(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034361
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】光学装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20210101AFI20240306BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20240306BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20240306BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240306BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240306BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/08 B
G03B5/00 J
G03B30/00
H04N5/225 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138550
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】村山 丈剛
【テーマコード(参考)】
2H044
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2H044BE01
2H044BE07
2H044BE10
2H044BE18
2H044DA01
2H044DB00
2H044DC02
2H044DE06
2K005AA04
2K005BA52
2K005BA54
2K005CA03
2K005CA04
2K005CA22
2K005CA40
2K005CA45
2K005CA57
5C122EA01
5C122FB03
5C122FB08
5C122GE05
5C122GE11
5C122HA82
(57)【要約】 (修正有)
【課題】近くにある機器に対する磁気的な影響を抑制すること。
【解決手段】光学装置は、カメラモジュールを保持可能なモジュール保持体と、固定部材FBと、モジュール保持体を移動させる駆動部DMと、モジュール保持体と固定部材FBとの間に配置され、内側にモジュール保持体を移動可能に配置する連結部材3と、を備える。駆動部DMは、連結部材3に対してモジュール保持体を移動させる第1駆動部DM1と、固定部材FBに対して連結部材3を移動させる第2駆動部DM2とを有する。第1駆動部DM1は、モジュール保持体2を含む第1可動部材MB1と連結部材3を含む第2可動部材MB2との間に設けられた複数の第1形状記憶合金ワイヤSC1を含んで構成され、第2駆動部DM2は、第2可動部材MB2と固定部材FBとの間に設けられた複数の第2形状記憶合金ワイヤSC2を含んで構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ体及び撮像素子を有する光学モジュールを保持可能なモジュール保持体と、
前記モジュール保持体を移動可能に収容する筐体を含む固定部材と、
前記モジュール保持体を移動させる駆動部と、を備えた光学装置において、
前記モジュール保持体と前記固定部材との間に配置され、内側に前記モジュール保持体を移動可能に配置する中間部材を備え、
前記駆動部は、前記中間部材に対して前記モジュール保持体を移動させる第1駆動部と、前記固定部材に対して前記中間部材を移動させる第2駆動部と、を有し、
前記第1駆動部は、前記モジュール保持体を含む第1可動部材と前記中間部材を含む第2可動部材との間に設けられた複数の第1形状記憶合金ワイヤを含んで構成され、
前記第2駆動部は、前記第2可動部材と前記固定部材との間に設けられた複数の第2形状記憶合金ワイヤを含んで構成されていることを特徴とする光学装置。
【請求項2】
複数の前記第1形状記憶合金ワイヤは、
光軸方向に沿って見た上面視において、前記モジュール保持体を挟んで第1の方向に離間して配置される第1ワイヤ及び第5ワイヤ、並びに、前記モジュール保持体を挟んで前記第1の方向に垂直な第2の方向に離間して配置される第3ワイヤ及び第7ワイヤと、
前記第1の方向に沿って見た側面視において、前記第1ワイヤと交差するように配置される第2ワイヤと、
前記第2の方向に沿って見た側面視において、前記第3ワイヤと交差するように配置される第4ワイヤと、
前記第1の方向に沿って見た側面視において、前記第5ワイヤと交差するように配置される第6ワイヤと、
前記第2の方向に沿って見た側面視において、前記第7ワイヤと交差するように配置される第8ワイヤと、を含み、
前記第1ワイヤ乃至前記第8ワイヤのそれぞれは、一端が前記第2可動部材に固定され、他端が前記第1可動部材に固定されている、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記第2形状記憶合金ワイヤは、光軸方向に沿って見た上面視において、前記モジュール保持体を挟んで前記第1の方向に離間して配置される第9ワイヤ及び第11ワイヤ、並びに、前記モジュール保持体を挟んで前記第2の方向に離間して配置される第10ワイヤ及び第12ワイヤを含み、
前記第9ワイヤ乃至前記第12ワイヤのそれぞれは、一端が前記固定部材に固定され、他端が前記第2可動部材に固定されている、
請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記第9ワイヤ乃至前記第12ワイヤのそれぞれは、光軸方向において、一端と他端との高さが異なっている、
請求項3に記載の光学装置。
【請求項5】
前記固定部材は、前記中間部材の光軸の回りの回動を案内する案内機構を有する、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の光学装置。
【請求項6】
前記固定部材は、光軸方向において前記中間部材を挟んで互いに対向する底板部及び天板部を有し、
前記底板部と前記天板部との少なくともいずれか一方には、案内溝部が複数の箇所に設けられ、
前記中間部材には、それぞれの前記案内溝部内を移動可能な被案内部が設けられ、
前記案内溝部は、前記案内機構を構成している、
請求項5に記載の光学装置。
【請求項7】
前記案内溝部は、前記底板部と前記天板部との一方に設けられ、
前記底板部と前記天板部との他方には、光軸方向において前記被案内部に対応する部分と隣接する規制部が設けられている、
請求項6に記載の光学装置。
【請求項8】
前記中間部材は、四つの角部を有する略矩形状に形成されており、
前記角部のそれぞれには、前記第1形状記憶合金ワイヤ又は前記第2形状記憶合金ワイヤの端部が固定される金属部材が固定される台座部が設けられ、
前記台座部のそれぞれは、前記被案内部を有し、
前記案内溝部は、前記被案内部に対応して四箇所に設けられている、
請求項6に記載の光学装置。
【請求項9】
前記被案内部は、光軸方向に延びる円柱状をなしている、
請求項8に記載の光学装置。
【請求項10】
前記第2形状記憶合金ワイヤは、更に、
前記第1の方向に沿って見た側面視において、前記第9ワイヤと交差するように配置される第13ワイヤと、
前記第2の方向に沿って見た側面視において、前記第10ワイヤと交差するように配置される第14ワイヤと、
前記第1の方向に沿って見た側面視において、前記第11ワイヤと交差するように配置される第15ワイヤと、
前記第2の方向に沿って見た側面視において、前記第12ワイヤと交差するように配置される第16ワイヤと、を含み、
前記第13ワイヤ乃至前記第16ワイヤのそれぞれは、一端が前記固定部材に固定され、他端が前記第2可動部材に固定されている、
請求項3又は請求項4に記載の光学装置。
【請求項11】
複数の前記第1形状記憶合金ワイヤは、光軸方向に沿って見た上面視において、前記モジュール保持体を挟んで第1の方向に離間して配置される第1ワイヤ及び第5ワイヤ、並びに、前記モジュール保持体を挟んで前記第1の方向に垂直な第2の方向に離間して配置される第3ワイヤ及び第7ワイヤを含み、
前記第1ワイヤ、前記第3ワイヤ、前記第5ワイヤ、及び前記第7ワイヤのそれぞれは、一端が前記第2可動部材に固定され、他端が前記第1可動部材に固定されており、
前記モジュール保持体及び前記中間部材には、前記モジュール保持体の光軸の回りの回動を案内する案内機構が形成されている、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項12】
前記中間部材には、案内溝部が複数の箇所に設けられ、
前記モジュール保持体には、それぞれの前記案内溝部内を移動可能な被案内部が設けられ、
前記案内溝部は、前記案内機構を構成している、
請求項11に記載の光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁石及びコイルを含む駆動部によってカメラモジュールを回転させるように構成された光学ユニットが知られている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この光学ユニットは、磁石及びコイルを含むため、ボイスコイルモータ方式のレンズ駆動装置のような磁石及びコイルを含む別のアクチュエータが近くに存在する場合、その別のアクチュエータに磁気的な影響を及ぼしてしまうおそれがある。
【0005】
