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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034336
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8234 20060101AFI20240306BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240306BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20240306BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H01L27/088 A
H01L27/088 B
H01L29/78 301X
H01L29/78 618B
H01L29/78 301Y
H01L27/06 102A
H01L21/88 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138514
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】松本 光市
【テーマコード(参考)】
5F033
5F048
5F110
5F140
【Fターム(参考)】
5F033GG01
5F033GG02
5F033MM30
5F048AA01
5F048AA05
5F048AB03
5F048AB10
5F048AC01
5F048AC02
5F048AC10
5F048BA01
5F048BA14
5F048BA20
5F048BB05
5F048BB09
5F048BB16
5F048BB19
5F048BC12
5F048BD06
5F048BD10
5F048BF02
5F048BF07
5F048BF11
5F048BF15
5F048BF16
5F048BG13
5F110AA01
5F110AA04
5F110AA07
5F110AA11
5F110BB03
5F110BB20
5F110CC01
5F110CC07
5F110DD13
5F110DD21
5F110DD25
5F110EE09
5F110EE22
5F110EE30
5F110FF02
5F110FF12
5F110GG01
5F110GG06
5F110GG19
5F110GG22
5F110GG28
5F110GG41
5F110HJ01
5F110HJ23
5F110HL02
5F110HL03
5F110HL04
5F110NN23
5F110NN74
5F110QQ19
5F140AA21
5F140AA29
5F140AA39
5F140AB01
5F140AB09
5F140AC01
5F140BA01
5F140BA03
5F140BA05
5F140BA07
5F140BA08
5F140BB05
5F140BC15
5F140BD05
5F140BD07
5F140BD10
5F140BE07
5F140BE09
5F140BF04
5F140BF06
5F140BF10
5F140BF11
5F140BF14
5F140BF16
5F140BF20
5F140BH03
5F140BJ05
5F140BJ07
5F140BK13
5F140BK21
5F140CA02
5F140CB04
5F140CB08
5F140CC03
5F140CE07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】短チャネル特性を改善し、ゲート長を短くして必要な動作を実現する半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1Aは、三次元材料層3と、三次元材料層3を含む第1トランジスタQ1と、絶縁層7上の二次元材料層14と、二次元材料層14を含む第2トランジスタQ2とが、同一の基体2に設けられている。第2トランジスタQ2は、三次元材料層3より、二次元材料層14の方がバンドギャップが大きく、第2トランジスタQ2のゲート絶縁膜15は厚いので、第1トランジスタQ1より高耐圧となり、高集積化と高耐圧化を両立できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元材料層と、
前記三次元材料層を含む第1トランジスタと、
二次元材料層と、
前記二次元材料層を含む第2トランジスタと、
を備え、
前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとが同一の基体に設けられている、半導体装置。
【請求項2】
前記第1トランジスタは、ゲート絶縁膜を介在して前記三次元材料層と互いに隣り合って設けられたゲート電極を有する電界効果トランジスタであり、
前記第2トランジスタは、ゲート絶縁膜を介在して前記二次元材料層と互いに隣り合って設けられたゲート電極を有する電界効果トランジスタであり、
前記第2トランジスタの前記ゲート絶縁膜の膜厚は、前記第1トランジスタの前記ゲート絶縁膜の膜厚よりも厚い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記二次元材料層は、前記三次元材料層よりもバンドギャップが大きい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記三次元材料層は、ベース部と、前記ベース部から突出し、かつ所定の間隔を空けて並列に複数配置された素子形成部と、を含み、
前記第1トランジスタの前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極は、複数の前記素子形成部の各々の上面部及び側面部に亘って設けられている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記二次元材料層及び前記第2トランジスタは、絶縁層を介在して前記三次元材料層よりも上層に設けられ、
前記二次元材料層と、前記第2トランジスタの前記ゲート絶縁膜とは、前記絶縁層に設けられた凹部及び凸部を含む凹凸面に沿って蛇行している、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記二次元材料層及び前記第2トランジスタは、絶縁層を介在して前記三次元材料層よりも上層に設けられ、
前記二次元材料層と、前記第2トランジスタの前記ゲート絶縁膜とは、前記三次元材料層に設けられた凹部及び凸部を含む凹凸面に沿って蛇行している、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記三次元材料層の前記凸部は、基準電位が印加される、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記三次元材料層と前記二次元材料層との間の前記絶縁層の膜厚は、10nm以上である、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記二次元材料層及び前記第2トランジスタは、絶縁層を介在して前記三次元材料層よりも上層に設けられ、
前記二次元材料層は、前記第2トランジスタの前記ゲート絶縁膜を介在して前記第2トランジスタの前記ゲート電極よりも上層に設けられている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記二次元材料層及び前記第2トランジスタは、絶縁層を介在して前記三次元材料層よりも上層に設けられ、
前記第2トランジスタの前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極は、前記二次元材料層よりも上層に設けられている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1及び第2トランジスタの各々のゲート電極は、二次元材料で構成されている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記三次元材料層は、Si、Ge、SiGeの何れかの材料層である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記二次元材料層は、MoS、MoSe、MoTe、WS、WSe、WTe、ZrS、ZrSe、ZeTe、HfSe、HfTe、Graphene又はPhosphereneの何れかの二次元材料を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1トランジスタを含むデジタル回路と、前記第2トランジスタを含むアナログ回路とを更に備えている、請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術(本開示に係る技術)は、半導体装置及び電子機器に関し、特に、ゲート絶縁膜の膜厚が異なる複数種類の電界効果トランジスタを有する半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置に搭載される電界効果トランジスタとして、半導体層を加工してベース部から突出する島状の素子形成部(フィン部)を形成し、この島状の素子形成部の3つの面部(上面部及び2つの側面部)に亘ってゲート電極を設けたフィン型の電界効果トランジスタ(Fin-FET)が知られている。また、半導体層を加工して下地膜上に立体形状の素子形成部を形成し、この素子形成部の4つの面部(上面部、底面部及び2つの側面部)に亘ってゲート電極を設けたGAA(Gate all Around)構造の電界効果トランジスタ(GAA-FET)も知られている。特許文献1には、フィン型やGAA構造の電界効果トランジスタが開示されている。
一方、特許文献2には、二次元材料層を電界効果トランジスタのチャネル形成部として用いた技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2020/262643号
【特許文献2】特開2021-068719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半導体装置においては更なる高集積化が望まれている。高集積化を図るためには、トランジスタの微細化が必須となる。
上述のフィン型やGAA構造の電界効果トランジスタは、短チャネル特性を改善し、ゲート長を短くして必要な動作を実現することが可能であるため、平面サイズの微細化(占有面積の縮小)を図ることができ、高集積化に有用である。
【0005】
しかしながら、フィン型やGAA構造の場合、素子形成部の複数の面部(上面部、底面部及び2つの側面部)から電界が生じ、チャネル形成部での電界が強い。このため、動作電圧が高い高耐圧の電界効果トランジスタ、即ちゲート絶縁膜の膜厚が厚い電界効果トランジスタにおいては、フィン型やGAA構造の適用が困難である。
【0006】
デジタル回路やアナログ回路などの機能が異なる回路を混載する半導体装置では、耐圧(ゲート絶縁膜の膜厚)が異なる複数種類の電界効果トランジスタが用いられている。したがって、耐圧が異なる複数種類の電界効果トランジスタを搭載する場合は、更なる高集積化を図る上で更なる工夫が必要である。
そこで、本技術者は、二次元材料層に着目し、本技術をなした。
【0007】
本技術の目的は、高集積化を図ることが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本技術の一態様に係る半導体装置は、
三次元材料層と、
上記三次元材料層を含む第1トランジスタと、
二次元材料層と、
上記二次元材料層を含む第2トランジスタと、を備えている。
そして、上記第1トランジスタと上記第2トランジスタとが、同一の基体に設けられている。
【0009】
(2)本技術の他の態様に係る半導体装置は、
上記第1トランジスタが、ゲート絶縁膜を介在して上記三次元材料層と互いに隣り合って設けられたゲート電極を有する電界効果トランジスタであり、
上記第2トランジスタが、ゲート絶縁膜を介在して上記二次元材料層と互いに隣り合って設けられたゲート電極を有する電界効果トランジスタである。
そして、上記第2トランジスタの上記ゲート絶縁膜の膜厚が、上記第1トランジスタの上記ゲート絶縁膜の膜厚よりも厚い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本技術の第1実施形態に係る半導体装置に搭載された第1電界効果トランジスタ及び第2電界高トランジスタの平面パターンを模式的に示す平面図である。
図2図1のa1-a1切断線に沿った縦断面構造を模式的に示す縦断面図である。
図3図1のb1-b1切断線に沿った縦断面構造を模式的に示す縦断面図である。
図4図1のc1-c1切断線に沿った縦断面構造を模式的に示す縦断面図である。
図5A】本技術の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の工程を模式的に示す縦断面図である。
図5B図5Aに引き続く工程を模式的に示す縦断面図である。
図5C図5Bに引き続く工程を模式的に示す縦断面図である。
図5D図5Cに引き続く工程を模式的に示す縦断面図である。
図5E図5Dに引き続く工程を模式的に示す縦断面図である。
図5F図5Eに引き続く工程を模式的に示す縦断面図である。
図5G図5Fに引き続く工程を模式的に示す縦断面図である。
図5H図5Gに引き続く工程を模式的に示す縦断面図である。
図5I図5Hに引き続く工程を模式的に示す縦断面図である。
図6A】デジタル回路に用いられる薄膜型の電界効果トランジスタと、アナログ回路に用いられる厚膜型の電界効果トランジスタと、を世代の時系列でスケーリングしたときの面積比を示す図である。
図6B】面積比率(デジタル回路に用いられる薄膜型の電界効果トランジスタ:アナログ回路に用いられる厚膜型の電界効果トランジスタ)と、ロジック比率(ロジック回路:アナログ回路)との相関図である。
