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特開2024-34249照明器具、照明システムおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034249
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】照明器具、照明システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/185 20200101AFI20240306BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20240306BHJP
   H05B 47/20 20200101ALI20240306BHJP
   F21S 8/02 20060101ALI20240306BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240306BHJP
【FI】
H05B47/185
H05B47/105
H05B47/20
F21S8/02 400
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138370
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】591112027
【氏名又は名称】大光電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】山下 洋
(72)【発明者】
【氏名】岡田 憲幸
(72)【発明者】
【氏名】柳生 浩章
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA09
3K273QA27
3K273QA34
3K273RA12
3K273RA13
3K273SA08
3K273SA32
3K273SA46
3K273SA48
3K273SA50
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA28
3K273TA34
3K273UA18
3K273UA19
3K273UA22
3K273UA27
(57)【要約】
【課題】スイッチの再度オン時に位相制御型調光器から漏れ電圧が出力されても、精度良くプルレス操作を検出できる照明器具、照明システムおよびプログラムを提供する。
【解決手段】プルレス操作の判定手段14、プルレス操作ありと判定されると調色を行う制御手段14、調光器4の出力電圧の監視手段14を備える。判定手段は、調光器4の出力電圧の一定値以下への低下を検出すると、交流電源の少なくとも半周期よりも長い値に設定された第1の一定時間t1の測定を開始し、第1の一定時間内に出力電圧が一定値以下に低下せず、調光器4から交流電源の半周期ごとに出力される脈流が所定期間以上または所定回数以上繰り返して検出されると、いずれかの脈流の検出タイミングが、第1の一定時間の経過後であって第1の一定時間の終了よりも遅く終了する予め設定された第2の一定時間t2の経過前であることを条件として、プルレス操作と判定する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチと交流電源の位相を制御する位相制御型調光器を介して交流電源に接続され、前記位相制御型調光器によって調光が行われる照明器具であって、
ユーザーにより、前記スイッチをオンからオフにした後、一定時間内に再度オンにする操作であるプルレス操作がなされたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により、プルレス操作がなされたと判定された場合は調色を行う制御手段と、
前記位相制御型調光器の出力電圧を監視する監視手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記監視手段により前記位相制御型調光器の出力電圧が一定値以下に低下したことが検出された場合は、前記交流電源の少なくとも半周期よりも長い値に予め設定された第1の一定時間の測定を開始し、前記第1の一定時間内に、前記監視手段により前記出力電圧が一定値以下に低下したことが再度検出された場合は、前記第1の一定時間の測定開始をやり直し、前記第1の一定時間内に前記監視手段により前記出力電圧が一定値以下に低下したことが検出されることがなく、かつ前記監視手段により前記位相制御型調光器から前記交流電源の半周期ごとに出力される脈流が所定期間以上または所定回数以上繰り返して検出された場合は、いずれかの脈流の検出タイミングが、前記第1の一定時間の経過後であって、第1の一定時間の終了よりも遅く終了する予め設定された第2の一定時間の経過前であることを条件として、プルレス操作がなされたと判定することを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記所定期間は、前記スイッチが再度オンされたときに位相制御型調光器から出力される漏れ電圧を検出可能な期間よりも長く設定され、前記所定回数は前記漏れ電圧を検出可能な回数よりも多く設定される請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記所定期間は20~60msecの範囲で設定され、前記所定回数は3~8回の範囲で設定される請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項4】
ダウンライトとして用いられる請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項5】
前記脈流の検出は、前記位相制御型調光器からの出力電圧が一定値以上に上昇するか一定値以下に下降したことを前記監視手段が検出することにより行われる請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項6】
