(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034344
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】液体化粧料及び塗布具
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20240306BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240306BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20240306BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240306BHJP
A61K 8/26 20060101ALI20240306BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20240306BHJP
A61K 8/98 20060101ALI20240306BHJP
A45D 34/04 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/34
A61Q1/10
A61Q1/00
A61K8/26
A61K8/25
A61K8/98
A45D34/04 510B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138532
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005511
【氏名又は名称】ぺんてる株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】東島 優
(72)【発明者】
【氏名】有澤 克二
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA071
4C083AA072
4C083AB051
4C083AB221
4C083AB222
4C083AB371
4C083AB372
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC111
4C083AC112
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD352
4C083BB26
4C083BB51
4C083CC02
4C083CC14
4C083DD23
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】光輝性顔料の沈降抑制及び再分散性に優れるとともに、描線の光輝感が損なわれ難い液体化粧料及び塗布具を提供する。
【解決手段】液体化粧料は、光輝性顔料と、粘土鉱物粒子と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及び、メタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種をモノマー単位として含む共重合体と、ヘキシレングリコールと、水と、を含有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光輝性顔料と、
粘土鉱物粒子と、
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及び、メタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種をモノマー単位として含む共重合体と、
ヘキシレングリコールと、
水と、
を含有する液体化粧料。
【請求項2】
前記共重合体は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及び、メタクリル酸エステルから選ばれる前記少なくとも1種、及び、スチレンをモノマー単位として含む
請求項1に記載の液体化粧料。
【請求項3】
多糖類をさらに含有し、
前記液体化粧料中の前記多糖類の含有量が0.05質量%以上0.30質量%以下である
請求項1又は2に記載の液体化粧料。
【請求項4】
前記液体化粧料中のヘキシレングリコールの含有量が1.0質量%以上4.0質量%以下である
請求項1又は2に記載の液体化粧料。
【請求項5】
前記光輝性顔料の平均粒子径rPに対する前記粘土鉱物粒子の平均粒子径rCの比rC/rPが、0.0016以上0.055以下である
請求項1又は2に記載の液体化粧料。
【請求項6】
前記光輝性顔料の平均粒子径rPが10μm以上150μm以下であり、
前記粘土鉱物粒子の平均粒子径rCが0.250μm以上0.550μm以下である
請求項1又は2に記載の液体化粧料。
【請求項7】
塗布部と、
請求項1又は2に記載の液体化粧料を収容する液体収容部と、を備え、
前記液体収容部からの前記液体化粧料が前記塗布部に供給されるように構成された
塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体化粧料及び塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
塗布具等により塗布することで肌等の表面に光輝性の描線を形成するための液体化粧料(例えばアイライナー等)が用いられている。
【0003】
特許文献1には、セルロース等の化合物によって被覆された板状顔料と、層状粘土鉱物粒子と、アクリル系共重合体と、水と、を含有する液体化粧料組成物が開示されている。液体化粧料組成物にこれらの成分を含ませることで、肌等の被塗布面上に塗布しても板状顔料が重ならずに鮮明な光輝性の塗膜を得ることが図られている。
【0004】
特許文献2には、ポリアスパラギン酸ナトリウム、光輝性粉体、水溶性分散剤、及び金属酸化物を含有する水系液状化粧料が開示されている。水系液状化粧料にこれらの成分を含ませることで、光輝性粉体が沈降し難く保存安定性に優れるとともに沈降した光輝性粉体の再分散性に優れ、かつ、ペンタイプの形態であっても十分に吐出可能な液状化粧料とすることが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-14412号公報
【特許文献2】特開2020-132619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば特許文献1,2に開示されるような、光輝性顔料を含む従来の液体化粧料では、保存中における光輝性顔料の沈降の抑制や、再使用時における光輝性顔料の再分散の点において、改善の余地がある。また、光輝性顔料を含む従来の液体化粧料では、塗布後の塗膜の乾燥に比較的長い時間を要するため、乾燥中の塗膜に指や物体が触れることにより塗膜に含まれる光輝性顔料が液状成分とともに剥がれやすく、肌の表面に形成される描線の光輝感が比較的損なわれやすい。
【0007】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、光輝性顔料の沈降抑制及び再分散性に優れるとともに、描線の光輝感が損なわれ難い液体化粧料及び塗布具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の少なくとも一実施形態に係る液体化粧料は、
光輝性顔料と、
粘土鉱物粒子と、
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及び、メタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種をモノマー単位として含む共重合体と、
ヘキシレングリコールと、
水と、
を含有する。
【0009】
また、本発明の少なくとも一実施形態に係る塗布具は、
塗布部と、
上述の液体化粧料を収容する液体収容部と、を備え、
前記液体収容部からの前記液体化粧料が前記塗布部に供給されるように構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、光輝性顔料の沈降抑制及び再分散性に優れるとともに、描線の光輝感が損なわれ難い液体化粧料及び塗布具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0013】
(液体化粧料の組成)
幾つかの実施形態に係る液体化粧料は、例えばアイライナー、アイブロウ、コンシーラー、ファンデーション、ネイルエナメル、リップカラー等として使用可能な液体化粧料であり、例えば後述する塗布具を用いて、人の肌等に塗布することができる。
【0014】