図7】本技術の第2実施形態に係る半導体装置に搭載された第1トランジスタ及び第2トランジスタの平面パターンを模式的に示す平面図である。
図8図7のa7-a7切断線に沿った縦断面構造を模式的に示す縦断面図である。
図9】本技術の第3実施形態に係る半導体装置に搭載された第1トランジスタ及び第2トランジスタの平面パターンを模式的に示す平面図である。
図10図9のa9-a9切断線に沿った縦断面構造を模式的に示す縦断面図である。
図11図9のc9-c9切断線に沿った縦断面構造を模式的に示す縦断面図である。
図12】本技術の第4実施形態に係る半導体装置に搭載された第1トランジスタ及び第2トランジスタの縦断面構造を模式的に示す縦断面図である。
図13】本技術の第5実施形態に係る半導体装置に搭載された第1トランジスタ及び第2トランジスタの縦断面構造を模式的に示す縦断面図である。
図14】本技術の第6実施形態に係る半導体装置に搭載された第1トランジスタ及び抵抗素子の縦断面構造を模式的に示す縦断面図である。
図15】本技術の第7実施形態に係る半導体装置に搭載された第1トランジスタ及び容量素子の縦断面構造を模式的に示す縦断面図である。
図16】本技術の第9実施形態に係る半導体装置の概略構成を模式的に示す要部平面図である。
図17図16のa16-a16切断線に沿った縦断面構造を模式的に示す縦断面図である。
図18】本技術の第9実施形態に係るIoTシステムの一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本技術の実施形態を詳細に説明する。
以下の説明で参照する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。
【0012】
また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。また、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0013】
また、以下の実施形態は、本技術の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものではない。即ち、本技術の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
また、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本技術の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれることは勿論である。
【0015】
また、以下の実施形態では、半導体の導電型として、第1導電型がp型、第2導電型がn型の場合を例示的に説明するが、導電型を逆の関係に選択して、第1導電型をn型、第2導電型をp型としても構わない。
【0016】
また、以下の実施形態では、空間内で互に直交する三方向において、同一平面内で互に直交する第1の方向及び第2の方向をそれぞれX方向、Y方向とし、第1の方向及び第2の方向のそれぞれと直交する第3の方向をZ方向とする。そして、以下の実施形態では、後述する三次元材料層3の厚さ方向をZ方向として説明する。
【0017】
〔第1実施形態〕
この第1実施形態では、ゲート絶縁膜の膜厚が異なる低耐圧の第1トランジスタ及び高耐圧の第2トランジスタを有する半導体装置に本技術を適用した一例について説明する。
【0018】
≪半導体装置の構成≫
まず、半導体装置1Aの構成について、図1から図4を用いて説明する。
図1では、説明の便宜上、図2から図4に示す多層配線層20の図示を省略している。
【0019】
図1から図4に示すように、本技術の第1実施形態に係る半導体装置1Aは、基体2を主体に構成されている。基体2は、三次元材料層3と、この三次元材料層3を含む第1トランジスタとしての第1電界効果トランジスタQ1と、二次元材料層14と、この二次元材料層14を含む第2トランジスタとしての第2電界効果トランジスタQ2と、を備えている。また、基体2は、後述する三次元材料層3のベース部5側とは反対側に設けられた絶縁層7及び多層配線層20を更に備えている。
【0020】
基体2は、X方向及びY方向を含む二次元平面内において二次元状に配置された第1領域2A及び第2領域2Bを含む。そして、基体2の第1領域2Aには第1電界効果トランジスタQ1が設けられ、基体2の第1領域2Aとは異なる第2領域2Bには第2電界効果トランジスタQ2が設けられている。この第1実施形態において、第1電界効果トランジスタQ1は、例えばデジタル回路を構成する回路素子として使用され、第2電界効果トランジスタQ2は、例えばアナログ回路を構成する回路素子として使用されている。即ち、この第1実施形態に係る半導体装置1Aは、第1電界効果トランジスタQ1を含むデジタル回路と、第2電界効果トランジスタQ2を含むアナログ回路と、を備えている。
【0021】
ここで、この第1実施形態では、第1電界効果トランジスタQ1が本技術の「第1トランジスタ」の一具体例に相当し、第2電界効果トランジスタQ2が本技術の「第2トランジスタ」の一具体例に相当する。
【0022】
<三次元材料層>
図2から図4に示すように、三次元材料層3は、X方向及びY方向において二次元状に広がるベース部5と、このベース部5から上方(Z方向)に突出する島状の素子形成部(フィン部)6と、を含む。素子形成部6は、Y方向に延伸し、かつ第1電界効果トランジスタQ1毎に設けられている。この第1実施形態では、これに限定されないが、例えば、X方向に所定の間隔を空けて並列に配置された5つの素子形成部6を一単位とする島群が第1電界効果トランジスタQ1毎に設けられている。図1では、5つの素子形成部6を含む1つの島群に1つの第1電界効果トランジスタQ1が設けられた一例を図示している。
【0023】
図1から図4に示すように、5つの素子形成部6の各々の素子形成部6は、例えば、上面部6a及び4つの側面部6c,6c,6c,6cを有し、かつ平面視での平面形状が長手方向及び短手方向を有する長方形状になっている。そして、素子形成部6は、厚さ方向がZ方向となり、長手方向がY方向となり、短手方向がX方向となる。
【0024】
上面部6aは、素子形成部6のベース部5側とは反対側に位置している。4つの側面部6c,6c,6c及び6cのうち、2つの側面部6c及び6cは、各々の短手方向(X方向)において互いに反対側に位置し、残りの2つの側面部6c及び6cは、各々の長手方向(Y方向)において互いに反対側に位置している。素子形成部6は、上面部6aとは反対側がベース部5と一体化されている。
【0025】
ここで、この第1実施形態では、4つの側面部6c,6c,6c,6cのうち、Y方向において互いに反対側に位置する2つの側面部6c,6cを端面部6c,6cと呼ぶこともある。
また、平面視とは、三次元材料層3の厚さ方向(Z方向)に沿う方向から見た場合を指す。また、断面視とは、三次元材料層3の厚さ方向(Z方向)に沿う縦断面を三次元材料層3の厚さ方向(Z方向)と直交する方向(X方向又はY方向)から見た場合を指す。
【0026】
素子形成部6は、三次元材料層3をベース部5が残存する程度の深さまで選択的にエッチングすることによって形成することができる。即ち、ベース部5及び素子形成部6は、三次元材料層3で構成されている。
【0027】
三次元材料層3は、原子が三次元方向に連なり、結晶が三次元構造で構成されている。三次元材料層3は、これに限定されないが、半導体材料として例えばシリコン(Si)、結晶性として例えば単結晶、導電型として例えばi型(真性型)で構成されている。三次元材料層3は、原子同士が三次元方向に強く結合し、キャリアは三次元のどの方向にも流れる。三次元材料層3の材料としては、Siの他に、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ガリウムヒ素(GaAs)、インジウム燐(InP)などを用いることができる。
【0028】
ベース部5は、基体2の第1領域2A及び第2領域2Bに亘って設けられている。そして、この第1実施形態では、これに限定されないが、素子形成部6が、基体2の第1領域2Aに選択的に設けられており、第2領域2Bには設けられていない。
【0029】
ここで、図2を参照して説明すると、三次元材料層3は、基体2の第1領域2Aに設けられた第1領域3Aと、基体2の第2領域2Bに設けられた第2領域3Bと、を含む。そして、基体2の第1領域2Aは三次元材料層3の第1領域3Aを含み、基体2の第2領域2Bは三次元材料層3の第2領域3Bを含む。
【0030】
<ウエル領域>
図2から図4に示すように、三次元材料層3には、例えばp型の半導体領域からなるp型のウエル領域4aが設けられている。p型のウエル領域4aは、これに限定されないが、三次元材料層3の第1領域3Aに選択的に設けられ、第2領域3Bには設けられていない。
【0031】
p型のウエル領域4aは、三次元材料層3の第1領域3A(基体2の第1領域2A)において、素子形成部6の全域に設けられていると共に、ベース部5の素子形成部6側の表層部の全域に設けられている。そして、p型のウエル領域4aは、ベース部5の素子形成部6側とは反対側の裏面から離間している。
【0032】
<絶縁層>
図1から図4に示すように、絶縁層7は、基体2の第1領域2A及び第2領域2Bに亘って三次元材料層3の主面側(素子形成部6側)に設けられている。第1領域2Aでの絶縁層7は、素子形成部6を囲むようにして三次元材料層3の主面側に設けられている。第2領域2Bでの絶縁層7は、ベース部5の全域を覆うようにして三次元材料層3の主面側に設けられている。
【0033】
絶縁層7は、三次元材料層3側とは反対側の表層部が基体2の第1領域2A及び第2領域2Bに亘って平坦化されており、三次元材料層3の素子形成部6の高さ(ベース部5から突出する突出量)と同程度の膜厚で構成されている。絶縁層7は、例えば酸化シリコン(SiO)膜で構成されている。
【0034】
<凹凸部>
図1及び図2に示すように、第2領域2Bでの絶縁層7は、三次元材料層3のベース部5側とは反対側の表層部に一方向に交互に繰り返し設けられた凹部7a及び凸部7bを有する。凹部7a及び凸部7bは、これに限定されないが、Y方向に延伸し、かつX方向に交互に繰り返し配置されている。凹部7a及び凸部7bは、絶縁層7の三次元材料層3(ベース部5)側とは反対側の表層部を選択的にエッチングすることによって形成することができる。
【0035】
凹部7a及び凸部7bは、第2電界効果トランジスタQ2毎に設けられている。この第1実施形態では、これに限定されないが、3つの凹部7a及び2つの凸部7bを一単位とする凹凸群が第2電界効果トランジスタQ2毎に設けられている。図1では、3つの凹部7a及び2つの凸部7bを含む1つの凹凸群に1つの第2電界効果トランジスタQ2が設けられた一例を図示している。
【0036】
<二次元材料層>
図1及び図2に示すように、二次元材料層14は、基体2の第2領域2Bにおいて、絶縁層7の三次元材料層3側とは反対側に設けられている。即ち、二次元材料層14は、絶縁層7を介在して三次元材料層3よりも上層に設けられている。
【0037】
二次元材料層14は、これに限定されないが、例えば、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bを含む凹凸面に沿って連続的に蛇行し、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bの凹凸が反映された凹凸パターンを有する。具体的には、二次元材料層14は、絶縁層7のベース部5側とは反対側の上面部、凹部7aの底面部を含む内壁面部、及び凸部7bの上面部に沿って連続的に蛇行し、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bの凹凸が反映された凹凸パターンを有する。
そして、この第1実施形態では、3つの凹部7aと2つの凸部7bとを含む1つの凹凸群に二次元材料層14が設けられているので、二次元材料層14は、3つの凹部7a及び2つの凸部7bに亘って連続的に設けられている。
【0038】
ここで、凸部7bは、上面部及び側面部を有するが、凸部7bの側面部は、凹部7aの内壁面部に含まれる。換言すれば、凸部7bの側面部は、凹部7aの内壁面部に含まれる側壁面部と共有されている。
【0039】
二次元材料層14は、二次元構造の単位層が積層された層状構造を有する二次元材料で形成されている。二次元材料は、二次元構造に起因して高いキャリア移動度を有する。
二次元材料としては、例えば、単原子層状物質若しくは該単原子層状物質に類似する化合物、又は遷移金属ダイカルコゲナイドなどを例示することができる。
【0040】
単原子層状物質、若しくは該単原子層状物質に類似する化合物は、共有結合からなる二次元結晶構造の単位層が互いにファンデルワールス力にて積層結合した構造を有する化合物である。このような化合物としては、グラフェン、黒リン(Black Phosphorus)、シリセン(Silicene)又は六方晶窒化ホウ素(hBN)などを例示することができる。二次元材料層14は、これらの化合物のうちの1つの単層膜として形成されてもよく、これらの化合物のうちの複数による積層膜として形成されてもよい。
また、単原子層状物質として、例えばGraphene(グラフェン)、又はPhospherene(フォスフォレン)などを例示することができる。
【0041】
