(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003435
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】プラスチック容器、及び、プラスチック容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 1/40 20060101AFI20240105BHJP
B65D 1/34 20060101ALI20240105BHJP
B65D 1/00 20060101ALI20240105BHJP
B29C 51/30 20060101ALI20240105BHJP
B29C 51/10 20060101ALI20240105BHJP
B29C 51/14 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
B65D1/40
B65D1/34
B65D1/00 120
B29C51/30
B29C51/10
B29C51/14
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102569
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】502038989
【氏名又は名称】ベスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】原 信治
(72)【発明者】
【氏名】砂田 緑
(72)【発明者】
【氏名】高茂 功
【テーマコード(参考)】
3E033
4F202
4F208
【Fターム(参考)】
3E033AA10
3E033BA15
3E033BA16
3E033BB08
3E033CA20
3E033DA08
3E033DD04
3E033EA06
3E033FA04
3E033GA03
4F202AF01
4F202AG05
4F202AH56
4F202AH58
4F202CA09
4F202CA17
4F202CA19
4F202CB01
4F208AC03
4F208AF01
4F208AG03
4F208AG07
4F208AG20
4F208AG24
4F208AG26
4F208AH58
4F208AR12
4F208MA01
4F208MA02
4F208MB01
4F208MB29
4F208MC01
4F208MC03
4F208MG05
4F208MH06
4F208MW01
4F208MW26
(57)【要約】
【課題】金型当たり面の反対側の面を良好な剥離性を有する面とすることや、金型当たり面の反対側の面に精細な形状を賦形したりすることが可能な構造のプラスチック容器を提供する。
【解決手段】プラスチック容器100は、非発泡シート80を用いた圧空成形又は真空成形により製造されたプラスチック容器であり、成形時に金型に接触した面である金型当たり面に対する反対側の面に、凹凸形状20が形成されており、凹凸形状20は、プラスチック容器100の肉厚よりも曲率半径が小さい角部を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非発泡シートを用いた圧空成形又は真空成形により製造されたプラスチック容器であって、
成形時に金型に接触した面である金型当たり面に対する反対側の面に、凹凸形状が形成されており、
前記凹凸形状は、当該プラスチック容器の肉厚よりも曲率半径が小さい角部を有するプラスチック容器。
【請求項2】
当該プラスチック容器の内面に、前記凹凸形状が形成されている請求項1に記載のプラスチック容器。
【請求項3】
当該プラスチック容器の底面の内面に、前記凹凸形状が形成されている請求項2に記載のプラスチック容器。
【請求項4】
当該プラスチック容器は、内容物を収容する本体部と、前記本体部の上端開口から周囲に張り出しているフランジ部と、を有し、
前記フランジ部の上面に、前記凹凸形状が形成されている請求項1に記載のプラスチック容器。
【請求項5】
前記金型当たり面は、前記凹凸形状を有していない請求項1から4の何れか一項に記載のプラスチック容器。
【請求項6】
前記凹凸形状は、複数の微小突起を含み、前記微小突起の頂部の曲率半径が、前記肉厚よりも小さい請求項1から4の何れか一項に記載のプラスチック容器。
【請求項7】
前記凹凸形状は、リブを含み、前記リブの頂部の曲率半径が、前記肉厚よりも小さい請求項1から4の何れか一項に記載のプラスチック容器。
【請求項8】
前記凹凸形状は、刻印を含み、前記刻印と当該刻印の縁部との境界の角部の曲率半径が、前記肉厚よりも小さい請求項1から4の何れか一項に記載のプラスチック容器。
【請求項9】
前記非発泡シートは、中間層としてバリア層を有する3層以上の積層構造のものであり、
前記バリア層は、前記非発泡シートの肉厚方向における中間点よりも、前記金型当たり面側にオフセットして配置されている請求項1から4の何れか一項に記載のプラスチック容器。
【請求項10】
前記非発泡シートは、複数層を有する積層構造のものであり、
前記複数層のうち、前記反対側の面を構成する層のメルトフローレートが、他の層のメルトフローレートよりも大きい請求項1から4の何れか一項に記載のプラスチック容器。
【請求項11】
圧空成形又は真空成形によりプラスチック容器を製造する方法であって、
非発泡シートを金型に吸着させて、前記非発泡シートを前記金型に沿う形状に成形する工程と、
前記非発泡シートにおいて前記金型に接触する面である金型当たり面に対する反対側の面に凹凸形状形成用金型をプレスして前記反対側の面に凹凸形状を転写する工程と、
を備え、
前記転写する工程では、前記反対側の面に、前記プラスチック容器の肉厚よりも曲率半径が小さい角部を有する凹凸形状を形成するプラスチック容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック容器、及び、プラスチック容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧空成形又は真空成形により製造されたプラスチック容器は、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1に記載されたような一般的な真空成形品や圧空成形品では、金型当たり面の反対側の面の凹凸形状の鋭利さには限界がある(後述するように、「角部の曲率半径」=「プラスチック容器の肉厚」が限界となる)。このため、例えば、金型当たり面の反対側の面を、良好な剥離性を有する面とすることが困難であったり、金型当たり面の反対側の面に精細な形状を賦形したりすることが困難であるという課題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、金型当たり面の反対側の面を良好な剥離性を有する面とすることや、金型当たり面の反対側の面に精細な形状を賦形したりすることが可能な構造のプラスチック容器、及び、プラスチック容器の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、非発泡シートを用いた圧空成形又は真空成形により製造されたプラスチック容器であって、
成形時に金型に接触した面である金型当たり面に対する反対側の面に、凹凸形状が形成されており、
凹凸形状は、当該プラスチック容器の肉厚よりも曲率半径が小さい角部を有するプラスチック容器が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、圧空成形又は真空成形によりプラスチック容器を製造する方法であって、
非発泡シートを金型に吸着させて、前記非発泡シートを前記金型に沿う形状に成形する工程と、
前記非発泡シートにおいて前記金型に接触する面である金型当たり面に対する反対側の面に凹凸形状形成用金型をプレスして前記反対側の面に凹凸形状を転写する工程と、
を備え、
前記転写する工程では、前記反対側の面に、前記プラスチック容器の肉厚よりも曲率半径が小さい角部を有する凹凸形状を形成するプラスチック容器の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、金型当たり面に対する反対側の面に形成された凹凸形状は、プラスチック容器の肉厚よりも曲率半径が小さい角部を有する。これにより、金型当たり面の反対側の面が良好な剥離性を有する構造のプラスチック容器や、金型当たり面の反対側の面に精細な形状が賦形された構造のプラスチック容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(a)は第1実施形態に係るプラスチック容器の平面図であり、
