(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034269
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138401
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】池田 善紀
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC03
5E353EE02
5E353EE24
5E353EE53
5E353GG01
5E353HH11
5E353JJ02
5E353JJ25
5E353KK02
5E353KK03
5E353KK11
5E353KK21
5E353KK22
5E353KK24
5E353KK25
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】照明の構成を簡素化しながら、部品の透過像を取得することが可能な部品実装装置を提供する。
【解決手段】この部品実装装置100は、部品Eを吸着して基板Pに実装するノズル31aと、ノズル31aに吸着された部品Eを下方から撮像するカメラ52と、ノズル31aに、部品Eの後方に位置するように設けられる鏡面反射部31dと、ノズル31aに吸着された部品Eの下方、および、鏡面反射部31dの下方から照明光を照射する同軸照明部51bと、同軸照明部51bから照射された照明光を鏡面反射部31dにより下方に反射させて、カメラ52に入射させることにより、部品Eの透過像TIを取得する制御部7と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を吸着して基板に実装するノズルと、
前記ノズルに吸着された前記部品を下方から撮像する撮像部と、
前記ノズルに、前記部品の後方に位置するように設けられる鏡面反射部と、
前記ノズルに吸着された前記部品の下方、および、前記鏡面反射部の下方から照明光を照射する同軸照明部と、
前記同軸照明部から照射された照明光を前記鏡面反射部により下方に反射させて、前記撮像部に入射させることにより、前記部品の透過像を取得する制御部と、を備える、部品実装装置。
【請求項2】
前記同軸照明部は、前記部品の透過像を取得する際、および、前記部品の反射像を取得する際の両方に用いられる、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記同軸照明部および前記同軸照明部以外の照明部を含む照明部の点灯状態を表す点灯照明情報と、前記部品の透過像から前記部品を認識する透過認識または前記部品の反射像から前記部品を認識する反射認識のいずれを実行するかを表す認識方式情報と、を含む設定情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記設定情報に基づいて、前記部品の透過像の取得および認識、または、前記部品の反射像の取得および認識を行うように構成されている、請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記同軸照明部以外の照明部は、前記ノズルに吸着された前記部品の斜め下方から照明光を照射するリング照明部である、請求項3に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記鏡面反射部は、鏡面加工された金属板、または、鏡面が形成された透明な樹脂板により構成されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ノズルに吸着された前記部品を前記撮像部の視野中心から外れた位置に位置させて、前記同軸照明部から照射された照明光を前記鏡面反射部により下方に反射させて、前記撮像部に入射させることにより、前記部品の中心が画像中心から外れた位置に写る前記部品の透過像を取得するように構成されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記ノズルは、複数設けられており、
前記制御部は、前記複数のノズルの各々に吸着された前記部品を前記撮像部の視野中心から外れた位置に位置させて、前記同軸照明部から照射された照明光を前記複数のノズルの各々の前記鏡面反射部により下方に反射させて、前記撮像部に入射させることにより、前記複数のノズルの各々に吸着された前記部品が写る1枚の透過像を取得するように構成されている、請求項6に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記ノズルに吸着された前記部品を前記撮像部の視野中心に位置させて、前記同軸照明部から照射された照明光を前記鏡面反射部により下方に反射させて、前記撮像部に入射させることにより、前記部品の中心が画像中心に写る前記部品の透過像を取得するように構成されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装装置に関し、特に、部品を吸着して基板に実装する部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品を吸着して基板に実装する部品実装装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、電子部品を吸着して基板に実装する電子部品実装装置が開示されている。この電子部品実装装置は、反射板が設けられたノズルと、ノズルに吸着された電子部品を下方から撮像するカメラと、カメラによる撮像時に照明光を反射板の斜め下方から照射する光源部とを備える。この電子部品実装装置では、ノズルに吸着された電子部品の斜め下方から光源部により照射された照明光を、反射板により下方に反射させて電子部品が透過照明されることにより、電子部品の透過像が取得されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された電子部品実装装置では、部品の透過像を取得するための専用の光源部(照明部)を設ける必要があるため、照明の構成が複雑になるという不都合がある。