遷移金属ダイカルコゲナイドは、化学式MXで表される化合物である。化学式MXにおいて、Mは、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ge、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Sn、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg又はPbなどの遷移金属元素であり、Xは、S、Se又はTeなどのカルコゲナイド元素である。より具体的には、遷移金属ダイカルコゲナイドとしては、CrS、CrSe、CrTe、HfS、HfSe、HfTe、MoS、MoSe、MoTe、NiS、NiSe、SnS、SnSe、TiS、TiSe、TiTe、WS、WSe、WTe、ZeTe、ZrS、ZrSe、又はZrTeなどを例示することができる。二次元材料層14は、これらの化合物のうちの1つの単層膜で形成されてもよく、これらの化合物のうちの複数による積層膜で形成されてもよい。
特に、二次元材料層14としては、MoS、MoSe、MoTe、WS、WSe、WTe、ZrS、ZrSe、ZeTe、HfSe、HfTe、Graphene又はPhosphereneの何れかの二次元材料を含むことが好ましい。
【0042】
二次元材料層14としては、三次元材料層3よりもバンドギャップが大きい二次元材料で構成することが好ましい。この第1実施形態では、三次元材料層3がSiで構成されており、Siのバンドギャップは、1.12eVである。したがって、三次元材料層3がSiの場合は、バンドギャップがSiのバンドギャップよりも大きい二次元材料からなる二次元材料層14を用いることが好ましい。この第1実施形態では、二次元材料層14の二次元材料として、例えばバンドギャップが3.0eVの二次元材料を用いている。
【0043】
二次元材料層14は、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bの凹凸が反映される膜厚で容易に形成することができる。この第1実施形態では、これに限定されないが、二次元材料層14は、例えば0.3nm~7nm程度の膜厚で形成されている。
【0044】
<第1電界効果トランジスタ>
図1に示す第1電界効果トランジスタQ1は、これに限定されないが、例えばnチャネル導電型で構成されている。そして、第1電界効果トランジスタQ1は、酸化シリコン(SiO)膜をゲート絶縁膜とするMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect transistor)で構成されている。第1電界効果トランジスタQ1としては、pチャネル導電型でも構わない。また、窒化シリコン膜、或いは窒化シリコン(Si)膜及び酸化シリコン膜などの積層膜(複合膜)をゲート絶縁膜とするMISFET(Metal Insulator Semiconductor FET)でも構わない。
【0045】
図1から図3に示すように、第1電界効果トランジスタQ1は、三次元材料層3の素子形成部6に設けられている。
【0046】
第1電界効果トランジスタQ1は、素子形成部6に設けられたチャネル形成部13と、素子形成部6の短手方向(X方向)において、ゲート絶縁膜10を介在して素子形成部6と互いに隣り合って(互いに向かい合って)設けられたゲート電極11とを備えている。この第1実施形態において、ゲート電極11は、これに限定されないが、1つの島群に含まれる5つの素子形成部6の各々に亘って設けられている。即ち、第1電界効果トランジスタQ1は、チャネル形成部13として用いる三次元材料層3を含む。
【0047】
また、第1電界効果トランジスタQ1は、ゲート電極11のゲート長方向(Y方向)の両側の素子形成部6に互いに離間して設けられ、かつソース領域及びドレイン領域として機能する一対の主電極領域12a及び12bを更に備えている。
【0048】
ここで、説明の便宜上、一対の主電極領域12a及び12bのうち、一方の主電極領域12aをソース領域と呼び、他方の主電極領域12bをドレイン領域12bと呼ぶこともある。
また、図3を参照して説明すれば、一対の主電極領域12aと12bとの間の距離がチャネル形成部13のチャネル長(L)(≒ゲート電極11のゲート長(Lg))であり、このチャネル長の方向をチャネル長方向(ゲート長方向)と呼ぶ。そして、チャネル形成部13のチャネル幅(W)(ゲート幅(Wg))の方向をチャネル幅方向(ゲート幅方向)と呼ぶ。そして、この第1実施形態では、一例として、一対の主電極領域12aと12bとがチャネル形成部13を挟んでY方向に離間しているので、チャネル長方向はY方向となる。
【0049】
<主電極領域>
図3に示す一対の主電極領域12a及び12bの各々は、これに限定されないが、例えばゲート電極11に整合して素子形成部6に形成されたn型の半導体領域で構成されている。この第1実施形態では、一例として、一対の主電極領域12a及び12bの各々を1つのn型の半導体領域で構成しているが、一対の主電極領域12a及び12bの各々はエクステンション領域を含む複数のn型の半導体領域で構成してもよい。
【0050】
一対の主電極領域12a及び12bの各々は、詳細に図示していないが、5つの素子形成部6の各々に個別に設けられている。また、チャネル形成部13も、5つの素子形成部6の各々に個別に設けられている。
【0051】
なお、この第1実施形態では、一対の主電極領域12a及び12bの各々が素子形成部6の高さより浅く形成された場合を一例として例示しているが、一対の主電極領域12a及び12bの各々は、素子形成部6の高さと同程度の深さで形成してもよい。
【0052】
<ゲート電極>
図2及び図3に示すように、ゲート電極11は、素子形成部6の上面部6a側にゲート絶縁膜10を介在して設けられた頭部11aと、この頭部11aと一体化され、かつ素子形成部6の互いに反対側に位置する2つの側面部6c及び6cの各々の外側にゲート絶縁膜10を介在して設けられた脚部11bと、を有する。
【0053】
ここで、ゲート電極11は、素子形成部6の短手方向(X方向)の両側を脚部11bで挟む構成とすることが好ましい。この場合、ゲート電極11の脚部11bの個数は、素子形成部6の個数を「n」としたとき、「n+1」となる。この第1実施形態では素子形成部6が5つ設けられているので、ゲート電極11は6つの脚部11bを有する。
【0054】
図2に示すように、ゲート電極11の頭部11aは、素子形成部6の上面部6aよりも上方に位置し、5つの素子形成部6に亘って延伸している。そして、ゲート電極11の頭部11aは、多層配線層20に含まれる絶縁層21で覆われている。
【0055】
図2に示すように、ゲート電極11の6つの脚部11bの各々は、素子形成部6の上面部6aよりも下方に位置し、素子形成部6と共に絶縁層7で囲まれている。頭部11a及び脚部11bを含むゲート電極11は、例えば、抵抗値を低減する不純物が導入された多結晶シリコン(ドープドポリシリコン)膜で構成されている。
なお、ゲート電極11の材料としては、例えばTiAl、TaN、TiN、high-k、又はInterfacial layer Oxide(界面層酸化物)などを用いることもできる。
【0056】
<ゲート絶縁膜>
図2に示すように、ゲート絶縁膜10は、素子形成部6の上面部6a及び2つの側面部6c及び6cに亘って設けられている。この第1実施形態では、1つの第1電界効果トランジスタQ1に対して5つの素子形成部6が設けられているので、5つの素子形成部6の各々において、上面部5a、2つの側面部6c及び6cbの各々に亘って設けられている。ゲート絶縁膜10は、例えば酸化シリコン膜で構成されている。
【0057】
<三次元構造>
図2及び図3に示すように、この第1実施形態の第1電界効果トランジスタQ1は、フィン部としての島状の素子形成部6にゲート絶縁膜10を介在してゲート電極11が設けられている。即ち、第1電界効果トランジスタQ1は、所謂フィン型の三次元構造になっている。
このフィン型の第1電界効果トランジスタQ1では、一対の主電極領域12aと12bとの間の長さがチャネル長L(≒ゲート長Lg)となる。そして、素子形成部6の短手方向(X方向)に沿う縦断面において、ゲート電極11がゲート絶縁膜10を介在して素子形成部6と向かい合う長さに、素子形成部6の個数を乗算した値がチャネル幅W(≒ゲート幅)となる。
【0058】
したがって、フィン型の第1電界効果トランジスタQ1は、素子形成部6の短手方向(X方向)の幅を広くし、素子形成部6のZ方向の高さを高くすることにより、チャネル幅Wが広くなるので、チャネル面積(チャネル長L×チャネル幅W)を大きくことができる。そして、フィン型の第1電界効果トランジスタQ1は、素子形成部6の個数を増やすことによって、チャネル面積(チャネル長L×チャネル幅W)を大きくすることができる。
【0059】
この第1実施形態では、5つの素子形成部6を一単位とする1つの島群に、1つの第1電界効果トランジスタQ1を設けた場合について説明しているが、素子形成部6の個数は1つでもよく、また、2つ以上でもよい。
【0060】
第1電界効果トランジスタQ1は、例えば、ゲート電極11に閾値電圧以上のゲート電圧を印加することにより、ドレイン電流が流れるエンハンスメント型(ノーマリオフ型)で構成することができる。また、第1電界効果トランジスタQ1は、例えば、ゲート電極11に電圧を印加しなくてもドレイン電流が流れるディプレッション型(ノーマリオフ型)で構成することができる。この第1実施形態では、これに限定されないが、例えばエンハンスメント型で構成されている。エンハンスメント型の場合、第1電界効果トランジスタQ1は、ゲート電極11に印加される電圧により、一対の主電極領域12aと12bとを電気的に繋ぐチャネル(反転層)がチャネル形成部13(素子形成部6)に形成(誘起)され、電流(ドレイン電流)がドレイン領域側(例えば主電極領域12b側)からチャネル形成部13のチャネルを通ってソース領域側(例えば主電極領域12a側)に流れる。
【0061】
フィン型の場合、素子形成部6の上面部6a側及び2つの側面部6c,6c側にチャネルが形成される。したがって、フィン型の第1電界効果トランジスタQ1は、占有面積(フットプリント)が同一のとき、プレーナ型の電界効果トランジスタと比較して、より多くのドレイン電流が流れ、相互コンダクタンスgmが高くなる。これにより、フィン型の第1電界効果トランジスタQ1は、プレーナ型の電界効果トランジスタと比較して動作速度の向上を図ることができる。
【0062】
<第2電界効果トランジスタ>
図1に示す第2電界効果トランジスタQ2は、これに限定されないが、例えばnチャネル導電型で構成されている。そして、第2電界効果トランジスタQ2は、酸化シリコン(SiO)膜をゲート絶縁膜とするMOSFETで構成されている。第2電界効果トランジスタQ2としては、pチャネル導電型でも構わない。また、窒化シリコン膜、或いは窒化シリコン(Si)膜及び酸化シリコン膜などの積層膜(複合膜)をゲート絶縁膜とするMISFETでも構わない。
【0063】
図1図2及び図4に示すように、第2電界効果トランジスタQ2は、二次元材料層14に設けられている。
【0064】
第2電界効果トランジスタQ2は、二次元材料層14に設けられたチャネル形成部18と、二次元材料層14の絶縁層7側とは反対側にチャネル形成部18と向かい合って設けられたゲート絶縁膜15と、ゲート絶縁膜15を介在してチャネル形成部18と向かい合って設けられたゲート電極16と、を備えている。即ち、第2電界効果トランジスタQ2は、チャネル形成部18として用いる二次元材料層14を含む。この第1実施形態において、ゲート電極16は、これに限定されないが、1つの凹凸群に含まれる3つの凹部7a及び2つの凸部7bに亘って設けられている。
【0065】
また、第2電界効果トランジスタQ2は、ゲート電極16のゲート長方向(Y方向)の両側の二次元材料層14に互いに離間して設けられ、かつソース領域及びドレイン領域として機能する一対の主電極領域17a及び17bを更に備えている。ソース領域及びドレイン領域は、二次元材料層14の上、若しくは下に不純物を吸着させるケミカルドーピングなどの手法によりゲート電極16までの抵抗を下げることも可能である。
【0066】
ここで、説明の便宜上、一対の主電極領域17a及び17bのうち、一方の主電極領域17aをソース領域と呼び、他方の主電極領域17bをドレイン領域12bと呼ぶこともある。
また、図4を参照して説明すれば、一対の主電極領域17aと17bとの間の距離がチャネル形成部18のチャネル長(L)(≒ゲート電極16のゲート長(Lg))であり、このチャネル長の方向をチャネル長方向(ゲート長方向)と呼ぶ。そして、チャネル形成部18のチャネル幅(W)(ゲート幅(Wg))の方向をチャネル幅方向(ゲート幅方向)と呼ぶ。そして、この第1実施形態では、一例として、一対の主電極領域17aと17bとがチャネル形成部18を挟んでY方向に離間しているので、チャネル長方向はY方向となる。
【0067】
<主電極領域>
図4に示す一対の主電極領域17a及び17bの各々は、これに限定されないが、例えばゲート電極16に整合して二次元材料層14に形成されたn型の半導体領域で構成されている。この第1実施形態では、一例として、一対の主電極領域17a及び17bの各々を1つのn型の半導体領域で構成しているが、一対の主電極領域17a及び17bの各々は複数のn型の半導体領域で構成してもよい。
【0068】
一対の主電極領域17a及び17bの各々は、詳細に図示していないが、3つの凹部7aに亘って二次元材料層14に連続して設けられている。また、チャネル形成部18も、3つの凹部7aに亘って二次元材料層14に連続して設けられている。
【0069】
<ゲート電極>
図2に示すように、二次元材料層14及びゲート絶縁膜10の各々は、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bを含む凹凸面に沿って設けられている。ゲート電極16は、絶縁層7の三次元材料層3側(ベース部5側)とは反対側の上面部側に、二次元材料層14及びゲート絶縁膜15を介在して設けられた頭部16aと、この頭部16aと一体化され、かつ絶縁層7の凹部7aに二次元材料層14及びゲート絶縁膜15を介在して設けられた脚部16bと、を有する。
【0070】
