex/haccp/)
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】波多江 弘樹
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045LA14
3L045LA18
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L345AA03
3L345AA26
3L345BB01
3L345CC01
3L345DD62
3L345EE04
3L345EE33
3L345EE49
3L345EE53
3L345HH25
3L345HH34
3L345HH42
3L345KK01
3L345KK02
3L345KK03
(57)【要約】
【課題】ショーケースの霜取り動作を考慮して警告を行うことを実現する温度管理方法等を提供する。
【解決手段】温度管理方法は、ショーケースに設けられた温度センサにより計測された前記ショーケース内の温度データを取得し、取得した前記温度データに基づき、前記ショーケース内の温度が第1閾値を超え、かつ、前記ショーケースの霜取り動作でないと判定した場合、警告を出力し、取得した前記温度データに基づき、前記ショーケース内の温度が前記第1閾値を超え、かつ、前記ショーケースの霜取り動作であると判定した場合、警告を出力しない。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショーケースに設けられた温度センサにより計測された前記ショーケース内の温度データを取得し、
取得した前記温度データに基づき、前記ショーケース内の温度が第1閾値を超え、かつ、前記ショーケースの霜取り動作でないと判定した場合、警告を出力し、
取得した前記温度データに基づき、前記ショーケース内の温度が前記第1閾値を超え、かつ、前記ショーケースの霜取り動作であると判定した場合、警告を出力しない
温度管理方法。
【請求項2】
前記温度データにより予測される予測温度が前記第1閾値よりも高い第2閾値を超えないと予測される場合、前記ショーケースの霜取り動作であると判定する
請求項1に記載の温度管理方法。
【請求項3】
前記温度データにより予測される予測温度が前記第1閾値よりも高い第2閾値を超えると予測される場合、前記ショーケースの霜取り動作でないと判定する
請求項1又は請求項2に記載の温度管理方法。
【請求項4】
時系列のショーケース内の温度データを入力した場合に、前記ショーケースの霜取り動作の有無に関する情報を出力する学習モデルに、取得した時系列の前記温度データを入力して霜取り動作の有無に関する情報を出力する
請求項1又は請求項2に記載の温度管理方法。
【請求項5】
前記温度センサは、前記ショーケース内の温度が前記第1閾値を超えた場合、前記第1閾値を超える前の計測間隔よりも短い計測間隔により温度データを計測する
請求項1又は請求項2に記載の温度管理方法。
【請求項6】
前記ショーケース内の温度が前記第1閾値を超えた後に、前記第1閾値を超えた後の時系列の前記温度データが前記第1閾値を下回る場合、前記ショーケースの霜取り動作であると判定する
請求項1又は請求項2に記載の温度管理方法。
【請求項7】
前記温度データに基づき、前記ショーケース内の温度に係る第1異常が発生したか、または、前記温度センサに係る第2異常が発生したかを判定する
請求項1又は請求項2に記載の温度管理方法。
【請求項8】
前記第1異常が発生したと判定した場合、前記ショーケースに対応付けられた端末装置へ前記ショーケース内の温度の異常であることを示す情報を出力する
請求項7に記載の温度管理方法。
【請求項9】
前記第2異常が発生したと判定した場合、前記ショーケースに対応付けられた端末装置へ前記温度センサの異常であることを示す情報を出力する
請求項7に記載の温度管理方法。
【請求項10】
前記温度センサは第1電極及び第2電極を含むペルチェ素子を備え、
前記第1電極は前記ショーケース内の冷気吐出口の近傍に配置され、前記第2電極は前記ショーケースの除霜ヒータの近傍に配置される
請求項1又は請求項2に記載の温度管理方法。
【請求項11】
前記ショーケースの設けられる施設には24時間連続して電力が供給される第1コンセント及び所定時間電力の供給が停止される第2コンセントが設けられており、
自己発電部を有する前記温度センサが前記第2コンセント側に接続されている
請求項1又は請求項2に記載の温度管理方法。
【請求項12】
前記温度センサの筐体外に第1温度検知部が設けられ、前記温度センサの筐体内に第2温度検知部が設けられており、
前記第2温度検知部から得られる温度データに基づき、前記第1温度検知部から得られる温度データを補正する
請求項1又は請求項2に記載の温度管理方法。
【請求項13】
情報処理装置と、温度センサとを備え、
前記情報処理装置は、
ショーケースに設けられた前記温度センサにより計測された前記ショーケース内の温度データを取得し、
取得した前記温度データに基づき、前記ショーケース内の温度が第1閾値を超え、かつ、前記ショーケースの霜取り動作でないと判定した場合、警告を出力し、
取得した前記温度データに基づき、前記ショーケース内の温度が前記第1閾値を超え、かつ、前記ショーケースの霜取り動作であると判定した場合、警告を出力しない
処理を実行する制御部を備える
情報処理システム。
【請求項14】
ショーケースに設けられた温度センサにより計測された前記ショーケース内の温度データを取得し、
取得した前記温度データに基づき、前記ショーケース内の温度が第1閾値を超え、かつ、前記ショーケースの霜取り動作でないと判定した場合、警告を出力し、
取得した前記温度データに基づき、前記ショーケース内の温度が前記第1閾値を超え、かつ、前記ショーケースの霜取り動作であると判定した場合、警告を出力しない
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
ショーケースに設けられた温度センサにより計測された前記ショーケース内の温度データを取得し、
取得した前記温度データに基づき、前記ショーケース内の温度が第1閾値を超え、かつ、前記ショーケースの霜取り動作でないと判定した場合、警告を出力し、
取得した前記温度データに基づき、前記ショーケース内の温度が前記第1閾値を超え、かつ、前記ショーケースの霜取り動作であると判定した場合、警告を出力しない
処理を実行する制御部を備える
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度管理方法、情報処理システム、プログラム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット、コンビニエンスストア等の施設には、冷凍や冷蔵を必要とする商品を陳列又は保存するための冷凍冷蔵ショーケース、冷凍冷蔵庫が設置されている。それら冷凍冷蔵ショーケースや冷凍冷蔵庫の管理者は、庫内温度が適正な温度帯を維持しているか、装置が正常に運転されているか等を管理する必要がある。ショーケースの管理のため、管理対象となる各庫内の温度を毎日複数回チェックすることは管理者にとって負担が大きい。このような管理者の温度管理の負担を軽減するための技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、食品の冷凍冷蔵設備を外部の管理事業者により一括して管理を行うことができる冷凍冷蔵設備管理システムが開示されている。特許文献1の冷凍冷蔵設備管理システムでは、冷凍冷蔵設備に取り付けられた温度センサが異常値を出力したときには、管理事業者が運営する管理装置により、異常値が出力される以前一定期間の温度履歴データと共に警報信号が該当するユーザ宛てに送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-228340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の冷凍冷蔵設備管理システムは、警告の出力においてショーケースの霜取り動作が考慮されていないという問題がある。冷凍冷蔵ショーケースでは、ショーケース内に付着した霜を除去するための霜取り動作が行われる。霜取り動作の実行中は、通常動作時よりもショーケース内の温度が高温に維持される。このようなショーケースの霜取り動作を考慮して温度異常を検知し、警告を行うことのできる技術が望まれる。
