(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003433
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】容器用包装体の製造方法、容器用包装体および包装体付き容器
(51)【国際特許分類】
G09F 3/04 20060101AFI20240105BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20240105BHJP
B65B 53/00 20060101ALI20240105BHJP
G09F 3/02 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
G09F3/04 C
B65D25/20 Q
B65B53/00 C
G09F3/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102565
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芳本 有史
(72)【発明者】
【氏名】大正谷 愛華
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062AA09
3E062AC02
3E062DA07
3E062JA03
3E062JB05
3E062JC02
3E062JC07
(57)【要約】
【課題】ラベルの表示面積を大きくしつつラベル同士を高速に接合する。
【解決手段】容器用包装体の製造方法は、第1フィルム100と第2フィルム110とを重ね合わせつつ、第1フィルム100および第2フィルム110のいずれか一方に、第1フィルム100と第2フィルム110とが重ね合わされた状態において阻害剤層130と重なるように、延在方向に沿って溶剤を連続的に塗布することにより、第1フィルム100と第2フィルム110とが接合された溶剤接合部120を延在方向に沿って阻害剤層130と並ぶように形成する工程を備える。溶剤接合部120が形成された第2フィルム110における、延在方向に直交する方向において溶剤接合部120の両側に位置する部分が、第1フィルム100から分離しているように、溶剤接合部120を形成する工程において溶剤が塗布される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮性を有し、延在方向に延在する第1フィルム、および、前記延在方向に沿って延在する第2フィルムを準備する工程と、
前記第1フィルムおよび前記第2フィルムのいずれか一方に、前記第1フィルムおよび前記第2フィルムの溶剤接合を阻害する阻害剤層を前記延在方向において間欠的に設ける工程と、
前記第1フィルムと前記第2フィルムとを重ね合わせつつ、前記第1フィルムおよび前記第2フィルムのいずれか一方に、前記第1フィルムと前記第2フィルムとが重ね合わされた状態において前記阻害剤層と重なるように、前記延在方向に沿って溶剤を連続的に塗布することにより、前記第1フィルムと前記第2フィルムとが接合された溶剤接合部を前記延在方向に沿って前記阻害剤層と並ぶように形成する工程と、
前記延在方向に交差する方向に延在する切断予定線において前記第1フィルムおよび前記第2フィルムを切断する工程とを備え、
前記溶剤接合部が形成された前記第2フィルムにおける、前記延在方向に直交する方向において前記溶剤接合部の両側に位置する部分が、前記第1フィルムから分離しているように、前記溶剤接合部を形成する工程において前記溶剤が塗布される、容器用包装体の製造方法。
【請求項2】
前記溶剤接合部を形成する工程において、前記第1フィルムに前記溶剤を塗布する、請求項1に記載の容器用包装体の製造方法。
【請求項3】
前記阻害剤層は、紫外線硬化型インキからなり、
前記阻害剤層を設ける工程において、フレキソ印刷によって前記第2フィルムに前記阻害剤層を設ける、請求項1または請求項2に記載の容器用包装体の製造方法。
【請求項4】
熱収縮性を有し、軸方向に延在する筒状の第1フィルムと、
前記第1フィルムの外周部の一部に、前記軸方向に沿って延在する溶剤接合部によって、接合された第2フィルムと、
前記第1フィルムおよび前記第2フィルムのいずれか一方に、前記軸方向において前記溶剤接合部と並ぶように設けられ、前記第1フィルムおよび前記第2フィルムの溶剤接合を阻害する阻害剤層とを備え、
前記第2フィルムにおける、前記軸方向に直交する方向において前記溶剤接合部の両側に位置する部分は、前記第1フィルムから分離している、容器用包装体。
【請求項5】
請求項4に記載の前記容器用包装体と、
蓋部を有する容器とを備え、
前記容器用包装体は、前記第1フィルムが前記蓋部の周囲を被覆することにより前記容器に装着されている、包装体付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器用包装体の製造方法、容器用包装体および包装体付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
副ラベル付き筒状シュリンクラベルの構成を開示した先行技術文献として、国際公開第2020/158553号(特許文献1)がある。特許文献1に記載された副ラベル付き筒状シュリンクラベルは、筒状シュリンクラベルと、副ラベルとを備える。副ラベルは、筒状シュリンクラベルの外面に添付されたシート状である。副ラベルには、独立領域と、添付領域とが形成されている。独立領域は、筒状シュリンクラベルから独立している。添付領域は、筒状シュリンクラベルの外面に添付された領域である。添付領域は、たとえば、貼着剤層を介して筒状シュリンクラベルの外面に接着されている。貼着剤層は、たとえば、副ラベルの一方面全体に粘着剤を塗布した後、貼着剤層を形成する部分を除いて隠蔽剤が塗布されることにより形成される。
【0003】