幾つかの実施形態に係る液体化粧料は、光輝性顔料と、粘土鉱物粒子と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及び、メタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種をモノマー単位として含む共重合体と、ヘキシレングリコールと、水と、を含有する。
【0015】
上述の粘土鉱物粒子は、層状(板状)の粒子であり、例えばベントナイト又はスメクタイト等のケイ酸塩鉱物を含む。この粘土鉱物粒子は、水中に分散させた後に静置すると、負電荷を帯びた層面と正電荷を帯びた端面がお互いに引き合い、層面-端面結合の立体的な会合構造であるカードハウス構造を形成する。
【0016】
また、上述の光輝性顔料は、液体化粧料に光輝性を付与するものであり、板状の形状を有する疎水性の粒子である。光輝性顔料の粒子同士の間に何も存在しなければ、これらの粒子同士は面と面とで密着し、固く解れ難い状態となりやすい。また、光輝性顔料を水中に分散させた場合、光輝性顔料の粒子同士の疎水性相互作用により、粒子同士がより強固に密着しやすい。
【0017】
この点、上述の実施形態に係る液体化粧料は、粘土鉱物粒子を含むので、液体化粧料の中で、粘土鉱物粒子の立体的なカードハウス構造が形成され、このカードハウス構造の中に光輝性顔料が取り込まれる。このため、光輝性顔料の沈降が抑制されるとともに、光輝性顔料同士の疎水性相互作用による密着及び凝集が抑制されるため液体化粧料における光輝性顔料の再分散性が良好となる。
【0018】
また、上述の実施形態に係る液体化粧料は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及び、メタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種をモノマー単位として含む共重合体(即ち、アクリル系共重合体;以下、単に共重合体ともいう。)を含むので、該共重合体の立体構造により、光輝性顔料同士の疎水性相互作用による密着及び凝集を効果的に抑制することができる。このため、光輝性顔料の沈降抑制及び再分散性がより良好となる。
【0019】
また、上述の実施形態に係る液体化粧料は、上述の共重合体及びヘキシレングリコールを含むので、液体化粧料の中で、共重合体のカルボキシ基やカルボニル基とヘキシレングリコールのヒドロキシ基との間の水素結合により立体的な構造体が形成される。このため、この立体的な構造体により、光輝性顔料同士の疎水性相互作用による密着及び凝集を効果的に抑制することができる。このため、光輝性顔料の沈降抑制及び再分散性がより良好となる。
【0020】
また、上述の実施形態に係る液体化粧料は、上述の共重合体を含むので、該共重合体のアルキル基、カルボキシ基又はカルボニル基等の電荷によって、粘土鉱物粒子が形成するカードハウス構造が補強される。すなわち、粘土鉱物粒子のカードハウス構造が崩れようとしても、上述の共重合体の官能基の電荷と、粘土鉱物粒子の表面の電荷が相互作用することにより、粘土鉱物粒子のカードハウス構造が維持されやすい。このため、光輝性顔料の沈降が効果的に抑制されるとともに、光輝性顔料の再分散性がより良好となる。
【0021】
また、上述の実施形態に係る液体化粧料は、ヘキシレングリコールを含むので、液体化粧料に優れた乾燥性を付与することができる。このため、液体化粧料の塗布により形成される描線を短時間で乾燥させることができ、乾燥中における光輝性顔料剥がれを抑制することができる。このため、液体化粧料の描線の光輝感が損なわれ難くなる。
【0022】
また、上述の実施形態に係る液体化粧料は、ヘキシレングリコールを含むので、上述したように、ヘキシレングリコールが液体化粧料中における光輝性顔料の沈降抑制に寄与する。このため、光輝性顔料の沈降抑制の目的で使用される多糖類等の増粘剤の含有量を低減することができ、その分、液体化粧料の粘度を低減することができる。よって、液体化粧料の塗膜厚さを薄くすることができ、これにより、塗膜の速乾性が向上するとともに、液体化粧料の描線の光輝感が損なわれ難くなる。
【0023】
以上より、上述の実施形態によれば、光輝性顔料の沈降抑制及び再分散性に優れるとともに、描線の光輝感が損なわれ難い液体化粧料を得ることができる。
【0024】
ここで、本願明細書における光輝性顔料の再分散性とは、光輝性顔料の再分散時の分散の程度を意味する。なお、液体化粧料の使用等により光輝性顔料が液体中に分散された後、保存時に放置されることで光輝性顔料が沈降した状態において、液体化粧料の再使用時等に、液体化粧料が収容された容器を振ること等により、液体中において光輝性顔料が再分散される。
【0025】
上述の光輝性顔料は、光輝性を有する板状の顔料であり、例えば、アルミニウム顔料、ガラスフレーク顔料、パール顔料、金属又は金属酸化物で被覆されたガラス粉末、又は、金属で被覆された樹脂フィルム粉末を含んでもよい。
【0026】
上述の光輝性顔料として使用可能な市販品の例として、Cosmicolor Celeste Rose Pink、Cosmicolor Celeste Iris Blue、Cosmicolor Celeste Morpho Blue、Cosmicolor Celeste Tecla Green、Cosmicolor Celeste Aqua Green、Cosmicolor Celeste Meadow Gold、Cosmicolor Celeste Ivy Orange、Cosmicolor Celeste Cherry Pink、Cosmicolor Celeste Maple Red、Cosmicolor Stratone Honey Pink、Cosmicolor Stratone Pale Gold、Cosmicolor Stratone Solar Gold、Cosmicolor Flourish Yellow DC、Cosmicolor Flourish Orange SP、Cosmicolor Metallics Velvet Silver、Cosmicolor Metallics Frost Silver、Cosmicolor Metallics Crystal Silver(以上、東洋アルミニウム株式会社製)等のアルミニウム顔料、DK PEARL-GFIF WHITE、DK PEARL-GFIF GOLD、DK PEARL-GFIF RED、DK PEARL-GFIF VIOLET、DK PEARL-GFIF BLUE、DK PEARL-GFIF GREEN(以上、大東化成工業株式会社製)等のガラスフレーク顔料、FANTASPEARL 0015SR、FANTASPEARL 0525SR、FANTASPEARL 1060SR、FANTASPEARL 1060YR、FANTASPEARL 1060RYR、FANTASPEARL 1060RBR、FANTASPEARL 1060BR、FANTASPEARL 1060GR(以上、日本光研工業株式会社製)等のパール顔料が挙げられる。
【0027】
光輝性顔料の平均粒子径rPは、10μm以上150μm以下であってもよい。光輝性顔料の平均粒子径が10μm以上であれば、光輝性顔料のサイズが粘土鉱物粒子等に対してある程度大きい。このため、光輝性顔料が粘土鉱物粒子のカードハウス構造や上述の共重合体及びヘキシレングリコールの立体構造を避けて沈降し難く、また、光輝性顔料による光輝感が得られやすい。光輝性顔料の平均粒子径が150μm以下であれば、光輝性顔料の粒子あたりの重量が大き過ぎない。このため、光輝性顔料の粒子が粘土鉱物粒子のカードハウス構造や上述の共重合体及びヘキシレングリコールの立体構造の中に取り込まれやすい。よって、液体化粧料中における光輝性顔料の沈降が抑制されやすく、また、光輝性顔料の再分散が良好となりやすい。
【0028】
液体化粧料中の光輝性顔料の含有量は、0.5質量%以上10.0質量%以下であってもよい。光輝性顔料の含有量が0.5質量%以上であれば、液体化粧料の光輝性が十分なものとなりやすい。光輝性顔料の含有量が10.0質量%以下であれば、液体化粧料の中で光輝性顔料がハードケーキを形成し難く、また、液体化粧料の塗布性が良好となりやすい。
【0029】
上述の粘土鉱物粒子は、層状(板状)の形状を有する粒子である。粘土鉱物粒子は、例えばベントナイト、スメクタイト、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、スチーブンサイト、ヘクトライト等のケイ酸塩鉱物を含む。
【0030】
上述の粘土鉱物粒子として使用可能な市販品の例として、例えば、クニピア-F、クニピア-G、クニピア-G4、クニピア-G10、モイストナイト-S等のベントナイト(以上クニミネ工業株式会社製)、スメクトン-SA、スメクトン-SWN、スメクトン-SWF等の合成スメクタイト(以上クニミネ工業株式会社製)等が挙げられる。