【0006】
本開示の目的は、ショーケースの霜取り動作を考慮して警告を行うことを実現する温度管理方法等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る温度管理方法は、ショーケースに設けられた温度センサにより計測された前記ショーケース内の温度データを取得し、取得した前記温度データに基づき、前記ショーケース内の温度が第1閾値を超え、かつ、前記ショーケースの霜取り動作でないと判定した場合、警告を出力し、取得した前記温度データに基づき、前記ショーケース内の温度が前記第1閾値を超え、かつ、前記ショーケースの霜取り動作であると判定した場合、警告を出力しない。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ショーケースの霜取り動作を考慮して警告を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】情報処理システムの概要図である。
図2】管理装置の構成例を示すブロック図である。
図3】管理DBに記憶される情報の内容例を示す図である。
図4】温度DBに記憶される情報の内容例を示す図である。
図5】制御装置の構成例を示すブロック図である。
図6】温度センサの構成例を示すブロック図である。
図7】温度センサの配置例を示す図である。
図8】霜取り動作の推定手法を説明する説明図である。
図9】警告情報の出力処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10】動作状態の判定処理の詳細な手順の一例を示すフローチャートである。
図11】第2実施形態の学習モデルの概要を示す説明図である。
図12】霜取り動作の有無の判定処理の詳細な手順の一例を示すフローチャートである。
図13】第3実施形態における計測間隔の変更処理手順の一例を示すフローチャートである。
図14】第4実施形態の情報処理システムが実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図15】第5実施形態の温度センサの構成例を示すブロック図である。
図16】温度データの補正処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、情報処理システム100の概要図である。情報処理システム100は、例えばスーパーマーケット、コンビニエンスストア等の施設に設けられたショーケース6の温度管理を行うシステムである。情報処理システム100は、管理装置1を主たる装置として備える。管理装置1は、インターネットなどのネットワークNに接続されている。またネットワークNには、制御装置2、ユーザ端末3及び提供者端末4が接続されている。制御装置2は、ショーケース6に取り付けられた温度センサ5と通信可能に接続されている。
【0012】
管理装置1は、種々の情報処理、情報の送受信が可能な装置であり、例えばサーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ、量子コンピュータ等である。管理装置1は、温度管理方法を実施するための情報処理装置に対応する。管理装置1は、制御装置2を介して、温度センサ5により計測されたショーケース6内の温度データを取得する。管理装置1は、温度データに基づきショーケース6の温度状況を監視し、異常を検知した場合には、ユーザ端末3や提供者端末4へ警告を出力する。管理装置1は、ショーケース6の温度管理作業を支援するための温度管理サービスを実現する。
【0013】
ショーケース6は、例えば店頭において食品等の商品を陳列するためのものである。ショーケース6は、冷蔵用又は冷凍冷蔵用であり、商品を保温する機能を有する。施設に設けられるショーケース6の数は1又は3以上でもよい。ショーケース6には、温度センサ5が取り付けられている。
【0014】
温度センサ5は、適宜の計測間隔でショーケース6内の温度を計測(検知)し、計測した温度に関する情報を制御装置2へ送信する。ショーケース6は、複数の温度センサ5を備えてもよい。
【0015】
制御装置2は、温度センサ5の動作を制御するとともに、温度センサ5から受け付けた温度データを管理装置1へ送信する。制御装置2は、例えば温度センサ5を備えるショーケース6が設置された施設と同じ施設内に設けられる。
【0016】
ユーザ端末3及び提供者端末4は、種々の情報処理、情報の送受信を行う情報処理端末であり、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等である。温度管理サービスを享受するユーザは、ユーザ端末3を用いて管理装置1から提供される情報を得ることができる。温度管理サービスを提供するサービス提供者は、提供者端末4を用いて管理装置1から提供される情報を得ることができる。
【0017】
情報処理システム100の管理対象となる施設の数は2以上でもよく、制御装置2の数は2以上でもよい。またユーザ端末3の数は2以上でもよい。管理装置1とユーザ端末3又は提供者端末4とは別個の装置に限られず、共通する1台の処理装置であってもよい。
【0018】
図2は、管理装置1の構成例を示すブロック図である。管理装置1は、制御部11、記憶部12、及び通信部13を備える。管理装置1は、複数台のコンピュータで構成し分散処理する構成でもよく、1台のサーバ内に設けられた複数の仮想マシンによって実現されていてもよく、クラウドサーバを用いて実現されていてもよい。
【0019】
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等を用いたプロセッサを備える。制御部11は、内蔵するROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等のメモリ、クロック、カウンタ等を用い、各構成部を制御して処理を実行する。
【0020】
記憶部12は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリを備える。記憶部12は、管理装置1に接続された外部記憶装置であってもよい。記憶部12は、制御部11が参照する各種プログラム及びデータを記憶する。本実施形態の記憶部12は、ショーケース6の異常検知や警告の出力に関する処理をコンピュータに実行させるためのプログラム1Pと、このプログラム1Pの実行に必要なデータとしての管理DB(Data Base :データベース)121及び温度DB122とを記憶している。記憶部12はさらに、学習モデル123を記憶していてもよい。学習モデル123については他の実施形態で詳述する。
【0021】
プログラム1Pを含むプログラム(プログラム製品)は、当該プログラムを読み取り可能に記録した非一時的な記録媒体1Aにより提供されてもよい。記憶部12は、不図示の読出装置によって記録媒体1Aから読み出されたプログラムを記憶する。記録媒体1Aは、例えば磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等である。また、通信ネットワークに接続されている外部サーバからプログラムをダウンロードし、記憶部12に記憶させてもよい。プログラム1Pは、単一のコンピュータプログラムでも複数のコンピュータプログラムにより構成されるものでもよく、また、単一のコンピュータ上で実行されても通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されてもよい。
【0022】