そこで、近くにある機器に対する磁気的な影響を抑制できる光学装置を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る光学装置は、レンズ体及び撮像素子を有する光学モジュールを保持可能なモジュール保持体と、前記モジュール保持体を移動可能に収容する筐体を含む固定部材と、前記モジュール保持体を移動させる駆動部と、を備えた光学装置において、前記モジュール保持体と前記固定部材との間に配置され、内側に前記モジュール保持体を移動可能に配置する中間部材を備え、前記駆動部は、前記中間部材に対して前記モジュール保持体を移動させる第1駆動部と、前記固定部材に対して前記中間部材を移動させる第2駆動部と、を有し、前記第1駆動部は、前記モジュール保持体を含む第1可動部材と前記中間部材を含む第2可動部材との間に設けられた複数の第1形状記憶合金ワイヤを含んで構成され、前記第2駆動部は、前記第2可動部材と前記固定部材との間に設けられた複数の第2形状記憶合金ワイヤを含んで構成されている。
【発明の効果】
【0007】
上述の光学装置は、近くにある機器に対する磁気的な影響を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】各種部材が取り付けられるモジュール保持体の斜視図である。
【
図5】各種部材が取り付けられる連結部材の斜視図である。
【
図6】各種部材が取り付けられるベース部材の斜視図である。
【
図7】モジュール保持体、連結部材、及びベース部材の上面図である。
【
図8】連結部材、カバー部材、及びベース部材の断面図である。
【
図9】形状記憶合金ワイヤが取り付けられた金属部材の正面図である。
【
図10】形状記憶合金ワイヤが取り付けられた金属部材の右側面図である。
【
図11】金属部材、導電部材、通電部材、及び形状記憶合金ワイヤの斜視図である。
【
図12】第1ワイヤを流れる電流の経路を示す図である。
【
図13】第2ワイヤを流れる電流の経路を示す図である。
【
図14】第3ワイヤを流れる電流の経路を示す図である。
【
図15】第4ワイヤを流れる電流の経路を示す図である。
【
図16】第9ワイヤを流れる電流の経路を示す図である。
【
図17】第10ワイヤを流れる電流の経路を示す図である。
【
図18】モジュール保持体の動きを実現する際の形状記憶合金ワイヤの伸縮状態を示す表である。
【
図19】モジュール保持体及び連結部材の正面図である。
【
図20】モジュール保持体及び連結部材の右側面図である。
【
図21】モジュール保持体、連結部材、及びベース部材の上面図である。
【
図23】モジュール側金属部材、板ばね、通電部材、及びモジュール側形状記憶合金ワイヤの斜視図である。
【
図25】モジュール側駆動部を構成する第7ワイヤを流れる電流の経路を示す図である。
【
図26】モジュール側駆動部を構成する第8ワイヤを流れる電流の経路を示す図である。
【
図27】レンズ保持体の動きを実現する際のモジュール側形状記憶合金ワイヤの伸縮状態を示す表である。
【
図29】モジュール駆動装置の別の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態に係る光学装置150について図面を参照して説明する。
図1は、光学モジュールの一例であるカメラモジュールMDが取り付けられた状態の光学装置150の斜視図であり、
図2は、モジュール駆動装置100を含む光学装置150の分解斜視図であり、
図3は、モジュール駆動装置100の分解斜視図である。図示例では、モジュール駆動装置100は、カメラモジュール駆動装置である。
【0010】
図1において、X1は三次元直交座標系を構成するX軸の一方向を表し、X2はX軸の他方向を表す。Y1は三次元直交座標系を構成するY軸の一方向を表し、Y2はY軸の他方向を表す。Z1は三次元直交座標系を構成するZ軸の一方向を表し、Z2はZ軸の他方向を表す。
図1では、光学装置150のX1側は光学装置150の前側(正面側)に相当し、光学装置150のX2側は光学装置150の後側(背面側)に相当し、光学装置150のY1側は光学装置150の左側に相当し、光学装置150のY2側は光学装置150の右側に相当し、光学装置150のZ1側は光学装置150の上側(被写体側)に相当し、光学装置150のZ2側は光学装置150の下側(撮像素子側)に相当する。また、
図1では、明瞭化のため、三次元直交座標系の原点は、図の左上に位置付けられているが、実際には、三次元直交座標系の原点は、光学装置150の中心点(例えば、レンズ体LSの中心点)に位置付けられている。他の図における他の部材についても同様である。
【0011】
光学装置150を構成しているモジュール駆動装置100は、
図2に示すように、固定部材FBの一部であるカバー部材4を含む。カバー部材4は、モジュール駆動装置100を構成している各部材を覆う筐体HSの一部として機能するように構成されている。図示例では、カバー部材4は、非磁性金属で形成されている。但し、カバー部材4は、磁性金属で形成されていてもよい。具体的には、カバー部材4は、
図2に示すように、直方体状の空間である収容部4Sを定める箱状の外形を有する。収容部4S内には、カメラモジュールMDが収容される。
【0012】
具体的には、カバー部材4は、
図1に示すように、矩形筒状の外周壁部4Aと、外周壁部4Aの上端(Z1側の端)と連続するように設けられた矩形環状且つ平板状の上板部4Bと、を有する。上板部4Bの中央には、円形状の開口4Kが形成されている。外周壁部4Aは、第1側板部4A1~第4側板部4A4を含む。第1側板部4A1と第3側板部4A3とは互いに対向し、第2側板部4A2と第4側板部4A4とは互いに対向している。そして、第1側板部4A1及び第3側板部4A3は、第2側板部4A2及び第4側板部4A4に対して垂直に延びている。
【0013】
カバー部材4は、
図1に示すように、接着剤によってベース部材8に接合されている。接着剤は、例えば、光硬化型接着剤である。光硬化型接着剤は、例えば、紫外線硬化型接着剤又は可視光硬化型接着剤等である。接着剤は、熱硬化型接着剤又は湿気硬化型接着剤等であってもよい。一の部材と別の部材とを接合する或いは一の部材を別の部材に接着固定する後述の接着剤についても同様である。接着剤によってカバー部材4に接合されるベース部材8は、カバー部材4とともに光学装置150(モジュール駆動装置100)における筐体HSを構成している。
【0014】
カメラモジュールMDは、光学モジュールの一例であり、
図2に示すように、レンズ駆動装置LDと、レンズ駆動装置LDによって保持されるレンズ体LSと、光軸方向においてレンズ体LSに対向するように配線基板(可撓性基板FC)に固定される撮像素子ISとで構成されている。スペーサSPは、モジュール保持体2(下側部材2V)を間に挟んだ状態でレンズ駆動装置LD(モジュール側ベース部材8x)に固定され、撮像素子ISが実装された可撓性基板FCはスペーサSPに固定されている。このように、図示例では、レンズ駆動装置LDと可撓性基板FCとの間には矩形枠状のスペーサSPとモジュール保持体2の下側部材2Vとが配置されている。撮像素子ISは、撮像面をスペーサSPの開口に露出させた状態で、スペーサSPと可撓性基板FCとの間に形成される空間に収容されている。レンズ体LSと撮像素子ISとの間にはIRカットフィルタが配置されていてもよい。この場合、IRカットフィルタは、スペーサSPの枠体の上面に貼り付けられていてもよい。
【0015】
可撓性基板FCは、撮像素子ISとモジュール駆動装置100の外部にある装置とを接続するための配線パターン(図示せず)が形成された可撓性の配線基板である。図示例では、可撓性基板FCは、繰り返し変形させることができるように構成されたフレキシブルプリント基板である。但し、撮像素子ISはリジッド基板に実装されていてもよい。この場合、リジッド基板は、可撓性基板FCに接続され、可撓性基板FCを介して外部と接続されてもよい。この構成では、可撓性基板FCはリジッド基板の動きを吸収できる。
【0016】
図示例では、カメラモジュールMDは、形状記憶合金ワイヤ方式のモジュール側駆動部DMx(
図22参照)を備えたカメラモジュールである。但し、カメラモジュールMDは、磁石及びコイルを含むボイスコイルモータ方式又は圧電方式等の他の方式の駆動部を備えたカメラモジュールであってもよい。
【0017】
具体的には、カメラモジュールMDのモジュール側駆動部DMxは、撮像素子ISのZ1側(被写体側)において、レンズ体LSの光軸方向であるZ軸方向に沿ってレンズ体LSを移動させることができるように構成されている。このようにレンズ体LSを移動させることにより、カメラモジュールMDは、レンズ調整機能の一つである自動焦点調整機能を実現できる。具体的には、カメラモジュールMDは、撮像素子ISから離れる方向にレンズ体LSを移動させてマクロ撮影を可能にし、撮像素子ISに近づく方向にレンズ体LSを移動させて無限遠撮影を可能にする。
【0018】
カメラモジュールMDは、X軸方向及びY軸方向の少なくとも一方にレンズ体LSを移動させることができるように構成されていてもよい。このようにレンズ体LSを移動させることにより、カメラモジュールMDは、レンズ調整機能の別の一つである手振れ補正機能を実現してもよい。
【0019】
図1は、カメラモジュールMDが中立状態(中立位置)にあるときのレンズ体LS及びレンズ駆動装置LDの状態を示す。モジュール駆動装置100の筐体HSに対してレンズ体LSがZ軸方向に沿って並進可能である場合、カメラモジュールMDの中立状態は、レンズ体LSがZ軸方向における移動可能範囲の中間に位置している状態を意味する。図示例において、カメラモジュールMDの中立状態では、レンズ体LSは、Z軸方向の移動可能範囲の中央に位置している。レンズ体LSがX軸方向に沿って並進可能な場合、及び、レンズ体LSがY軸方向に沿って並進可能な場合についても同様である。なお、カメラモジュールMDの中立状態は、モジュール側駆動部DMxに電力が供給されていないときのカメラモジュールMDの初期状態であってもよい。
【0020】
