IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コイト電工株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-制御システム 図1
  • 特開-制御システム 図2
  • 特開-制御システム 図3
  • 特開-制御システム 図4
  • 特開-制御システム 図5
  • 特開-制御システム 図6
  • 特開-制御システム 図7
  • 特開-制御システム 図8
  • 特開-制御システム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034323
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】制御システム
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
H04R3/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138495
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐古田 勝久
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220AA11
5D220AA31
(57)【要約】
【課題】複数の装置が同時に鳴動しても容易に警報音を認識することができる制御システムを提供する。
【解決手段】本発明の一形態に係る制御システムは、第1の制御装置と、第2の制御装置と、コントローラとを具備する。上記第1の制御装置は、入力信号に基づいて第1の出力信号を生成する。上記第2の制御装置は、上記入力信号に基づいて第2の出力信号を生成する。上記コントローラは、上記第1の出力信号と上記第2の出力信号とに基づいて、上記第1の出力信号と上記第2の出力信号とを同期させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号に基づいて第1の出力信号を生成する第1の制御装置と、
前記入力信号に基づいて第2の出力信号を生成する第2の制御装置と、
前記第1の出力信号と前記第2の出力信号とに基づいて、前記第1の出力信号と前記第2の出力信号とを同期させるコントローラと
を具備する制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の制御システムであって、
前記コントローラは、前記第1の出力信号の出力タイミングと前記第2の出力信号の出力タイミングとに基づいて、前記第1の出力信号と前記第2の出力信号とを同期させる
制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載の制御システムであって、
前記第1の出力信号に基づいて第1の音を出力する第1のスピーカと、前記第2の出力信号に基づいて第2の音を出力する第2のスピーカとをさらに具備する
制御システム。
【請求項4】
請求項3に記載の制御システムであって、
前記第1の音及び前記第2の音を取得するマイクをさらに具備し、
前記コントローラは、前記マイクによって取得した前記第1の音及び前記第2の音に基づいて、前記第1の出力信号と前記第2の出力信号とを同期させる
制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子アラーム音を鳴動させる制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の運行中に起こった故障を警報音で知らせるための装置において、警報音が電子化された装置が知られている。電子アラームは、重度の故障に対しては、ベル音、軽度の故障に対してはブザー音などで使い分けられており、例えば特許文献1には、ベル音とブザー音とが同時に出せる電子アラーム装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-332486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の装置が同時に鳴動した場合、お互いの音が干渉しあい的確に警報音を認識することが難しいといった問題がある。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、複数の装置が同時に鳴動しても容易に警報音を認識することができる制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る制御システムは、第1の制御装置と、第2の制御装置と、コントローラとを具備する。