通信部13は、ネットワークNを介して外部装置と通信するための通信モジュールを備える。制御部11は、通信部13を通して制御装置2、ユーザ端末3及び提供者端末4それぞれとの間でデータを送受信する。
【0023】
管理装置1の構成は上述の例に限定されず、例えばユーザの操作を受け付けるための操作部、各種情報を表示するための表示部等を備えてもよい。
【0024】
図3は、管理DB121に記憶される情報の内容例を示す図である。管理DB121は、ショーケース6の温度管理を行うための管理情報を記憶するデータベースである。管理DB121には、例えば、温度センサ情報、制御装置情報、ユーザ端末情報、提供者端末情報、上限温度、警告温度及び許容時間等の情報を紐付けたレコードが格納されている。
【0025】
温度センサ情報は、温度センサ5を識別するための識別情報であり、例えば温度センサ5のIPアドレス、機器ID等を含む。制御装置情報は、温度センサ5及び当該温度センサ5を備えるショーケース6に対応付けられる制御装置を識別するための識別情報である。
【0026】
ユーザ端末情報及び提供者端末情報はそれぞれ、温度センサ5及び当該温度センサ5を備えるショーケース6に対応付けられるユーザ端末3及び提供者端末4それぞれを識別するための識別情報である。温度センサ5及びショーケース6に対応付けられるユーザ端末3とは、前記温度センサ5に係る管理サービスのユーザのユーザ端末3であり、前記温度センサ5に異常(特に後述する第1異常)があった場合における警告情報の出力先となるユーザ端末3を意味する。温度センサ5及びショーケース6に対応付けられる提供者端末4とは、前記温度センサ5に係る管理サービスのサービス提供者の提供者端末4であり、前記温度センサ5に異常(特に後述する第2異常)があった場合における警告情報の出力先となる提供者端末4を意味する。
【0027】
上限温度は、温度センサ5の異常検知に用いる第1閾値であり、温度センサ5の通常動作における管理温度帯の上限値である。上限温度は、一例として、5℃~10℃の範囲で設定することができる。
【0028】
警告温度は、温度センサ5の異常検知に用いる第2閾値であり、温度センサ5の霜取り動作における温度帯の上限値である。警告温度は、一例として、11℃~20℃の範囲で設定することができる。
【0029】
許容時間は、温度センサ5の異常検知に用いる閾値であり、霜取り動作を行ったショーケース6の温度データが、管理温度帯を逸脱してから再び管理温度帯に復帰するまでに許容される時間である。
【0030】
管理DB121にはさらに、温度センサ5が備えられるショーケース6を識別するための識別情報であるショーケース情報、ショーケース6が設置される施設を識別するための識別情報である施設情報、管理温度帯の下限値に対応する下限温度等が記憶されていてもよい。
【0031】
管理情報は、例えばユーザが初めて本情報処理システム100を利用する際に、ユーザ端末を用いて、管理装置1から提供される登録用の画面を利用してユーザの登録操作を受け付けることによって収集される。管理装置1は、情報処理システム100に含まれる複数の温度センサ5それぞれについて管理情報を記憶している。管理情報は、任意のタイミングで更新されてよい。例えばユーザは、任意のタイミングにて上限温度、警告温度、許容時間等を変更可能である。
【0032】
図4は、温度DB122に記憶される情報の内容例を示す図である。温度DB122は、温度センサ5により計測された温度データに関する情報を記憶するデータベースである。温度DB122には、例えば、温度データを識別するための計測値IDをキーに、温度センサ情報、温度データ(温度の計測値)、及び計測日時等の情報を紐付けたレコードが時系列順に格納されている。管理装置1は、制御装置2を通じて温度データを取得する度、温度DB122に記憶する。温度DB122の内容は随時更新される。
【0033】
図5は、制御装置2の構成例を示すブロック図である。制御装置2は、制御部21、記憶部22、第1通信部23、及び第2通信部24を備える。
【0034】
制御部21は、CPUなどで構成され、内蔵するROM及びRAM等のメモリを用い、制御装置2全体を制御する。記憶部22は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置を備える。記憶部22は、制御部21が参照する各種プログラム及びデータを記憶する。
【0035】
第1通信部23は、ネットワークNを介した通信に関する処理を行うための通信モジュールを備える。制御部21は、第1通信部23を通して管理装置1との間でデータを送受信する。
【0036】
第2通信部24は、例えばBluetooth(登録商標)、WiFi(登録商標)、Low Energy等の近距離無線通信よる通信に関する処理を行うための通信モジュールを備える。制御部21は、第2通信部24を通して温度センサとの間でデータを送受信する。なお制御装置2及び第2通信部24は、通信を中継するための不図示の中継装置を通じて温度センサ5との通信を実現してもよい。
【0037】
制御装置2の構成は上述の例に限定されず、例えばユーザの操作を受け付けるための操作部、各種情報を表示するための表示部等を備えてもよい。
【0038】
制御装置2は、通信を中継するための中継装置を通じて温度センサ5との通信をおこなってもよい。なお温度センサ5自体が管理装置1との通信機能を有する場合には、制御装置2を備えなくてもよい。
【0039】
図6は、温度センサ5の構成例を示すブロック図である。温度センサ5は、制御部51、通信部52、温度検知部53、及び電源部54を備える。
【0040】
制御部51は、CPUなどで構成され、内蔵するROM及びRAM等のメモリを用い、制御装置2全体を制御する。通信部52は、管理装置1との間の通信に関する処理を行うための通信モジュールを備える。制御部51は、通信部52を通して管理装置1との間でデータを送受信する。
【0041】
温度検知部53は、温度センサ5の温度検知機能を発揮するための部位であり、例えばサーミスタを備える。サーミスタは、周囲の温度に応じて抵抗値が変化する。温度検知部53の抵抗値に基づいて、温度センサ5が配置された環境の温度を測定することができる。制御部51は、制御装置2から送信される計測間隔の指示に従い、温度検知部53を通して温度を示す情報を取得する。本実施形態の温度検知部53は、温度センサ5のその他の構成要素が収容された筐体55(図7を参照)から引き出し線を介して当該筐体55の外部に設けられている。
【0042】
電源部54は、温度センサ5の各機能要素に電力を供給する。電源部54は、商用電源に接続され、商用電源から得られる電力を供給することができる。
【0043】
また本実施形態の電源部54は、充電部541及び自己発電部542を備える。充電部541及び自己発電部542は、不図示の充電回路(引き出し線)を介して接続されている。充電部541は、例えば、リチウムイオン電池等の蓄電池を備え、電力を蓄積する。自己発電部542は、自ら発電を行うことにより電力を供給する。充電部541は、自己発電部542から供給される電力を充電する。
【0044】
本実施形態の自己発電部542は、ペルチェ素子を備える。ペルチェ素子は、第1電極543及び第2電極544を備える(図7を参照)。第1電極543及び第2電極544は接合部545を介して接合されている。ペルチェ素子は、各電極を備える一方の面と他方の面との間に温度差が発生することで、電極間に電位差(電圧)が発生する。本実施形態の自己発電部542は、温度検知部53と同様に、筐体55の外部に設けられている。ショーケース6内における温度差の発生する位置に自己発電部542を配置することにより、自己発電機能を発揮させることができる。
【0045】
