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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034286
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240306BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240306BHJP
   B65H 3/44 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G03G21/00 370
G03G15/00 303
B65H3/44 340A
G03G15/00 403
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138423
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】矢田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】高野 聡
【テーマコード(参考)】
2H072
2H270
3F343
【Fターム(参考)】
2H072AB04
2H072AB06
2H072BA03
2H072BA12
2H270KA04
2H270KA13
2H270KA28
2H270LA32
2H270LA37
2H270LC11
2H270LC12
2H270LD03
2H270MC56
2H270MD10
2H270MD12
2H270MF01
2H270MF08
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC06
2H270ZD02
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC27
3F343GA03
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA37
3F343HB03
3F343LC19
3F343MB02
3F343MB10
3F343MB13
3F343MC08
3F343MC09
3F343MC21
3F343MC22
3F343MC23
(57)【要約】
【課題】給紙距離が異なる複数の媒体収容部から媒体を給紙する場合に、紙間を安定させることができるようにする。
【解決手段】装置本体と、画像形成部と、媒体を給紙する給紙部材を備えた複数の媒体収容部と、給紙部材をそれぞれ独立して作動させる複数の駆動部と、媒体収容部から給紙された各媒体を搬送する給紙制御部とを有する。給紙制御部は、各媒体収容部から各媒体を給紙する際に、先行する媒体を第1の搬送速度で搬送し、後続する媒体を第1の搬送速度より高い第2の搬送速度で搬送する。後続する媒体の給紙時刻を早くすることができなくても、同じ媒体収容部から給紙された媒体に対して連続して印刷を行う場合と同等の印刷速度性能で印刷を行うことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)装置本体と、
(b)媒体に画像を形成する画像形成部と、
(c)前記装置本体に配設され、前記媒体を給紙する給紙部材を備えた複数の媒体収容部と、
(d)該各媒体収容部の前記給紙部材をそれぞれ独立して作動させる複数の駆動部と、
(e)該各駆動部を駆動し、前記各媒体収容部から給紙された各媒体を搬送する給紙制御部とを有するとともに、
(f)該給紙制御部は、前記各媒体収容部から各媒体を給紙する際に、各媒体のうちの先行する媒体を第1の搬送速度で搬送し、前記先行する媒体に後続する媒体を前記第1の搬送速度より高い第2の搬送速度で搬送することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
(a)前記各媒体収容部から給紙された各媒体を搬送するための給紙搬送路の前端に給紙搬送端部位置が設定され、
(b)前記先行する媒体が給紙される媒体収容部は、前記後続する媒体が給紙される媒体収容部より、前記給紙搬送端部位置までの給紙距離が長くされる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
先行する媒体の搬送速度が第2の搬送速度から第1の搬送速度に切り替えられると、後続する媒体の搬送速度が、同じタイミングで第2の搬送速度から第1の搬送速度に切り替えられる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記各媒体の搬送速度は、前記給紙搬送路の所定の位置に設定された速度切替位置で切り替えられる請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
(a)前記給紙搬送路の前端に給紙搬送端部位置が設定され、
(b)前記速度切替位置は、前記給紙搬送路における給紙搬送端部位置より上流側に設定される請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の搬送速度は印刷速度である請求項1~5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置、例えば、プリンタにおいては、複数の媒体収容部としてのトレイに収容された媒体としての用紙が、各給紙ローラによって給紙搬送路に給紙された後、用紙搬送路に供給され、画像形成部において用紙に画像が形成されて、印刷が行われるようになっている。
【0003】
前記プリンタにおいて、それぞれ異なるトレイから給紙された用紙に対して連続して印刷を行う場合、各トレイの給紙ローラの位置から用紙搬送路までの距離である給紙距離がそれぞれ異なるので、各トレイから給紙された用紙が画像形成部に到達する時刻にばらつきが生じることがある。そこで、先行する用紙を給紙する給紙ローラの情報、及び後続する用紙を給紙する給紙ローラの情報があらかじめ分かっている場合に、同じトレイから給紙された用紙に対して連続して印刷を行う場合と同等の印刷速度性能で印刷を行うことができるように、先行する用紙を給紙する給紙時刻をフィードバックして、後続する用紙の給紙を制御することが考えられる。
【0004】
すなわち、例えば、先行する用紙が給紙距離の短いトレイから給紙され、後続する用紙が給紙距離の長いトレイから給紙された場合、後続の用紙の給紙時刻が早くされる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-36408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいては、例えば、上位装置としてのホストコンピュータから印刷データを受信した直後に給紙する場合、給紙時刻を早くすることができないので、紙間を安定させることができず、同じトレイから給紙された用紙に対して連続して印刷を行う場合と同等の印刷速度性能で印刷を行うことができない。
【0007】
本発明は、前記従来のプリンタの問題点を解決して、給紙距離が異なる複数の媒体収容部から媒体を給紙する場合に、紙間を安定させることができ、同じ媒体収容部から給紙された媒体に対して連続して印刷を行う場合と同等の印刷速度性能で印刷を行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の画像形成装置においては、装置本体と、媒体に画像を形成する画像形成部と、前記装置本体に配設され、前記媒体を給紙する給紙部材を備えた複数の媒体収容部と、該各媒体収容部の前記給紙部材をそれぞれ独立して作動させる複数の駆動部と、該各駆動部を駆動し、前記各媒体収容部から給紙された各媒体を搬送する給紙制御部とを有する。
