IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社パロマの特許一覧

<>
  • 特開-給湯器 図1
  • 特開-給湯器 図2
  • 特開-給湯器 図3
  • 特開-給湯器 図4
  • 特開-給湯器 図5
  • 特開-給湯器 図6
  • 特開-給湯器 図7
  • 特開-給湯器 図8
  • 特開-給湯器 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034290
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
   F23L 5/02 20060101AFI20240306BHJP
   F24H 9/02 20060101ALI20240306BHJP
   F24H 9/00 20220101ALI20240306BHJP
   F23L 1/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
F23L5/02
F24H9/02 301D
F24H9/00 N
F23L1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138430
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】田島 拓明
【テーマコード(参考)】
3K023
3L036
3L037
【Fターム(参考)】
3K023BA11
3K023BA15
3K023HA17
3K023HA19
3L036AE23
3L037AA02
3L037AC11
(57)【要約】
【課題】ゴムマウントを設置することなく、簡易な構造で燃焼ファン装置の振動を抑制することができる給湯器を提供する。
【解決手段】燃焼ファン装置22におけるファン77を収納するファンケース24の表面に吸音材70を取り付けるとともに、吸音材70を筐体2の内面である側板7Aの内面に接触させて押し潰すことによって、燃焼ファン装置22の振動が筐体2に伝播しづらく、燃焼ファン装置22の駆動に伴い筐体がガタ付きにくい給湯器1としている。したがって、従来のようにゴムマウント等で燃焼ファン装置22を支持する必要のない簡易な構造で振動抑制を実現することができ、部品点数の削減、ひいては部品管理及び製造に係る手間やコストの低減を図ることができる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に、バーナ及び熱交換器を有する燃焼室と、前記燃焼室に燃焼用空気を供給する燃焼ファン装置とを備えた給湯器であって、
前記燃焼ファン装置は、所定方向を軸として回転するファンと、前記ファンを収納するファンケースとを有し、
前記ファンケースの表面に吸音材が取り付けられているとともに、前記吸音材が前記筐体の内面に接触していることを特徴とする給湯器。
【請求項2】
前記ファンケースに、外気を吸い込むための吸入口と、吸い込んだ空気を燃焼用空気として前記燃焼室に供給するための吹出口とが設けられているとともに、
前記吸音材は、前記吸入口よりも上流側に突出しておらず、且つ、前記吹出口よりも下流側にも突出していないことを特徴とする請求項1に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナに燃焼用空気を供給する燃焼ファン装置を備えた給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な給湯器には、バーナに燃焼用空気を供給するための燃焼ファン装置が備えられている。ただ、燃焼ファン装置を駆動させると、振動に係る問題が発生する。そこで、従来では給湯器の筐体にゴムマウントを設置するとともに、そのゴムマウントにより燃焼ファン装置のファンケースを支持することによって、燃焼ファン装置に起因する振動を抑制していた(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-153096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の構成では、振動抑制機能に特化したゴムマウントを設置しなければならないため、部品点数が多くなり、部品管理や給湯器の製造に手間やコストがかかるという問題がある。