図7は、温度センサ5の配置位置の一例を説明する説明図である。なお、図7中の上側の一点鎖線の領域は、下側の一点鎖線の領域を拡大したものである。ショーケース6は、直方体状の本体61、天部62、天部62の上方に設けられる電源部63等を有している。本体61の内部には、上下方向に配列された複数の棚部が設けられており、当該棚部に商品が陳列される。電源部63は、温度センサ5の電源部54に接続され、温度センサ5へ電力を供給する。電源部63は、例えば商用の交流電力を、温度センサ5の駆動に適した直流電力に変換する。電源部63の設置位置は特に限定されない。本体61はまた、本体61内の空気を冷却する冷却器、所定の情報を表示する表示装置、音声を発生する音声発生装置等を備えてもよい。
【0046】
天部62の先端の下面に、冷気吐出口64が設けられている。冷気吐出口64を通じて、冷却器で冷却された冷気が本体61内部へ向けて吐出される。冷気吐出口64の近傍に、ショーケース6の霜取り用の除霜ヒータ65が設けられている。ショーケース6の霜取り動作に応じて除霜ヒータ65が稼働し、除霜ヒータ65の開口部(不図示)から熱気が本体61内部へ向けて吐出される。
【0047】
図7に示す例にて、天部62の上面に温度センサ5の筐体55が配置されている。温度検知部53及び自己発電部542は、筐体55から延びる引き出し線を介して筐体55の外側に設けられている。
【0048】
図7中の上側に示すように、温度検知部53は、天部62の下方に配置されている。温度検知部53の配置位置は、ショーケース6の冷蔵または冷凍の対象となる空間である、商品の陳列空間の温度を測定可能な位置であれば限定されない。なお、図7中の上側では引き出し線の図示を省略している。
【0049】
自己発電部542は、天部62の下面において冷気吐出口64及び除霜ヒータ65の近傍に配置されている。自己発電部542は、第1電極543を備える一方の面が除霜ヒータ65の開口部側に、第2電極544を備える他方の面がショーケース6内の冷気吐出口64側に向くよう配置されている。これにより、ショーケース6の霜取り動作中において、第1電極543と第2電極544との間に温度差が発生する。温度差の発生により生じた起電力は、引き出し線を介して充電部541へ供給される。
【0050】
自己発電部542は、ペルチェ素子を初めとする熱電変換素子を用いる例に限定されない。自己発電部542は、例えばショーケース6や施設内に配置している照明装置からの光により発電を行なう光電変換素子、通信ネットワークからの無線電波を受信することにより誘導電流を発生する電磁誘導を利用した受電機器であってもよい。
【0051】
温度センサ5の自己発電部542を含む電源部54は、上述の通り電源部63に接続されており、商用電源からの電力供給を受け付ける。ここでショーケース6が設置される施設には、24時間連続して電力が供給される第1コンセントと、所定時刻になると電源オフされることにより所定時間電力の供給が停止される第2コンセントとが設けられている。ショーケース6は、第1コンセントに接続されることで24時間通電されている。温度センサ5の接続される電源部63は、上記第2コンセントに対応する。すなわち温度センサ5の電源部54は、第2コンセント側に接続されている。
【0052】
温度センサ5は、ショーケース6の霜取り動作に応じて自己発電部542による発電を行い、充電部541を充電する。例えば営業終了後に第2コンセントがオフされることにより電力供給が停止している間は、温度センサ5は、充電部541に蓄えられた電力を各機能要素へ供給する。
【0053】
上述のように、温度センサ5が自己発電機能を備えることにより、施設内の第1コンセントの位置を考慮する必要なく温度センサを配置することができる。配線環境に依存することなく温度センサを取り付けることができるため、システム導入の自由度が高まる。
【0054】
なお電源部54は、充電部541及び自己発電部542をそなえるものに限らない。電源部54は、自己発電機能を備えず、商用電源から得られる電力のみを供給する構成であってもよい。その場合、温度センサ5を上述の第1コンセント側に接続すればよい。
【0055】
ユーザ端末3及び提供者端末4はそれぞれ、上述の通りパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等であり、詳細な図示は省略するが、CPU等の制御部、記憶部、通信部に加えて、例えば液晶ディスプレイ又は有機EL(electroluminescence)ディスプレイ等のディスプレイ装置である表示部、及び例えばキーボード、ディスプレイ内蔵のタッチパネルデバイス等の操作部を備える。ユーザ端末3及び提供者端末4は、管理装置1から送信される警告情報を受信し、表示部に表示する。
【0056】
上述のように構成される情報処理システム100において、ショーケース6の温度データに基づく異常検知が行われる。情報処理システム100では、ショーケース6の霜取り動作を考慮して温度異常が検知される。
【0057】
図8は、ショーケース6の動作状態の判定手法を説明する説明図である。図8に示すグラフは、温度センサ5により計測されたショーケース6内の温度データの推移を示す。グラフの横軸は計測時刻、縦軸は温度である。
【0058】
ショーケース6は、通常動作と霜取り動作との2つの動作モードを適宜切り替えて運転を行う。ショーケース6は、通常時には通常動作を実行し、通常動作を継続した際に庫内に付着した霜を除去するために、適宜のタイミングで霜取り動作に切り替える。所定時間が経過すると霜取り動作を終了し、再び通常動作を実行する。図8のグラフにて、時刻t1以前及び時刻t4以降は通常動作を示し、時刻t1から時刻t4の間は霜取り動作を示す。
【0059】
通常動作時におけるショーケース6内の温度は、管理温度帯の範囲内、すなわち上限温度と下限温度との間に維持される。より詳細には、通常動作時における温度は、上限温度よりも低い注意温度と下限温度との間に維持される。また霜取り動作時における温度は、注意温度よりも高く、たとえば上限温度付近に設定される。ただし、霜取り動作時であっても、ショーケース6内の温度は、警告温度よりも低い温度に設定される。
【0060】
上述の上限温度及び警告温度の値は後述する判定処理に用いる閾値に対応する。ユーザは、温度管理サービスの利用にあたり、ショーケース6毎に所望の上限温度及び警告温度を設定することができる。なお、上限温度及び警告温度は、サービスの利用開始後、随時変更可能である。
【0061】
従来の温度管理手法では、ショーケース6内の温度が管理温度帯から逸脱した場合、温度異常であると判定される。しかしながら、上述の通り霜取り動作時にはショーケース6内の温度が上限温度を超える場合がある。管理装置1は、このような霜取り動作による温度の上昇は、異常ではなく、警告の出力対象にあたらないと判定する。以下、図8を用い、具体例を挙げて説明する。
【0062】
管理装置1は、温度センサ5による温度データを取得すると、温度データが上限温度以上であるか否かを判定する。温度データが上限温度未満である場合、ショーケース6は正常であると判定される。一方、温度データが上限温度以上である場合、ショーケース6は異常の可能性があるとして、次いで霜取り動作の有無を判定する。
【0063】
温度データが上限温度以上である場合において、霜取り動作であるときは、ショーケース6は異常ではなく警告を出力しないと判定する。また温度データが上限温度以上である場合において、霜取り動作でないときは、ショーケース6は異常であり、警告を出力すると判定する。
【0064】
霜取り動作の有無の判定手法を説明する。本実施形態の管理装置1は、時系列の温度データを用いて予測される予測温度が警告温度を超えるか否かを判定することにより、霜取り動作であるか否かを判定する。図8のグラフ中、破線で示す曲線F1及び曲線F2は、予測温度の推移を示す。
【0065】
曲線F1に示すように、予測温度が警告温度を超えると予測される場合、霜取り動作でないと判定される。一方、曲線F2に示すように、予測温度が警告温度を超えないと予測される場合、さらなる判定を行う。
【0066】