【0009】
そして、該給紙制御部は、前記各媒体収容部から各媒体を給紙する際に、各媒体のうちの先行する媒体を第1の搬送速度で搬送し、前記先行する媒体に後続する媒体を前記第1の搬送速度より高い第2の搬送速度で搬送する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像形成装置においては、装置本体と、媒体に画像を形成する画像形成部と、前記装置本体に配設され、前記媒体を給紙する給紙部材を備えた複数の媒体収容部と、該各媒体収容部の前記給紙部材をそれぞれ独立して作動させる複数の駆動部と、該各駆動部を駆動し、前記各媒体収容部から給紙された各媒体を搬送する給紙制御部とを有する。
【0011】
そして、該給紙制御部は、前記各媒体収容部から各媒体を給紙する際に、各媒体のうちの先行する媒体を第1の搬送速度で搬送し、前記先行する媒体に後続する媒体を前記第1の搬送速度より高い第2の搬送速度で搬送する。
【0012】
この場合、給紙制御部は、各媒体収容部から各媒体を給紙する際に、各媒体のうちの先行する媒体を第1の搬送速度で搬送し、後続する媒体を第1の搬送速度より高い第2の搬送速度で搬送するので、上位装置から印刷データを受信した直後に媒体を給紙する場合において、後続する媒体の給紙時刻を早くすることができなくても、同じ媒体収容部から給紙された媒体に対して連続して印刷を行う場合と同等の印刷速度性能で印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
図2】本発明の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
図3】本発明の実施の形態における第1の駆動系を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態における第2の駆動系を示すブロック図である。
図5】本発明の実施の形態における第3の駆動系を示すブロック図である。
図6】本発明の実施の形態における第4の駆動系を示すブロック図である。
図7】本発明の実施の形態における第5の駆動系を示すブロック図である。
図8】本発明の実施の形態における用紙を第1の給紙パターンで給紙するときのページ情報の例を示す図である。
図9】本発明の実施の形態における用紙を第1の給紙パターンで給紙するときの用紙の搬送状態を説明するためのタイムチャートである。
図10】本発明の実施の形態における用紙を第2の給紙パターンで給紙するときのページ情報の例を示す図である。
図11】本発明の実施の形態における用紙を第2の給紙パターンで給紙するときの用紙の搬送状態を説明するためのタイムチャートである。
図12】本発明の実施の形態における給紙設定処理部の動作を示す第1のフローチャートである。
図13】本発明の実施の形態における給紙設定処理部の動作を示す第2のフローチャートである。
図14】本発明の実施の形態における給紙搬送端部位置及び印刷速度強制切替位置を説明するための図である。
図15】本発明の実施の形態における給紙距離及びマージンの例を示す図である。
図16】本発明の実施の形態におけるプリンタの要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0015】
図2は本発明の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【0016】
図において、10はプリンタ、Csは該プリンタ10の外装である筐体、Bdはプリンタ10の本体を構成する装置本体である。前記筐体Csは、前壁Wf、背壁Wr、頂壁Wt、底壁Wb及び図示されない側壁を備え、頂壁Wtに媒体積載部としてのスタッカskが形成される。
【0017】
また、QAは、媒体としての用紙Pn(n=1、2、…、5)に第1の画像である現像剤像としてのトナー像を形成する画像形成部である。該画像形成部QAは、それぞれ像担持体としての感光体ドラム13を備えたブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像形成ユニット(IDユニット)11Bk、11Y、11M、11C、転写装置としての転写ユニットu、前記感光体ドラム13上に潜像としての静電潜像を形成する露光装置としての後述されるLEDヘッドHd(図1)、定着装置としての定着器17等を備える。
【0018】
前記転写ユニットuは、駆動ローラr1、従動ローラr2、駆動ローラr1と従動ローラr2との間に走行自在に張設された転写ベルト14、及び該転写ベルト14を介して感光体ドラム13と対向させられた転写部材としての転写ローラ15等を備える。
【0019】
前記定着器17は、第1の定着部材としての加熱ベルトユニット19、及び第2の定着部材としてのバックアップローラ20を備える。
【0020】
そして、Trn(n=1、2、…、5)は、各種の寸法、すなわち、用紙サイズの用紙Pnを収容するための媒体収容部としてのトレイであり、各トレイTrnは、装置本体Bdに対して装脱自在に、すなわち、開閉自在に配設され、操作者によって装置本体Bdから引き出されて開かれたり、押し込まれて閉じられたりする。
【0021】
また、各トレイTrnは、いずれも、同じ外寸法を有する箱体から成り、用紙Pnを積層して載置するための載置台18、該載置台18に載置された用紙Pnを1〔枚〕ずつ繰り出し、給紙する第1の給紙部材としての給紙ローラ(ピックアップローラ)en(n=1、2、…、5)、載置台18を上方に付勢し、最も上の用紙Pnを給紙ローラenに押し付ける付勢部材としてのスプリングSp等を備える。
【0022】
各トレイTrnに隣接させて給紙搬送部EAが配設される。該給紙搬送部EAは、各トレイTrnに接続され、給紙ローラenによって給紙された用紙Pnを搬送する給紙搬送路τz、該給紙搬送路τzにおいて各トレイTrnに対応させて配設された第1の搬送部材としての搬送ローラ対gn(n=1、2、…、5)、各トレイTrnと各搬送ローラ対gnとを接続して配設され、各トレイTrnから給紙された用紙Pnを搬送ローラ対gnに給紙する給紙路τn(n=1、2、…、5)等を備える。
【0023】
そして、前記給紙搬送路τzの前端、すなわち、給紙搬送路τzに配設された搬送ローラ対gnのうちの最も下流側の搬送ローラ対g1の位置に、前記給紙搬送部EAの前端を表す給紙搬送端部位置STfが設定され、該給紙搬送端部位置STfより下流側に、前記画像形成部QA、転写ユニットu、定着器17等において用紙Pnを搬送する媒体搬送路としての用紙搬送路Rtが形成される。
【0024】
該用紙搬送路Rtにおける画像形成部QAの上流側の端部において転写ユニットuの従動ローラr2と対向させてレジストローラmaが配設される。また、画像形成部QAより下流側に第2の搬送部材としての排出ローラ対m1が配設される。
【0025】
用紙Pnに画像を形成するに当たり、各トレイTrnから給紙ローラenによって給紙された用紙Pnは、各給紙路τnを介して搬送ローラ対gnに送られ、搬送ローラ対gnによって給紙搬送路τzを搬送されて用紙搬送路Rtに送られ、レジストローラmaによって斜行が矯正されて画像形成部QAに送られる。
【0026】