特に燃焼ファン装置は、燃焼室に対して高い位置精度が求められることから、そのような燃焼ファン装置をゴムマウントにより支持するとなると、ゴムマウントが設置される筐体についても高い寸法精度が要求され、更なるコスト高を招くことになる。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、ゴムマウントを設置することなく、簡易な構造で燃焼ファン装置の振動を抑制することができる給湯器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、筐体内に、バーナ及び熱交換器を有する燃焼室と、燃焼室に燃焼用空気を供給する燃焼ファン装置とを備えた給湯器であって、燃焼ファン装置は、所定方向を軸として回転するファンと、ファンを収納するファンケースとを有し、ファンケースの表面に吸音材が取り付けられているとともに、吸音材が筐体の内面に接触していることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、ファンケースに、外気を吸い込むための吸入口と、吸い込んだ空気を燃焼用空気として燃焼室に供給するための吹出口とが設けられているとともに、吸音材は、吸入口よりも上流側に突出しておらず、且つ、吹出口よりも下流側にも突出していないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ファンケースの表面に吸音材を取り付けるとともに、吸音材を筐体の内面に接触させることによって、燃焼ファン装置の振動が筐体に伝播しづらく、燃焼ファン装置の駆動に伴い筐体がガタ付きにくい給湯器としている。したがって、従来のようにゴムマウント等で燃焼ファン装置を支持する必要のない簡易な構造で振動抑制を実現することができ、部品点数の削減、ひいては部品管理及び製造に係る手間やコストの低減を図ることができる。また、ゴムマウント等で燃焼ファン装置を支持する構造では、上述したようにゴムマウントが設置される筐体についても高い寸法精度が要求されていたところ、そのような高い寸法精度も要求されることがなく、更なるコスト低減を図ることができる。
加えて、吸音材を用いて筐体のガタ付き防止を図るといった合理的な構造となっている上、ファンケースと吸音材とを予め一体化させることにより一部品として扱うことができるため、一層のコスト低減を実現することができる。
さらに、請求項2に記載の発明によれば、吸音材を、ファンケースの吸入口よりも上流側に突出させず、且つ、ファンケースの吹出口よりも下流側にも突出させない。したがって、たとえ経年劣化により吸音材が剥がれ落ちたとしても、燃焼ファン装置の駆動に伴って吸音材が吸入口から吸い込まれたり、燃焼室側へ吹き飛ばされたりしにくい。つまり、吸音材がバーナへの給気経路を塞ぎにくい給湯器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】給湯器を正面側から示した説明図である。
図2】フロントカバーを取り外した状態の給湯器を正面側から示した説明図である。
図3図1中のA-A線断面を示した説明図である。
図4】フロントカバー及び箱本体の左右の側板、背板、樹脂シートを省略して筐体内部を左後方から見た斜視図である。
図5】フロントカバー及び箱本体の左右の側板、背板、樹脂シートを省略して筐体内部を右後方から見た斜視図である。
図6】フロントカバー及び箱本体の左右の側板、背板、樹脂シートを省略して筐体内部を右前方から見た斜視図である。
図7】ファンケースと吸音材とを分解した状態を示した説明図である。
図8】燃焼ファン装置を後側から示した説明図である。
図9】燃焼ファン装置におけるファンケースの前後方向での中央部分の鉛直断面を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる給湯器について、図面にもとづき詳細に説明する。
(給湯器の全体構成の説明)