【0031】
粘土鉱物粒子の平均粒子径rCは、0.250μm以上0.550μm以下であってもよい。粘土鉱物粒子の平均粒子径が0.250μm以上0.550μm以下であれば、光輝性顔料が粘土鉱物粒子のカードハウス構造の立体構造を避けて沈降し難く、また、光輝性顔料の粒子が粘土鉱物粒子のカードハウス構造の中に取り込まれやすい。よって、液体化粧料中における光輝性顔料の沈降が抑制されやすく、また、光輝性顔料の再分散が良好となりやすい。
【0032】
液体化粧料中の粘土鉱物粒子の含有量は、0.1質量%以上1.0質量%以下であってもよい。粘土鉱物粒子の含有量が0.1質量%以上であれば、粘土鉱物粒子によって形成されるカードハウス構造の中に比較的多くの光輝性顔料の粒子を取り込むことができるため、液体化粧料中における光輝性顔料の沈降を抑制しやすい。粘土鉱物粒子の含有量が1.0質量%以下であれば、粘土鉱物粒子によって光輝性顔料による液体化粧料の光輝感が損なわれ難くなる。
【0033】
上述の光輝性顔料の平均粒子径rPに対する粘土鉱物粒子の平均粒子径rCの比rC/rPが、0.0016以上0.055以下であってもよい。
【0034】
上述の比rC/rPが0.0016以上であれば、粘土鉱物粒子のサイズが光輝性顔料に対してある程度大きい。このため、光輝性顔料が粘土鉱物粒子のカードハウス構造を避けて沈降し難い。また、上述の比rC/rPが0.055以下であれば、光輝性顔料の粒子あたりの重量が粘土鉱物粒子に対して大き過ぎない。このため、光輝性顔料の粒子が粘土鉱物粒子のカードハウス構造の立体構造の中に取り込まれやすい。よって、液体化粧料中における光輝性顔料の沈降が抑制されやすく、また、光輝性顔料の再分散が良好となりやすい。
【0035】
本明細書における光輝性顔料の平均粒子径は、デジタルマイクロスコープVHX7100(株式会社キーエンス製)を用いて光輝性顔料を撮影し、ランダムに選択した200個の粒子の長径(顔料の輪郭線上で最も離れた2点間の距離)を測定し、その長径の平均を算出するという方法で測定した値である。また、本明細書における粘土鉱物粒子の平均粒子径は、走査電子顕微鏡JSM-6510LA(日本電子株式会社製)を用いて粘土鉱物粒子を撮影し、ランダムに選択した200個の粒子の長径を測定し、その長径の平均を算出するという方法で測定した値である。
【0036】
上述の共重合体は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及び、メタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種をモノマー単位として含む共重合体(アクリル系共重合体)である。
【0037】
上述の共重合体は、例えば、該共重合体のエマルション粒子を含むエマルションの形態で入手可能である。
【0038】
液体化粧料中の共重合体の含有量(固形分としての含有量)は、2質量%以上30質量%以下であってもよい。
【0039】
共重合体の含有量が2重量%以上であれば、該共重合体の立体構造により光輝性顔料同士の疎水性相互作用による密着及び凝集を抑制する効果が得られやすい。また、共重合体の含有量が2重量%以上であれば、液体化粧料の粘度が低くなり過ぎず、例えば後述する塗布具を用いたときに液体化粧料が過剰に吐出されることが抑制される。共重合体の含有量が30重量%以下であれば、液体化粧料の粘度が高くなり過ぎず、例えば後述する塗布具を用いたときに液体化粧料が適切に吐出されやすい。
【0040】
上述の共重合体は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及び、メタクリル酸エステルから選ばれる2種以上をモノマー単位として含む共重合体であってもよい。
【0041】
あるいは、上述の共重合体は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及び、メタクリル酸エステルから選ばれる前記少なくとも1種、及び、スチレンをモノマー単位として含むスチレン-アクリル系共重合体であってもよい。
【0042】
この場合、液体化粧料がスチレン-アクリル系共重合体を含むので、スチレン基を含む共重合体の立体構造により、光輝性顔料同士の疎水性相互作用による密着及び凝集をより効果的に抑制することができる。このため、光輝性顔料の沈降抑制及び再分散がより良好となる。また、上述の共重合体のアルキル基、カルボキシ基又はカルボニル基に加え、スチレン基の電荷によって、粘土鉱物粒子が形成するカードハウス構造がより効果的に補強される。このため、光輝性顔料の沈降がより効果的に抑制されるとともに、光輝性顔料の再分散がより良好となる。
【0043】
上述の共重合体として使用可能な市販品の例として、DAITOSOL 5000STY(大東化成工業株式会社製)、ヨドゾールGH41F(ヌーリオン・ジャパン株式会社製)等の(スチレン/アクリレーツ)コポリマー、DAITOSO 5000SJ、DAITOSO 4000SJT、DAITOSOL 5500GM、DAITOSOL 5000PO(以上、大東化成工業株式会社製)等の(アクリレーツ/アクリル酸アルキル)コポリマー、及び、DAITOSOL 5000AD、DAITOSOL 3000SLPN-PE1、DAITOSOL 3000VP3(以上、大東化成工業株式会社製)、ヨドゾールGH34F、ヨドゾールGH800F、ヨドゾールGH800PE、ヨドゾールGH810F、ヨドゾールGH256F、DERMACRYL AQF(以上、ヌーリオン・ジャパン株式会社製)等のアクリレーツコポリマー等が挙げられる。
【0044】
上述のヘキシレングリコール(別名2-メチルペンタン-2,4-ジオール)は、炭素数6のジオールである。
【0045】
ヘキシレングリコールは、炭素数6に対して水酸基の数が2つであるので、炭素数に対する水酸基の数が大き過ぎない。このため、液体化粧料の乾燥性が良好となる。一方、ヘキシレングリコールの炭素数は6であり、炭素鎖が長すぎない。このため、水への溶解性が良好であり、液体化粧料において相分離を起こしにくい。また、ヘキシレングリコールは側鎖(メチル基)を有する立体的な構造を有する。このため、この立体的な構造に光輝性顔料を取り込むことができるため、光輝性顔料の沈降を抑制することができる。また、ヘキシレングリコールは、構造の中央付近(2番目及び4番目の炭素)に水酸基を有する。このため、同一の炭素数の他のジオール(1,2-ヘキサンジオール等)に比べて水素結合による水の保有しやすさが小さく、このため、液体化粧料に優れた乾燥性を付与することができる。
【0046】
液体化粧料中のヘキシレングリコールの含有量は、1.0質量%以上4.0質量%以下であってもよい。
【0047】
液体化粧料中のヘキシレングリコールの含有量が1.0質量%以上であれば、上述したヘキシレングリコールによる光輝性顔料の沈降抑制及び再分散の良好な効果が得られるとともに、液体化粧料の乾燥性を良好なものとすることができる。また、液体化粧料中のヘキシレングリコールの含有量が4.0質量%以下であれば、液体化粧料の粘度が大き過ぎないため、液体化粧料の塗膜厚さを薄くすることができる。よって、塗膜の速乾性が向上しやすくなるとともに、液体化粧料の描線の光輝感が損なわれ難くなりやすい。よって、液体化粧料中のヘキシレングリコールの含有量が1.0質量%以上4.0質量%以下とすることで、光輝性顔料の沈降抑制及び再分散に優れるとともに、描線の光輝感が損なわれ難い液体化粧料が得られやすくなる。
【0048】
上述の液体化粧料に含まれる水は、液体化粧料の主成分であり主溶剤である。該水として、イオン交換水や精製水、純水、超純水を用いてもよい。
【0049】
幾つかの実施形態では、液体化粧料は、多糖類をさらに含有してもよい。液体化粧料が多糖類を含有することで、液体化粧料の中に形成される多糖類の網目構造に光輝性顔料を捕捉することができる。よって、液体化粧料にせん断が作用することで粘土鉱物粒子のカードハウス構造が崩れて液体化粧料の粘度が低下した場合であっても、光輝性顔料の沈降を抑制することができる。
【0050】
液体化粧料中の多糖類の含有量は、0.05質量%以上0.30質量%以下であってもよい。
【0051】
液体化粧料中の多糖類の含有量が0.05質量%以上であれば、液体化粧料において、せん断に強い多糖類の網目構造に光輝性顔料が捕捉されやすい。よって、せん断が作用することで粘土鉱物粒子のカードハウス構造が崩れて液体化粧料の粘度が低下した場合であっても、光輝性顔料の沈降を抑制することができる。また、液体化粧料中の多糖類の含有量が0.30質量%以下であれば、液体化粧料の粘度が大きくなり過ぎず、液体化粧料の塗膜厚さを薄くしやすくなる。これにより、塗膜の速乾性が向上しやすくなるとともに、液体化粧料の描線の光輝感が損なわれ難くなる。よって、液体化粧料が0.05質量%以上0.30質量%以下の多糖類を含有することで、光輝性顔料の沈降抑制及び再分散に優れるとともに、描線の光輝感が損なわれ難い液体化粧料が得られやすくなる。