フラッグ付きチューブラベルの構成を開示した先行技術文献として、特開平8-137398号公報(特許文献2)がある。特許文献2に記載されたフラッグ付きチューブラベルは、筒状本体部と、フラッグとを備える。フラッグは、その片側の縁部を、筒状本体部の胴長方向に沿って接合され、筒状本体部の外方に延在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/158553号
【特許文献2】特開平8-137398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された副ラベル付き筒状シュリンクラベルにおいては、副ラベルの端部において添付領域が形成され、添付領域から片側にのみ独立領域が延在しているため、表示面積が小さい。また、特許文献2に記載されたフラッグ付きチューブラベルにおいても特許文献1と同様に、筒状本体部とフラッグの片側の縁部との接合箇所から接合箇所の片側にのみフラッグが延在しているため、表示面積が小さい。
【0006】
特許文献1に記載された副ラベル付き筒状シュリンクラベルにおいては、副ラベルへ粘着剤を塗布した後に隠蔽剤が塗布されることによって、粘着剤および隠蔽剤の乾燥時間がかかるため、ラベル同士を高速に接合することができる余地がある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、ラベルの表示面積を大きくしつつラベル同士を高速に接合することができる、容器用包装体の製造方法、容器用包装体および包装体付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に基づく容器用包装体の製造方法は、熱収縮性を有し、延在方向に延在する第1フィルム、および、延在方向に沿って延在する第2フィルムを準備する工程と、第1フィルムおよび第2フィルムのいずれか一方に、第1フィルムおよび第2フィルムの溶剤接合を阻害する阻害剤層を延在方向において間欠的に設ける工程と、第1フィルムと第2フィルムとを重ね合わせつつ、第1フィルムおよび第2フィルムのいずれか一方に、第1フィルムと第2フィルムとが重ね合わされた状態において阻害剤層と重なるように、延在方向に沿って溶剤を連続的に塗布することにより、第1フィルムと第2フィルムとが接合された溶剤接合部を延在方向に沿って阻害剤層と並ぶように形成する工程と、延在方向に交差する方向に延在する切断予定線において第1フィルムおよび第2フィルムを切断する工程とを備える。溶剤接合部が形成された第2フィルムにおける、延在方向に直交する方向において溶剤接合部の両側に位置する部分が、第1フィルムから分離しているように、溶剤接合部を形成する工程において溶剤が塗布される。
【0009】
本発明の一形態においては、溶剤接合部を形成する工程において、第1フィルムに溶剤を塗布する。
【0010】
本発明の一形態においては、阻害剤層は、紫外線硬化型インキからなる。阻害剤層を設ける工程において、フレキソ印刷によって第2フィルムに阻害剤層を設ける。
【0011】
本発明に基づく容器用包装体は、筒状の第1フィルムと、第2フィルムと、阻害剤層とを備える。筒状の第1フィルムは、熱収縮性を有し、軸方向に延在する。第2フィルムは、第1フィルムの外周部の一部に、軸方向に沿って延在する溶剤接合部によって、接合されている。阻害剤層は、第1フィルムおよび第2フィルムのいずれか一方に、軸方向において溶剤接合部と並ぶように設けられ、第1フィルムおよび第2フィルムの溶剤接合を阻害する。第2フィルムにおける、軸方向に直交する方向において溶剤接合部の両側に位置する部分は、第1フィルムから分離している。
【0012】
本発明に基づく包装体付き容器は、上記容器用包装体と、容器とを備える。容器は、蓋部を有する。容器用包装体は、第1フィルムが蓋部の周囲を被覆することにより容器に装着されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ラベルの表示面積を大きくしつつラベル同士を高速に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る容器用包装体の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1の容器用包装体をII-II線矢印方向から見た断面図である。
【
図3】
図1の容器用包装体をIII-III線矢印方向から見た断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る包装体付き容器を示す斜視図である。
【
図5】
図4の包装体付き容器をV-V線矢印方向から見た断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態1に係る容器用包装体の製造方法を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の実施の形態1に係る第2フィルムに阻害剤層を設ける製造工程を示す模式図である。
【
図8】本発明の実施の形態1に係る第1フィルムが筒状に形成されつつ第2フィルムと重なるように延在方向に沿って配置される製造工程を示す斜視図である。
【
図9】本発明の実施の形態1に係る第1フィルムと第2フィルムとが溶剤接合される製造工程を示す斜視図である。
【
図10】
図9の原反状態の容器用包装体をX-X線矢印方向から見た断面図である。
【
図11】本発明の実施の形態2に係る包装体付き容器の構成を示す断面図である。
【
図12】本発明の実施の形態3に係る包装体付き容器の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の各実施の形態に係る容器用包装体の製造方法、および容器用包装体について図面を参照して説明する。以下の実施の形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。なお、図面においては、発明の理解を容易にするため、フィルムの厚みなどの尺度を変更して示している箇所がある。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る容器用包装体の構成を示す斜視図である。
