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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034322
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20240306BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A61B1/00 714
G02B23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138494
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】市倉 繁
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 峻治
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040BA21
2H040DA03
2H040DA17
2H040DA21
4C161FF11
4C161FF30
(57)【要約】
【課題】組立作業を容易にしつつ、挿入部の意図しない回転を防止できる内視鏡を提供する。
【解決手段】体腔内に挿入される挿入部14に連結されて挿入部14と共に回転する回転筒部27と、挿入部14を操作する操作部20とを備える内視鏡であって、回転筒部27が内嵌する貫通孔262が形成された底部261を有し、回転筒部27を回転させる摘み筒部26と、操作部20に設けられ、摘み筒部26の底部261と接して摘み筒部26の回転を抑止する回転抑止部材30とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内に挿入される挿入部に連結されて前記挿入部と共に回転する回転筒部と、前記挿入部を操作する操作部とを備える内視鏡であって、
前記回転筒部が内嵌する貫通孔が形成された底部を有し、前記回転筒部を回転させる摘み筒部と、
前記操作部に設けられ、前記摘み筒部の前記底部と接して前記摘み筒部の回転を抑止する回転抑止部材と
を備える内視鏡。
【請求項2】
前記回転筒部に外嵌して前記回転筒部を回転可能に保持する保持筒部を備え、
前記回転抑止部材は、前記保持筒部の外側に周設されている請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記回転抑止部材と、前記摘み筒部の内側面との間には間隙が形成されている請求項1又は2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記回転抑止部材はリング形状である請求項1又は2に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記回転抑止部材は断面視矩形の環体形状である請求項1又は2に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記摘み筒部の前記底部に形成され、前記回転抑止部材に対応する形状をなす溝を備える請求項1又は2に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記回転筒部の軸心方向において前記底部と反対側で前記回転抑止部材と当接する当接部を備えており、
前記当接部には前記回転抑止部材に対応する形状をなす溝が形成されている請求項1又は2に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔内に挿入される挿入部を備える内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者の体腔内等に挿入部を挿入して操作部を操作することによって患部の撮像を行う内視鏡が広く普及している。
【0003】