カメラモジュールMDは、固定焦点型カメラモジュールであってもよい。すなわち、レンズ体LSは、撮像素子ISに対して相対移動不能に配置されていてもよい。
【0021】
モジュール駆動装置100の筐体HS内には、
図3に示すように、駆動部DM、連結部材3、金属部材5、及び、上側導電部材UC等が収容されている。
【0022】
駆動部DMは、形状記憶アクチュエータの一例である形状記憶合金ワイヤSAを含む。駆動部DMは、形状記憶合金ワイヤSAの収縮を利用して可動部材MBを移動させることができるように構成されている。
【0023】
可動部材MBは、駆動部DMによって駆動される部材である。図示例では、可動部材MBは、第1可動部材MB1(カメラモジュールMDを保持可能なモジュール保持体2)、及び、第2可動部材MB2(モジュール保持体2が揺動可能となるようにモジュール保持体2に連結される連結部材3)を含む。カメラモジュールMDは、可動部材MB(第1可動部材MB1)に含まれてもよい。
【0024】
駆動部DMは、第1可動部材MB1を移動させることができるように構成された第1駆動部DM1、及び、第2可動部材MB2を移動させることができるように構成された第2駆動部DM2を含む。
【0025】
図示例では、形状記憶合金ワイヤSAは、略同じ長さと略同じ直径を有する第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8と、略同じ長さと略同じ直径を有する第9ワイヤSA9~第12ワイヤSA12とを含む。形状記憶合金ワイヤSAは、電流が流れると温度が上昇し、その温度の上昇に応じて収縮する。第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8は第1形状記憶合金ワイヤSC1とも称され、第9ワイヤSA9~第12ワイヤSA12は、第2形状記憶合金ワイヤSC2とも称される。図示例では、第2形状記憶合金ワイヤSC2は、第1形状記憶合金ワイヤSC1よりも長い。
【0026】
第1駆動部DM1は、第1形状記憶合金ワイヤSC1を含み、第2駆動部DM2は、第2形状記憶合金ワイヤSC2を含む。第1形状記憶合金ワイヤSC1は、第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8のうちの一つ又は複数が収縮すると第1可動部材MB1(モジュール保持体2)が移動し、その移動によって第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8のうちの別の一つ又は複数が引き延ばされる(伸張される)ように構成されている。また、第2形状記憶合金ワイヤSC2は、第9ワイヤSA9~第12ワイヤSA12のうちの一つ又は複数が収縮すると第2可動部材MB2(連結部材3)が移動し、その移動によって第9ワイヤSA9~第12ワイヤSA12のうちの別の一つ又は複数が引き延ばされる(伸張される)ように構成されている。
【0027】
図示例では、駆動部DMは、可動部材MBの3自由度の動きを実現できるように構成されている。3自由度の動きは、光軸方向である第1方向(Z軸方向)の回りの回転(回動)、第1方向に垂直な第2方向(X軸方向)の回りの回転(揺動)、並びに、第1方向及び第2方向に垂直な第3方向(Y軸方向)の回りの回転(揺動)を含む。第1方向(Z軸方向)は、レンズ体LSの光軸OAと一致する第1回転軸RX1に平行な方向であり、第2方向(X軸方向)は、第2回転軸RX2に平行な方向であり、第3方向(Y軸方向)は、第3回転軸RX3に平行な方向である。また、第1回転軸RX1、第2回転軸RX2、及び第3回転軸RX3は、それぞれ互いに直交する回転軸である。光軸方向は、レンズ体LSに関する光軸OAの方向、及び、光軸OAに平行な方向を含む。具体的には、第1駆動部DM1は、第1可動部材MB1(モジュール保持体2)の3自由度の動きを実現できるように構成され、第2駆動部DM2は、第2可動部材MB2(連結部材3)の1自由度の動き(第1方向(Z軸方向)の回りの回転)を実現できるように構成されている。
【0028】
モジュール駆動装置100の筐体HSに対してモジュール保持体2が第1回転軸RX1の回りに回動可能である場合、モジュール駆動装置100の中立状態は、上述のカメラモジュールMDの中立状態の場合と同様に、モジュール保持体2が回動可能範囲の中間に位置している状態を意味する。典型的には、モジュール駆動装置100の中立状態では、モジュール保持体2は、第1回転軸RX1回りの回動可能範囲の中央に位置している。モジュール保持体2が第2回転軸RX2の回りに揺動可能である場合、及び、モジュール保持体2が第3回転軸RX3の回りに揺動可能である場合についても同様である。なお、モジュール駆動装置100の中立状態は、駆動部DMに電力が供給されていないときのモジュール駆動装置100の初期状態であってもよい。
【0029】
典型的には、モジュール駆動装置100が中立状態であり、且つ、カメラモジュールMDが中立状態である場合には、撮像素子ISの撮像面は、撮像素子ISに対向配置されるレンズ体LSの光軸OAと垂直な状態にある。この場合、撮像素子IS(撮像面)の中心軸は、レンズ体の光軸OAに一致している。なお、撮像素子ISの撮像面は、撮像素子ISの被写体側の面である上面と平行な面である。
【0030】
モジュール保持体2は、レンズ体LS及び撮像素子ISを有するカメラモジュールMDを保持できるように構成されている。図示例では、モジュール保持体2は、非磁性金属で形成されている。具体的には、モジュール保持体2は、
図2に示すように、上側部材2U及び下側部材2Vを含む。上側部材2Uは、矩形筒状の外周壁部2Aと、外周壁部2Aの上端(Z1側の端)と連続するように設けられた矩形環状且つ平板状の上板部2Bと、外周壁部2Aの四つの角部のうちの、光軸OAを挟んで対向する二つに形成された、外方に突出する突出部2Cと、を有する。
【0031】
図示例では、突出部2Cは、上側部材2Uの右前側の角部に形成された右前側突出部2CFR、及び、上側部材2Uの左後側の角部に形成された左後側突出部2CBLを含む。
【0032】
また、図示例では、モジュール保持体2は、カメラモジュールMDのカバー部材として機能するように構成されている。具体的には、レンズ駆動装置LD(モジュール側ベース部材8x)は、下側部材2Vに接着剤で接合されるように構成されている。そして、上側部材2Uは、下側部材2Vに接着剤で接合されるように構成されている。なお、
図3では、図示が省略されているが、モジュール保持体2は、モジュール駆動装置100の一部を構成し、モジュール駆動装置100に含まれている。
【0033】
連結部材3は、モジュール保持体2と固定部材FBとの間に配置される中間部材の一例であり、内側にモジュール保持体2を移動可能に配置するように構成されている。図示例では、連結部材3は、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂を射出成形することによって形成されている。具体的には、連結部材3は、
図3に示すように、矩形の開口3Kを囲むように配置される矩形環状の枠部を有する。枠部は、四つの辺部3E(第1辺部3E1~第4辺部3E4)を有する。また、連結部材3は、四つの角部のそれぞれに形成された、上方に突出する台座部3Dを有する。図示例では、台座部3Dは、左前側台座部3DFL、右前側台座部3DFR、左後側台座部3DBL、及び、右後側台座部3DBRを含む。
【0034】
上側導電部材UCは、可動部材MBの上側において、互いに相対的に移動する二つの部材の間を繋ぐ可撓性の導電部材である。図示例では、上側導電部材UCは、例えば、銅合金、チタン銅系合金(チタン銅)、又は銅ニッケル合金(ニッケルすず銅)等を主な材料とした金属板から作製されている。
【0035】
図示例では、上側導電部材UCは、連結部材3とベース部材8との間を繋ぐ外側導電部材6と、モジュール保持体2と連結部材3との間を繋ぐ内側導電部材7と、を含む。外側導電部材6は、左外側導電部材6L及び右外側導電部材6Rを含む。内側導電部材7は、左内側導電部材7L及び右内側導電部材7Rを含む。
【0036】
左内側導電部材7L及び右内側導電部材7Rは、第1回転軸RX1に対して2回回転対称となるように構成されている。そのため、内側導電部材7は、モジュール保持体2の重量バランスに悪影響を及ぼすことはほとんどない。また、内側導電部材7は、八本の第1形状記憶合金ワイヤSC1(第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8)によって駆動されるモジュール保持体2の重量バランスに悪影響を及ぼすこともほとんどない。
【0037】
また、左外側導電部材6L及び右外側導電部材6Rは、
図3に示すように、第1回転軸RX1に対して2回回転対称となるように構成されている。そのため、外側導電部材6は、連結部材3の重量バランスに悪影響を及ぼすことはほとんどない。また、外側導電部材6は、四本の第2形状記憶合金ワイヤSC2(第9ワイヤSA9~第12ワイヤSA12)によって駆動される連結部材3の重量バランスに悪影響を及ぼすこともほとんどない。
【0038】
ベース部材8は、固定部材FBを構成する部材である。図示例では、ベース部材8は、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂を用いた射出成形によって形成され、
図3に示すように、上面視で略矩形状の輪郭を有し、中央に矩形の開口8Kを有する。具体的には、ベース部材8は、開口8Kを囲むように配置される四つの辺部8E(第1辺部8E1~第4辺部8E4)を有する。また、ベース部材8は、四つの角部のそれぞれに形成された、上方に突出する台座部8Dを有する。図示例では、台座部8Dは、左前側台座部8DFL、右前側台座部8DFR、左後側台座部8DBL、及び、右後側台座部8DBRを含む。
【0039】