予測温度の算出方法としては、公知の時系列データの傾向分析手法、回帰分析手法等を用いることができる。本実施形態の管理装置1は、温度データが上限温度を超えた後の所定回数分の時系列データを用いて予測温度を推定する。具体的には、時刻t2において温度データが上限温度を超えたと判定された後、時刻t2以降時刻t3以前に計測された時系列の温度データに基づき、時刻t3よりも後の期間の温度データ挙動を予測する。予測温度の算出期間(予測期間)は適宜設定されてよい。
【0067】
なお、予測温度の算出は、温度データが上限温度を超えた後の時系列の温度データを用いるものに限らない。予測温度は、上限温度を超えた後の時系列の温度データに代えて、又は上限温度を超えた後の時系列の温度データに加えて、上限温度を超える前の所定期間に係る時系列の温度データを用いて算出されてもよい。
【0068】
予測温度が警告温度を超えないと予測される場合、さらなる判定として、温度データが管理温度帯に復帰したか否か、すなわち上限温度を下回ったか否かを判定する。温度データが上限温度を超えた後、上限温度を下回った場合、霜取り動作であると判定される。温度データが上限温度を超えた後、上限温度を下回らなかった場合、霜取り動作でなく、ショーケース6の異常であると判定される。
【0069】
上限温度を下回ったか否かの判定は、時刻t2以降時刻t3以前に計測された温度データの実測値を用いて行うことが好ましいが、予測温度を用いてもよい。予測温度を用いる場合には、比較的短い予測期間のデータに限定してもよい。
【0070】
上限温度を下回ったか否かの判定において、管理温度帯への復帰までの許容時間を考慮してもよい。例えば、予測温度が警告温度を超えないと予測される場合、温度データのモニタリングを継続し、上限温度を超えた時点(例えば時刻t2)から予め設定される許容時間内に温度データの実測値が上限温度を下回るか否かを判定する。許容時間内に温度データの実測値が上限温度を下回った場合、霜取り動作であると判定される。許容時間内に温度データの実測値が上限温度を下回らなかった場合、霜取り動作でなく、ショーケース6の異常であると判定される。
【0071】
管理装置1は、所定の計測間隔で取得した温度データに基づき、リアルタイムに上述の判定処理を実行し、ショーケース6内の温度管理処理を行う。なお本明細書において、特定の温度を超えるとは当該温度以上を意味してもよく、温度超過を意味してもよい。同様に、特定の温度を下回るとは当該温度未満を意味してもよく、温度以下を意味してもよい。
【0072】
ショーケース6内の温度が上限温度を超え、かつ、ショーケース6の霜取り動作でないと判定した場合、管理装置1はユーザ端末3へ警告情報を送信する。警告情報は、例えば温度異常を通知するメッセージ、アラート音を発生させるための情報等を含む。なお警告情報の送信先はユーザ端末3に限らず、提供者端末4であってもよい。警告情報は、ユーザ端末3又は制御装置2を介して、ショーケース6の表示装置又は音声発生装置により報知される構成であってもよい。
【0073】
ショーケース6内の温度が上限温度を超え、かつ、ショーケース6の霜取り動作であると判定した場合、管理装置1は警告情報を送信しない。このように、管理装置1は、ショーケース6の温度が管理温度帯を逸脱した場合であっても一律に異常として警告を行なわず、霜取り動作を加味してショーケース6の正常又は異常を適切に判定することができる。
【0074】
図9は、警告情報の出力処理手順の一例を示すフローチャートである。以下の各フローチャートにおける処理は、管理装置1の記憶部12に記憶するプログラム1Pに従って制御部11により実行されてもよく、制御部11に備えられた専用のハードウェア回路(例えばFPGA又はASIC)により実現されてもよく、それらの組合せによって実現されてもよい。管理装置1は、例えば制御装置2から新たな温度データが送信されたタイミングで以下の処理を実行する。
【0075】
管理装置1の制御部11は、温度センサ5により検知された温度データを制御装置2から受信する(ステップS11)。制御装置2の制御部21は、温度センサ5から温度データを受信した場合、例えば受信した温度データに、温度センサ5の温度センサ情報及び計測日時を対応付けて管理装置1へ送信する。制御部11は、受信した温度データ、温度センサ情報及び計測日時を対応付けて温度DB122に記憶する(ステップS12)。
【0076】
制御部11は、管理DB121を参照して温度センサ5に対応付けられる上限温度及び警告温度を読み出し、取得した温度データと上限温度との大小関係を判定することにより、取得した温度データが上限温度を超えるか否かを判定する(ステップS13)。なお制御部11は、ステップS13において、さらに温度データが下限温度を下回るか否かを判定してもよい。すなわち制御部11は、取得した温度データが管理温度の範囲内であるか否かを判定してもよい。
【0077】
取得した温度データが上限温度を超えないと判定した場合(ステップS13:NO)、制御部11は、霜取り動作に関する判定処理をスキップして処理をステップS15に進める。
【0078】
取得した温度データが上限温度を超えると判定した場合(ステップS13:YES)、制御部11は、ショーケース6の霜取り動作であるか否かを判定する判定処理を実行する(ステップS14)。
【0079】
図10は、霜取り動作であるか否かを判定する判定処理の詳細な手順の一例を示すフローチャートである。図10のフローチャートに示す処理手順は、図9のフローチャートにおけるステップS14の詳細に対応する。
【0080】
制御部11は、温度データが上限温度を超えると判定した時点から所定期間に亘り継続的に温度データを取得することにより、上限温度を超えると判定した時点以降における所定回数分の時系列の温度データを取得する(ステップS21)。
【0081】
制御部11は、取得した時系列の温度データに基づき、例えば回帰分析手法により所定期間が経過した後の温度データを補外することにより、所定期間が経過した後の温度データの推移を予測する(ステップS22)。
【0082】
制御部11は、得られた予測温度と警告温度との大小関係を判定することにより、得られた予測温度が警告温度を超えると予測されるか否かを判定する(ステップS23)。予測温度が警告温度を超えると予測されない、すなわち予測温度が警告温度を超えないと予測されると判定した場合(ステップS23:NO)、制御部11は、時系列の温度データと上限温度との大小関係を判定することにより、時系列の温度データが上限温度を下回ったか否かを判定する(ステップS24)。
【0083】
時系列の温度データが上限温度を下回ったと判定した場合(ステップS24:YES)、制御部11は、ショーケース6は霜取り動作であると判定し(ステップS25)、図9のフローチャートにおけるステップS15へ処理を戻す。
【0084】
予測温度が警告温度を超えると予測されると判定した場合(ステップS23:YES)、又は、時系列の温度データが上限温度を下回っていないと判定した場合(ステップS24:NO)、制御部11は、ショーケース6は霜取り動作でないと判定する(ステップS26)。制御部11は、図9のフローチャートにおけるステップS15へ処理を戻す。
【0085】
上述の処理において、制御部11は、時系列の温度データが上限温度を下回っていないと判定した場合、予め設定される許容時間が経過するまでの間、温度データの取得及びステップS24の判定処理を繰り返し実行してもよい。
【0086】
図9に戻り説明を続ける。制御部11は、一連の判定結果に基づき、警告情報を送信するか否かを判定する(ステップS15)。ステップS13にて上限温度を超えると判定し、かつ、ステップS14にて霜取り動作であると判定した場合は、温度データが上限温度を超え、かつ、ショーケース6の霜取り動作であると判定した場合に対応する。温度データが上限温度を超え、かつ、ショーケース6の霜取り動作であると判定した場合、制御部11は、ショーケース6は正常であり、警告情報を送信しないと判定する。また、ステップS13にて温度データが上限温度を超えないと判定した場合にも、制御部11は、ショーケース6は正常であり、警告情報を送信しないと判定する。
【0087】