図2は、
図1の容器用包装体をII-II線矢印方向から見た断面図である。
図3は、
図1の容器用包装体をIII-III線矢印方向から見た断面図である。
【0017】
図1~
図3に示すように、本発明の実施の形態1に係る容器用包装体1は、筒状の第1フィルム100と、第2フィルム110と、阻害剤層130とを備える。
【0018】
第1フィルム100は、熱収縮性を有している。第1フィルム100は、筒状の周面の周方向に熱収縮する一軸延伸フィルムであることが好ましい。なお、第1フィルム100は、一軸延伸フィルムに限られず、軸方向(DR1方向)と上記周方向との2つの方向に熱収縮する二軸延伸フィルムであってもよい。
【0019】
第1フィルム100の具体例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)若しくはポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)若しくはポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル系、スチレンブタジエン共重合体などのポリスチレン系(PS)、または、ポリ乳酸(PLA)、ポリアミド若しくはポリ塩化ビニルなどのビニル系の、樹脂から構成されるフィルムが挙げられる。なお、第1フィルム100は、これらの樹脂を2種類以上混合した樹脂混合物を含むフィルムであってもよいし、2種以上のフィルムを積層した積層フィルムであってもよい。
【0020】
第1フィルム100の厚みは、特に限定されないが、8μm以上100μm以下であることが好ましく、20μm以上80μm以下であることがより好ましい。
【0021】
なお、第1フィルム100としては、上述の熱収縮性を有するフィルムの構成に限られず、着色された熱収縮性フィルム若しくは商品名またはデザインなどを表示するための印刷層が形成された熱収縮性フィルムであってもよい。第1フィルム100に印刷層が設けられる場合、筒状の内周面側に印刷層が配置されることが好ましい。この場合、印刷層の損傷を防ぐことができ、また、筒状の外周面側に印刷層がある場合と比較して、第2フィルム110との接着性に優れる。
【0022】
第1フィルム100は、軸方向(DR1方向)に延在している。本実施の形態の第1フィルム100においては、軸方向(DR1方向)において、上端101および下端102が互いに平行に位置している。第1フィルム100は、重複部103を含んでいる。
【0023】
なお、本実施の形態の第1フィルム100における上端101および下端102は、直線形状を有して互いに平行に位置しているが、この構成に限定されない。上端101および下端102は、たとえば、波形形状であってもよい。
【0024】
重複部103は、第1フィルム100同士が重なっている部分である。重複部103は、第1フィルム100の軸方向(DR1方向)に沿って上端101から下端102まで連続している。重複部103は、重ねられた第1フィルム100同士をシールすることにより形成される。第1フィルム100同士のシール方法は特に制限されず、ヒートシールまたは溶剤接合などを用いることができる。
【0025】
図1に示すように、第2フィルム110は、矩形形状を有するシートである。本実施の形態の第2フィルム110においては、上端111および下端112が互いに平行に位置している。軸方向(DR1方向)において、第1フィルム100の上端101と、第2フィルム110の上端111とは、同じ高さに位置している。また、第1フィルム100の下端102と、第2フィルム110の下端112とは、同じ高さに位置している。
【0026】
なお、本実施の形態の第2フィルム110における上端111および下端112は、直線形状を有して互いに平行に位置しているが、この構成に限定されない。上端111および下端112は、たとえば、波形形状であってもよい。
【0027】
第2フィルム110は、その表面に図示しない商品情報、関連情報およびアイキャッチ性を高めるデザイン等の印刷層が設けられている。本実施の形態において、当該印刷層は、第2フィルム110の第1フィルム100側とは反対側の表面に設けられることが好ましい。この場合、第1フィルム100と第2フィルム110との間に当該印刷層が介在しないため、第1フィルム100と第2フィルム110との接着性に優れる。
【0028】
第2フィルム110は、非収縮性のフィルムであることが好ましい。なお、第2フィルム110は、表示されている商品情報の文字または商品コードの読み取りに影響を与えない程度であれば、非収縮性のフィルムに限られず、一軸延伸フィルムまたは二軸延伸フィルムであってもよい。
【0029】
第2フィルム110の具体例としては、LLDPE、LDPE、HDPE若しくはPPなどのポリオレフィン系、PET若しくはPBTなどのポリエステル系、スチレンブタジエン共重合体などのポリスチレン系、または、PLA、ポリアミド若しくはポリ塩化ビニルなどのビニル系の、樹脂から構成されるフィルムが挙げられる。なお、第2フィルム110は、これらの樹脂を2種類以上混合した樹脂混合物を含むフィルムであってもよいし、2種以上のフィルムを積層した積層フィルムであってもよい。
【0030】
第2フィルム110の厚みは、特に限定されないが、10μm以上200μm以下であることが好ましく、20μm以上150μm以下であることがより好ましい。
【0031】