該画像形成部QAの画像形成ユニット11Bk、11Y、11M、11Cにおいて、感光体ドラム13上に形成された静電潜像に現像剤としての各色のトナーが付着させられてトナー像が形成され、転写ユニットuにおいて、転写ベルト14の走行に伴って用紙Pnが搬送され、感光体ドラム13上の各色のトナー像が用紙Pnに順次転写されてカラーのトナー像が形成され、定着器17においてカラーのトナー像が用紙Pnに定着させられて、用紙Pnに第2の画像であるカラーの画像が形成される。
【0027】
続いて、用紙Pnは、排出ローラ対m1によって装置本体Bd外に排出され、スタッカskに積載される。
【0028】
次に、各トレイTrnに収容された用紙Pnが、各給紙路τnに給紙され、給紙搬送路τzを搬送される各駆動系について説明する。
【0029】
図3は本発明の実施の形態における第1の駆動系を示すブロック図、図4は本発明の実施の形態における第2の駆動系を示すブロック図、図5は本発明の実施の形態における第3の駆動系を示すブロック図、図6は本発明の実施の形態における第4の駆動系を示すブロック図、図7は本発明の実施の形態における第5の駆動系を示すブロック図である。
【0030】
図において、Men(n=1、2、…、5)は第1~第5の駆動系、maはレジストローラ、enは給紙ローラ、gnは搬送ローラ対、cn(n=1、2、…、5)は係脱装置としての給紙クラッチ、TMn(n=1、2、…、5)は駆動部としてのトレイモータである。該各トレイモータTMn及び給紙クラッチcnは各給紙ローラen及び搬送ローラ対gnを独立して作動させる(駆動する)。
【0031】
第1の駆動系Me1は、レジストローラma、給紙ローラe1、搬送ローラ対g1、給紙クラッチc1及びトレイモータTM1から成り、該トレイモータTM1が駆動されると、トレイモータTM1の回転が、レジストローラma及び搬送ローラ対g1に伝達されるとともに、給紙クラッチc1を介して給紙ローラe1に伝達される。
【0032】
第2の駆動系Me2は、給紙ローラe2、搬送ローラ対g2、給紙クラッチc2及びトレイモータTM2から成り、該トレイモータTM2が駆動されると、トレイモータTM2の回転が、搬送ローラ対g2に伝達されるとともに、給紙クラッチc2を介して給紙ローラe2に伝達される。
【0033】
第3の駆動系Me3は、給紙ローラe3、搬送ローラ対g3、給紙クラッチc3及びトレイモータTM3から成り、該トレイモータTM3が駆動されると、トレイモータTM3の回転が、搬送ローラ対g3に伝達されるとともに、給紙クラッチc3を介して給紙ローラe3に伝達される。
【0034】
第4の駆動系Me4は、給紙ローラe4、搬送ローラ対g4、給紙クラッチc4及びトレイモータTM4から成り、該トレイモータTM4が駆動されると、トレイモータTM4の回転が、搬送ローラ対g4に伝達されるとともに、給紙クラッチc4を介して給紙ローラe4に伝達される。
【0035】
第5の駆動系Me5は、給紙ローラe5、搬送ローラ対g5、給紙クラッチc5及びトレイモータTM5から成り、該トレイモータTM5が駆動されると、トレイモータTM5の回転が、搬送ローラ対g5に伝達されるとともに、給紙クラッチc5を介して給紙ローラe5に伝達される。
【0036】
なお、トレイモータTM1は、レジストローラmaを回転させることによって用紙Pn(図2)を画像形成部QAに送るので、画像の形成に影響がでないように回転速度が固定される。トレイモータTM2~TM5は、状況に応じて回転速度が変更される。
【0037】
ところで、各トレイTrn間の距離が開いている場合において、図3~7に示される第1の駆動系Me1~第5の駆動系Me5の構成にかかわらず同時刻に同じ給紙速度で給紙した場合、各用紙Pn間の距離である紙間が大きくなり、同じトレイから給紙された用紙Pnに対して連続して印刷を行う場合と同等の印刷速度性能で印刷を行うことができない。
【0038】
そこで、本実施の形態においては、各用紙Pnのうちの先行する用紙が、第1の搬送速度としての後述される印刷速度Vpで搬送され、後続する用紙が、前記印刷速度Vpより高い第2の搬送速度としての高速給紙速度Vhで搬送されるようになっている。
【0039】
次に、プリンタ10の制御装置について説明する。
【0040】
図1は本発明の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
【0041】
図において、10はプリンタ、50は該プリンタ10の全体の制御を行う制御部、53はフラッシュメモリから成る記憶部としてのフラッシュROM、54は揮発性メモリから成るRAM、56は操作パネル、HdはLEDヘッド、TM1~TM5はトレイモータ、M1は搬送モータである。
【0042】
前記制御部50は、図示されない演算装置としてのCPU、入出力ポート、タイマ等を備え、プリンタ10の全体の制御を行うとともに、フラッシュROM53に記録されたプログラム(ソフトウェア)、制御データ等に基づいて各種の処理を行う。
【0043】
前記RAM54には、上位装置としての図示されないホストコンピュータから受信した印刷データが記録されるほかに、印刷データを編集し、展開することによって生成されたビットマップデータが記録される。また、RAM54には、プログラムの実行に伴って生成される各種情報が一時的に記録される。なお、RAM54は、前記CPUが演算を行う際にワークエリアとして機能する。
【0044】
前記操作パネル56は、操作者がプリンタ10への指示を入力するためのスイッチ、キー等から成る図示されない操作部、及びプリンタ10の状態を表示するためのLED(Light Emitting Diode)、LCD(Liquid Crystal Display)等から成る図示されない表示部を備える。
【0045】
また、前記制御部50は、給紙制御部としての給紙処理部Pr1、搬送処理部Pr2、印刷処理部Pr3、給紙設定処理部Pr4等を備える。
【0046】
前記給紙処理部Pr1は、給紙制御処理としての給紙処理を行い、各用紙Pnのうちの先行する用紙を前記印刷速度Vpで搬送し、後続する用紙を印刷速度Vpより高い前記高速給紙速度Vhで搬送する。
【0047】
前記搬送処理部Pr2は、搬送処理を行い、搬送モータM1を駆動し、前記用紙搬送路Rt(図2)に沿って用紙Pnを搬送する。
【0048】
前記印刷処理部Pr3は、印刷処理を行い、前記画像形成部QAにおいて各LEDヘッドHdを駆動し、画像形成ユニット11Bk、11Y、11M、11Cの感光体ドラム13上にトナー像を形成し、転写ユニットuにおいて感光体ドラム13上のトナー像を用紙Pnに順次転写してカラーのトナー像を形成し、定着器17においてカラーのトナー像を用紙Pnに定着させ、印刷を行う。
【0049】
前記給紙設定処理部Pr4は、給紙設定処理を行い、トレイTrnから用紙Pnを給紙し、給紙搬送路τzに沿って搬送し、用紙搬送路Rtに送るための給紙設定を行う。
【0050】
また、前記給紙処理部Pr1は、給紙設定処理部Pr4によって設定された給紙設定に基づいて給紙処理を行う。
【0051】
次に、トレイTrnから用紙Pnを給紙搬送路τzに第1の給紙パターンで給紙するときの用紙Pnの搬送状態について説明する。
【0052】
図8は本発明の実施の形態における用紙を第1の給紙パターンで給紙するときのページ情報の例を示す図、図9は本発明の実施の形態における用紙を第1の給紙パターンで給紙するときの用紙の搬送状態を説明するためのタイムチャートである。なお、図9において、横軸に時間を、縦軸に、前記給紙搬送端部位置STfから各トレイTrn及び各搬送ローラ対g2~g5までの距離を採ってある。