ここで、ゲート電極16は、凸部7bの短手方向(X方向)の両側を脚部16bで挟む構成とすることが好ましい。この場合、ゲート電極16の脚部16bの個数は、絶縁層7の凸部7bの個数を「m」としたとき、「m+1」となる。この第1実施形態では凸部7bが2つ設けられているので、ゲート電極16は3つの脚部11bを有する。
なお、凹部7aが1つで凸部7bが無い場合、ゲート電極16の脚部16bは1つとなる。
【0071】
図2に示すように、ゲート電極16の頭部16aは、絶縁層7の凸部7bの上面部よりも上方に位置し、凹部7a及び凸部7bの短手方向(X方向)において、3つの凹部7a及び2つの凸部7bに亘って延伸している。そして、ゲート電極16の頭部16aは、多層配線層20に含まれる絶縁層21で覆われている。
【0072】
図2に示すように、ゲート電極16の3つの脚部16bの各々は、絶縁層7の凹部7aに、二次元材料層14及びゲート絶縁膜15を介在して設けられており、絶縁層7で囲まれている。頭部16a及び脚部16bを含むゲート電極16は、例えば、抵抗値を低減する不純物が導入された多結晶シリコン(ドープドポリシリコン)膜で構成されている。
【0073】
<ゲート絶縁膜>
図2に示すように、ゲート絶縁膜15は、二次元材料層14の絶縁層7側とは反対側に設けられている。そして、ゲート絶縁膜15は、二次元材料層14を介在して、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bを含む凹凸面に沿って連続的に蛇行し、二次元材料層14と共に、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bの凹凸が反映された凹凸パターンを有する。具体的には、ゲート絶縁膜15は、二次元材料層14と同様に、絶縁層7のベース部5側とは反対側の上面部、凹部7aの底面部を含む内壁面部、及び凸部7bの上面部に沿って連続的に蛇行し、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bの凹凸が反映された凹凸パターンを有する。
そして、この第1実施形態では、3つの凹部7aと2つの凸部7bとを含む1つの凹凸群に、二次元材料層14を介在してゲート絶縁膜15が設けられているので、ゲート絶縁膜15は、二次元材料層14と共に、3つの凹部7a及び2つの凸部7bに亘って連続的に設けられている。ゲート絶縁膜15は、例えば酸化シリコン膜で構成されている。
【0074】
<三次元構造>
図2及び図4に示すように、この第1実施形態の第2電界効果トランジスタQ2は、二次元材料層14、ゲート絶縁膜15及びゲート電極16の各々が、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bに亘って設けられている。即ち、第2電界効果トランジスタQ2は、二次元材料層14及びゲート絶縁膜15がZ方向に蛇行する三次元構造になっている。
【0075】
この第2電界効果トランジスタQ2では、一対の主電極領域17aと17bとの間の長さがチャネル長L(≒ゲート長Lg)となる。そして、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bの短手方向(X方向)に沿う縦断面において、ゲート電極16がゲート絶縁膜15を介在して二次元材料層14と向かい合う長さに、凹部7aの個数を乗算した値がチャネル幅W(≒ゲート幅)となる。
したがって、第2電界効果トランジスタQ2は、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bの短手方向(X方向)の幅を広くし、凹部7aの深さ及び凸部の高さを大きくすることにより、チャネル幅Wが広くなるので、第1電界効果トランジスタQ1と同様に、チャネル面積(チャネル長L×チャネル幅W)を大きくことができる。そして、第2電界効果トランジスタQ2は、凹部7a及び凸部7bの個数を増やすことによって、第1電界効果トランジスタQ1と同様に、チャネル面積(チャネル長L×チャネル幅W)を大きくすることができる。
【0076】
この第1実施形態では、3つの凹部7a及び2つの凸部7bを一単位とする1つの凹凸群に、1つの第2電界効果トランジスタQ2を設けた場合について説明しているが、凹部7aの数は1つでもよく、また、2つ以上でもよい。凸部7bの数は、凹部7aの数を「m」としたとき、「m-1」となる。
【0077】
第2電界効果トランジスタQ2は、例えば、ゲート電極16に閾値電圧以上のゲート電圧を印加することにより、ドレイン電流が流れるエンハンスメント型(ノーマリオフ型)で構成することができる。また、第2電界効果トランジスタQ2は、ゲート電極16に電圧を印加しなくてもドレイン電流が流れるディプレッション型(ノーマリオフ型)で構成することができる。この第1実施形態では、これに限定されないが、例えばエンハンスメント型で構成されている。エンハンスメント型の場合、第2電界効果トランジスタQ2は、ゲート電極16に印加される電圧により、一対の主電極領域17aと17bとを電気的に繋ぐチャネル(反転層)がチャネル形成部18に形成(誘起)され、電流(ドレイン電流)がドレイン領域側(例えば主電極領域17b側)からチャネル形成部18のチャネルを通ってソース領域側(例えば主電極領域17a側)に流れる。
【0078】
この第2電界効果トランジスタQ2は、二次元材料層14及びゲート絶縁膜15が絶縁層7の凹部7a及び凸部7bを含む凹凸面に沿って連続的に蛇行し、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bの凹凸が反映された凹凸パターンを有する三次元構造になっている。このため、第2電界効果トランジスタQ2は、占有面積(フットプリント)が同一のとき、プレーナ型の電界効果トランジスタと比較して、より多くのドレイン電流が流れ、相互コンダクタンスgmが高くなる。したがって、三次元構造の電界効果トランジスタQ2も、プレーナ型の電界効果トランジスタと比較して動作速度の向上を図ることができる。
【0079】
<第1電界効果トランジスタと第2電界効果トランジスタとの比較>
図1図2及び図4に示す第2電界効果トランジスタQ2は、主にアナログ回路を構成する回路素子として使用され、図1から図3に示す第1電界効果トランジスタQ1は、主にデジタル回路を構成する回路素子として使用されている。
【0080】
そして、第2電界効果トランジスタQ2は、駆動電圧(電源電圧(Vdd))が第1電界効果トランジスタQ1の駆動電圧(電源電圧(Vdd))よりも高く、耐圧も高い。即ち、第2電界効果トランジスタQ2のゲート絶縁膜15の膜厚は、第1電界効果トランジスタQ1のゲート絶縁膜10の膜厚よりも厚くなっている。
【0081】
この第1実施形態において、これに限定されないが、第2電界効果トランジスタQ2のゲート絶縁膜15は、例えば3nm~8nm程度の膜厚で形成されている。一方、第1電界効果トランジスタQ1のゲート絶縁膜10は、例えば1nm~2nm程度の膜厚で形成されている。そして、第2電界効果トランジスタQ2の駆動電圧(電源電圧(Vdd))は、例えば1.5V~3V程度であり、第1電界トランジスタQ1の駆動電圧(電源電圧(Vdd))は、例えば0.5V~1V程度である。
【0082】
ここで、第2電界効果トランジスタQ2と第1電界効果トランジスタQ1との相対比較として、第2電界効果トランジスタQ2の方を高耐圧型、HV(High Voltage)型、又はコア型と呼び、第1電界効果トランジスタQ1の方を低耐圧型、LV(Low Voltage)型、又はIO型と呼ぶこともある。
また、第2電界効果トランジスタQ2の方を薄膜型、第1電界効果トランジスタQ1の方向を厚膜型と、呼ぶこともある。
【0083】
<多層配線層>
図2から図4に示すように、多層配線層20は、絶縁層7の三次元材料層3側とは反対側、換言すれば三次元材料層3の素子形成部6側に設けられている。多層配線層20は、詳細に図示していないが、絶縁層と配線層とを交互に複数段積み重ねた積層構造になっている。図2から図4では、多層配線層20に含まれる絶縁層として、三次元材料層3側から数えて最下段の絶縁層21を図示している。絶縁層21は、三次元材料層3の第1領域3A及び第2領域3B(基体2の第1領域2A及び第2領域2B)に亘って設けられている。絶縁層21は、三次元材料層3の第1領域3Aにおいて、素子形成部6に設けられた第1電界効果トランジスタQ1を覆い、かつ三次元材料層3の第2領域3Bにおいて、二次元材料層14に設けられた第2電界効果トランジスタQ2を覆っている。
【0084】
多層配線層20に含まれる絶縁層の材料としては、例えば、酸化シリコン(SiO)を用いることができる。また、多層配線層20に含まれる配線層の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などの金属材料、又はAl、Cuを主体とする合金材料などを用いることができる。
【0085】
また、図2から図4に示すように、多層配線層20は、絶縁層21に設けられたコンタクト電極22a、22b、22c、23a、23b及び23cを含む。これらのコンタクト電極22a、22b、22c、23a、23b及び23cの材料としては、例えばチタン(Ti)、タングステン(W)などの高融点金属を用いることができる。
【0086】
<コンタクト電極>
図2及び図3に示すように、コンタクト電極22cの一端側は、第1電界効果トランジスタQ1のゲート電極11と電気的に接続されている。そして、コンタクト電極22cの他端側は、詳細に図示していないが、多層配線層20の配線層に形成された配線と電気的に接続されている。
【0087】
図3に示すように、コンタクト電極22aの一端側は、第1電界効果トランジスタQ1の一方の主電極領域12aと電気的に接続されている。そして、コンタクト電極22aの他端側は、詳細に図示していないが、多層配線層20の配線層に形成された配線と電気的に接続されている。
【0088】
図3に示すように、コンタクト電極22bの一端側は、第1電界効果トランジスタQ1の他方の主電極領域12bと電気的に接続されている。そして、コンタクト電極22bの他端側は、詳細に図示していないが、多層配線層の配線層に形成された配線と電気的に接続されている。
【0089】
図1に示すように、コンタクト電極22a及び22bの各々は、X方向に延伸し、1つの島群に含まれる5つの素子形成部6の各々に亘って設けられている。そして、コンタクト電極22aは、1つの島群に含まれる5つの素子形成部6の各々に設けられた、第1電界効果トランジスタQ1の一方の主電極領域12a(図3参照)と電気的に接続されている。そして、コンタクト電極22bも、1つの島群に含まれる5つの素子形成部6の各々に設けられた、第1電界効果トランジスタQ1の他方の主電極領域12b(図3参照)と電気的に接続されている。
【0090】
図2及び図4に示すように、コンタクト電極23cの一端側は、第2電界効果トランジスタQ2のゲート電極16と電気的に接続されている。そして、コンタクト電極23cの他端側は、詳細に図示していないが、多層配線層20の配線層に形成された配線と電気的に接続されている。
【0091】
図4に示すように、コンタクト電極23aの一端側は、第2電界効果トランジスタQ2の一方の主電極領域17aと電気的に接続されている。そして、コンタクト電極23aの他端側は、詳細に図示していないが、多層配線層20の配線層に形成された配線と電気的に接続されている。
【0092】
図4に示すように、コンタクト電極23bの一端側は、第2電界効果トランジスタQ2の他方の主電極領域17bと電気的に接続されている。そして、コンタクト電極23bの他端側は、詳細に図示していないが、多層配線層の配線層に形成された配線と電気的に接続されている。
【0093】
図1に示すように、コンタクト電極23a及び23bの各々は、X方向に延伸し、絶縁層7の1つの凹凸群に含まれる3つの凹部7a及び2つの凸部7bに亘って設けられている。そして、コンタクト電極23aは、絶縁層7の1つの凹凸群に含まれる3つの凹部7a及び2つの凸部7bに亘って第2電界効果トランジスタQ2の一方の主電極領域17a(図4参照)と電気的に接続されている。そして、コンタクト電極23bも、絶縁層7の1つの凹凸群に含まれる3つの凹部7a及び2つの凸部7bに亘って第2電界効果トランジスタQ2の他方の主電極領域17b(図4参照)と電気的に接続されている。
【0094】
なお、コンタクト電極22a及び22bは、1つの島群において、素子形成部6毎に設けてもよい。また、コンタクト電極23a及び23bも、1つの凹凸群において、絶縁層7の凹部7a毎、若しくは絶縁層7の凸部7b毎に設けてよい。
【0095】
≪半導体装置の製造方法≫
次に、この第1実施形態に係る半導体装置1Aの製造方法について、図5Aから図5Iを用いて説明する。
図5Aから図5E図5G及び図5Hは、図1のa1-a1切断線と同一位置での縦断面構造を示す縦断面図である。そして、図5F図1のb1-b1切断線と同一位置での縦断面構造を示す縦断面図である。そして、図5I図1のc1-c1切断線と同一位置での縦断面構造を示す縦断面図である。
この第1実施形態では、半導体装置1Aの製造に含まれる第1電界効果トランジスタQ1及び第2電界効果トランジスタQ2の形成に特化して説明する。
【0096】
まず、三次元材料層3を準備し、その後、図5Aに示すように、三次元材料層3の第1領域3Aにp型の半導体領域からなるp型のウエル領域4aを選択的に形成する。p型のウエル領域4aは、一例として、三次元材料層3の第1領域3Aにp型を呈する不純物として例えばボロンイオン(B)を選択的に注入し、その後、注入したボロンイオン(B)を熱拡散処理で拡散させることによって形成することができる。この実施形態では、p型のウエル領域4aは、三次元材料層3の第1領域3Aとは異なる第2領域3Bには形成されない。三次元材料層3の第1領域3Aは、図2に示す基体2の第1領域2Aに含まれ、三次元材料層3の第2領域3Bは、図2に示す基体2の第2領域2Bに含まれる。