例えば、特許文献1には、操作部口金部と挿入部口金部との嵌合部にて、径方向における操作部口金部と挿入部口金部との間に回転力量制御部材を設け、回転力量制御部材による摩擦抵抗を用いて、挿入部がユーザの意図しないタイミングで回転することを防止する内視鏡が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2012/164978号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の内視鏡は、径方向における操作部口金部と挿入部口金部との間に回転力量制御部材が設けられているので、操作部口金部と挿入部口金部とを嵌合する組立作業の際に、回転力量制御部材と操作部口金部又は挿入部口金部との擦り合いが生じる。よって、斯かる組立作業が遅延され、ひいては回転力量制御部材の破断、早期劣化等が生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、組立作業を容易にしつつ、挿入部の意図しない回転を防止できる内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る内視鏡は、体腔内に挿入される挿入部に連結されて前記挿入部と共に回転する回転筒部と、前記挿入部を操作する操作部とを備える内視鏡であって、前記回転筒部が内嵌する貫通孔が形成された底部を有し、前記回転筒部を回転させる摘み筒部と、前記操作部に設けられ、前記摘み筒部の前記底部と接して前記摘み筒部の回転を抑止する回転抑止部材とを備える。
【0008】
本発明にあっては、前記回転抑止部材が前記摘み筒部の前記底部と接して前記摘み筒部の回転を抑止することによって前記摘み筒を介して前記回転筒部の回転が抑止される。これによって、前記回転筒部と連結された前記挿入部がユーザの意図によらず回転をすることを防止できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、組立作業を容易にしつつ、挿入部の意図しない回転を防止できる内視鏡を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1に係る内視鏡の外観図である。
図2】実施の形態1に係る内視鏡の操作部及び折止部を拡大表示する拡大図である。
図3】軸心方向に沿う操作部及び折止部の断面図である。
図4図2において摘み筒部の内側の構成を示す説明図である。
図5】摘み筒部及び折止部を軸心回りに所定角度回転させた状態を表す断面図である。
図6】実施の形態1に係る内視鏡において、摘み筒部を組み付ける過程を表す説明図である。
図7】実施の形態1の変形例に係る内視鏡の要部構成を示す部分的断面図である。
図8】実施の形態2に係る内視鏡の要部構成を示す部分的断面図である。
図9】実施の形態3に係る内視鏡の要部構成を示す部分的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態に係る内視鏡について、図面に基づいて詳述する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡10の外観図である。
本実施の形態の内視鏡10は、被検者の体腔内に挿入される挿入部14と、挿入部14を操作する操作部20と、図示しないプロセッサに接続されるコネクタ部24とを備える。
挿入部14は、折止部16を有しており、折止部16を介して操作部20に連結されており、コネクタ部24はユニバーサルコード25を介して操作部20に連結されている。
【0013】
ユニバーサルコード25は、柔軟性を有しており、挿入部14の先端に設けられた後述する撮像部13の撮像ユニット(図示せず)からの画像データ(電気信号)をコネクタ部24に送る電気線を含む。
【0014】
操作部20は、把持部205と、ユーザから指示を受け付けるボタン210と、挿入部14の湾曲動作を操作する湾曲操作レバー21とを有している。
【0015】
把持部205は、折止部16に向けて徐々に縮径する略円筒形状をなしており、折止部16側寄りに、処置具等を挿入するためのチャンネル入口22が設けられている。把持部205は、後述の如く略円筒形状をなす挿入部14と同一の軸心上に配設されている。
【0016】
また、操作部20(把持部205)は、折止部16寄りの端部に、挿入部14を回転させる摘み筒部26が設けられている。ユーザが摘み筒部26を回転させた場合、挿入部14が回転する。
【0017】
挿入部14は先端側に撮像部13を有しており、撮像部13は細径の円筒形状を有している。また、折止部16は、挿入部14に向けて徐々に縮径する略円筒形状をなしており、挿入部14の急激な折れ曲がりを抑止する。
【0018】
撮像部13は、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像手段、該撮像手段を駆動する為の回路基板、観察光学系等を含む前記撮像ユニットと、一連のレンズ組からなるレンズユニット(図示せず)とを有している。また、撮像部13は、体腔内の観察対象部位に光を照射する照射、照明光学系等(図示せず)を有している。撮像部13の前記撮像ユニットからの電気信号は、コネクタ部24を介して前記プロセッサに送られる。