この場合、照明の構成を簡素化しながら、部品の透過像を取得することが困難であるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の1つの目的は、照明の構成を簡素化しながら、部品の透過像を取得することが可能な部品実装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面による部品実装装置は、部品を吸着して基板に実装するノズルと、ノズルに吸着された部品を下方から撮像する撮像部と、ノズルに、部品の後方に位置するように設けられる鏡面反射部と、ノズルに吸着された部品の下方、および、鏡面反射部の下方から照明光を照射する同軸照明部と、同軸照明部から照射された照明光を鏡面反射部により下方に反射させて、撮像部に入射させることにより、部品の透過像を取得する制御部と、を備える。
【0008】
本発明の一の局面による部品実装装置では、上記のように、同軸照明部から照射された照明光を鏡面反射部により下方に反射させて、撮像部に入射させることにより、部品の透過像を取得する制御部を設ける。これにより、通常設けられる既存の同軸照明部を有効に利用して、部品の透過像を取得することができるので、部品の透過像を取得するための専用の照明部を設ける必要がない。その結果、照明の構成を簡素化しながら、部品の透過像を取得することができる。
【0009】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、同軸照明部は、部品の透過像を取得する際、および、部品の反射像を取得する際の両方に用いられる。このように構成すれば、同軸照明部を部品の透過像を取得する際、および、部品の反射像を取得する際の両方に共通に利用して、部品の透過像を取得することができるので、部品の透過像を取得するための照明部と部品の反射像を取得するための照明部とを独立して設ける場合に比べて、照明の構成を簡素化することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、同軸照明部および同軸照明部以外の照明部を含む照明部の点灯状態を表す点灯照明情報と、部品の透過像から部品を認識する透過認識または部品の反射像から部品を認識する反射認識のいずれを実行するかを表す認識方式情報と、を含む設定情報を記憶する記憶部をさらに備え、制御部は、記憶部に記憶された設定情報に基づいて、部品の透過像の取得および認識、または、部品の反射像の取得および認識を行うように構成されている。このように構成すれば、設定情報に基づいて照明部の点灯状態および画像の認識方式を適切に切り替えることができるので、部品の透過像の取得および認識および部品の反射像の取得および認識を適切に行うことができる。
【0011】
上記設定情報が点灯照明情報を含む構成において、好ましくは、同軸照明部以外の照明部は、ノズルに吸着された部品の斜め下方から照明光を照射するリング照明部である。このように構成すれば、同軸照明部およびリング照明部の点灯を点灯照明情報により適切に制御することができる。
【0012】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、鏡面反射部は、鏡面加工された金属板、または、鏡面が形成された透明な樹脂板により構成されている。このように構成すれば、簡素な構造で鏡面反射部を実現することができる。また、鏡面反射部が、鏡面加工された金属板により構成されている場合、強度の高い鏡面反射部を実現することができる。また、鏡面反射部が、鏡面が形成された透明な樹脂板により構成されている場合、軽量な鏡面反射部を実現することができる。
【0013】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、ノズルに吸着された部品を撮像部の視野中心から外れた位置に位置させて、同軸照明部から照射された照明光を鏡面反射部により下方に反射させて、撮像部に入射させることにより、部品の中心が画像中心から外れた位置に写る部品の透過像を取得するように構成されている。ここで、専用の照明部を設けてノズルに吸着された部品の斜め下方から照明光を照射する従来の構成では、ノズルに吸着された部品を撮像部の視野中心に位置させた状態で、ノズルに吸着された部品に照明光が当たらずに、反射板のみに照明光が当たることにより、適切な部品の透過像を取得可能なようになっている。この場合、ノズルに吸着された部品を撮像部の視野中心から外れた位置に位置させた状態で、照明部による照明光の照射を行うと、ノズルに吸着された部品に照明光が当たってしまい、適切な部品の透過像を取得することが困難である。これに対して、同軸照明部から照明光を照射する本願の構成では、ノズルに吸着された部品を撮像部の視野中心に位置させた状態、および、ノズルに吸着された部品を撮像部の視野中心から外れた位置に位置させた状態のいずれの状態でも、部品および鏡面反射部への照明光の当たり方は略同一となる。このため、ノズルに吸着された部品を撮像部の視野中心に位置させた状態、および、ノズルに吸着された部品を撮像部の視野中心から外れた位置に位置させた状態のいずれの状態でも、適切な部品の透過像を取得可能である。そこで、上記のように構成すれば、ノズルに吸着された部品を撮像部の視野中心から外れた位置に位置させた状態であっても、適切な部品の透過像を取得可能であることを有効に利用して、部品の透過像を取得する際の撮像の自由度を向上させながら、部品の透過像を取得することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、ノズルは、複数設けられており、制御部は、複数のノズルの各々に吸着された部品を撮像部の視野中心から外れた位置に位置させて、同軸照明部から照射された照明光を複数のノズルの各々の鏡面反射部により下方に反射させて、撮像部に入射させることにより、複数のノズルの各々に吸着された部品が写る1枚の透過像を取得するように構成されている。このように構成すれば、ノズルに吸着された部品が撮像部の視野中心から外れた位置に位置した状態であっても、適切な部品の透過像を取得可能であることを有効に利用して、複数の部品の透過像を1枚の画像で取得することができる。その結果、部品ごとに透過像を1枚ずつ取得する場合に比べて、複数の部品の透過像を効率的に取得することができる。