第2フィルム110は、第1フィルム100の外周部の一部に、軸方向(DR1方向)に沿って延在する溶剤接合部120によって接合されている。本実施の形態における溶剤接合部120の軸方向(DR1方向)の長さは、後述する容器4のDR1方向における蓋部10の側面部12の上端からフランジ部22の下端までの長さであることが望ましい。これにより、第1フィルム100と第2フィルム110との接着強度が向上し、かつ、第2フィルム110の平面形状を維持することができるため、第2フィルム110における表示面の視認またはバーコードの読み取りが良好となる。ただし、溶剤接合部120のDR1方向の長さは、上述した長さに限定されず、任意の長さであってもよい。
【0032】
第2フィルム110における、軸方向に直交する方向(DR2方向)において溶剤接合部120の両側に位置する部分が第1フィルム100から分離している。具体的には、第2フィルム110は、第1領域121および第2領域122を含んでいる。第1領域121および第2領域122が、第1フィルム100から分離している。すなわち、第1領域121および第2領域122は、第2フィルム110において第1フィルム100と接合されていない部分である。
【0033】
溶剤接合部120は、第2フィルム110における第1領域121と第2領域122との間に位置している。具体的には、本実施の形態における溶剤接合部120は、軸方向に直交する方向(DR2方向)において第2フィルム110の中央に位置している。これにより、第1領域121および第2領域122は、略同一の面積を有する。
【0034】
溶剤接合部120において、第1フィルム100および第2フィルム110は、溶剤を介して互いに重ね合わされることにより、溶剤に接する表面が適度に溶ける(分子鎖がほどける)。この溶けた部分が再度固まる際に、両フィルムの分子鎖同士が絡み合い、結果的に、表面同士が接合された状態となる。
【0035】
本実施の形態における溶剤の具体例としては、ジクロロエタンなどのハロゲン系有機溶剤、酢酸エチルなどのエステル系有機溶剤、アセトンなどのケトン系有機溶剤、または、フェノール系有機溶剤などの溶剤が挙げられる。溶剤としては、これらの有機溶剤をそれぞれ1種単独で用いることができ、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0036】
阻害剤層130は、第1フィルム100および第2フィルム110のいずれか一方に、軸方向(DR1方向)において溶剤接合部120と並ぶように設けられている。
図3に示すように、本実施の形態における阻害剤層130は、第2フィルム110に設けられている。阻害剤層130の軸方向(DR1方向)の長さは、たとえば、軸方向(DR1方向)における第2フィルム110の幅の約3分の1である。
【0037】
阻害剤層130は、第1フィルム100および第2フィルム110の溶剤接合を阻害する。これにより、阻害剤層130が設けられた第2フィルム110の部分は、第1フィルム100から分離している。
【0038】
阻害剤層130は、紫外線硬化型インキが紫外線により硬化されてなる層、または、インキが乾燥固化されてなる層により構成されている。本実施の形態における阻害剤層130は、乾燥固化するインキと比較して紫外線硬化型インキが溶剤への耐性が高いため、紫外線硬化型インキが硬化されてなる層から構成されることが好ましい。
【0039】
図4は、本発明の実施の形態1に係る包装体付き容器を示す斜視図である。
図5は、
図4の包装体付き容器をV-V線矢印方向から見た断面図である。
【0040】
図4および
図5に示すように、本発明の実施の形態1に係る熱収縮された容器用包装体3は、包装体付き容器2に適用される。具体的には、熱収縮された容器用包装体3が容器4に装着される。容器4は、たとえば、ペットボトルである。なお、本発明の実施の形態1に係る熱収縮された容器用包装体3は、ペットボトルに適用されることに限定されず、ガラス製の瓶または金属缶などの他の容器に適用されてもよい。
【0041】
容器4は、蓋部10と、括れ部20と、胴体部21と、フランジ部22とを含む。蓋部10は、容器4の上端に配置されている。蓋部10は、天面部11と、側面部12とを有する。括れ部20は、蓋部10に隣接している。括れ部20は、蓋部10の外形の直径より小さい直径を有している。胴体部21は、括れ部20から拡径し、容器4の底面まで延在している。フランジ部22は、蓋部10と略同じ外径を有している。なお、フランジ部22は、容器4に設けられていなくてもよい。
【0042】
熱収縮された容器用包装体3は、第1フィルム100が蓋部10の周囲を被覆することにより容器4に装着されている。本実施の形態においては、第1フィルム100の上端101が蓋部10の天面部11と同じ高さになるように配置され、第1フィルム100の下端102がフランジ部22に掛かるように配置されていることによって、第1フィルム100が蓋部10およびフランジ部22を被覆可能である。
【0043】
第1フィルム100は、図示しない加熱装置により入熱されることによって熱収縮し、容器4の形状に沿って曲折部104を形成しつつ、容器4を被覆する。蓋部10を第1フィルム100によって被覆することにより、熱収縮された容器用包装体3によって容器4が封緘され、容器4が未開封であることを担保することができる。さらに、未開封の蓋部10の衛生状態を良好に維持することができる。なお、第1フィルム100は、上記の構成に限定されず、蓋部10、フランジ部22および括れ部20を被覆する構成であってもよいし、蓋部10からフランジ部22の途中までを被覆する構成であってもよい。
【0044】
本実施の形態における第1フィルム100は、天面部11を被覆していない。これにより、第1フィルム100が天面部11に沿って折れ曲がることなく蓋部10を被覆可能である。また、第2フィルム110は、阻害剤層130によって、その一部が第1フィルム100とともに容器4に折り曲げられることが抑制されている。具体的には、第2フィルム110における阻害剤層130が設けられた部分は、第1フィルム100から分離しているため、第1フィルム100が熱収縮して折り曲げられた場合でも、第1フィルム100に追従して折り曲げられることが抑制されている。これにより、第2フィルム110が折れ曲がらずに平面形状を維持できるため、第2フィルム110に表示される商品情報を読み取りやすくすることができる。