【0019】
挿入部14は、上述の如く、操作部20の操作により、湾曲可能である。即ち、挿入部14は湾曲操作レバー21の操作に応じて2方向へ自由に湾曲される。
【0020】
図2は、実施の形態1に係る内視鏡10の操作部20及び折止部16を拡大表示する拡大図であり、図3は、軸心方向に沿う操作部20及び折止部16の断面図であり、図4は、図2において摘み筒部26の内側の構成を示す説明図であり、図5は、摘み筒部26及び折止部16を軸心回りに所定角度回転させた状態を表す断面図である。図4では、便宜上、摘み筒部26の輪郭のみを示している。なお、図3及び図5では、Oリングの断面を黒丸にて示している。
【0021】
操作部20には、折止部16側の端部に、一端部が折止部16の一端部と連結された回転筒部27が設けられている。詳しくは、操作部20は保持筒部28を有しており、回転筒部27は保持筒部28によって回転可能に保持されている。
【0022】
保持筒部28は、円筒形状であり、把持部205の折止部16側の一端部に内嵌されている。保持筒部28の内周面において軸心方向の略中間位置には、環状に突出部281が周設されている。
【0023】
回転筒部27は、略円筒形状であり、他端部が保持筒部28に内嵌しており、一端部は折止部16の一端部に外嵌している。回転筒部27の他端部の外周面には、周方向に溝が形成されており、斯かる溝は保持筒部28の突出部281と係合している。これによって、回転筒部27は、軸心方向への移動が制限されている。
【0024】
回転筒部27は、一端部側の第1筒部271と、他端部側の第2筒部272とを含む。第1筒部271及び第2筒部272は、同軸心上に配置されており、嵌合している。
【0025】
第1筒部271の一端部では、内径が拡大しており、折止部16の一端部に設けられた縮径部161に外嵌している。第1筒部271の一端部と折止部16の縮径部161との間には、Oリングが介在されている。また、第1筒部271の一端部には、径方向に貫通するネジ孔が形成されており、斯かるネジ孔と対応する縮径部161の外周面には凹部が形成されている。前記ネジ孔からいわゆるイモネジSが挿入され、イモネジSの端部が縮径部161の前記凹部と係合することによって、折止部16は第1筒部271(回転筒部27)と一体化されており、上述の如く、回転筒部27と共に回転する(図5参照)。
また、第1筒部271では、第2筒部272側の他端部の内径が拡大しており、第2筒部272の一端部に外嵌している。
【0026】
また、回転筒部27の第1筒部271には、回転筒部27を摘み筒部26と連結させる連結部273が設けられている。連結部273は、第1筒部271の外周面の一箇所にて、径方向に外側へ突設されており(図4参照)、先端部が第2筒部272側に屈曲している。回転筒部27の軸心方向における連結部273の先端面は、摘み筒部26の後述する底部261の底面261Aと面一を成している。
なお、以下では、第1筒部271又は第2筒部272を回転筒部27とも言う。
【0027】
保持筒部28は、折止部16側の端部に、切り欠き282が形成されている。切り欠き282は、周方向に沿って前記端部の一部に形成されている。連結部273は、切り欠き282の内側に配置されており、保持筒部28の軸心方向における切り欠き282の縁部は、第1筒部271の外周面と、連結部273の屈曲した先端部との間に位置している。よって、回転筒部27が軸心回りに回転する際、連結部273も切り欠き282内を移動するが、連結部273の移動範囲は周方向における切り欠き282の両縁の間に制限される。即ち、回転筒部27の回転範囲は所定角度内に制限されている。
【0028】
摘み筒部26は有底円筒形状であり、軸心方向の一端部が把持部205の一端部に外嵌されている。摘み筒部26の一端部と把持部205の一端部との間には、Oリングが介在されている。また、摘み筒部26は軸心方向の他端部に底部261を有しており、回転筒部27が底部261を内外に貫通している。即ち、底部261の中央部には貫通孔262が形成されており、回転筒部27(第1筒部271)が貫通孔262に内嵌している。第1筒部271と貫通孔262の内周面との間には、Oリングが介在されている。
【0029】