【0015】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、ノズルに吸着された部品を撮像部の視野中心に位置させて、同軸照明部から照射された照明光を鏡面反射部により下方に反射させて、撮像部に入射させることにより、部品の中心が画像中心に写る部品の透過像を取得するように構成されている。このように構成すれば、撮像部により撮像する部品が1つである場合には、ノズルに吸着された部品を撮像しやすい位置(撮像部の視野中心の位置)に位置させた状態で、部品の透過像を取得することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記のように、照明の構成を簡素化しながら、部品の透過像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態による部品実装装置を示す模式的な平面図である。
【
図2】一実施形態による部品実装装置の制御的な構成を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態によるヘッドユニットを示す模式図である。
【
図4】一実施形態による部品の反射像の取得を説明するための模式図である。
【
図5】一実施形態による部品の透過像の取得を説明するための模式図である。
【
図6】一実施形態による透過像が取得される部品の例を示す模式図である。
【
図7】一実施形態による複数の部品の透過像の取得を説明するための模式図である。
【
図8】従来例による部品の透過像の取得を説明するための模式図である。
【
図9】一実施形態による部品ライブラリデータを説明するための図である。
【
図10】一実施形態による部品撮像に関する制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1~
図9を参照して、本発明の本実施形態による部品実装装置100の構成について説明する。
【0020】
(部品実装装置の構成)
部品実装装置100は、
図1および
図2に示すように、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの部品Eを、プリント基板などの基板Pに実装する装置である。
【0021】
部品実装装置100は、基台1と、基板搬送部2と、ヘッドユニット3と、ヘッド水平移動機構部4と、部品撮像部5と、基板撮像部6と、制御部7(
図2参照)と、記憶部8(
図2参照)とを備えている。
【0022】
基台1は、部品実装装置100において各構成要素を配置する基礎となる台である。基台1上には、基板搬送部2、後述するレール部42および部品撮像部5が設けられている。また、基台1内には、制御部7が設けられている。また、基台1には、Y方向の両側(Y1方向側およびY2方向側)に、複数のフィーダ9が配置されている。フィーダ9は、部品Eを保持する部品供給テープにより部品Eをヘッドユニット3の後述するヘッド部31に供給するテープフィーダである。
【0023】
基板搬送部2は、実装前の基板Pを搬入し、基板搬送方向(X方向)に搬送し、実装後の基板Pを搬出するように構成されている。また、基板搬送部2は、搬入された基板Pを実装停止位置Paまで搬送するとともに、実装停止位置Paにおいてクランプ機構などの基板固定機構(図示せず)により固定するように構成されている。また、基板搬送部2は、一対の搬送ベルト21を含んでいる。基板搬送部2は、一対の搬送ベルト21により、基板Pの幅方向(Y方向)の両端をそれぞれ下側(Z2方向側)から支持した状態で、基板搬送方向に基板Pを搬送するように構成されている。
【0024】
ヘッドユニット3は、部品実装用のヘッドユニットである。ヘッドユニット3は、実装停止位置Paにおいて固定された基板Pに部品Eを実装するように構成されている。具体的には、
図3に示すように、ヘッドユニット3は、複数のヘッド部31が直線状に並んで配置されるインラインヘッド(
図3a参照)、または、複数のヘッド部31が円周状に並んで配置されるロータリーヘッド(
図3b参照)により構成されている。ヘッド部31は、部品Eを吸着して基板Pに実装するように構成されている。ヘッド部31の先端には、部品Eを吸着するためのノズル31a(
図4a、
図5aなど参照)が取り外し可能に装着されている。具体的には、ノズル31aは、チャック部31bを介してヘッド部31の先端に装着されている。チャック部31bは、ヘッド部31の先端にノズル31aを取り外し可能に固定するように構成されている。また、ヘッド部31は、負圧供給部(図示せず)から供給された負圧により、ノズル31aに部品Eを吸着するように構成されている。
【0025】
また、
図1に示すように、部品実装装置100には、ノズル保管部10が設けられている。ノズル保管部10は、ヘッド部31の先端に装着されるノズル31aを保管するように構成されている。ノズル保管部10には、部品Eの種類に応じた複数のノズル31aが保管されている。これにより、部品Eの種類に応じて、ヘッド部31の先端に装着されるノズル31aを交換可能である。本実施形態では、ノズル保管部10には、後述する光吸収部31c(
図4a参照)が設けられた反射認識用のノズル31aと、後述する鏡面反射部31d(
図5a参照)が設けられた透過認識用のノズル31aとが少なくとも保管されている。ヘッド部31は、制御部7の制御の下、ノズル保管部10に保管されたノズル31aを自動で装着可能である。
【0026】
図1および
図2に示すように、ヘッドユニット3は、ヘッド部31のノズル31aを上下方向(Z方向)に移動させるZ軸モータ32(
図2参照)と、ヘッド部31のノズル31aを上下方向に延びる回転軸線回りに回転させるR軸モータ33(