図1(b)は
図1(a)の部分拡大図である。
【
図2】
図2(a)は
図1(a)のA-A線に沿った断面図であり、
図2(b)は
図2(a)に示すA部の部分拡大図である。
【
図3】
図1(b)のB-B線に沿った断面図である。
【
図4】
図4(a)、
図4(b)及び
図4(c)は第1実施形態に係るプラスチック容器の製造方法を説明するための模式図である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は第1実施形態における非発泡シートの断面図であり、このうち
図5(a)は凹凸形状を転写する工程が行われる前の状態を示し、
図5(b)は凹凸形状を転写する工程が行われた後の状態を示す。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は第1実施形態に係るプラスチック容器の凹凸形状を実際に測定した結果を示すプロファイルデータである。
【
図7】第1実施形態に係るプラスチック容器の製造方法によって得られた凹凸形状の断面の写真を示す図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は第1実施形態の変形例1における非発泡シートの断面図であり、このうち
図8(a)は凹凸形状を転写する工程が行われる前の状態を示し、
図8(b)は凹凸形状を転写する工程が行われた後の状態を示す。
【
図9】
図9(a)は第1実施形態の変形例2に係るプラスチック容器の平面図であり、
図9(b)は
図9(a)の部分拡大図である。
【
図11】
図11(a)は第2実施形態に係るプラスチック容器の平面図であり、
図11(b)は
図11(a)の部分拡大図である。
【
図13】
図13(a)は第2実施形態の変形例における凹凸形状及びその周辺構造の部分拡大図であり、
図13(b)は
図13(a)に示すA-A線に沿った断面図であり、
図13(c)は
図13(a)に示すB-B線に沿った断面図である。
【
図14】第3実施形態に係るプラスチック容器の平面図である。
【
図15】
図15(a)は第3実施形態に係る凹凸形状及びその周辺構造の部分拡大図であり、
図15(b)は
図15(a)に示すA-A線に沿った断面図である。
【
図16】
図16(a)は第4実施形態に係るプラスチック容器の平面図であり、
図16(b)は
図16(a)の部分拡大図である。
【
図18】
図18(a)及び
図18(b)は圧空成形品の金型当たり面に対する反対側の面の凹凸形状の角部の曲率半径の限界を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、
図1(a)から
図18(b)を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0011】
〔第1実施形態〕
先ず、
図1(a)から
図7を用いて第1実施形態を説明する。
【0012】
図4(a)から
図4(c)に示すように、本実施形態に係るプラスチック容器100は、非発泡シート80を用いた圧空成形又は真空成形により製造されたプラスチック容器である。
プラスチック容器100において、成形時に金型に接触した面である金型当たり面(本実施形態の場合、非発泡シート80の一方の面80a)に対する反対側の面(本実施形態の場合、非発泡シート80の他方の面80b)に、凹凸形状20が形成されている(
図1(a)から
図3参照)。
図3に示すように、凹凸形状20は、プラスチック容器100の肉厚よりも曲率半径が小さい角部(本実施形態の場合、後述する頂部35)を有する。
【0013】
本実施形態によれば、金型当たり面に対する反対側の面に形成された凹凸形状20は、プラスチック容器100の肉厚よりも曲率半径が小さい角部(本実施形態の場合、頂部35)を有する。このため、金型当たり面の反対側の面が良好な剥離性を有する構造のプラスチック容器や、当該反対側の面に精細な形状が賦形された構造のプラスチック容器を提供することができる。しかも、このような凹凸形状20を、金型当たり面側の形状に依存せずに形成することができる。
【0014】
以下、プラスチック容器100について、より詳細に説明する。
なお、以下では、プラスチック容器100の各構成要素の位置関係などを説明するに際し、
図2(a)における上側を、上側又は上方などと称し、その反対側を下側又は下方などと称する。しかし、これらの方向の規定は便宜的なものであり、プラスチック容器100の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
【0015】
プラスチック容器100は、非発泡シート80を用いた圧空成形又は真空成形によりその全体が一体成形されている。圧空成形又は真空成形としては、特に限定されないが、例えば、圧空開放成形、圧空真空成形及び真空圧空成形などが挙げられる。
本実施形態の場合、
図4(a)~
図4(c)に示すように、非発泡シート80の一方の面80aが、金型当たり面ひいてはプラスチック容器100の外面100aを構成しており、非発泡シート80の他方の面80bが、金型当たり面に対する反対側の面ひいてはプラスチック容器100の内面100bを構成している(
図4(a)~
図4(b)参照)。
図1(a)及び
図2(a)に示すように、本実施形態の場合、プラスチック容器100の概略形状は、扁平な(上下の深さ寸法が浅い)箱型形状となっている。プラスチック容器100の平面形状は、略矩形状(角丸の矩形状)となっている。より詳細には、プラスチック容器100の平面形状は、略長方形状となっている。
【0016】
図1(a)及び
図2(a)に示すように、本実施形態の場合、プラスチック容器100は、内容物を収容する本体部10と、本体部10の上端開口13から周囲に張り出しているフランジ部12と、を有する。
本実施形態の場合、プラスチック容器100の外面100aは、本体部10の外面とフランジ部12の下面とを含み、当該プラスチック容器100の内面100bは、本体部10の内面とフランジ部12の上面とを含む。
【0017】
本体部10は、上端が開口している胴体部11と、胴体部11の下端を閉塞している底面部14と、を備える。
胴体部11の平面形状は、略長方形状(角丸の長方形状)となっている。
図2(a)に示すように、胴体部11において、上端部16の下側の部分(以下、胴体本体部11a)は、上方に向けて平面寸法が僅かに拡大するように2段階に傾斜している。胴体部11における胴体本体部11aの上縁と上端部16の下縁との間には段差部17が形成されている。段差部17は、胴体本体部11aの上縁から径方向外方に向けてフランジ状に張り出している矩形環状の部分であり、段差部17の外周縁は、上端部16の下縁に連接されている。換言すれば、段差部17は、上端部16の下縁から径方向内側に向けて内フランジ状に張り出している。
【0018】
なお、胴体部11の側周壁のうち、略長方形状の胴体部11の長辺にあたる部位の中央部は、当該長辺に当たる部位の両端部よりも、プラスチック容器100の内側にオフセットされている。このため、略長方形状の胴体部11の長辺にあたる部位の中央部と両端部との間には、それぞれ段差部が形成されている。
【0019】
底面部14の形状は、特に限定されないが、本実施形態の場合、
図1(a)に示すように、底面部14の中央部14aの高さ位置が、底面部14の周縁部14bの高さ位置よりも高くなっている。底面部14の中央部14aと底面部14の周縁部14bとの間には、径方向外側に向けて階段状に下方に変位するように、複数の段差部14c(
図2(b)参照)が形成されている。
中央部14aの平面形状は、例えば、略長方形状となっており、その長手方向は、略長方形状のプラスチック容器100の長辺に対して平行な方向となっている。ただし、本発明において、中央部14aの平面形状は、楕円形状ないしは長円形状であってもよい。
段差部14cの平面形状は、中央部14aの外形線に沿った矩形環状に形成されている。
【0020】
図2(a)に示すように、フランジ部12は、例えば、平坦且つ略水平に配置されている。ただし、フランジ部12の外周縁部は、径方向外側に向けて階段状に下方に変位している。