また、底部261において、連結部273に対応する位置には、連結部273に倣う形状を有しており、連結部273と係合する係合凹部263が形成されている。よって、摘み筒部26が回転する場合、回転筒部27及び折止部16(挿入部14)も共に回転する。
【0030】
摘み筒部26の底部261の外側であって、回転筒部27の第1筒部271の一端部には、摘み筒部26を固定する固定筒50が設けられている。固定筒50は略円筒形状であり、第1筒部271の一端部に外嵌している。固定筒50と第1筒部271の一端部との間には、Oリングが介在されている。
【0031】
そして、保持筒部28の外側には、把持部205と保持筒部28との位置関係を定める位置決めナット29(当接部)が設けられている。位置決めナット29は、断面視矩形の環体形状を成しており、保持筒部28の外周面に形成されたねじ山(図示せず)と螺合している。この際、位置決めナット29の軸心方向の一端は、把持部205の一端部と当接している。
【0032】
保持筒部28の外側であって、摘み筒部26の底部261と、位置決めナット29との間に、回転抑止部材30が配設されている。回転抑止部材30は保持筒部28に外嵌している。例えば、回転抑止部材30は、断面視円形のリング形状であり(図4又は図5参照)、ゴム、シリコンなどの摩擦抵抗に優れた材料からなる。
【0033】
回転抑止部材30は摘み筒部26の底部261と接して摘み筒部26の回転を抑止する。即ち、回転抑止部材30は、位置決めナット29の軸心方向の他端と当接し、また、保持筒部28の外周面と当接し、かつ、摘み筒部26の底面261Aとも当接している。よって、回転抑止部材30と摘み筒部26の底面261Aとの間に発生する摩擦抵抗により、摘み筒部26の回転が抑止される。これに伴い、摘み筒部26に連結された挿入部14の回転も抑止される。
【0034】
一方、回転抑止部材30は、摘み筒部26の内側面から離れて配設されている。即ち、径方向において、回転抑止部材30と、摘み筒部26との間には間隙100が形成されている。
【0035】
以上のような構成を有する実施の形態1に係る内視鏡10は、ユーザが意図しないタイミングで挿入部14が回転することを事前に防止できる。
上述の如く、回転抑止部材30は、位置決めナット29の軸心方向の他端と当接し、また、保持筒部28の外周面と当接し、かつ、摘み筒部26の底面261Aとも当接している。この際、位置決めナット29の軸心方向の他端と回転抑止部材30との間、保持筒部28の外周面と回転抑止部材30との間、そして摘み筒部26の底面261Aと回転抑止部材30との間に発生する摩擦抵抗により、摘み筒部26の回転が抑止される。即ち、外力が加わらない限り、即ち、挿入部14の回転を希望するユーザが意図的に摘み筒部26を回転させない限り、挿入部14の回転は抑止される。
【0036】
また、実施の形態1に係る内視鏡10は、径方向において、回転抑止部材30と摘み筒部26との間には間隙100が形成されており、上述の如く、軸心方向でのみ回転抑止部材30が摘み筒部26(底面261A)と当接している。よって、組み立て時における回転抑止部材30の損傷を防止できる。以下、詳しく説明する。
【0037】
図6は、実施の形態1に係る内視鏡10において、摘み筒部26を組み付ける過程を表す説明図である。図6においては、組み付けが完了した状態を示しており、破線は、組み付ける途中の摘み筒部26を示している。また、図6では、摘み筒部26を固定する固定筒50を組み付ける前の状態を示している。
【0038】
摘み筒部26は、折止部16側から回転筒部27に嵌められ、上述の如く、回転筒部27(第1筒部271)に外嵌される。この際、図6に示すように、摘み筒部26が回転筒部27の外周面上を、図6の矢印方向に移動する。しかし、回転抑止部材30と摘み筒部26との間には間隙100が形成されているので、摘み筒部26の内側面が回転抑止部材30に当たることはなく、回転抑止部材30が擦られることはない。従って、組み立て作業の作業性を高めると共に、組み立て時における回転抑止部材30の損傷を防止できる。
【0039】
(変形例)
図7は、実施の形態1の変形例に係る内視鏡10の要部構成を示す部分的断面図である。便宜上、図7では、回転筒部27の近傍を拡大して示している。変形例に係る内視鏡10は回転抑止部材30Aを備えており、回転抑止部材30Aの形状は、実施の形態1の回転抑止部材30と相違する。
【0040】
保持筒部28の外側であって、摘み筒部26の底部261と、位置決めナット29との間に、回転抑止部材30Aが配設されている。回転抑止部材30Aは保持筒部28に外嵌している。例えば、回転抑止部材30Aは、断面視矩形の環体形状であり、ゴム、シリコンなどの摩擦抵抗に優れた材料からなる。
【0041】
回転抑止部材30Aは、位置決めナット29の軸心方向の他端と当接し、また、保持筒部28の外周面と当接し、かつ、摘み筒部26の底面261Aとも当接している。よって、回転抑止部材30Aと摘み筒部26の底面261Aとの間に発生する摩擦抵抗により、摘み筒部26の回転が抑止され、かつ摘み筒部26に連結された挿入部14の回転も抑止される。
一方、実施の形態1と同様、径方向において、回転抑止部材30Aと、摘み筒部26との間には間隙100が形成されている。
【0042】
以上のような構成を有するので、回転抑止部材30Aは、位置決めナット29の軸心方向の他端と当接し、また、保持筒部28の外周面と当接し、かつ、摘み筒部26の底面261Aとも当接している。回転抑止部材30Aは、断面視矩形であるので、位置決めナット29の軸心方向の他端との接触面積、保持筒部28の外周面との接触面積、そして摘み筒部26の底面261Aとの接触面積をより広げることができる。従って、位置決めナット29の軸心方向の他端と回転抑止部材30Aとの間、保持筒部28の外周面と回転抑止部材30Aとの間、そして摘み筒部26の底面261Aと回転抑止部材30Aとの間に発生する摩擦抵抗が増加する。よって、ユーザが意図しないタイミングで挿入部14が回転することをより効果的に防止できる。
【0043】
また、変形例に係る内視鏡10は、径方向において、回転抑止部材30Aと摘み筒部26との間には間隙100が形成されており、軸心方向でのみ回転抑止部材30Aが摘み筒部26(底面261A)と当接している。よって、組み立て作業の作業性を高めると共に、組み立て時に、摘み筒部26と接することによって擦られて回転抑止部材30Aが損傷することを防止できる。
【0044】
(実施の形態2)
図8は、実施の形態2に係る内視鏡10の要部構成を示す部分的断面図である。便宜上、図8では、回転筒部27の近傍を拡大して示している。
実施の形態2に係る内視鏡10は、実施の形態1と同様に、保持筒部28の外側であって、摘み筒部26の底部261と、位置決めナット29との間に、回転抑止部材30が配設されている。回転抑止部材30は保持筒部28に外嵌している。例えば、回転抑止部材30は、断面視円形のリング形状であり、ゴム、シリコンなどの摩擦抵抗に優れた材料からなる。
【0045】
回転抑止部材30は、位置決めナット29の軸心方向の他端と当接し、また、保持筒部28の外周面と当接し、かつ、摘み筒部26の底面261Aとも当接している。
より詳しくは、摘み筒部26の底面261Aにおいて、回転抑止部材30と軸心方向に対向する位置には、溝264が形成されている。即ち、保持筒部28の周方向に溝264が円形状に形成されている。溝264は、回転抑止部材30に対応する湾曲面を内側に有しており、回転抑止部材30が溝264内に部分的に収容されている。
【0046】
この際、回転抑止部材30と摘み筒部26の底面261Aとの間に発生する摩擦抵抗により、摘み筒部26の回転が抑止され、かつ摘み筒部26に連結された挿入部14の回転も抑止される。
一方、実施の形態1と同様、径方向において、回転抑止部材30と、摘み筒部26との間には間隙100が形成されている。
【0047】
以上のような構成を有するので、回転抑止部材30は、位置決めナット29の軸心方向の他端と当接し、また、保持筒部28の外周面と当接し、かつ、摘み筒部26の底面261Aとも当接している。
更に、摘み筒部26の底面261Aには溝264が形成されており、回転抑止部材30が溝264内に部分的に収容されているので、回転抑止部材30と摘み筒部26の底面261Aとの接触面積を広く確保することができる。従って、摘み筒部26の底面261Aと回転抑止部材30との間に発生する摩擦抵抗が増加する。よって、ユーザが意図しないタイミングで挿入部14が回転することをより効果的に防止できる。
【0048】
また、上述の如く、回転抑止部材30が溝264内に部分的に収容されているので、回転抑止部材30の位置が決められ、回転抑止部材30の位置が正規の位置からずれることを抑止できる。
【0049】
更に、実施の形態2に係る内視鏡10においても、径方向において、回転抑止部材30と摘み筒部26との間には間隙100が形成されており、軸心方向でのみ回転抑止部材30が摘み筒部26(底面261A)と当接している。よって、組み立て作業の作業性を高めると共に、組み立て時に、摘み筒部26と接することによって擦られて回転抑止部材30が損傷することを防止できる。