【0053】
プリンタ10が前記ホストコンピュータから印刷データを受信すると、前記給紙設定処理部Pr4は、用紙Pnを給紙搬送路τzに第1の給紙パターンで給紙給紙するのに伴って、図8に示されるような、印刷を行うためのページ情報をページごとに作成する。
【0054】
ページ情報は、印刷を行う際の1ページ目、2ページ目、3ページ目、4ページ目、5ページ目等のページ数を識別するための情報であるページIDi(i=1、2、3、4、5)ごとのパラメータ及び制御情報から成る。
【0055】
パラメータは、各種の印刷設定情報に関する調整値であり、第1の給紙パターンにおいては、ページIDiに対応するトレイTrni(ni=1、3、5、1、4)、及び該トレイTrniに収容された用紙Pni(ni=1、3、5、1、4)の用紙長Li(i=1、2、3、4、5)である。本実施の形態において、用紙Pn1(P1)、Pn4(P1)の用紙長L1、L4は148〔mm〕であり、用紙Pn2(P3)の用紙長L2は182〔mm〕であり、用紙Pn3(P1)、Pn5(P4)の用紙長L3、L5は210〔mm〕である。
【0056】
第1の給紙パターンにおいては、トレイTr1、Tr3、Tr5、Tr1、Tr4に収容された用紙Pn1(P1)、Pn2(P3)、Pn3(P5)、Pn4(P1)、Pn5(P4)が順次給紙搬送路τzに給紙され、5〔ページ〕の連続印刷が行われる。
【0057】
また、制御情報は、印刷制御に関する調整値であり、本実施の形態においては、ページIDiごとの、印刷速度Vpi(i=1、2、3、4、5)、目標紙間δi(i=1、2、3、4、5)、データ受信時刻Rsi(i=1、2、3、4、5)、給紙速度Vi(i=1、2、3、4、5)、給紙時刻(仮)Csi’ (i’=2、3、4、5)、給紙時刻Csi(i=1、2、3、4、5)、及び高速給紙距離Dhi(i=1、2、3、4、5)から成る。
【0058】
印刷速度Vpiは、プリンタ10に設定された固定値であり、本実施の形態においては、
Vp=160〔mm/s〕
にされる。また、目標紙間δiは用紙搬送路Rtを搬送される各用紙Pni、Pn(i+1)間の)目標となる距離であり、プリンタ10に設定された固定値であって、本実施の形態においては、
δ=50〔mm〕
にされる。
【0059】
データ受信時刻Rsiは、プリンタ10がホストコンピュータから印刷データを受信した時刻であり、印刷時刻Csiを設定するために使用され、いずれも、図9に示されるタイミングt0
t0=0〔s〕
である。なお、データ受信時刻Rsiより前に給紙時刻Csiを設定し、給紙を開始することはできない。
【0060】
給紙速度Viは、用紙Pniを給紙搬送路τzに給紙する際の用紙Pniの移動速度であり、第1の給紙パターンにおいては、給紙速度V1、V4、V5が印刷速度Vpと等しくされ、給紙速度V2、V3が、印刷速度Vpより高い高速給紙速度Vh(本実施の形態においては、320〔mm/s〕)にされる。
【0061】
給紙時刻Csiは、各トレイTrniから用紙Pniが給紙搬送路τzに給紙される時刻であり、第1の給紙パターンにおいて、給紙時刻Cs1、Cs2、Cs3はタイミングt0
t0=0〔s〕
にされ、給紙時刻Cs4はタイミングt2
t2=4.313〔s〕
にされ、給紙時刻Cs5はタイミングt1
t1=3.084〔s〕
にされる。
【0062】
なお、給紙時刻(仮)Csi’は、仮に、給紙速度Viを印刷速度Vpと等しくして用紙Pniを給紙した場合に算出される仮の給紙時刻であり、第1の給紙パターンにおいて、給紙時刻(仮)Cs2’、Cs3’、Cs4’、Cs5’は、それぞれ、-0.367〔s〕、-0.642〔s〕、4.313〔s〕、3.084〔s〕にされる。
【0063】
また、高速給紙距離Dhiは、給紙速度Viを高速給紙速度Vhにして用紙Pniを給紙するときに必要になる給紙距離であり、第1の給紙パターンにおいて、給紙速度Viを高速給紙速度Vhにすることなく給紙する際の高速給紙距離Dh1、Dh4、Dh5は0〔mm〕にされ、給紙速度Viを高速給紙速度Vhにして給紙する際の高速給紙距離Dh2は117.4〔mm〕にされ、高速給紙距離Dh3は205.4〔mm〕にされる。
【0064】
第1の給紙パターンにおいては、図9に示されるように、まず、タイミングt0(0〔s〕)で、トレイTr1に収容されたページID1となる用紙Pn1(P1)が先行して給紙され、トレイTr3に収容されたページID2となる用紙Pn2(P3)が用紙Pn1(P1)に後続して給紙され、トレイTr5に収容されたページID3となる用紙Pn3(P5)が用紙Pn2(P3)に後続して給紙されると、用紙Pn1(P1)の前端及び後端の位置が線PFn1(PF1)、PRn1(PR1)で示されるように変化し、用紙Pn2(P3)の前端及び後端の位置が線PFn2(PF3)、PRn2(PR3)で示されるように変化し、用紙Pn3(P5)の前端及び後端の位置が線PFn3(PF5)、PRn3(PR5)で示されるように変化する。
【0065】
続いて、タイミングt1(3.084〔s〕)で、トレイTr4に収容されたページID5となる用紙Pn5(P4)が給紙されると、用紙Pn5(P4)の前端及び後端の位置が線PFn5(PF4)、PRn5(PR4)で示されるように変化し、タイミングt2(4.313〔s〕)で、トレイTr1に収容されたページID4となる用紙Pn4(P1)が給紙されると、用紙Pn4(P1)の前端及び後端の位置が線PFn4(PF1)、PRn4(PR1)で示されるように変化する。
【0066】
この場合、タイミングt0で用紙Pn1(P1)が先行して給紙され、用紙Pn2(P3)、Pn3(P5)が後続して給紙されるので、用紙Pn2(P3)、Pn3(P5)が印刷速度Vp(160〔mm/s〕で給紙されると、紙間が50〔mm〕より広くなってしまう。
【0067】
ところが、データ受信時刻Rsiはいずれもタイミングt0
t0=0〔s〕
であり、用紙Pn2(P3)、Pn3(P5)の給紙時刻Cs3、Cs5を早くすることができない。
【0068】
そこで、第1の給紙パターンにおいては、用紙Pn2(P3)、Pn3(P5)の給紙速度V3、V5が印刷速度Vpより高い高速給紙速度Vh(本実施の形態においては、320〔mm/s〕にされる。
【0069】
また、タイミングt2で用紙Pn4(P1)が給紙されるが、用紙Pn4(P1)の給紙時刻(仮)Cs4’がデータ受信時刻Rs4(t0)以前でなく(より後であり)、用紙Pn4(P1)の給紙を給紙時刻(仮)Cs4’で開始したときに、高速給紙速度Vhで先行して給紙されている用紙がないので、給紙速度V4は印刷速度Vpと等しくされる。
【0070】
そして、タイミングt1で用紙Pn5(P4)が給紙されるが、用紙Pn5(P4)の給紙時刻(仮)Cs5’がデータ受信時刻Rs5(t0)以前でなく(より後であり)、用紙Pn5(P4)の給紙を給紙時刻(仮)Cs5’で開始したときに、高速給紙速度Vhで先行して給紙されている用紙がないので、給紙速度V5は印刷速度Vpと等しくされる。
【0071】
このように、本実施の形態においては、前記給紙処理部Pr1が複数のトレイTrniから用紙Pniを給紙する際に、用紙Pniの給紙時刻(仮)Csi’がデータ受信時刻Rsi以前でなく(より後であり)、用紙Pniの給紙を開始したときに、高速給紙速度Vhで先行して給紙されている用紙がない場合、給紙速度Viが印刷速度Vpと等しくされる。
【0072】