スイッチと交流電源の位相を制御する位相制御型調光器を介して交流電源に接続され、前記位相制御型調光器によって調光が行われる複数の照明器具を備えた照明システムであって、
各照明器具は、
ユーザーにより、前記スイッチをオンからオフにした後、一定時間内に再度オンにする操作であるプルレス操作がなされたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により、プルレス操作がなされたと判定された場合は調色を行う制御手段と、
前記位相制御型調光器の出力電圧を監視する監視手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記監視手段により前記位相制御型調光器の出力電圧が一定値以下に低下したことが検出された場合は、前記交流電源の少なくとも半周期よりも長い値に予め設定された第1の一定時間の測定を開始し、前記第1の一定時間内に、前記監視手段により前記出力電圧が一定値以下に低下したことが再度検出された場合は、前記第1の一定時間の測定開始をやり直し、前記第1の一定時間内に前記監視手段により前記出力電圧が一定値以下に低下したことが検出されることがなく、かつ前記監視手段により前記位相制御型調光器から前記交流電源の半周期ごとに出力される脈流が所定期間以上または所定回数以上繰り返して検出された場合は、いずれかの脈流の検出タイミングが、前記第1の一定時間の経過後であって、第1の一定時間の終了よりも遅く終了する予め設定された第2の一定時間の経過前であることを条件として、プルレス操作がなされたと判定することを特徴とする照明システム。
【請求項7】
前記所定期間は、前記スイッチが再度オンされたときに位相制御型調光器から出力される漏れ電圧を検出可能な期間よりも長く設定され、前記所定回数は前記漏れ電圧を検出可能な回数よりも多く設定される請求項6に記載の照明システム。
【請求項8】
前記所定期間は20~60msecの範囲で設定され、前記所定回数は3~8回の範囲で設定される請求項6または7に記載の照明システム。
【請求項9】
各照明器具はダウンライトとして用いられる請求項6または7に記載の照明システム。
【請求項10】
前記脈流の検出は、前記位相制御型調光器から出力電圧が一定値以上に上昇するか一定値以下に下降したことを前記監視手段が検出することにより行われる請求項6または7に記載の照明システム。
【請求項11】
スイッチと交流電源の位相を制御する位相制御型調光器を介して交流電源に接続され、前記位相制御型調光器によって調光が行われる照明器具に搭載されているコンピュータに、
ユーザーにより、前記スイッチをオンからオフにした後、一定時間内に再度オンにする操作であるプルレス操作がなされたか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより、プルレス操作がなされたと判定された場合は調色を行う制御ステップと、
前記位相制御型調光器の出力電圧を監視する監視ステップと、
を実行させ、
前記判定ステップでは、前記監視ステップにより前記位相制御型調光器の出力電圧が一定値以下に低下したことが検出された場合は、前記交流電源の少なくとも半周期よりも長い値に予め設定された第1の一定時間の測定を開始し、前記第1の一定時間内に、前記監視ステップにより前記出力電圧が一定値以下に低下したことが再度検出された場合は、前記第1の一定時間の測定開始をやり直し、前記第1の一定時間内に前記監視ステップにより前記出力電圧が一定値以下に低下したことが検出されることがなく、かつ前記監視ステップにより前記位相制御型調光器から前記交流電源の半周期ごとに出力される脈流が所定期間以上または所定回数以上繰り返して検出された場合は、いずれかの脈流の検出タイミングが、前記第1の一定時間の経過後であって第1の一定時間の終了よりも遅く終了する予め設定された第2の一定時間の経過前であることを条件として、プルレス操作がなされたと判定する処理を実行させるためのプログラム。
【請求項12】
前記所定期間は、前記スイッチが再度オンされたときに位相制御型調光器から出力される漏れ電圧を検出可能な期間よりも長く設定され、前記所定回数は前記漏れ電圧を検出可能な回数よりも多く設定される請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記所定期間は20~60msecの範囲で設定され、前記所定回数は3~8回の範囲で設定される請求項11または12に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スイッチと交流電源の位相を制御する位相制御型調光器を介して交流電源に接続され、位相制御型調光器によって調光が行われる照明器具及び照明システムに関し、特にユーザーが、スイッチをオンからオフにした後、一定時間内に再度オンにする操作であるプルレス操作を行ったことを検出して、調色を行う照明器具及び照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、昨今汎用の位相制御型調光器において、リモコン操作に対応出来るように多機能化が進んでいる。その結果、調光器内にある制御用電源の確保の為、あるいは高機能化による調光器内にあるマイコンの動作複雑化の為、スイッチをオンしてから100msec以上の出力停止期間を経過した後に調光器の出力を送出する場合があることにより色ずれ等の課題があることは周知である。
【0003】
上記の特許文献1には、100msec以上の出力停止期間があっても、プルレス操作を精度良く検出することができる照明器具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-21768号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、プルレス操作によりスイッチのオフ後に再度オンした際、位相制御調光器の雑音防止用コンデンサの充電電流、電子回路の不安定領域による誤動作等により、照明器具入力段に脈流状態の漏れ電圧が必ず発生することを前提としている。
