(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034242
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】車両の懸架装置
(51)【国際特許分類】
B60G 11/10 20060101AFI20240306BHJP
B60G 11/04 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B60G11/10
B60G11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138356
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】秋元 純
【テーマコード(参考)】
3D301
【Fターム(参考)】
3D301AA01
3D301BA02
3D301CA22
3D301DA02
3D301DA04
3D301DA06
3D301DA47
3D301DA83
3D301DB10
3D301DB20
3D301DB60
(57)【要約】
【課題】リーフスプリングを交換せずに安価にリーフスプリングの硬さを変更することができるようにする。
【解決手段】車台フレーム1を車軸2上に弾性的に支持するメインリーフスプリングセット10と、メインリーフスプリングセット10よりも全長が短く且つメインリーフスプリングセット10よりも車両上方に配設され、メインリーフスプリングセット10と協働して車台フレーム1を車軸2上に弾性的に支持可能な補助リーフスプリングセット20と、補助リーフスプリングセット20と当接可能に車台フレーム1に設けられたストッパ30と、を備え、ストッパ30は、補助リーフスプリングセット20に対する当接位置を変更可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車台フレームを車軸上に弾性的に支持するメインリーフスプリングセットと、
前記メインリーフスプリングセットよりも全長が短く且つ前記メインリーフスプリングセットよりも車両上方に配設され、前記メインリーフスプリングセットと協働して前記車台フレームを前記車軸上に弾性的に支持可能な補助リーフスプリングセットと、
前記補助リーフスプリングセットと当接可能に前記車台フレームに設けられたストッパと、を備え、
前記ストッパは、前記補助リーフスプリングセットに対する当接位置を変更可能である
ことを特徴とする車両の懸架装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーフスプリングを用いた車両の懸架装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラックなどの大型車両或いは商用車では、後輪にリーフスプリングを用いたリーフスプリング式サスペンション機構を備えることが多い。リーフスプリングは、複数の板が積層されて構成される(便宜上、リーフスプリングセットという)が、車両によってはそのリーフスプリングセットが上下二段に配置されるものがある。
【0003】
このような構成では、積載荷重が小さい場合にはメインリーフスプリングセット(下段側のリーフスプリングセット)だけで荷重を支持し、積載荷重が大きい場合またはサスペンション機構のストロークが大きい場合には、補助リーフスプリングセット(上段側のリーフスプリングセット)がストッパに当接してメインリーフスプリングセットと補助リーフスプリングセットとで荷重を支持している(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-331890号公報
【特許文献2】特許第3481364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、トラック等のリーフスプリング式サスペンション機構は、乗り心地を重視する場合は柔らかいリーフスプリングを選択し、操縦安定性を重視する場合には硬いリーフスプリングを選択して車両に装着する。しかし、ユーザが車両購入後にユーザの好みに応じてリーフスプリングの硬さを変更する場合には、リーフスプリングの交換作業と費用が発生していた。このため、リーフスプリングを交換せずに安価にリーフスプリングの硬さを変更することができる構造が望まれている。