三次元材料層3としては、これに限定されないが、半導体材料として例えばシリコン(Si)、結晶性として例えば単結晶、導電型として例えばi型(真性型)で構成された半導体基板を用いることができる。
【0097】
次に、三次元材料層3の主面側の表層部を選択的にエッチングし、図5Bに示すように、ベース部5と、このベース部5から上方に突出する島状の素子形成部(フィン部)6と、を形成する。ベース部5は、三次元材料層3の第1領域3A及び第2領域3Bに亘って形成する。素子形成部6は、三次元材料層3の第1領域3Aに、例えば、1つの島群に対して5つ形成する。5つの素子形成部6を含む島群は、第1電界効果トランジスタQ1の形成領域毎に形成する。
5つの素子形成部6の各々の素子形成部6は、例えば、上面部6a及び4つの側面部6c,6c,6c,6cを有し、かつ平面視での平面形状が長手方向及び短手方向を有する長方形状の立体形状(島形状)で形成する。
素子形成部6は、ベース部5が残る程度の深さまで三次元材料層3を選択的にエッチングすることによって形成することができる。したがって、素子形成部6は、その上面部6aとは反対側がベース部5と一体的に形成され、三次元材料層3で構成される。
【0098】
次に、図5Cに示すように、三次元材料層3の素子形成部6側に、素子形成部6を囲み、かつ三次元材料層3の第1領域3A及び第2領域3Bに亘って三次元材料層3のベース部5を覆う絶縁層7を形成する。絶縁層7は、一例として、三次元材料層3のベース部5上及び素子形成部6上を含む全面に酸化シリコン膜などの絶縁膜を周知の成膜法により成膜した後、この絶縁膜の三次元材料層3側とは反対側の表層部を素子形成部6の上面部が露出する程度の深さまでCMP法により除去することによって形成することができる。
【0099】
この工程において、絶縁層7のベース部5側とは反対側の表層部は平坦化され、絶縁層7の表層部と素子形成部6の上面部6aとが概ね面一となる。そして、絶縁層7は、素子形成部6の高さ(突出量)と同程度の膜厚で形成される。
【0100】
次に、素子形成部6の短手方向(X方向)の外側の絶縁層7を選択的に除去し、図5Dに示すように、素子形成部6の短手方向(X方向)の外側に、素子形成部6の2つの側面部6c及び6cを選択的に露出する掘り込み部8をそれぞれ形成する。
掘り込み部8は、1つの素子形成部6に対して2つ形成され、互いに隣り合う2つの素子形成部6で共有される。この第1実施形態では、5つの素子形成部6で1つの島群を構成しているため、6つの掘り込み部8が形成される。
また、掘り込み部8は、これに限定されないが、例えば、素子形成部6の高さの半分よりも浅い深さで形成される。掘り込み部8は、後述するゲート電極11のゲート長方向(Y方向)において、ゲート電極11の脚部11bの幅を規定する。
【0101】
次に、図5Eに示すように、三次元材料層3の第1領域3Aにおいて、ゲート絶縁膜10及びゲート電極11を形成する。
ゲート絶縁膜10は、素子形成部6の上面部6a及び2つの側面部6c,6cに亘って形成する。ゲート絶縁膜10は、例えば酸化シリコン膜を熱酸化法又は堆積法により成膜することによって形成することができる。ゲート絶縁膜10は、例えば、1nmから2nm程度の膜厚で形成する。
ゲート電極11は、ゲート絶縁膜10を形成した後、掘り込み部8の内部、素子形成部6の上面部6a上、及び絶縁層7上を含む三次元材料層3上の全面に導電膜を形成し、その後、この導電膜を周知のフォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術を用いてパターンニングすることによって形成することができる。導電膜としては、例えば抵抗値を低減する不純物が成膜中又は成膜後に導入された多結晶シリコン(ドープドポリシリコン)膜を用いることができる。
【0102】
この工程において、ゲート電極11と素子形成部6との間にゲート絶縁膜10が介在される。
また、この工程において、ゲート電極11は、素子形成部6の上面部6a側にゲート絶縁膜10を介在して設けられた頭部11aと、この頭部11aと一体化され、かつ素子形成部6の短手方向(X方向)において互いに反対側に位置する2つの側面部6b及び6bの各々の外側にゲート絶縁膜10を介在して設けられた脚部11bと、を有する形状で形成される。
頭部11aは、素子形成部6の上面部6aよりも上方に位置し、素子形成部6の短手方向(X方向)において、6つの掘り込み部8及び5つの素子形成部6に亘って延伸している。
脚部11bは、6つの掘り込み部8の各々の中に各々毎に形成され、各々の先端側とは反対側が頭部11aと連結される。
【0103】
次に、図5Fに示すように、ゲート電極11のゲート長方向(Y方向)の両側の各々の素子形成部6に、n型の半導体領域からなる一対の主電極領域12a及び12bを形成する。この一対の主電極領域12a及び12bは、ゲート電極11及び絶縁層7を不純物導入用マスクとして使用して、ゲート電極11のゲート長方向(Y方向)の両側の各々の素子形成部6に、n型を呈する不純物として例えば砒素イオン(As)や燐イオン(P)を注入し、その後、不純物を活性化する熱処理を施すことによって形成することができる。一対の主電極領域12a及び12bは、ゲート電極11に整合して互いに離間して形成され、ソース領域及びドレイン領域として機能する。一対の主電極領域12a及び12bの各々は、5つの素子形成部6の各々に形成される。
この工程により、一対の主電極領域の12aと12bとの間の素子形成部6にチャネル形成部13が形成される。
また、この工程により、素子形成部6と、ゲート絶縁膜10と、ゲート電極11と、一対の主電極領域12a及び12bと、を含む第1電界効果トランジスタQ1が形成される。
【0104】
次に、図5Gに示すように、三次元材料層3の第2領域3Bにおける絶縁層7に、凹部7a及び凸部7bを含む凹凸群と、この凹凸群の凹部及び凸部を含む凹凸面に沿って蛇行する二次元材料層14と、を形成する。
凹部7a及び凸部7bは、これに限定されないが、Y方向に延伸し、かつX方向に交互に繰り返し配置される。凹部7a及び凸部7bは、絶縁層7のベース部5側とは反対側の表層部を選択的にエッチングすることによって形成することができる。
凹部7aは、1つの凸部7bに対して2つ形成され、互いに隣り合う2つの凸部7bで共有される。そして、凸部7bは、2つの凹部7aで挟まれる。この第1実施形態では、3つの凹部7aと2つの凸部7bとで1つの凹凸群を形成する。この凹凸群は、第2電界効果トランジスタQ2の成形領域毎に形成する。
二次元材料層14は、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bを含む凹凸面に沿って連続的に蛇行し、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bの凹凸が反映される膜厚で形成する。具体的には、二次元材料層14は、絶縁層7のベース部5側とは反対側の上面部、凹部7aの底面部を含む内壁面部、及び凸部7bの上面部に沿って連続的に蛇行し、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bの凹凸が反映される膜厚で形成する。
また、二次元材料層14は、二次元構造の単位層が積層された層状構造を有する二次元材料で形成する。二次元材料層14は、例えば転写法によって形成することができる。二次元材料層14としては、三次元材料層3よりもバンドギャップが大きい二次元材料で形成することが好ましい。二次元材料層14は、例えば0.3nm~7nm程度の膜厚で形成する。
この工程において、二次元材料層14は、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bの凹凸が反映された凹凸パターンを有する。
【0105】
次に、図5Hに示すように、三次元材料層3の第2領域3Bにおいて、二次元材料層14の絶縁層7側とは反対側に、ゲート絶縁膜15及びゲート電極16をこの順で形成する。
ゲート絶縁膜15は、二次元材料層14を介在して、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bを含む凹凸面に沿って連続的に蛇行し、二次元材料層14と共に、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bの凹凸が反映された凹凸パターンで形成する。
ゲート絶縁膜15は、第1電界トランジスタQ1のゲート絶縁膜10よりも厚い膜厚、例えば3nm~8nm程度の膜厚で形成する。
ゲート電極16は、ゲート絶縁膜15を形成した後、ゲート絶縁膜15を介在して凹部7aの内部、凸部7bの上面部6a上、及び絶縁層7上を含む三次元材料層3上の全面に導電膜を形成し、その後、この導電膜を周知のフォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術を用いてパターンニングすることによって形成することができる。導電膜としては、例えば抵抗値を低減する不純物が成膜中又は成膜後に導入された多結晶シリコン(ドープドポリシリコン)膜を用いることができる。
【0106】
この工程において、ゲート電極16と二次元材料層14との間にゲート絶縁膜15が介在される。
また、この工程において、ゲート電極16は、絶縁層7の凸部7bの上面部側に二次元材料層14及びゲート絶縁膜15を介在して設けられた頭部16aと、この頭部16aと一体化され、かつ絶縁層7の凹部7aの内部に二次元材料層14及びゲート絶縁膜15を介在して設けられた脚部16bと、を有する形状で形成される。
頭部16aは、凸部7bの上面部よりも上方に位置し、凹部7a及び凸部7bの短手方向(X方向)において、3つの凹部7a及び2つの凸部7bに亘って延伸している。脚部11bは、3つの凹部7aの各々に二次元材料層14及びゲート絶縁膜15を介在して形成され、各々の先端側とは反対側が頭部16aと連結される。
【0107】
次に、図5Iに示すように、ゲート電極16のゲート長方向(Y方向)の両側の各々の二次元材料層14に、n型の半導体領域からなる一対の主電極領域17a及び17bを形成する。この一対の主電極領域17a及び17bは、例えば、ゲート電極16及び絶縁層7を不純物導入用マスクとして使用して、ゲート電極16のゲート長方向(Y方向)の両側の各々の二次元材料層14に、n型を呈する不純物として例えば砒素イオン(As)や燐イオン(P)を注入し、その後、不純物を活性化する熱処理を施すことによって形成することができる。一対の主電極領域17a及び17bは、ゲート電極16に整合して互いに離間して形成され、ソース領域及びドレイン領域として機能する。一対の主電極領域17a及び17bの各々は、3つの凹部7a及び2つの凸部7bに亘って形成される。
この工程により、一対の主電極領域の17aと17bとの間の二次元材料層14にチャネル形成部18が形成される。
また、この工程により、二次元材料層14と、ゲート絶縁膜15と、ゲート電極16と、一対の主電極領域17a及び17bと、を含む第2電界効果トランジスタQ2が形成される。
【0108】
次に、絶縁層7の三次元材料層3側とは反対側に、絶縁層21及びコンタクト電極(22a,22b,22c,23a,23b,23c)などを含む多層配線層20を形成することにより、図2から図4に示す状態となる。
【0109】
≪第1実施形態の主な効果≫
次に、この第1実施形態の主な効果について説明する。
本技術の第1実施形態に係る半導体装置1Aは、図2に示すように、薄膜型の第1電界効果トランジスタQ1と、厚膜型の第2電界効果トランジスタQ2とを同一の基体2に搭載している。そして、薄膜型の第1電界効果トランジスタQ1は、三次元材料層3の素子形成部6をチャネル形成部13として使用し、厚膜型の第2電界効果トランジスタQ2は二次元材料層14をチャネル形成部として使用している。
二次元材料層14は、単原子層で層の厚さが薄いため、原理的に短チャネル効果が起き難い。また、キャリアが二次元方向にしか流れないため、移動度がSiの三次元材料層3と同等以上である。これにより、厚膜型の第2電界効果トランジスタQ2においても、占有面積(フットプリント)を縮小することができる。換言すれば、厚膜型の第2電界効果トランジスタQ2では、凹部7aの幅を広くし、凹部7aを深く形成できるため、ゲート絶縁膜10を凹部7aの中に形成してゲート幅Wを大きくすることができ、厚膜型の第2電界効果トランジスタQ2の平面サイズを縮小することができる。
また、二次元材料層14を三次元材料層3のバンドギャップよりもバンドギャップが大きい二次元材料で構成することにより、高い絶縁破壊電界強度が得られ、薄い空乏層で大きな耐圧を出すことができるため、薄膜型の第2電界効果トランジスタQ2の占有面積(フットプリント)を更に縮小することができる。
【0110】
図6Aは、デジタル回路に用いられる薄膜型の電界効果トランジスタと、アナログ回路に用いられる厚膜型の電界効果トランジスタとを、世代の時系列でスケーリングしたときの面積比を示す図である。厚膜型は、ゲート絶縁膜の膜厚が薄膜型よりも厚く、また、駆動電圧も薄膜型よりも高い。
図中のデータAは、薄膜型の電界効果トランジスタ及び厚膜型の電界効果トランジスタの両方のチャネル形成部を、Siの三次元材料層で構成した場合の比較例1のデータである。
また、図中のデータBは、薄膜型の電界効果トランジスタ及び厚膜型の電界効果トランジスタの両方のチャネル形成部を、Siの三次元材料層よりもバンドギャップが大きい二次元材料層で構成した場合の比較例2のデータである。
また、図中のデータCは、薄膜型の電界効果トランジスタのチャネル形成部をSiの三次元材料層で構成し、厚膜トランジスタのチャネル形成部を、Siの三次元材料層よりもバンドギャップが大きい二次元材料層で構成した場合の本技術のデータである。
図6Aから分かるように、本技術のデータCは、比較例1のデータA及び比較例2のデータBの何れよりも、スケーリングしたときの面積比が小さく、世代が進んでも省面積の効果が得られる。
【0111】