図2参照)とを含んでいる。ヘッド部31は、Z軸モータ32により、所定の下降位置と、所定の上昇位置との間で、上下方向に移動可能に構成されている。また、ヘッド部31は、部品Eを保持した状態でR軸モータ33により回転されることにより、吸着している部品Eの向きを調整可能に構成されている。
【0027】
ヘッド水平移動機構部4は、ヘッドユニット3を水平方向(X方向およびY方向)に移動させるように構成されている。ヘッド水平移動機構部4は、ヘッドユニット3を基板搬送方向(X方向)に移動可能に支持する支持部41と、支持部41を基板搬送方向と水平面内で略直交する方向(Y方向)に移動可能に支持するレール部42とを含んでいる。支持部41は、基板搬送方向に延びるボールねじ軸41aと、ボールねじ軸41aを回転させるX軸モータ41bとを有している。ヘッドユニット3には、支持部41のボールねじ軸41aと係合するボールナット(図示せず)が設けられている。ヘッドユニット3は、X軸モータ41bによりボールねじ軸41aが回転されることにより、ボールねじ軸41aと係合するボールナットとともに、支持部41に沿って基板搬送方向に移動可能に構成されている。
【0028】
レール部42は、支持部41のX方向の両端部をY方向に移動可能に支持する一対のガイドレール42aと、Y方向に延びるボールねじ軸42bと、ボールねじ軸42bを回転させるY軸モータ42cとを有している。支持部41には、レール部42のボールねじ軸42bと係合するボールナット(図示せず)が設けられている。支持部41は、Y軸モータ42cによりボールねじ軸42bが回転されることにより、ボールねじ軸42bと係合するボールナットとともに、レール部42の一対のガイドレール42aに沿ってY方向に移動可能に構成されている。
【0029】
ヘッド水平移動機構部4の支持部41およびレール部42により、ヘッドユニット3は、基台1上を水平方向に移動可能に構成されている。これにより、ヘッドユニット3のヘッド部31は、フィーダ9の上方に移動して、フィーダ9から供給される部品Eをノズル31aに吸着可能である。また、ヘッドユニット3のヘッド部31は、実装停止位置Paにおいて固定された基板Pの上方に移動して、ノズル31aに吸着された部品Eを基板Pに実装可能である。
【0030】
部品撮像部5は、部品認識用のカメラである。部品撮像部5は、ヘッドユニット3のヘッド部31による部品Eの基板Pへの搬送中に、ヘッド部31のノズル31aに吸着された部品Eを撮像する。部品撮像部5は、基台1の上面上に固定されており、部品Eの下方(Z2方向側)から、ヘッド部31のノズル31aに吸着された部品Eを撮像する。部品撮像部5による部品Eの撮像画像に基づいて、制御部7は、部品Eの状態(回転姿勢およびヘッド部31に対する位置)を取得(認識)する。なお、部品撮像部5の詳細については、後述する。
【0031】
基板撮像部6は、基板認識用のカメラである。基板撮像部6は、ヘッドユニット3のヘッド部31による基板Pへの部品Eの実装開始前に、実装停止位置Paにおいて固定された基板Pにおいて、基板Pの上面に付された位置認識マークF(フィデューシャルマーク)を撮像する。位置認識マークFは、基板Pの位置を認識するためのマークである。基板撮像部6による位置認識マークFの撮像結果に基づいて、制御部7は、実装停止位置Paにおいて固定された基板Pの正確な位置および姿勢を取得(認識)する。
【0032】
図2に示すように、制御部7は、部品実装装置100の動作を制御する制御回路である。制御部7は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、および、RAM(Random Access Memory)を含んでいる。制御部7は、基板搬送部2、フィーダ9、X軸モータ41bおよびY軸モータ42cなどを生産プログラムに従って制御することにより、ヘッドユニット3により基板Pに部品Eを実装させる制御を行うように構成されている。記憶部8は、ハードディスクドライブなどの不揮発性の記憶媒体であり、情報を記憶可能に構成されている。記憶部8には、部品ライブラリデータ8aが記憶されている。部品ライブラリデータ8aには、部品Eのサイズなどの部品Eの実装に関する情報が含まれている。なお、部品ライブラリデータ8aは、特許請求の範囲の「設定情報」の一例である。また、部品ライブラリデータ8aの詳細については、後述する。
【0033】
(部品撮像部の構成)
図4および
図5に示すように、部品撮像部5は、照明部51と、カメラ52とを含んでいる。照明部51は、部品Eを撮像する際に、照明光の照射を行うように構成されている。具体的には、照明部51は、リング照明部51aと、同軸照明部51bとを有している。リング照明部51aと、同軸照明部51bとは、複数のLED(Light Emitting Diode)を二次元的に配列した構成を有している。なお、カメラ52は、特許請求の範囲の「撮像部」の一例である。また、リング照明部51aは、特許請求の範囲の「同軸照明部以外の照明部」の一例である。
【0034】
リング照明部51aは、ノズル31aに吸着された部品Eの斜め下方から照明光を照射するように構成されている。同軸照明部51bは、リング照明部51aよりも下方(Z2方向側)に配置されており、ハーフミラー53を介して、ノズル31aに吸着された部品Eの下方から、カメラ52の光軸と同軸の(カメラ52の光軸に平行な)照明光を照射するように構成されている。
【0035】
カメラ52は、ハーフミラー53を通過した照明光が入射されることにより、ノズル31aに吸着された部品Eを下方から撮像するように構成されている。具体的には、カメラ52は、CMOS(Complementary MOS)イメージセンサ、および、CCD(Charge―Coupled Device)イメージセンサなどの撮像素子と、カメラ52に入射した照明光を撮像素子に結像させるレンズとを有している。
【0036】
ここで、カメラ52を用いて取得される部品Eの撮像画像には、反射像RI(
図4b参照)、および、透過像TI(