【0021】
本実施形態の場合、プラスチック容器100は、以上のような概略形状に形成されている。
ただし、本発明において、プラスチック容器100の概略形状は、上記の例に限らず、例えば、有底の円筒形状(カップ形状)などであってもよい。
【0022】
プラスチック容器100の内容物は、特に限定されないが、一例として、食品とすることができる。なお、プラスチック容器100の内容物は、特に限定されず、液体(流動体を含む)であってもよいし、固形物であってもよい。
プラスチック容器100は、例えば、内容物の充填後、図示しないフィルム状の蓋部がフランジ部12に設けられた状態で流通する。蓋部は、例えば、ヒートシールによってフランジ部12の上面に対して接合される。
【0023】
本実施形態の場合、プラスチック容器100の内面100bに、凹凸形状20が形成されている。そして、上述のように、凹凸形状20は、プラスチック容器100の肉厚よりも曲率半径が小さい角部(本実施形態の場合、頂部35)を有する。
これにより、金型当たり面である外面100aの形状には依存せずに、内面100bにおいて、良好な剥離性を有する構造や精細な構造を実現することができる。
【0024】
より詳細には、
図1(a)及び
図2(a)に示すように、例えば、当該プラスチック容器100の底面の内面(底面部14の内面)に、凹凸形状20が形成されている。
これにより、底面の内面100bにおいて、良好な剥離性を有する構造や精細な構造を形成したりすることができる。
【0025】
一方、金型当たり面(本実施形態の場合、外面100a)は、例えば、凹凸形状20(
図3に示すような凹凸形状)を有していない。
これにより、例えば、プラスチック容器100の外面100aをより平坦な形状とすることができるので、当該外面100aに対してラベルなどを良好に貼付することができる。
なお、ここでいう「金型当たり面が凹凸形状20を有していない」とは、金型当たり面における、少なくとも凹凸形状20の形成領域と対応する部位において、凹凸形状20と略同一形状の凹凸形状を有していないことを意味しており、好ましくは当該部位は平坦となっている。
【0026】
図1(a)から
図3に示すように、本実施形態の場合、凹凸形状20は、複数の微小突起30を含む。そして、微小突起30の頂部35の曲率半径が、プラスチック容器100の肉厚よりも小さい。
このような構成によれば、プラスチック容器100の内容物と、当該プラスチック容器100の内面100bと、の接触面積を小さくできる。よって、例えば、内容物が餅などの粘着性の高いものであっても、当該内容物をプラスチック容器100の内面100bからより容易に剥離することが可能となる。また、例えば、複数の微小突起30を滑り止めとして用いることもできる。
更には、微小突起30の頂部35をより鋭利に形成することができるので、例えば、内面100bにおける複数の微小突起30の形成領域を、おろし金として用いることができる。
【0027】
ここで、本発明において、プラスチック容器100の肉厚とは、凹凸形状20の形成領域における最大肉厚T(
図3参照)である。そして、凹凸形状20の角部の曲率半径は、凹凸形状20の形成領域の肉厚の平均値よりも小さいことが好ましい。なお、ここでいう凹凸形状20の形成領域とは、すべての凹凸形状20を包含する最小領域を意味している。
また、本発明において、「凹凸形状20の角部の曲率半径」は、中心角度が90度の円弧状のテンプレート29(
図3参照)を用いて測定される。より詳細には、テンプレート29をその曲率半径が大きいものから順に微小突起30の上方から嵌めていった場合に、当該微小突起30の頂部35に対してフィットするテンプレート29のうち、最も曲率半径が小さいテンプレート29の曲率半径を、凹凸形状20の角部の曲率半径とする。なお、ここでフィットするとは、少なくともテンプレート29の両端が凹凸形状20の角部の外形線に接触することを意味している。
このような凹凸形状20の角部の曲率半径の測定は、例えば、凹凸形状20のプロファイルデータ(
図6(a)及び
図6(b)参照)や凹凸形状20の断面の写真(
図7参照)などの角部にテンプレート29をPC(Personal Computer)の画面上で嵌めて行うことができる。
【0028】
図1(a)に示すように、複数の微小突起30は、底面部14の中央部14aの内面の略全面において、略均等に形成されている。一方、底面部14の中央部14aの外面には、複数の微小突起30は形成されておらず、略平坦となっている。
複数の微小突起30の各々は、例えば、上方に向けて凸の四角錐形状(ピラミッド形状)に形成されている。微小突起30の頂部は、この四角錐形状の頂部によって構成されている。微小突起30の頂部35は、丸みを帯びた形状となっている。
図1(b)に示すように、平面視において、複数の微小突起30の各々は、正方格子状に配置されている。より詳細には、複数の微小突起30の各々は、プラスチック容器100の長手方向及び短手方向の双方において、互いに並んで配置されている。各微小突起30の底部が有する4辺のうち、2辺はプラスチック容器100の長手方向に沿って配置されており、残りの2辺は当該プラスチック容器100の短手方向に沿って配置されている。本実施形態の場合、隣り合う微小突起30の間には僅かに間隙が形成されているが、本発明において、当該間隙は形成されておらず各微小突起30は連続して形成されていてもよい。
また、
図3に示すように、隣り合う複数の微小突起30によって複数の谷部37が形成されている。谷部37の曲率半径は、例えば、微小突起30の頂部35の曲率半径よりも小さい。なお、
図1(b)では、より曲率半径が小さい谷部37の方は便宜的に実線で図示しており、より曲率半径が大きい頂部35の方は、実線を使った表現を省略している。
図3に示すように、微小突起30が有する互いに対向する2辺に沿った方向、且つ、当該微小突起30の頂点を通る線(例えば
図1(b)に示すB―B線)に沿って切断した断面において、複数の微小突起30の集合体の形状は、例えば、三角波状となっている。より詳細には、この断面において、中央部14aの内面側は三角波状となっている一方で、中央部14aの外面側は水平方向に延在する略直線状になっている。
ただし、本発明において、微小突起30が有する互いに対向する2辺に沿った方向、且つ、当該微小突起30の頂点を通る線に沿って切断した断面における複数の微小突起30の集合体の形状は、この例に限らず、略矩形波状や弧状などであってもよい。
【0029】
本実施形態の場合、プラスチック容器100の最大肉厚Tは、特に限定されないが、例えば、0.1mm以上2.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5mm以上1mm以下である。本実施形態の場合、一例として、プラスチック容器100の最大肉厚Tは、0.6mm以上0.8mm以下である。
【0030】
本実施形態の場合、複数の微小突起30の頂部35の曲率半径は、プラスチック容器100の肉厚(最大肉厚T)よりも小さい。なお、ここでいう曲率半径は、微小突起30が有する互いに対向する2辺に沿った方向、且つ、当該微小突起30の頂点を通る線に沿って切断した断面における曲率半径の平均値である。
より詳細には、微小突起30の頂部35の曲率半径は、0.01mm以上0.5mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05mm以上0.4mm以下であることが好ましい。一例として、本実施形態の場合、微小突起30の頂部35の曲率半径は、0.2mm以上0.3mm以下となっている。
微小突起30の突出高さH1(
図3)は、0.1mm以上0.7mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.2mm以上0.6mm以下であることが好ましい。一例として、微小突起30の突出高さH1は、0.4mm以上0.6mm以下である。
微小突起30の円相当径R1(
図3)は、0.1mm以上4.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5mm以上2.0mm以下であることが好ましい。本実施形態の場合、一例として、微小突起30の円相当径R1は、1.0mm以上1.3mm以下である。