【0006】
しかし、市販の位相制御調光器によっては、又はそのタイミングによっては、この漏れ電圧のピーク値はそれほど高くない電圧となり、照明器具によってはこの漏れ電圧をスイッチの再度のオンとして検出したりしなかったりする場合がある。更に都合の悪いことに、前述したように100msec以上(300msec程)調光器が動作せず照明器具入力段に電圧が発生しない状態となることもある。
【0007】
本来、照明器具側でスイッチオフから再度のスイッチオンまでの時間を管理して所定の時間(例えば0.3秒~1.5秒)であれば調色を行うことになるが、当該調光器に接続された複数の照明器具によって再度のオンを検出するものもあれば検出しないものもあるため、管理すべき時間のずれが個体差として300msec程度あることになる。つまり、スイッチを再度オンした際に発生する漏れ電圧を検出してプルレス操作があったと判断する照明器具もあれば、漏れ電圧を検出せずプルレス操作があったとは判断しない照明器具もあり、これが要因でプルレス操作後の色ずれが発生することがあり改善が望まれていた。
【0008】
この発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、スイッチが再度オンされたときに位相制御型調光器から漏れ電圧が出力される場合であっても、精度良くプルレス操作が行われたことを検出できる照明器具、照明システムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は以下の手段によって達成される。
(1)スイッチと交流電源の位相を制御する位相制御型調光器を介して交流電源に接続され、前記位相制御型調光器によって調光が行われる照明器具であって、
ユーザーにより、前記スイッチをオンからオフにした後、一定時間内に再度オンにする操作であるプルレス操作がなされたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により、プルレス操作がなされたと判定された場合は調色を行う制御手段と、
前記位相制御型調光器の出力電圧を監視する監視手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記監視手段により前記位相制御型調光器の出力電圧が一定値以下に低下したことが検出された場合は、前記交流電源の少なくとも半周期よりも長い値に予め設定された第1の一定時間の測定を開始し、前記第1の一定時間内に、前記監視手段により前記出力電圧が一定値以下に低下したことが再度検出された場合は、前記第1の一定時間の測定開始をやり直し、前記第1の一定時間内に前記監視手段により前記出力電圧が一定値以下に低下したことが検出されることがなく、かつ前記監視手段により前記位相制御型調光器から前記交流電源の半周期ごとに出力される脈流が所定期間以上または所定回数以上繰り返して検出された場合は、いずれかの脈流の検出タイミングが、前記第1の一定時間の経過後であって、第1の一定時間の終了よりも遅く終了する予め設定された第2の一定時間の経過前であることを条件として、プルレス操作がなされたと判定することを特徴とする照明器具。
(2)前記所定期間は、前記スイッチが再度オンされたときに位相制御型調光器から出力される漏れ電圧を検出可能な期間よりも長く設定され、前記所定回数は前記漏れ電圧を検出可能な回数よりも多く設定される前項1に記載の照明器具。
(3)前記所定期間は20~60msecの範囲で設定され、前記所定回数は3~8回の範囲で設定される前項1または2に記載の照明器具。
(4)ダウンライトとして用いられる前項1または2に記載の照明器具。
(5)前記脈流の検出は、前記位相制御型調光器からの出力電圧が一定値以上に上昇するか一定値以下に下降したことを前記監視手段が検出することにより行われる前項1または2に記載の照明器具。
(6)スイッチと交流電源の位相を制御する位相制御型調光器を介して交流電源に接続され、前記位相制御型調光器によって調光が行われる複数の照明器具を備えた照明システムであって、
各照明器具は、
ユーザーにより、前記スイッチをオンからオフにした後、一定時間内に再度オンにする操作であるプルレス操作がなされたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により、プルレス操作がなされたと判定された場合は調色を行う制御手段と、
前記位相制御型調光器の出力電圧を監視する監視手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記監視手段により前記位相制御型調光器の出力電圧が一定値以下に低下したことが検出された場合は、前記交流電源の少なくとも半周期よりも長い値に予め設定された第1の一定時間の測定を開始し、前記第1の一定時間内に、前記監視手段により前記出力電圧が一定値以下に低下したことが再度検出された場合は、前記第1の一定時間の測定開始をやり直し、前記第1の一定時間内に前記監視手段により前記出力電圧が一定値以下に低下したことが検出されることがなく、かつ前記監視手段により前記位相制御型調光器から前記交流電源の半周期ごとに出力される脈流が所定期間以上または所定回数以上繰り返して検出された場合は、いずれかの脈流の検出タイミングが、前記第1の一定時間の経過後であって、第1の一定時間の終了よりも遅く終了する予め設定された第2の一定時間の経過前であることを条件として、プルレス操作がなされたと判定することを特徴とする照明システム。
(7)前記所定期間は、前記スイッチが再度オンされたときに位相制御型調光器から出力される漏れ電圧を検出可能な期間よりも長く設定され、前記所定回数は前記漏れ電圧を検出可能な回数よりも多く設定される前項6に記載の照明システム。
(8)前記所定期間は20~60msecの範囲で設定され、前記所定回数は3~8回の範囲で設定される前項6または7に記載の照明システム。