図5b参照)がある。反射像RIは、部品Eが明るく(白く)映るとともに、背景が暗く(黒く)映る部品Eの撮像画像である。たとえば電極部E1が照明光を良好に反射する部品E(電極部E1に凹凸がない部品Eなど)については、部品Eの反射像RIが取得されて、部品Eの反射像RIから部品Eを認識する画像処理として反射認識が行われる。また、透過像TIは、部品Eが暗く(黒く)映るとともに、背景が明るく(白く)映る部品Eの撮像画像である。たとえば電極部E1が照明光をあまり反射しない部品E(電極部E1に凹凸がある部品Eなど)については、部品Eの透過像TIが取得されて、部品Eの透過像TIから部品Eを認識する画像処理として透過認識が行われる。
【0037】
(部品の反射像の取得)
図4に示すように、部品Eの反射像RIを取得する場合には、光吸収部31cが設けられた反射認識用のノズル31aが用いられる。光吸収部31cは、ノズル31aに、部品Eの後方(Z1方向側)に位置するように設けられている。光吸収部31cは、照明光を吸収するように構成されている。具体的には、光吸収部31cは、黒色を有している。光吸収部31cは、黒色処理された金属板、または、黒色の樹脂板(アクリル板など)により構成されている。なお、ヘッドユニット3の背景となり得る部分も、黒色処理されている。
【0038】
部品Eの反射像RIを取得する場合には、リング照明部51aがノズル31aに吸着された部品Eの斜め下方から照明光を照射するとともに、同軸照明部51bがノズル31aに吸着された部品Eの下方から照明光を照射する。制御部7は、リング照明部51aおよび同軸照明部51bの両方から照射された照明光を、光吸収部31cにより吸収させるとともに、部品Eにより下方に反射させて、カメラ52に入射させることにより、部品Eの反射像RIを取得するように構成されている。取得される部品Eの反射像RIでは、光吸収部31cにより照明光が吸収されるため、背景が暗く映るとともに、部品Eの電極部E1により照明光が良好に反射されるため、部品E(特に、電極部E1)が明るく映ることになる。
【0039】
(部品の透過像の取得)
ここで、本実施形態では、
図5に示すように、部品Eの透過像TIを取得する場合には、鏡面反射部31dが設けられた透過認識用のノズル31aが用いられる。鏡面反射部31dは、ノズル31aに、部品Eの後方(Z1方向側)に位置するように設けられている。鏡面反射部31dは、照明光を正反射するように構成されている。具体的には、鏡面反射部31dは、鏡面を有している。鏡面反射部31dは、鏡面加工された金属板、または、鏡面が形成された透明な樹脂板(
図5では、樹脂板)により構成されている。
図5では、鏡面反射部31dは、透明な樹脂本体部31daと、樹脂本体部31daの表面に蒸着により形成された鏡面部31dbとを有している。
【0040】
部品Eの透過像TIを取得する場合には、同軸照明部51bがノズル31aに吸着された部品Eの下方、および、鏡面反射部31dの下方から照明光を照射する。制御部7は、同軸照明部51bから照射された照明光を鏡面反射部31dにより下方に反射させて、カメラ52に入射させることにより、部品Eの透過像TIを取得するように構成されている。取得される部品Eの透過像TIでは、鏡面反射部31dにより照明光が正反射されるため、背景が明るく映るとともに、部品Eの光の反射率が鏡面反射部31dの光の反射率よりも低いため、部品Eが暗く映ることになる。なお、部品Eの電極部E1は、透過像TIにおいて多少明るく映るが、透過像TIにおける部品Eの電極部E1の明るさは、画像処理として透過認識を行うことには問題ない程度の明るさに抑えられている。
【0041】
また、本実施形態では、同軸照明部51bは、部品Eの透過像TIを取得する際、および、部品Eの反射像RIを取得する際の両方に用いられる。すなわち、同軸照明部51bは、部品Eの透過像TI、および、部品Eの反射像RIのための共通の照明部として設けられている。
【0042】
また、本実施形態では、制御部7は、ノズル31aに吸着された部品Eをカメラ52の視野中心に位置させて、同軸照明部51bから照射された照明光を鏡面反射部31dにより下方に反射させて、カメラ52に入射させることにより、部品Eの中心が画像中心に写る部品Eの透過像TIを取得するように構成されている。たとえば、ヘッドユニット3が、ノズル31a間のピッチが比較的大きいインラインヘッドである場合、ノズル31aに吸着された部品Eを1つずつ撮像しやすいため、部品Eの中心が画像中心に写る部品Eの透過像TIが取得される。なお、ヘッドユニット3が、ロータリーヘッドである場合にも、部品Eの中心が画像中心に写る部品Eの透過像TIが取得されてもよい。
【0043】
図6に、透過像TIが取得される部品Eの例を示す。
図6aには、透過像TIが取得される部品Eの一例として、電磁波ノイズから電子部品を保護するシールドケースを示す。シールドケースは、光を反射しにくい色の表面(光りにくい表面)を有している場合がある。この場合、部品E(シールドケース)を明るく映すことが困難であるため、部品Eを暗く映す透過像TIが取得され、透過認識が行われる。また、
図6bには、透過像TIが取得される部品Eの一例として、導線が巻き回されたコイル部品を示す。コイル部品は、リードL上に、はんだSが配置されている場合がある。この場合、はんだSを含めたリードLの形状が起伏に富むため(凸凹になるため)、リードLにおいて光が良好に反射されない。この場合、部品E(コイル部品)を明るく映すことが困難であるため、部品Eを暗く映す透過像TIが取得され、透過認識が行われる。なお、透過像TIが取得される部品Eは、シールドケースおよびコイル部品には限定されない。
【0044】
また、本実施形態では、
図7に示すように、制御部7は、ノズル31aに吸着された部品Eをカメラ52の視野中心から外れた位置に位置させて、同軸照明部51bから照射された照明光を鏡面反射部31dにより下方に反射させて、カメラ52に入射させることにより、部品Eの中心が画像中心から外れた位置に写る部品Eの透過像TIを取得するように構成されている。具体的には、制御部7は、複数のノズル31aの各々に吸着された部品Eをカメラ52の視野中心から外れた位置に位置させて、同軸照明部51bから照射された照明光を複数のノズル31aの各々の鏡面反射部31dにより下方に反射させて、カメラ52に入射させることにより、複数のノズル31aの各々に吸着された部品Eが写る1枚の透過像TIを取得するように構成されている。