図6Bは、面積比率(デジタル回路に用いられる薄膜型の電界効果トランジスタ:アナログ回路に用いられる厚膜型の電界効果トランジスタ)と、ロジック比率(ロジック回路:アナログ回路)との相関図である。
【0112】
図中のデータAは、薄膜型の電界効果トランジスタ及び厚膜型の電界効果トランジスタの両方のチャネル形成部を、Siの三次元材料層で構成した場合の比較例3のデータである。
また、図中のデータBは、薄膜型の電界効果トランジスタ及び厚膜型の電界効果トランジスタの両方のチャネル形成部を、Siの三次元材料層よりもバンドギャップが大きい二次元材料層で構成した場合の比較例4のデータである。
また、図中のデータCは、薄膜型の電界効果トランジスタのチャネル形成部をSiの三次元材料層で構成し、厚膜トランジスタのチャネル形成部を、Siの三次元材料層よりもバンドギャップが大きい二次元材料層で構成した場合の本技術のデータである。
図6Bから分かるように、アナログ回路の電界効果トランジスタを、二次元材料層を含む電界効果トランジスタで置き替えることにより、省面積化が可能である。
したがって、本技術の第1実施形態に係る半導体装置1によれば、チャネル形成部13が三次元材料層3に構成された第1電界効果トランジスタQ1と、チャネル形成部18が二次元材料層14に構成された第2電界効果トランジスタQ2とを同一の基体2に搭載することにより、高集積化を図ることが可能となる。
【0113】
また、第1電界効果トランジスタQ1は、島状の素子形成部6にチャネル形成部13が設けられたフィン型で構成されている。フィン型の第1電界効果トランジスタQ1は、占有面積(フットプリント)が同一のとき、プレーナ型の電界効果トランジスタと比較して、より多くのドレイン電流が流れ、相互コンダクタンスgmが高くなる。これにより、第1電界効果トランジスタQ1は、プレーナ型の電界効果トランジスタと比較して動作速度の向上を図ることができる。
【0114】
また、第2電界効果トランジスタQ2は、二次元材料層14及びゲート絶縁膜15が絶縁層7の凹部7a及び凸部7bを含む凹凸面に沿って連続的に蛇行し、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bの凹凸が反映された凹凸パターンを有する三次元構造になっている。このため、第2電界効果トランジスタQ2は、占有面積(フットプリント)が同一のとき、プレーナ型の電界効果トランジスタと比較して、より多くのドレイン電流が流れ、相互コンダクタンスgmが高くなる。したがって、三次元構造の第2電界効果トランジスタQ2においても、プレーナ型の電界効果トランジスタと比較して動作速度の向上を図ることができる。
【0115】
ここで、複数の素子形成部6を含むフィン型の第1電界効果トランジスタQ1においては、互いに隣り合う2つの素子形成部6の谷間にゲート絶縁膜10及びゲート電極を配置する必要がある。この谷間の幅は、微細化と共に狭くなるため、ゲート絶縁膜の膜厚が厚い厚膜型の第2電界効果トランジスタQ2をフィン型で構成した場合、薄膜型の第1電界効果トランジスタQ1よりも微細化が困難となる。素子形成部6の幅を小さくすれば、谷間の幅を広げることができるが、素子形成部6の幅を狭くすると素子形成部6での電界が強くなるため、所定の幅以上に狭くすることが困難である。また、素子形成部6の幅を一定にして谷間の幅を広げることで電界が強くなることを抑制できるが、電界効果トランジスタの占有面積が増加してしまう。
したがって、この第1実施形態のように、二次元材料層14に設けた厚膜型の第2電界効果ドランジスQ2と、薄膜型の第1電界効果トランジスタQ1とを同一の基体2に搭載する本技術は、半導体装置1Aの高集積化を図る上で有用である。
【0116】
先端MOSの微細化/世代進化は、薄膜トランジスタの進化にフォーカスしているため、もともとスケーリングが難しい厚膜トランジスタやHVトランジスタなど他のトランジスタを同時に進化させることが難しくなってきている。
一般的に、LSIには複数の電源に対応しており、製品ニーズに応じた機能を電源ごとに回路が組み込まれる。薄膜トランジスタは1V以下の低電圧で主にデジタル処理を行う目的に使われ、高速、省面積が求められるが、厚膜トランジスタは1V以上で動作し、主にアナログ処理などに使われる。そして、厚膜トランジスタは、ばらつきの抑制、電界緩和などにより、大きなデバイスサイズ(占有面積)が必要であり、従来に近いMOSFETの動作が望ましく、デジタルのようにI/Oだけではなく、中間電位での動作も重要である。更に、5V以上の高い電圧も使われることがあり、これらは省面積化が難しく、高い先端CMOSのSiで一定割合の面積を占めると、トランジスタ当たりの価格増とみなすこともできる。
また、逆にIoTなどでは、薄膜トランジスタ以下の低電圧、例えば0.5V動作、若しくは、より低リークのOFF電流が望まれる場合があり、例えば、トンネリングFET(Tunneling FET)のような新デバイスも将来期待させるが、フィン部に形成された例はなく、そもそもSiのTFETはSi中のトラップを介したトンネリングが起き、リークが大きく使い物にならない状況が続く。
したがって、三次元材料層に構成した薄膜トランジスタと、二次元材料層に構成した厚膜トランジスタとを同一の基体に混載する本技術は有用である。
【0117】
〔第2実施形態〕
本技術の第2実施形態に係る半導体装置1Bは、基本的に上述の第1実施形態に係る半導体装置1Aと同様の構成になっており、主に三次元材料層3の構成が異なっている。
【0118】
即ち、図1及び図2に示すように、上述の第1実施形態の三次元材料層3は、基体2の第1領域2A及び第2領域2B(三次元材料層3の第1領域3A及び第2領域3B)に亘って設けられたベース部5と、第1領域2A(3A)において、ベース部5から上方に突出する島状の素子形成部6とを含む。そして、上述の第1実施形態の二次元材料層14は、第2領域2B(3B)において、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bを含む凹凸面に沿って連続的に蛇行し、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bの凹凸が反映された凹凸パターンを有する。そして、三次元材料層3の素子形成部6に第1電界効果トランジスタQ1が設けられている。そして、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bの凹凸が反映された、二次元材料層14の凹凸部に第2電界効果トランジスタQ2が設けられている。
【0119】
これに対し、図7及び図8に示すように、この第2実施形態の三次元材料層3は、ベース部5及び素子形成部6を含み、更に第2領域3Bに設けられた凹部3a及び凸部3bを含む。そして、この第2実施形態の二次元材料層14は、第2領域2B(3B)において、三次元材料層3の凹部3a及び凸部3bを含む凹凸面に沿って連続的に蛇行し、三次元材料層3の凹部3a及び凸部3bを含む凹凸が反映された凹凸パターンを有する。そして、三次元材料層3の素子形成部6に第1電界効果トランジスタQ1が設けられている。そして、三次元材料層3の凹部3a及び凸部3bの凹凸が反映された、二次元材料層14の凹凸部に第2電界効果トランジスタQ2が設けられている。
【0120】
図8に示すように、三次元材料層3の凹部3a及び凸部3bは、これに限定されないが、例えばY方向に延伸し、かつX方向に交互に繰り返し配置されている。凹部3a及び凸部3bは、ベース部5が残存する程度の深さまで三次元材料層3を選択的にエッチングすることによって形成することができる。凸部3bは、ベース部5からベース部5の上方に突出し、ベース部5と一体化されている。凹部3aは、互いに隣り合う2つの凸部3bとベース部5とによって凹部3aの内壁面部が構築されている。
【0121】
凹部3a及び凸部3bは、第2電界効果トランジスタQ2毎に設けられている。この第2実施形態では、これに限定されないが、上述の第1実施形態の絶縁層7に設けられた凹部7a及び凸部7bと同様に、例えば3つの凹部3a及び2つの凸部3bを一単位とする凹凸群が第2電界効果トランジスタQ2毎に設けられている。図8では、3つの凹部3a及び2つの凸部3bを含む1つの凹凸群に1つの第2電界効果トランジスタQ2が設けられた一例を図示している。
【0122】
図8に示すように、三次元材料層3の第2領域3Bには、例えばp型の半導体領域からなるp型のウエル領域4bが設けられている。このp型のウエル領域4bは、これに限定されないが、三次元材料層3の第2領域3Bに選択的に設けられ、第1領域3Aには設けられていない。即ち、この第2実施形態では、三次元材料層3の第1領域3Aに設けられたp型のウエル領域4aとは異なるp型のウエル領域4bが三次元材料層3の第2領域3Bに設けられている。
【0123】
p型のウエル領域4bは、三次元材料層3の第2領域3Bにおいて、凸部3bの全域に設けられていると共に、ベース部5の凸部3b側の表層部にベース部5の凸部3b側とは反対側の裏面部から離間して設けられている。
【0124】
図8に示すように、p型のウエル領域4bには、電源電位として基準電位Rv1が印加される。この第2実施形態では、これに限定されないが、p型のウエル領域4bには、基準電位Rv1として例えば0Vが印加される。p型のウエル領域4bへの基準電位Rv1の印加は、第2電界効果トランジスタQ2の駆動中において保持され、p型のウエル領域4bは基準電位Rv1に電位固定される。
【0125】
図8に示すように、三次元材料層3と二次元材料層14との間には、三次元材料層3の凹部3a及び凸部3bの凹凸面に沿って蛇行する絶縁層7cが介在されている。即ち、二次元材料層14は、絶縁層7cを介在して三次元材料層3の凹部3a及び凸部3bを含む凹凸面に沿って蛇行し、三次元材料層3の凹部3a及び凸部3bを含む凹凸が反映された凹凸パターンを有する。
【0126】
絶縁層7cは、三次元材料層3の凹部3a及び凸部3bを含む凹凸が反映される膜厚で形成されている。絶縁層7cは、三次元材料層3と二次元材料層14との絶縁分離も兼ねているため、例えば10nm以上の膜厚で形成することが好ましい。この第2実施形態において、絶縁層7Dは、例えば絶縁層7の一部で構成されている。
【0127】
この第2実施形態に係る半導体装置1Bにおいても、上述の第1実施形態に係る半導体装置1Aと同様の効果が得られる。
【0128】
また、この第2実施形態に係る半導体装置1Bは、p型のウエル領域4bに基準電位Rv1を印加することにより、p型のウエル領域4bを含む凸部3bがバックゲートとして機能するので、第2電界効果トランジスタQ2の特性を、より一層安定化させることができる。
具体的には、このバックゲートで第2電界効果トランジスタQ2の閾値電圧を設定する事ができる。また、ソース、ドレイン領域にのみ、この凸部3bの構造を形成する(チャネル領域には無い)ことにより、バックゲートでソース、ドレイン領域を電気的にドーピングし低抵抗化して動作を安定化させることができる。
【0129】
〔第3実施形態〕
本技術の第3実施形態に係る半導体装置1Cは、基本的に上述の第1実施形態に係る半導体装置1Aと同様の構成になっており、以下の構成が異なっている。
即ち、図9から図11に示すように、この第3実施形態に係る半導体装置1Cは、上述の第1実施形態の図1図2及び図4に示す第2電界効果トランジスタQ2に替えて、第2トランジスタとしての第3電界効果トランジスタQ3を備えている。そして、この第3実施形態の絶縁層7は、三次元材料層3の第2領域3Bにおいて、上述の第1実施形態の図2に示す凹部7a及び凸部7bを含む凹凸部を備えていない。そして、この第3実施形態に係る半導体装置1Cは、絶縁層7の三次元材料層3とは反対側に、第3電界効果トランジスタQ3のゲート電極16を囲むようにして設けられた絶縁層21aを更に備えている。絶縁層21aは、絶縁層7側とは反対側の表層部が平坦化されている。その他の構成は、概ね上述の第1実施形態と同様である。
【0130】
図10及び図11に示すように、二次元材料層14及び第3電界効果トランジスタQ3は、三次元材料層3の第2領域3Bにおいて、絶縁層7を介在して三次元材料層3よりも上層に設けられている。
ここで、この第3実施形態では、第1電界効果トランジスタQ1が本技術の「第1トランジスタ」の一具体例に相当し、第3電界効果トランジスタQ3が本技術の「第2トランジスタ」の一具体例に相当する。
【0131】
図9に示す第3電界効果トランジスタQ3は、これに限定されないが、例えばnチャネル導電型で構成されている。そして、第3電界効果トランジスタQ3は、酸化シリコン(SiO)膜をゲート絶縁膜とするMOSFETで構成されている。第2電界効果トランジスタQ2としては、pチャネル導電型でも構わない。また、窒化シリコン膜、或いは窒化シリコン(Si)膜及び酸化シリコン膜などの積層膜(複合膜)をゲート絶縁膜とするMISFETでも構わない。
【0132】
図9から図11に示すように、第3電界効果トランジスタQ3は、二次元材料層14に設けられている。
図10及び図11に示すように、第3電界効果トランジスタQ3は、絶縁層7の三次元材料層3側とは反対側に設けられたゲート電極24と、このゲート電極24の絶縁層7側とは反対側に設けられたゲート絶縁膜25と、を備えている。
また、第3電界効果トランジスタQ3は、二次元材料層14に設けられたチャネル形成部18と、ゲート電極24のゲート長方向(Y方向)の両側の二次元材料層14にチャネル形成部18を挟んで互いに離間して設けられ、かつソース領域及びドレイン領域として機能する一対の主電極領域17a及び17bと、を更に備えている。
【0133】
二次元材料層14は、ゲート絶縁膜25を介在してゲート電極24よりも上層に設けられている。即ち、第3電界効果トランジスタQ3は、第1電界効果トランジスタQ1とは異なり、二次元材料層14に設けられた一対の主電極領域17a,17b及びチャネル形成部18よりも絶縁層7側にゲート電極16が位置するボトムゲート構造になっている。また、第3電界効果トランジスタQ3は、絶縁層7上にゲート電極24と、ゲート絶縁膜25と、二次元材料層14とが、この順で積層されたスタック構造になっている。