上記第1の制御装置は、入力信号に基づいて第1の出力信号を生成する。
上記第2の制御装置は、上記入力信号に基づいて第2の出力信号を生成する。
上記コントローラは、上記第1の出力信号と上記第2の出力信号とに基づいて、上記第1の出力信号と上記第2の出力信号とを同期させる。
【0007】
上記制御システムにおいて、上記コントローラが、上記第1の出力信号と上記第2の出力信号とに基づいて、上記第1の出力信号と上記第2の出力信号とを同期させるため、上記第1の出力信号と上記第2の出力信号との信号同士のずれを抑制することができる。これにより、複数の装置が同時に鳴動しても容易に警報音を認識することができる。
【0008】
上記コントローラは、上記第1の出力信号の出力タイミングと上記第2の出力信号の出力タイミングとに基づいて、上記第1の出力信号と上記第2の出力信号とを同期させてもよい。
【0009】
上記第1の出力信号に基づいて第1の音を出力する第1のスピーカと、上記第2の出力信号に基づいて第2の音を出力する第2のスピーカとをさらに具備してもよい。
【0010】
上記第1の音及び前記第2の音を取得するマイクをさらに具備してもよい。
その場合、上記コントローラは、上記マイクによって取得した上記第1の音及び上記第2の音に基づいて、上記第1の出力信号と上記第2の出力信号とを同期させる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、複数の装置が同時に鳴動しても容易に警報音を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る制御システムのブロック図である。
図2】上記制御システムにおける第1の制御装置及び第2の制御装置のブロック図である。
図3】同期した第1のスピーカ及び第2のスピーカから発せられる音を示す図であり(A)は、第1のスピーカから発せられる第1の音を示す図、(B)は、第2のスピーカから発せられる第2の音を示す図、(C)は、第1のスピーカ及び第2のスピーカから発せられる音が重ねあった第3の音を示す図である。
図4】同期していない第1のスピーカ及び第2のスピーカから発せられる音を示す図であり(A)は、第1のスピーカから発せられる第1の音を示す図、(B)は、第2のスピーカから発せられる第2の音を示す図、(C)は、第1のスピーカ及び第2のスピーカから発せられる音が重ねあった第3の音を示す図である。
図5】同期するように調整された第1のスピーカ及び第2のスピーカから発せられる音を示す図であり(A)は、第1のスピーカから発せられる第1の音を示す図、(B)は、第2のスピーカから発せられる第2の音を示す図、(C)は、第1のスピーカ及び第2のスピーカから発せられる音が重ねあった第3の音を示す図である。
図6】本発明の変形例1に係る制御システムのブロック図である。
図7】本発明の変形例2に係る制御システムのブロック図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る制御システムのブロック図である。
図9】本発明の第3の実施形態に係る制御システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0014】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の一実施形態に係る制御システム1のブロック図であり、図2は、制御システム1における第1の制御装置20A及び第2の制御装置20Bのブロック図である。本実施形態における制御システム1は、例えば鉄道車両の運転席に設けられ運転手に対して鉄道機器の故障またはATSが作動した場合、非常時、呼び出しなどを知らせる装置(例えば表示装置やスピーカ)を制御するシステムとして用いられる。
【0015】
制御システム1は、第1の制御システム10Aと第2の制御システム10Bとを有する。第1の制御システム10Aと第2の制御システム10Bとは、おおよそ同じ構成で、冗長性を有している。本実施形態では、第1の制御システム10Aが有する第1のスピーカ17A(後述)と第2の制御システム10Bが有する第2のスピーカ17B(後述)とを、同時に鳴動させる構成である。一般的にシステムに冗長性をもたせることにより、一方のシステムが故障しても他方のシステムによって機能(スピーカなど)を補うことができる。しかしながら、その機能がスピーカの場合であって同時に鳴動させる際、スピーカから発せられる音同士にずれ(出力するタイミングや位相など)が生じていると、そのずれによりお互いの音が打ち消しあって所望とする音(警告音など)を運転手などに聞かせることができないといった課題がある。以下、上述した課題に対して同時に鳴動させたとしても所望とする音を運転手などに聞かせることができる構成について説明する。