【0045】
なお、第1フィルム100には、容器4から熱収縮された容器用包装体3を外しやすくするためのミシン目が設けられていてもよい。ミシン目は、たとえば、第1フィルム100の周方向における溶剤接合部120以外の位置に、軸方向(DR1方向)に上端101から下端102までの全長に亘って1本以上設けられることが望ましい。たとえば、第1フィルム100にミシン目を2本設けることにより、第1フィルム100のうち、ミシン目に挟まれた領域を容器用包装体3から取り除くことができ、残りの容器用包装体3を容器4から容易に取り外すことができる。また、たとえば、第1フィルム100にミシン目を1本設けることにより、ミシン目を起点として第1フィルム100が破断した際に、第1フィルム100から分離した切片を出すことなく、熱収縮された容器用包装体3を容器4から取り外すことができる。
【0046】
図4に示すように、第2フィルム110の軸方向に直交する方向(DR2方向)の幅は、容器4の胴体部21の外径寸法以下であることが望ましい。これにより、複数の容器4が隣接配置された場合に、隣り合う容器4の第2フィルム110同士が互いに接触することを抑制することができる。
【0047】
以下、本発明の実施の形態1の容器用包装体1の製造方法について説明する。
図6は、本発明の実施の形態1に係る容器用包装体の製造方法を示すフローチャートである。
図7は、本発明の実施の形態1に係る第2フィルムに阻害剤層を設ける製造工程を示す模式図である。
図8は、本発明の実施の形態1に係る第1フィルムが筒状に形成されつつ第2フィルムと重なるように延在方向に沿って配置される製造工程を示す斜視図である。
図9は、本発明の実施の形態1に係る第1フィルムと第2フィルムとが溶剤接合される製造工程を示す斜視図である。
【0048】
図6~
図9に示すように、容器用包装体1へ形成される原反状態の容器用包装体5の製造方法として、まず、第1フィルム150および第2フィルム160を準備する(S11工程、S21工程)。第1フィルム150および第2フィルム160の各々は、原反の状態で別々に準備される。本実施の形態において、第2フィルム160には、第1フィルム150の製造ラインとは別の製造ラインにて後述する阻害剤層180が設けられる。阻害剤層180が設けられた第2フィルム160が第1フィルム150の製造ラインへ投入される。
【0049】
次に、
図6および
図7に示すように、第1フィルム150および第2フィルム160のいずれか一方に、第1フィルム150および第2フィルム160の溶剤接合を阻害する阻害剤層180を延在方向(DR3方向)において間欠的に設ける(S22工程)。本実施の形態においては、第2フィルム160に、阻害剤層180を設ける。
【0050】
阻害剤層180は、フレキソ印刷によって第2フィルム160に設けられる。具体的には、
図7に示すように、フレキソ印刷は、外周の円周方向に複数の凸部31を有する版胴30により行なわれる。複数の凸部31の各々に阻害剤層180となるインキを付着させ、版胴30の円周方向の回転に合わせて原反状態の第2フィルム160を連続して延在方向(DR3方向)に搬送することによって、阻害剤層180が第2フィルム160に間欠的に設けられる。
【0051】
一般に、グラビア印刷などの凹版印刷は、版胴の外周に設けられた凹部に配置されるインキが印刷物に印刷される。凹版印刷は、版胴の凹部だけでなく、版胴の凹部以外の箇所にインキが残る場合がある。一方、フレキソ印刷は、インキが版胴30の凸部31に配置され、版胴30の凸部31以外の箇所にはインキが配置されないため、グラビア印刷などの凹版印刷と比較して、インキを印刷物に正確な位置に正確な分量を印刷することができ、意図していない部分にインキが付着するのを防ぐことができる。このため、本実施の形態においては、フレキソ印刷によって、阻害剤層180を第2フィルム160の意図した位置に正確に印刷することができ、もって、阻害剤層180と後述する溶剤接合部170とを高い精度で並ばせることができる。
【0052】
阻害剤層180は、たとえばインキが塗布されて固化または硬化してなる層であり、好ましくは紫外線硬化型インキが硬化してなる層である。この場合、版胴30により第2フィルム160上にフレキソ印刷された阻害剤層180は、紫外線照射装置40によって紫外線を照射することによって硬化される(S23工程)。阻害剤層180が形成された第2フィルム160は、次工程へ搬送される。なお、阻害剤層180は、第1フィルム150に設けられてもよい。
【0053】
印刷層が設けられた第2フィルム160に阻害剤層180を設ける場合には、阻害剤層180と印刷層におけるデザインとの位置合わせが容易になり、印刷層への印刷と紫外線硬化型インキの印刷を同時に行うことができる。なお、印刷層が設けられた第1フィルム150に阻害剤層180を設ける場合においても、第2フィルム160の場合と同様に、印刷層への印刷と紫外線硬化型インキの印刷を同時に行うことができる。
【0054】
仮に、一般的なグラビアインキを阻害剤層に適用する場合であっても、フィルム同士の接合を阻害する一定の効果はある。しかし、グラビアインキは、第1フィルム150と第2フィルム160とを接合するための溶剤との親和性が高いため、当該溶剤と乾燥固化後のグラビアインキ(以下、「グラビアインキ層」という)とが接触すると、グラビアインキ層が溶けてしまう恐れがある。一方、本実施の形態における阻害剤層180に使用する紫外線硬化型インキは、硬化させると溶剤に溶けないため、グラビアインキと比較して耐性が高い特徴を有する。
【0055】
次に、
図6および