【0045】
たとえば、ヘッドユニット3が、ノズル31a間のピッチが比較的小さいロータリーヘッドである場合、ノズル31aに吸着された部品Eを1つずつ撮像しにくいため、複数のノズル31aの各々に吸着された部品Eが写る1枚の透過像TIが取得される。ヘッドユニット3がロータリーヘッドである場合、制御部7は、円周状に並んで配置される複数のノズル31aの円の中心を、カメラ52の視野中心に位置させて、同軸照明部51bから照射された照明光を鏡面反射部31dにより下方に反射させて、カメラ52に入射させることにより、複数のノズル31aの各々に吸着された部品Eが写る1枚の透過像TIを取得する。なお、ヘッドユニット3が、インラインヘッドである場合にも、複数のノズル31aの各々に吸着された部品Eが写る1枚の透過像TIが取得されてもよい。
【0046】
ここで、本実施形態とは異なり、
図8に示すように、部品Eの透過像TIを取得するための専用の照明部151cを設ける従来例は、ノズル31aに吸着された部品Eをカメラ52の視野中心に位置させた状態で、ノズル31aに吸着された部品Eに照明光が当たらずに、照明光を拡散して反射する反射板131dのみに照明光が当たることにより、適切な部品Eの透過像TIを取得するように構成されている。この場合、ノズル31aに吸着された部品Eをカメラ52の視野中心から外れた位置に位置させた状態で、照明部151cによる照明光の照射を行うと、ノズル31aに吸着された部品Eに照明光が当たってしまい、適切な部品Eの透過像TIを取得することが困難である。これに対して、同軸照明部51bから照明光を照射する本実施形態の構成では、ノズル31aに吸着された部品Eをカメラ52の視野中心に位置させた状態(
図5に示す状態)、および、ノズル31aに吸着された部品Eをカメラ52の視野中心から外れた位置に位置させた状態(
図7に示す状態)のいずれの状態でも、同軸照明部51bによる照明光が部品Eおよび鏡面反射部31dに当たることになり、部品Eおよび鏡面反射部31dへの照明光の当たり方は略同一となる。このため、ノズル31aに吸着された部品Eをカメラ52の視野中心に位置させた状態、および、ノズル31aに吸着された部品Eをカメラ52の視野中心から外れた位置に位置させた状態のいずれの状態でも、適切な部品Eの透過像TIを取得可能である。
【0047】
(部品ライブラリデータ)
また、本実施形態では、
図9に示すように、部品ライブラリデータ8aは、部品Eのサイズを表すサイズ情報と、同軸照明部51bおよび同軸照明部51b以外のリング照明部51aを含む照明部51の点灯状態を表す点灯照明情報と、部品Eの透過像TIから部品Eを認識する透過認識または部品Eの反射像RIから部品Eを認識する反射認識のいずれを実行するかを表す認識方式情報と、1つの部品Eの撮像(シングル撮像)または複数の部品Eの一括撮像(マルチ撮像)のいずれを実行するかを表す画像撮像方法情報とを含んでいる。なお、サイズ情報と、点灯照明情報と、認識方式情報と、画像撮像方法情報とは、部品Eごとに設定されている。
【0048】
制御部7は、記憶部8に記憶された部品ライブラリデータ8aに基づいて、部品Eの透過像TIの取得および認識、または、部品Eの反射像RIの取得および認識を行うように構成されている。すなわち、制御部7は、部品ライブラリデータ8aに設定された点灯状態で照明部51により照明光を照射するとともに、部品ライブラリデータ8aに設定された画像撮像方法により部品Eを撮像し、部品ライブラリデータ8aに設定された画像処理により部品Eを認識するように構成されている。
【0049】
たとえば、透過像TIが取得される部品Eについては、点灯照明情報として、同軸照明部51bを点灯させることが部品ライブラリデータ8aに設定されているとともに、認識方式情報として、透過認識を実行することが部品ライブラリデータ8aに設定されている。このため、透過像TIが取得される部品Eについては、制御部7は、部品ライブラリデータ8aに設定された同軸照明部51bにより照明光を照射して透過像TIを取得するとともに、取得した透過像TIから、部品ライブラリデータ8aに設定された透過認識により部品Eを認識するように構成されている。
【0050】
同様に、反射像RIが取得される部品Eについては、点灯照明情報として、リング照明部51aおよび同軸照明部51bを点灯させることが部品ライブラリデータ8aに設定されているとともに、認識方式情報として、反射認識を実行することが部品ライブラリデータ8aに設定されている。このため、反射像RIが取得される部品Eについては、制御部7は、部品ライブラリデータ8aに設定されたリング照明部51aおよび同軸照明部51bの両方により照明光を照射して反射像RIを取得するとともに、取得した反射像RIから、部品ライブラリデータ8aに設定された反射認識により部品Eを認識するように構成されている。
【0051】
また、画像撮像方法として、1つの部品Eの撮像を行うことが部品ライブラリデータ8aに設定されている場合、制御部7は、
図5に示すような1つの部品Eの撮像を行うように、カメラ52およびヘッドユニット3(ノズル31a)の動作を制御するように構成されている。また、画像撮像方法として、複数の部品Eの一括撮像を行うことが部品ライブラリデータ8aに設定されている場合、制御部7は、
図7に示すような複数の部品Eの撮像を一括で行うように、カメラ52およびヘッドユニット3(ノズル31a)の動作を制御するように構成されている。なお、詳細な説明は省略するが、部品Eの反射像RIを取得する場合にも、部品Eの透過像TIを取得する場合と同様に、
図7に示すような複数の部品Eの撮像を一括で行う場合がある。
【0052】
(部品撮像に関する制御処理)
図10を参照して、本実施形態の部品実装装置100による部品撮像に関する制御処理をフローチャートに基づいて説明する。なお、フローチャートの各処理は、制御部7により行われる。