【0016】
(第1の制御システム)
第1の制御システム10Aは、第1のクロック発振装置11Aと、外部メモリ12Aと、第1の入力装置13Aと、第1の電源回路14Aと、第1のD/A変換装置15Aと、第1のアンプ16Aと、第1のスピーカ17Aと、第1の記憶装置18Aと、第1の制御装置20Aとを有する。
【0017】
第1のクロック発振装置11Aは、あらかじめ定められた周波数(例えば10kHz)のクロック信号を後述する第1の内部時計25Aに出力する装置である。第1のクロック発振装置11Aは、例えば水晶振動子を使用したものが用いられる。
【0018】
外部メモリ12Aは、本実施形態において音に関するデータが記憶された不揮発性メモリであり、後述する第1の記憶装置16Aに記憶する。音に関するデータとは、後述する第1のスピーカ17Aによって出力される様々な音の種類(振幅や周波数、出力時間などが異なるもの)を記憶したものである。本実施形態では音の種類としてベル音やブザー音といった警告音が記憶される。またその音に関するデータのサンプリング周波数は、44.1kHzである。
【0019】
第1の入力装置13Aは、後述する第1の制御装置20Aに所望とする音を出力させるための指令信号(入力信号)を出力する。第1の入力装置13Aは、外部から入力された信号に基づいて指令信号を出力する。本実施形態では第1の入力装置13Aには、フォトカプラが用いられるが、もちろんこれに限られない。
【0020】
また所望とする音とは、上述したようにベル音やブザー音などの警告音であり、運転手などに異常を警告することを目的とする音である。本実施形態においてベル音は重度の故障、ブザー音は軽度の故障に対して発生られているが、もちろんこれに限られず、運転手に対し、注意を促す目的で発せられてもよい。ここで外部から入力された信号とは、例えば鉄道車両に異常があった際にそれを知らせる信号であるが、もちろんこれに限られない。
【0021】
第1の電源回路14Aは、図示しない第1の電源から入力された電圧を所定の電圧にして第1の制御装置20Aに出力するように構成される。また後述する第2の電源回路14Bは、図示しない第2の電源(第1の電源とは異なる)から入力された電圧を所定の電圧にして第2の制御装置20Bに出力するように構成される。
【0022】
第1のD/A変換装置15Aは、第1の制御装置20Aから出力されたデジタル信号をアナログ信号に変換する。
【0023】
第1のアンプ16Aは、第1のD/A変換装置15Aにより変換されたアナログ信号を増幅する。
【0024】
第1のスピーカ17Aは、第1のアンプ16Aによって増幅されたアナログ信号に基づく音(ベル音やブザー音など)を出力する。
【0025】
第1の記憶装置18Aは、フラッシュメモリであり、第1の取得部21A(後述)によって取得された外部メモリ12Aに記憶された音に関するデータを格納する。
【0026】
(第1の制御装置)
図1、2に示すように第1の制御装置20Aは、CPU(Central Processing Unit)等により構成され、第1の取得部21Aと、第1の生成部22Aと、第1の出力部23Aと、第1の通信部24Aと、第1の内部時計25Aとを有する。
【0027】
第1の取得部21Aは、外部メモリ12Aから音に関するデータと、第1の入力装置13Aから入力される入力信号(指令信号)と、第1の記憶装置18Aに記憶された音に関するデータとを取得する。
【0028】
第1の生成部22Aは、取得した上記入力信号に基づいて第1の出力信号を生成する。第1の生成部22Aは、入力信号に基づいて第1の記憶装置18Aに記憶された音に関するデータを第1の取得部21Aに取得させ、そのデータに基づいて第1の出力信号を生成する。例えば上記入力信号がベル音とブザー音とに関する信号であった場合、その入力信号に基づいて、第1の記憶装置18Aからそのベル音とブザー音とのデータ(周波数や出力時間などを含む)を取得し、それらのデータに基づいて第1の出力信号を生成する。
【0029】
第1の生成部22Aは、出力する音の種類に応じて優先順位を設けてもよい。第1の生成部22Aは、上記優先順位に従って例えば音の大きさ(音圧)に違いを設けてもよい。例えばベル音とブザー音とが同時に鳴動する場合、例えばベル音の音量をブザー音の音量よりも大きくするなどして音を聞き取りやすくしてもよい。
