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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034340
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】牽引治具
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20240306BHJP
   B60D 1/14 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B62B5/00 C
B60D1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138519
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】592184706
【氏名又は名称】SBS東芝ロジスティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】内田 幸義
(72)【発明者】
【氏名】原田 佳奈
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
(57)【要約】
【課題】牽引方向を変更可能な牽引治具を提供すること。
【解決手段】牽引治具1は、一方向に対して直交する方向に対の突起214、224を有する台車200、201、202の対の突起214、224の間に挿入可能、且つ、台車200、201、202を一方向に複数配置可能なベース11、ベース11に設けられた複数のキャスター14、及び、ベース11の両端に設けられた連結部16を含む牽引台車2と、連結部16に連結可能な連結治具3と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に対して直交する方向に対の突起を有する台車の前記対の突起の間に挿入可能、且つ、前記台車を前記一方向に複数配置可能なベース、前記ベースに設けられた複数のキャスター、及び、前記ベースの両端に設けられた連結部を含む牽引台車と、
前記連結部に連結可能な連結治具と、
を備える牽引治具。
【請求項2】
前記牽引台車は、前記ベースの両端に設けられ、横の姿勢及び縦の姿勢で移動可能、且つ、前記縦の姿勢において、前記台車と当接するメインストッパを備える、請求項1に記載の牽引治具。
【請求項3】
前記連結部は、前記メインストッパ及び前記ベースの間に形成される隙間、及び、前記隙間に設けられる支持部と、を備え、
前記連結治具の一部は、前記隙間に配置され、前記支持部に支持される、請求項2に記載の牽引治具。
【請求項4】
前記連結部は、前記メインストッパに設けられ、前記メインストッパが前記縦の姿勢において、前記隙間の上方に配置される規制部を含む、請求項3に記載の牽引治具。
【請求項5】
前記連結治具は、搬送車に固定される固定部材と、前記固定部材に横の姿勢及び縦の姿勢で移動可能な、前記横の姿勢において前記連結部に連結される連結部材と、を備える、請求項4に記載の牽引治具。
【請求項6】
前記連結治具は、前記連結部材を前記縦の姿勢で保持可能な保持部材を備える、請求項5に記載の牽引治具。
【請求項7】
前記ベースは、横の姿勢及び縦の姿勢で移動可能、且つ、前記縦の姿勢において、前記台車と当接するサブストッパを、前記ベースの長手方向で複数備える、請求項2に記載の牽引治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車やパレットを牽引する牽引治具に関する。
【背景技術】
【0002】
工場の生産ライン等において荷物を積載及び移動するための器具として、台車やパレットが知られている。台車やパレットは、例えば、搬送車に連結または載置され、積載した荷物とともに搬送される。搬送車としては、例えば、床面に敷設された磁気テープや磁気棒が発する磁気により誘導され、無人走行するAGV(Automatic Guided Vehicle)が知られている。また、複数の台車やパレットを同時に牽引するための牽引治具として、AGVによって牽引されることで、複数の台車を搬送できる牽引台車も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6464304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工場において台車やパレットを搬送する搬送経路は、工場内に設置される機械や棚等の障害物の間に設けられる。このため、搬送経路に制限が生じ、牽引台車を牽引したAGV等の搬送車では、Uターンができない場合がある。このような場合には、搬送車を使わずに、作業車が手作業で台車を搬送することや、牽引台車を用いずに搬送車で台車を搬送することも行われている。また、工場内に既に設置された機械や棚等のレイアウト変更は、時間やコスト等の観点から困難である場合が多い。
【0005】
そこで、本発明は、牽引方向を変更可能な牽引治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、牽引治具は、一方向に対して直交する方向に対の突起を有する台車の前記対の突起の間に挿入可能、且つ、前記台車を前記一方向に複数配置可能なベース、前記ベースに設けられた複数のキャスター、及び、前記ベースの両端に設けられた連結部を含む牽引台車と、前記連結部に連結可能な連結治具と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、牽引方向を変更可能な牽引治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態に係る牽引治具の構成を示す斜視図。
