(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034288
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】制御装置、表示システム、及び表示方法
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20240306BHJP
E02F 9/24 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
E02F9/26 C
E02F9/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138426
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 和幸
(72)【発明者】
【氏名】若山 真則
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 将
(72)【発明者】
【氏名】中村 凌
(72)【発明者】
【氏名】中居 拓哉
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015GA03
2D015HA03
2D015HB00
(57)【要約】
【課題】自動運転を行う建設機械の周囲で作業をしている作業員の作業効率の低減を防止する、また安全性の向上を図る、制御装置、表示システム、及び表示方法を提案する。
【解決手段】本発明は、振動ローラ1を制御する制御装置10と、振動ローラ1の運転モードを表示するLEDチューブ5と、LEDチューブ5に電力を供給する電源4と、を備える表示システムである。制御装置10は、振動ローラ1の自動運転を制御する情報端末2と、情報端末2の制御に基づいて、LEDチューブ5を制御するLED制御装置3と、を備える。運転モードは、自動運転中、自動運転一時停止中、及び有人運転中を少なくとも含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の自動運転を制御する自動運転制御部と、
前記自動運転制御部の制御に基づいて、前記建設機械の運転モードを表示する表示装置を制御する表示制御部と、を備え、
前記運転モードは、自動運転中、自動運転一時停止中、及び有人運転中を少なくとも含む制御装置。
【請求項2】
前記表示装置は、垂直軸回り周方向全体に亘って視認可能となるように前記建設機械に配設されている請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記表示装置は、前記建設機械のキャビンに配設されている請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記表示装置は、LEDチューブである請求項1から請求項3の少なくとも何れかに記載の制御装置。
【請求項5】
建設機械を制御する制御装置と、
前記建設機械の運転モードを表示する表示装置と、
前記表示装置に電力を供給する電源と、を備え、
前記制御装置は、
前記建設機械の自動運転を制御する自動運転制御部と、
前記自動運転制御部の制御に基づいて、前記表示装置を制御する表示制御部と、を備え、
前記運転モードは、自動運転中、自動運転一時停止中、及び有人運転中を少なくとも含む表示システム。
【請求項6】
建設機械の自動運転を制御するステップと、
前記自動運転の制御に基づいて、前記建設機械の運転モードを表示する表示装置を制御するステップと、を備え、
前記運転モードは、自動運転中、自動運転一時停止中、及び有人運転中を少なくとも含む表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、表示システム、及び表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動運転を行う建設機械に関する技術開発が盛んである。従来では、建設機械に回転灯や三色灯を配設することで、建設機械の周囲で作業をしている作業員は、建設機械に関する異常や、建設機械がクレーンである場合にはクレーンの定格荷重を知ることができた。しかし、自動運転を行う建設機械の周囲で作業をしている作業員にとって、建設機械が自動運転を行っているか否かなどの自動化状態は不明であった。このため、作業員はどのような点に注意して作業に取り組めばよいかわからず、作業員の作業効率が低減するという問題があった。また安全性においても問題があった。
【0003】
特許文献1には、自動運転建設機械の異常状態に応じて最適な対応動作を行わせる自動運転建設機械が開示されている。特許文献1の発明は、建設機械と、この建設機械の異常状態を検出して当該建設機械に備えられるモニタ用パネルに表示する警報手段と、教示された一連の動作を再生操作により前記建設機械に繰り返し行わせる自動運転制御手段とを備え、自動運転時、モニタ用パネルに入力される警報信号を取り込んで建設機械に異常時対応動作を行わせる異常時対応処理手段を設けたことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発明は、建設機械のエンジンや電源系の異常を搭乗オペレータに表示するものであり、建設機械の周囲で作業をしている作業員に知らせるわけではない。また、特許文献1の発明は、建設機械が自動運転を行っているか否かなどの自動化状態を表示するものではない。
【0006】
このような観点から、本発明は、自動運転を行う建設機械の周囲で作業をしている作業員の作業効率の低減を防止する制御装置、表示システム、及び表示方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明は、建設機械の自動運転を制御する自動運転制御部と、前記自動運転制御部の制御に基づいて、前記建設機械の運転モードを表示する表示装置を制御する表示制御部と、を備え、前記運転モードは、自動運転中、自動運転一時停止中、及び有人運転中を少なくとも含む制御装置である。