金属部材5は、形状記憶合金ワイヤSAの端部が固定されるように構成されている。図示例では、金属部材5は、
図3に示すように、12個の外側金属部材5F(第1外側ターミナルプレート5F1~第12外側ターミナルプレート5F12)及び8個の内側金属部材5M(第1内側ターミナルプレート5M1~第8内側ターミナルプレート5M8)を含む。
【0040】
12個の外側金属部材5Fのうちの8個(第1外側ターミナルプレート5F1~第8外側ターミナルプレート5F8)は、連結部材3に固定されるように構成され、12個の外側金属部材5Fのうちの残りの4個(第9外側ターミナルプレート5F9~第12外側ターミナルプレート5F12)は、ベース部材8に固定されるように構成されている。また、8個の内側金属部材5Mのうちの4個(第1内側ターミナルプレート5M1~第4内側ターミナルプレート5M4)は、モジュール保持体2に固定されるように構成され、8個の内側金属部材5Mのうちの残りの4個(第5内側ターミナルプレート5M5~第8内側ターミナルプレート5M8)は、連結部材3に固定されるように構成されている。
【0041】
形状記憶合金ワイヤSAは、外側にある部材に対して内側にある部材を動かすことができるように構成されている。図示例では、第1形状記憶合金ワイヤSC1は、
図3に示すように、第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8を含み、外側にある部材としての連結部材3に対して、内側にある部材としてのモジュール保持体2を動かすことができるように構成されている。具体的には、第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8のそれぞれは、
図3に示すように、一端が圧着又は溶接等により外側金属部材5F(第1外側ターミナルプレート5F1~第8外側ターミナルプレート5F8)に固定され、且つ、他端が圧着又は溶接等により内側金属部材5M(第1内側ターミナルプレート5M1~第4内側ターミナルプレート5M4)に固定されている。また、第2形状記憶合金ワイヤSC2は、
図3に示すように、第9ワイヤSA9~第12ワイヤSA12を含み、外側にある部材としてのベース部材8に対して、内側にある部材としての連結部材3を動かすことができるように構成されている。具体的には、第9ワイヤSA9~第12ワイヤSA12のそれぞれは、
図3に示すように、一端が圧着又は溶接等により外側金属部材5F(第9外側ターミナルプレート5F9~第12外側ターミナルプレート5F12)に固定され、且つ、他端が圧着又は溶接等により内側金属部材5M(第5内側ターミナルプレート5M5~第8内側ターミナルプレート5M8)に固定されている。
【0042】
次に、
図4~
図6を参照し、モジュール駆動装置100を構成するモジュール保持体2、連結部材3、及びベース部材8の詳細について説明する。
図4は、各種部材が取り付けられるモジュール保持体2の斜視図である。
図5は、各種部材が取り付けられる連結部材3の斜視図である。
図6は、各種部材が取り付けられるベース部材8の斜視図である。
【0043】
図4に示すモジュール保持体2では、第1内側ターミナルプレート5M1がモジュール保持体2の上側部材2Uの右前側突出部2CFRの前側面(X1側の面)に固定され、第2内側ターミナルプレート5M2が上側部材2Uの左後側突出部2CBLの左側面(Y1側の面)に固定され、第3内側ターミナルプレート5M3が上側部材2Uの左後側突出部2CBLの後側面(X2側の面)に固定され、第4内側ターミナルプレート5M4が上側部材2Uの右前側突出部2CFRの右側面(Y2側の面)に固定されている。モジュール保持体2の上側部材2Uに取り付けられる第1内側ターミナルプレート5M1~第4内側ターミナルプレート5M4は、モジュール保持体2とともに第1可動部材MB1を構成している。第1内側ターミナルプレート5M1~第4内側ターミナルプレート5M4は、接着剤により突出部2Cに固定されている。
【0044】
また、
図4に示すように、左内側導電部材7Lは、モジュール保持体2の上側部材2Uの突出部2Cに固定される左内側固定部分7ILと、連結部材3(
図5参照)に固定される左外側固定部分7ELと、左内側固定部分7ILと左外側固定部分7ELとを繋ぐ左弾性部分7GLと、を有する。そして、左内側固定部分7ILは、第1左内側固定部分7IL1及び第2左内側固定部分7IL2を含み、左弾性部分7GLは、第1左内側固定部分7IL1と左外側固定部分7ELとを繋ぐ第1左弾性部分7GL1、及び、第2左内側固定部分7IL2と左外側固定部分7ELとを繋ぐ第2左弾性部分7GL2を含む。
【0045】
右内側導電部材7Rは、モジュール保持体2の上側部材2Uの突出部2Cに固定される右内側固定部分7IRと、連結部材3(
図5参照)に固定される右外側固定部分7ERと、右内側固定部分7IRと右外側固定部分7ERとを繋ぐ右弾性部分7GRと、を有する。そして、右内側固定部分7IRは、第1右内側固定部分7IR1及び第2右内側固定部分7IR2を含み、右弾性部分7GRは、第1右内側固定部分7IR1と右外側固定部分7ERとを繋ぐ第1右弾性部分7GR1、及び、第2右内側固定部分7IR2と右外側固定部分7ERとを繋ぐ第2右弾性部分7GR2を含む。
【0046】
具体的には、第1左内側固定部分7IL1及び第1右内側固定部分7IR1は、上側部材2Uの右前側突出部2CFRの上端面に載置され、接着剤により右前側突出部2CFRに固定されている。第2左内側固定部分7IL2及び第2右内側固定部分7IR2は、上側部材2Uの左後側突出部2CBLの上端面に載置され、接着剤により左後側突出部2CBLに固定されている。
【0047】
図5に示す連結部材3では、第1外側ターミナルプレート5F1及び第2外側ターミナルプレート5F2が連結部材3の左前側台座部3DFLの前側面に固定され、第3外側ターミナルプレート5F3及び第4外側ターミナルプレート5F4が連結部材3の左前側台座部3DFLの左側面に固定され、第5外側ターミナルプレート5F5及び第6外側ターミナルプレート5F6が連結部材3の右後側台座部3DBRの後側面に固定され、第7外側ターミナルプレート5F7及び第8外側ターミナルプレート5F8が連結部材3の右後側台座部3DBRの右側面に固定されている。連結部材3に取り付けられる第1外側ターミナルプレート5F1~第8外側ターミナルプレート5F8は、連結部材3とともに第2可動部材MB2を構成している。第1外側ターミナルプレート5F1~第8外側ターミナルプレート5F8は、接着剤により連結部材3に固定されている。
【0048】
また、
図5に示す連結部材3では、第5内側ターミナルプレート5M5が連結部材3の右前側台座部3DFRの前側面に固定され、第6内側ターミナルプレート5M6が連結部材3の左後側台座部3DBLの左側面に固定され、第7内側ターミナルプレート5M7が連結部材3の左後側台座部3DBLの後側面に固定され、第8内側ターミナルプレート5M8が連結部材3の右前側台座部3DFRの右側面に固定されている。連結部材3に取り付けられる第5内側ターミナルプレート5M5~第8内側ターミナルプレート5M8は、連結部材3とともに第2可動部材MB2を構成している。第5内側ターミナルプレート5M5~第8内側ターミナルプレート5M8は、接着剤により連結部材3に固定されている。
【0049】
また、
図5に示すように、右内側導電部材7Rの右外側固定部分7ERは、連結部材3の右後側台座部3DBRの上端面に載置され、接着剤により右後側台座部3DBRに固定されている。左内側導電部材7Lの左外側固定部分7ELは、連結部材3の左前側台座部3DFLの上端面に載置され、接着剤により左前側台座部3DFLに固定されている。
【0050】
また、
図5に示すように、左外側導電部材6Lは、連結部材3の台座部3Dに固定される左内側固定部分6ILと、ベース部材8(
図6参照)に固定される左外側固定部分6ELと、左内側固定部分6ILと左外側固定部分6ELとを繋ぐ左弾性部分6GLと、を有する。そして、左内側固定部分6ILは、第1左内側固定部分6IL1及び第2左内側固定部分6IL2を含み、左弾性部分6GLは、第1左内側固定部分6IL1と左外側固定部分6ELとを繋ぐ第1左弾性部分6GL1、及び、第2左内側固定部分6IL2と左外側固定部分6ELとを繋ぐ第2左弾性部分6GL2を含む。
【0051】
右外側導電部材6Rは、連結部材3の台座部3Dに固定される右内側固定部分6IRと、ベース部材8(
図6参照)に固定される右外側固定部分6ERと、右内側固定部分6IRと右外側固定部分6ERとを繋ぐ右弾性部分6GRと、を有する。そして、右内側固定部分6IRは、第1右内側固定部分6IR1及び第2右内側固定部分6IR2を含み、右弾性部分6GRは、第1右内側固定部分6IR1と右外側固定部分6ERとを繋ぐ第1右弾性部分6GR1、及び、第2右内側固定部分6IR2と右外側固定部分6ERとを繋ぐ第2右弾性部分6GR2を含む。
【0052】
具体的には、第1左内側固定部分6IL1及び第1右内側固定部分6IR1は、連結部材3の右前側台座部3DFRの上端面に載置され、接着剤により右前側台座部3DFRに固定されている。第2左内側固定部分6IL2及び第2右内側固定部分6IR2は、連結部材3の左後側台座部3DBLの上端面に載置され、接着剤により左後側台座部3DBLに固定されている。
【0053】
また、
図5に示すように、連結部材3は、内側埋設通電部材30が埋設されるように構成されている。図示例では、内側埋設通電部材30は、第1形状記憶合金ワイヤSC1の通電に用いられる部材であり、インサート成形によって連結部材3内に埋設される。より具体的には、内側埋設通電部材30は、互いに独立した10個の部材(第1通電部材30C1~第10通電部材30C10)を含む。内側埋設通電部材30の端子部は、連結部材3から露出し、可撓性基板FC(