【0006】
本件は、このような課題に着目して創案されたもので、リーフスプリングを交換せずに安価にリーフスプリングの硬さを変更することができるようにした車両の懸架装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本件は上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現できる。
本適用例に係る車両の懸架装置は、車台フレームを車軸上に弾性的に支持するメインリーフスプリングセットと、前記メインリーフスプリングセットより全長が短く且つ前記メインリーフスプリングセットより車両上方に配設され、前記メインリーフスプリングセットと協働して前記車台フレームを車軸上に弾性的に支持可能な補助リーフスプリングセットと、前記補助リーフスプリングセットと当接可能に前記車台フレームに設けられたストッパと、を備え、前記ストッパは、前記補助リーフスプリングセットに対する当接位置を変更可能であることを特徴としている。
【0008】
本適用例によれば、補助リーフスプリングセットとストッパとの当接位置を選択的に変更可能なため、車両をユーザに納車した後であってもユーザの好みに応じてバネ定数の変更が可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本件によれば、リーフスプリングを交換せずに安価にリーフスプリングの硬さを変更することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る車両の懸架装置を示す車両の要部側面図であり、リーフスプリングを柔らかく設定した場合を示す。
【
図2】第1実施形態に係る車両の懸架装置を示す車両の要部側面図であり、リーフスプリングを硬く設定した場合を示す。
【
図3】第1実施形態に係る車両の懸架装置のストッパを示す正面図であり、(a)は(リーフスプリングの車両前側に装備される)前側ストッパを示し、(b)は(リーフスプリングの車両後側に装備される)後側ストッパを示す。
【
図4】第1実施形態に係る車両の懸架装置におけるストッパの配置変更による効果を説明するリーフスプリングの要部側面図である。
【
図5】第2実施形態に係る車両の懸架装置を示す車両の要部側面図であり、リーフスプリングを柔らかく設定した場合を示す。
【
図6】第2実施形態に係る車両の懸架装置を示す車両の要部側面図であり、リーフスプリングを硬く設定した場合を示す。
【
図7】第2実施形態に係る車両の懸架装置のストッパを示す分解正面図であり、(a)は前側ストッパを示し、(b)は後側ストッパを示す。
【
図8】第2実施形態に係る車両の懸架装置のリーフスプリングを柔らかく設定した場合のストッパを示す正面図であり、(a)は前側ストッパを示し、(b)は後側ストッパを示す。
【
図9】第2実施形態に係る車両の懸架装置のリーフスプリングを硬く設定した場合のストッパを示す正面図であり、(a)は前側ストッパを示し、(b)は後側ストッパを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して、本件の実施形態について説明する。以下の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。下記の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、必要に応じて取捨選択でき、あるいは適宜組み合わせられる。
【0012】
[1.第1実施形態]
[1.1.構成]
まず、第1実施形態について説明する。
本実施形態に係る車両の懸架装置は、例えばトラック等の車両の後輪に備えられ、
図1,
図2に示すように、車台フレーム1を車軸2上に弾性的に支持するもので、メインリーフスプリングセット10と、補助リーフスプリングセット20と、補助リーフスプリングセット20に付設されたストッパ(ヘルパーストッパ)30とを備えている。
【0013】
メインリーフスプリングセット10及び補助リーフスプリングセット(「ヘルパーリーフスプリングセット」ともいう)20は、何れも複数のリーフスプリング11,21が上下に重ね合わされてリーフクリップ12,22で結束され構成される。メインリーフスプリングセット10及び補助リーフスプリングセット20は、重ね合わされている上方のリーフスプリング11,21ほど長く形成されている。