【0008】
また、本発明は、建設機械を制御する制御装置と、前記建設機械の運転モードを表示する表示装置と、前記表示装置に電力を供給する電源と、を備え、前記制御装置は、前記建設機械の自動運転を制御する自動運転制御部と、前記自動運転制御部の制御に基づいて、前記表示装置を制御する表示制御部と、を備え、前記運転モードは、自動運転中、自動運転一時停止中、及び有人運転中を少なくとも含む表示システムである。
【0009】
また、本発明は、建設機械の自動運転を制御するステップと、前記自動運転の制御に基づいて、前記建設機械の運転モードを表示する表示装置を制御するステップと、を備え、前記運転モードは、自動運転中、自動運転一時停止中、及び有人運転中を少なくとも含む表示方法である。
【0010】
本発明によれば、建設機械の周囲で作業をしている作業員に対して、自動運転中、自動運転一時停止中、及び有人運転中を少なくとも含む、建設機械の運転モードを表示することができる。よって、作業員は、建設機械の自動化状態に注意して作業に取り組むことができ、作業効率の低減を防止することができる。
また、表示装置は、あらゆる種類の建設機械に容易に配設可能であるため、自動化状態の表示方法を統一化することができる。これにより、回転灯や三色灯が別途配設され異常等を表示可能な建設機械に対しても、作業員は、表示装置を視認することで建設機械の自動化状態を容易に認識することができる。
【0011】
また、前記表示装置は、垂直軸回り周方向全体に亘って視認可能となるように前記建設機械に配設されていることが好ましい。
【0012】
これにより、建設機械に対して任意の方向にいる作業員に対して、建設機械の運転モードを表示することができる。従来は、電光看板式の表示装置ではその向きによっては作業員から見えない、建設機械の形状次第では回転灯や三色灯が死角に隠れてしまい作業員から見えない、などの不都合があったが、上記構成ではこのような不都合は生じない。
【0013】
また、前記表示装置は、前記建設機械のキャビンに配設されていることが好ましい。
【0014】
このようにすると、作業員は、建設機械に配設された表示装置を確実に見つけることができるため、建設機械の自動化状態を確実に認識することができる。
【0015】
また、前記表示装置は、LEDチューブであることが好ましい。
【0016】
これにより、建設機械の形状にかかわらず表示装置を配設することができる。また、LEDチューブを活用することで昼夜通して視認性を向上させることができる。よって、建設機械の周囲で作業をしている作業員は、どの方向からであっても、建設機械の自動化状態を昼夜通して確実に認識することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、自動運転を行う建設機械の周囲で作業をしている作業員の作業効率の低減を防止することができる。また安全性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態の表示システムが適用された振動ローラの外観斜視図である。
【
図2】運転モード表示処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施をするための形態を、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるもではない。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0020】
[構成]
図1は、本実施形態の表示システムが適用された振動ローラの外観斜視図である。振動ローラ1は、建設現場で自動運転を行う建設機械である。本実施形態の表示システムは、振動ローラ1の自動化状態を表示するためのシステムである。本実施形態の表示システムは、情報端末2(自動運転制御部)と、LED制御装置3(表示制御部)と、電源4と、LEDチューブ5(表示装置)とを備えている。情報端末2は、振動ローラ1に搭載されたコンピュータである。情報端末2は、振動ローラ1の自動運転を制御する。情報端末2は、建設現場で自動運転する建設機械を管理する管理装置(図示略)と無線等で通信可能に接続されている。情報端末2は、管理装置から受信した指令(管理装置のオペレータの操作)に従い、振動ローラ1の自動運転を制御する。LED制御装置3は、LEDチューブ5を制御する装置である。LED制御装置3は、振動ローラ1のキャビン6に配設されており、情報端末2と有線等で通信可能に接続されている。LED制御装置3は、情報端末2の制御に基づいてLEDチューブ5の発光を制御する。
なお、情報端末2及びLED制御装置3により、制御装置10を構成する。
【0021】
電源4は、LED制御装置3及びLEDチューブ5に電力を供給する装置である。電源4は、振動ローラ1のキャビン6に配設されており、LED制御装置3及びLEDチューブ5とケーブル等で電気的に接続されている。LEDチューブ5は、振動ローラ1の運転モードを表示する装置である。LEDチューブ5は、振動ローラ1のキャビン6に配設されており、LED制御装置3及び電源4とケーブル等で電気的に接続されている。LEDチューブ5は、少なくとも3種類の色を発光可能である。
【0022】
情報端末2は、入力部、出力部、制御部、および、記憶部といったハードウェアを備えている。例えば、制御部がCPU(Central Processing Unit)から構成される場合、その制御部を含むコンピュータによる情報処理は、CPUによるプログラム実行処理で実現される。また、そのコンピュータに含まれる記憶部は、CPUの指令により、そのコンピュータの機能を実現するためのさまざまなプログラムを記憶する。これによりソフトウェアとハードウェアの協働が実現される。前記プログラムは、記録媒体に記録したり、ネットワークを経由したりすることで提供可能となる。