図2参照)に接続されている。
【0054】
図6に示すベース部材8では、第9外側ターミナルプレート5F9がベース部材8の左前側台座部8DFLの前側面に固定され、第10外側ターミナルプレート5F10が左前側台座部8DFLの左側面に固定され、第11外側ターミナルプレート5F11が右後側台座部8DBRの後側面に固定され、第12外側ターミナルプレート5F12が右後側台座部8DBRの右側面に固定されている。第9外側ターミナルプレート5F9~第12外側ターミナルプレート5F12は、接着剤によりベース部材8に固定されている。
【0055】
また、
図6に示すように、左外側導電部材6Lの左外側固定部分6ELは、ベース部材8の左前側台座部8DFLの上端面に載置され、接着剤により左前側台座部8DFLに固定されている。右外側導電部材6Rの右外側固定部分6ERは、ベース部材8の右後側台座部8DBRの上端面に載置され、接着剤により右後側台座部8DBRに固定されている。
【0056】
また、
図6に示すように、ベース部材8は、外側埋設通電部材80が埋設されるように構成されている。図示例では、外側埋設通電部材80は、第2形状記憶合金ワイヤSC2の通電に用いられる部材であり、インサート成形によってベース部材8内に埋設される。より具体的には、外側埋設通電部材80は、互いに独立した6個の部材(第1通電部材80C1~第6通電部材80C6)を含む。
【0057】
次に、
図7及び
図8を参照し、案内機構GMについて説明する。
図7は、互いに組み合わされたモジュール保持体2、連結部材3、及びベース部材8の上面図である。具体的には、
図7の上図は、モジュール保持体2及び連結部材3が組み合わされる前のベース部材8の上面図であり、
図7の下図は、モジュール保持体2、連結部材3、及びベース部材8の上面図である。
図8は、互いに組み合わされた連結部材3、カバー部材4、及びベース部材8の断面図である。具体的には、
図8は、
図7に示す切断線CTL1を含むXY平面に垂直な仮想平面における連結部材3、カバー部材4、及びベース部材8の断面を示す。なお、
図7では、明瞭化のため、ベース部材8に粗いドットパターンが付され、連結部材3に細かいドットパターンが付され、モジュール保持体2に更に細かいドットパターンが付されている。また、
図7では、明瞭化のため、モジュール保持体2を構成する下側部材2Vの図示が省略されている。また、
図8では、明瞭化のため、カバー部材4が図示される一方で、モジュール保持体2の図示が省略されている。
【0058】
案内機構GMは、所定の軸の回りの被案内部材の回動を案内する機構である。図示例では、案内機構GMは、ベース部材8に対する連結部材3(連結部材3に連結されたモジュール保持体2を含む。)の光軸OAの回りの回動を案内するように構成されている。
【0059】
案内機構GMは、
図7に示すように、ベース部材8の四つの角部のそれぞれに形成された案内溝部8G、及び、連結部材3の四つの角部のそれぞれの外側に形成された被案内部3Nを含んで構成されている。
【0060】
案内溝部8Gは、被案内部3Nを受け入れて被案内部3Nの動きを案内できるように構成されている。図示例では、案内溝部8Gは、
図7の上図に示すように、ベース部材8の台座部8Dの内側に位置するベース部材8の枠部(底板部BP)の上面において、第1回転軸RX1(光軸OA)を中心とする破線円CL1の円周に沿って円弧状に延びるように形成されている。具体的には、ベース部材8は、四つの案内溝部8G(左後側台座部8DBLの内側に形成された左後側案内溝部8GBL、右後側台座部8DBRの内側に形成された右後側案内溝部8GBR、左前側台座部8DFLの内側に形成された左前側案内溝部8GFL、及び、右前側台座部8DFRの内側に形成された右前側案内溝部8GFR)を含む。
【0061】
被案内部3Nは、案内溝部8Gとかみ合い、案内溝部8G内を摺動するように構成される部分である。図示例では、被案内部3Nは、
図7の下図に示すように、連結部材3の台座部3Dの外側においてZ軸方向に延びるように構成される連結部材3の一部であり、略円柱状をなしている。具体的には、連結部材3は、四つの被案内部3N(左後側台座部3DBLの外側に形成された左後側被案内部3NBL、右後側台座部3DBRの外側に形成された右後側被案内部3NBR、左前側台座部3DFLの外側に形成された左前側被案内部3NFL、右前側台座部3DFRの外側に形成された右前側被案内部3NFR)を含む。
【0062】
案内機構GMは、左後側案内機構GMBL、右後側案内機構GMBR、左前側案内機構GMFL、及び右前側案内機構GMFRを含む。具体的には、左後側案内機構GMBLは、左後側案内溝部8GBLと左後側被案内部3NBLとを含んで構成され、右後側案内機構GMBRは、右後側案内溝部8GBRと右後側被案内部3NBRとを含んで構成され、左前側案内機構GMFLは、左前側案内溝部8GFLと左前側被案内部3NFLとを含んで構成され、右前側案内機構GMFRは、右前側案内溝部8GFRと右前側被案内部3NFRとを含んで構成されている。なお、四つの案内機構GM(左後側案内機構GMBL、右後側案内機構GMBR、左前側案内機構GMFL、及び右前側案内機構GMFR)のうちの一つ又は二つは省略されてもよい。但し、案内機構GMは、少なくとも三つあることが好ましい。
【0063】
図示例では、案内機構GM(右後側案内機構GMBR)は、
図8に示すように、XY平面に平行で平坦な内底面を有する案内溝部8G(右後側案内溝部8GBR)と、案内溝部8Gに受け入れられる曲面状の下側凸部BEを有する被案内部3N(右後側被案内部3NBR)とを含んで構成されている。すなわち、右後側被案内部3NBRの下側凸部BEは、光軸OAを中心とする破線円CL1(
図7の上図参照)の円周に沿って右後側案内溝部8GBR内を移動できるように右後側案内溝部8GBR内に配置されている。左前側案内機構GMFL、右前側案内機構GMFR、及び左後側案内機構GMBLについても同様である。この構成により、案内機構GMは、ベース部材8に対する連結部材3の第1回転軸RX1(光軸OA)の回りの回動を案内できる。
【0064】
また、被案内部3Nは、
図8に示すように、僅かな間隔GPを隔てて固定部材FBの天板部TP(カバー部材4の上板部4B)と対向する曲面状の上側凸部TEを有するように構成されている。そのため、固定部材FBの天板部TP(カバー部材4の上板部4B)は、第2回転軸RX2及び第3回転軸RX3のそれぞれの回りで連結部材3が揺動してしまうのを抑制する規制部RPとして機能する。
【0065】
なお、図示例では、四つの案内溝部8G(左後側案内溝部8GBL、右後側案内溝部8GBR、左前側案内溝部8GFL、及び右前側案内溝部8GFR)は、四つの案内溝部8Gのそれぞれと第1回転軸RX1(光軸OA)との間の距離が互いに略等しくなるように構成されているが、互いに異なるように構成されていてもよい。この場合であっても、四つの案内溝部8Gのそれぞれは、第1回転軸RX1(光軸OA)を中心とする同心円の円周に沿って円弧状に形成されることが望ましい。ベース部材8に対する連結部材3の第1回転軸RX1(光軸OA)の回りの回動を滑らかにするためである。
【0066】
次に、
図9及び
図10を参照し、形状記憶合金ワイヤSAが取り付けられる金属部材5について説明する。
図9は、形状記憶合金ワイヤSAが取り付けられる金属部材5の正面図である。具体的には、
図9の上図は、第1外側ターミナルプレート5F1及び第1内側ターミナルプレート5M1のそれぞれに取り付けられた第1ワイヤSA1、並びに、第2外側ターミナルプレート5F2及び第1内側ターミナルプレート5M1のそれぞれに取り付けられた第2ワイヤSA2をX1側(前側)から見たときの図である。また、
図9の下図は、第9外側ターミナルプレート5F9及び第5内側ターミナルプレート5M5のそれぞれに取り付けられた第9ワイヤSA9をX1側(前側)から見たときの図である。
図10は、形状記憶合金ワイヤSAが取り付けられる金属部材5の右側面図である。具体的には、
図10の右図は、第1外側ターミナルプレート5F1及び第1内側ターミナルプレート5M1のそれぞれに取り付けられた第1ワイヤSA1、並びに、第2外側ターミナルプレート5F2及び第1内側ターミナルプレート5M1のそれぞれに取り付けられた第2ワイヤSA2をY2側(右側)から見たときの図である。また、
図10の左図は、第9外側ターミナルプレート5F9及び第5内側ターミナルプレート5M5のそれぞれに取り付けられた第9ワイヤSA9をY2側(右側)から見たときの図である。なお、
図9及び
図10に示す各部材の位置関係は、モジュール駆動装置100が中立状態であるときの位置関係に対応している。そして、
図9及び
図10では、明瞭化のため、他の部材の図示が省略されている。また、
図9の上図及び
図10の右図を参照する以下の説明は、第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2の組み合わせに関するが、第3ワイヤSA3及び第4ワイヤSA4の組み合わせ、第5ワイヤSA5及び第6ワイヤSA6の組み合わせ、並びに、第7ワイヤSA7及び第8ワイヤSA8の組み合わせについても同様に適用される。また、
図9の下図及び
図10の左図を参照する以下の説明は、第9ワイヤSA9に関するが、第10ワイヤSA10、第11ワイヤSA11、及び第12ワイヤSA12についても同様に適用される。
【0067】