警告情報を送信しないと判定した場合(ステップS15:NO)、制御部11は、警告情報の送信を行わず一例の処理を終了する。
【0088】
一方、ステップS13にて上限温度を超えると判定し、かつ、ステップS14にて霜取り動作でないと判定した場合は、温度データが上限温度を超え、かつ、ショーケース6の霜取り動作でないと判定した場合に対応する。温度データが上限温度を超え、かつ、ショーケース6の霜取り動作でないと判定した場合、制御部11は、ショーケース6は異常であり、警告情報を送信すると判定する。
【0089】
警告情報を送信すると判定した場合(ステップS15:YES)、制御部11は、警告情報を生成し、生成した警告情報を例えばユーザ端末3へ送信する(ステップS16)。警告情報には、温度異常を通知するメッセージ、アラート音を発生させるための情報等が含まれる。ステップS16では制御部11は、管理DB121に記憶する情報に基づき温度データを計測した温度センサ5に対応付けられるユーザ端末3を特定し、特定したユーザ端末3へ警告情報を送信してよい。制御部11は、一例の処理を終了する。
【0090】
上述の処理において、制御部11は、ステップS13の判定処理と、ステップS24の判定処理との判定閾値を異ならせてもよい。例えば制御部11は、ステップS13において、温度データが第1上限温度を超えるか否かを判定する。また制御部11は、ステップS24において、温度データが第2上限温度を下回ったか否かを判定する。一例として、第2上限温度は、上述した管理温度帯の上限温度であり、第1上限温度は、第2上限温度よりも低い温度としてもよい。第1上限温度は、例えば上述の注意温度としてもよい。
【0091】
本実施形態によれば、ショーケース6の霜取り動作を考慮して温度異常を検知し、警告情報の出力要否を適宜変更することができる。霜取り動作に伴う温度上昇時における不要な警告の多発を防止し、ショーケース6の異常時にのみ適切に警告を報知することで、ユーザの利便性が向上される。
【0092】
ショーケース6の霜取り動作の有無は、通常の判定閾値である上限温度とは別に設けられた閾値である警告温度と、温度データの挙動の予測により効率的かつ精度よく識別される。
【0093】
(第2実施形態)
第2実施形態では、学習モデルを用いてショーケース6の動作状態を判定する構成を説明する。以下では主に第1実施形態との相違点を説明し、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0094】
第2実施形態の管理装置1は、記憶部12に、図2に示す如く学習モデル123を記憶している。学習モデル123は、所定の訓練データを学習済みの機械学習モデルである。学習モデル123は、人工知能ソフトウェアの一部を構成するプログラムモジュールとしての利用が想定される。
【0095】
図11は、第2実施形態の学習モデル123の概要を示す説明図である。学習モデル123は、時系列のショーケース6内の温度データを入力した場合に、ショーケース6の霜取り動作の有無に関する情報を出力するモデルである。本実施形態では一例として、学習モデル123は霜取り動作の有無を示す情報を出力するものとする。学習モデル123は、例えばニューラルネットワークを用いた深層学習の手法により構築されたモデルであり、RNN(Recurrent Neural Network)である。
【0096】
学習モデル123は、時系列の温度データを入力する入力層と、霜取り動作の有無を示す情報を出力する出力層と、特徴量を抽出する中間層(隠れ層)とを備える。中間層は、入力データの特徴量を抽出する複数のノードを有し、各種パラメータを用いて抽出された特徴量を出力層に受け渡す。入力層に時系列の温度データが入力された場合、学習済みパラメータによって中間層で演算が行なわれ、出力層から、霜取り動作の有無に関する出力情報が出力される。
【0097】
学習モデル123の入力層へ入力される時系列の温度データは、判定時点までに取得した所定期間にわたる時系列の温度データを含む。時系列の温度データは、例えば上限温度を超えた時点から判定時点までの複数の温度データであってもよい。時系列の温度データは、上限温度を超える前の所定期間の温度データをさらに含んでもよい。制御部11は、時系列で記憶されてあった温度データをグラフ化して画像として入力してもよい。
【0098】
学習モデル123は、図11に示すように、さらにショーケース情報を入力要素に含んでもよい。ショーケース情報は、ショーケース6に関する情報であり、例えばショーケース6の製品名、種類等を含む。
【0099】
学習モデル123の出力層は、入力データである時系列の温度データに対する霜取り動作であるか否かの推定結果を出力する。霜取り動作であるか否かは、時系列で最後の温度データに対する推定結果に対応する。学習モデル123の出力層は、推定結果としての「霜取り動作である」又は「霜取り動作でない」に各々対応する複数のノードを含み、各推定結果に対する確度をスコアとして出力する。管理装置1は、スコアが最も高い推定結果、あるいはスコアが閾値以上である推定結果を出力層の出力値とすることができる。なお出力層は、それぞれの推定結果の確度を出力する複数の出力ノードを有する代わりに、最も確度の高い推定結果を出力する1個の出力ノードを有してもよい。
【0100】
なお、出力層から出力される霜取り動作の有無に関する情報は、霜取り動作の有無に限定されるものではない。学習モデル123は、例えば霜取り動作であった場合の温度データの推移又は温度データの推移を示すグラフ等を出力するものであってもよい。この場合、管理装置1は、出力された温度データの推移と、温度データの実測値との比較に基づき、霜取り動作であるか否かを判定してもよい。管理装置1は、出力された温度データの推移と、温度データの実測値との乖離が所定値未満であれば、霜取り動作であると判定し、上記乖離が所定値以上であれば、霜取り動作でないと判定することができる。
【0101】
出力層は、ショーケース6が霜取り動作でない場合における異常内容をさらに分類するよう構築されてもよい。例えばショーケース6の異常は、ショーケース6内の温度に係る第1異常と、温度センサ5に係る第2異常とに分類される。第1異常は、例えばショーケース6内の温度そのものが高いといった、ショーケース6に起因する異常である。第2異常は、例えば正しく温度データが取得されていないといった、温度センサ5に起因する異常である。出力層は、このような異常分類を含めた出力情報を出力する。具体的には出力層は、ショーケース6が霜取り動作であり正常である、ショーケース6が霜取り動作でなく第1異常である、ショーケース6が霜取り動作でなく第2異常である、の多クラス分類の分類結果を出力する。
【0102】
なお学習モデル123は、ショーケース6の種類毎にそれぞれ生成されてもよい。ショーケース6の種類毎に学習モデル123を生成することで、各ショーケース6の動作状況をより好適に学習モデル123に反映させることができる。
【0103】
管理装置1は、多様なショーケース6に対する時系列での温度データの実測値に、ショーケース6の動作状態に応じた既知の霜取り動作の有無が付与された情報群を訓練データとして予め収集して学習モデル123を学習する。管理装置1は、時系列の温度データに応じた霜取り動作の有無の推定結果を出力するよう、例えば誤差逆伝播法を用いて、学習モデル123を構成する各種パラメータを学習する。当該パラメータは、例えばニューロン間の重み(結合係数)などである。学習が完了すると、時系列の温度データに対し霜取り動作の有無を適切に認識可能に学習された学習モデル123が構築される。なお学習モデル123は、外部装置で構築され、当該外部装置から送信された学習モデル123を管理装置1の記憶部12に記憶させてもよい。
【0104】
学習モデル123の構成は上述の例に限定されるものではない。学習モデル123は、時系列の温度データに対し、霜取り動作の有無に関する情報を識別可能であればよい。学習モデル123は、CNN(Convolution Neural Network)、LSTM(Long Short-Term Memory)、Transformer、サポートベクタマシン、決定木等、その他の学習アルゴリズムに基づくモデルであってもよい。