図2】同牽引治具の構成を示す平面図。
図3】同牽引治具の構成を示す側面図。
図4】同牽引治具の牽引台車の構成を示す分解斜視図。
図5】同牽引台車の要部構成を示す斜視図。
図6】同牽引台車の要部構成を示す斜視図。
図7】同牽引台車の要部構成を示す斜視図。
図8】同牽引治具の牽引台車の要部及び連結治具の構成を示す斜視図。
図9】同牽引治具の牽引台車の要部及び連結治具の構成を示す斜視図。
図10】同牽引治具の牽引台車の要部及び連結治具の構成を示す斜視図
図11】同連結治具の構成を示す分解斜視図。
図12】同牽引治具を用いた棚台車の搬送の例を示す斜視図。
図13】同牽引治具を用いた棚台車の搬送の例を示す側面図。
図14】同牽引治具を用いた棚台車及び平台車の搬送の例を示す斜視図。
図15】同牽引治具を用いた棚台車及び平台車の搬送の例を示す側面図。
図16】同牽引治具を用いた平台車の搬送の例を示す斜視図。
図17】同牽引治具の搬送の一例及び搬送経路の例を示す説明図。
図18】同牽引治具の搬送の一例を示す流れ図。
図19】本発明の第2の実施形態に係る牽引治具の要部構成を示す斜視図。
図20】同牽引治具の要部構成を示す斜視図。
図21】本発明の第3の実施形態に係る牽引治具の構成を示す斜視図。
図22】同牽引治具の要部構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の第1の実施形態に係る牽引治具1を図1乃至図18を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る牽引治具1の構成を示す斜視図であり、図2は、牽引治具1の構成を示す平面図であり、図3は、牽引治具1の構成を示す側面図である。図4は、牽引治具1の牽引台車2の構成を示す分解斜視図である。図5乃至図7は牽引台車2の一端側の構成を示す斜視図である。図8乃至図10は、牽引治具1の牽引台車2の一端側の構成及び連結治具3の構成を示す斜視図である。
【0010】
図11は、連結治具3の構成を示す分解斜視図である。図12は、牽引治具1を用いた棚台車201の搬送の例を示す斜視図であり、図13は、牽引治具1を用いた棚台車201の搬送の例を示す側面図である。図14は、牽引治具1を用いた棚台車201及び複数の平台車202の搬送の例を示す斜視図であり、図15は、牽引治具1を用いた棚台車201及び複数の平台車202の搬送の例を示す側面図である。図16は、牽引治具1を用いた複数の平台車202の搬送の例を示す斜視図である。図17は、牽引治具1の搬送の一例及び搬送経路Rの例を示す説明図であり、図18は、牽引治具1の搬送の一例を示す流れ図である。
【0011】
牽引治具1は、牽引台車2により、牽引する台車200の移動方向を規制し、そして、搬送車100に固定された連結治具3に牽引台車2の両端を連結自在とすることで、搬送車100により牽引されるとともに、牽引方向を切り替え可能に形成される。
【0012】
先ず、牽引治具1を搬送する搬送車100及び牽引治具1により搬送される台車200について説明する。
【0013】
搬送車100は、AGV(Automatic Guided Vehicle)等の無人搬送車や、ターレットトラック等の有人搬送車である。搬送車100は、例えばAGVであり、本実施形態においては搬送車100をAGV100として、以下説明する。AGV100は、例えば、工場の構内における荷物の搬送のため、搬送経路に沿って床面に敷設された磁気テープや磁気棒が発する磁気や床面に設けられたマーク等の案内部材により誘導され、無人走行する。
【0014】
図12乃至図16に示すように、台車200は、例えば、棚台車201及び/又は平台車202である。なお、台車200は、棚台車201及び平台車202に限定されず、牽引台車2の進行方向に沿った前後方向及び進行方向に直交する左右方向において、一部が牽引台車2に接触可能であれば、カゴ台車等、種々の台車に適用できる。また、図14乃至図16に示すように、例えば、複数の平台車202は、パレット230を載置して搬送することもできる。
【0015】
図12乃至図15に示すように、棚台車201は、例えば、複数の荷台211と、荷台211に取り付けられる4個以上のキャスター212と、複数の荷台211に渡って縦方向(重力方向)に延びる4本のフレーム213と、一方向に所定の間隔を空けて配置される複数対の突起214と、を備える。
【0016】
荷台211は、荷物を載置可能に、例えば矩形の平板状に形成される。棚台車201は、複数の荷台211が四隅において4本のフレーム213により連結される。また、最下段の荷台211の下面は、キャスター212の下端(搬送路面)からの高さ位置が牽引台車2の上面よりも高い位置に設定される。なお、荷台211は、複数でなく単数であってもよい。
【0017】
キャスター212は、荷台211を支持可能、且つ、床面を移動可能に、例えば荷台211の四隅、又は、4本のフレーム213の下端に一つずつ設けられる。四つのキャスター212は、例えば自在輪である。
【0018】
4本のフレーム213は、複数の荷台211に固定される。なお、4本のフレーム213は、例えば、前後方向及び/又は左右方向に延びる複数の横フレームにより連結され、そして、4本のフレーム213及び横フレームに単数又は複数の荷台211が固定される構成であってもよい。
【0019】
複数対の突起214は、例えば、棚台車201の荷台211又は4本のフレーム213に、牽引台車2の進行方向に並んで配置される。例えば、荷台211が、牽引台車2の進行方向に長い場合には、複数対の突起214は、荷台211の長手方向に並んで配置される。また、対の突起214は、牽引台車2による搬送方向を前後方向、搬送方向に直交する方向を左右方向としたときに、左右方向に並んで配置され、この対の突起214が、前後方向に複数配置される。