(9)各照明器具はダウンライトとして用いられる前項6または7に記載の照明システム。
(10)前記脈流の検出は、前記位相制御型調光器から出力電圧が一定値以上に上昇するか一定値以下に下降したことを前記監視手段が検出することにより行われる前項6または7に記載の照明システム。
(11)スイッチと交流電源の位相を制御する位相制御型調光器を介して交流電源に接続され、前記位相制御型調光器によって調光が行われる照明器具に搭載されているコンピュータに、
ユーザーにより、前記スイッチをオンからオフにした後、一定時間内に再度オンにする操作であるプルレス操作がなされたか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより、プルレス操作がなされたと判定された場合は調色を行う制御ステップと、
前記位相制御型調光器の出力電圧を監視する監視ステップと、
を実行させ、
前記判定ステップでは、前記監視ステップにより前記位相制御型調光器の出力電圧が一定値以下に低下したことが検出された場合は、前記交流電源の少なくとも半周期よりも長い値に予め設定された第1の一定時間の測定を開始し、前記第1の一定時間内に、前記監視ステップにより前記出力電圧が一定値以下に低下したことが再度検出された場合は、前記第1の一定時間の測定開始をやり直し、前記第1の一定時間内に前記監視ステップにより前記出力電圧が一定値以下に低下したことが検出されることがなく、かつ前記監視ステップにより前記位相制御型調光器から前記交流電源の半周期ごとに出力される脈流が所定期間以上または所定回数以上繰り返して検出された場合は、いずれかの脈流の検出タイミングが、前記第1の一定時間の経過後であって第1の一定時間の終了よりも遅く終了する予め設定された第2の一定時間の経過前であることを条件として、プルレス操作がなされたと判定する処理を実行させるためのプログラム。
(12)前記所定期間は、前記スイッチが再度オンされたときに位相制御型調光器から出力される漏れ電圧を検出可能な期間よりも長く設定され、前記所定回数は前記漏れ電圧を検出可能な回数よりも多く設定される前項11に記載のプログラム。
(13)前記所定期間は20~60msecの範囲で設定され、前記所定回数は3~8回の範囲で設定される前項11または12に記載のプログラム。
【発明の効果】
【0010】
前項(1)及び(6)に記載の発明によれば、スイッチが再度オンされたときに位相制御型調光器から漏れ電圧が出力されても、位相制御型調光器から交流電源の半周期ごとに出力される脈流を所定期間または所定回数繰り返して検出した場合に限り、プルレス操作がなされたと判定され、漏れ電圧によってプルレス操作がなされたと判定されることはないから、漏れ電圧によってプルレス操作がなされたと判定されたり判定されなかったりする不具合を防止することができる。このため、全ての照明器具について、プルレス操作があったと判断するタイミングを揃えることができるから、各照明器具での色ずれの発生を防止することができる。特に、漏れ電圧の出力後に100msec以上の出力停止期間を経過した後に出力を送出する位相制御型調光器であっても、プルレス操作があったと判断するタイミングに照明器具間で大きな個体差を生じることがないから、色ずれの発生を防止することができる。
【0011】
前項(2)及び(7)に記載の発明によれば、所定期間は、スイッチが再度オンされたときに位相制御型調光器から出力される漏れ電圧を検出可能な期間よりも長く設定され、所定回数は漏れ電圧を検出可能な回数よりも多く設定されるから、漏れ電圧によってプルレス操作がなされたと誤検出されるのを確実に防止することができる。
【0012】
前項(3)及び(8)に記載の発明によれば、所定期間は20~60msecの範囲で設定され、前記所定回数は3~8回の範囲で設定されるから、漏れ電圧によってプルレス操作がなされたと誤検出されるのを確実に防止することができる。
【0013】
前項(4)及び(9)に記載の発明によれば、ダウンライトの調光を位相制御型調光器で行いながら、調色を1つのスイッチのプルレス操作で行う場合に、漏れ電圧によってプルレス操作がなされたと判定されたり判定されなかったりする不具合を確実に防止することができる。
【0014】
前項(5)及び(10)に記載の発明によれば、位相制御型調光器からの出力電圧が一定値以上に上昇するか一定値以下に下降したことを検出することによって、脈流を検出することができる。
【0015】
前項(11)に記載の発明によれば、監視ステップにより位相制御型調光器の出力電圧が一定値以下に低下したことが検出された場合は、交流電源の少なくとも半周期よりも長い値に予め設定された第1の一定時間の測定を開始し、第1の一定時間内に、監視ステップにより出力電圧が一定値以下に低下したことが再度検出された場合は、第1の一定時間の測定開始をやり直し、第1の一定時間内に監視ステップにより出力電圧が一定値以下に低下したことが検出されることがなく、かつ監視ステップにより位相制御型調光器から交流電源の半周期ごとに出力される脈流が所定期間以上または所定回数以上繰り返して検出された場合は、いずれかの脈流の検出タイミングが、第1の一定時間の経過後であって、第1の一定時間の終了よりも遅く終了する予め設定された第2の一定時間の経過前であることを条件として、プルレス操作がなされたと判定する処理を、照明器具のコンピュータに実行させることができる。
【0016】
前項(12)に記載の発明によれば、所定期間を、スイッチが再度オンされたときに位相制御型調光器から出力される漏れ電圧を検出可能な期間よりも長く設定し、所定回数を漏れ電圧を検出可能な回数よりも多く設定して、前項(11)に記載の処理をコンピュータに実行させることができる。
【0017】
前項(13)に記載の発明によれば、所定期間を20~60msecの範囲に設定し、所定回数を3~8回の範囲で設定して、前項(11)に記載の処理をコンピュータに実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の一実施形態に係る照明器具が用いられた照明システムの構成図である。