したがって、プリンタ10がホストコンピュータから印刷データを受信した直後に用紙Pniを給紙する場合に、給紙時刻Csiを早くすることができなくても、目標紙間δiを達成することができ、同じトレイから給紙された用紙に対して連続して印刷を行う場合と同等の印刷速度性能で印刷を行うことができる。
【0073】
次に、トレイTrniから用紙Pniを用紙搬送路Rtに第2の給紙パターンで給紙するときの用紙Pniの搬送状態について説明する。
【0074】
図10は本発明の実施の形態における用紙を第2の給紙パターンで給紙するときのページ情報の例を示す図、図11は本発明の実施の形態における用紙を第2の給紙パターンで給紙するときの用紙の搬送状態を説明するためのタイムチャートである。なお、図11において横軸に時間を、縦軸に、前記給紙搬送端部位置STfから各トレイTrn及び各搬送ローラ対g2~g5までの距離を採ってある。
【0075】
プリンタ10がホストコンピュータから印刷データを受信すると、前記給紙設定処理部Pr4は、用紙Pnを給紙搬送路τzに第2の給紙パターンで給紙するのに伴って、図10に示されるような、印刷を行うためのページ情報をページごとに作成する。
【0076】
ページ情報は、印刷を行う際のページ数を識別する情報であるページIDiごとのパラメータ及び制御情報から成る。
【0077】
パラメータは、第2の給紙パターンにおいては、ページIDiに対応するトレイTrni(ni=1、5、3、5)、及び該トレイTrniに収容された用紙Pni(ni=1、5、3、5)の用紙長Li(i=1、2、3、4)である。本実施の形態において、用紙Pn1(P1)の用紙長L1は148〔mm〕であり、用紙Pn2(P5)、Pn4(P5)の用紙長L2、L4は210〔mm〕であり、用紙Pn3(P3)の用紙長L3は182〔mm〕である。
【0078】
第2の給紙パターンにおいては、トレイTr1、Tr5、Tr3、Tr5に収容された用紙Pn1(P1)、Pn2(P5)、Pn3(P3)、Pn4(P5)が順次給紙搬送路τzに給紙され、4〔ページ〕の連続印刷が行われる。
【0079】
また、制御情報は、印刷制御に関する調整値であり、本実施の形態においては、ページIDiごとの、印刷速度Vpi(i=1、2、3、4)、目標紙間δi(i=1、2、3、4)、データ受信時刻Rsi(i=1、2、3、4)、給紙速度Vi(i=1、2、3、4)、給紙時刻(仮)Csi’(i’=2、3、4)、給紙時刻Csi(i=1、2、3、4)、及び高速給紙距離Dhi(i=1、2、3、4)から成る。
【0080】
印刷速度Vpiは、プリンタ10に設定された固定値であり、本実施の形態においては、
Vp=160〔mm/s〕
にされる。また、目標紙間δiは用紙搬送路Rtを搬送される各用紙Pni、Pn(i+1)間の目標となる距離であり、プリンタ10に設定された固定値であって、本実施の形態においては、
δ=50〔mm〕
にされる。
【0081】
データ受信時刻Rsiは、プリンタ10がホストコンピュータから印刷データを受信した時刻であり、印刷時刻Csiを設定するために使用され、いずれも、図11に示されるタイミングt0
t0=0〔s〕
である。
【0082】
給紙速度Viは、用紙Pniを給紙搬送路τzに給紙する際の用紙Pniの移動速度であり、第2の給紙パターンにおいては、給紙速度V1が印刷速度Vpと等しくされ、給紙速度V2、V3、V4が、印刷速度Vpより高い高速給紙速度Vh(本実施の形態においては、320〔mm/s〕)にされる。
【0083】
給紙時刻Csiは、各トレイTrniから用紙Pniが給紙搬送路τzに給紙される時刻であり、第2の給紙パターンにおいて、給紙時刻Cs1、Cs2はタイミングt0
t0=0〔s〕
にされ、給紙時刻Cs3はタイミングt2
t2=1.675〔s〕
にされ、給紙時刻Cs4はタイミングt1
t1=1.537〔s〕
にされる。
【0084】
なお、給紙時刻(仮)Csi’は仮の給紙時刻であり、第2の給紙パターンにおいて、給紙時刻(仮)Cs2’、Cs3’、Cs4’は、それぞれ、-2.092〔s〕、1.541〔s〕、1.226〔s〕にされる。
【0085】
また、高速給紙距離Dhiは、給紙速度Viを高速給紙速度Vhにして用紙Pniを給紙する際に必要になる給紙距離であり、第2の給紙パターンにおいて、給紙速度V1を高速給紙速度Vhにすることなく給紙する際の高速給紙距離Dh1は0〔mm〕であり、給紙速度V2を高速給紙速度Vhにして給紙する際の高速給紙距離Dh2は578.9〔mm〕にされ、給紙速度V3を高速給紙速度Vhにして給紙する際の高速給紙距離Dh3は42.9〔mm〕にされ、給紙速度V4を高速給紙速度Vhにして給紙する際の高速給紙距離Dh4は86.9〔mm〕にされる。
【0086】
第2の給紙パターンにおいては、図11に示されるように、まず、タイミングt0(0〔s〕)で、トレイTr1に収容されたページID1となる用紙Pn1(P1)が先行して給紙され、トレイTr5に収容されたページID2となる用紙Pn2(P5)が用紙Pn1(P1)に後続して給紙されると、用紙Pn1(P1)の前端及び後端の位置が線PFn1(PF1)、PRn1(PR1)で示されるように変化し、用紙Pn2(P5)の前端及び後端の位置が線PFn2(PF5)、PRn2(PR5)で示されるように変化する。
【0087】
続いて、タイミングt1(1.537〔s〕)で、トレイTr5に収容されたページID4となる用紙Pn4(P5)が給紙されると、用紙Pn4(P5)の前端及び後端の位置が線PFn4(PF5)、PRn4(PR5)で示されるように変化し、タイミングt2(1.675〔s〕)で、トレイTr3に収容されたページID3となる用紙Pn3(P3)が給紙されると、用紙P3(P3)の前端及び後端の位置が線PFn3(PF3)、PRn3(PR3)で示されるように変化する。
【0088】
この場合、タイミングt0で用紙Pn1(P1)、Pn2(P5)が、タイミングt1で用紙Pn4(P5)が、タイミングt2で用紙Pn3(P3)がいずれも給紙されるが、用紙Pn2(P5)が印刷速度Vp(160〔mm/s〕で給紙されると、紙間が50〔mm〕より広くなってしまう。
【0089】
ところが、データ受信時刻Rsiはいずれもタイミングt0
t0=0〔s〕
であり、用紙Pn2(P5)の給紙時刻Cs2を早くすることができない。したがって、第2の給紙パターンにおいては、用紙Pn2(P5)の給紙速度V2が、印刷速度Vpより高い高速給紙速度Vh(320〔mm/s〕)にされるが、搬送ローラ対g1の回転速度が印刷速度Vpに固定されているので、用紙Pn2(P5)が、給紙搬送端部位置STfよりマージンαだけ上流側に設定された、後述される印刷速度強制切替位置ST1(図13)に到達すると、給紙速度V2が高速給紙速度Vhから印刷速度Vpに切り替えられるようになっている。なお、この場合、高速給紙速度Vhから印刷速度Vpへの切替えに伴い紙間は目標紙間δ1より広くなる。
【0090】
また、タイミングt2で用紙Pn3(P3)が給紙されるが、用紙Pn3(P3)の給紙時刻(仮)Cs3’がデータ受信時刻Rs3(t0)以前でなく(より後であり)、用紙Pn3(P3)の給紙を給紙時刻(仮)Cs3’で開始したときに、高速給紙速度Vhで先行して給紙されている用紙Pn2(P5)があるので、紙間が目標紙間δ2より大きくならないように給紙速度V3は高速給紙速度Vhにされる。
【0091】