具体的には、第1ワイヤSA1の一端は、第1外側ターミナルプレート5F1の保持部J1のところで第1外側ターミナルプレート5F1に固定され、第1ワイヤSA1の他端は、第1内側ターミナルプレート5M1の保持部J2のところで第1内側ターミナルプレート5M1に固定されている。また、第2ワイヤSA2の一端は、第2外側ターミナルプレート5F2の保持部J3のところで第2外側ターミナルプレート5F2に固定され、第2ワイヤSA2の他端は、第1内側ターミナルプレート5M1の保持部J4のところで第1内側ターミナルプレート5M1に固定されている。また、第9ワイヤSA9の一端は、第9外側ターミナルプレート5F9の保持部J5のところで第9外側ターミナルプレート5F9に固定され、第9ワイヤSA9の他端は、第5内側ターミナルプレート5M5の保持部J6のところで第5内側ターミナルプレート5M5に固定されている。
【0068】
保持部J1は、第1外側ターミナルプレート5F1の一部を折り曲げることによって形成されている。具体的には、第1外側ターミナルプレート5F1の一部は、第1ワイヤSA1の端部(一端)を挟み込んだ状態で折り曲げられることにより保持部J1を形成している。そして、第1ワイヤSA1の端部(一端)は、溶接によって保持部J1に固定されている。保持部J2~保持部J6についても同様である。
【0069】
モジュール駆動装置100が中立状態にあるとき、複数の金属部材5のそれぞれの板状部PMは、互いに平行になるように配置される。図示例では、第1外側ターミナルプレート5F1の板状部PMF1、第2外側ターミナルプレート5F2の板状部PMF2、第1内側ターミナルプレート5M1の板状部PMM1、第9外側ターミナルプレート5F9の板状部PMF9、及び、第5内側ターミナルプレート5M5の板状部PMM5は、YZ平面に沿って互いに平行になるように配置される。
【0070】
第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2は、
図9の上図に示すように、互いにねじれの位置の関係となるように(X1側から見たときに立体的に交差するように)配置されている。すなわち、第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2は、
図10の右図に示すように、互いに接触しない(非接触となる)ように配置されている。
【0071】
具体的には、モジュール駆動装置100が中立状態にあるとき、X1側から見た正面視において、第1ワイヤSA1は、
図9の上図に示すように、その一端がその他端よりも低い位置となるように配置され、第2ワイヤSA2は、その一端がその他端よりも高い位置となるように配置され、更に、第1ワイヤSA1と第2ワイヤSA2とは交差するように配置されている。また、図示はされていないが、Y1側から見た左側面視において、第3ワイヤSA3は、その一端がその他端よりも低い位置となるように配置され、第4ワイヤSA4は、その一端がその他端よりも高い位置となるように配置され、更に、第3ワイヤSA3と第4ワイヤSA4とは交差するように配置されている。また、図示はされていないが、X2側から見た背面視において、第5ワイヤSA5は、その一端がその他端よりも低い位置となるように配置され、第6ワイヤSA6は、その一端がその他端よりも高い位置となるように配置され、更に、第5ワイヤSA5と第6ワイヤSA6とは交差するように配置されている。同様に、図示はされていないが、Y2側から見た右側面視において、第7ワイヤSA7は、その一端がその他端よりも低い位置となるように配置され、第8ワイヤSA8は、その一端がその他端よりも高い位置となるように配置され、更に、第7ワイヤSA7と第8ワイヤSA8とは交差するように配置されている。
【0072】
すなわち、側面視において、第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8はいずれも、X軸及びY軸に対して斜めに(非平行に)延びるように配置されている。但し、第1ワイヤSA1と第2ワイヤSA2は、正面視において斜めに延びるように配置されていればよく、正面視において互いに交差している必要はない。第3ワイヤSA3と第4ワイヤSA4との関係、第5ワイヤSA5と第6ワイヤSA6との関係、及び、第7ワイヤSA7と第8ワイヤSA8との関係においても同様である。
【0073】
また、第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2のそれぞれの一端は、
図10の右図に示すように、第1内側ターミナルプレート5M1に固定される他端よりも外側(X1側)となるように外側金属部材5Fに固定されている。第3ワイヤSA3と第4ワイヤSA4との関係、第5ワイヤSA5と第6ワイヤSA6との関係、及び、第7ワイヤSA7と第8ワイヤSA8との関係においても同様である。
【0074】
また、モジュール駆動装置100が中立状態にあるとき、X1側から見た正面視において、第9ワイヤSA9は、
図9の下図に示すように、その一端がその他端よりも低い位置となるように配置されている。図示はされていないが、同様に、Y1側から見た左側面視において、第10ワイヤSA10は、その一端がその他端よりも低い位置となるように配置され、X2側から見た背面視において、第11ワイヤSA11は、その一端がその他端よりも低い位置となるように配置され、Y2側から見た右側面視において、第12ワイヤSA12は、その一端がその他端よりも低い位置となるように配置されている。
【0075】
すなわち、側面視において、第9ワイヤSA9~第12ワイヤSA12はいずれも、X軸及びY軸に対して斜めに(非平行に)延びるように配置されている。
【0076】
また、第1駆動部DM1を構成する第1形状記憶合金ワイヤSC1(第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2)と、第2駆動部DM2を構成する第2形状記憶合金ワイヤSC2(第9ワイヤSA9)とは、
図9に示すように、Y軸方向における第1形状記憶合金ワイヤSC1の一端と他端との間の距離である幅WD1が、Y軸方向における第2形状記憶合金ワイヤSC2の一端と他端との間の距離である幅WD2よりも差V1だけ短くなるように、金属部材5に固定されている。
【0077】
また、第1形状記憶合金ワイヤSC1(第1ワイヤSA1及び第2ワイヤSA2)と第2形状記憶合金ワイヤSC2(第9ワイヤSA9)とは、
図10に示すように、Z軸方向における第1形状記憶合金ワイヤSC1の一端と他端との間の距離である高さHT1が、Z軸方向における第2形状記憶合金ワイヤSC2の一端と他端との間の距離である高さHT2と略同じになるように、金属部材5に固定されている。
【0078】
また、第1ワイヤSA1の一端(下端)は、
図10に示すように、Z軸方向において、第9ワイヤSA9の一端(下端)よりも差V2Dだけ下方に位置するように外側金属部材5F(第1外側ターミナルプレート5F1)に固定されている。また、第1ワイヤSA1の他端(上端)は、
図10に示すように、Z軸方向において、第9ワイヤSA9の他端(上端)よりも差V2Uだけ下方に位置するように内側金属部材5M(第1内側ターミナルプレート5M1)に固定されている。
【0079】
同様に、第2ワイヤSA2の一端(上端)は、
図10に示すように、Z軸方向において、第9ワイヤSA9の他端(上端)よりも下方で、且つ、第1ワイヤSA1の他端(上端)よりも差V3Uだけ上方に位置するように外側金属部材5F(第2外側ターミナルプレート5F2)に固定されている。また、第2ワイヤSA2の他端(下端)は、
図10に示すように、Z軸方向において、第9ワイヤSA9の一端(下端)よりも下方で、且つ、第1ワイヤSA1の一端(下端)よりも差V3Dだけ上方に位置するように内側金属部材5M(第1内側ターミナルプレート5M1)に固定されている。
【0080】
このように、駆動部DMは、12本の形状記憶合金ワイヤSAを利用して可動部材MB(第1可動部材MB1及び第2可動部材MB2)を適切に移動させることができるように構成されている。
【0081】
次に、
図11~
図17を参照し、形状記憶合金ワイヤSAを流れる電流の経路について説明する。
図11は、金属部材5、外側導電部材6、内側導電部材7、内側埋設通電部材30、外側埋設通電部材80、及び形状記憶合金ワイヤSAの位置関係を示す図である。具体的には、
図11は、金属部材5、外側導電部材6、内側導電部材7、内側埋設通電部材30、外側埋設通電部材80、及び形状記憶合金ワイヤSAの斜視図である。
図12~
図17は、
図11に示す構成の一部の斜視図である。
【0082】
具体的には、
図12は、内側埋設通電部材30の第1通電部材30C1が高電位に接続され、且つ、内側埋設通電部材30の第10通電部材30C10が低電位に接続されたときに第1ワイヤSA1を流れる電流の経路を示す。
図13は、内側埋設通電部材30の第2通電部材30C2が高電位に接続され、且つ、内側埋設通電部材30の第10通電部材30C10が低電位に接続されたときに第2ワイヤSA2を流れる電流の経路を示す。
図14は、内側埋設通電部材30の第8通電部材30C8が高電位に接続され、且つ、内側埋設通電部材30の第10通電部材30C10が低電位に接続されたときに第3ワイヤSA3を流れる電流の経路を示す。
図15は、内側埋設通電部材30の第9通電部材30C9が高電位に接続され、且つ、内側埋設通電部材30の第10通電部材30C10が低電位に接続されたときに第4ワイヤSA4を流れる電流の経路を示す。
図16は、外側埋設通電部材80の第4通電部材80C4が高電位に接続され、且つ、外側埋設通電部材80の第6通電部材80C6が低電位に接続されたときに第9ワイヤSA9を流れる電流の経路を示す。
図17は、外側埋設通電部材80の第5通電部材80C5が高電位に接続され、且つ、外側埋設通電部材80の第6通電部材80C6が低電位に接続されたときに第10ワイヤSA10を流れる電流の経路を示す。
【0083】