ここで、複数の微小突起30の上記各寸法は、互いに等しくてもよいし、互いに相違していてもよい。
また、隣り合う微小突起30の頂点どうしの離間距離L1(
図3)は、0.2mm以上8.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.2mm以上4.0mm以下であることが好ましい。本実施形態の場合、一例として、微小突起30の頂点どうしの離間距離L1は、1.0mm以上1.2mm以下である。
また、隣り合う微小突起30の間の間隙の幅寸法W1(
図3)は、0.01mm以上1.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05mm以上0.5mm以下であることが好ましい。本実施形態の場合、一例として、隣り合う微小突起30の間の間隙の幅寸法W1は、0.09mm以上0.11mm以下である。
なお、本発明において、微小突起30の対角線に沿った方向、且つ、当該微小突起30の頂点を通る線(例えば
図1(b)に示すC-C線)に沿った断面(図示省略)においても、複数の微小突起30の頂部35の曲率半径は、プラスチック容器100の肉厚(最大肉厚T)よりも小さいことが好ましい。
【0031】
以下、
図4(a)から
図4(b)を用いて、プラスチック容器100の製造方法(以下、本方法と称する場合がある)の一例を説明する。なお、以下では、一例として圧空成形によってプラスチック容器100を製造する。
本方法は、非発泡シート80を金型200に吸着させて、非発泡シート80を金型200に沿う形状に成形する工程と、非発泡シート80において金型200に接触する面である金型当たり面(一方の面80a)に対する反対側の面(他方の面80b)に凹凸形状形成用金型300をプレスして反対側の面に凹凸形状20を転写する工程と、を備えている。
なお、
図4(a)から
図4(c)においては、非発泡シート80(プラスチック容器100)を上下反転した姿勢で図示している。また、
図4(a)から
図4(c)では、非発泡シート80、金型200及び凹凸形状形成用金型300を、非発泡シート80の長手方向に沿った断面で示している。また、
図4(b)及び
図4(c)においては、凹凸形状形成用金型300を模式的に示しており、凹凸形状形成用金型300が有する凹凸を実際の寸法比率よりも大きい寸法比率で図示している。
【0032】
より詳細には、先ず、非発泡シート80を不図示のヒーターで加熱し、可塑化させる。そして、
図4(a)に示すように、一方の面80aが金型200側、他方の面80bが金型200側とは反対側に位置するように、可塑化した非発泡シート80を配置する。本実施形態、金型200は雌型である。また、金型200には、不図示の真空孔が形成されている。
そして、非発泡シート80を、真空孔を介して真空吸引しつつ圧縮空気で金型200側に加圧する。これにより、非発泡シート80を金型200に吸着させて、当該非発泡シート80を金型200に沿う形状に成形することができる。より詳細には、非発泡シート80の金型当たり面(一方の面80a)が金型200の凹凸に沿って湾曲し、その反対側の面(他方の面80b)も、金型当たり面と略同一形状に湾曲するとともに、非発泡シート80の肉厚を当該反対側の面側にオフセットした形状に賦形される。
これにより、非発泡シート80は、
図1(a)及び
図2(a)に示すような箱型形状に成形される。そして、非発泡シート80の一方の面80aは、プラスチック容器100の外面100aとなり、他方の面80bは、当該プラスチック容器100の内面100bとなる。
【0033】
次に、
図4(b)に示すように、非発泡シート80が固化する前に(可塑化している状態で)、非発泡シート80において金型200に接触する面である金型当たり面に対する反対側の面(他方の面80b)に凹凸形状形成用金型300をプレスする。これにより、凹凸形状形成用金型300が有する凹凸の間に非発泡シート80の樹脂が入り込み、反対側の面(他方の面80b)すなわちプラスチック容器100の内面100bに凹凸形状20を転写することができる。転写された凹凸形状20は、プラスチック容器100の肉厚よりも曲率半径が小さい角部を有する。そして、反対側の面(内面100b)に凹凸形状20が転写されたら、凹凸形状形成用金型300を当該反対側の面から離間させ、非発泡シート80を冷却する。非発泡シート80が十分に冷却され固化したら、当該非発泡シート80を金型200から離型する。
このようにして、プラスチック容器100が得られる。
【0034】
なお、圧空成形又は真空成形により製造されたプラスチック容器では、金型200の形状が転写された湾曲形状90(例えば
図2(b)参照)の形成領域において、金型当たり面が有する角部の曲率半形は、反対側の面が有する角部の曲率半形よりも小さくなる。なお、
図2(b)等では、金型当たり面が有する角部の曲率半形と反対側の面が有する角部の曲率半形との区別はしておらず、それぞれ模式的に示している。
また、上述のように非発泡シート80の金型当たり面(一方の面80a)を金型200側に配置した状態で真空孔を介した真空吸引を行うため、当該金型当たり面には真空孔の痕が形成される。
このため、湾曲形状90の形成領域における各面の角部の曲率半径の大小関係や真空孔の跡の有無に基づいて、プラスチック容器100の金型当たり面とその反対側の面との判別を行うことができる。
【0035】
このように、本方法は、非発泡シート80を金型200に吸着させて、非発泡シート80を金型200に沿う形状に成形する工程と、非発泡シート80において金型200に接触する面である金型当たり面に対する反対側の面に凹凸形状形成用金型300をプレスして反対側の面に凹凸形状20を転写する工程と、を備えている。
そして、転写する工程では、反対側の面に、プラスチック容器100の肉厚よりも曲率半径が小さい角部を有する凹凸形状20を形成する。
【0036】
ここで、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、本実施形態の場合、非発泡シート80は、複数層を有する積層構造のものである。
より詳細には、非発泡シート80は、例えば、中間層としてバリア層81を有する3層以上の積層構造のものである。
図5(a)及び
図5(b)に示すように、本実施形態の場合、非発泡シート80は、バリア層81に加えて、表面層86と、第1の基材層82と、第2の基材層83と、第3の基材層87と、を備えている。更に、非発泡シート80は、バリア層81の一方の面を第1の基材層82に対して接着する第1接着層84と、バリア層81の他方の面を第2の基材層83に対して接着する第2接着層85と、を備えている。
非発泡シート80において、表面層86、第1の基材層82、第1接着層84、バリア層81、第2接着層85、第2の基材層83、第3の基材層87の順で上から積層されている。そして、表面層86の第1の基材層82側とは反対側の面が、非発泡シート80の他方の面80b(金型当たり面とは反対側の面)を構成しており、第3の基材層87の第2の基材層83側とは反対側の面が、非発泡シート80の一方の面80a(金型当たり面)を構成している。
本実施形態の場合、第1の基材層82の厚み寸法と第2の基材層83の厚み寸法とは、互いに略同等の寸法に設定されており、バリア層81は、非発泡シート80の厚み方向における中間部に配置されている。
【0037】
ここで、本実施形態の場合、非発泡シート80の複数層のうち、金型当たり面に対する反対側の面を構成する層(本実施形態の場合、表面層86)のメルトフローレート(MFR)が、他の層のメルトフローレートよりも大きい。
このような構成によれば、非発泡シート80の成形容易性を維持しつつ、非発泡シート80の反対側の面(他方の面80b)に凹凸形状形成用金型300をプレスする際には、より鋭利且つ微細な凹凸形状20を転写することが可能となる。
より詳細には、例えば、非発泡シート80の複数層のうち、反対側の面を構成する層(表面層86)のメルトフローレート(MFR)が、他の層(例えば、第1の基材層82、第2の基材層83及び第3の基材層87)のメルトフローレートの1.1倍以上10倍以下であることが好ましく、より好ましくは2倍以上4倍以下である。
ただし、本発明において、金型当たり面に対する反対側の面を構成する層のメルトフローレート(MFR)は、他の層のメルトフローレートと同等であってもよい。
【0038】