図1は、給湯器1を正面側から示した説明図である。図2は、フロントカバー4を取り外した状態の給湯器1を正面側から示した説明図である。図3は、図1中のA-A線断面を示した説明図である。図4は、フロントカバー4及び箱本体3の左右の側板7A、7B、背板8、樹脂シート50を省略して筐体2内部を左後方から見た斜視図である。図5は、フロントカバー4及び箱本体3の左右の側板7A、7B、背板8、樹脂シート50を省略して筐体2内部を右後方から見た斜視図である。図6は、フロントカバー4及び箱本体3の左右の側板7A、7B、背板8、樹脂シート50を省略して筐体2内部を右前方から見た斜視図である。
給湯器1は、縦長箱状の筐体2を有する。筐体2は、箱本体3とフロントカバー4とを備えている。箱本体3は、前面を開口して前後に深底となっている。フロントカバー4は、箱本体3に前方からネジ止めされて前面を閉塞する。フロントカバー4の上部には、後述する上ケーシング19の前側に設けられた円筒状の排気口37が貫通している。
【0010】
箱本体3は、天板5、底板6、左右の側板7A、7B、及び背板8を備えている。底板6には、外部の水道管に接続するための水入口9と、外部の給湯栓に接続するための湯出口10と、外部の浴槽に接続するための風呂戻り口11と風呂往き口12とが設けられている。底板6の中央部には、外部のガス配管に接続するためのガス入口13と、後述する中和器55に接続される排水口14とが設けられている。背板8の上下には、壁面等へ設置するための取付板15、15が設けられている。
【0011】
箱本体3内の奥側には、燃焼室16が設けられている。燃焼室16は、上下方向に連通する下ケーシング17と中ケーシング18と上ケーシング19とを備えている。
下ケーシング17には、複数のバーナユニット20、20・・が収容されている。各バーナユニット20は、前後方向に延びる扁平なバーナ21を左右方向に複数並設してなる。バーナ21の数は、バーナユニット20毎に異なっている。下ケーシング17の下面には、図4に示すように、バーナユニット20に燃焼用空気を供給するための燃焼ファン装置22が連結されている。下ケーシング17の前側には、ガス分配ユニット25が設けられている。ガス分配ユニット25は、複数の電磁弁を備えて、各電磁弁の開閉により燃焼させるバーナユニット20を切替可能となっている。バーナユニット20の上流端には、元弁及び比例弁を備えたガス配管26が接続されている。ガス配管26は、ガス入口13に接続されている。
【0012】
中ケーシング18には、給湯一次熱交換器27及び風呂熱交換器28が収容されている。給湯一次熱交換器27は、左右方向に所定間隔をおいて配設される複数のフィン29、29・・と、各フィン29を蛇行状に上下二段で貫通する給湯側伝熱管30とを備えている。風呂熱交換器28は、各フィン29と、上下段の給湯側伝熱管30の間で各フィン29を蛇行状に貫通する風呂側伝熱管31とを備えている。すなわち、給湯器1は、1つの中ケーシング18内に経路が異なる給湯一次熱交換器27と風呂熱交換器28とが併設されて共通のバーナユニット20によって加熱される1缶2水路型となっている。
【0013】
上ケーシング19には、給湯二次熱交換器32が収容されている。給湯二次熱交換器32は、蛇行状に形成される複数の吸熱管33、33・・を収容している。各吸熱管33は、図4に示すように、両端が上ケーシング19の左側面へ前後に設けた入側ヘッダ34と出側ヘッダ35とに接続されて、入側端部同士と出側端部同士とが互いに連通している。上ケーシング19は、中ケーシング18と後部同士で連通している。上ケーシング19は、前下がり傾斜姿勢で支持されて、前側には、前後に扁平なドレン受け36が設けられている。ドレン受け36の前側に排気口37が前向きに連結されている。
【0014】
水入口9には、給水管40が接続されている。給水管40は、燃焼室16の左側で上方に引き回され、上ケーシング19の入側ヘッダ34に接続されている。
出側ヘッダ35には、中継管41が接続されている。中継管41は、図5にも示すように、燃焼室16の左側から中ケーシング18の後方を通って中ケーシング18の右側へ回り込んでいる。そして、中継管41は、中ケーシング18の右側で前方へ引き回されて、給湯一次熱交換器27の給湯側伝熱管30の下段の上流端に接続されている。