図8に示すように、第1フィルム150は、筒形状に成形される(S12工程)。なお、第1フィルム150が筒形状に成形される工程は、後述する溶剤接合部170が形成される工程の後であってもよい。また、阻害剤層180が第1フィルム150に設けられる場合、第1フィルム150を筒形状に成形する工程は、第1フィルム150に阻害剤層180を設ける工程の前でもよいし、後でもよい。
【0056】
次に、
図6および
図9に示すように、延在方向(DR3方向)に延在している第1フィルム150および第2フィルム160とを重ね合わせる。そして、第1フィルム150および第2フィルム160のいずれか一方に、第1フィルム150と第2フィルム160とが重ね合わされた状態において阻害剤層180と重なるように、延在方向(DR3方向)に沿って溶剤を連続的に塗布する(S31工程)。本実施の形態においては、第1フィルム150に溶剤を塗布する。これにより、溶剤の塗布箇所と阻害剤層180とが並ぶように第1フィルム150および第2フィルム160とを貼り合わせる。なお、本実施の形態における延在方向(DR3方向)は、容器用包装体1の軸方向(DR1方向)に一致する。
【0057】
溶剤は、第1フィルム150と第2フィルム160との間の延在方向に直交する方向(DR4方向)における略中央に位置する。本実施の形態における溶剤は、第1フィルム150および第2フィルム160の各々のDR4方向における略中央に位置する。これにより、溶剤接合部170が形成された第2フィルム160における、延在方向に直交する方向(DR4方向)において溶剤接合部170の両側に位置する部分が、第1フィルム150から分離しているように、溶剤接合部170を形成する工程において溶剤が塗布される。
【0058】
上記のように溶剤を塗布することによって、第1フィルム150と第2フィルム160とが接合された溶剤接合部170を延在方向(DR3方向)に沿って阻害剤層180と並ぶように形成する(S31工程)。溶剤による第1フィルム150および第2フィルム160の接合は、フィルム表面が溶けて表面同士が接合されるため、粘着剤を塗布してフィルム同士を接着させる場合と比較して乾燥時間が少ない。これにより、第1フィルム150および第2フィルム160とを高速に接合することができる。
【0059】
DR4方向における阻害剤層180の幅は、溶剤接合部170の幅よりも大きい方が望ましい。これにより、原反状態の容器用包装体5を高速で製造する際に、DR4方向における阻害剤層180の両側において、溶剤が阻害剤層180以外の部分に付着して、意図しない第1フィルム150および第2フィルム160の接合箇所が形成されることを抑制することができる。
【0060】
図10は、
図9の原反状態の容器用包装体をX-X線矢印方向から見た断面図である。
図10に示すように、成形直後の原反状態の容器用包装体5は、第1フィルム150が二重に重なるように折り畳まれて延在方向に沿って延在する筒形状である。第1フィルム150同士が重なった重複部153が筒状の周方向の一部に位置する。
【0061】
図9および
図10に示すように、溶剤接合部170および阻害剤層180は、第2フィルム160における第1領域171と第2領域172との間に位置している。具体的には、本実施の形態における溶剤接合部170は、第2フィルム160の延在方向に直交する方向(DR4方向)において中央に位置している。
【0062】
重複部153は、第1フィルム150と第2フィルム160とが積層される積層方向において、溶剤接合部170と重なっていない。上記積層方向において重複部153と溶剤接合部170とが重なっている場合、原反状態の容器用包装体5をロール状に巻回する場合に、この重なっている部分に圧力が集中してしまい、この圧力によって原反状態の容器用包装体5が破損するおそれがあるが、本実施の形態によれば、このような圧力の集中を抑制することができる。
【0063】
第1フィルム150は、延在方向に直交する方向(DR4方向)の幅L1が、第2フィルム160の幅L2よりも長い。本実施の形態においては、幅L1の第1フィルム150は、幅L2の第2フィルム160の両側に約1mmずつ長い。
【0064】
次に、
図6および
図9に示すように、原反状態の容器用包装体5における接合された第1フィルム150および第2フィルム160は、図示しない切断機によって延在方向に交差する方向(DR4方向)に延在する切断予定線CLにおいて切断される(S32工程)。これにより、容器用包装体1が製造される。なお、本実施の形態における容器用包装体1は、連続した原反状態の第1フィルム150および第2フィルム160から切断されることによって形成されているが、第1フィルム100および第2フィルム110を個別に準備して、溶剤接合部120および阻害剤層130を形成することにより容器用包装体1が形成されてもよい。
【0065】
仮に、
図4に示す本実施の形態における第2フィルム110のDR2方向の幅と同じにした状態で、第2フィルムにおける溶剤接合部の片側のみに非接合部を設けた場合、複数の包装体付き容器を陳列すると、複数の包装体付き容器の各々の第2フィルムが容器の外径を超えてDR2方向に延在するため、第2フィルム同士が干渉する場合がある。この第2フィルム同士の干渉を回避しようとすると、第2フィルムの非接合部の面積を小さくする必要があり、第2フィルムの表示面積が小さくなる。
【0066】
一方、本実施の形態においては、第2フィルム110のDR2方向における溶剤接合部120の両側に、非接合部である第1領域121および第2領域122が溶剤接合部120を中央に配置して設けられている。このため、第2フィルム110の表示面積を大きく確保した状態で包装体付き容器2を陳列しても、複数の包装体付き容器2の各々の第2フィルム110が容器4の外径を超えてDR2方向に延在していないため、第2フィルム110同士が干渉することが抑制される。このように、本実施の形態においては、複数の包装体付き容器2の各々の第2フィルム110同士の干渉が抑制され、かつ、第2フィルム110の表示面積を大きくすることができる。
【0067】