【0014】
これらのメインリーフスプリングセット10及び補助リーフスプリングセット20は、長手方向(車両前後方向)の中間部を車軸2が内装されたアクスルハウジング2aに、前後一対のUボルト50によって共締めされて連結されている。なお、本実施形態では、各リーフスプリング11,21は側面視で直線状に形成されているが、各リーフスプリング11,21は側面視で下に凸の曲線状に形成されてもよい。
【0015】
メインリーフスプリングセット10は、常時、車台フレーム1を車軸2上に弾性的に支持する。メインリーフスプリングセット10の上部の最も長いリーフスプリング11の長手方向両端部には、固定用のアイ部11a,11bが設けられる。本実施形態では、車両の前方側に配置されるアイ部11aは、車台フレーム1のサイドレール1aに取り付けられたスプリングブラケット13に対してピン結合され、車両の後方側に配置されるアイ部11bは、サイドレール1aに取り付けられ、リーフスプリング11の撓みによるスパンの変化を逃がすためのシャックル14を介して車体に組み付けられる。
【0016】
補助リーフスプリングセット20は、メインリーフスプリングセット10よりも全長が短く且つメインリーフスプリングセット10よりも車両上方に配設されている。また、ストッパ30は、補助リーフスプリングセット20の上部の最も長いリーフスプリング21の長手方向両端部の上方にそれぞれ配置され、サイドレール1aに取り付けられている。
【0017】
ストッパ30は、
図3(a),(b)に示すように、サイドレール1aに取り付けられるブラケット31とブラケット31に取り付けられるストッパ本体32とを備え、ストッパ本体32の下方には、下に凸の曲線状の当接面33が備えられる。この当接面33の頂部33aが、補助リーフスプリングセット20の上部のリーフスプリング21の長手方向両端部の上面に当接することで補助リーフスプリングセット20が車台フレーム1を車軸2上に弾性的に支持する。これによって、補助リーフスプリングセット20がメインリーフスプリングセット10と協働して車台フレーム1を車軸2上に弾性的に支持することが可能になっている。
【0018】
なお、本実施形態では、メインリーフスプリングセット10及び補助リーフスプリングセット20が車両前後方向に沿った水平ではなく、やや前側に傾斜して配設されており、ストッパ30は、補助リーフスプリングセット20の前側(
図1中、左側)に配置される前側ストッパ30Fと、補助リーフスプリングセット20の後側(
図1中、右側)に配置される後側ストッパ30Rとで形状が異なっているが、機能的な差異はない。メインリーフスプリングセット10及び補助リーフスプリングセット20が水平又は水平に近ければ、前側ストッパ30F及び後側ストッパ30Rは同一形状に形成しうる。なお、前側及び後側で区別しない場合は、これらをストッパ30と呼ぶ。
【0019】
車台フレーム1を介して車体の荷重が本懸架装置に加わると、メインリーフスプリングセット10が弾性変形しながら車体を支持する。例えばトラックの空荷状態などの車両の重量が軽い場合は、メインリーフスプリングセット10の弾性変形量は小さく、ストッパ30の当接面33の頂部33aが、補助リーフスプリングセット20の上部のリーフスプリング21の長手方向両端部の上面に当接しない。したがって、メインリーフスプリングセット10のみが車台フレーム1が車軸2上に弾性的に支持し、空荷時の車重に適した比較的柔らかい弾性特性で、車台フレーム1が支持される。
【0020】
一方、トラックの積荷状態などの車両の重量が重くなると、メインリーフスプリングセット10の弾性変形量は大きくなって、ストッパ30の当接面33の頂部33aが、補助リーフスプリングセット20の上部のリーフスプリング21の長手方向両端部の上面に当接するようになる。これによって、補助リーフスプリングセット20がメインリーフスプリングセット10と協働して車台フレーム1を車軸2上に弾性的に支持し、積荷時の車重適した比較的硬い弾性特性で、車台フレーム1が支持される。
【0021】
ところで、補助リーフスプリングセット20は、乗り心地を重視する場合は柔らかいリーフスプリングを選択し、操縦安定性を重視する場合には硬いリーフスプリングを選択して車両に装着する。ユーザが車両購入後にユーザの好みに応じて補助リーフスプリングセット20の硬さを変更したい場合には、補助リーフスプリングセット20を交換することになる。