【0030】
第1の出力部23Aは、上記第1の出力信号を第1のD/A変換装置15Aに出力する。
【0031】
第1の通信部24Aは、後述する第2の制御装置20Bと通信可能に構成される。第1の通信部24Aは、例えばUARTであり、シリアル通信によってデータを送信することができる。第1の通信部24Aは、第1の出力信号に関する第1の情報を第2の制御装置20Bへ送信する。
【0032】
ここで第1の情報とは、第1の出力信号の出力タイミングや第1の出力信号の位相(波形)、第1の出力信号の振幅、第1の出力信号の周波数、第1の出力信号の出力時間などが含まれる。また第1の通信部24Aが第1の情報を送信するタイミングは適宜設定可能であるが、例えば第1の出力信号を出力するタイミングで送信される。
【0033】
第1の内部時計25Aは、上述した第1のクロック発振装置11Aから出力されるクロック信号により内部時刻を計時する。上述した第1の出力信号の出力タイミングや出力時間などはこの内部時刻に基づき制御される。
【0034】
(第2の制御システム)
第2の制御システム10Bは、第2のクロック発振装置11Bと、外部メモリ12Bと、第2の入力装置13Bと、第2の電源回路14Bと、第2のD/A変換装置15Bと、第2のアンプ16Bと、第2のスピーカ17Bと、第2の記憶装置18Bと、第2の制御装置20Bとを有する。
【0035】
第2のクロック発振装置11Bは、あらかじめ定められた周波数(例えば10kHz)のクロック信号(第1のクロック発振装置11Aと同様)を後述する第2の内部時計25Bに出力する装置である。第2のクロック発振装置11Bは、例えば水晶振動子を使用したものが用いられる。
【0036】
外部メモリ12Bは、本実施形態において音に関するデータ(本実施形態では外部メモリ12Aに記憶されたデータと同一)が記憶された不揮発性メモリであり、後述する第2の記憶装置16Bに記憶する。またその音に関するデータのサンプリング周波数は、44.1kHzである。
【0037】
第2の入力装置13Bは、後述する第2の制御装置20Bに所望とする音を出力させるための指令信号(入力信号)を出力する。第2の入力装置13Bは、外部から入力された信号に基づいて指令信号を出力する。本実施形態において上記指令信号は第1の入力装置13Aから出力される信号と同一のものである。また第2の入力装置13Bには、フォトカプラが用いられるが、もちろんこれに限られない。
【0038】
また所望とする音とは、上述したようにベル音やブザー音などの警告音であり、運転手などに異常を警告することを目的とする音である。本実施形態においてベル音は重度の故障、ブザー音は軽度の故障に対して発生られているが、もちろんこれに限られず、運転手に対し、注意を促す目的で発せられてもよい。ここで外部から入力された信号とは、例えば鉄道車両に異常があった際にそれを知らせる信号であるが、もちろんこれに限られない。
【0039】
第2の電源回路14Bは、図示しない第2の電源(第1の電源とは異なる)から入力された電圧を所定の電圧にして第2の制御装置20Bに出力するように構成される。
【0040】
第2のD/A変換装置15Bは、第2の制御装置20Bから出力されたデジタル信号をアナログ信号に変換する。
【0041】
第2のアンプ16Bは、第2のD/A変換装置15Bにより変換されたアナログ信号を増幅する。
【0042】
第2のスピーカ17Bは、第2のアンプ16Bによって増幅されたアナログ信号に基づく音(ベル音やブザー音など)を出力する。
【0043】
第2の記憶装置18Bは、フラッシュメモリであり、第2の取得部21B(後述)によって取得された外部メモリ12Bに記憶された音に関するデータを格納する。
【0044】
(第2の制御装置)
図2に示すように第2の制御装置20Bは、CPU(Central Processing Unit)等により構成され、第2の取得部21Bと、第2の生成部22Bと、第2の出力部23Bと、第2の内部時計24Bと、コントローラ25とを有する。
【0045】
第2の取得部21Bは、外部メモリ12Bから音に関するデータと、第2の入力装置13Bから入力される入力信号と、第2の記憶装置18Bに記憶された音に関するデータとを取得する。
【0046】
第2の生成部22Bは、取得した上記入力信号に基づいて第2の出力信号を生成する。第2の生成部22Bは、入力信号に基づいて第2の記憶装置18Bに記憶された音に関するデータを第2の取得部21Bに取得させ、そのデータに基づいて第2の出力信号を生成する。
【0047】