【0020】
本実施形態において、二対の突起214が棚台車201に設けられる。例えば、二対の突起214は、最下段の荷台211の前後の端部に設けられ、下方に突出する。なお、突起214は複数対であればよく、三対以上であってもよい。また、突起214は、最下段の荷台211の下面に設けられる構成であってもよい。突起214の下端は、牽引台車2の上面よりも下方に位置し、牽引台車2の左右方向で、牽引台車2の側面と当接可能に形成される。
【0021】
図14乃至図16に示すように、平台車202は、一つの荷台221と、荷台221に取り付けられる複数のキャスター222と、一方向に所定の間隔を空けて配置される複数対の突起224と、を備える。荷台221は、荷物を載置可能に、例えば矩形の平板状に形成される。
【0022】
キャスター222は、荷台221を支持可能、且つ、床面を移動可能に、例えば荷台221の四隅に一つずつ設けられる。四つのキャスター222は、例えば自在輪である。
【0023】
複数対の突起224は、例えば、平台車202の荷台221の下面に、牽引台車2の進行方向に並んで配置される。例えば、荷台221が、牽引台車2の進行方向に直交する方向に長い場合には、複数対の突起224は、荷台221の短手方向に並んで配置される。また、対の突起224は、牽引台車2による搬送方向を前後方向、搬送方向に直交する方向を左右方向としたときに、左右方向に並んで配置され、この対の突起224が、前後方向に複数配置される。
【0024】
本実施形態において、二対の突起224が平台車202に設けられる。例えば、二対の突起224は、荷台221の短手方向(前後方向)で端部よりも中央側に位置して設けられ、荷台221の下面から下方に突出する。なお、突起224は複数対であればよく、三対以上であってもよい。突起224の下端は、牽引台車2の上面よりも下方に位置し、牽引台車2の左右方向で、牽引台車2の側面と当接可能に形成される。
【0025】
次に、第1の実施形態に係る牽引治具1について詳述する。図1乃至図3に示すように、牽引治具1は、牽引台車2と、連結治具3と、を備える。牽引台車2及び連結治具3は、連結及び連結解除が可能に形成される。
【0026】
図1乃至図5に示すように、牽引台車2は、ベース11と、二つのメインストッパ12と、複数のサブストッパ13と、複数のキャスター14と、ウェイト15と、を備える。また、牽引台車2は、連結治具3が連結される連結部16が二箇所に形成される。牽引台車2は、例えば、進行方向(長手方向)における中心に対して対称形状に形成される。
【0027】
図1乃至図7に示すように、ベース11は、例えば、一方向に長い複数のフレーム21と、複数のフレーム21を短手方向で連結するサブフレーム22と、キャスター14を取り付ける二つの座板23と、を備える。
【0028】
フレーム21は、例えば、一方向に長く形成される。フレーム21は、矩形柱状又は矩形筒状棒状に形成される。本実施形態おいて、フレーム21は、3つ設けられる。3つのフレーム21は、長手方向に直交する短手方向(左右方向)に所定の間隔を開けて、並列に配置され、サブフレーム22で連結される。例えば、3つ(複数)のフレーム21及びサブフレーム22は、溶接、ボルト等の締結等に連結される。
【0029】
サブフレーム22は、例えば、複数設けられ、ベース11の長手方向の複数箇所において、ベース11の短手方向において3つのフレーム21を連結する。好ましくは、複数のサブフレーム22は、フレーム21(ベース11)の長手方向における中心に対して対称位置に配置される。
【0030】
座板23は、複数のキャスター14のうち後述する自在輪51を単数又は左右方向(幅方向)に並んで二つ固定できる。本実施形態の例において、座板23は、一つの自在輪51を取り付け可能に形成される。具体例として、3つのフレーム21のうち、幅方向で両端側の二つのフレーム21が幅方向で中央側のフレーム21よりも長く形成され、そして、幅方向で両端側の二つのフレーム21の間に、座板23が設けられる。また、例えば、座板23は、ベース11の長手方向で端部に配置され、これにより、座板23の側面は、ベース11の長手方向における端面を構成する。
【0031】
このようなベース11は、複数の台車200を配置可能な長さに設定される。例えば、本実施形態においては、ベース11の長手方向の長さは、2台の棚台車201、8台の平台車202、又は、1台の棚台車201及び4台の平台車202を配置可能な長さに設定される。
【0032】
ベース11の幅は、棚台車201の対の突起214、及び、平台車202の対の突起224の左右方向(幅方向)の間隔より若干小さい幅に形成される。即ち、ベース11は、棚台車201の対の突起214の間、及び、平台車202の対の突起224の間に配置可能な幅に設定される。ベース11の幅方向の側面は、棚台車201の対の突起214、及び、平台車202の対の突起224と幅方向で対向することで、棚台車201及び平台車202が幅方向へ移動したときに、突起214、224の内面と当接し、幅方向への棚台車201及び平台車202の移動を規制する。
【0033】
メインストッパ12は、ベース11の長手方向の両端にそれぞれ設けられる。メインストッパ12は、フレーム21の両端部に、それぞれ、回転可能に固定される。メインストッパ12は、例えば、軸支部材31と、ストッパ本体32と、回転軸33と、を備える。
【0034】