【0052】
多糖類の具体例として、微生物由来のキサンタンガム、サクシノグリカン、ウエランガムやアルカシーラン、アルカシーガム、ゼータシーガム、ジェランガム、植物由来のグァーガム、サイリウムシードガム、タマリンドシードガム、トラガントガム、ガラクトマンナン、海藻由来のカラギナン、植物樹脂由来のガティガム、カラヤガム等が挙げられる。
【0053】
キサンタンガムはキサントモナスの培養液から分離精製されるグルコース、マンノース、グルクロン酸を含む多糖類である。キサンタンガムの具体例を挙げると、ケルザン、同S、同T、同ST、同ASX、同ASXT、同AR、同HP、同G、ケトロールCG、同CG-T、同CG-SFT(以上、三晶株式会社製)、サンエース、同S、同C、同C-S、同B-S、同NF、同G、同E-S、同NXG-S、同NXG-C、ビストップD-3000-DF、同D-3000-DF-C(以上、三栄源エフ・エス・アイ株式会社製)、等がある。
【0054】
幾つかの実施形態では、液体化粧料は、該液体化粧料を着色するための顔料をさらに含有してもよい。
【0055】
上述の顔料として、通常の化粧料に配合される公知の顔料を特に制限なく用いることができる。顔料の例としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、シリカ、炭化珪素等の無機粉体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N-アシルリジン、ナイロン等の有機粉体類、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、黒酸化鉄、赤色酸化鉄、ベンガラ(黒色酸化鉄と赤色酸化鉄の混合物)、黄酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青、ベンガラ等の有色無機顔料、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料が挙げられる。
【0056】
液体化粧料中の顔料の含有量は、3重量%以上30重量%以下であってもよく、あるいは、5重量%以上20重量%以下であってもよい。顔料の含有量が3重量%以上又は5重量%以上であれば、液体化粧料の色がある程度濃いので、化粧料としての機能が良好である。また、顔料の含有量が30重量%以下又は20重量%以下であれば、液体化粧料中における顔料の分散性が良好となり、液体化粧料の色ムラを抑制しやすい。
【0057】
幾つかの実施形態に係る液体化粧料は、上述した各成分に加えて、他の成分(防腐剤やpH調整剤等)を含んでいてもよい。
【0058】
防腐剤は、防腐、防腐増強、保存、抗菌、防カビ、酸化防止の機能を有するものを指す。防腐剤としては、フェノキシエタノール、ペンチレングリコール、エタノール、パラオキシ安息香酸エステル、1,2-ペンタジオール、プリルグリコール、ヘキシレングリコール、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、エチルヘキシルグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール及び1,2-ヘプタンジオール、メチルパラベンおよびその塩、エチルパラベンおよびその塩、ブチルパラベンおよびその塩、プロピルパラベンおよびその塩、イソブチルパラベンおよびその塩、イソプロピルパラベン、ベンジルパラベン、イソプロピルメチルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン液、トリクロロカルバニリド、石炭酸、ヘキサクロロフェン、安息香酸およびその塩、ウンデシレン酸、サリチル酸、ソルビン酸およびその塩、感光素101号、感光素201号、感光素401号、ヒノキチオール、ベンジルアルコール、ピロクトンオラミン、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル、メチルジブロモグルタロニトリル、DMDMヒダントイン、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ジイソブチルエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウム、N-ラウリルサルコシン酸ナトリウム、N-パルメチルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン、N-ミリストイルグリシン、カリウム-N-ラウリルサルコシン、塩化トリメチルアンモニウム、アルミニウムクロロヒドロキシ乳酸ナトリウム、クエン酸トリエチル、塩化トリセチルメチルアンモニウム、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3,4,4’-トリクロロカルバニリド(トリクロカルバン)、ジアミノアルキルアミド、L-リシンヘキサデシルアミド、クエン酸重金属塩、サリチル酸塩、ピロクトース(piroctose)、亜鉛塩、ピリチオンおよびその重金属塩、亜鉛ピリチオン、亜鉛フェノール硫酸、ファルネソール、ケトコナゾール、オキシコナゾール、ビホナゾール、ブトコナゾール、クロコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、エニルコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、ミコナゾール、スルコナゾール、チオコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、テルコナゾール、ナフチフィン、テルビナフィン、セレンジスルフィド、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、塩化銀、ジアゾリジニル尿素、イミダゾリジニル尿素、ウンデシレン酸、クロルフェネシン、プロピオン酸及びその塩、サリチル酸、サリチル酸マグネシウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸チタン、クロロキシレノール、ジエチルヘキシルスルホスクシネートのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、(RS)-1-(4-クロロフェノキシ)-1-イミダゾール-1-イル-3,3-ジメチルブタン-2-オン(クリンバゾール)、ベンジルアルコール、フェノキシイソプロパノール、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、ポリアミノプロピルビグアニド、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、ベンザルコニウムクロリド(塩化ベンザルコニウム)、塩化ベンゼトニウム、ペンタンジオール、1,2-オクタンジオール、ソルビン酸、安息香酸、乳酸、イミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素、ジメチロールジメチルヒダントイン(DMDMH)、クロルヘキシジン、ヒドロキシメチルグリシネートのナトリウム塩、ソルビン酸のヒドロキシエチルグリシン、N-オレイルヒドロキシヘキサナミド、フェニルフェノール及びその塩類、o-フェニルフェノール及びその塩、p-クロロ-m-クレゾール、p-クロロフェノール、イミダゾリジニルウレア、ウスニン酸銅、オリゴペプチド-10、オリゴペプチド-76、ギ酸、ギ酸ナトリウム、クエン酸銀、クオタニウム-14、クオタニウム-15、グリオキサール、グレープフルーツエキス、グレープフルーツ果実エキス、グレープフルーツ種子エキス、クレゾール、クロラミンT、クロルキシレノール、クロルクレゾール、クロロブタノール、ケケイ酸(アンモニウム/銀/亜鉛/Al)、グリセリン、ゲットウ花/葉/種子/茎エキス、ゲットウ葉/茎発酵物、ゴバイシエキス、コリアンダー葉エキス、ザクロ果皮エキス、サンタルムパニクラツム木水、ジイセチオン酸ヘキサミジン、1,2-エタンジオール、シトロネル酸ナトリウム、シベリアカラマツ木エキス、トコフェノール、トリモニウムブロミド、タチジャコウソウ葉油、チアントール、ティーツリーオイル、バクハン石、ビスラウリル硫酸チアミン、ヒドロキシメチルグリシンNa、フェネチルアルコール、フェノール、フェノールスルホン酸Na、フェルラ酸、フェルラ酸エチル、ベンゼトニウムクロリド、ホウケイ酸銀、ボエセンベルギアパンズラタ根茎エキス、マセリグナン、ムクロジエキス、メチルプロパンジオール、ムラヤコエンジー葉油、ローズマリーエキス、ユキヤナギ葉エキス、ヨウ化ジメチルアミノスチリルヘプチルメチルチアゾリウム、ヨウ化ビスエチルキノリニウムエチルキノリニデンペンタジエン、ラウリルジアミノエチルグリシンNa、ラウロイルアルギニンエチルHCl、安息香酸アンモニウム、安息香酸イソブチル、安息香酸エチル、安息香酸パントテニルエチル、安息香酸フェニル、安息香酸メチル、臭化ドミフェン、カプリル酸グリセリル(グリセリン脂肪酸エステル)、ビサボロール、アニス酸、カプリル酸ソルビタン、カプリリルグリコール、カプリン酸グリセリル、オクタンジオール、アリジモルフ、トリデモルフ、ドデモルフ、ジメトモルフ;フルシラゾール、アザコナゾール、シプロコナゾール、エポキシコナゾール、フルコナゾール、プロピコナゾール、テブコナゾールなど;イマザリル、チオファネート、ベノミル、カルベンダジム、クロロチアロニル、ジクロラン、トリフロキシストロビン、フロキシストロビン、ジモキシストロビン、アゾキシストロビン、フルカラニル、プロクロラズ、フルスルファミド、ファモキサドン、カプタン、マンネブ、マンコゼブ、ドジシン、ドジンおよびメタラキシル、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、カロチノイド、β-カロチン、リコピン、カンタキサンチン、ユビキノン、ペンタエリトリチル テトラ(ジブチル-ヒドロキシ-ケイ皮酸)、ビタミンE、トロロクス、ビタミンCおよびその誘導体、α-トコフェロール、δ-トコフェロール、アスコルビン、イチョウエキス、アスパラサスリネアリスエキス、イソステアリルアスコルビルリン酸2Na、ウーロン茶エキス、オトギリソウエキス、コーヒーエキス、コーヒー種子エキス、セイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキス、セイヨウノコギリソウエキス、セリシン、タチジャコウソウ花/葉/茎エキス、タイムエキス、チャエキス、チャ葉エキス、チョウジエキス、テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビル、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、トウキンセンカエキス、パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na、ヘマトコッカスプルビアリスエキス、ヘマトコッカスプルビアリス油、メマツヨイグサ種子エキス、メマツヨイグサ抽出液、メリッサエキス、メリッサ葉エキス、リン酸L-アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルMg等が挙げられ、中でも1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、ペンチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、フェノキシエタノール、エタノール、カプリン酸グリセリル、エチルヘキシルグリセリン、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、メチルパラベンおよびその塩、エチルパラベンおよびその塩、ブチルパラベンおよびその塩、プロピルパラベンおよびその塩、イソブチルパラベンおよびその塩、イソプロピルパラベン、ベンジルパラベンが長期保存性に優れることが分かっており、好ましい。これらの防腐剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用しても良い。
【0059】
これらの防腐剤の液体化粧料中の含有量は、化粧料全量に対して、1.0重量%以上27.0重量%以下であってもよく、あるいは、3.0重量%以上22.0重量%以下であってもよく、あるいは、6.0重量%以上17.0重量%以下であってもよい。この防腐剤の含有量が0.1重量%以上、3.0重量%以上、又は、6.0重量%以上であると防腐性能が十分に発揮されるようになる。27.0重量%以下、22.0重量%以下、あるいは、17.0重量%以下であれば皮膚刺激性を許容できる。
【0060】
pH調整剤としては、トリエタノールアミン、エタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、アスコルビン酸、グリコール酸、クエン酸及びその塩、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、塩酸、p-アニス酸、アニス酸、アスパラギン酸及びその塩、トリイソプロパノールアミン、アジピン酸、アゼライン酸、アニス酸及びその塩、アミノエチルプロパンジオール、アルギニン、L-アルギニン、アンモニア、イソプロパノールアミン、ギ酸、グリオキシル酸、グリコール酸及びその塩、グルクロン酸、グリシン亜鉛、グルタル酸、クレイミネラルズ、クロロ酸、ケイ酸ナトリウム、ケトグルタル酸、コハク酸及びその塩、ジオレイルリン酸、システイン塩酸、ジメチルMEA、シュウ酸、スルホコハク酸3ナトリウム、スルホン化(スチレン/DVB)クロスポリマー、セスキ炭酸ナトリウム、セバシン酸、トリペプチド-51、トロメタミン、バクハン石、ビスヒドロキシエチルトロメタミン、ピロリン酸2ナトリウム、ピロリン酸4カリウム、ピロリン酸4ナトリウム、フマル酸、フマル酸ナトリウム、プロピオン酸、ベンジル酸、ホウ酸ナトリウム、マルトビオン酸、マレイン酸、マロン酸、メチルグルカミン、メトキシPEG-114/ポリε-カプロラクトン、モルホリン、ラクトビオン酸、リンゴ酸、リン酸、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸2カリウム、リン酸2ナトリウム、リン酸3ナトリウム、三リン酸5ナトリウム、乳酸、合成DNAアプタマー-1、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性炭酸亜鉛、安息香酸、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸グアニジン、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸、硝酸水素ナトリウム、酒石酸、酒石酸2ナトリウム、酒石酸カリウム、酢酸、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム等が挙げられ、中でもクエン酸、クエン酸ナトリウム、アルギニン、L-アルギニン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、リン酸、リン酸カルシウム、トリエタノールアミンなどは長期的にpHが変化しにくいことが分かっており、好ましい。これらのpH調整剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用しても良い。
【0061】
これらのpH調整剤の液体化粧料中の含有量は、化粧料全量に対して、0.01重量%以上3.5重量%以下であってもよく、あるいは、0.015重量%以上2.5重量%以下であってもよく、あるいは、0.02重量%以上1.8重量%以下であってもよい。さらに、pH調整剤によって調整される液体化粧料のpHは6以上9以下が好ましい。所望の範囲だと、人肌に近いpHとなるため、肌に塗布した後もpH変化が少なく、良好な皮膜を形成できる。
【0062】
(液体化粧料の製造方法)
幾つかの実施形態に係る液体化粧料は、従来知られている種々の方法で製造することができる。
【0063】
幾つかの実施形態に係る液体化粧料は、例えば、以下の手順で製造することができる。まず、水の一部に粘土鉱物粒子を加え、プロペラ、ホモジナイザー、ホモディスパー等の撹拌機を用いて処理を行い、粘土鉱物分散液を作製する。続いて、残りの水に、粘土鉱物分散液、ヘキシレングリコール、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及び、メタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種をモノマー単位として含む共重合体、光輝性顔料を加えて、プロペラ、ホモジナイザー、ホモディスパー等の撹拌機を用いて処理を行う。このようにして液体化粧料が得られる。また、これらの調製工程において、発生した攪拌・分散熱、ヒーターを利用して液体化粧料に熱を加えて攪拌・分散することや、冷却して撹拌・分散することができる。脱泡機による泡の除去やろ過機による粗大物のろ過等を必要に応じて行っても良い。これらの種々の混合工程、攪拌・分散工程、ろ過工程、加熱工程又は冷却工程は、それぞれ単独で行ってもよく、あるいは、2種以上の工程を並行して行ってもよい。