【0022】
本懸架装置では、ストッパ30が補助リーフスプリングセット20に対する当接面33の頂部33aの当接位置を変更可能に構成され、ストッパ30の当接位置を変更することにより、各リーフスプリング21の腕(ハーフスパン)の長さを、例えば
図4に示すL1又はL2に変更することにより、補助リーフスプリングセット20を交換することなく、補助リーフスプリングセット20の弾性特性を変更できるようになっている。
【0023】
本実施形態では、
図3(a),(b)に示すように、ストッパ30のブラケット31に、サイドレール1aに突設されたスタッドボルト1bにナット締結するための締結用孔34が2セット穿設されており、これらの何れかを選択して使用して、ストッパ30をサイドレール1aに締結することで、ストッパ30の当接位置を変更できようになっている。本実施形態では、
図1、
図2に示すように、スタッドボルト1bは、各ブラケット31に対して、上部に左右一対、下部に左右一対の合計4個が設けられている。
【0024】
つまり、締結用孔34は、略矩形のプレート状に形成されたブラケット31の四隅にそれぞれ、合計4つがセットになって設けられる。この締結用孔34には、補助リーフスプリングセット20の弾性特性を軟らかめ(ソフト)にするソフト設定用締結用孔34aの4個と、補助リーフスプリングセット20の弾性特性を硬め(ハード)にするハード設定用締結用孔34bの4個とがそれぞれ隣り合って設けられている。なお、ソフト設定用とハード設定用とを区別しない場合は、これらを単に締結用孔34と呼ぶ。
【0025】
ソフト設定用締結用孔34aは、ブラケット31において、補助リーフスプリングセット20の中心に近い側に配置されており、ソフト設定用締結用孔34aを使用してサイドレール1aのスタッドボルト1bにストッパ30をナット締結することにより、
図1に示すように、当接面33の頂部33aは、補助リーフスプリングセット20の中心から離隔して、補助リーフスプリングセット20の各リーフスプリング21の腕の長さL1が長くなって、補助リーフスプリングセット20の弾性特性を軟らかめに設定することができる。
【0026】
一方、ハード設定用締結用孔34bは、ブラケット31において補助リーフスプリングセット20の中心から遠い側に配置されており、ハード設定用締結用孔34bを使用してサイドレール1aのスタッドボルト1bにストッパ30をナット締結することにより、
図2に示すように、当接面33の頂部33aは、補助リーフスプリングセット20の中心に接近して、補助リーフスプリングセット20の各リーフスプリング21の腕の長さL2が短くなって、補助リーフスプリングセット20の弾性特性を硬めに設定することができる。
【0027】
[1.2.作用及び効果]
本実施形態に係る車両の懸架装置によれば、ストッパ30が補助リーフスプリングセット20に対する当接面33の頂部33aの当接位置を変更可能に構成されているので、ストッパ30の当接位置を変更して、各リーフスプリング21の腕(ハーフスパン)の長さを変更することにより、補助リーフスプリングセット20を交換することなく、補助リーフスプリングセット20の弾性特性を変更できる。したがって、安価に補助リーフスプリングセット20の硬さを変更することができる。
【0028】
例えば、補助リーフスプリングセット20の弾性特性を軟らかめにしたい場合には、
図1に示すように、ソフト設定用締結用孔34aを使用してサイドレール1aのスタッドボルト1bにストッパ30をナット締結することにより、補助リーフスプリングセット20の各リーフスプリング21の腕の長さL1が長くなって、補助リーフスプリングセット20の弾性特性を軟らかめに設定することができる。
【0029】
一方、補助リーフスプリングセット20の弾性特性を硬めにしたい場合には、
図2に示すように、ハード設定用締結用孔34bを使用してサイドレール1aのスタッドボルト1bにストッパ30をナット締結することにより、補助リーフスプリングセット20の各リーフスプリング21の腕の長さL1が短くなって、補助リーフスプリングセット20の弾性特性を硬めに設定することができる。
【0030】
[2.第2実施形態]
[2.1.構成]
次に、第2実施形態について説明する。