図2】スイッチと調光器の調光度合いを調整するための操作用のボリュームが一体に設けられたスイッチユニットが壁面等に取り付けられている状態の斜視図である。
図3】照明器具の構成例を示す回路図である。
図4】照明器具の他の構成例を示す回路図である。
図5】照明器具の動作を説明するためのタイミングチャートである。
図6図5のタイミングチャートにおける監視電圧V0の部分拡大図である。
図7】プルレス操作の判定処理を示すフローチャートである。
図8】プルレス操作の別の判定処理を示すフローチャートである。
図9】位相制御型調光器の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1はこの発明の一実施形態に係る照明システム1の構成図である。この照明システム1は、複数個の照明器具10が、全ての照明器具10を同時に点灯または消灯させるスイッチ3と、全ての照明器具10の調光を同時に行う1台の位相制御型調光器(以下、単に調光器ともいう)4を介して商用交流電源2に並列に接続されている。
【0021】
調光器4は、ユーザーによる調節つまみ(ボリューム)の操作に基づいて、交流電源2の位相を制御して交流電源2から各照明器具10への入力電力の供給と遮断を制御することにより、各照明器具1における光源16の明るさを調整するものである。なお、図2に示すように、前記スイッチ3と調光度合いを調整するための操作用のボリューム41がスイッチユニット5に一体に設けられると共に、スイッチユニット5は室内の壁面等に取り付けられている。
【0022】
また、この実施形態では、調光器4は高機能調光器であり、スイッチ3をオンした場合、調光器4は幅の短い出力(漏れ電圧)を供給し、その後100msec以上の出力停止期間を経て連続的な出力を供給する特性を有している。
【0023】
照明器具10の構成を図3の回路図に示す。この実施形態では、照明器具10としてダウンライトが用いられているが、ダウンライトに限定されることはない。
【0024】
図3は照明器具10の構成を示す回路図である。各照明器具10は同一の構成を有している。
【0025】
照明器具10は、整流回路11と、入力回路12と、AC-DC変換回路13と、制御部14と、駆動部15と、光源16等を備えている。
【0026】
整流回路11は、交流電源2側の端子P1、P2に接続されて交流電源2(調光器4)からの交流入力を全波整流する回路であり、入力回路12は、整流回路11による整流後の入力電圧を分圧して電圧値を低下させるものである。この実施形態では、入力回路12は抵抗R1とR2により入力電圧を分圧する。この分圧電圧は、調光器4の出力電圧の変動を、整流回路11による整流後において監視するための監視電圧となる。
【0027】
なお、入力回路12は図4に示すように、交流電源2側の端子P1、P2にそれぞれアノードが接続された各ダイオード17、18のカソードに、抵抗R1の一端が接続された構成であっても良い。図4の回路において、入力回路12の構成以外は図3の回路図と同じである。
【0028】
AC-DC変換回路13は、整流回路11による全波整流後の入力電圧の脈流をなくして安定した直流電源を生成するものである。AC-DC変換回路13により生成された直流電源は光源16の駆動電源及び制御部14の電源等に用いられる。
【0029】
制御部14は、CPU141とROM142とRAM143を備え、照明器具10の全体動作を制御するものである。特にこの実施形態では、前記入力回路12で分圧され電圧値の小さくなった監視電圧を基に、ユーザーによってなされるスイッチ3のプルレス操作の有無を判定し、判定結果に基づいて調色等の制御を行う機能を有する。プルレス操作の具体的な判定方法については後述する。
【0030】
前記ROM142には、CPU141の動作プログラムや、プルレス操作かどうかを判定するための各種設定値等が保存されており、CPU141はこれらの動作プログラムや設定値に従って所定の動作を行う。RAM143はCPU141が動作する際の作業領域を提供する。
【0031】
駆動部15は、光源16を駆動して点灯させると共に、プルレス操作の検出結果に応じた制御部14の指示に基づいて、光源16の色温度の調整、即ち調色を行う。
【0032】
光源16としては発光ダイオード(LED)製のものが好適に用いられるが、これに限定されることはない。また、この実施形態では光源16としてダウンライト用の光源が用いられているが、任意の光源を用いることが可能である。また、光源16の調色の一例として、この実施形態ではプルレス操作が行われる毎に昼白色と電球色の色温度に交互に切り替えるものとしているが、調色の仕方はこれに限定されることはなく、3種類以上の色温度に切り替える構成であっても良い。
【0033】
次に、図3に示した照明器具10の動作を図5のタイミングチャートを参照して説明する。
【0034】
ユーザーが照明器具を点灯させるためにスイッチ3をオンにすると、調光器4の入力には図5(A)に示すような交流電源2から入力電圧V1が入力される。
【0035】
調光器4は、入力電圧V1の各半周期のうち、操作用のボリューム41で設定された調光度合いに応じた位相でオンし、各半周期の終了でオフする動作を繰り返し、調光器4からは図5(B)に示すように、各半周期のうちの前側の部分が切り欠かれた電圧V2が出力される。なお、調光器4は、入力電圧V1の各半周期の開始でオンし、操作用のボリューム41で設定された調光度合いに応じた位相でオフする逆位相方式のタイプであっても良い。この場合は、調光器4からは各半周期のうちの後側の部分が切り欠かれた電圧が出力される。
【0036】
整流回路11は調光器4の出力電圧V2を全波整流する結果、整流回路11からは図5(C)に示す電圧V5が出力される。
【0037】