【0064】
(塗布具の構成)
【0065】
本発明の液体化粧料は、塗布具に充填して好適に使用できる。塗布具は、アイライナー、アイブロウなどの化粧料用の塗布具でも良い。なお、本発明の液体化粧料の適用先は、塗布具だけに限定されるのもではない。
塗布具は、液体化粧料収容室内にて繊維収束体などのインキ吸蔵体を使用せずに直接的にインキを収容する縦断面櫛歯状の一時的インキ溜め部材を備えた方式でも、操作または内圧の変化に応じて自動的に開閉する弁機構を備える方式でも良い。
使用する液体化粧料が、酸化チタンや大径の板形状の光輝性顔料を使用するものの場合には、液体化粧料収容室内に収容するインキを使い切るように、中綿と呼ばれる繊維収束体などに液体化粧料を吸蔵させずに直接的に収容するものとすることが好ましく、また、塗布先へのインキの供給機構も、繊維収束体や縦断面櫛歯状の一時的インキ溜め部材などの細孔を通過するようなものよりも、比較的大きなインキ通路を確保できる弁機構を使用したものや、ペン先に形成した弁でインキの吐出を制御するボールペンや先端弁機構を備えるものが好ましい。更に、所望に応じて幅広の塗布跡を自在に形成できる毛筆タイプの塗布先とすることでインキの光輝性を発揮した幅広の塗布跡を形成できる。
【0066】
図1に塗布具の構造の一例を示す。一実施形態に係る塗布具は、塗布部と、上述した液体化粧料を収容する液体収容部と、を備え、液体収容部からの液体化粧料が塗布部に供給されるように構成される。
図1に示す塗布具は、塗布先(塗布部)として筆穂のような比較的柔らかいものを使用し、塗布先と液体化粧料収容室との接続部分に弁機構を配置して、後端ノック操作によって弁機構を開閉させ塗布先への液体化粧料の供給を制御する、所謂後端ノック式弁機構の筆ペンタイプの塗布具である。
【0067】
図1に示す塗布具は、軸筒1の先端に塗布先2(塗布部)を備え、後端に押し込み式の操作部3を備え、軸筒1の先端部分に塗布先2を保護するキャップ4が嵌着可能となっている。キャップ4は装着された状態で塗布具が転がってしまうことを防止する転がり防止リブを側壁に備えることもできる。
軸筒1は、塗布先2を備える前軸1aと操作部3が接続される後軸1bとを有している。
【0068】
前軸1aは、ペン先先端側の前部分をペン先の径に合わせた小径とし、後ろ側を後軸1bとの接続部分とした大径としてあり、小径部分の内壁にペン先の支えとなる縦リブ5を周状に均等配置している。塗布先2は、少なくともノック状態において、前軸1aの先端部に形成された先端開口6を貫通するようになっており、塗布先2の少なくとも一部が、先端開口6よりも前方に位置するようになっている。縦リブ5により、塗布先2の周囲において、固化物(液体化粧料に含まれる粒子の凝集物等)を崩したり、液体化粧料に含まれる気泡を潰し、気泡が先端開口6よりも先端側に吐出するのを防止したりすることができる。また、前軸1a内の後部大径部分には、インキの流通制御をなす弁機構の弁座部材7が配置されており、弁座部材7の中心位置に、インキ通路となる中心孔7aを備えその周縁部分を、後述する弁杆と周状当接可能な弁座部としている。また、弁座部材7は後端に、弁杆8を後方付勢して非操作時には弁座に常時密接させるコイルスプリング9を固定している。
【0069】
後軸1bは後端部分に後孔部10を有しており、操作部3が配置されている。後孔部10からは、操作部3の押し込み操作を弁杆8に伝達する連結棒11が突出し、ゴム弾性を有する材質からなり軟性のヒンジ部12aを有するパッキン部材12にて液密に封されている。操作部3を軸筒内部方向に押し込むと、パッキン部材12の後端に当接し、パッキン部材12は押し込み力を受けてヒンジ部12aが変形して押し込み力を連結棒11に伝え、連結棒11が前進するに伴い弁杆8がコイルスプリング9の弾発力に抗して前進し弁機構が解放されて液体化粧料が流通可能となる。コイルスプリング9は連結棒11と弁杆8との接続段部となる連結棒11の先端面に当接して連結棒11と弁杆8とを後方に付勢しており、押圧操作が解除されると、連結棒11と弁杆8とを後方に移動させて弁機構を閉鎖する。
【0070】
弁杆8の前端部分には塗布先接続管13が取り付けられており、塗布先接続管13の前端には筆穂状の塗布先2が接続されている。よって、操作部3の押し込み操作に連動して塗布先2も前方に移動し、押し込み操作を解除するとコイルスプリング9の弾発力にて塗布先2も後方に移動する。このようにすることによって、塗布先2の周囲の空間に存在する液体化粧料に操作のたびに外力を加え、乾燥固化することを抑制することができ、また、液体化粧料を吐出させる支援もなすものである。このような機構は、固形分の比較的多い液を使用する場合に特に有効である。
【0071】
後軸1bの内部は主に液体化粧料収容室(液体収容部)となるものであるが、内部材として液体化粧料を攪拌するための突起を有する板状のステンレス製の撹拌体14が、後軸1bの内部に配置されている。塗布具を振ることで、後軸1bの内部を攪拌体14が移動し、後軸1bの内部に収容される液体化粧料を攪拌することができる。攪拌体の材質は、ステンレス製に限らず、ポリプロピレンや、タルクを入れたポリプロピレンなどの樹脂製を用いることもできる。攪拌体の形状は、突起を有する板状に限らず、棒状や筒状の形状でもよい。また、後軸を透明または半透明な素材を使うことにより、内蔵する液体化粧料の色を視認しやすくするため、少なくとも一部分の隙間を狭くして液体化粧料の色や残量を視認しやすくすることもできる。また、撹拌体14の色を黒色や白色、乳白色などとすることによって、液体化粧料の色を更に視認させやすくすることもできる。
【0072】
後軸1bを押圧して液体化粧料を吐出させようとする場合に、後軸1bを低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂やポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、各種エラストマー等の可撓性材料とすることができる。
【実施例0073】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0074】
(液体化粧料の作製)
下記表1~2に示す組成を有する実施例1~10及び比較例1~7の液体化粧料を作製した。表1~2に示す各液体化粧料の材料としては、具体的には下記のものを使用した。表1,2中における各成分の含有量の数値は、液体化粧料中の質量に対する比率(質量%)を示す。
【0075】
<光輝性顔料>
光輝性顔料A…アルミニウム顔料(商品名:Cosmicolor Metallics Frost Silver、東洋アルミニウム株式会社製、平均粒子径:20μm)
光輝性顔料B…パール顔料(商品名:FANTASPEARL 0015SR、日本光研工業株式会社製、平均粒子径:9μm)
光輝性顔料C…ガラスフレーク顔料(商品名:DK PEARL-GFIF GREEN、大東化成工業株式会社製、平均粒子径:100μm)
光輝性顔料D…ガラスフレーク顔料(商品名:メタシャイン RC MT1200RS、日本板硝子株式会社製、平均粒子径:200μm)
【0076】
<着色用顔料>
カーボンブラック(商品名:DK Black
NO.2、大東化成工業株式会社製)
ベンガラ(商品名:SunCROMA C33-128、DIC株式会社製)
【0077】
<粘土鉱物粒子>
粘土鉱物粒子E…ベントナイト(商品名:クニピア-F、クニミネ工業株式会社製、平均粒子径:0.300~0.500μm、厚さ:約1nm)
粘土鉱物粒子F…合成スメクタイト(商品名:スメクトン-SA、クニミネ工業株式会社製、平均粒子径:0.080~0.100μm、厚さ:約4nm)
【0078】
<共重合体>
共重合体G…(スチレン/アクリレーツ)コポリマー(エマルション、固形分濃度:50%の水分散体、商品名:DAITOSOL 5000STY、大東化成工業株式会社製)
共重合体H…(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)コポリマー(エマルション、固形分濃度:50%の水分散体、商品名:DAITOSOL 5000SJ、大東化成工業株式会社製)
共重合体I…アクリレーツコポリマー(エマルション、固形分濃度:50%の水分散体、商品名:DAITOSOL 5000AD、大東化成工業株式会社製)
なお、表1,2中における共重合体の含有量(質量%)は、液体化粧料中の固形分としての含有量である。
【0079】
<溶剤>
PVP(ポリビニルピロリドン)(商品名:Luvimer