そして、タイミングt1で用紙Pn4(P5)が給紙されるが、用紙Pn4(P5)の給紙時刻(仮)Cs4’がデータ受信時刻Rs4(t0)以前でなく(より後であり)、用紙Pn4(P5)の給紙を給紙時刻(仮)Cs4’で開始したときに、高速給紙速度Vhで先行して給紙されている用紙Pn3(P3)があるので、紙間が目標紙間δ3より大きくならないように給紙速度V4は高速給紙速度Vhにされる。
【0092】
このように、本実施の形態においては、前記給紙処理部Pr1が複数のトレイTrniから用紙Pniを給紙する際に、用紙Pni給紙時刻(仮)Csi’がデータ受信時刻Rsi以前でなく(より後であり)、用紙Pniの給紙を開始したときに、高速給紙速度Vhで先行して給紙されている用紙がある場合、給紙速度Viが高速給紙速度Vhにされる。
【0093】
したがって、目標紙間δ1以外の目標紙間δ2、δ3を達成することができ、同じトレイから給紙された用紙に対して連続して印刷を行う場合と同等の印刷速度性能で印刷を行うことができる。
【0094】
本実施の形態においては、プリンタ10がホストコンピュータから受信した印刷データのすべてのページIDiについての制御情報は給紙設定処理部Pr4によって設定される。
【0095】
次に、給紙設定処理部Pr4の動作について説明する。
【0096】
図12は本発明の実施の形態における給紙設定処理部の動作を示す第1のフローチャート、図13は本発明の実施の形態における給紙設定処理部の動作を示す第2のフローチャート、図14は本発明の実施の形態における給紙搬送端部位置及び印刷速度強制切替位置を説明するための図、図15は本発明の実施の形態における給紙距離及びマージンの例を示す図、図16は本発明の実施の形態におけるプリンタの要部を示す図である。
【0097】
図において、10はプリンタ、QAは画像形成部、Rtは用紙搬送路、Trnはトレイ、Pnは用紙、EAは給紙搬送部、τzは給紙搬送路、enは給紙ローラ、gnは搬送ローラ対、ST1は印刷速度強制切替位置、STfは給紙搬送端部位置、Dn(n=1、2、3、4、5)は、給紙搬送端部位置STfから各トレイTrnまでの距離を表す給紙距離、αは給紙搬送端部位置STfから印刷速度強制切替位置ST1までの距離を表すマージンであり、本実施の形態において、30〔mm〕に設定される。
【0098】
なお、本実施の形態においては、印刷速度Vpiが固定され、Vpにされているので、搬送ローラ対g1に給紙される用紙Pniの給紙速度Viが高速であった場合、印刷速度Vpに切り替える必要があり、給紙速度Viを印刷速度Vpに切り替える限界位置が前記印刷速度強制切替位置ST1にされる。
【0099】
まず、給紙設定処理部Pr4は、ページ数を表す変数iに1をセットする(ステップS1)。続いて、給紙設定処理部Pr4は、ページIDiがページID1であるかどうかを判断し(ステップS2)、ページIDiがページID1である場合、給紙速度V1を印刷速度Vp(160〔mm/s〕)にし、給紙時刻Cs1をデータ受信時刻Rs1(0〔s〕(t0))にし(ステップS3)、図8及び10に示される制御情報として設定する。
【0100】
ページIDiがページID1でない場合、給紙設定処理部Pr4は、例えば、ページIDiについて、仮に、印刷速度Vpで用紙Pniを給紙した場合、すなわち、給紙速度Viを印刷速度Vpにした場合の給紙時刻(仮)Csi’を算出する(ステップS4)。
【0101】
すなわち、給紙設定処理部Pr4は、現行の用紙をPniとし、先行する用紙をPn(i-1)としたときの、先行する用紙Pn(i-1)の給紙距離を高速給紙距離Dh(i-1)にし、給紙速度を高速給紙速度Vh(320〔mm/s〕)にし、用紙長を用紙長L(i-1)にし、紙間を目標紙間δ(i-1)にし、印刷速度強制切替位置ST1から、先行する用紙Pn(i-1)がセットされたトレイTrn(i-1)までの距離を距離Dpにし、先行する用紙Pn(i-1)の印刷速度を印刷速度Vpにし、給紙時刻を給紙時刻Cs(i-1)にし、印刷速度強制切替位置ST1から、後続する現行の用紙PnsがセットされたトレイTrniまでの距離を距離Dcにしたとき、給紙時刻(仮)Csi’を以下の式(1)で算出することができる。
【0102】
Csi’=Dh(i-1)/Vh+(L(i-1)+δ(i-1)-Dh(i-1)+Dp-Dc)/Vp+Cs(i-1) …(1)
第1の給紙パターンのページID2(トレイTr3からの給紙)の場合、式(1)に図8に示される制御情報の値を代入すると、
Cs2’=0/Vh+(148+50-0+(76.2-30)-(332.9-30))/160)+0
≒-0.367〔s〕
になる。
【0103】
また、第2の給紙パターンのページID2(トレイTr5からの給紙)の場合、式(1)に図10に示される制御情報の値を代入すると、
Cs2’=0/Vh+(148+50-0+(76.2-30)-(608.9-30))/160)+0
≒-2.092〔s〕
になる。
【0104】
次に、給紙設定処理部Pr4は、給紙時刻(仮)Csi’とデータ受信時刻Rsiとを比較し、給紙時刻(仮)Csi’がデータ受信時刻Rsi以前であるかどうかを判断する(ステップS5)。
【0105】
給紙時刻(仮)Csi’がデータ受信時刻Rsi以前である場合、給紙時刻Csiをデータ受信時刻Rsiより前に設定することはできないので、給紙設定処理部Pr4は、給紙速度Viを高速給紙速度Vhにし、給紙時刻Csiをデータ受信時刻Rsi(0〔s〕(t0))にし(ステップS6)、図8及び10に示される制御情報として設定する。そして、給紙処理部Pr1は直ちに用紙Pniを給紙する。
【0106】
続いて、給紙設定処理部Pr4は、高速で現行の用紙Pniを給紙する際の先行する用紙Pn(i-1)との目標紙間δiを達成する高速給紙距離Dhiを算出し(ステップS7)、図8及び10に示される制御情報として設定する。
【0107】
なお、現行の用紙Pniの給紙時刻をCsiにし、印刷速度をVpにし、高速給紙速度をVhにし、先行する用紙P(i-1)の用紙長をL(i-1)にし、先行する用紙Pn(i-1)の紙間をδ(i-1)とすると、給紙設定処理部Pr4は、高速給紙距離Dhiを以下の式(2)で算出することができる。
【0108】
Dhi=Dh(i-1)+((Csi-Cs(i-1))・Vp・Vh+(Dc-Dp-L(i-1)-δ(i-1))・Vh))/(Vh-Vp) …(2)
第1の給紙パターンのページID2(トレイTr3からの給紙)の場合、式(2)に図8に示される制御情報の値を代入すると、
Dh2=0+(0-0)・Vp・Vh+((332.9-30)-(76.2-30)-148-50)・320))/(320-160)
=(256.7-148-50)・320/(320-160)
=117.4〔mm〕
になる。
【0109】
また、第2の給紙パターンのページID2(トレイTr5からの給紙)の場合、式(2)に図10に示される制御情報の値を代入すると、
Dh2=0+(0-0)・Vp・Vh+((608.9-30)-(76.2-30)-148-50)・320))/(320-160)
=(532・7-148-50)・320/(320-160)
=669.4〔mm〕
になる。
【0110】
次に、給紙設定処理部Pr4は、高速給紙距離Dhiが印刷速度強制切替位置ST1を超える(高速給紙距離Dhiが、印刷速度強制切替位置ST1からトレイTrnまでの距離より長い)かどうかを判断する(ステップS8)。高速給紙距離Dhiが印刷速度強制切替位置ST1を超える場合、給紙設定処理部Pr4は、高速給紙距離Dhiを印刷速度強制切替位置ST1からトレイTrnまでの距離に再設定し(ステップS9)、図8及び10に示される制御情報として設定する。