二次元材料層14及びゲート絶縁膜25は、例えばゲート電極24及び絶縁層21aに亘って設けられている。
【0134】
図10に示すように、ゲート電極24には、コンタクト電極23cが電気的及び機械的に接続されている。また、図11に示すように、一対の主電極領域17a及び17bのうち、一方の主電極領域17aには、コンタクト電極23aが電気的及び機械的に接続され、他方の主電極領域17bには、コンタクト電極23bが電気的及び機械的に接続されている。
【0135】
第3電界効果トランジスタQ3は、駆動電圧(電源電圧(Vdd))が第2電界効果トランジスタQ2の駆動電圧(電源電圧(Vdd))よりも高く、耐圧も高い。即ち、第3電界効果トランジスタQ3のゲート絶縁膜25の膜厚は、第1電界効果トランジスタQ1のゲート絶縁膜10の膜厚及び第2電界効果トランジスタQ2のゲート絶縁膜15よりも厚くなっている。第3電界効果トランジスタQ3のゲート絶縁膜25は、例えば10~50nm程度の膜厚で形成されている。そして、第3電界効果トランジスタQ3の駆動電圧(電源電圧(Vdd))は、例えば20~100V程度である。
【0136】
この第3実施形態に係る半導体装置1Cは、薄膜型の第1電界効果トランジスタQ1と、厚膜型の第3電界効果トランジスタQ3とを同一の基体2に搭載している。したがって、この第3実施形態に係る半導体装置1Cも、上述の第1実施形態に係る半導体装置1Aと同様に、高集積化を図ることが可能となる。
【0137】
また、第3電界効果トランジスタQ3は、絶縁層7上に、ゲート電極24と、ゲート絶縁膜25と、二次元材料層14とが、この順で積層されたスタック構造になっているので、二次元材料層14を形成する際、ゲート絶縁膜25に二次元材料層14を転写法で容易に形成することができる。
【0138】
また、ゲート絶縁膜25に二次元材料層14を転写法で形成することができるので、二次元材料層14の膜質の向上を図ることができる。
【0139】
なお、この第3実施形態では、ゲート絶縁膜の膜厚が異なる2水準の電界効果トランジスタ(箔膜型の第1電界効果トランジスタQ1,厚膜型の第3電界効果トランジスタQ3)を同一の基体2に搭載した場合について説明したが、ゲート絶縁膜の膜厚が異なる3水準の電界効果トランジスタ(薄膜型の第1電界効果トランジスタQ1,厚膜型の第2電界効果トランジスタQ2,厚膜型の第3電界効果トランジスタQ3)を同一の基体2に搭載した半導体装置にも本技術を適用することができる。
また、二次元材料層14が平坦な構造なため、成膜が容易であり、例えば高品質な二次元材料層14を別基板で作成した後に貼り付ける方法も可能である。別基板で作る為、高温処理などの工夫により欠陥のより少ない高品質な膜を準備できる。
【0140】
〔第4実施形態〕
本技術の第4実施形態に係る半導体装置1Dは、基本的に上述の第3実施形態に係る半導体装置1Cと同様の構成になっており、以下の構成が異なっている。
即ち、図12に示すように、この第3実施形態に係る半導体装置1Dは、上述の第3実施形態の図10に示す第3電界効果トランジスタQ3に替えて、第2トランジスタとしての第4電界効果トランジスタQ4を備えている。
【0141】
この第4実施形態の第4電界効果トランジスタQ4は、基本的に上述の第3実施形態の電界効果トランジスタと同様の構成になっており、ゲート電極24、ゲート絶縁膜25及び二次元材料層14の順番が異なっている。
【0142】
即ち、図12に示すように、第4電界効果トランジスタQ4は、絶縁層4上に、二次元材料層14と、ゲート絶縁膜25と、ゲート電極24とが、この順で積層されたスタック構造になっている。そして、第4電界効果トランジスタQ4は、通常のプレーナ型になっている。第4電界効果トランジスタQ4も、第3電界効果トランジスタQ3と同様に、ゲート絶縁膜25の膜厚が第1電界効果トランジスタQ1のゲート絶縁膜10の膜厚よりも厚くなっている。
ここで、この第4実施形態では、第1電界効果トランジスタQ1が本技術の「第1トランジスタ」の一具体例に相当し、第4電界効果トランジスタQ4が本技術の「第2トランジスタ」の一具体例に相当する。
【0143】
この第4実施形態に係る半導体装置1Dは、薄膜型の第1電界効果トランジスタQ1と、厚膜型の第4電界効果トランジスタQ4とを同一の基体2に搭載している。したがって、この第3実施形態に係る半導体装置1Cも、上述の第1実施形態に係る半導体装置1Aと同様に、高集積化を図ることが可能となる。
また、この第4実施では、二次元材料層14をフラットに配置すればよいので、高品質な二次元材料層14を貼り付ける方法も可能で、かつゲート電極24が上側にあるので従来同様なプロセスが使用可能である。
一方、上述の第3実施形態では、ソース領域及びドレイン領域に対するコンタクトが、ゲート電極24の横に来ないので(ゲート電極が下にあるので)、寄生容量が小さいと言える。
【0144】
〔第5実施形態〕
本技術の第5実施形態に係る半導体装置1Eは、基本的に上述の第1実施形態に係る半導体装置1Aと同様の構成になっており、以下の構成が異なっている。
【0145】
即ち、第1電界効果トランジスタQ1及び第2電界効果トランジスタQ2の各々のゲート電極の形状が異なっている。その他の構成は、概ね上述の第1実施形態と同様である。
【0146】
図13に示すように、この第5実施形態の第1電界効果トランジスタQ1は、上述の第1実施形態の図2に示すゲート電極11に替えてゲート電極26aを備えている。その他の構成は、概ね上述の第1実施形態の第1電界効果トランジスタQ1と同様である。
【0147】
また、この第5実施形態の第2電界効果トランジスタQ2は、上述の第1実施形態の図2に示すゲート電極16に替えてゲート電極26aを備えている。その他の構成は、概ね上述の第2実施形態の電界効果トランジスタQ2と同様である。
【0148】
図13に示すように、第1電界効果トランジスタQ1のゲート電極26aは、ゲート絶縁膜10を介在して、掘り込み部8及び素子形成部6を含む凹凸に沿って蛇行し、この凹凸が反映された凹凸パターンを有する。第2電界効果トランジスタQ2のゲート電極26aは、上述の二次元材料層14と同様の二次元材料で構成されている。そして、このゲート電極26aは、掘り込み部8及び素子形成部6を含む凹凸が反映される膜厚で形成されている。
【0149】
図13に示すように、第2電界効果トランジスタQ2のゲート電極26bは、二次元材料層14及びゲート絶縁膜15を介在して、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bを含む凹凸に沿って蛇行し、この凹凸が反映された凹凸パターンを有する。この第2電界効果トランジスタQ2のゲート電極26bも、上述の二次元材料層14と同様の二次元材料で構成されている。そして、このゲート電極26bは、絶縁層7の凹部7a及び凸部7bを含む凹凸が反映される膜厚で形成されている。
【0150】
この第5実施形態に係る半導体装置1Eも、薄膜型の第1電界効果トランジスタQ1と、厚膜型の第2電界効果トランジスタQ2とを同一の基体2に搭載している。したがって、この第5実施形態に係る半導体装置1Eも、上述の第1実施形態に係る半導体装置1Aと同様に、高集積化を図ることが可能となる。
また、ゲート電極26bが薄いため、第2電界効果トランジスタQ2の凹部7aの幅を狭くしてもゲート電極24を形成できる効果があり、例えば同一面積の中に凹部7aの数を増やしたり、凹部7aの数が一定で面積を削減する事が可能である。
【0151】
〔第6実施形態〕
図14に示すように、本技術の第6実施形態に係る半導体装置1Fは、第1電界効果トランジスタQ1と、抵抗素子31とを同一の基体2に搭載している。また、図14には図示いていないが、この第6実施形態に係る半導体装置1Fは、図2に示す第2電界効果トランジスタQ2も基体2に搭載している。
【0152】
図14に示すように、抵抗素子31は、基体2の第2領域2B(三次元材料層3の第2領域3B)において、絶縁層7の三次元材料層3とは反対側に設けられている。そして、抵抗素子31の一端側と他端側には、絶縁層21に設けられたコンタクト電極23d及び23eが個別に電気的及び機械的に接続されている。そして、抵抗素子31は、上述の二次元材料層14と同様の二次元材料で構成されている。そして、抵抗素子31は、アナログ回路を構成する回路素子として使用されている。
【0153】
ここで、抵抗素子の材料として、高い抵抗値の材料であれば少ない面積で抵抗素子を形成することができる。半導体層の素子形成領域に設けた半導体領域を抵抗素子(拡散抵抗素子)として使うことにより抵抗値の高い抵抗素子が得られるが、リーク電流の懸念や、フィン型、GAA構造などの先端の電界効果トランジスタとの親和性が懸念される。
一方、トランジスタが形成される半導体層よりも上層の多層配線層では金属が使われるが、高い抵抗値を実現し難い。
そこで、この第6実施形態のように、抵抗素子31を、上述の二次元材料層14と同様の二次元材料で構成することにより、省面積で高い抵抗値の設定が可能である。
【0154】
したがって、この第6実施形態に係る半導体装置1Fにおいても、上述の第1実施形態に係る半導体装置1Aと同様に、高集積化を図ることが可能となる。
特に、アナログ回路では、抵抗値が高い抵抗素子を必要とし、抵抗値の異なる多数の抵抗素子が使用されているため、アナログ回路に使用され、かつ二次元材料で構成された抵抗素子を、デジタル回路に使用される電界効果トランジスタと共に同一の基体に搭載する本技術は有用である。
【0155】
〔第7実施形態〕
図15に示すように、本技術の第6実施形態に係る半導体装置1Gは、第1電界効果トランジスタQ1と、容量素子32とを同一の基体2に搭載している。また、図15には図示いていないが、この第7実施形態に係る半導体装置1Gは、図2に示す第2電界効果トランジスタQ2も基体2に搭載している。
【0156】
図15に示すように、容量素子32は、基体2の第2領域2B(三次元材料層3の第2領域3B)において、絶縁層7の三次元材料層3とは反対側に設けられている。そして、容量素子32は、絶縁層7上に、下部電極(第1電極)33aと、誘電体膜33cと、上部電極(第2電極)33bとがこの順で積層されたスタック構造になっている。そして、下部電極33a及び上部電極33bの各々の一端側には、絶縁層21に設けられたコンタクト電極23f及び23gが個別に電気的及び機械的に接続されている。そして、下部電極33a及び上部電極33bの少なくとも何れか一方は、上述の二次元材料層14と同様の二次元材料で構成されている。そして、容量素子32は、アナログ回路を構成する回路素子として使用されている。この第7実施形態では、下部電極33a及び上部電極33bの両方が上述の二次元材料層14と同様の二次元材料で構成されている。
【0157】
このように、容量素子32の電極を、上述の二次元材料層14と同様の二次元材料で構成することにより、省面積で大容量の設定が可能である。
また、フラットな二次元材料電極を使うことにより、第1電界効果トランジスタQ1のフィン構造より信頼性を高めることができ、また、高誘電体膜に最適な電極材料で、高密度容量を大量に形成できる。
【0158】
したがって、この第7実施形態に係る半導体装置1Gにおいても、上述の第1実施形態に係る半導体装置1Aと同様に、高集積化を図ることが可能となる。
特に、アナログ回路では、大容量の容量素子を必要とし、容量値が異なる多数の抵抗素子が使用されているため、アナログ回路に使用され、かつ二次元材料で構成された容量素子を、デジタル回路に使用される電界効果トランジスタと共に同一の基体に搭載する本技術は有用である。
【0159】
〔第8実施形態〕
図16及び図17に示すように、本技術の第8実施形態に係る半導体装置1Hは、三次元材料層35と、この三次元材料層35の貫通孔部36を三次元材料層35の厚さ方向(Z方向)に貫通する貫通コンタクト電極37と、三次元材料層35の厚さ方向において互いに反対側に位置する第1の面部35a及び第2の面部35bのうちの第1の面部35a側に設けられた絶縁層38と、を備えている。
【0160】
また、この第8実施形態に係る半導体装置1Hは、三次元材料層35の第1の面部35a側に、二次元材料層14aと共に設けられた電界効果トランジスタQ2aと、二次元材料層14bと共に設けられた電界効果トランジスタQ3aと、備えている。三次元材料層35は、例えば上述の第1実施形態の三次元材料層3と同様の材料で構成されている。
【0161】
電界効果トランジスタQ2aは、上述の第1実施形態の第2電界効果トランジスタQ2と同様の構成になっている。また、電界効果トランジスタQ3aは、上述の第3実施形態の第3電界効果トランジスタQ3と同様の構成になっている。電界効果トランジスタQ2a及びQ3aの各々は、三次元材料層35よりも上層に設けられ、平面視で三次元材料層35と重畳している。そして、電界効果トランジスタQ2a及びQ3aの各々は、絶縁層38の中に設けられ、かつ貫通コンタクト電極37の周囲に配置されている。
【0162】
二次元材料層14aは、上述の第1実施形態の二次元材料層14と同様の構成になっている。また、二次元材料層14bは、上述の第3実施形態の二次元材料層14と同様の構成になっている。二次元材料層14a及び14bの各々は、三次元材料層35よりも上層に設けられ、平面視で三次元材料層35と重畳している。そして、二次元材料層14a及び14bの各々は、絶縁層38の中に設けられ、かつ貫通コンタクト電極37の周囲に配置されている。
【0163】
電界効果トランジスタQ2aは、上述の第1実施形態の第2電界効果トランジスタQ2と同様に、チャネル形成部が二次元材料層14aに設けられており、この二次元材料層14aを含む構成になっている。また、電界効果トランジスタQ3aは、上述の第3実施形態の第3電界効果トランジスタQ3と同様に、チャネル形成部が二次元材料層14bに設けられており、この二次元材料層14bを含む構成になっている。