本実施形態の場合、表面層86は、特に限定されないが、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物によって構成されている。このポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、例えば、4g/10分以上10g/10分以下である。
第1の基材層82、第2の基材層83及び第3の基材層87の各々は、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合物を主成分とする樹脂組成物によって構成されている。このポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、例えば、0.3g/10分以上4.0g/10分以下である。
バリア層81は、特に限定されないが、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)などのエチレンビニルアルコール樹脂を含む酸素バリア層である。
第1接着層84及び第2接着層85の各々は、特に限定されないが、例えば、無水マレイン酸変性ポリプロピレンによって構成されている。
【0039】
ここで、本方法によって得られたプラスチック容器100の凹凸形状20(微小突起30)のプロファイルデータを、
図6(a)及び
図6(b)に示す。これらのプロファイルデータでは、3次元計測器を用いて、微小突起30の表面(金型当たり面に対する反対側の面)形状を0.007mm間隔で計測した。
図6(a)及び
図6(b)において、横軸は計測開始地点からの距離を示し、縦軸は当該距離に対応する微小突起30の突出高さの変化を示す。また、
図6(a)及び
図6(b)に示すプラスチック容器100の肉厚は、0.7mmである。
図6(a)に示す各微小突起30の頂部35の曲率半径の平均値は、0.23mm以上0.25mm以下である。また、各微小突起30の突出高さの平均値は、0.5mm以上0.52mm以下であり、隣り合う微小突起30の頂点どうしの離間距離の平均値は、1.07mm以上1.09mm以下である。
図6(b)に示す各微小突起30の頂部35の曲率半径の平均値は、0.2mm以上0.22mm以下である。また、各微小突起30の突出高さの平均値は、0.4mm以上0.49mm以下であり、隣り合う微小突起30の頂点どうしの離間距離の平均値は、0.8mm以上0.89mm以下である。
なお、ここでいう平均値とは、複数の微小突起30のうち、3次元計測器を用いて計測した範囲の微小突起30の各寸法の平均値である。
【0040】
更に、本方法によって得られたプラスチック容器100の凹凸形状20の断面の写真を
図7に示す。また、一般的な圧空成形又は真空成形によるプラスチック容器の製造方法における、金型当たり面に対する反対側の面の凹凸形状の角部の曲率半径の限界を説明するために製造された凹凸形状420の断面の写真を、
図18(a)及び
図18(b)に示す。
図18(a)及び
図18(b)に示すプラスチック容器400では、圧空成形又は真空成形によって当該プラスチック容器400を成形する際に、トムソン刃(不図示)の先端部を金型当たり面400aに押し当てることによって、当該金型当たり面400aの反対側の面400bに凹凸形状420(突起430)を成形した。より詳細には、金型当たり面400aはトムソン刃の先端部に沿って湾曲し、その反対側の面400bも、金型当たり面400aと略同一形状に湾曲するとともに、プラスチック容器400の肉厚を当該反対側の面400b側にオフセットした形状に賦形される。これにより、反対側の面400bには、当該反対側の面400b側に向けて凸の突起430が形成される一方で、金型当たり面400aにおける突起430と対応する部分には、反対側の面400b側に向けて窪んだ凹部436が形成される。凹部436の谷部437は、トムソン刃の先端部の形状が転写された形状となっている。
また、
図7に示すプラスチック容器100の肉厚と、
図18(a)及び
図18(b)に示すプラスチック容器400の肉厚と、は互いに同等の寸法であり、一例として、0.7mmである。
図7に示すプラスチック容器100の微小突起30の頂部35の曲率半径は、0.24mmである。微小突起30の突出高さは、0.4mmである。また、微小突起30の底部の一辺の長さは1.0mmであり、したがって当該微小突起30の円相当径は、1.13mmである。
また、プラスチック容器100の金型当たり面(外面100a)は、実質的に略平坦となっている。
一方、
図18(a)及び
図18(b)に示す凹凸形状420(突起430)の頂部435の曲率半径は、0.7mmである。より詳細には、一般的な圧空成形又は真空成形によるプラスチック容器の製造方法では、金型当たり面に対する反対側の面に凹凸形状を成形する場合、金型当たり面を金型の凹凸に沿って賦形する。これにより、金型当たり面に対する反対側の面側が、当該金型当たり面の凹凸を反映した形状、且つ、プラスチック容器の肉厚を当該反対側の面側にオフセットした形状に湾曲し、凹凸形状が成形される。このため、このような製造方法において、トムソン刃のような鋭利な器具を金型の凹凸の代わりに金型当たり面に押し当てたとしても、その反対側の面に形成される凹凸形状の角部の曲率半径は、プラスチック容器の肉厚と同等の大きさが限界となる。
【0041】
このように、本方法によれば、凹凸形状20は、プラスチック容器100の肉厚よりも曲率半径が小さい角部(本実施形態の場合、頂部35)を有するので、金型当たり面の反対側の面が良好な剥離性を有する構造のプラスチック容器や、金型当たり面の反対側の面に精細な形状が賦形された構造のプラスチック容器を提供することができる。しかも、このような凹凸形状20を、金型当たり面の形状に依存せずに形成することができる。
【0042】
<第1実施形態の変形例1>
次に、
図8(a)及び
図8(b)を用いて第1実施形態の変形例1を説明する。
本変形例に係るプラスチック容器100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係るプラスチック容器100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係るプラスチック容器100と同様に構成されている。
【0043】
本変形例の場合、バリア層81は、非発泡シート80の肉厚方向(
図8(a)及び
図8(b)における上下方向)における中間点よりも、金型当たり面(一方の面80a)側にオフセットして配置されている。
このようにすることにより、凹凸形状20を転写する際に、非発泡シート80の変形に伴うバリア層81の変形(押圧により潰された部分のバリア層81が局部的に薄くなってしまうことなど)を抑制できるので、バリア層81が全体的により均一な厚みとなっている。
【0044】
<第1実施形態の変形例2>
次に、
図9(a)から
図10(b)を用いて第1実施形態の変形例2を説明する。なお、
図9(a)及び
図10(a)では、図面が煩雑になることを避けるため、複数の微小突起30の数を減らすとともに、実際の寸法比率よりも大きい比率で図示している。
本変形例に係るプラスチック容器100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係るプラスチック容器100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係るプラスチック容器100と同様に構成されている。
【0045】
図9(a)から
図10(b)に示すように、本変形例の場合、複数の微小突起30の各々は、例えば、上方に向けて隆起した略円錐形状に形成されている。微小突起30の頂部35は、この円錐形状の頂部によって構成されている。微小突起30の頂部35は、丸みを帯びた形状となっている。
図9(a)及び
図9(b)に示すように、平面視において、複数の微小突起30の各々は、互いに隣接して配置されている。
図10(b)に示すように、隣接する複数の微小突起30の頂点どうしを繋ぐ線(例えば
図9(b)に示すB-B線)に沿って切断した断面において、複数の微小突起30の集合体の形状は、例えば、波線状となっている。より詳細には、この断面において、中央部14aの内面側は波線状となっている一方で、中央部14aの外面側は水平方向に延在する略直線状になっている。
【0046】