【0111】
高速給紙距離Dhiが印刷速度強制切替位置ST1を超えない場合、給紙設定処理部Pr4は、変数iをインクリメントする(ステップS10)。
【0112】
例えば、第1の給紙パターンのページID2(トレイTr3からの給紙)の場合、高速給紙距離Dh2が117.4〔mm〕であるのに対して、印刷速度強制切替位置ST1からトレイTr3までの距離は302.9〔mm〕(D3-α)であるので、高速給紙距離Dh2は印刷速度強制切替位置ST1を超えない。
【0113】
第2の給紙パターンのページID2(トレイTr5からの給紙)の場合、高速給紙距離Dh2が669.4〔mm〕であるのに対して、印刷速度強制切替位置ST1からトレイTr5までの距離は578.9〔mm〕(D5-α)であるので、高速給紙距離Dh2は印刷速度強制切替位置ST1を超える。したがって、給紙設定処理部Pr4は、高速給紙距離Dh2を、印刷速度強制切替位置ST1からトレイTr5までの距離の578.9〔mm〕に再設定する。
【0114】
続いて、給紙設定処理部Pr4は、ページIDiが最大のページを超えているかどうかを判断する(ステップS11)。なお、第1の給紙パターンにおける最大のページは5であり、第2の給紙パターンにおける最大のページは4である。
【0115】
ページIDiが最大のページを超えていない場合、給紙設定処理部Pr4は次のページIDiについて給紙設定処理を行い、ページIDiが最大のページを超えている場合、給紙設定処理部Pr4は処理を終了する。
【0116】
一方、給紙時刻(仮)Csi’がデータ受信時刻Rsi以前でない(より後である)場合、給紙設定処理部Pr4は、用紙Pniの給紙を給紙時刻(仮)Csi’で開始したときに高速給紙速度Vhで給紙されている用紙Pnjがあるかどうかを判断する(ステップS12)。
【0117】
ここで、高速給紙速度Vhで給紙されている用紙Pnjとは、直前の用紙Pn(i-1)だけでなく、同じ印刷データ内の先行する用紙のことである。すなわち、先行する用紙のページIDをjとすると、jの範囲は
1≦j≦i-1
になる。
【0118】
すなわち、ページIDがjである場合の給紙時刻をCsjにし、高速給紙距離をDhjとすると、給紙設定処理部Pr4は、以下の式(3)の条件が成立するかどうかによって、高速給紙速度Vhで給紙されている用紙Pnjがあるかどうかを判断する。
【0119】
Csi’<Csj+Dhj/Vh …(3)
ところで、式(3)の条件が成立する場合、変数jは、
1≦j≦i-1
であり、かつ、Dhjは
Dhj≠0
である。
【0120】
第2の給紙パターンのページID3(トレイTr3からの給紙)の場合、先行する用紙のうちのページID2(トレイTr5からの給紙)が
Dh2≠0
であり、給紙速度V2が高速給紙速度Vhであるので、給紙設定処理部Pr4は、式(3)の条件が成立するかどうかを判断する。ここで、第2の給紙パターンのページID3(トレイTr3からの給紙)の場合、式(1)に図10に示される制御情報の値を代入すると、給紙時刻(仮)Cs3’は、
Cs3’=578.9/320+(210+50-578.9+(608.9-30)-(332.9-30))/160+0
=578.9/320-42.9/160
≒1.809-0.268
=1.541〔s〕
になる。
【0121】
そこで、例えば、第2の給紙パターンのページID2(トレイTr5からの給紙)の場合、すなわち、
j=2
であるときの制御情報を式(3)の右辺に代入すると、
Cs2+Dh2/Vh=0+578.9/320
=1.809
になる。したがって、
1.541<1.809
であり、式(3)の条件が成立し、給紙設定処理部Pr4は、高速給紙速度Vhで給紙されている用紙Pnjがあると判断する。
【0122】
そして、高速給紙速度Vhで給紙されている用紙Pnjがある場合、給紙設定処理部Pr4は、給紙速度Viを高速給紙速度Vhにし(ステップS13)、図10に示される制御情報として設定する。
【0123】
続いて、給紙設定処理部Pr4は、給紙時刻Csi及び高速給紙距離Dhiを算出する(ステップS14)。すなわち、給紙設定処理部Pr4は、先行する用紙Pn(i-1)と後続する用紙Pniとの紙間が目標紙間δ(i-1)になるように、先行する用紙Pn(i-1)の給紙速度V(i-1)を高速給紙速度Vhから印刷速度Vpに切り替えるタイミングと、後続する用紙Pniの給紙速度Viを高速給紙速度Vhから印刷速度Vpに切り替えるタイミングとを一致させて、後続する用紙Pniの給紙時刻Csi及び高速給紙距離Dhiを算出する。
【0124】
ところで、例えば、第2の給紙パターンのページID3(トレイTr3からの給紙)の用紙P3を給紙する場合、トレイモータTM3(図3)は、給紙ローラe3及び搬送ローラ対g3を同じ速度で回転させるので、図16に示されるように、トレイTr5(図2)から給紙された先行する用紙P5と、トレイTr3から給紙される後続する用紙P3との紙間を目標紙間δ5の値である50〔mm〕に保つためには、用紙P3を高速給紙速度Vhで給紙する必要がある。
【0125】
また、この場合、直前の先行する用紙P5の給紙速度V5を高速給紙速度Vhから印刷速度Vpに切り替えるタイミングと、後続する用紙P3の給紙速度V3を高速給紙速度Vhから印刷速度Vpに切り替えるタイミングとを一致させる必要がある。そのために、給紙設定処理部Pr4によって、後続する用紙P3の給紙時刻Cs3及び高速給紙距離Dh3が算出される。
【0126】
ここで、式(3)の条件が成立するk
j=k
が存在するとき(複数存在する場合は、複数のkのうちの最大の値を利用する。)、その用紙Pnkの給紙時刻をCskにし、用紙長をLkにし、目標紙間をδkにし、用紙PnkがセットされたトレイTrnkから印刷速度強制切替位置ST1までの距離をDpkにし、後続する用紙PniがセットされたトレイTrniから印刷速度強制切替位置ST1までの距離をDcとすると、給紙時刻Csiは以下の式(4)で算出することができる。
【0127】
Csi=Csk+(Lk+ … +L(i-1)+δk+ … +δ(i-1)+(Dpk-Dc))/Vh …(4)
第2の給紙パターンのページID3(トレイTr3からの給紙)の場合、ページID2(k=2)の場合に式(3)の条件が成立するので、式(4)に図10のページID2(k=2)の制御情報の値を代入すると、
Cs3=0+(210+50+((608.9-30)-(332.9-30))/320
≒1.675〔s〕
になる。
【0128】
また、式(3)の条件が成立するk
j=k
が存在するとき(複数存在する場合は、複数のkのうちの最大の値を利用する。)、先行する用紙Pnkの高速給紙距離をDhkとすると、後続する用紙Piの高速給紙距離Dhiは以下の式(5)で算出することができる。
【0129】
Dhi=Dhk-((Lk+ … +L(i-1)+δk+ … +δ(i-1)+(Dpk-Dc)) …(5)
第2の給紙パターンのページID3(トレイTr3からの給紙)の場合、ページID2(k=2)の場合に式(3)の条件が成立するので、式(5)に図10のページID2(k=2)の制御情報の値を代入すると、
Dh3=578.9-(210+50+(608.9-30)-(332.9-30))
=42.9〔mm〕
になる。
【0130】
また、用紙Pniの給紙を給紙時刻(仮)Csi’で開始したときに高速給紙速度Vhで給紙されている用紙Pnjがない場合、給紙設定処理部Pr4は、給紙速度Viを印刷速度Vpにし、給紙時刻Csiを給紙時刻(仮)Csi’にし(ステップS15)、図8に示される制御情報として設定する。