【0050】
実施の形態2の内視鏡10における他の構成は、実施の形態1の内視鏡10と同じであり、実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0051】
(実施の形態3)
図9は、実施の形態3に係る内視鏡10の要部構成を示す部分的断面図である。便宜上、図9では、回転筒部27の近傍を拡大して示している。
実施の形態3に係る内視鏡10は、実施の形態1と同様に、保持筒部28の外側であって、摘み筒部26の底部261と、位置決めナット29との間に、回転抑止部材30が配設されている。回転抑止部材30は保持筒部28に外嵌している。例えば、回転抑止部材30は、断面視円形のリング形状であり、ゴム、シリコンなどの摩擦抵抗に優れた材料からなる。
【0052】
回転抑止部材30は、位置決めナット29の軸心方向の他端と当接し、また、保持筒部28の外周面と当接し、かつ、摘み筒部26の底面261Aとも当接している。
より詳しくは、位置決めナット29の軸心方向の他端において、回転抑止部材30と軸心方向に対向する位置には、溝291が形成されている。即ち、位置決めナット29の軸心方向の他端面に沿って溝291が円形状に形成されている。溝291は、回転抑止部材30に対応する湾曲面を内側に有しており、回転抑止部材30が溝291内に部分的に収容されている。
【0053】
この際、回転抑止部材30と摘み筒部26の底面261Aとの間に発生する摩擦抵抗により、摘み筒部26の回転が抑止され、かつ摘み筒部26に連結された挿入部14の回転も抑止される。
一方、実施の形態1と同様、径方向において、回転抑止部材30と、摘み筒部26との間には間隙100が形成されている。
【0054】
以上のような構成を有するので、回転抑止部材30は、位置決めナット29の軸心方向の他端と当接し、また、保持筒部28の外周面と当接し、かつ、摘み筒部26の底面261Aとも当接している。
更に、位置決めナット29の軸心方向の他端には溝291が形成されており、回転抑止部材30が溝291内に部分的に収容されているので、回転抑止部材30と位置決めナット29の軸心方向の他端との接触面積を広くすることができる。よって、位置決めナット29の軸心方向の他端と回転抑止部材30との間に発生する摩擦抵抗が増加し、回転抑止部材30の移動を抑止する抑止力が高まる。従って、回転抑止部材30との摩擦抵抗による摘み筒部26の回転阻止効果を向上させることができ、ユーザが意図しないタイミングで挿入部14が回転することをより効果的に防止できる。
【0055】
また、上述の如く、回転抑止部材30が溝291内に部分的に収容されているので、回転抑止部材30の位置が決められ、回転抑止部材30の位置が正規の位置からずれることを抑止できる。
【0056】
更に、実施の形態3に係る内視鏡10においても、径方向において、回転抑止部材30と摘み筒部26との間には間隙100が形成されており、軸心方向でのみ回転抑止部材30が摘み筒部26(底面261A)と当接している。よって、組み立て作業の作業性を高めると共に、組み立て時に、摘み筒部26と接することによって擦られて回転抑止部材30が損傷することを防止できる。
【0057】
実施の形態3の内視鏡10における他の構成は、実施の形態1の内視鏡10と同じであり、実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0058】
そして、回転抑止部材30を保持筒部28の外周面から離れて配設しても良い。即ち、径方向において、回転抑止部材30と、保持筒部28の外周面との間に間隙を形成しても良い。この際、保持筒部28と接することによって擦られて、回転抑止部材30が損傷することを更に防止できる。
【0059】
実施の形態1~3で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0060】
10 内視鏡
13 撮像部
14 挿入部
18 連結部
20 操作部
26 摘み筒部
27 回転筒部
28 保持筒部
29 位置決めナット
30 回転抑止部材
30A 回転抑止部材
100 間隙
261 底部
261A 底面
262 貫通孔
264 溝
291 溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9