本変形例の場合も、複数の微小突起30の頂部35の曲率半径は、プラスチック容器100の肉厚(最大肉厚T)よりも小さい。なお、ここでいう曲率半径は、隣接する複数の微小突起30の頂点どうしを繋ぐ線に沿って切断した断面における曲率半径の平均値である。
本変形例の場合、複数の微小突起30の頂部35の曲率半径は、0.01mm以上0.5mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05mm以上0.4mm以下であることが好ましい。一例として、本実施形態の場合、複数の微小突起30の頂部35の曲率半径は、0.2mm以上0.4mm以下となっている。
微小突起30の突出高さH2(
図10(b))は、0.1mm以上0.7mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.2mm以上0.6mm以下であることが好ましい。一例として、微小突起30の突出高さH2は、0.3mm以上0.5mm以下である。
微小突起30の直径R2(
図10(b))は、0.1mm以上4.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5mm以上2.0mm以下であることが好ましい。
隣り合う微小突起30の頂点どうしの離間距離L2(
図10(b))は、0.2mm以上8.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.2mm以上4.0mm以下であることが好ましい。本変形例の場合、一例として、微小突起30の頂点どうしの離間距離L2は、0.9mm以上1.0mm以下である。
ここで、複数の微小突起30の上記各寸法は、互いに等しくてもよいし、互いに相違していてもよい。
なお、本発明において、少なくとも頂部35の曲率半径が最小になる方向に沿った断面における当該頂部35の曲率半径が、プラスチック容器100の肉厚よりも小さければよく、好ましくは頂部35の曲率半径が最大になる方向に沿った断面における当該頂部35の曲率半径も、プラスチック容器100の肉厚よりも小さい。
【0047】
〔第2実施形態〕
次に、
図11(a)から
図12(b)を用いて第2実施形態を説明する。なお、
図12(b)においては、テンプレート29の図示を省略している。
本実施形態に係るプラスチック容器100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係るプラスチック容器100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係るプラスチック容器100と同様に構成されている。
【0048】
本実施形態の場合、
図11(a)から
図12(b)に示すように、凹凸形状20は、リブ40を含み、リブ40の頂部45の曲率半径が、プラスチック容器100の肉厚よりも小さい。
このような構成によっても、プラスチック容器100の内容物と、プラスチック容器100の内面100bと、の接触面積を小さくできる。よって、例えば、内容物が餅などの粘着性の高いものであっても、当該内容物をプラスチック容器100の内面100bから容易に剥離することが可能となる。
【0049】
本実施形態の場合、リブ40は、底面部14の中央部14aの内面に形成されている。
図11(a)及び
図11(b)に示すように、リブ40は、例えば、複数の第1リブ41と、複数の第1リブ41の延在方向に対して直交する方向に延在している第2リブ42と、によって平面視格子状に形成されている。リブ40の頂部45は、例えば、複数の第1リブ41の各々の頂部と、複数の第2リブ42の各々の頂部と、によってそれぞれ構成されている。
複数の第1リブ41と、複数の第2リブ42とは、例えば、それぞれ上方に向けて凸の突条に形成されている。
複数の第1リブ41の各々は、例えば、
図11(a)における右上がりに傾斜する方向に延在しており、複数の第2リブ42の各々は、
図11(a)における左上がりに傾斜する方向に延在している。
複数の第1リブ41は、例えば、複数の第2リブ42の延在方向において、等間隔(等角度間隔)で配置されている。同様に、複数の第2リブ42は、例えば、複数の第1リブ41の延在方向において、等間隔(等角度間隔)で配置されている。
【0050】
複数の第1リブ41の延在方向に対して直交する断面(
図12(b)参照)において各第1リブ41の形状は、略三角形となっている。
ただし、本発明において、第1リブ41の延在方向に対して直交する断面における第1リブ41の形状は、略矩形状や半球形状であってもよい。
同様に、複数の第2リブ42の延在方向に対して直交する断面において各第2リブ42の形状は、略三角形となっている。なお、複数の第2リブ42の延在方向に対して直交する断面における、各第2リブ42の形状は第1リブ41と同様のため図示を省略している。
ただし、本発明において、第1リブ41の延在方向に対して直交する断面における第1リブ41の形状と、第2リブ42の延在方向に対して直交する断面における第2リブ42の形状と、は互いに異なる形状であってもよい。
【0051】
本実施形態の場合、第1リブ41の延在方向に対して直交する断面における複数の第1リブ41の各々の頂部の曲率半径と、第2リブ42の延在方向に対して直交する断面における複数の第2リブ42の各々の頂部の曲率半径とは、例えば、互いに略同等に設定されている。
本実施形態の場合、一例として、第1リブ41の頂部の曲率半径及び第2リブ42の頂部の曲率半径の各々は、0.01mm以上0.2mm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.05mm以上0.1mm以下である。
また、一例として、第1リブ41の突出高さH3(第2リブ42の突出高さ)は、0.05mm以上1.5mm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.1mm以上1.0mm以下である。
【0052】
なお、上記において、複数の第1リブ41と複数の第2リブ42とは、それぞれ上方に向けて凸の突条に形成されている例を説明したが、複数の第1リブ41と、複数の第2リブ42とは、それぞれ下方に向けて窪んだ溝状に形成されていてもよい。また、複数の第1リブ41と複数の第2リブ42とのうちいずれか一方が上方に向けて凸の突条に形成されており、いずれか他方が下方に向けて窪んだ溝状に形成されていてもよい。
【0053】
<第2実施形態の変形例>
次に、
図13(a)から
図13(c)を用いて第2実施形態の変形例を説明する。なお、
図13(b)においては、テンプレート29の図示を省略している。
本実施形態に係るプラスチック容器100は、以下に説明する点で、上記の第2実施形態に係るプラスチック容器100と相違しており、その他の点では、上記の第2実施形態に係るプラスチック容器100と同様に構成されている。
【0054】
本変形例の場合、プラスチック容器100の内面100bには、第2リブ42が形成されておらず、代わりにプラスチック容器100の外面100aに複数の第3リブ50が形成されている。そして、平面視において、複数の第1リブ41と、複数の第3リブ50と、によって格子形が形成されている。
より詳細には、第1リブ41は、上述のように金型当たり面に対する反対側の面に凹凸形状形成用金型300をプレスすることよって形成されている一方で、第3リブ50は、例えば、非発泡シート80を金型200に沿う形状に成形する際に、金型200の凹凸を賦形することによって形成されている。
すなわち、本発明において、プラスチック容器100は、金型200の凹凸を賦形することによって金型当たり面に形成される凹凸形状(第3リブ50)と、反対側の面に凹凸形状形成用金型300をプレスすることによって当該反対側の面に形成される凹凸形状20と、の双方を備えていてもよい。
このような構成によれば、プラスチック容器100の内面100bと外面100aとの双方の形状をより高い自由度で設計することができる。
【0055】
図13(b)に示すように、複数の第3リブ50の各々は、下方に向けて凸の突条に形成されている。
複数の第3リブ50の各々は、例えば、
図13(a)における左上がりに傾斜する方向に延在している。また、複数の第3リブ50は、例えば、複数の第1リブ41の延在方向において、等間隔(等角度間隔)で配置されている。