例えば上記入力信号がベル音とブザー音とに関する信号であった場合、その入力信号に基づいて、第2の記憶装置18Bからそのベル音とブザー音とのデータ(周波数や出力時間などを含む)を取得し、それらのデータに基づいて第2の出力信号を生成する。第2の出力信号は、本実施形態では第1の出力信号と同じ波形であるが、もちろんこれに限られず、異なる波形であってもよい。
【0048】
第2の出力部23Bは、上記第2の出力信号を第2のD/A変換装置15Bに出力する。
【0049】
第2の内部時計24Bは、上述した第2のクロック発振装置11Bから出力されるクロック信号により内部時刻を計時する。上述した第2の出力信号の出力タイミングや出力時間などはこの内部時刻に基づき制御される。
【0050】
(コントローラ)
コントローラ25は、第3の取得部251と、比較部252と、判定部253と、調整部254と、第3の出力部255とを有する。
【0051】
第3の取得部251は、第1の通信部24Aによって送信された第1の出力信号に関する第1の情報と、第2の生成部22Bによって生成された第2の出力信号に関する第2の情報とを取得する。本実施形態では第3の取得部251が第1の情報を取得するタイミングは、第1の通信部24Aによって第1の情報が送信されたときであり、第3の取得部251が第2の情報を取得するタイミングは、第2の生成部22Bが第2の情報を生成したときであるが、もちろんこれに限られない。
【0052】
比較部252は、取得した第1の情報および第2の情報に基づき、第1の情報と第2の情報とを比較する。本実施形態において比較部252は、第1の出力信号の第1の出力タイミングT1(図3(A)、図4(A)、図5(A)参照)と第2の出力信号の第2の出力タイミングT2(図3(B)、図4(B)、図5(B)参照)とを比較する。本実施形態において比較する場合、時刻を基準に比較する。第1の出力タイミングT1は、第1の内部時計25Aによる内部時刻に基づき、第2の出力タイミングT2は、第2の内部時計24Bによる内部時刻に基づくものである。もちろん比較対象はこれに限らず、位相(波形)、出力時間などであってもよい。
【0053】
判定部253は、比較部252によって第1の情報と第2の情報とを比較した結果に基づいて、第1の出力信号と第2の出力信号とのずれ(差、誤差)具合を判定する。ここでずれ(差、誤差)とは、例えば第1の出力タイミングと第2の出力タイミングとの差のことである。第1の出力信号を基準にずれ具合を判定し、所定以上ずれていた場合(例えば第2の出力信号を出力した時刻が第1の出力信号を出力した時刻よりも1ms以上遅れた場合)、ずれありと判定する。
【0054】
調整部254は、判定部253の判定結果に基づいて第2の出力信号を第1の出力信号に同期させる。調整部254は、判定部253がずれありと判定したときに、ずれを調整するための調整指令信号を生成する。
【0055】
調整指令信号とは、例えば第2の出力タイミングT2が第1の出力タイミングT1から1ミリ秒遅れていた場合(ずれありと判定)、第1の出力信号の位相に合わせて第2のスピーカ17Bに出力するために第2の出力タイミングT2を1ミリ秒早める信号であって、所定のタイミングで出力するように指令する信号である(つまり、第1のスピーカ17Aと第2のスピーカBとから発せられる音同士が打ち消しあわないように調整する信号)。
【0056】
第3の出力部255は、生成した調整指令信号を第2の生成部22Bに出力する。そして第2の生成部22Bは、調整指令信号に基づいて調整された(第1の出力信号と同期した)第2の出力信号を生成し、第2の出力部23Bによって第2のスピーカ17Bに出力する。このとき第2の生成部22Bは、調整指令信号が入力された場合、ずれた状態の第2の出力信号の生成を止めることができる。
【0057】
これにより、第1のスピーカ17Aと第2のスピーカBとから発せられる音同士が打ち消しあった第3の音S3'(図4(C)参照)が継続的に生成されることを抑制することができる。
【0058】
以上より、コントローラ25が第1の出力信号と第2の出力信号とに基づいて、第1の出力信号と第2の出力信号とを同期させ、第1の出力信号と第2の出力信号との信号同士のずれ(位相のずれ)を抑制することができる。
【0059】
これにより、複数の装置(第1のスピーカ17Aと第2のスピーカ17B)が同時に鳴動しても所望とする警報音を認識することができる(つまり、第1のスピーカ17Aと第2のスピーカ17Bとが発する音同士の位相のずれによりお互いの音をかき消してしまうことを抑制することができる)。
【0060】
[制御システムの動作]