次に、ユーザーがプルレス操作のためスイッチ3をタイミングT1においてオフし、タイミングT2においてオンしたとする。整流回路11の出力はタイミングT1においてオフになり、タイミングT2においてオンになるから、入力回路12で分圧された図5(D)に示す監視電圧V0はタイミングT1で基準電圧Vr以下となる。制御部14はこの監視電圧V0が基準電圧Vr以下となったタイミングT1を検出して時間測定を開始する。
【0038】
図5(E)に示すように、この実施形態では、時間測定に関して第1の一定時間t1と第2の一定時間t2が設定されている。具体的には、タイミングT1からの時間を測定し予め設定された第1の一定時間t1以内に、再度、監視電圧V8が基準電圧Vr以下になったかどうかを判断する。
【0039】
監視電圧V0は整流回路11による整流後の電圧V5の波形と同一の電圧波形V8を有するから、制御部14は調光器4の出力電圧V2の変動を、監視電圧V0を介して監視していることになる。基準電圧Vrはスイッチ3がオフ操作されたことを検出するための閾値であり、ゼロに近い値が設定される。
【0040】
第1の一定時間t1は、入力電圧V1の半周期ごとの脈流の時間推移に伴う電圧低下または調光器4が入力供給領域から入力遮断領域に切り替わったときの電圧低下か、スイッチ3のオフ操作による電圧低下かを判別するための設定時間であり、交流電源2の半周期よりも長く、ユーザーによるスイッチ3のオフオンの連続操作に要する時間よりも短い例えば12msに設定されている。
【0041】
つまり、スイッチ3をユーザーがオフ操作しなくても、脈流の時間推移に伴う電圧低下または調光器4が入力遮断領域に切り替わったときの電圧低下により、タイミングT1とそこから半周期経過したタイミングで、監視電圧V0が基準電圧Vr以下になったことが必ず検出される。しかし、これはスイッチ3のオフ操作による電圧低下ではなく、タイミングT1から半周期経過したタイミングまでの経過時間は第1の一定時間t1よりも短いから、第1の一定時間t1内に監視電圧V0が基準電圧Vr以下になったことが再度検出された場合は、これをプルレス操作の検出から排除する構成となっている。
【0042】
第2の一定時間t2は、ユーザーが消灯のためにスイッチ3をオフにした場合とプルレス操作とを区別するための設定時間であり、スイッチ3のオフが検出されたタイミングT1から測定が開始される。
【0043】
前述したように、この実施形態における調光器4は高機能調光器であり、図5(B)に示すように、ユーザーがタイミングT2でスイッチ3をオンした場合、調光器4は幅の短い例えば入力電圧V1の1周期以下の期間に漏れ電圧V3を出力する。スイッチ3をオンした時の幅の短い漏れ電圧V3の出力は、スイッチ3をオンした瞬間に調光器4の入出力間に接続された雑音防止用コンデンサ(図示せず)を介して電力を照明器具10側に供給させる為であったり、調光器4の種類によっては調光器4内のスイッチ素子であるトライアックが自己オンしたりする為であり、当業者にとっては公知のものである。この幅の短い漏れ電圧V3の供給後、調光器4によって予め設定されている例えば100msec以上の出力停止期間t3を経て、タイミングT3で調光器4が動作を再開し、入力電圧V1の半周期ごとに出力される連続的な出力電圧V4(スイッチ3のオフ操作前の電圧V2と同じ)の供給を再開する特性を有している。
【0044】
調光器4の上記動作に応じて、整流回路11の出力及び監視電圧V0も、図5(C)及び(D)に示すように、調光器4の幅の短い漏れ電圧V3に対応して幅の短い漏れ電圧V6、V9を出力した後、調光器4の出力停止期間t3では整流回路11の出力も監視電圧V0もゼロとなり、出力停止期間t3が終了したタイミングT3から、調光器4の出力電圧V4を全波整流した出力電圧である脈流V7、V10をそれぞれ入力電圧V1の半周期ごとに出力する。
【0045】
監視電圧V0の脈流V10は基準電圧Vr以上に上昇することから、図6に白丸で示したように、監視電圧V0の脈流V10が基準電圧Vr以上に上昇したことが検出される。この検出は各脈流V10が基準電圧Vr以上に上昇する毎に連続して行われる。
【0046】
一方、タイミングT2で調光器4の出力を再開して幅の短い漏れ電圧V3が出力された場合も、漏れ電圧V3のピーク値が高ければ、監視電圧V0の漏れ電圧相当分V9が基準電圧Vr以上に上昇する。しかし、この上昇を検出してスイッチ3の再度のオンと判定することは次のような問題がある。
【0047】
即ち、調光器4によっては又はスイッチ3のオンのタイミングによっては、漏れ電圧V3のピーク値がそれほど高くないことがある。このため、照明器具10によってはこの漏れ電圧相当分V9をスイッチ3の再度のオンとして検出したりしなかったりする場合がある。検出されない場合は、出力停止期間t3が終了したタイミングT3でスイッチ3の再度のオンが検出されることになるが、タイミングT3でスイッチ3の再度のオンが検出された場合と漏れ電圧V3をスイッチ3の再度のオンとして検出した場合とでは、出力停止期間t3の存在の分だけ、検出のタイミングひいてはプルレス操作の判定タイミング及び調色の実行タイミングに大きなずれが発生し、その分色ずれが発生するという不具合がある。
【0048】
このため、この実施形態では次のような対策を講じている。即ち、漏れ電圧V3の発生期間は調光器4にも依るが、多くの場合、入力電圧V1の1周期以下である。これに対し、100msec以上の出力停止期間t3を経て、タイミングT3で出力される脈流V4は、入力電圧V1の半周期ごとに連続的に出力される。このため、漏れ電圧V3と脈流V4とは出力の期間または検出の回数において識別することができる。従って、監視電圧V0においても、漏れ電圧相当分V9と脈流V10とを出力の期間または検出の回数において識別することができる。
【0049】
そこで図6に示すように、監視電圧V0において、タイミングT3で出力される脈流V10を半周期毎に検出した期間Taが、漏れ電圧相当分V9を検出可能な期間よりも長く設定された所定期間以上である場合、期間Taの終了タイミングT4を基にプルレス操作がなされたと判断する。あるいは、脈流V10を半周期毎に検出した回数が、漏れ電圧相当分V9を検出可能な回数よりも多く設定された所定回数以上である場合、最後の検出タイミングT4を基にプルレス操作がなされたと判断する。