また、上述のように第3リブ50は金型200の凹凸を賦形することによって形成されるので、
図13(c)に示すように、プラスチック容器100の内面100bにおいて、複数の第3リブ50の形成領域には溝部56が形成されている。したがって、プラスチック容器100の内面100bにおいて、複数の溝部56と複数の第1リブ41とによって、格子形が形成されている。
【0056】
本変形例の場合、一例として、第1リブ41の突出高さH4は、0.05mm以上1.5mm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.1mm以上1.0mm以下である。
また、一例として、第3リブ50の突出高さH5は、0.05mm以上1.5mm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.1mm以上1.0mm以下である。
【0057】
〔第3実施形態〕
次に、
図14から
図15(b)を用いて第3実施形態を説明する。なお、
図15(b)においては、テンプレート29の図示を省略している。
本実施形態に係るプラスチック容器100は、以下に説明する点で、上記の第1及び第2実施形態に係るプラスチック容器100と相違しており、その他の点では、上記の第1及び第2実施形態に係るプラスチック容器100と同様に構成されている。
【0058】
図15(b)に示すように、本実施形態の場合、凹凸形状20は、刻印60を含み、刻印60と当該刻印60の縁部61との境界の角部65の曲率半径が、プラスチック容器100の肉厚よりも小さい。
これにより、所望の形状の刻印60を精細且つ明瞭に(くっきりと)形成することができる。すなわち、金型当たり面の反対側の面に精細な形状を賦形された構造のプラスチック容器100を実現することができる。
なお、ここでいう曲率半径は、刻印60の延在方向に対して直交する方向に沿った断面(例えば
図15(b)に示す断面)における曲率半径である。
また、本実施形態の場合、テンプレート29を用いて角部65の曲率半形を測定する際には、およそ斜め上方45度から斜め下方45度に向けて当該テンプレート29を角部65に嵌めていく。
【0059】
図14から
図15(b)に示す例では、刻印60は、複数の文字であり、底面部14の中央部14aに形成されている。ただし、本発明において、刻印60は、文字の他に記号であってもよいし、図形や模様であってもよい。
図15(b)に示すように、刻印60は、下方に向けて窪んだ溝状に形成されている。ただし、本発明において、刻印60は、上方に向けて凸のリブであってもよい。刻印60の角部65は、丸みを帯びた形状となっている。角部65の角度は、例えば、60度以上100度以下となっている。また、刻印60の縁部61との境界の角部65の曲率半径は、一例として、0.01mm以上0.2mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05mm以上0.1mm以下である。
また、刻印60の深さD1は、0.05mm以上1.5mm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.1mm以上1.0mm以下である。
【0060】
〔第4実施形態〕
次に、
図16(a)から
図17(b)を用いて第4実施形態を説明する。
本実施形態に係るプラスチック容器100は、以下に説明する点で、上記の第1~3実施形態に係るプラスチック容器100と相違しており、その他の点では、上記の第1~3実施形態に係るプラスチック容器100と同様に構成されている。
【0061】
本実施形態の場合、フランジ部12の上面12aに、凹凸形状20が形成されている。
このような構成によれば、上述のフランジ部12に設けられるフィルム状の蓋部(不図示)と、フランジ部12の上面12aと、の接触面積をより小さくすることができる。すなわち、フランジ部12の上面12aにおいて、蓋部に対するヒートシールが形成される領域をより小さくすることができるので、プラスチック容器100を開封する際には、蓋部をフランジ部12から容易に剥離することができる。
また、蓋部の一部分と上面12aの一部分とが互いに非接合となっている非接合領域が形成されるので、当該非接合領域を介して、電子レンジなどによりプラスチック容器100を加熱する際に発生する蒸気を本体部10内から逃がす(蒸通させる)ことができる。
また、フランジ部12の上面12aに形成された複数の凹凸形状20を滑り止めとして用いることもできる。
【0062】
図16(b)等に示すように、本実施形態の場合、凹凸形状20は、複数の微小凹部70を含む。
複数の微小凹部70の各々は、下方に向けて窪んで形成されている。複数の微小凹部70の各々は、例えば、下方に向けて徐々に縮小した略すり鉢状に形成されている。複数の微小凹部70の各々は、例えば、フランジ部12の上面12aの略全体に形成されている。ただし、フランジ部12の外周縁部12bの上面、及び、当該フランジ部12の角部12cの一部分の上面は、それぞれ複数の微小凹部70の非形成領域となっている。
【0063】
図17(b)に示すように、微小凹部70と当該微小凹部70の外周縁部71との境界の角部75の曲率半径は、プラスチック容器100の肉厚よりも小さい。なお、ここでいう曲率半径は、隣り合う微小凹部70の中心どうしを繋ぐ線(例えば、
図16(b)に示すB-B線)に沿って切断した断面における曲率半径である。
これにより、微小凹部70の開口70aを構成する角部75をより急峻な形状とすることができるので、当該開口70aの寸法をより確実に意図した大きさとすることができる。よって、フランジ部12の上面12aにおいて、当該上面12aに対する蓋部の接着性と剥離性とのバランスを、容易に意図したとおりのバランスとすることができる。
【0064】
本実施形態の場合、一例として、微小凹部70と当該微小凹部70の外周縁部71との境界の角部75の曲率半径は、0.01mm以上0.2mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05mm以上0.1mm以下である。
一例として、微小凹部70の深さD2は、0.05mm以上1.5mm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.1mm以上1.0mm以下である。
また、微小凹部70の内径は、0.1mm以上2.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.2mm以上1.0mm以下である。
【0065】
以上、図面を参照して実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0066】
例えば、上記の第1~第4実施形態では、金型当たり面がプラスチック容器100の外面100aであり、その反対側の面がプラスチック容器100の内面100bである例を説明した。しかし、本発明において、金型当たり面がプラスチック容器100の内面100bであり、その反対側の面がプラスチック容器100の外面100aであってもよい。すなわち、プラスチック容器100の外面100aに、上記の凹凸形状20が形成されていてもよい。この場合、例えば、雄型の金型を用いてプラスチック容器100を製造する。
【0067】
また、上記の第1~第4実施形態においては、プラスチック容器100の底面の内面、又はフランジ部12の上面に凹凸形状20が形成されている例を説明したが、本発明において、金型当たり面に対する反対側の面における凹凸形状20の形成領域は特に限定されず、例えば、本体部10の側周壁の内面(又は外面)に凹凸形状20が形成されていてもよい。
【0068】
また、上記の第1~第4実施形態においては、プラスチック容器100が、微小突起30、リブ40、刻印60及び微小凹部70のいずれか1つだけを備える例を説明したが、本発明において、プラスチック容器100は、微小突起30、リブ40、刻印60及び微小凹部70のうちのいずれか2つ以上を備えていてもよい。
【0069】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)非発泡シートを用いた圧空成形又は真空成形により製造されたプラスチック容器であって、
成形時に金型に接触した面である金型当たり面に対する反対側の面に、凹凸形状が形成されており、
前記凹凸形状は、当該プラスチック容器の肉厚よりも曲率半径が小さい角部を有するプラスチック容器。