【0015】
給湯側伝熱管30の上段の下流端には、出湯管42が接続されている。出湯管42は、図6にも示すように、中ケーシング18の右側面から中ケーシング18の前方へ回り込み、中ケーシング18の前方を横切って中ケーシング18の左側へ移動する。そして、出湯管42は、図4に示すように、中ケーシング18の左前方で下方向に屈曲し、下方へ直線状に引き回された後、湯出口10に接続されている。出湯管42の直線部43は、バイパス管44を介して給水管40に接続されている。
【0016】
風呂戻り口11には、風呂戻り管45が接続されている。風呂戻り管45は、図4~6に示すように、ポンプ46を介して燃焼室16の右側を上方へ引き回される。そして、風呂戻り管45は、中ケーシング18の前方を横切って中ケーシング18の左側に回り込み、風呂熱交換器28の風呂側伝熱管31の上流端に接続される。風呂戻り管45は、落とし込み管47を介して出湯管42と接続されている。
風呂往き口12には、風呂往き管48が接続されている。風呂往き管48は、燃焼室16の右側を上方へ引き回された後、中ケーシング18の右側で風呂側伝熱管31の下流端に接続されている。
【0017】
燃焼室16の周囲には、樹脂シート50が巻回されている。樹脂シート50は、図2及び図3に示すように、下ケーシング17と中ケーシング18とに跨がって燃焼室16の周囲に巻回される帯状体である。樹脂シート50は、各配管の外側で左右の側板7A、7B、背板8の内面に沿って巻回されることで、燃焼室16と非接触となっている。
【0018】
樹脂シート50には、幅方向に往復して蛇行しながら長手方向に延びる連続状の導電パターン51が、長手方向の全長に亘って印刷されている。導電パターン51の両端は、後述する電装基板66へ電気的に接続されて、過熱防止装置を形成している。この過熱防止装置は、下ケーシング17又は中ケーシング18の異常過熱によってひび割れや穴あき等が生じて燃焼排気が噴出すると、樹脂シート50の溶融と共に導電パターン51が破断して抵抗値が急増又は無限大となることで、その抵抗値の変化を検知した電装基板66が燃料ガスの供給を停止してバーナユニット20を消火させるものである。
【0019】
燃焼室16の前側には、中和器55が配置されている。中和器55は、正面視が矩形状の箱体で、内部には図示しない中和剤が充填されている。中和器55の上面には、上ケーシング19の前側底面及びドレン受け36に接続されるドレン排出管56、56が接続されている。中和器55の下面には、排水口14と接続される排水管57が接続されている。
【0020】
中和器55の上部は、図3に示すように、中ケーシング18及び上ケーシング19から下向きに固定されたブラケット金具58に、側面視L字状の取付金具59を介して固定されている。中和器55の下部は、ガス分配ユニット25の前側で下ケーシング17に固定されて左右方向に延びる固定バー60に固定されている。
中和器55の下方には、コントローラ65が配置されている。コントローラ65は、電装基板66と、収納ケース67と、カバー68とを含んでなる。
【0021】
(給湯器の動作説明)
給湯器1において、通常の給湯は以下の如くなされる。
湯出口10に接続された外部配管の給湯栓が開栓されて器具内に通水され、その通水を給水管40に設けた給湯水量センサで検知すると、コントローラ65は、燃焼ファン装置22を所定時間駆動させて、燃焼室16内に貯留している燃焼排気を排出させる(プリパージ)。その後、ガス配管26の元弁及びガス分配ユニット25の電磁弁を開弁させ、比例弁を所定開度で開弁させて、バーナユニット20へガスを供給すると共に、イグナイタを作動させてバーナユニット20に点火する。
【0022】
これにより、給水管40から供給される水は、給湯二次熱交換器32の吸熱管33を流れる際にバーナユニット20の燃焼排気と熱交換して潜熱を回収する。このとき発生したドレンは、ドレン排出管56を介して中和器55に回収され、中和剤で中和された後、排水管57から器具外部へ排出される。
そして、給湯二次熱交換器32を通過した湯水は、中継管41を介して給湯一次熱交換器32に流れ、給湯側伝熱管30を流れる際にバーナユニット20の燃焼排気と熱交換して顕熱を回収する。こうして加熱された湯は、出湯管42及び外部配管を通って給湯栓から出湯される。