【0050】
期間Taと比較される所定期間は、交流電源2(入力電圧V1)の周波数にもよるため限定はされないが、漏れ電圧V3の出力期間が概ね交流電源の1周期以内であることから20msec以上とするのが良い。また、長すぎても判定精度の向上効果に乏しいうえプルレス操作の判定が遅れるため60msec以下とするのが良い。従って、20~60msecの値に設定し、連続して脈流10を検出した期間Taがこの設定した値以上であるかどうかを判断すれば良い。
【0051】
一方、所定回数は、漏れ電圧V3の検出回数は概ね2回以下であるため、3回以上とするのがよい。また、多すぎても判定精度の向上効果に乏しいうえプルレス操作の判定が遅れるため8回以下とするのが良い。従って、3~8回の値に設定し、連続して脈流10を検出した回数がこの設定した回数以上であるかどうかを判断すれば良い。
【0052】
ただし、前述したように、ユーザーが消灯のためにスイッチ3をオフにした場合とプルレス操作とを区別するため、スイッチ3のオフが検出されたタイミングT1から第2の一定時間t2が設定されている。このため、この実施形態では、期間Taの終了タイミングT4あるいは脈流V7の最後の検出タイミングT4が第2の一定時間t2内である場合に、プルレス操作がなされたと判断している。
【0053】
なお、期間Taの終了タイミングT4あるいは脈流V10の最後の検出タイミングT4が第2の一定時間t2内でなくても、最初の脈流V10の検出タイミングあるいは2個目以降の任意の脈流V10の検出タイミングが第2の一定時間t2内であることを条件としてプルレス操作がなされたと判断しても良い。
【0054】
図7は、制御部14が実施するプルレス操作の判定処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部14のCPU141がROM142等に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0055】
ステップS01で、制御部14は入力回路12の出力である監視電圧V0を監視することにより、監視電圧V0が基準電圧(基準値ともいう)Vr以下になるのを待つ(ステップS01でNO)。監視電圧V0が予め設定された基準値Vr以下になったときは(ステップS01でYES)、ステップS02で、制御部14はそのタイミングT1を記憶する。
【0056】
次に、ステップS03で、制御部14はタイミングT1からの時間を測定し予め設定された第1の一定時間t1以内に、再度、監視電圧V0が基準値Vr以下になったかどうかを判断する。
【0057】
タイミングT1から第1の一定時間t1以内に、再度、監視電圧V0が基準値Vr以下になった場合は(ステップS03でYES)、プルレス操作でないと判定し、ステップS04でT1をクリアした後ステップS01に戻る。
【0058】
一方、ステップS03で、タイミングT1から一定時間t1以内に監視電圧V0が基準値Vr以下にならなかった場合は(ステップS03でNO)、ステップS05で、第2の一定時間t2が経過したかどうかを調べる。第2の一定時間t2が経過した場合(ステップS05でYES)、ユーザーが消灯のためにスイッチ3をオフ操作したと判断して処理を終了する。
【0059】
第2の一定時間t2が経過していなければ(ステップS05でNO)、ステップS06で、監視電圧V0が基準値Vr以上になったかどうかを判断する。基準値Vr以上になっていなければ(ステップS06でNO)、ステップS05に戻る。監視電圧V0が基準値Vr以上になった場合(ステップS06でYES)、ステップS07で、監視電圧V0が基準値Vr以上になった回数をカウントしていく(カウントアップ)。次いでステップS08で、カウント値が所定回数に達したかどうかを判断する。
【0060】
所定回数に達していなければ(ステップS08でNO)、ステップS09で、第1の一定時間t1内に監視電圧V0が再度基準値Vr以上になったかどうかを判断する。つまり、監視電圧V0の脈流V10を連続して検出したかどうかを判断する。監視電圧V0が再度基準値Vr以上になった場合(ステップS09でYES)、ステップS207に戻ってカウントアップ(1を加算)したのち、ステップS08に進む。
【0061】
ステップS09で、第1の一定時間t1内に監視電圧V0が再度基準値Vr以上にならなかった場合(ステップS09でNO)、脈流V10の検出ではないから、ステップS10でカウント値をクリアした後、ステップS05に戻る。
【0062】
このような処理を、ステップS08に示すカウント値が所定回数に達するまで繰り返す。従って、スイッチ3のオンによる調光器4の動作再開時に調光器4から出力される幅の狭い漏れ電圧V3によって、監視電圧V0が基準値Vr以上になったことが検出されたとしても、脈流V10の検出のような連続的な検出ではなくカウント値は所定回数には達しないから、カウント値はクリアされる。つまり、漏れ電圧V3は無視されプルレス操作の有無判定に影響を与えることはない。
【0063】
ステップS08でカウント値が所定回数に達した場合(ステップS08でYES)、ステップS11で最後の検出タイミングT4を記憶した後、ステップS12で、T4-T1<t2かどうか、つまりタイミングT4が第2の一定時間t2に達していないことを確認する。達していなければ(ステップS12でYES)、ステップS13で、プルレス操作があったと判定して調色を行う。達している場合(ステップS12でNO)、プルレス操作ではなく消灯のためのスイッチ3のオフ操作がなされたものとして処理を終了する。
【0064】
図7に示した処理では、監視電圧V0が基準値Vr以上になった回数が所定回数に達したときのタイミングT4を記憶したが、脈流V10を所定期間以上繰り返して検出したタイミングT4を記憶しても良い。
【0065】
また、スイッチ3のオン操作を検出するタイミングT1を規定する基準値Vrと、脈流V10を検出する基準値Vrは、異なる値に設定しても良い。