軸支部材31は、例えば、矩形筒状に形成された二つの支持筒35を備える。2つの支持筒35は、ベース11の幅方向で離間して、ベース11に固定される。各支持筒35は、重力方向に延びる姿勢で、ベース11の端面、本実施形態においては、ベース11の端部に設けられた座板23の側面と離間して、ベース11に固定される。重力方向に延びる姿勢の矩形筒状の支持筒35は、四つ側壁35aのうち、一対の側壁35aの面方向が、ベース11の長手方向に沿い、そして、他の一対の側壁35aが幅方向に沿う姿勢で、ベース11に固定される。
【0035】
支持筒35は、幅方向の両側壁35aに形成され、回転軸33が挿入可能、且つ、重力方向に回転軸33の外径よりも長く、回転軸33が重力方向に移動可能な軸孔35bと、幅方向の両側壁35aの少なくとも一方の上端に形成され、上端から下方に窪む第1切欠35cと、を有する。また、支持筒35は、ベース11の長手方向の両側壁35aのうち、ベース11とは反対側の側壁35aに形成され、ストッパ本体32の一部が配置可能な、上端側から下端に向かって窪む第2切欠35dを有する。軸孔35bは、重力方向に延びる長孔である。
【0036】
第1切欠35cは、ストッパ本体32が縦の姿勢において、ストッパ本体32の一部が係合することで、ストッパ本体32の重力方向の移動を規制し、ストッパ本体32を支持する。第1切欠35cの形状は、例えば、上端側から下端側に向かって幅が漸次狭くなる台形状の開口形状を有する。
【0037】
第2切欠35dは、ストッパ本体32が横の姿勢において、ストッパ本体32の外面が当接することで、ストッパ本体32の回転を規制する。第2切欠35dは、支持筒35のベース11とは反対側の側壁35aが他の側壁35aよりも上端が下方となるように、高さが低く形成されることで構成される。
【0038】
ここで、ストッパ本体32の縦の姿勢とは、図5乃至図7図10に示すように、ストッパ本体32が、重力方向(支持筒35の長手方向(軸方向))に沿うか、又は、重力方向に対して傾斜するようにフレーム21の上面よりも上方に延びる姿勢である。即ち、ストッパ本体32の縦の姿勢とは、フレーム21の上面から突出し、ストッパ本体32の少なくとも一部が台車200に干渉して、台車200の移動を規制できる姿勢である。
【0039】
また、ストッパ本体32の横の姿勢とは、図8及び図9に示すように、ストッパ本体32が水平方向に沿った姿勢、又は、水平方向及び重力方向に対して傾斜し、フレーム21の上面よりも上方に位置しないか、又は、フレーム21の上面よりも上方に位置するが、台車200に干渉しない姿勢である。即ち、ストッパ本体32の横の姿勢とは、ストッパ本体32の横姿勢における上面が、台車200の下面よりも下方、例えばフレーム21の上面と面一か、又は、フレーム21の上面よりも低くなり、ストッパ本体32が台車200の移動時に台車200に干渉しない姿勢である。
【0040】
ストッパ本体32は、回転軸33により回転可能に軸支される二つの脚部32aと、二つの脚部32aを連結する梁部32bと、二つの脚部32aにそれぞれ形成された第1切欠35cと係合可能な係合部32cと、二つの脚部32aにそれぞれ形成された規制部32dと、二つの脚部及び/又は梁部32bに設けられた緩衝部材32eと、を備える。
【0041】
脚部32aは、例えば、矩形柱状又は矩形筒状に形成される。脚部32aの軸方向に直交する幅、即ち、脚部32aの側壁間の幅は、支持筒35の内面間の幅よりも小さい。即ち、脚部32aは、支持筒35内に挿入可能に形成される。二つの脚部32aは、二つの脚部32aの軸間距離が二つの支持筒35の軸間距離と同じ距離で配置される。脚部32aは、例えば、一端側が支持筒35の軸孔35bに挿入された回転軸33に回転可能に軸支される。
【0042】
梁部32bは、二つの脚部32aの他端に固定され、二つの脚部32aを連結する。
【0043】
係合部32cは、脚部32aの支持筒35に形成された第1切欠35cと対向する側壁に形成された、突起である。係合部32cは、脚部32aの回転軸33で軸支される端部側の端部が、脚部32aの梁部32b側の端部側から回転軸33側の端部側に向かって、幅が漸次縮径する。即ち、係合部32cは、第1切欠35cに挿入される先端に形成された案内用の傾斜を有する。
【0044】
規制部32dは、ストッパ本体32が縦の姿勢において、脚部32aのベース11側の側面に設けられる突起である。規制部32dは、ストッパ本体32が縦の姿勢において、ベース11の座板23及び支持筒35の間の隙間の上部を覆う。
【0045】
緩衝部材32eは、ストッパ本体32が縦の姿勢において、台車200の側面と当接する位置に設けられる。緩衝部材32eは、例えば、ゴム部材や発泡性樹脂材料等で形成され、台車200が当接したときの衝撃を吸収する。緩衝部材32eの数や配置は、想定される使用する台車200の荷台等の側面に応じて、適宜設定される。
【0046】
回転軸33は、例えば、ボルト及びナットにより形成される。回転軸33は、脚部32aを支持筒35に対してストッパ本体32の横の姿勢及び縦の姿勢の間で回転可能に支持する。また、回転軸33は、縦の姿勢において、支持筒35の軸孔35bに沿って、脚部32aを重力方向に移動可能に支持する。
【0047】