【0164】
貫通コンタクト電極37は、三次元材料層35に設けられた貫通孔部36を三次元材料層35の厚さ方向に貫通している。三次元材料層35の貫通孔部36と貫通コンタクト電極37との間には絶縁層38が介在されており、この絶縁層38を介在して三次元材料層35と貫通コンタクト電極37とが電気的に絶縁分離されている。
【0165】
ここで、製造プロセスにおいて、三次元材料層35を貫通する貫通コンタクト電極37を形成し、常温に戻したとき、三次元材料層35と貫通コンタクト電極37との線膨張係数の差に起因する応力ひずみが三次元材料層35に生じる。この応力ひずみが生じた領域にトランジスタを配置した場合、ピエゾ効果によりトランジスタの特性が不安定になることから、貫通コンタクト電極37の周囲の三次元材料層35にトランジスタを配置してはいけないキープアウトゾーン(非配置領域)39が設定される。
【0166】
しかしながら、電界効果トランジスタQ2aは、平面視で三次元材料層35と重畳する二次元材料層14aに設けられている。また、電界効果トランジスタQ3aも、平面視で三次元材料層35と重畳する二次元材料層14bに設けられている。このため、図16及び図17に示すように、平面視で三次元材料層35のキープアウトゾーン39に電界効果トランジスタQ2a及びQ3aを配置することができ、三次元材料層35の占有面積を有効活用することができる。したがって、この第8実施形態に係る半導体装置1Hによれば、高集積化を図ることが可能となる。
これは、電界効果トランジスタQ2a及びQ3aが三次元材料層35中に形成されないので、貫通コンタクト電極37の機械的ストレスの影響が最小であることにより可能となる。
【0167】
この第8実施形態では、平面視でのキープアウトゾーン39に配置する素子として電界効果トランジスタについて説明したが、平面でのキープアウトゾーン39には、トランジスタの他に、抵抗素子、容量素子、インダクタなどの受動素子も配置することができる。
【0168】
なお、上述の第1実施形態から第7実施形態では、第1トランジスタとして、フィン型の第1電界効果トランジスタQ1を用いた場合について説明した。しかしながら、本技術は、フィン型の第1電界効トランジスタQ1に限定されるものではない。例えば、第1トランジスタとして、GAA構造、ナノ・シート(Nano Sheet)構造、ナノ・フロック(Nano Frok)構造などの他の電界効果トランジスタを用いた場合にも本技術を適用することができる。
【0169】
また、第1トランジスタとして、例えばバイポーラトランジスタなどの電流駆動型のトランジスタを用いる場合にも本技術を適用することができる。
【0170】
また、アナログ回路に使用される受動素子としてインダクタを搭載する場合にも本技術を適用することができる。
【0171】
〔第9実施形態〕
本技術(本開示に係る技術)は、いわゆる「物のインターネット」であるIoT(Internet of things)と呼ばれる技術へ応用可能である。IoTとは、「物」であるIoTデバイス9100が、他のIoTデバイス9003、インターネット、クラウド9005などに接続され、情報交換することにより相互に制御する仕組みである。IoTは、農業、家、自動車、製造、流通、エネルギー、など様々な産業に利用できる。
【0172】
図18は、本技術が適用され得るIoTシステム9000の概略的な構成の一例を示す図である。IoTデバイス9001には、温度センサー、湿度センサー、照度センサー、加速度センサー、距離センサー、画像センサー、ガスセンサー、人感センサーなどの各種センサーなどが含まれる。また、IoTデバイス9001には、スマートフォン、携帯電話、ウェアラブル端末、ゲーム機器などの端末を含めてもよい。IoTデバイス9001は、AC電源、DC電源、電池、非接触給電、いわゆるエナジーハーベストなどにより給電される。IoTデバイス9001は、有線、無線、近接無線通信などにより通信することができる。通信方式は3G/LTE(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、IEEE802.15.4、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Z-Waveなどが好適に用いられる。IoTデバイス9001は、これらの通信手段の複数を切り替えて通信してもよい。
【0173】
IoTデバイス9001は、1対1、星状、ツリー状、メッシュ状のネットワークを形成してもよい。IoTデバイス9001は、直接に、またはゲートウエイ9002を通して、外部のクラウド9005に接続してもよい。IoTデバイス9001には、IPv4、IPv6、6LoWPANなどによって、アドレスが付与される。IoTデバイス9001から収集されたデータは、他のIoTデバイス9003、サーバ9004、クラウド9005などに送信される。IoTデバイス9001からデータを送信するタイミングや頻度は好適に調整され、データを圧縮して送信してもよい。このようなデータはそのまま利用してもよく、統計解析、機械学習、データマイニング、クラスタ分析、判別分析、組み合わせ分析、時系列分析など様々な手段でデータをコンピュータ9008で分析してもよい。このようなデータを利用することにより、コントロール、警告、監視、可視化、自動化、最適化、など様々なサービスを提供することができる。
【0174】
本技術は、家に関するデバイス、サービスにも応用可能である。家におけるIoTデバイス9001には、洗濯機、乾燥機、ドライヤ、電子レンジ、食洗機、冷蔵庫、オーブン、炊飯器、調理器具、ガス器具、火災報知器、サーモスタット、エアコン、テレビ、レコーダ、オーディオ、照明機器、温水器、給湯器、掃除機、扇風機、空気清浄器、セキュリティカメラ、錠、扉・シャッター開閉装置、スプリンクラー、トイレ、温度計、体重計、血圧計などが含まれる。さらにIoTデバイス9001には、太陽電池、燃料電池、蓄電池、ガスメータ、電力メータ、分電盤を含んでもよい。
【0175】
家におけるIoTデバイス9001の通信方式は、低消費電力タイプの通信方式が望ましい。また、IoTデバイス9001は屋内ではWi-Fi、屋外では3G/LTE(登録商標)により通信するようにしてもよい。クラウド9005上にIoTデバイス制御用の外部サーバ9006を設置し、IoTデバイス9001を制御してもよい。IoTデバイス9001は、家庭機器の状況、温度、湿度、電力使用量、家屋内外の人・動物の存否などのデータを送信する。家庭機器から送信されたデータは、クラウド9005を通じて、外部サーバ9006に蓄積される。このようなデータに基づき、新たなサービスが提供される。このようなIoTデバイス9001は、音声認識技術を利用することにより、音声によりコントロールすることができる。
【0176】
また、各種家庭機器からテレビに情報を直接送付することにより、各種家庭機器の状態を可視化することができる。さらには、各種センサーが居住者の有無を判断し、データを空調機、照明などに送付することで、それらの電源をオン・オフすることができる。さらには、各種家庭機器に供えられたディスプレイにインターネットを通じて広告を表示することができる。
また、IoTデバイスでは低消費電力に最適なトランジスタが好ましく、例えば二次元材料を使ったトンネリングFETを厚膜型の第2電界効果トランジスタQ2として形成することで、より低い電圧で動作が可能となる。
【0177】
以上、本技術が適用され得るIoTシステム9000の一例について説明した。本技術は、以上説明した構成のうち、種々のデバイス間を通信するための受信装置に好適に適用され得る。
【0178】
なお、本技術は、上記の応用だけでは無く、例えば、高周波数を用いる種々の通信において応用することが可能である。例えば、上記のように家の中だけでは無く、工場等の産業における通信に用いることもできる。また、例えば、移動体に搭載し、通信を行うデバイスに実装されてもよい。これらに限られず、種々の応用において実装することが可能である。
【0179】
なお、本技術は、以下のような構成としてもよい。
(1)
三次元材料層と、
前記三次元材料層を含む第1トランジスタと、
二次元材料層と、
前記二次元材料層を含む第2トランジスタと、
を備え、
前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとが同一の基体に設けられている、半導体装置。
(2)
前記第1トランジスタは、ゲート絶縁膜を介在して前記三次元材料層と互いに隣り合って設けられたゲート電極を有する電界効果トランジスタであり、
前記第2トランジスタは、ゲート絶縁膜を介在して前記二次元材料層と互いに隣り合って設けられたゲート電極を有する電界効果トランジスタであり、
前記第2トランジスタの前記ゲート絶縁膜の膜厚は、前記第1トランジスタの前記ゲート絶縁膜の膜厚よりも厚い、上記(1)に記載の半導体装置。
(3)
前記二次元材料層は、前記三次元材料層よりもバンドギャップが大きい、上記(1)又は(2)に記載の半導体装置。
(4)
前記三次元材料層は、ベース部と、前記ベース部から突出し、かつ所定の間隔を空けて並列に複数配置された素子形成部と、を含み、
前記第1トランジスタの前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極は、複数の前記素子形成部の各々の上面部及び側面部に亘って設けられている、上記(2)又は(3)に記載の半導体装置。
(5)
前記二次元材料層及び前記第2トランジスタは、絶縁層を介在して前記三次元材料層よりも上層に設けられ、
前記二次元材料層と、前記第2トランジスタの前記ゲート絶縁膜とは、前記絶縁層に設けられた凹部及び凸部を含む凹凸面に沿って蛇行している、上記(2)又は(3)に記載の半導体装置。
(6)
前記二次元材料層及び前記第2トランジスタは、絶縁層を介在して前記三次元材料層よりも上層に設けられ、
前記二次元材料層と、前記第2トランジスタの前記ゲート絶縁膜とは、前記三次元材料層に設けられた凹部及び凸部を含む凹凸面に沿って蛇行している、上記(2)又は(3)に記載の半導体装置。
(7)
前記三次元材料層の前記凸部は、基準電位が印加される、上記(6)に記載の半導体装置。
(8)
前記三次元材料層と前記二次元材料層との間の前記絶縁層の膜厚は、10nm以上である、上記(6)又は(7)に記載の半導体装置。
(9)
前記二次元材料層及び前記第2トランジスタは、絶縁層を介在して前記三次元材料層よりも上層に設けられ、
前記二次元材料層は、前記第2トランジスタの前記ゲート絶縁膜を介在して前記第2トランジスタの前記ゲート電極よりも上層に設けられている、上記(2)に記載の半導体装置。
(10)
前記二次元材料層及び前記第2トランジスタは、絶縁層を介在して前記三次元材料層よりも上層に設けられ、
前記第2トランジスタの前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極は、前記二次元材料層よりも上層に設けられている、上記(2)から(9)の何れかに記載の半導体装置。
(11)
前記第1及び第2トランジスタの各々のゲート電極は、二次元材料で構成されている、上記(2)に記載の半導体装置。
(12)
前記三次元材料層は、Si、Ge、SiGeの何れかの材料層である、上記(1)から(11)の何れかに記載の半導体装置。
(13)
前記二次元材料層は、MoS、MoSe、MoTe、WS、WSe、WTe、ZrS、ZrSe、ZeTe、HfSe、HfTe、Graphene又はPhosphereneの何れかの二次元材料を含む、上記(1)から(12)の何れかに記載の半導体装置。
(14)
前記第1トランジスタを含むデジタル回路と、前記第2トランジスタを含むアナログ回路とを更に備えている、上記(1)から(13)の何れかに記載の半導体装置。
【0180】
本技術の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本技術が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本技術の範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0181】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H 半導体装置
2 基体
2A 第1領域
2B 第2領域
3 三次元材料層
3A 第1領域
3B 第2領域
4a,4b ウエル領域
5 ベース部
6 フィン部
6a 上面部
6b1,6b2,6b3,6b4 側面部
7 絶縁層
8 掘り込み部
10 ゲート絶縁膜
11 ゲート電極
11a 頭部
11b 脚部
12a,12b 主電極領域
13 チャネル形成部
14,14a,14b 二次元材料層
15 ゲート絶縁膜
16 ゲート電極
16a 頭部
16b 脚部
17a,17b 主電極領域
18 チャネル形成部
20 多層配線層
21,21a 絶縁層
22a,22b,22c コンタクト電極
23a,23b,23c,23d,23e,23f,23g コンタクト電極
24 ゲート電極
25 ゲート絶縁膜
26a,26b ゲート電極
31 抵抗素子
32 容量素子
33a 下部電極
33b 上部電極
33c 誘電体膜
35 三次元材料層
35a 第1の面部
35b 第2の面部
36 貫通孔部
37 貫通コンタクト電極
38 絶縁層
39 キープアウトゾーン
Q1 第1電界効果トランジスタ(第1トランジスタ)
Q2 第2電界効果トランジスタ(第2トランジスタ)
Q2a 電界効果トランジスタ
Q3 第3電界効果トランジスタ(第2トランジスタ)
Q3a 電界効果トランジスタ
Q4 第4電界効果トランジスタ(第2トランジスタ)
Rv1 基準電位
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18