【0053】
図10に示すように、まず、ステップS1において、部品ライブラリデータ8aに設定された点灯照明情報がチェックされる。
【0054】
そして、ステップS2において、部品ライブラリデータ8aに設定された認識方式情報がチェックされる。
【0055】
そして、ステップS3において、認識方式が透過認識であるか否かが判断される。認識方式が透過認識であると判断された場合、ステップS4に進む。
【0056】
そして、ステップS4において、鏡面反射部31dが設けられた透過認識用のノズル31aが、ノズル保管部10から取得されて、ヘッド部31に自動で装着される。そして、ステップS6に進む。
【0057】
また、ステップS3において、認識方式が透過認識ではないと判断された場合、ステップS5に進む。
【0058】
そして、ステップS5において、光吸収部31cが設けられた反射認識用のノズル31aが、ノズル保管部10から取得されて、ヘッド部31に自動で装着される。そして、ステップS6に進む。
【0059】
そして、ステップS6において、ヘッド部31に装着されたノズル31aに、フィーダ9から供給される部品Eが吸着される。
【0060】
そして、ステップS7において、部品ライブラリデータ8aに設定された画像撮像方法情報がチェックされる。
【0061】
そして、ステップS8において、画像撮像方法が複数の部品Eの一括撮像であるか否かが判断される。画像撮像方法が複数の部品Eの一括撮像であると判断された場合、ステップS9に進む。
【0062】
そして、ステップS9において、点灯照明情報により設定された点灯状態で照明部51を点灯させて照明光を照射させるとともに、複数の部品Eの一括撮像が行われる。そして、ステップS11に進む。
【0063】
また、ステップS8において、画像撮像方法が複数の部品Eの一括撮像ではないと判断された場合、ステップS10に進む。
【0064】
そして、ステップS10において、点灯照明情報により設定された点灯状態で照明部51を点灯させて照明光を照射させるとともに、1つの部品Eの撮像が行われる。そして、ステップS11に進む。
【0065】
そして、ステップS11において、認識方式情報により設定された認識方式で撮像画像からの部品Eの認識が行われる。認識方式が反射認識である場合には、反射認識により反射像RIからの部品Eの認識が行われる。また、認識方式が透過認識である場合には、透過認識により透過像TIからの部品Eの認識が行われる。
【0066】
そして、ステップS12において、認識された部品Eの状態に基づいて位置補正が行われるとともに、ノズル31aに吸着された部品Eが基板Pに実装される。そして、制御処理が終了される。
【0067】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0068】
本実施形態では、上記のように、同軸照明部51bから照射された照明光を鏡面反射部31dにより下方に反射させて、カメラ52に入射させることにより、部品Eの透過像TIを取得する制御部7を設ける。これにより、通常設けられる既存の同軸照明部51bを有効に利用して、部品Eの透過像TIを取得することができるので、部品Eの透過像TIを取得するための専用の照明部を設ける必要がない。その結果、照明の構成を簡素化しながら、部品Eの透過像TIを取得することができる。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、同軸照明部51bは、部品Eの透過像TIを取得する際、および、部品Eの反射像RIを取得する際の両方に用いられる。これにより、同軸照明部51bを部品Eの透過像TIを取得する際、および、部品Eの反射像RIを取得する際の両方に共通に利用して、部品Eの透過像TIを取得することができるので、部品Eの透過像TIを取得するための照明部と部品Eの反射像RIを取得するための照明部とを独立して設ける場合に比べて、照明の構成を簡素化することができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記のように、同軸照明部51bおよび同軸照明部51b以外の照明部を含む照明部51の点灯状態を表す点灯照明情報と、部品Eの透過像TIから部品Eを認識する透過認識または部品Eの反射像RIから部品Eを認識する反射認識のいずれを実行するかを表す認識方式情報と、を含む部品ライブラリデータ8aを記憶する記憶部8をさらに備え、制御部7は、記憶部8に記憶された部品ライブラリデータ8aに基づいて、部品Eの透過像TIの取得および認識、または、部品Eの反射像RIの取得および認識を行うように構成されている。これにより、部品ライブラリデータ8aに基づいて照明部の点灯状態および画像の認識方式を適切に切り替えることができるので、部品Eの透過像TIの取得および認識および部品Eの反射像RIの取得および認識を適切に行うことができる。
【0071】
また、本実施形態では、上記のように、同軸照明部51b以外の照明部は、ノズル31aに吸着された部品Eの斜め下方から照明光を照射するリング照明部51aである。これにより、同軸照明部51bおよびリング照明部51aの点灯を点灯照明情報により適切に制御することができる。
【0072】
また、本実施形態では、上記のように、鏡面反射部31dは、鏡面加工された金属板、または、鏡面が形成された透明な樹脂板により構成されている。これにより、簡素な構造で鏡面反射部31dを実現することができる。また、鏡面反射部31dが、鏡面加工された金属板により構成されている場合、強度の高い鏡面反射部31dを実現することができる。また、鏡面反射部31dが、鏡面が形成された透明な樹脂板により構成されている場合、軽量な鏡面反射部31dを実現することができる。