このように構成されたメインストッパ12は、ストッパ本体32が横の姿勢においては、回転軸33が軸孔35bの上端側に当接するとともに、ストッパ本体32の脚部32aが支持筒35の第2切欠35dに当接することで、ストッパ本体32を横の姿勢で軸支部材31に保持される。メインストッパ12は、ストッパ本体32が横の姿勢から縦の姿勢に回転する方向に操作されると、回転軸33を中心にストッパ本体32が回転する。メインストッパ12は、ストッパ本体32が縦の姿勢においては、支持筒35の軸方向に脚部32aが沿った姿勢となり、この状態で操作者がストッパ本体32をフリーとすると、自重によりストッパ本体32が重力方向に移動する。このとき、回転軸33は、軸孔35bを上端から下端に向かって移動し、そして、係合部32cが第1切欠35cに挿入する方向に移動し、第1切欠35cと係合部32cとが係合する。これにより、メインストッパ12は、ストッパ本体32が縦の姿勢において、回転軸33を軸孔35bの下端が支持すること、及び/又は、係合部32cを第1切欠35cが支持することにより、ストッパ本体32が縦の姿勢で軸支部材31に保持される。
【0048】
サブストッパ13は、ベース11の長手方向において、中途部に複数設けられる。本実施形態において、サブストッパ13は、ベース11の長手方向における中心から両端の間に、それぞれ2つ、計4つ設けられる例を示す。
【0049】
サブストッパ13は、サブストッパ本体41と、回転軸42と、を備える。サブストッパ本体41は、例えば、ベース11の三本のフレーム21の間に配置される二つの本体45と、二つ本体45を連結する連結フレーム46と、を備える。本体45は、例えば、一方向に長い薄板状の一対の第1フレーム45aと、一対の第1フレーム45aの一端に固定された円柱状又は円筒状等の第2フレーム45bと、を有する。一対の第1フレーム45aは、一端に第2フレーム45bが固定され、他端に回転軸42が挿入可能な軸孔が形成される。第2フレーム45bは、第1フレーム45aの一端側に溶接やボルト等の締結などにより固定される。連結フレーム46は、二つの本体45を、本体45の回転軸42とは反対側の端部で連結する。
【0050】
このようなサブストッパ13は、図6及び図7に示すように、サブストッパ本体41が横の姿勢において、フレーム21の上面から突出しないか、又は、フレーム21の上面から一部が突出しても、台車200と当接しない位置にある。また、サブストッパ13は、図5及び図7に示すように、サブストッパ本体41が縦の姿勢において、フレーム21の上面から突出し、台車200の側面と当接し、台車200の移動を規制する。また、サブストッパ13は、サブストッパ本体41を横の姿勢及び縦の姿勢の間で回転させたときに、ベース11のサブフレーム22、及び/又は、ベース11に別途設けられた規制部材に当接することで、横の姿勢及び縦の姿勢よりも回転移動することを規制される。
【0051】
回転軸42は、例えば、ベース11のサブフレーム22等に設けられた軸孔及びサブストッパ本体41の軸孔に挿入され、サブフレーム22に対してサブストッパ本体41を回転可能に軸支する。
【0052】
複数のキャスター14は、例えば、複数の自在輪51と、複数の固定輪52と、を備える。
【0053】
自在輪51は、例えば、二つ設けられ、各自在輪51は、ベース11の座板23に、ボルト及びナット等の締結部材54により固定される。即ち、自在輪51は、ベース11の両端に設けられる。
【0054】
固定輪52は、例えば、4つ設けられる。4つの固定輪52は、ベース11の幅方向で二つ並ぶことで対となり、この対の固定輪52がベース11の長手方向で中央側の二箇所に設けられる。即ち、二対の固定輪52は、ベース11の中央側に設けられる。固定輪52は、3本のフレーム21の間にそれぞれ設けられる。例えば、対の固定輪52は、一つの回転軸52aによりフレーム21に支持され、フレーム21の下面から下方に突出するとともに、フレーム21の上面から上方に突出しない位置に設けられる。
【0055】
ウェイト15は、ベース11の中央側に設けられる。具体例として、ウェイト15は、一対設けられ、二対の固定輪52に、ベース11の端部側で隣接して設けられる。一対のウェイト15は、例えば、板状の錘部材15aが、3つのフレーム21の間に配置され、ボルト及びナット等の締結部材15bによりサブフレーム22等に固定される。なお、錘部材15aの数や重量は、搬送する台車200の数や種類、台車200に積載する荷物の重量等により、適宜設定される。
【0056】
連結部16は、ベース11の両端側にそれぞれ設けられ、連結治具3を連結可能に形成される。連結部16は、例えば、ベース11の座板23の側面と、メインストッパ12の一対の支持筒35の座板23と対向する側壁35aとの間に生じる隙間により形成される。具体的には、図5乃至図7に示すように、連結部16は、座板23と、支持筒35と、座板23及び支持筒35の間の隙間に設けられた支持部55と、メインストッパ12に設けられた規制部32dと、を備える。
【0057】
支持部55は、座板23及び支持筒35の間の隙間に配置された連結治具3の一部を上面に支持する。規制部32dは、メインストッパ12のストッパ本体32が縦の姿勢であるときに、座板23及び支持筒35の間の隙間の上部を覆う。
【0058】
このように、連結部16は、座板23、支持筒35、支持部55及び規制部32dで囲われる領域に、連結治具3の一部、具体的には、連結治具3の後述する連結軸84を配置することで、連結治具3を連結可能に形成される。
【0059】
連結治具3は、牽引台車2の両端のそれぞれと連結及び連結解除が可能に形成される。図8乃至図10に示すように、連結治具3は、AGV100に固定される固定部材61と、固定部材61に対して回転移動可能な連結部材62と、連結部材62を固定部材61に保持する保持部材63と、を備える。
【0060】
固定部材61は、AGV100にボルト等の締結部材や溶接等で固定される基材71と、基材71の下端に設けられた案内部材72と、基材71に案内部材72を取り付ける連結板73と、を備える。
【0061】
基材71は、例えば、重力方向に延びる一枚又は二枚の板材71aにより形成される。本実施形態においては、基材71は、二枚の板材71aを重力方向に沿ってAGV100に固定することで形成される。また、基材71は、例えば、二枚の板材71aの上端に渡って設けられ、保持部材63をボルト等の締結部材74で固定する座板71bを有する。
【0062】
案内部材72は、連結部材62を基材71に保持される縦の姿勢及び牽引台車2と連結される横の姿勢の間で、連結部材62を回転移動可能に、連結部材62の移動方向を案内する。例えば、案内部材72は、四半円弧柱状に形成されたレールである。案内部材72は、案内部材72の曲率中心周りで、半円弧状の軌跡で連結部材62を移動可能に形成される。また、案内部材72は、上側の端面にネジ孔が形成されるとともに下側の端面に、案内部材72の曲率中心に向かって延び、連結板73に固定されるネジ孔が形成された連結部72aを有する。案内部材72は、上側の端面及び連結部72aが連結板73に接した状態で、連結板73を挟んで、ボルト及びナット等の締結部材74により基材71の下端に固定される。
【0063】
連結部材62は、一方向に延びる基部81と、基部81の一端に形成され、案内部材72が挿入される被案内部82と、基部81の他端に形成され、メインストッパ12のストッパ本体32を配置可能なアーム83と、アーム83に保持され、連結部16と連結する連結軸84と、を備える。
【0064】
基部81は、例えば、一方向に長い矩形柱状に形成される。被案内部82は、案内部材72が挿入可能に、案内部材72の外径よりも内径が大きい環状に形成される。被案内部82は、基部81の端部に固定され、挿入された案内部材72に沿って移動可能に形成される。
【0065】
アーム83は、例えば、コの字状に形成され、内部にストッパ本体32を配置可能に形成される。具体例として、アーム83は、基部81の端部に固定され、基部81の長手方向に直交する方向(幅方向)に延びる板状、柱状又はブロック状の第1部材83aと、第1部材83aの両端に固定され、基部81の長手方向と同方向に延びる、板状の一対の第2部材83bと、を備える。一対の第2部材83bの一端は、主面同士が対向する姿勢で、第1部材83aの両端に固定される。一対の第2部材83bの他端側には、連結軸84が挿入され、固定される孔83cが形成される。
【0066】
一対の第2部材83bの対向方向における対向面間の距離は、一対の第2部材83bの対向方向と同方向で一対の脚部32aが並んだ姿勢で、ストッパ本体32の一対の脚部32a及び梁部32bを配置可能な距離に設定される。
【0067】
連結軸84は、例えば、丸棒であり、両端に形成され、ナット等の締結部材75が螺合される雌ネジを有する。連結軸84は、一対の第2部材83bの孔83cに両端が挿入された状態で、締結部材75が螺合することで、一対の第2部材83bの先端側に固定される。
【0068】
保持部材63は、連結部材62が縦の姿勢において、連結部材62を保持する。例えば、保持部材63は、磁石であり、磁性を有する材料で形成された連結部材62を縦の姿勢において、磁力によって保持する。例えば、保持部材63は、基材71の座板71bに、締結部材74により固定される。
【0069】
次に、AGV100及び牽引治具1を用いた台車200の搬送の例について、図17及び図18を用いて具体的に説明する。図17に、AGV100が用いられる工場に設けられるAGV100の搬送経路Rの一例を矢印で示す。また、図17中の400は、工場内に設けられる機械や棚等の、AGV100の搬送における障害物である。ここで、搬送経路Rは、第1位置P1及び第2位置P2の間を往復し、第1位置P1及び第2位置P2のそれぞれにおいて、荷物を載置したパレット230を平台車202に載置し、そして、移動先の第1位置P1及び第2位置P2のそれぞれで、パレットを下す例を説明する。
【0070】
また、この実施形態において、第1位置P1は、牽引治具1が連結されたAGV100がUターンできない領域であり、第2位置P2は、牽引治具1が連結されたAGV100がUターンできる領域として、以下説明する。
【0071】
まず、第1位置P1において、第1位置P1から第2位置P2に向かう進行方向で前方となる牽引台車2の連結部16に、連結治具3の連結軸84を連結させる。具体的には、メインストッパ12のストッパ本体32を横の姿勢としておき、図8に示すように、保持部材63に保持されている連結部材62を保持部材63から外し、連結部材62の被案内部82を案内部材72に沿って移動させることで連結部材62を固定部材61に対して回動させる。なお、被案内部82の内径が案内部材72の外径よりも大径に形成されることから、容易に連結治具3の連結軸84及び連結部16の位置合わせができる。
【0072】
そして、図9に示すように、連結部材62の連結軸84を、連結部16を構成するベース11の座板23の側面とメインストッパ12の一対の支持筒35の側壁35aとの間の隙間に挿入させて、支持部55上に配置する。
【0073】
次に、図10に示すように、連結治具3が連結される側のストッパ本体32を横の姿勢から縦の姿勢へと回転させる。縦の姿勢となったストッパ本体32の規制部32dは、支持部55内に配置された連結軸84の上方に配置される。これにより、連結軸84は、連結部16内に配置されることで、連結部16によって、移動がベース11の前後方向及び重力方向において移動が規制される。また、連結治具3のアーム83の一対の第2部材83bは、一対の第2部材83bの間に配置されるストッパ本体32によって、ベース11の左右方向(幅方向)の移動が規制される。これらによって、AGV100に固定された連結治具3が牽引台車2と連結される。
【0074】