図3は、同期した第1のスピーカ17A及び第2のスピーカ17Bから発せられる音を示す図であり(A)は、第1のスピーカ17Aから発せられる第1の音S1を示す図、(B)は、第2のスピーカ17Bから発せられる第2の音S2を示す図、(C)は、第1のスピーカ17A及び第2のスピーカ17Bから発せられる音が重ねあった第3の音S3を示す図である。
【0061】
図3(A)~(C)に示すように、第1の出力タイミングT1と第2の出力タイミングT2とが同期している場合、その重ねあった第3の音S3が運転手に聞こえる。第3の音S3は、第1の音S1の振幅と第2の音S2の振幅とを重ねあわせた波形となる。
【0062】
しかしながら、図4(A)~(C)に示すように、第1の出力タイミングT1と第2の出力タイミングT2'との間に時間Z1のずれがあると、第1の音S1と第2の音S2'とが打ち消しあい、第3の音S3'として運転手に聞こえてしまう。この場合、運転手に聞かせたい警告音を聞かせることができないという問題があった。
【0063】
そこで本実施形態では、判定部253がずれありと判定した場合、第2の出力信号を第1の出力タイミングT1から時間Z2だけずらし、第1の出力信号と第2の出力信号との位相を合わせたタイミング(第2の出力タイミングT2'')で出力する。これにより、ずらしたタイミングから所望とする振幅を有する音(第3の音S3'')を発生させることができる。
【0064】
また一方のスピーカ(例えば第2のスピーカ17B)が故障した場合、音圧が下がるため運転手が故障したことを認識することができる。もちろんこれに限らず、ランプ等の表示装置によって故障を知らせてもよい。
【0065】
本実施形態では、音声に関するデータが同一のものであり、入力信号も同一のものであることを前提として第1の出力信号と第2の出力信号との音声データのチェックは不要であったが、これに限らず、音声データがあっているかどうかをチェックするステップをもうけてもよい。
【0066】
<変形例1>
続いて、本発明の変形例1について説明する。図6は、変形例1に係る制御システム1'のブロック図である。第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
【0067】
本変形例では、第1の制御システム10A'及び第2の制御システム10B'が表示装置19を有している点で、第1の実施形態と異なる。
【0068】
表示装置19は、第1の制御システム10A'及び第2の制御システム10B'の共通の装置であり、例えば鉄道車両の状態を表示する。表示装置19は、例えばランプであり、正常時は青色(または緑色)、注意は黄色点滅、異常時は赤色になる。
【0069】
第1の入力装置13Aから赤色を発光させるための入力信号が第1の制御装置20A'に入力されると、第1の制御装置20A'は、上記入力信号に基づいて、表示装置19に赤色に発光させるための出力信号を出力する。第2の制御システム10B'についても同様とする。
【0070】
これにより、聴覚だけでなく視覚を通じても運転手に異常を知らせたり、注意を促したりすることができる。またランプの点滅を行う場合、第1の実施形態と同様に第1の通信部24が表示装置19に出力した出力信号に関する情報を第2の制御装置20B'に送信してもよい。これにより、点滅するタイミングを合わせることができ、運転手が認識しやすくなる。ランプの発光タイミングを合わせる構成はもちろん点滅に限らず、点灯時であってもよい。
【0071】
<変形例2>
続いて、本発明の変形例2について説明する。図7は、変形例2に係る制御システム1''のブロック図である。第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
【0072】
本変形例では、第1の制御システム10A''が第1の通信装置31Aを有し、第2の制御システム10B''が第2の通信装置31Bを有している点で、第1の実施形態と異なる。
【0073】
第1の通信装置31Aは、有線又は無線で外部装置と第1の制御装置20A''とを通信可能にする。ここで外部装置とは、例えば第1の制御装置20A''を監視する監視装置であり、第1の通信装置31Aを介して第1の出力信号に関する第1の情報を第1の制御装置20A''は送信する。
【0074】
これにより、第1の制御装置20A''の動作の異常を検出することができる。また検出した異常に基づいて、その異常を修正するための信号を第1の通信装置31Aを介して送信することができる。
【0075】