【0066】
図8は、制御部14が実施するプルレス操作の別の判定処理を示すフローチャートである。この処理も、制御部14のCPU141がROM142等に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0067】
図8に示す処理では、監視電圧V0の最初の脈流10を検出したタイミングT3を記憶しておき、このタイミングT3が第2の一定時間t2に達していなければ、プルレス操作があったと判定して調色を行う構成となっている。
【0068】
ステップS01~ステップS06の処理は、図7に示したステップS01~ステップS06と同じであり、説明は省略する。なお、図7に示したステップの処理と同じ処理を行うステップについては、図7と同一のステップ番号を付す。
【0069】
図8のステップS06において、監視電圧V0が基準値Vr以上になったかどうかの判断の結果、基準値Vr以上になった場合(ステップS06でYES)、ステップS21で、そのタイミングT3を記憶する。
【0070】
次に、ステップS07で、監視電圧V0が基準値Vr以上になった回数をカウントしたのち(カウントアップ)、ステップS08で、カウント値が所定回数に達したかどうかを判断する。
【0071】
所定回数に達していなければ(ステップS08でNO)、ステップS09で、第1の一定時間t1内に監視電圧V0が再度基準値Vr以上になったかどうかを判断する。つまり、監視電圧V0の脈流V10を連続して検出したかどうかを判断する。監視電圧V0が再度基準値Vr以上になった場合(ステップS09でYES)、ステップS207に戻ってカウントアップ(1を加算)したのち、ステップS08に進む。
【0072】
ステップS09で、第1の一定時間t1内に監視電圧V0が再度基準値Vr以上にならなかった場合(ステップS09でNO)、脈流V10の検出ではないから、ステップS22でタイミングT3及びカウント値をクリアした後、ステップS05に戻る。
【0073】
このような処理を、ステップS08に示すカウント値が所定回数に達するまで繰り返す。従って、スイッチ3のオンによる調光器4の動作再開時に調光器4から出力される幅の狭い漏れ電圧V3によって、監視電圧V0が基準値Vr以上になったことが検出されたとしても、脈流V10の検出のような連続的な検出ではなくカウント値は所定回数には達しないから、カウント値はクリアされる。つまり、漏れ電圧V3は無視されプルレス操作の有無判定に影響を与えることはない。
【0074】
ステップS08でカウント値が所定回数に達した場合(ステップS08でYES)、ステップS23で、T3-T1<t2かどうか、つまりタイミングT3が第2の一定時間t2に達していないことを確認する。達していなければ(ステップS23でNO)、ステップS13で、プルレス操作があったと判定して調色を行う。達している場合(ステップS23でNO)、消灯のためのスイッチ3のオフ操作がなされたものとして処理を終了する。
【0075】
図8に示した処理では、監視電圧V0が基準値Vr以上になった回数が所定回数に達したときに、T3-T1<t2かどうかを判断したが、脈流V10を所定期間以上繰り返して検出したときにT3-T1<t2かどうかを判断しても良い。
【0076】
また、スイッチ3のオン操作を検出するタイミングT1を規定する基準値Vrと、脈流V10を検出する基準値Vrは、異なる値に設定しても良い。
【0077】
また、ステップS06において、監視電圧V0が基準値Vr以上になったかどうかの判断の結果、基準値Vr以上になった場合(ステップS06でYES)、ステップS21で、そのタイミングT3を記憶するものとした。つまり、複数の脈流10のうち最初の脈流10を検出したときのタイミングT3を記憶し、T3-T1<t2かどうかを判断した。しかし、複数の脈流10のうち2番目以降の何れかの脈流10を検出したときのタイミングTnを記憶し、Tn-T1<t2かどうかを判断してもよい。
【0078】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本実施形態によれば、スイッチ3が再度オンされたときに調光器4から漏れ電圧V3が出力されても、調光器4から交流電源2の半周期ごとに出力される監視電圧V0の脈流10を所定期間または所定回数繰り返して検出した場合い限り、プルレス操作がなされたと判定され、漏れ電圧V3によってプルレス操作がなされたと判定されることはないから、漏れ電圧V3によってプルレス操作がなされたと判定されたり判定されなかったりする不具合を防止することができる。このため、全ての照明器具10について、プルレス操作があったと判断するタイミングを揃えることができるから、各照明器具10での色ずれの発生を防止することができる。特に、漏れ電圧V3の出力後に100msec以上の出力停止期間を経過した後に出力を送出する調光器4であっても、プルレス操作があったと判断するタイミングに照明器具間で大きな個体差を生じることがないから、色ずれの発生を防止することができる。
【0079】
また、本発明は上記実施形態に限定されることはない。例えば、調光器4の動作停止期間t3後の脈流10を、監視電圧V0が基準値Vr以上になったことを契機として検出したが、図6に黒丸印で示すように、監視電圧V0が基準値Vr以上の値から基準値Vr以下の値になったことを契機として脈流10を検出しても良い。
【0080】
また、調光器4は4線式であっても良いし、図9に示すような2線式の調光器40であってもよい。また、照明器具10が複数の場合を説明したが、位相制御型調光器4に接続されている照明器具10は1個でも良い。
【符号の説明】
【0081】
1 照明システム
2 交流電源
3 スイッチ
4、41 位相制御型調光器
10 照明器具
11 整流回路
12 入力回路
13 AC-DC変換回路
14 制御部
15 駆動部
16 光源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9