次に、ステップST1として、ベース11に任意の平台車202を配置し、往路で搬送する荷物が載置されたパレット230(往路パレット)を平台車202上に積載する。なお、荷物が積載されたパレット230を載置した平台車202をベース11に順次配置してもよい。ここで、平台車202は、ベース11が平台車202に設けられた対の突起224の間に配置されるように、ベース11に挿入する。
【0075】
なお、本実施形態の例では、図16に示すように、平台車202上にパレット230を積載して搬送する例を説明するが、図12及び図13に示すように、棚台車201を搬送する構成であってもよく、また、図14及び図15に示すように、棚台車201及び複数の平台車202を牽引する構成であってもよい。また、搬送する台車200の進行方向(ベース11の長手方向)における総長さが、ベース11の全長より短く、メインストッパ12と台車200との間隔が、メインストッパ12とサブストッパ13との間隔より大きい場合には、図7に示すように、進行方向側のサブストッパ13を縦の姿勢にして、ベース11の前後方向において、台車200とメインストッパ12及びサブストッパ13との間隔を小さくして、進行又は停止時に、台車200が移動することを抑制する。
【0076】
次に、ステップST2として、AGV100が往路を移動することで、平台車202を第1位置P1から第2位置P2に搬送する。次に、ステップST3として、第2位置P2において、AGV100をUターンさせて、ステップST4として、AGV100を一時停止させる。そして、ステップST5として、パレット230(往路パレット)を平台車202から下す。なお、このとき、平台車202上にパレット230の積み下ろしを行うのではなく、ベース11からパレット230が積載された平台車202を取り出してもよい。
【0077】
次に、ステップST6として、AGV100を再発進させて、AGV100を復路で第1位置P1に搬送するパレット230の積載位置に移動させ、ステップST7として、AGV100を一時停止させる。次に、ステップST8として、平台車202上に第2位置P2から第1位置P1に搬送するパレット230(復路パレット)を積載する。なお、復路で搬送するパレット230が積載された平台車202や荷物が積まれた棚台車201をベース11に配置する構成であってもよい。
【0078】
次に、ステップST9として、AGV100が復路を移動することで、平台車202を第2位置P2から第1位置P1に搬送する。次に、ステップST10として、第1位置P1の例えば梱包場において、一時停止し、ステップST11として、梱包場において、パレット230上の荷物を荷下ろし、荷下ろし後、再発進する。次に、ステップST12として、第1位置P1のパレット230を下す位置で、AGV100を停止させ、ステップST13として、平台車202からパレット230を下す。次に、ステップST14として、第2位置P2から第1位置P1への進行方向で前方の連結部16に連結していた連結軸84を取り外し、第1位置P1から第2位置P2への進行方向で前方の連結部16に連結軸84を連結させ、AGV100の位置、すなわち、AGV100に固定された連結治具3の牽引台車2への連結位置を切り替える。その後、ステップST1に戻り、以降の工程を繰り返す。これらの工程によって、AGV100及び牽引治具1を用いた荷物の搬送が行われる。
【0079】
このように構成された牽引治具1は、複数の台車200を牽引できる牽引台車2の長手方向の両端に、連結治具3を連結可能な連結部16を有する。牽引台車2の二つの連結部16のいずれかに、選択的に連結治具3を連結することができることから、進行方向を切り替えるときに、AGV100に固定された連結治具3を、進行方向側の連結部16に接続することで、任意に牽引台車2の進行方向を切り替えることができる。
【0080】
これにより、搬送経路RにAGV100に牽引治具1を連結した状態で、Uターン等ができない搬送路を含む場合には、AGV100(連結治具3)を連結する牽引台車2の連結部16を切り変えることで、牽引台車2の進行方向を変えることができる。よって、牽引治具1は、Uターンができないスペースにおいても、AGV100による進行方向の切り替えを容易に行うことができる。
【0081】
また、連結部16は、ベース11の座板23の側面とメインストッパ12の一対の支持筒35の座板23と対向する側壁35aとの間に生じる隙間に連結軸84を配置し、支持部55上に連結軸84を載置するとともに、ストッパ本体32に形成された規制部32dで連結軸84を覆う構成である。このため、連結部16及び連結軸84の連結は、連結軸84を座板23の側面及び一対の支持筒35の側壁35aの間に生じる隙間に配置したあと、台車200の移動を規制するメインストッパ12のストッパ本体32を縦の姿勢にするだけでよい。
【0082】
即ち、連結部16及び連結軸84の連結のために作業者が行う操作の一部は、台車200の移動の規制を行うためのストッパ本体32を縦の姿勢とする操作が兼ねることになる。
【0083】
このため、連結作業の工程数を低減することができるとともに、ストッパ本体32の縦の姿勢への操作忘れを防止できることから、牽引治具1は、高い操作性を有することが可能となる。特に、繰り返し荷物を搬送する場合には、作業時間の低減が可能となることから、AGV100を牽引治具1に取り付ける位置を切り替える切り替え作業の時間の短縮となり、AGV100の往復のための時間を短くすることができる。
【0084】
また、連結治具3は、連結部材62を基材71に保持される縦の姿勢及び牽引台車2と連結される横の姿勢の間で移動可能とするとともに、縦の姿勢の連結部材62を保持部材63で保持可能に形成される。これにより、連結治具3は、AGV100が牽引台車2を牽引しない場合には、連結部材62を縦の姿勢で保持できることから、AGV100の走行時に、連結部材62がカーブの走行路を走行する場合やUターン時等の旋回移動を行う際に、狭いスペースで旋回移動を行うことができる。