本実施形態に係る車両の懸架装置も、第1実施形態と同様に、例えばトラック等の車両の後輪に備えられ、
図5,
図6に示すように、車台フレーム1を車軸2上に弾性的に支持するもので、メインリーフスプリングセット10と、補助リーフスプリングセット20と、補助リーフスプリングセットに付設されたストッパ(ヘルパーストッパ)40とを備えている。
図5,
図6において、第1実施形態と同様のものには同様の符号をつけており、これらについては説明を省略する。
【0031】
本実施形態において、第1実施形態と相違するのは、ストッパ40である。
ストッパ40は、
図7(a),(b)に示すように、サイドレール1aに取り付けられるブラケット41とブラケット41に取り付けられるストッパ本体42とを備え、ストッパ本体42の下方には、下に凸の曲線状の当接面43が備えられる。この当接面43の頂部43aが、補助リーフスプリングセット20の上部のリーフスプリング21の長手方向両端部の上面に当接することで補助リーフスプリングセット20が車台フレーム1を車軸2上に弾性的に支持する。これによって、補助リーフスプリングセット20がメインリーフスプリングセット10と協働して車台フレーム1を車軸2上に弾性的に支持することが可能になっている。
【0032】
本実施形態も、メインリーフスプリングセット10及び補助リーフスプリングセット20が車両前後方向に沿った水平ではなく、やや前側に傾斜して配設されており、ストッパ40は、補助リーフスプリングセット20の前側(
図1中、左側)に配置される前側ストッパ40Fと、補助リーフスプリングセット20の後側(
図1中、右側)に配置される後側ストッパ40Rとで形状が異なっているが、機能的な差異はない。メインリーフスプリングセット10及び補助リーフスプリングセット20が水平又は水平に近ければ、前側ストッパ40F及び後側ストッパ40Rは同一形状に形成しうる。なお、前側及び後側で区別しない場合は、これらをストッパ40と呼ぶ。
【0033】
また、本懸架装置も、ストッパ40が補助リーフスプリングセット20に対する当接面43の頂部43aの当接位置を変更可能に構成され、ストッパ40の当接位置を変更することにより、各リーフスプリング21の腕(ハーフスパン)の長さを、例えば
図4に示すL1又はL2に変更することにより、補助リーフスプリングセット20を交換することなく、補助リーフスプリングセット20の弾性特性を変更できるようになっている。
【0034】
本実施形態では、
図7(a),(b)に示すように、ブラケット41は、略矩形のプレート状に形成され、四隅に、ストッパ40をサイドレール1aに突設されたスタッドボルト1bにナット締結するための締結用孔34が穿設されている。このブラケット41には、サイドレール1aへの取付時に補助リーフスプリングセット20の長手方向に沿って延びる取付部41aが備えられる。取付部41aの下面には、ストッパ本体42の基面42aが当接する取付面41bが備えられ、取付部41aには、取付面41bに開口し上下方向に貫通する前後一対の取付穴41c,41dが形成される。
【0035】
ストッパ本体42には、基面42aから上方に向けて前後一対のスタッドボルト44a,44bが突設される。ストッパ本体42は、スタッドボルト44a,44bを取付穴41c,41d内に内挿し、取付穴41c,41dから突出したスタッドボルト44a,44bの先端にナット45を締結することにより、ブラケット41に固定される。
【0036】
また、本実施形態では、ストッパ本体42の下方に備えられた当接面43の頂部43aが、ストッパ本体42の長手方向(車両前後方向)に中心線CLに対して偏倚した位置に配置されている。そして、ストッパ本体42を適宜左右反転させて、ストッパ本体42のブラケット41への取付態様を変更することにより、当接面43の頂部43aの車両前後方向位置を変更することができる。
【0037】
例えば、
図8(a),(b)に示すように、当接面43の頂部43aが補助リーフスプリングセット20の中心から遠い側に位置するように、ストッパ本体42をブラケット41に取り付ける。これにより、
図5に示すように、当接面43の頂部43aは、補助リーフスプリングセット20の中心から離隔して、補助リーフスプリングセット20の各リーフスプリング21の腕の長さL1が長くなって、補助リーフスプリングセット20の弾性特性を軟らかめに設定することができる。