100P、BASFジャパン株式会社製)
ヘキシレングリコール(商品名:HEXYLENEGLYCOL、アルケマ株式会社製)
1,3-ブチレングリコール(商品名:ハイシュガーケインBG、高級アルコール工業株式会社製)
1,2-ヘキサンジオール(商品名:OPTIPHEN HD、アシュランド・ジャパン株式会社製)
【0080】
<多糖類>
キサンタンガム(商品名:KELTROL CG-T、三晶株式会社製)
【0081】
各実施例及び比較例の液体化粧料は、以下の手順で作製した。まず、水の一部に粘土鉱物粒子を加え、撹拌機を用いて処理を行い、粘土鉱物分散液を作製した。続いて、残りの水に、粘土鉱物分散液、ヘキシレングリコール、共重合体及び光輝性顔料を加えて、撹拌機を用いて撹拌した。このようにして各実施例及び比較例の液体化粧料を得た。
【0082】
得られた液体化粧料の粘度の計測結果を表1,2に示す。なお、各液体化粧料の粘度は、レオメーター MCR302(株式会社アントンパール・ジャパン製)によりフローカーブを測定して求めた。治具はφ50mmのコーンプレート、せん断速度76.6(1/s)、温度25℃のときのせん断粘度を読み取り計測した。
【0083】
(評価方法)
各実施例及び比較例の液体化粧料について、沈降状態、再分散性、乾燥性、光輝感についての評価を行った。各評価項目についての評価方法及び評価基準は以下のとおりである。また、評価結果を表1,2に示す。
【0084】
<沈降状態>
各液体化粧料の試料をガラス管に入れて、40℃の環境下で1ヶ月放置した後、光輝性顔料の沈降状態を目視で確認し、下記評価基準で評価した。
[評価基準]
A:液の全体部に光輝性粉体が目視確認できる。
B:液の中間部まで光輝性粉体が目視確認できる。
C:液の下部に光輝性粉体が目視確認できる。
D:液の底部にしか光輝性粉体が目視確認できない。
【0085】
<再分散性>
各液体化粧料の試料をガラス管に入れて、40℃の環境下で1ヶ月放置した後、3秒間(再分散1)、10秒間(再分散2)、手で振り、再分散性を目視で確認した。
[評価基準]
A:振るとすぐに底部に光輝性粉体の塊が全て解れ、全体に光輝性粉体が目視確認できる。
B:10秒間振れば、底部の光輝性粉体の塊は全て解れ、全体に光輝性粉体が目視確認できる。
C:底部の光輝性粉体の塊が若干解れるが、完全には塊が無くならない。
D:底部の光輝性粉体の塊が全く解れず、振る前と変化なし。
【0086】
<乾燥性>
図1に示す塗布具に充填された各液体化粧料を、該塗布具を用いて、手の甲に、幅2mm、長さ4cmの線を3本塗布した後、触っても光輝性顔料が指に付かなくなるまでの時間を確認し、下記評価基準で乾燥性を評価した。
[評価基準]
A:30秒以内
B:31秒~60秒
C:61秒~90秒
D:91秒以上
【0087】
<光輝感>
図1に示す塗布具に充填された各液体化粧料を、該塗布具を用いて、手の甲に、幅2mm、長さ4cmの線を3本塗布した際の光輝感を目視で確認し、下記評価基準で光輝感を評価した。
[評価基準]
A:光輝感が非常に高い。
B:光輝感が高い。
C:光輝感が低い。
D:光輝感がほとんどない。
【0088】
【0089】
【0090】
(評価結果)
実施例1~10の液体化粧料では、沈降状態、再分散1、再分散2、乾燥性及び光輝感の全ての評価項目で、評価結果がA又はBである。
これに対し、粘土鉱物粒子、上述の共重合体(アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及び、メタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種をモノマー単位として含む共重合体)、又はヘキシレングリコールの少なくとも何れかを含有しない比較例1~7の液体化粧料では、沈降状態、再分散1、再分散2の評価結果がC又はDである。また、ヘキシレングリコールを含まない比較例1,2,6,7の液体化粧料では、乾燥性及び光輝感の評価結果がC又はDである。
このことから、本発明の実施形態に係る液体化粧料では、光輝性顔料の沈降抑制及び再分散性に優れるとともに、乾燥性に優れ描線の光輝感が損なわれ難い液体化粧料が得られることが分かった。
【0091】
また、スチレン-アクリル系共重合体(即ち、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及び、メタクリル酸エステルから選ばれる前記少なくとも1種、及び、スチレンをモノマー単位として含む共重合体)を含有する実施例1,2と、スチレンを含まないアクリル系共重合体(即ち、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及び、メタクリル酸エステルから選ばれる2種以上をモノマー単位として含む共重合体)を含む実施例3とを比べると、実施例1,2の液体化粧料の方が、沈降状態及び再分散1において良好な結果が得られている。
このことから、スチレン-アクリル系共重合体により、光輝性顔料の沈降を効果的に抑制でき、あるいは、光輝性顔料の再分散性がより良好になることがわかる。
【0092】
また、ヘキシレングリコールの含有量が1.0質量%以上4.0質量%以下の範囲内である実施例1,2と、ヘキシレングリコールの含有量が当該範囲外である実施例7,8とを比較すると、実施例1,2の液体化粧料の方が、沈降状態及び再分散1において良好な結果が得られている。
このことから、液体化粧料中のヘキシレングリコールの含有量を1.0質量%以上4.0質量%以下の範囲内とすることで、光輝性顔料の沈降を効果的に抑制でき、あるいは、光輝性顔料の再分散性がより良好になることがわかる。
【0093】
また、多糖類(キサンタンガム)の含有量が0.05質量%以上0.30質量%以下の範囲内である実施例1,2と、多糖類(キサンタンガム)の含有量が当該範囲外である実施例4~6とを比較すると、実施例1,2の液体化粧料の方が、沈降状態及び再分散1において良好な結果が得られている。
このことから、液体化粧料中の多糖類の含有量を0.05質量%以上0.30質量%以下の範囲内とすることで、光輝性顔料の沈降を効果的に抑制でき、あるいは、光輝性顔料の再分散性がより良好になることがわかる。
【0094】
また、光輝性顔料の平均粒子径rPが10μm以上150μm以下であり、かつ、粘土鉱物粒子の平均粒子径rCが0.250μm以上0.550μm以下である実施例1,2と、光輝性顔料の平均粒子径rPが当該範囲外である実施例9,10とを比較すると、実施例1,2の液体化粧料の方が、沈降状態及び再分散1において良好な結果が得られている。
このことから、液体化粧料中の光輝性顔料の平均粒子径rPを10μm以上150μm以下とし、かつ、粘土鉱物粒子の平均粒子径rCが0.250μm以上0.550μm以下とすることで、光輝性顔料の沈降を効果的に抑制でき、あるいは、光輝性顔料の再分散性がより良好になることがわかる。
【0095】
以上のように、本発明の実施例に係る液体化粧料によれば、光輝性顔料の沈降抑制及び再分散性に優れるとともに、描線の光輝感が損なわれ難い液体化粧料が得られることがわかる。
【0096】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0097】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る液体化粧料は、
光輝性顔料と、
粘土鉱物粒子と、
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及び、メタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種をモノマー単位として含む共重合体と、
ヘキシレングリコールと、
水と、
を含有する。
【0098】
上記(1)の構成では、液体化粧料が粘土鉱物粒子を含むので、液体化粧料の中で、粘土鉱物粒子の立体的なカードハウス構造が形成され、このカードハウス構造の中に光輝性顔料が取り込まれる。このため、光輝性顔料の沈降が抑制されるとともに、光輝性顔料同士の疎水性相互作用による密着及び凝集が抑制されるため液体化粧料における光輝性顔料の再分散性が良好となる。
また、上記(1)の構成では、液体化粧料が、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及び、メタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種をモノマー単位として含む共重合体(即ち、アクリル系共重合体;以下、単に共重合体ともいう。)を含むので、該共重合体の立体構造により、光輝性顔料同士の疎水性相互作用による密着及び凝集を効果的に抑制することができる。このため、光輝性顔料の沈降抑制及び再分散性がより良好となる。