【0085】
また、牽引台車2は、複数の台車200に設けられた対の突起214、224の間にフレーム21が配置され、フレーム21の両端側に設けられたメインストッパ12、又は、メインストッパ12及びサブストッパ13によって、走行時に台車200を保持する。このため、AGV100及び牽引台車2の走行時の幅は、AGV100の幅、台車200の幅、及び、台車200に載置された荷物の幅のいずれかが最大幅となる。よって、牽引台車2の走行時の幅を極力小さくすることができることから、走行ルートの走行路の幅が狭い場合であっても、牽引台車2によって複数の台車200を搬送することができる。
【0086】
また、牽引台車2のベース11は、フレーム21が主構成であるところ、フレーム21の幅方向の形状を小さくできることから、牽引台車2の重量を低減できる。また、フレーム21の製造に要する材料も少なくて良く、安価に牽引台車2を製造することができる。また、牽引台車2は、ベース11が軽量となった場合であっても、荷物や台車200等の重量に応じてウェイト15を設けることで、安定して走行することができる。
【0087】
また、ベース11に台車200を配置する作業は、メインストッパ12を横姿勢とし、メインストッパ12の先端からベース11へ台車200を移動させるだけでよく、容易に台車200をベース11に配置することができる。また、所定の台数の台車200をフレーム21に配置した後に、メインストッパ12を横姿勢から縦の姿勢へ回転させて、メインストッパ12を固定するだけで、台車200をベース11に保持することができる。
【0088】
また、牽引する台車200の数等に応じてサブストッパ13を横の姿勢から縦の姿勢にすることで、台車200の数が少なく、一対のメインストッパ12と台車200との間に大きな隙間が生じた場合であっても、走行時に牽引する台車200が前後方向に移動することを防止できるため、台車200に直接、又は、台車200にパレット230等を介して間接的に積載される荷物が落下することを防止できる。また、フレーム21から台車200を取り出す作業は、メインストッパ12を立姿勢から横姿勢に回転させて、フレーム21に沿って台車200を移動させるだけでよい。なお、一例として、サブストッパ13は、例えば、基本的に進行方向で前側(AGV100が連結される側)を起こすことで、台車200を取り出す際は、メインストッパ12を横姿勢とすれば良い。よって、牽引台車2は、容易に台車200の配置及び取り出しが可能となる。
【0089】
上述したように、本発明の一実施形態に係る牽引治具1によれば、連結治具3を、牽引台車2の両端側の連結部16に選択的に連結することで、牽引方向を変更可能となる。
【0090】
なお、牽引治具1は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した例では、牽引治具1に用いられる連結治具3は、連結部材62が縦の姿勢において、連結部材62を保持する保持部材63として、磁石を用いる構成を説明したがこれに限定されない。例えば、連結治具3の保持部材63は、図19及び図20に示す第2の実施形態に係る牽引治具1のように、磁石に加え、又は、磁石に変えて、連結部材62の一部、例えば、連結軸84をひっかける単数又は複数のフック63a及びフック63aをAGV100に固定する固定具63bを有する構成としてもよい。
【0091】
また、例えば、連結部材62は、図21に示す第3の実施形態に係る牽引治具1のように、アウトリガーとしての、補助輪85を有する構成としてもよい。例えば、補助輪85は、アーム83の一対の第2部材83bにそれぞれ設けられ、アーム83の幅方向に延びる一対のフレーム91と、フレーム91の先端に設けられた自在輪92と、を備える。このような連結部材62は、補助輪85を有することで、牽引台車2と連結したときに、牽引台車2を牽引したときに、安定して走行することができる。
【0092】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0093】
1…牽引治具、2…牽引台車、3…連結治具、11…ベース、12…メインストッパ、13…サブストッパ、14…キャスター、15…ウェイト、15a…錘部材、15b…締結部材、16…連結部、21…フレーム、22…サブフレーム、23…座板、31…軸支部材、32…ストッパ本体、32a…脚部、32b…梁部、32c…係合部、32d…規制部、32e…緩衝部材、33…回転軸、35…支持筒、35a…側壁、35b…軸孔、35c…第1切欠、35d…第2切欠、41…サブストッパ本体、42…回転軸、45…本体、45a…第1フレーム、45b…第2フレーム、46…連結フレーム、51…自在輪、52…固定輪、52a…回転軸、54…締結部材、55…支持部、61…固定部材、62…連結部材、63…保持部材、63a…フック、63b…固定具、71…基材、71a…板材、71b…座板、72…案内部材、72a…連結部、73…連結板、74…締結部材、75…締結部材、81…基部、82…被案内部、83…アーム、83a…第1部材、83b…第2部材、83c…孔、84…連結軸、85…補助輪、91…フレーム、92…自在輪、100…搬送車、200…台車、201…棚台車、202…平台車、211…荷台、212…キャスター、213…フレーム、214…突起、221…荷台、222…キャスター、224…突起、230…パレット、P1…第1位置、P2…第2位置、R…搬送経。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22