【0073】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、ノズル31aに吸着された部品Eをカメラ52の視野中心から外れた位置に位置させて、同軸照明部51bから照射された照明光を鏡面反射部31dにより下方に反射させて、カメラ52に入射させることにより、部品Eの中心が画像中心から外れた位置に写る部品Eの透過像TIを取得するように構成されている。ここで、専用の照明部151cを設けてノズル31aに吸着された部品Eの斜め下方から照明光を照射する従来の構成では、ノズル31aに吸着された部品Eをカメラ52の視野中心に位置させた状態で、ノズル31aに吸着された部品Eに照明光が当たらずに、反射板131dのみに照明光が当たることにより、適切な部品Eの透過像TIを取得可能なようになっている。この場合、ノズル31aに吸着された部品Eをカメラ52の視野中心から外れた位置に位置させた状態で、照明部151cによる照明光の照射を行うと、ノズル31aに吸着された部品Eに照明光が当たってしまい、適切な部品Eの透過像TIを取得することが困難である。これに対して、同軸照明部51bから照明光を照射する本願の構成では、ノズル31aに吸着された部品Eをカメラ52の視野中心に位置させた状態、および、ノズル31aに吸着された部品Eをカメラ52の視野中心から外れた位置に位置させた状態のいずれの状態でも、部品Eおよび鏡面反射部31dへの照明光の当たり方は略同一となる。このため、ノズル31aに吸着された部品Eをカメラ52の視野中心に位置させた状態、および、ノズル31aに吸着された部品Eをカメラ52の視野中心から外れた位置に位置させた状態のいずれの状態でも、適切な部品Eの透過像TIを取得可能である。そこで、上記のように構成することにより、ノズル31aに吸着された部品Eをカメラ52の視野中心から外れた位置に位置させた状態であっても、適切な部品Eの透過像TIを取得可能であることを有効に利用して、部品Eの透過像TIを取得する際の撮像の自由度を向上させながら、部品Eの透過像TIを取得することができる。
【0074】
また、本実施形態では、上記のように、ノズル31aは、複数設けられており、制御部7は、複数のノズル31aの各々に吸着された部品Eをカメラ52の視野中心から外れた位置に位置させて、同軸照明部51bから照射された照明光を複数のノズル31aの各々の鏡面反射部31dにより下方に反射させて、カメラ52に入射させることにより、複数のノズル31aの各々に吸着された部品Eが写る1枚の透過像TIを取得するように構成されている。これにより、ノズル31aに吸着された部品Eがカメラ52の視野中心から外れた位置に位置した状態であっても、適切な部品Eの透過像TIを取得可能であることを有効に利用して、複数の部品Eの透過像TIを1枚の画像で取得することができる。その結果、部品Eごとに透過像TIを1枚ずつ取得する場合に比べて、複数の部品Eの透過像TIを効率的に取得することができる。
【0075】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、ノズル31aに吸着された部品Eをカメラ52の視野中心に位置させて、同軸照明部51bから照射された照明光を鏡面反射部31dにより下方に反射させて、カメラ52に入射させることにより、部品Eの中心が画像中心に写る部品Eの透過像TIを取得するように構成されている。これにより、カメラ52により撮像する部品Eが1つである場合には、ノズル31aに吸着された部品Eを撮像しやすい位置(カメラ52の視野中心の位置)に位置させた状態で、部品Eの透過像TIを取得することができる。
【0076】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0077】
たとえば、上記実施形態では、本発明の設定情報が部品ライブラリデータである例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、本発明の設定情報が部品ライブラリデータ以外の情報(部品ライブラリデータとは独立した情報)であってもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、同軸照明部以外の照明部がリング照明部である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、同軸照明部以外の照明部がリング照明部以外の照明部であってもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、ノズルに吸着された部品を撮像部の視野中心から外れた位置に位置させて、部品の中心が画像中心から外れた位置に写る部品の透過像を取得することと、ノズルに吸着された部品を撮像部の視野中心に位置させて、部品の中心が画像中心に写る部品の透過像を取得することとの両方を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ノズルに吸着された部品を撮像部の視野中心から外れた位置に位置させて、部品の中心が画像中心から外れた位置に写る部品の透過像を取得することと、ノズルに吸着された部品を撮像部の視野中心に位置させて、部品の中心が画像中心に写る部品の透過像を取得することとのいずれか一方のみを行ってもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、複数のノズルの各々に吸着された部品を撮像部の視野中心から外れた位置に位置させて、複数のノズルの各々に吸着された部品が写る1枚の透過像を取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、1つのノズルに吸着された1つの部品を撮像部の視野中心から外れた位置に位置させて、1つの部品の中心が画像中心から外れた位置に写る1つの部品の透過像を取得してもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0082】
7 制御部
8 記憶部
8a 部品ライブラリデータ(設定情報)
31a ノズル
31d 鏡面反射部
51 照明部
51a リング照明部(同軸照明部以外の照明部)
51b 同軸照明部
52 カメラ(撮像部)
100 部品実装装置
E 部品
P 基板
RI 部品の反射像
TI 部品の透過像