また上記以外にも外部装置は、例えば鉄道機器であってもよく、鉄道機器に異常等が発生した場合にその鉄道機器が第1のスピーカ17Aを鳴動させるための信号を第1の通信装置31Aを介して送信してもよい。第1の通信装置31Aは、上述した用途に限らず、例えばデバッグ用の通信装置として用いられてもよい。第2の通信装置31Bの構成については、第1の通信装置31Aと同様であるため説明は省略する。
【0076】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。図8は、第2の実施形態に係る制御システム1Aのブロック図である。以下、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
【0077】
本実施形態では、第1の制御装置20A'が第1の制御部27Aを有し、第2の制御装置20B'が第2の通信部26Bと第2の制御部27Bとを有している点で、第1の実施形態と異なる。
【0078】
第2の通信部26は、第1の制御装置20A'と通信可能に構成される。第2の通信部24Bは、例えばUARTであり、シリアル通信によってデータを送信することができる。第2の通信部26は、第2の出力信号に関する第2の情報を第1の制御装置20A'へ送信する。ここで第2の情報とは上述した情報以外に調整部264によって調整されたかどうかという情報を含んでもよい。
【0079】
第1の制御部27Aは、第2の情報に基づいてずれありと判定した回数をカウントし、その回数が連続で例えば10回検知されると、第2の制御装置20B'は異常と判定し、第1の制御装置20A'が単独で音を発生するように制御してもよい。
【0080】
単独で音を発生するようにする方法は、例えば、第1の制御部27Aによって第2の制御装置20B'が第2の出力信号を生成しないように制御する信号を第1の通信部24Aを介して送信することが挙げられる。単独で行う場合、第1のスピーカ17Aの音量は大きくしてもよいし、しなくてもよい。異常ありと判定する場合は、上記の例に限られず、第2の制御装置20B'から第2の情報が一定時間送信されなかった場合も含まれる。
【0081】
また第2の制御部27Bは、第1の制御装置20A'から第1の情報が一定時間送信されなかった場合、第1の制御装置20A'は異常と判定し、第2の制御装置20B'が単独で音を発生するように制御される。単独で音を発生するようにする方法は、上述した方法と同様の方法が挙げられる。また上述したように単独で行う場合、第2のスピーカ17Bの音量は大きくしてもよいし、しなくてもよい。
【0082】
これにより、お互いの装置の状態を監視しあうことで異常があった際に適切に対応することができる。
【0083】
また第1の制御装置20A'と第2の制御装置20B'とが互いに通信可能に構成されているため、例えばPTP(Precision Time Protocol)のようなクロックを同期させる方法を用いて第1の内部時計25Aの時刻と第2の内部時計24Bの時刻とを同期させてもよい。これにより、第1の出力信号と第2の出力信号とのずれを抑制することができる。
【0084】
上述した内部時計の時刻同士を同期させる場合、第1の入力装置13Aから入力信号が入力されてから第1の出力信号を出力するまでの処理時間を第2の制御装置20B'へ送信してもよい。これにより、上記処理時間に基づいて第2の出力信号の出力タイミングを制御することができるため、より第1の出力信号と第2の出力信号とのずれを抑制することができる。
【0085】
以上のように、本実施形態においても第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0086】
<第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。図9は、第3の実施形態に係る制御システム1Bのブロック図である。
【0087】
本実施形態では、第2の制御システム10B'''がマイク32を有している点で、第1の実施形態と異なる。
【0088】
マイク32は、上記第1の音及び上記第2の音を取得する収音機器である。マイク32は、第1の音及び第2の音を収音できる位置に設けられていればよく、例えば第1のスピーカ17Aと第2のスピーカ17Bとの間の中間の位置が挙げられる。
【0089】
コントローラ25は、マイク32によって取得した第1の音及び第2の音に基づいて、第1の出力信号と第2の出力信号とを同期させる。まずコントローラ25の第3の取得部251は、マイク32から第1の音と第2の音とを収音した第3の音に関する第3の情報を取得する。ここで第3の情報とは、第1の音と第2の音とを合成した音声信号である。音声信号は、デジタル信号であることが好ましい。
【0090】