【0023】
(運転モード)
振動ローラ1の自動運転には、自動運転中、自動運転一時停止中、及び有人運転中といった3種類の運転モードが存在する。「自動運転中」は、振動ローラ1が無人で運転していることを示す運転モードである。「自動運転中」の運転モードは、管理装置のオペレータが開始操作をすることで作動し、振動ローラ1は予め設定された経路を走行する。「自動運転一時停止中」は、無人の振動ローラ1の自動運転が有効であるが運転が中断していることを示す運転モードである。「自動運転一時停止中」の運転モードは、管理装置のオペレータが一時停止操作をすることで作動し、振動ローラ1は走行を中断する。また、「自動運転一時停止中」の運転モードは、管理装置のオペレータが再開操作をすることで作動終了し、振動ローラ1は走行を再開する。「有人運転中」は、振動ローラ1が有人で運転していることを示す運転モードである。「有人運転中」の運転モードは、振動ローラ1のエンジンが搭乗オペレータの操作でかかれば作動し、振動ローラ1が走行中であるか否かによらない。
【0024】
情報端末2は、稼働中の振動ローラ1の運転モードが、自動運転中、自動運転一時停止中、及び有人運転中の何れであるかを判定する。LED制御装置3は、情報端末2の判定結果に従い、作動中の運転モードに対応する色でLEDチューブ5を発光させる。例えば、運転モードが自動運転中である場合、LED制御装置3はLEDチューブ5を赤色で発光させる。運転モードが自動運転一時停止中である場合、LED制御装置3はLEDチューブ5を緑色で発光させる。運転モードが有人運転中である場合、LED制御装置3はLEDチューブ5を黄色で発光させる。
【0025】
よって、本実施形態の表示システムは、振動ローラ1の周囲で作業をしている作業員に対して、自動運転中、自動運転一時停止中、及び有人運転中を少なくとも含む、振動ローラ1の運転モードを表示することができる。よって、作業員は、振動ローラ1の自動化状態に注意して作業に取り組むことができ、作業効率の低減を防止することができる。また安全性の向上を図ることができる。
また、LEDチューブ5は、振動ローラに限らずあらゆる種類の建設機械に容易に配設可能であるため、自動化状態の表示方法を統一化することができる。これにより、回転灯や三色灯が別途配設され異常等を表示可能な建設機械に対しても、作業員は建設機械の自動化状態を容易に認識することができる。
【0026】
(LEDチューブの配置)
図1に示すように、LEDチューブ5は、略直方体のキャビン6の角で略直角に山折りすることで、キャビン6の外面の上辺4辺に沿って配設することができる。このように、LEDチューブ5は、キャビン6を通過する垂直軸回り周方向全体に亘って視認可能となるように振動ローラ1に配設することができる。よって、振動ローラ1に対して任意の方向にいる作業員に対して、振動ローラ1の運転モードを表示することができる。従来は、電光看板式の表示装置ではその向きによっては作業員から見えない、振動ローラ1等の建設機械の形状次第では回転灯や三色灯が死角に隠れてしまい作業員から見えない、などの不都合があったが、本実施形態ではこのような不都合は生じない。
また、LEDチューブ5をキャビン6に配設することで、作業員は、振動ローラ1に配設されたLEDチューブ5を確実に見つけることができるため、振動ローラ1の自動化状態を確実に認識することができる。
また、LEDチューブ5を用いることで、振動ローラ1の形状にかかわらず表示装置を配設することができる。また、LEDチューブ5を活用することで昼夜通して視認性を向上させることができる。よって、振動ローラ1の周囲で作業をしている作業員は、どの方向からであっても、振動ローラ1の自動化状態を昼夜通して確実に認識することができる。
【0027】
[処理]
図2は、運転モード表示処理のフローチャートである。運転モード表示処理は、振動ローラ1の運転モードを振動ローラ1の周囲の作業員に表示する処理である。運転モード表示処理では、まず、情報端末2が振動ローラ1の運転モードを判定する(ステップS1)。具体的には、情報端末2は、管理装置から受信した指令に対応する運転モードを特定し、振動ローラ1の自動運転を制御する。次に、LED制御装置3が、情報端末2の制御に基づいて判定した運転モードに応じた色でLEDチューブ5を発光させる(ステップS2)。具体的には、LED制御装置3は、運転モードが自動運転中の場合LEDチューブ5を赤色で発光させ、運転モードが自動運転一時停止中の場合LEDチューブ5を緑色で発光させ、運転モードが有人運転中の場合LEDチューブ5を黄色で発光させる。運転モード表示処理は、振動ローラ1が稼働している間は繰り返し実行される。
【0028】
[変形例]
(a)本実施形態では振動ローラ1を例にしたが、他の種類の建設機械に対しても本発明を適用できる。
(b)本実施形態では振動ローラ1の走行について自動運転に関する運転モードを表示するようにしたが、例えばクレーンの昇降等の非走行動作についての自動運転に関する運転モードを表示するようにしてもよい。
(c)本実施形態ではLEDチューブ5を例にしたが、運転モードの表示装置はこれに限定されない。例えば、複数の光源を間隔をあけて列置してもよい。
(d)本実施形態では、キャビン6の上辺4辺に沿ってLEDチューブ5を配設したが、LEDチューブ5の配置場所は、キャビン6の他の場所であってもよいし、建設機械の任意の場所であってもよい。
(e)LEDチューブ5の発光は赤色、緑色、黄色の点灯に限ったものではなく、例えば運転モードが自動運転一時停止中の場合の緑色の点灯は赤色の点滅であってもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 振動ローラ(建設機械)
2 情報端末(自動運転制御部)
3 LED制御装置(表示制御部)
4 電源
5 LEDチューブ(表示装置)
6 キャビン
10 制御装置