【0105】
第2実施形態の管理装置1は、第1実施形態の図9と同様の処理を実行する際、ステップS14において、上述の学習モデル123を用いてショーケース6の霜取り動作であるか否かを判定する判定処理を実行する。
【0106】
図12は、霜取り動作であるか否かを判定する判定処理の詳細な手順の一例を示すフローチャートである。図12のフローチャートに示す処理手順は、図9のフローチャートにおけるステップS14の詳細に対応する。
【0107】
管理装置1の制御部11は、温度DB122に記憶する情報に基づき、温度データが上限温度を超えると判定した時点までに取得した所定期間にわたる時系列の温度データを取得する(ステップS31)。
【0108】
制御部11は、取得した所定期間にわたる時系列の温度データを学習モデル123へ入力する(ステップS32)。ショーケース6の種類毎に複数の学習モデル123が記憶されている場合には、制御部11は、管理DB121を参照して温度データに対応するショーケース6の種類を特定し、特定ショーケース6の種類に対応する学習モデル123を選択するとよい。制御部11は、選択した学習モデル123を用いて判定処理を実行する。
【0109】
制御部11は、学習モデル123から出力される霜取り動作であるか否かの識別結果を取得する(ステップS33)。なお制御部11は、学習モデル123から出力される出力情報に基づき、所定の後処理を実行することにより、霜取り動作であるか否かを判定してもよい。
【0110】
なお、管理装置1は、実際のショーケース6の動作状況のデータを取得することにより学習モデル123の再学習を実行してもよい。管理装置1は、例えば制御装置2を通して時系列の温度データと、当該時系列の温度データに対応する実際のショーケース6の動作状況とを対応付けて取得する。管理装置1は、取得した時系列の温度データと、学習モデル123が出力した霜取り動作であるか否かの識別結果に対する新たな霜取り動作の有無(修正データ)とを対応付けた訓練データを作成し、当該訓練データを用いて学習モデル123の再学習を行う。再学習を行うことにより、システムの運用を通じて、学習モデル123の精度を更に向上させることができる。
【0111】
本実施形態によれば、学習モデル123を用いて、様々なメーカが製造した冷蔵冷凍ショーケース、ショーケースの使用される施設の状況を解析することで、霜取り動作であるか否かをより容易且つ精度よく判定することができる。
【0112】
(第3実施形態)
第3実施形態では、温度センサ5における計測間隔を変更する構成を説明する。以下では主に第1実施形態との相違点を説明し、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0113】
第3実施形態の温度センサ5は、複数の計測間隔を切り換えて温度を計測することができるよう構成されている。第3実施形態の温度センサ5は、通常は第1計測間隔にて温度を計測し、ショーケース6内の温度データが上限温度を超えた場合、第1計測間隔よりも短い第2計測間隔にて温度を計測する。
【0114】
図13は、第3実施形態における計測間隔の変更処理手順の一例を示すフローチャートである。第3実施形態の制御装置2は、温度センサ5の計測間隔が第1計測間隔である場合において、温度センサ5から温度データを取得すると図13の処理を実行する。
【0115】
制御装置2の制御部21は、今回の温度データと上限温度との大小関係を判定することにより、今回の温度データが上限温度を超えるか否かを判定する(ステップS41)。今回の温度データが上限温度を超えないと判定した場合(ステップS41:NO)、制御部21は処理を終了する。制御部21は、処理をステップS41に戻すループ処理を実行してもよい。
【0116】
今回の温度データが上限温度を超えると判定した場合(ステップS41:YES)、制御部21は、計測間隔を第2計測間隔とする計測指示を温度センサ5へ出力する(ステップS42)。温度センサ5は計測指示を受信し、以降、第2計測間隔により温度データを計測する。
【0117】
制御部21は、温度データのモニタリングを継続し、計測指示の出力後に取得した新たな温度データが上限温度を下回った否か、すなわち管理温度帯に復帰したか否かを判定する(ステップS43)。新たな温度データが上限温度を下回っていないと判定した場合(ステップS43:NO)、制御部21は、処理をステップS43に戻し、新たな温度データが上限温度を下回るまで待機する。
【0118】
新たな温度データが上限温度を下回ったと判定した場合(ステップS43:YES)、制御部21は、計測間隔を第1計測間隔とする計測指示を温度センサ5へ出力する(ステップS44)。温度センサ5は計測指示を受信し、以降、第1計測間隔により温度データを計測する。制御部21は、処理をステップS41に戻すループ処理を実行してもよい。
【0119】
上記構成によれば、例えば図8で例示した温度推移のグラフにおいて、温度データが上限温度を超えた時刻t2において、計測間隔が第1計測間隔から第2計測間隔へ切り替えられ、温度データが上限温度を下回った時刻t5において、計測間隔が第2計測間隔から第1計測間隔へ再び切り替えられる。短い第2計測間隔で温度データが計測されることで、通常時よりも詳細に温度推移を把握することができる。
【0120】
なお、上記では制御装置2が計測間隔の判定及び計測指示の出力を行う例を説明したが、処理主体は限定されず、図13における処理の一部又は全部は、例えば管理装置1により実行されてもよい。
【0121】
さらに上記構成において、管理装置1は、温度データの計測間隔に基づき霜取り動作の有無又は警告情報の出力要否を判定してもよい。管理装置1は、例えば、温度データが上限温度を超えたことにより計測間隔が第1計測間隔から第2計測間隔へ切り替えられた後、予め設定される許容時間内に計測間隔が第1計測間隔へ切り替えられるか否かを判定する。許容時間内に計測間隔が再び第1計測間隔へ切り替えられなかったと判定した場合、管理装置1は、霜取り動作でないと判定する。許容時間内に計測間隔が第1計測間隔へ切り替えられたと判定した場合、管理装置1は、霜取り動作であると判定する。管理装置1は、図10のステップS24で説明した判定処理に代替して、上述の計測間隔を用いた判定処理を実行してもよい。
【0122】
本実施形態によれば、ショーケース6内の温度データに応じて適宜温度データの計測間隔が変更される。ショーケース6内の温度が上昇した場合には短い計測間隔にて温度データを計測させることで、温度推移を適正に把握することができる。霜取り動作の有無の推定が容易となり、異常の可能性を早期に検知し、速やかに警告を出力することが可能となる。
【0123】
(第4実施形態)
第4実施形態では、ショーケース6の異常内容に応じた警告情報を出力する構成を説明する。以下では主に第1実施形態との相違点を説明し、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0124】
第4実施形態の管理装置1は、警告情報を出力すると判定した場合、異常の内容を分類し、異常の内容に応じて警告情報の出力先である端末装置を変更する。上述の通り、例えばショーケース6の異常は、ショーケース6内の温度に係る第1異常と、温度センサ5に係る第2異常とに分類される。
【0125】
第1異常とは、ショーケース6に起因する異常である。このような第1異常の場合には、ショーケース6自体の修理、交換等が必要である可能性が高い。従って、第1異常の場合には、ショーケース6に対応付けられている端末装置として、ショーケース6を管理するユーザのユーザ端末3へ異常が報知される。ユーザは、ユーザ端末3を通じて警告情報を受信し、ショーケース6の製造会社へ連絡するなどの対応を行うことができる。
【0126】