この場合、マイク32から収音したアナログ信号を図示しないA/D変換器を用いてデジタル信号に変換してから取得してもよい。また取得部251は、第1の通信部24Aによって送信された第1の情報と第2の生成部22Bによって生成された第2の情報とをさらに取得する。
【0091】
次に、比較部252によって第3の情報に基づき、第1の出力信号と第2の出力信号とのずれと、ずれありと判定される閾値と比較する。
【0092】
判定部253は、比較部252によって第3の情報と閾値とを比較した結果に基づいて、第1の出力信号と第2の出力信号とのずれ(差、誤差)具合を判定する。
【0093】
調整部254は、判定部253の判定結果に基づいて第3の取得部251によって取得した第2の出力信号を第3の取得部251によって取得した第1の出力信号に同期させる。調整部254は、判定部253がずれありと判定したときに、ずれを調整するための調整指令信号を生成する。
【0094】
調整指令信号とは、例えば第2の出力タイミングT2が第1の出力タイミングT1から1ミリ秒遅れていた場合(ずれありと判定)、第1の出力信号の位相に合わせて第2のスピーカ17Bに出力するために第2の出力タイミングT2を1ミリ秒早める信号であって、所定のタイミングで出力するように指令する信号である(つまり、第1のスピーカ17Aと第2のスピーカBとから発せられる音同士が打ち消しあわないように調整する信号)。
【0095】
第3の出力部255は、生成した調整指令信号を第2の生成部22Bに出力する。そして第2の生成部22Bは、調整指令信号に基づいて調整された(第1の出力信号と同期した)第2の出力信号を生成し、第2の出力部23Bによって第2のスピーカ17Bに出力する。このとき第2の生成部22Bは、調整指令信号が入力された場合、ずれた状態の第2の出力信号の生成を止めることができる。
【0096】
これにより、第1のスピーカ17Aと第2のスピーカBとから発せられる音同士が打ち消しあった第3の音が継続的に生成されることを抑制することができる。
【0097】
以上より、コントローラ25がマイク32によって取得した第1の音と第2の音とに基づいて、第1の出力信号と第2の出力信号とを同期させ、第1の出力信号と第2の出力信号との信号同士のずれ(位相のずれ)を抑制することができる。
【0098】
これにより、複数の装置(第1のスピーカ17Aと第2のスピーカ17B)が同時に鳴動しても所望とする警報音を認識することができる(つまり、第1のスピーカ17Aと第2のスピーカ17Bとが発する音同士の位相のずれによりお互いの音をかき消してしまうことを抑制することができる)。
【0099】
以上のように、本実施形態においても第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0100】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論であり、各実施形態及び変形例の構成を組み合わせてもよい。
【0101】
例えば、以上の実施形態では、同一の音を複数のスピーカから発生させていたが、スピーカそれぞれが違う音を発生させてもよい。コントローラ25は、第2の制御装置20Bに設けられているが、これに限らず、第1の制御装置20Aに設けてもよいし、第1の制御装置20A及び第-2の制御装置20Bとは独立して別途設けてもよい。
【0102】
以上の実施形態では、スピーカから発せられる音は、第1の制御装置20A及び第2の制御装置20Bによって出力された出力信号のみに基づくが、これに限らず、例えば運転手がマイク等により発した声もあわせてスピーカから発せられるようにしてもよい。
【0103】
また、以上の実施形態では、鉄道車両を例に挙げて説明したが、この用途に限られず、他の車両や施設などにも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0104】
1…制御システム
10A…第1の制御システム
10B…第2の制御システム
13A…第1の入力装置
13B…第2の入力装置
17A…第1のスピーカ
17B…第2のスピーカ
20A…第1の制御装置
20B…第2の制御装置
21A…第1の取得部
21B…第2の取得部
22A…第1の生成部
22B…第2の生成部
23A…第1の出力部
23B…第2の出力部
24A…第1の通信部
24B…第2の内部時計
25A…第1の内部時計
25…コントローラ
251…第3の取得部
252…比較部
253…判定部
254…調整部
255…第3の出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9