また、第2フィルムにおける溶剤接合部の片側のみに非接合部を設け、かつ、溶剤接合部が端部に配置された状態で原反状態の容器用包装体をロール状に巻き回す場合、原反状態の容器用包装体を巻いた際の厚みが延在方向に直交する方向(DR4方向)における端部側において厚くなることによって、原反状態の容器用包装体の巻きずれが発生する。
【0068】
一方、本実施の形態においては、
図9および
図10に示すように、原反状態の容器用包装体5における第2フィルム160の溶剤接合部170の両側に第1領域171および第2領域172が設けられ、かつ、原反状態の容器用包装体5をロール状に巻き回した際に溶剤接合部170が第2フィルム160のDR4方向において中央に位置している。これにより、原反状態の容器用包装体5を巻いた際の厚みがDR4方向において左右均等になることによって、巻きずれの発生が抑制される。
【0069】
なお、本実施の形態においては、原反状態の容器用包装体5における第2フィルム160は、第1フィルム150の製造ラインとは別の製造ラインで阻害剤層180が設けられているが、この製造方法に限定されない。溶剤接合部170および阻害剤層180は、1つの製造ラインにおいて設けられてもよい。また、第1フィルム150を筒形状に形成しながら、同時に第2フィルム160を第1フィルム150に貼り付けてもよい。この場合、原反状態の容器用包装体5を高速に製造することが可能であるため、第1フィルム150の重複部153の形成と、溶剤接合部170の形成との両方に、溶剤接合を用いることが好ましい。
【0070】
本発明の実施の形態1に係る容器用包装体1の製造方法においては、第2フィルム110のDR2方向における溶剤接合部120の両側に、第1フィルム100に対して非接合である第1領域121および第2領域122を溶剤接合部120が中央に位置して配置することによって、表示面積を大きくすることができる。
【0071】
本発明の実施の形態1に係る容器用包装体1の製造方法においては、第1フィルム100および第2フィルム110を揮発性の高い溶剤によってフィルム表面を溶かして表面同士を接合させることによって、粘着剤を塗布してフィルム同士を接着させる場合と比較して乾燥時間を少なくすることができるため、第1フィルム100および第2フィルム110とを高速に接合することができる。
【0072】
本発明の実施の形態1に係る容器用包装体1の製造方法においては、第2フィルム110側に情報を印字する場合、溶剤を第1フィルム100に塗布することにより、第2フィルム110側の情報の印字された印刷面に対して溶剤の影響を受けにくくすることができる。
【0073】
本発明の実施の形態1に係る容器用包装体1の製造方法においては、容器用包装体1を高速に製造する場合、阻害剤層130に紫外線硬化型インキを用いることにより、第2フィルム110に阻害剤層130を速く定着させることができる。
【0074】
本発明の実施の形態1に係る容器用包装体1の製造方法においては、第2フィルム110に阻害剤層130をフレキソ印刷によって印刷することによって、グラビア印刷などの凹版印刷と比較して、阻害剤層130を第2フィルム110に対して正確に位置決めしつつムラなく配置させることができる。
【0075】
本発明の実施の形態1に係る熱収縮された容器用包装体3および包装体付き容器2においては、阻害剤層130によって、第2フィルム110の一部が第1フィルム100とともに容器4に折り曲げられることが抑制されていることにより、第2フィルム110の平面形状を維持することができる。これにより、第2フィルム110に記載された情報の表示が歪むことを抑制することができるため、第2フィルム110に表示される商品情報を読み取りやすくすることができる。ひいては、第2フィルム110に印字されたバーコードなどの読み取りエラーの発生を抑制することができる。
【0076】
本発明の実施の形態1に係る容器用包装体1においては、溶剤接合部120を軸方向に直交する方向(DR2方向)において第2フィルム110の中央に配置することによって、第1フィルム100に対して第2フィルム110が偏ることなく見栄えのよい表示面積を確保することができる。また、原反状態の容器用包装体5における互いに接合された第1フィルム150および第2フィルム160を、延在方向(DR3方向)を円周方向としてロール状に巻き回す場合、積層される第1フィルム150および第2フィルム160の厚みの偏りが抑制されるため、巻きずれの発生を抑制することができる。
【0077】
本発明の実施の形態1に係る包装体付き容器2においては、熱収縮された容器用包装体3の表示面積を大きくしつつ、熱収縮された容器用包装体3がDR1方向において蓋部10より高くならないため、包装体付き容器2を梱包するケースまたは棚と熱収縮された容器用包装体3とが接触することを抑制することができる。
【0078】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係る容器用包装体および包装体付き容器について説明する。本発明の実施の形態2に係る容器用包装体および包装体付き容器は、第2フィルムおよび阻害剤層の構成が本発明の実施の形態1に係る容器用包装体3および包装体付き容器2と異なるため、本発明の実施の形態1に係る容器用包装体3および包装体付き容器2と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0079】
図11は、本発明の実施の形態2に係る包装体付き容器の構成を示す断面図である。
図11に示すように、本発明の実施の形態2に係る熱収縮された容器用包装体3Aは、筒状の第1フィルム200と、第2フィルム210と、阻害剤層230とを備える。第1フィルム200および第2フィルム210は、溶剤接合部220により接合されている。
【0080】