(2)当該プラスチック容器の内面に、前記凹凸形状が形成されている(1)に記載のプラスチック容器。
(3)当該プラスチック容器の底面の内面に、前記凹凸形状が形成されている(2)に記載のプラスチック容器。
(4)当該プラスチック容器は、内容物を収容する本体部と、前記本体部の上端開口から周囲に張り出しているフランジ部と、を有し、
前記フランジ部の上面に、前記凹凸形状が形成されている(1)に記載のプラスチック容器。
(5)前記金型当たり面は、前記凹凸形状を有していない(1)から(4)の何れか一項に記載のプラスチック容器。
(6)前記凹凸形状は、複数の微小突起を含み、前記微小突起の頂部の曲率半径が、前記肉厚よりも小さい(1)から(5)の何れか一項に記載のプラスチック容器。
(7)前記凹凸形状は、リブを含み、前記リブの頂部の曲率半径が、前記肉厚よりも小さい(1)から(6)の何れか一項に記載のプラスチック容器。
(8)前記凹凸形状は、刻印を含み、前記刻印と当該刻印の縁部との境界の角部の曲率半径が、前記肉厚よりも小さい(1)から(7)の何れか一項に記載のプラスチック容器。
(9)前記非発泡シートは、中間層としてバリア層を有する3層以上の積層構造のものであり、
前記バリア層は、前記非発泡シートの肉厚方向における中間点よりも、前記金型当たり面側にオフセットして配置されている(1)から(8)の何れか一項に記載のプラスチック容器。
(10)前記非発泡シートは、複数層を有する積層構造のものであり、
前記複数層のうち、前記反対側の面を構成する層のメルトフローレートが、他の層のメルトフローレートよりも大きい(1)から(9)の何れか一項に記載のプラスチック容器。
(11)圧空成形又は真空成形によりプラスチック容器を製造する方法であって、
非発泡シートを金型に吸着させて、前記非発泡シートを前記金型に沿う形状に成形する工程と、
前記非発泡シートにおいて前記金型に接触する面である金型当たり面に対する反対側の面に凹凸形状形成用金型をプレスして前記反対側の面に凹凸形状を転写する工程と、
を備え、
前記転写する工程では、前記反対側の面に、前記プラスチック容器の肉厚よりも曲率半径が小さい角部を有する凹凸形状を形成するプラスチック容器の製造方法。
【符号の説明】
【0070】
10 本体部
11 胴体部
12 フランジ部
12a 上面
12b 外周縁部
12c 角部
13 上端開口
14 底面部
14a 中央部
14b 周縁部
14c 段差部
16 上端部
17 段差部
20 凹凸形状
29 テンプレート
30 微小突起
35 頂部
37 谷部
40 リブ
41 第1リブ
42 第2リブ
45 頂部
50 第3リブ
55 頂部
56 溝部
60 刻印
61 縁部
65 角部
70 微小凹部
70a 開口
71 外周縁部
75 角部
80 非発泡シート
80a 一方の面(金型当たり面)
80b 他方の面(反対側の面)
81 バリア層(中間層)
82 第1基材層
83 第2基材層
84 第1接着層
85 第2接着層
86 表面層
87 第3基材層
90 湾曲形状
100 プラスチック容器
100a 外面
100b 内面
200 金型
300 凹凸形状形成用金型
400 プラスチック容器
400a 金型当たり面
400b 反対面
420 凹凸形状
430 突起
435 頂部
436 凹部
437 谷部
【手続補正書】
【提出日】2023-10-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非発泡シートを用いた圧空成形又は真空成形により製造されたプラスチック容器であって、
成形時に金型に接触した面である金型当たり面に対する反対側の面に、凹凸形状が形成されており、
前記凹凸形状は、複数の微小突起を含み、
隣接する複数の前記微小突起の頂点どうしを繋ぐ線に沿って切断した断面において、当該微小突起は錐状に形成されており、
前記微小突起の頂部の曲率半径が、当該プラスチック容器の肉厚よりも小さいプラスチック容器。
【請求項2】
非発泡シートを用いた圧空成形又は真空成形により製造されたプラスチック容器であって、
成形時に金型に接触した面である金型当たり面に対する反対側の面に、凹凸形状が形成されており、
前記凹凸形状は、リブを含み、
前記リブの延在方向に対して直交する断面において、当該リブは錐状に形成されており、
前記リブの頂部の曲率半径が、当該プラスチック容器の肉厚よりも小さいプラスチック容器。
【請求項3】
当該プラスチック容器の内面に、前記凹凸形状が形成されている請求項1又は2に記載のプラスチック容器。
【請求項4】
当該プラスチック容器の底面の内面に、前記凹凸形状が形成されている請求項3に記載のプラスチック容器。
【請求項5】
当該プラスチック容器は、内容物を収容する本体部と、前記本体部の上端開口から周囲に張り出しているフランジ部と、を有し、
前記フランジ部の上面に、前記凹凸形状が形成されている請求項1又は2に記載のプラスチック容器。
【請求項6】
前記金型当たり面は、前記凹凸形状を有していない請求項1又は2に記載のプラスチック容器。
【請求項7】
非発泡シートを用いた圧空成形又は真空成形により製造されたプラスチック容器であって、
成形時に金型に接触した面である金型当たり面に対する反対側の面に、凹凸形状が形成されており、
前記凹凸形状は、当該プラスチック容器の肉厚よりも曲率半径が小さい角部を有し、
前記非発泡シートは、中間層としてバリア層を有する3層以上の積層構造のものであり、
前記バリア層は、前記非発泡シートの肉厚方向における中間点よりも、前記金型当たり面側にオフセットして配置されているプラスチック容器。
【請求項8】
非発泡シートを用いた圧空成形又は真空成形により製造されたプラスチック容器であって、
成形時に金型に接触した面である金型当たり面に対する反対側の面に、凹凸形状が形成されており、
前記凹凸形状は、当該プラスチック容器の肉厚よりも曲率半径が小さい角部を有し、
前記非発泡シートは、複数層を有する積層構造のものであり、
前記複数層のうち、前記反対側の面を構成する層のメルトフローレートが、他の層のメルトフローレートよりも大きいプラスチック容器。
【請求項9】
圧空成形又は真空成形によりプラスチック容器を製造する方法であって、
非発泡シートを加熱し可塑化させる工程と、
前記非発泡シートを金型に吸着させて、前記非発泡シートを前記金型に沿う形状に成形する工程と、
前記非発泡シートにおいて前記金型に接触する面である金型当たり面に対する反対側の面に凹凸形状形成用金型をプレスして前記反対側の面に凹凸形状を転写する工程と、
を備え、
前記転写する工程では、前記非発泡シートが固化する前に前記反対側の面に前記凹凸形状形成用金型をプレスすることによって、当該反対側の面に、前記プラスチック容器の肉厚よりも曲率半径が小さい角部を有する凹凸形状を形成するプラスチック容器の製造方法。
【請求項10】
圧空成形又は真空成形によりプラスチック容器を製造する方法であって、
非発泡シートを金型に吸着させて、前記非発泡シートを前記金型に沿う形状に成形する工程と、
前記非発泡シートにおいて前記金型に接触する面である金型当たり面に対する反対側の面に凹凸形状形成用金型をプレスして前記反対側の面に凹凸形状を転写する工程と、
を備え、
前記非発泡シートは、中間層としてバリア層を有する3層以上の積層構造のものであり、
前記バリア層は、前記非発泡シートの肉厚方向における中間点よりも、前記金型当たり面側にオフセットして配置されており、
前記転写する工程では、前記反対側の面に、前記プラスチック容器の肉厚よりも曲率半径が小さい角部を有する凹凸形状を形成するプラスチック容器の製造方法。
【請求項11】
圧空成形又は真空成形によりプラスチック容器を製造する方法であって、
非発泡シートを金型に吸着させて、前記非発泡シートを前記金型に沿う形状に成形する工程と、
前記非発泡シートにおいて前記金型に接触する面である金型当たり面に対する反対側の面に凹凸形状形成用金型をプレスして前記反対側の面に凹凸形状を転写する工程と、
を備え、
前記非発泡シートは、複数層を有する積層構造のものであり、
前記複数層のうち、前記反対側の面を構成する層のメルトフローレートが、他の層のメルトフローレートよりも大きく、
前記転写する工程では、前記反対側の面に、前記プラスチック容器の肉厚よりも曲率半径が小さい角部を有する凹凸形状を形成するプラスチック容器の製造方法。