【0023】
コントローラ65の電装基板66は、出湯管42に設けた出口温度サーミスタによって、給湯一次熱交換器27直後から出湯される湯の温度である出口温度を監視し、バイパス管44に設けた分配弁を駆動させて、出口温度が、給湯一次熱交換器27でのドレンの発生や過熱を防止できる温度範囲内に維持されるようにバイパス管44への流量(バイパス率)を制御する。
また、電装基板66は、出湯管42に設けた出湯温度サーミスタによって出湯温度を監視し、出湯温度が外部の給湯リモコン又は風呂リモコンによって指示された設定温度となるように、ガス分配ユニット25の各電磁弁の開閉制御と比例弁の開度調整とを行うと共に、燃焼ファン装置22の動作制御によって空気量を連続的に変化させる。
給湯栓を閉じると、給湯水量センサからの信号停止を確認した電装基板66は、元弁及びガス分配ユニット25の電磁弁を閉じてバーナユニット20を消火させ、所定時間燃焼ファン装置22を駆動させる(ポストパージ)。
【0024】
一方、給湯リモコン又は風呂リモコンの自動スイッチを押すと、電装基板66は、落とし込み管47に設けた落とし込み水電磁弁を開弁して給湯一次熱交換器27及び給湯二次熱交換器32に通水させてバーナユニット20を燃焼させる。出湯管42からの湯は、落とし込み管47及び風呂戻り管45を通って外部の浴槽に供給される。落とし込み管47に設けた風呂水量センサで検出した水量が設定水量に達すると、電装基板66は、落とし込み水電磁弁を閉じて通水を停止し、バーナユニット20を消火させる。
次に、電装基板66は、ポンプ46を作動させて、風呂熱交換器28と浴槽との間で湯を循環させる。このとき、電装基板66は、風呂戻り管45及び風呂往き管48に設けたサーミスタで循環する湯の温度を監視し、設定温度からの低下を確認すると、給湯時と同様にバーナユニット20を点火すると共に、燃焼ファン装置22によって燃焼用空気を供給する。よって、風呂熱交換器28と浴槽との間を循環する風呂循環水は、風呂側伝熱管31を流れる際にバーナユニット20の燃焼排気と熱交換されて設定温度まで加熱される。設定温度に達すると、電装基板66は、バーナユニット20の燃焼を停止させ、ポンプ46を停止させる。
【0025】
(燃焼ファン装置の説明)
図7は、ファンケース24と吸音材70とを分解した状態を示した説明図である。図8は、燃焼ファン装置22を後側から示した説明図である。図9は、燃焼ファン装置22におけるファンケース24の前後方向での中央部分の鉛直断面を示した説明図である。
燃焼ファン装置22は、前後方向を軸として回転するファン77と、ファン77を回転させるためのファンモータ23と、ファン77を収納するファンケース24と、吸音材70とを備えている。
【0026】
ファンケース24は、前後方向へ延びて前後両側に開口する円筒状のケース本体71と、ケース本体71の前面開口を閉塞するように設けられたケース前板72と、ケース本体71の後面開口を閉塞するように設けられたケース後板73とを有している。ケース前板72の略中央部には、ファンケース24内へ空気を吸い込むための吸入口74が開設されている。ケース後板73の略中央部には、ファンモータ23が設置されている。ケース本体71の上部には、吸入口74からファンケース24内へ吸い込まれた空気を燃焼用空気として燃焼室16へ供給するための吹出口75が設けられている。ケース本体71の吹出口75部分には、燃焼ファン装置22を筐体2内に設置するための設置金具76が取り付けられている。なお、ファン77は、ケース本体71内に位置している。
【0027】
吸音材70は、帯状に成形されたグラスウールである。吸音材70の前後幅(短手方向における長さ)は、ケース本体71の前後長さと略同じとされている。吸音材70の長手方向における長さは、ケース本体71の周長と略同じとされている。そして、吸音材70は、ケース本体71の周面を被覆するようにケース本体71に貼着され、回転軸を中心とした放射方向においてファン77の外側を略全周にわたり覆っている。また、吸音材70は、ファンケース24の吸入口74よりも上流側に突出しておらず、且つ、吹出口75よりも下流側にも突出していない。