第1ワイヤSA1、第2ワイヤSA2、第3ワイヤSA3、第4ワイヤSA4を流れる電流の経路に関する後述の説明は、それぞれ、第5ワイヤSA5、第6ワイヤSA6、第7ワイヤSA7、第8ワイヤSA8を流れる電流の経路についても同様に適用される。また、第9ワイヤSA9、第10ワイヤSA10を流れる電流の経路に関する後述の説明は、それぞれ、第11ワイヤSA11、第12ワイヤSA12を流れる電流の経路についても同様に適用される。
【0084】
内側埋設通電部材30の第1通電部材30C1が高電位に接続され、且つ、内側埋設通電部材30の第10通電部材30C10が低電位に接続されると、電流は、
図12の矢印AR1で示すように第1ワイヤSA1を流れる。具体的には、電流は、第1通電部材30C1、第1外側ターミナルプレート5F1、第1ワイヤSA1、第1内側ターミナルプレート5M1、及び左内側導電部材7L(第1左内側固定部分7IL1、第1左弾性部分7GL1、及び左外側固定部分7EL)を通って第10通電部材30C10に流れる。
【0085】
内側埋設通電部材30の第2通電部材30C2が高電位に接続され、且つ、内側埋設通電部材30の第10通電部材30C10が低電位に接続されると、電流は、
図13の矢印AR2で示すように第2ワイヤSA2を流れる。具体的には、電流は、第2通電部材30C2、第2外側ターミナルプレート5F2、第2ワイヤSA2、第1内側ターミナルプレート5M1、及び左内側導電部材7L(第1左内側固定部分7IL1、第1左弾性部分7GL1、及び左外側固定部分7EL)を通って第10通電部材30C10に流れる。
【0086】
図示例では、第1ワイヤSA1を流れる電流の経路と第2ワイヤSA2を流れる電流の経路とは部分的に重複している。具体的には、二つの電流の経路は、第1内側ターミナルプレート5M1、左内側導電部材7L(第1左内側固定部分7IL1、第1左弾性部分7GL1、及び左外側固定部分7EL)、及び第10通電部材30C10を通る部分で重複している。この構成は、部品点数を削減できるという効果をもたらす。
【0087】
内側埋設通電部材30の第8通電部材30C8が高電位に接続され、且つ、内側埋設通電部材30の第10通電部材30C10が低電位に接続されると、電流は、
図14の矢印AR3で示すように第3ワイヤSA3を流れる。具体的には、電流は、第8通電部材30C8、第3外側ターミナルプレート5F3、第3ワイヤSA3、第2内側ターミナルプレート5M2、及び左内側導電部材7L(第2左内側固定部分7IL2、第2左弾性部分7GL2、及び左外側固定部分7EL)を通って第10通電部材30C10に流れる。
【0088】
内側埋設通電部材30の第9通電部材30C9が高電位に接続され、且つ、内側埋設通電部材30の第10通電部材30C10が低電位に接続されると、電流は、
図15の矢印AR4で示すように第4ワイヤSA4を流れる。具体的には、電流は、第9通電部材30C9、第4外側ターミナルプレート5F4、第4ワイヤSA4、第2内側ターミナルプレート5M2、及び左内側導電部材7L(第2左内側固定部分7IL2、第2左弾性部分7GL2、及び左外側固定部分7EL)を通って第10通電部材30C10に流れる。
【0089】
図示例では、第3ワイヤSA3を流れる電流の経路と第4ワイヤSA4を流れる電流の経路とは部分的に重複している。具体的には、二つの電流の経路は、第2内側ターミナルプレート5M2、左内側導電部材7L(第2左内側固定部分7IL2、第2左弾性部分7GL2、及び左外側固定部分7EL)、及び第10通電部材30C10を通る部分で重複している。この構成は、部品点数を削減できるという効果をもたらす。
【0090】
また、第1ワイヤSA1~第4ワイヤSA4のそれぞれを流れる電流の経路は互いに部分的に重複している。具体的には、四つの電流の経路は、左外側固定部分7EL及び第10通電部材30C10を通る部分で重複している。この構成は、部品点数を削減できるという効果をもたらす。
【0091】
外側埋設通電部材80の第4通電部材80C4が高電位に接続され、且つ、外側埋設通電部材80の第6通電部材80C6が低電位に接続されると、電流は、
図16の矢印AR5で示すように第9ワイヤSA9を流れる。具体的には、電流は、第4通電部材80C4、第9外側ターミナルプレート5F9、第9ワイヤSA9、第5内側ターミナルプレート5M5、及び左外側導電部材6L(第1左内側固定部分6IL1、第1左弾性部分6GL1、及び左外側固定部分6EL)を通って第6通電部材80C6に流れる。
【0092】
外側埋設通電部材80の第5通電部材80C5が高電位に接続され、且つ、外側埋設通電部材80の第6通電部材80C6が低電位に接続されると、電流は、
図17の矢印AR6で示すように第10ワイヤSA10を流れる。具体的には、電流は、第5通電部材80C5、第10外側ターミナルプレート5F10、第10ワイヤSA10、第6内側ターミナルプレート5M6、及び左外側導電部材6L(第2左内側固定部分6IL2、第2左弾性部分6GL2、及び左外側固定部分6EL)を通って第6通電部材80C6に流れる。
【0093】
図示例では、第9ワイヤSA9を流れる電流の経路と第10ワイヤSA10を流れる電流の経路とは部分的に重複している。具体的には、二つの電流の経路は、左外側導電部材6Lの左外側固定部分6EL、及び、外側埋設通電部材80の第6通電部材80C6を通る部分で重複している。この構成は、部品点数を削減できるという効果をもたらす。
【0094】
なお、
図11~
図17において、形状記憶合金ワイヤSAの通電路を構成する部材(金属部材5、外側導電部材6、内側導電部材7、内側埋設通電部材30、及び外側埋設通電部材80)のうち、隣接する二つの部材は互いに接続されている。この接続は、溶接又は導電性接合材(導電性接着剤若しくは半田)によって実現される。例えば、
図15において、隣接する第9通電部材30C9と第4外側ターミナルプレート5F4とは半田によって接合されている。
【0095】
モジュール駆動装置100の外部にある制御装置は、第1外側ターミナルプレート5F1~第8外側ターミナルプレート5F8及び内側導電部材7に接続された内側埋設通電部材30に印加される電圧を制御することにより、第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8のそれぞれの伸縮を制御できる。また、制御装置は、第9外側ターミナルプレート5F9~第12外側ターミナルプレート5F12及び外側導電部材6に接続された外側埋設通電部材80に印加される電圧を制御することにより、第9ワイヤSA9~第12ワイヤSA12のそれぞれの伸縮を制御できる。
【0096】
或いは、制御装置は、第1外側ターミナルプレート5F1~第8外側ターミナルプレート5F8及び内側導電部材7に接続された内側埋設通電部材30を介して第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8のそれぞれに供給される電流を制御することにより、第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8のそれぞれの伸縮を制御できる。また、制御装置は、第9外側ターミナルプレート5F9~第12外側ターミナルプレート5F12及び外側導電部材6に接続された外側埋設通電部材80を介して第9ワイヤSA9~第12ワイヤSA12のそれぞれに供給される電流を制御することにより、第9ワイヤSA9~第12ワイヤSA12のそれぞれの伸縮を制御できる。
【0097】
なお、制御装置は、モジュール駆動装置100内に配置されていてもよい。また、制御装置は、モジュール駆動装置100の構成要素であってもよい。
【0098】
このような構成により、制御装置は、第1回転軸RX1の回り、第2回転軸RX2の回り、及び、第3回転軸RX3の回りの少なくとも一つでモジュール保持体2を回転(回動又は揺動)させることができる。このようなモジュール保持体2の動きにより、制御装置は、手振れ補正機能を実現してもよい。
【0099】
次に、
図18~
図21を参照し、駆動部DMの詳細について説明する。
図18は、モジュール保持体2の3自由度の動きのそれぞれを実現する際の形状記憶合金ワイヤSAの伸縮状態を示す表である。具体的には、
図18の左表は、モジュール保持体2の3自由度の動きのそれぞれを実現する際の第1形状記憶合金ワイヤSC1(第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8)の伸縮状態を示す表であり、
図18の右表は、モジュール保持体2の1自由度の動きを実現する際の第2形状記憶合金ワイヤSC2(第9ワイヤSA9~第12ワイヤSA12)の伸縮状態を示す表である。なお、
図18の「収縮」は、基準状態の形状記憶合金ワイヤSAを収縮させることを表し、
図18の「伸張」は、基準状態の形状記憶合金ワイヤSAを伸張させることを表す。基準状態は、モジュール駆動装置100が中立状態にあるときの形状記憶合金ワイヤSAの状態を意味する。図示例では、モジュール駆動装置100が中立状態にあるとき、第1ワイヤSA1~第12ワイヤSA12のそれぞれは、電流が流されているため、弛んでいない。
図19は、連結部材3に対して第2回転軸RX2の回りでモジュール保持体2が回転(揺動)したときのモジュール保持体2及び連結部材3の正面図である。
図20は、連結部材3に対して第3回転軸RX3の回りでモジュール保持体2が回転(揺動)したときのモジュール保持体2及び連結部材3の右側面図である。
図21は、ベース部材8に対して第1回転軸RX1の回りでモジュール保持体2及び連結部材3が回転(回動)したときの三部材(モジュール保持体2、連結部材3、及びベース部材8)の上面図である。具体的には、
図21の上図は、ベース部材8に対して第1回転軸RX1の回りでモジュール保持体2及び連結部材3が回動したときの三部材の上面図であり、
図21の下図は、ベース部材8に対して第1回転軸RX1の回りでモジュール保持体2が回動し、且つ、連結部材3に対して第1回転軸RX1の回りでモジュール保持体2が回動したときの三部材の上面図である。