【0038】
一方、
図9(a),(b)に示すように、当接面43の頂部43aが補助リーフスプリングセット20の中心に近い側に位置するように、ストッパ本体42をブラケット41に取り付ける。これにより、
図6に示すように、当接面43の頂部43aは、補助リーフスプリングセット20の中心に接近して、補助リーフスプリングセット20の各リーフスプリング21の腕の長さL2が短くなって、補助リーフスプリングセット20の弾性特性を硬めに設定することができる。
【0039】
[2.2.作用及び効果]
本実施形態に係る車両の懸架装置によれば、ストッパ40が補助リーフスプリングセット20に対する当接面43の頂部43aの当接位置を変更可能に構成されているので、ストッパ40の当接位置を変更して、各リーフスプリング21の腕(ハーフスパン)の長さを変更することにより、補助リーフスプリングセット20を交換することなく、補助リーフスプリングセット20の弾性特性を変更できる。したがって、安価に補助リーフスプリングセット20の硬さを変更することができる。
【0040】
例えば、補助リーフスプリングセット20の弾性特性を軟らかめにしたい場合には、
図5及び
図8に示すように、当接面43の頂部43aが補助リーフスプリングセット20の中心から遠い側に位置するように、ストッパ本体42をブラケット41に取り付ける。一方、補助リーフスプリングセット20の弾性特性を硬めにしたい場合には、
図6及び
図9に示すように、当接面43の頂部43aが補助リーフスプリングセット20の中心に近い側に位置するように、ストッパ本体42をブラケット41に取り付ける。このようにして、補助リーフスプリングセット20の弾性特性を容易に変更できる。
【0041】
[3.その他]
上記実施形態の構成は一例であって、本件発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
例えば、ストッパの補助リーフスプリングセットに対する当接位置を変更可能とする構成は、上記の各実施形態に例示するものに限定されない。
例えば、第1実施形態ではストッパ30を車台フレーム1(サイドレール1a)に締結する締結用孔34を2組備えて、これらを選択的に使用することで当接位置を変更可能とするものを例示したが、締結用孔34を3組以上備えてより細かく、当接位置を変更可能6としてもよい。
【0042】
また、第2実施形態ではストッパ40のストッパ本体42の当接面43の頂部43aをストッパ本体42の長手方向(車両前後方向)に中心線CLに対して偏倚した位置に配置すると共に、ストッパ本体42をブラケット41に対して左右反転可能に取り付けることができるように構成し、当接位置を変更可能としたが、ストッパ本体42のブラケット41に対する取付状態の変更による当接位置を変更はこれに限らない。例えば、ブラケット41の取付穴41c,41dを車両前後方向の異なる位置に複数組用意して、これらから1組を選択して使用するようにすれば、ブラケット41のストッパ本体42をブラケット41に対して車両前後方向にスライドさせて当接位置を変更することが可能になる。
【符号の説明】
【0043】
1 車台フレーム
1a サイドレール
1b スタッドボルト
2 車軸
2a アクスルハウジング
10 メインリーフスプリングセット
11 リーフスプリング
11a,11b アイ部
12 リーフクリップ
13 スプリングブラケット
14 シャックル
20 補助リーフスプリングセット
21 リーフスプリング
22 リーフクリップ
30 ストッパ(ヘルパーストッパ)
30F 前側ストッパ
30R 後側ストッパ
31 ブラケット
32 ストッパ本体
33 当接面
33a 当接面33の頂部
34 締結用孔
34a ソフト設定用締結用孔
34b ハード設定用締結用孔
40 ストッパ(ヘルパーストッパ)
40F 前側ストッパ
40R 後側ストッパ
41 ブラケット
41a ブラケット41の取付部
41b ブラケット取付部41aの取付面
41c,41d ブラケット取付部41aの取付穴
42 ストッパ本体
42a ストッパ本体42の基面
43 当接面
43a 当接面43の頂部
44a,44b スタッドボルト
45 ナット
50 Uボルト
L1 リーフスプリング21の腕の長さ(柔らかめ)
L2 リーフスプリング21の腕の長さ(硬め)