また、上記(1)の構成では、液体化粧料が上述の共重合体及びヘキシレングリコールを含むので、共重合体のカルボキシ基やカルボニル基とヘキシレングリコールのヒドロキシ基との間の水素結合により立体的な構造体が形成される。このため、この立体的な構造体により、光輝性顔料同士の疎水性相互作用による密着及び凝集を効果的に抑制することができる。このため、光輝性顔料の沈降抑制及び再分散性がより良好となる。
また、上記(1)の構成では、液体化粧料が上述の共重合体を含むので、該共重合体のアルキル基、カルボキシ基又はカルボニル基等の電荷によって、粘土鉱物粒子が形成するカードハウス構造が補強される。すなわち、粘土鉱物粒子のカードハウス構造が崩れようとしても、上述の共重合体の官能基の電荷と、粘土鉱物粒子の表面の電荷が相互作用することにより、粘土鉱物粒子のカードハウス構造が維持されやすい。このため、光輝性顔料の沈降が効果的に抑制されるとともに、光輝性顔料の再分散性がより良好となる。
また、上記(1)の構成では、液体化粧料がヘキシレングリコールを含むので、液体化粧料に優れた乾燥性を付与することができる。このため、液体化粧料の塗布により形成される描線を短時間で乾燥させることができ、乾燥中における顔料剥がれを抑制することができる。このため、液体化粧料の描線の光輝感が損なわれ難くなる。
また、上記(1)の構成では、液体化粧料がヘキシレングリコールを含むので、上述したように、ヘキシレングリコールが液体化粧料中における光輝性顔料の沈降抑制に寄与する。このため、光輝性顔料の沈降抑制の目的で使用される多糖類等の増粘剤の含有量を低減することができ、その分、液体化粧料の粘度を低減することができる。よって、液体化粧料の塗膜厚さを薄くすることができ、これにより、塗膜の速乾性が向上するとともに、液体化粧料の描線の光輝感が損なわれ難くなる。
以上より、上記(1)の構成によれば、光輝性顔料の沈降抑制及び再分散性に優れるとともに、描線の光輝感が損なわれ難い液体化粧料を得ることができる。
【0099】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記共重合体は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、及び、メタクリル酸エステルから選ばれる前記少なくとも1種、及び、スチレンをモノマー単位として含む。
【0100】
上記(2)の構成では、上述の共重合体(アクリル系共重合体)は、スチレンをモノマー単位として含むスチレン-アクリル系共重合体である。よって、スチレン基を含む共重合体の立体構造により、光輝性顔料同士の疎水性相互作用による密着及び凝集をより効果的に抑制することができる。このため、光輝性顔料の沈降抑制及び再分散性がより良好となる。また、上述の共重合体のアルキル基、カルボキシ基又はカルボニル基に加え、スチレン基の電荷によって、粘土鉱物粒子が形成するカードハウス構造がより効果的に補強される。このため、光輝性顔料の沈降がより効果的に抑制されるとともに、光輝性顔料の再分散性がより良好となる。よって、上記(2)の構成によれば、光輝性顔料の沈降抑制及び再分散性をより良好なものとすることができる。
【0101】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
前記液体化粧料は、
多糖類をさらに含有し、
前記液体化粧料中の前記多糖類の含有量が0.05質量%以上0.30質量%以下である。
【0102】
上記(3)の構成では、液体化粧料中の多糖類の含有量が0.05質量%以上であるので、液体化粧料において、せん断に強い多糖類の網目構造に光輝性顔料が捕捉されやすい。よって、せん断が作用することで粘土鉱物粒子のカードハウス構造が崩れて液体化粧料の粘度が低下した場合であっても、光輝性顔料の沈降を抑制することができる。また、上記(3)の構成では、液体化粧料中の多糖類の含有量が0.30質量%以下であるので、液体化粧料の塗膜厚さを薄くしやすくなる。これにより、塗膜の速乾性が向上しやすくなるとともに、液体化粧料の描線の光輝感が損なわれ難くなる。よって、上記(3)の構成によれば、光輝性顔料の沈降抑制及び再分散性に優れるとともに、描線の光輝感が損なわれ難い液体化粧料が得られやすくなる。
【0103】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、
前記液体化粧料中のヘキシレングリコールの含有量が1.0質量%以上4.0質量%以下である。
【0104】
上記(4)の構成では、液体化粧料中のヘキシレングリコールの含有量が1.0質量%以上であるので、上述したヘキシレングリコールによる光輝性顔料の沈降抑制及び再分散性の良好な効果が得られるとともに、液体化粧料の乾燥性を良好なものとすることができる。また、上記(4)の構成では、液体化粧料中のヘキシレングリコールの含有量が4.0質量%以下であるので、液体化粧料の粘度が大き過ぎないため、液体化粧料の塗膜厚さを薄くすることができる。よって、塗膜の速乾性が向上しやすくなるとともに、液体化粧料の描線の光輝感が損なわれ難くなりやすい。よって、上記(4)の構成によれば、光輝性顔料の沈降抑制及び再分散性に優れるとともに、描線の光輝感が損なわれ難い液体化粧料が得られやすくなる。
【0105】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、
前記光輝性顔料の平均粒子径rPに対する前記粘土鉱物粒子の平均粒子径rCの比rC/rPが、0.0016以上0.055以下である。
【0106】
上記(5)の構成によれば、光輝性顔料の平均粒子径rPに対する粘土鉱物粒子の平均粒子径rCの比rC/rPが0.0016以上であるので、粘土鉱物粒子のサイズが光輝性顔料に対してある程度大きい。このため、光輝性顔料が粘土鉱物粒子のカードハウス構造を避けて沈降し難い。また、上記(5)の構成によれば、光輝性顔料の平均粒子径rPに対する粘土鉱物粒子の平均粒子径rCの比rC/rPが0.055以下であるので、光輝性顔料の粒子あたりの重量が粘土鉱物粒子に対して大き過ぎない。このため、光輝性顔料の粒子が粘土鉱物粒子のカードハウス構造の立体構造の中に取り込まれやすい。よって、液体化粧料中における光輝性顔料の沈降が抑制されやすく、また、光輝性顔料の再分散性が良好となりやすい。よって、上記(6)の構成によれば、光輝性顔料の沈降抑制及び再分散性に優れるとともに、描線の光輝感が損なわれ難い液体化粧料が得られやすい。
【0107】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの構成において、
前記光輝性顔料の平均粒子径rPが10μm以上150μm以下であり、
前記粘土鉱物粒子の平均粒子径rCが0.250μm以上0.550μm以下である。
【0108】
上記(6)の構成では、光輝性顔料の平均粒子径rPが10μm以上であり、かつ、粘土鉱物粒子の平均粒子径rCが0.250μm以上0.550μm以下であるので、光輝性顔料のサイズが粘土鉱物粒子に対してある程度大きい。このため、光輝性顔料が粘土鉱物粒子のカードハウス構造や上述の共重合体及びヘキシレングリコールの立体構造を避けて沈降し難く、また、光輝性顔料による光輝感が得られやすい。また、上記(6)の構成では、光輝性顔料の平均粒子径rPが150μm以下であるので、光輝性顔料の粒子あたりの重量が大き過ぎない。このため、光輝性顔料の粒子が粘土鉱物粒子のカードハウス構造や上述の共重合体及びヘキシレングリコールの立体構造の中に取り込まれやすい。よって、液体化粧料中における光輝性顔料の沈降が抑制されやすく、また、光輝性顔料の再分散性が良好となりやすい。よって、上記(6)の構成によれば、光輝性顔料の沈降抑制及び再分散性に優れるとともに、描線の光輝感が損なわれ難い液体化粧料が得られやすい。
【0109】
(7)本発明の少なくとも一実施形態に係る塗布具は、
塗布部と、
上記(1)乃至(6)の何れか一項に記載の液体化粧料を収容する液体収容部と、を備え、
前記液体収容部からの前記液体化粧料が前記塗布部に供給されるように構成される。
【0110】
上記(7)の構成では、塗布具は、上記(1)乃至(6)の何れか一項に記載の液体化粧料が供給される塗布部を有する。よって、上記(7)の構成によれば、光輝性顔料の沈降抑制及び再分散性に優れるとともに、描線の光輝感が損なわれ難い液体化粧料を吐出可能な塗布具が得られる。
【0111】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0112】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。