第1フィルム200は、蓋部10およびフランジ部22の周囲を被覆可能に構成されている。本実施の形態においては、第1フィルム200の上端201が天面部11に係るように配置され、第1フィルム200の下端202がフランジ部22の下端側と同じ位置になるように配置されていることによって、第1フィルム200が蓋部10およびフランジ部22を被覆可能である。第1フィルム200は、熱収縮により、容器4の形状に沿って曲折部204を形成しつつ、容器4を被覆する。
【0081】
阻害剤層230は、軸方向(DR1方向)において、第2フィルム210のうちの天面部11側に設けられている。第2フィルム210は、阻害剤層230によって、その一部が第1フィルム200とともに容器4に折り曲げられることが抑制されている。また、第1フィルム200は、括れ部20を被覆していない。これにより、第2フィルム210が折れ曲がらずに平面形状を維持できる。
【0082】
本発明の実施の形態2に係る容器用包装体3Aおよび包装体付き容器2Aにおいては、阻害剤層230によって、第2フィルム210の一部が第1フィルム200とともに容器4に折り曲げられることが抑制されていることにより、第2フィルム210の平面形状を維持することができる。これにより、第2フィルム210に記載された情報の表示が歪むことを抑制することができるため、第2フィルム210に表示される印刷層の情報を読み取りやすくすることができる。ひいては、第2フィルム210に印字されたバーコードなどの読み取りエラーの発生を抑制することができる。
【0083】
本発明の実施の形態2に係る包装体付き容器2Aにおいては、阻害剤層230を溶剤接合部220より上方に配置しつつ第2フィルム210の平面形状を維持することによって、容器4より高い位置に熱収縮された容器用包装体3Aを配置させることができるため、熱収縮された容器用包装体3Aのアイキャッチ性を向上させることができる。
【0084】
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3に係る容器用包装体および包装体付き容器について説明する。本発明の実施の形態3に係る容器用包装体および包装体付き容器は、第2フィルムおよび阻害剤層の構成が本発明の実施の形態1に係る容器用包装体3および包装体付き容器2と異なるため、本発明の実施の形態1に係る容器用包装体3および包装体付き容器2と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0085】
図12は、本発明の実施の形態3に係る包装体付き容器の構成を示す断面図である。
図12に示すように、本実施の形態に係る容器用包装体3Bは、筒状の第1フィルム300と、第2フィルム310と、阻害剤層330とを備える。第1フィルム300および第2フィルム310は、溶剤接合部320により接合されている。
【0086】
第1フィルム300は、蓋部10および括れ部20の周囲を被覆可能に構成されている。本実施の形態においては、第1フィルム300の上端301が天面部11に係るように配置され、第1フィルム300の下端302がフランジ部22に掛かるように配置されていることによって、第1フィルム300が蓋部10およびフランジ部22を被覆可能である。第1フィルム300は、熱収縮により、容器4の形状に沿って上方曲折部305および下方曲折部306を形成しつつ、容器4を被覆する。
【0087】
阻害剤層330は、軸方向(DR1方向)において、溶剤接合部320を挟んで第2フィルム310の両側に設けられている。第2フィルム310は、阻害剤層330によって、その一部が第1フィルム300とともに容器4に折り曲げられることが抑制されている。これにより、第2フィルム310が折れ曲がらずに平面形状を維持できる。
【0088】
本発明の実施の形態3に係る容器用包装体3Bおよび包装体付き容器2Bにおいては、阻害剤層330によって、第2フィルム310の一部が第1フィルム300とともに容器4に折り曲げられることが抑制されていることにより、第2フィルム310の平面形状を維持することができる。これにより、第2フィルム310に記載された情報の表示が歪むことを抑制することができるため、第2フィルム310に表示される印刷層の情報を読み取りやすくすることができる。ひいては、第2フィルム310に印字されたバーコードなどの読み取りエラーの発生を抑制することができる。
【0089】
本発明の実施の形態3に係る包装体付き容器2Bにおいては、阻害剤層330を溶剤接合部320の上方および下方に配置しつつ第2フィルム310の平面形状を維持することによって、容器4より高い位置に熱収縮された容器用包装体3Bを配置させてアイキャッチ性を向上させることができ、かつ、第1フィルム300によって蓋部10が上下方向から被覆されるため、容器4の封緘性を向上させて、衛生面での安心感を高めることができる。
【0090】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本開示の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではない。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。上述した実施の形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 容器用包装体、2,2A,2B 包装体付き容器、3,3A,3B 熱圧縮された容器用包装体、4 容器、5 原反状態の容器用包装体、10 蓋部、11 天面部、12 側面部、20 括れ部、21 胴体部、22 フランジ部、30 版胴、31 凸部、40 紫外線照射装置、100,150,200,300 第1フィルム、101,111,201,301 上端、102,112,202,302 下端、103,153 重複部、104,204 曲折部、110,160,210,310 第2フィルム、120,170,320 溶剤接合部、121,171 第1領域、122,172 第2領域、130,180,230,330 阻害剤層、305 上方曲折部、306 下方曲折部、CL 切断予定線、L1,L2 幅。