【0131】
例えば、第1の給紙パターンのページID4(トレイTr1からの給紙)及びページID5(トレイTr4からの給紙)の場合、用紙Pn4、Pn5の給紙を給紙時刻(仮)Cs4’、Cs5’で開始したときに高速給紙速度Vhで給紙されている用紙Pnjがないので、給紙設定処理部Pr4は、給紙速度V4、V5を印刷速度Vpにし、給紙時刻Cs4、Cs5を給紙時刻(仮)Cs4’、Cs5’にし、図8に示される制御情報として設定する。
【0132】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 給紙設定処理部Pr4は変数iに1をセットする。
ステップS2 給紙設定処理部Pr4はページIDiがページID1であるかどうかを判断する。ページIDiがページID1である場合はステップS3に進み、ページIDiがページID1でない場合はステップS4に進む。
ステップS3 給紙設定処理部Pr4は給紙速度V1を印刷速度Vp(160〔mm/s〕)にし、給紙時刻Cs1をデータ受信時刻Rs1(0〔s〕(t0))にし、ステップS10に進む。
ステップS4 給紙設定処理部Pr4は給紙速度Viを印刷速度Vpにした場合の給紙時刻(仮)Csi’を算出する。
ステップS5 給紙設定処理部Pr4は給紙時刻(仮)Csi’がデータ受信時刻Rsi以前であるかどうかを判断する。給紙時刻(仮)Csi’がデータ受信時刻Rsi以前である場合はステップS6に進み、給紙時刻(仮)Csi’がデータ受信時刻Rsi以前でない場合はステップS12に進む。
ステップS6 給紙設定処理部Pr4は給紙速度Viを高速給紙速度Vhにし、給紙時刻Csiをデータ受信時刻Rsiにする。
ステップS7 給紙設定処理部Pr4は目標紙間を達成する高速給紙距離Dhiを算出する。
ステップS8 給紙設定処理部Pr4は高速給紙距離Dhiが印刷速度強制切替位置ST1を超えるかどうかを判断する。高速給紙距離Dhiが印刷速度強制切替位置ST1を超える場合はステップS9に進み、高速給紙距離Dhiが印刷速度強制切替位置ST1を超えない場合はステップS10に進む。
ステップS9 給紙設定処理部Pr4は高速給紙距離Dhiを印刷速度強制切替位置ST1からトレイTrniまでの距離に再設定する。
ステップS10 給紙設定処理部Pr4は変数iをインクリメントする。
ステップS11 給紙設定処理部Pr4はページIDiが最大のページを超えているかどうかを判断する。ページIDiが最大のページを超えている場合は処理を終了し、ページIDiが最大のページを超えていない場合はステップS4に戻る。
ステップS12 給紙設定処理部Pr4は用紙Pniの給紙を給紙時刻(仮)Csi’で開始したときに高速給紙速度Vhで給紙されている用紙Pnjがあるかどうかを判断する。高速給紙速度Vhで給紙されている用紙Pnjがある場合はステップS13に進み、高速給紙速度Vhで給紙されている用紙Pnjがない場合はステップS15に進む。
ステップS13 給紙設定処理部Pr4は給紙速度Viを高速給紙速度Vhにする。
ステップS14 給紙設定処理部Pr4は給紙時刻Csi及び高速給紙距離Dhiを算出し、ステップS10に進む。
ステップS15 給紙設定処理部Pr4は給紙速度Viを印刷速度Vpにし、給紙時刻Csiを給紙時刻(仮)Csi’にし、ステップS10に進む。
【0133】
次に、第1の給紙パターンのページID3以降における、給紙時刻(仮)Csi’について説明する。
【0134】
まず、第1の給紙パターンのページID3(トレイTr5からの給紙)の場合、給紙時刻(仮)Cs3’は、前記式(1)において、
Cs3’=117.4/320+(182+50-117.4+(332.9-30)-(608.9-30))/160+0
≒0.367-1.009
=-0.642〔s〕
になる。
【0135】
第1の給紙パターンのページID4(トレイTr1からの給紙)の場合、給紙時刻(仮)Cs4’は、
Cs4’=205.4/320+(210+50-205.4+(608.9-3
0)-(76.2-30))/160+0
≒0.642+3.671
=4.313〔s〕
になる。
【0136】
第1の給紙パターンのページID5(トレイTr4からの給紙)の場合、給紙時刻(仮)Cs5’は、
Cs5’=0+(148+50-0+(76.2-30)-(470.9-30))/160+4.313
≒1.229+4.313
=3.084〔s〕
になる。
【0137】
また、第2の給紙パターンのページID4(トレイTr5からの給紙)の場合、給紙時刻(仮)Cs4’は、
Cs4’=42.9/320+(182+50-42.9+(332.9-30)-(608.9-30)/160)+1.675
≒0.134-0.543+1.675
=1.266〔s〕
になる。
【0138】
さらに、第1の給紙パターンのページID3(トレイTr5からの給紙)の場合、高速給紙距離Dh3は、前記式(2)において、
Dh3=117.4+((0-0)・Vp・Vh+((608.9-30)-(332.9-30)-182-50)・320))/(320-160)
=117.4+88
=205.4〔mm〕
になる。
【0139】
そして、第2の給紙パターンのページID4(トレイTr5からの給紙)の場合、ページID2(k=2)及びページID3(k=3)において前記式(3)の条件が成立するので、給紙時刻Csiは、前記式(4)においてkの最大値であるID3(k=3)の値を代入することによって、
Cs4=1.675+(182+50+((332.9-30)-(608.9-30))/320
≒1.675-0.138
=1.537〔s〕
になる。
【0140】
また、第2の給紙パターンのページID4(トレイTr5からの給紙)の場合、ページID2(k=2)及びページID3(k=3)において式(3)の条件が成立するので
高速給紙距離Dhiは、式(5)において、kの最大値であるID3(k=3)の値を代入することによって、
Dh4=42.9-(182+50+(332.9-30)-(608.9-30))
=86.9〔mm〕
になる。
【0141】
このように、本実施の形態においては、給紙処理部Pr1が、複数のトレイTrniから用紙Pniを給紙する際に、複数の用紙Pniのうちの先行する用紙Pn(i-1)を印刷速度Vpで搬送し、後続する用紙Pniを印刷速度Vpより高い高速給紙速度Vhで搬送するので、プリンタ10がホストコンピュータから印刷データを受信した直後に用紙Pniを給紙する場合に、後続する用紙Pniの給紙時刻Csiを早くすることができなくても、同じトレイから給紙された用紙に対して連続して印刷を行う場合と同等の印刷速度性能で印刷を行うことができる。
【0142】
本実施の形態においてはプリンタ10について説明しているが、本発明を複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置に適用することができる。
【0143】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0144】
10 プリンタ
Bd 装置本体
e1~e5 給紙ローラ
Pn 用紙
Pr1 給紙処理部
QA 画像形成部
TM1~TM5 トレイモータ
Tr1~Tr5 トレイ
図1
図2
図3
図4
図5
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図16