第2異常とは、温度センサ5に起因する異常である。このような第2異常の場合には、温度センサ5の電池交換、温度センサ5の通信異常を解消するための温度センサ5又は制御装置2の再起動、温度センサ5の修理、交換等が必要である可能性が高く、まず初めにサービス提供者側で対応すべき異常の可能性が高い。従って、第2異常の場合には、ショーケース6に対応付けられている端末装置として、サービス提供者の提供者端末4へ異常が報知される。サービス提供者は提供者端末4を通じて警告情報を受信し、機器の再起動、温度センサ5の手配などの対応を行うことができる。あるいはサービス提供者は、温度センサ5の電池交換等の対応方法をユーザ側へ提示してもよい。
【0127】
図14は、第4実施形態の情報処理システム100が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。図14のフローチャートの処理は、例えば図9のフローチャートのステップS15にて、警告情報を送信すると判定した後に実行されてもよい。
【0128】
管理装置1の制御部11は、第1異常が発生したか否かを判定する(ステップS51)。制御部11は、一例として、ショーケース6が異常であると判定した場合において、温度データが継続的に取得されているときは、第1異常が発生したと判定することができる。また制御部11は、例えばショーケース6が異常であると判定した場合において、温度データが継続的に取得されていないときは、第1異常が発生していないと判定することができる。
【0129】
第1異常が発生したと判定した場合(ステップS51:YES)、制御部11は、ショーケース6内の温度の異常であることを示す警告情報を生成し、生成した警告情報をユーザ端末3へ送信する(ステップS52)。警告情報には、異常を検知した温度センサ5又はショーケース6を識別するための情報がさらに含まれる。ステップS52では制御部11は、管理DB121に記憶する情報に基づき温度データを計測した温度センサ5に対応付けられるユーザ端末3を特定し、特定したユーザ端末3へ警告情報を送信してよい。
【0130】
ユーザ端末3は、管理装置1から警告情報を受信し(ステップS53)、例えば表示部を通して警告情報を表示させ、処理を終了する。
【0131】
一方、第1異常が発生していない、すなわち第2異常が発生したと判定した場合(ステップS51:NO)、制御部11は、温度センサ5の異常であることを示す警告情報を生成し、生成した警告情報を提供者端末4へ送信する(ステップS54)。ステップS54では制御部11は、管理DB121に記憶する情報に基づき温度データを計測した温度センサ5に対応付けられる提供者端末4を特定し、特定した提供者端末4へ警告情報を送信してよい。
【0132】
提供者端末4は、管理装置1から警告情報を受信し(ステップS55)、例えば表示部を通して警告情報を表示させる。提供者端末4は、受信した警告情報に応じて、さらなるユーザ側での対応方法を示す通知を作成し、生成した通知をユーザ端末3へ送信してもよい。
【0133】
本実施形態によれば、異常に対応すべき対象者に宛てて適切に警告情報を提示することができる。ユーザ側は、ユーザ自身が対応すべき異常であるか否かを容易に判断できるため、利便性が向上する。
【0134】
(第5実施形態)
第5実施形態では、温度センサ5が複数の温度検知部53を備える構成を説明する。以下では主に第1実施形態との相違点を説明し、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0135】
図15は、第5実施形態の温度センサ5の構成例を示すブロック図である。温度センサ5は、第1温度検知部53aと第2温度検知部53bとの2つの温度検知部を備える。第1温度検知部53a及び第2温度検知部53bは、例えばサーミスタである。図15に概念的に示すように、第1温度検知部53aは筐体55から引き出し線を介して当該筐体55の外部に設けられ、第2温度検知部53bは筐体55の内部に設けられている。第1温度検知部53aは温度検知用として機能し、第2温度検知部53bは、温度補正用として機能する。温度センサ5の制御部51は、スイッチ等の切替部を適宜切り替えることで、第1温度検知部53a及び第2温度検知部53bそれぞれにおける計測値を取得することができる。
【0136】
第1温度検知部53a及び第2温度検知部53bは、それらの抵抗値が等しくなるよう出荷時に校正されている。管理装置1の記憶部12には、第1温度検知部53a及び第2温度検知部53bの温度特性を示す所定の近似式と、温度特性の計時変化に応じて上記近似式に含まれる定数を補正するための補正テーブルとが予め記憶されている。
【0137】
温度センサ5は、制御装置を介して、略同一時点において第1温度検知部53a及び第2温度検知部53bそれぞれにて計測した温度データを管理装置1へ送信する。管理装置1は、第1温度検知部53a及び第2温度検知部53bの計測値の比較に基づき、第1温度検知部53aの温度データを校正する。
【0138】
図16は、温度データの補正処理手順の一例を示すフローチャートである。
管理装置1の制御部11は、温度センサ5の第1温度検知部53aにより検知された第1の温度データと、第2温度検知部53bにより検知された第2の温度データと、を制御装置2から受信する(ステップS61)。
【0139】
制御部11は、第1の温度データと第2の温度データとの差分(差分の絶対値)を算出し、算出した温度データの差分が予め設定される閾値以上であるか否かを判定する(ステップS62)。温度データの差分が予め設定される閾値未満であると判定した場合(ステップS62:NO)、制御部11は処理を終了する。
【0140】
温度データの差分が予め設定される閾値以上であると判定した場合(ステップS62:YES)、制御部11は、記憶部12に記憶する補正テーブルに基づき近似式の定数を補正することにより、第1の温度データを補正する(ステップS63)。制御部11は処理を終了する。
【0141】
本実施形態によれば、温度補正用の第2温度検知部53bを設けることにより、第1温度検知部53aの故障や検出精度の低下を早期に検知することができる。また、第2の温度データに基づき第1の温度データを補正することができるため、センサ交換の頻度を低減させることができ、コスト低減につながる。
【0142】
上述の各フローチャートの処理の処理主体は限定されない。例えば、管理装置1で実行した処理の一部又は全部は、ユーザ端末3で実行されてもよく、また、制御装置2で実行されてもよい。
【0143】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
各実施形態に示すシーケンスは限定されるものではなく、矛盾の無い範囲で、各処理手順はその順序を変更して実行されてもよく、また並行して複数の処理が実行されてもよい。各処理の処理主体は限定されるものではなく、矛盾の無い範囲で、各装置の処理を他の装置が実行してもよい。
【0144】
各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0145】
100 情報処理システム
1 管理装置(情報処理装置)
11 制御部
12 記憶部
123 学習モデル
1P プログラム
1A 記録媒体
13 通信部
2 制御装置
21 制御部
22 記憶部
23 第1通信部
24 第2通信部
3 ユーザ端末(端末装置)
4 提供者端末(端末装置)
5 温度センサ
51 制御部
52 通信部
53 温度検知部
53a 第1温度検知部
53b 第2温度検知部
54 電源部
541 充電部
542 自己発電部
543 第1電極
544 第2電極
545 接合部
6 ショーケース
63 電源部
64 冷気吐出口
65 除霜ヒータ
図1
図2
図3
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図5
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図16