【0028】
上記燃焼ファン装置22では、ファン77が回転することによって吸入口74から吹出口75へ向かう空気流を発生させ、外気を燃焼室16へ供給する。また、上述したように燃焼ファン装置22は燃焼室16の下側に設置される。そして、燃焼ファン装置22を設置した状態において側板7Aを取り付けると、図9に示すように吸音材70は側板7Aの内面に接触して押し潰される。
【0029】
(燃焼ファン装置に係る発明の効果)
以上のような構成を有する燃焼ファン装置22を備えた給湯器1によれば、燃焼ファン装置22におけるファン77を収納するファンケース24の表面に吸音材70を取り付けるとともに、吸音材70を筐体2の内面である側板7Aの内面に接触させて押し潰すことによって、燃焼ファン装置22の振動が筐体2に伝播しづらく、燃焼ファン装置22の駆動に伴い筐体がガタ付きにくい給湯器1としている。したがって、従来のようにゴムマウント等で燃焼ファン装置22を支持する必要のない簡易な構造で振動抑制を実現することができ、部品点数の削減、ひいては部品管理及び製造に係る手間やコストの低減を図ることができる。また、ゴムマウント等で燃焼ファン装置22を支持する構造では、ゴムマウントが設置される筐体2についても高い寸法精度が要求されていたところ、そのような高い寸法精度も要求されることがなく、更なるコスト低減を図ることができる。加えて、吸音材70を用いて筐体2のガタ付き防止を図るといった合理的な構造となっているため、一層のコスト低減を実現することができる。
【0030】
また、ファンケース24に、外気を吸い込むための吸入口74と、吸い込んだ空気を燃焼用空気として燃焼室16に供給するための吹出口75とを設けているとともに、吸音材70を、ファンケース24の吸入口74よりも上流側に突出させず、且つ、ファンケース24の吹出口75よりも下流側にも突出させない。したがって、たとえ経年劣化により吸音材70が剥がれ落ちたとしても、燃焼ファン装置22の駆動に伴って吸音材70が吸入口74から吸い込まれたり、燃焼室16側へ吹き飛ばされたりしにくい。つまり、吸音材70がバーナユニット20への給気経路を塞ぎにくい給湯器1とすることができる。
【0031】
なお、本発明に係る給湯器は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、給湯器の全体的な構成は勿論、燃焼ファン装置に係る構成についても必要に応じて適宜変更することができる。
【0032】
たとえば、上記実施形態では、前後方向を軸としてファンが回転するように燃焼ファン装置を備えているが、燃焼ファン装置の姿勢、すなわちファンがどの方向を軸として回転するように燃焼ファン装置を備えるかについては適宜設計変更可能である。
また、同様に筐体内における燃焼ファン装置の位置についても適宜設計変更可能であるし、吸音材を筐体の背面や底面に接触させる等といったように燃焼ファン装置の姿勢や位置に応じて吸音材を接触させる筐体の内面も適宜設計変更することができる。
【0033】
さらに、上記実施形態では、回転軸を中心とした放射方向においてファンの外側を略全周にわたり覆うように吸音材を取り付けているが、回転軸を中心とした放射方向においてファンの外側の少なくとも一部を覆ってさえいれば全周を覆わずとも良い。さらにまた、上記実施形態では、吸音材を、ファンケースの吸入口よりも上流側に突出させず、且つ、ファンケースの吹出口よりも下流側にも突出させないとしているが、吸音材が筐体の内面に接触させしていれば、吸入口よりも上流側に突出していたり、吹出口よりも下流側に突出していたりしてもよい。
加えて、ケース本体の左右両側に夫々別の吸音材を取り付けてもよく、吸音材の大きさや数等についても適宜設計変更可能である。
【符号の説明】
【0034】
1・・給湯器、2・・筐体、3・・箱本体、7A、7B・・側板、16・・燃焼室、22・・燃焼ファン装置、23・・ファンモータ、24・・ファンケース、70・・吸音材、71・・ケース本体、74・・吸入口、75・・吹出口、77・・ファン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9