図19~
図21では、明瞭化のため、モジュール保持体2に細かいドットパターンが付され、連結部材3に粗いドットパターンが付され、ベース部材8に更に粗いドットパターンが付されている。なお、
図19~
図21では、モジュール保持体2を構成する下側部材2Vの図示が省略されている。
【0100】
図19は、連結部材3に対してX軸(第2回転軸RX2)の回りで反時計回りに角度α1だけモジュール保持体2が揺動したときのモジュール保持体2及び連結部材3の正面図である。制御装置は、正面視において連結部材3に対してX軸(第2回転軸RX2)の回りで反時計回りにモジュール保持体2を揺動させる場合、
図18の左表に示すように、第1ワイヤSA1、第2ワイヤSA2、第3ワイヤSA3、及び第8ワイヤSA8を略同じ収縮量で収縮させ、且つ、第4ワイヤSA4、第5ワイヤSA5、第6ワイヤSA6、及び第7ワイヤSA7を略同じ伸張量で伸張させる。図示例では、二つの形状記憶合金ワイヤSAを略同じ伸張量で伸張させることは、二つの形状記憶合金ワイヤSAの長さが略同じである所定の長さになるまで二つの形状記憶合金ワイヤSAを伸張させることを意味する。また、二つの形状記憶合金ワイヤSAを略同じ収縮量で収縮させることは、二つの形状記憶合金ワイヤSAの長さが略同じである所定の長さになるまで二つの形状記憶合金ワイヤSAを収縮させることを意味する。以下の説明においても同様である。具体的には、制御装置は、第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8のそれぞれに供給される電流の大きさを個別に調整することによって第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8のそれぞれの伸縮量を上述のように制御する。この制御装置による制御により、第1駆動部DM1は、
図19に示すように、連結部材3に対してX軸(第2回転軸RX2)の回りで反時計回りにモジュール保持体2を揺動させることができる。
【0101】
制御装置は、正面視において連結部材3に対してX軸(第2回転軸RX2)の回りに時計回りにモジュール保持体2を回転させる場合、
図18の左表に示すように、第1ワイヤSA1、第2ワイヤSA2、第3ワイヤSA3、及び第8ワイヤSA8を略同じ伸張量で伸張させ、且つ、第4ワイヤSA4、第5ワイヤSA5、第6ワイヤSA6、及び第7ワイヤSA7を略同じ収縮量で収縮させる。制御装置は、第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8のそれぞれに供給される電流の大きさを個別に調整することによって第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8のそれぞれの伸縮量を上述のように制御する。この制御装置による制御により、第1駆動部DM1は、連結部材3に対してX軸(第2回転軸RX2)の回りに時計回りにモジュール保持体2を揺動させることができる。
【0102】
図20は、連結部材3に対してY軸(第3回転軸RX3)の回りで反時計回りに角度α2だけモジュール保持体2が揺動したときのモジュール保持体2及び連結部材3の右側面図である。制御装置は、右側面視において連結部材3に対してY軸(第3回転軸RX3)の回りで反時計回りにモジュール保持体2を揺動させる場合、
図18の左表に示すように、第1ワイヤSA1、第3ワイヤSA3、第4ワイヤSA4、及び第6ワイヤSA6を略同じ収縮量で収縮させ、且つ、第2ワイヤSA2、第5ワイヤSA5、第7ワイヤSA7、及び第8ワイヤSA8を略同じ伸張量で伸張させる。具体的には、制御装置は、第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8のそれぞれに供給される電流の大きさを個別に調整することによって第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8のそれぞれの伸縮量を上述のように制御する。この制御装置による制御により、第1駆動部DM1は、
図20に示すように、連結部材3に対してY軸(第3回転軸RX3)の回りで反時計回りにモジュール保持体2を揺動させることができる。
【0103】
制御装置は、右側面視において連結部材3に対してY軸(第3回転軸RX3)の回りで時計回りにモジュール保持体2を揺動させる場合、
図18の左表に示すように、第1ワイヤSA1、第3ワイヤSA3、第4ワイヤSA4、及び第6ワイヤSA6を略同じ伸張量で伸張させ、且つ、第2ワイヤSA2、第5ワイヤSA5、第7ワイヤSA7、及び第8ワイヤSA8を略同じ収縮量で収縮させる。具体的には、制御装置は、第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8のそれぞれに供給される電流の大きさを個別に調整することによって第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8のそれぞれの伸縮量を上述のように制御する。この制御装置による制御により、第1駆動部DM1は、連結部材3に対してY軸(第3回転軸RX3)の回りで時計回りにモジュール保持体2を揺動させることができる。
【0104】
図21の上図は、ベース部材8に対してZ軸(第1回転軸RX1)の回りで時計回りに角度α3だけ連結部材3(モジュール保持体2を含む)が回動したときの三部材の上面図である。また、
図21の下図は、ベース部材8に対してZ軸(第1回転軸RX1)の回りで時計回りに角度α3だけ連結部材3が回動し、且つ、連結部材3に対してZ軸(第1回転軸RX1)の回りで角度α4だけモジュール保持体2が回動したときの三部材の上面図である。すなわち、
図21の下図は、ベース部材8に対してZ軸(第1回転軸RX1)の回りで時計回りに角度α5だけモジュール保持体2が回動したときの三部材の上面図である。角度α5は、角度α3と角度α4との合計である。
【0105】
制御装置は、上面視においてベース部材8に対してZ軸(第1回転軸RX1)の回りで時計回りに連結部材3を回動させる場合、
図18の右表に示すように、第9ワイヤSA9及び第11ワイヤSA11を略同じ収縮量で収縮させ、且つ、第10ワイヤSA10及び第12ワイヤSA12を略同じ伸張量で伸張させる。具体的には、制御装置は、第9ワイヤSA9~第12ワイヤSA12のそれぞれに供給される電流の大きさを個別に調整することによって第9ワイヤSA9~第12ワイヤSA12のそれぞれの伸縮量を上述のように制御する。この制御装置による制御により、第2駆動部DM2は、
図21の上図に示すように、ベース部材8に対してZ軸(第1回転軸RX1)の回りで時計回りに連結部材3(モジュール保持体2を含む)を回動させることができる。
【0106】
また、制御装置は、上面視において連結部材3に対してZ軸(第1回転軸RX1)の回りで時計回りにモジュール保持体2を回動させる場合、
図18の左表に示すように、第1ワイヤSA1、第2ワイヤSA2、第5ワイヤSA5、及び第6ワイヤSA6のそれぞれを略同じ収縮量で収縮させ、且つ、第3ワイヤSA3、第4ワイヤSA4、第7ワイヤSA7、及び第8ワイヤSA8のそれぞれを略同じ伸張量で伸張させる。具体的には、制御装置は、第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8のそれぞれに供給される電流の大きさを個別に調整することによって第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8のそれぞれの伸縮量を上述のように制御する。この制御装置による制御により、第1駆動部DM1は、
図21の下図に示すように、連結部材3に対してZ軸(第1回転軸RX1)の回りで時計回りにモジュール保持体2を回動させることができる。
【0107】
制御装置は、上面視においてベース部材8に対してZ軸(第1回転軸RX1)の回りで反時計回りに連結部材3を回転させる場合、
図18の右表に示すように、第9ワイヤSA9及び第11ワイヤSA11を略同じ伸張量で伸張させ、且つ、第10ワイヤSA10及び第12ワイヤSA12を略同じ収縮量で収縮させる。具体的には、制御装置は、第9ワイヤSA9~第12ワイヤSA12のそれぞれに供給される電流の大きさを個別に調整することによって第9ワイヤSA9~第12ワイヤSA12のそれぞれの伸縮量を上述のように制御する。この制御装置による制御により、第2駆動部DM2は、ベース部材8に対してZ軸(第1回転軸RX1)の回りで反時計回りに連結部材3(モジュール保持体2を含む)を回動させることができる。
【0108】
また、制御装置は、上面視において連結部材3に対してZ軸(第1回転軸RX1)の回りで反時計回りにモジュール保持体2を回動させる場合、
図18の左表に示すように、第1ワイヤSA1、第2ワイヤSA2、第5ワイヤSA5、及び第6ワイヤSA6のそれぞれを略同じ伸張量で伸張させ、且つ、第3ワイヤSA3、第4ワイヤSA4、第7ワイヤSA7、及び第8ワイヤSA8のそれぞれを略同じ収縮量で収縮させる。具体的には、制御装置は、第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8のそれぞれに供給される電流の大きさを個別に調整することによって第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8のそれぞれの伸縮量を上述のように制御する。この制御装置による制御により、第1駆動部DM1は、連結部材3に対してZ軸(第1回転軸RX1)の回りで反時計回りにモジュール保持体2を回転させることができる。
【0109】
次に、
図22を参照し、レンズ駆動装置LDの構成例について説明する。
図22は、レンズ駆動装置LDの分解斜視図である。
図22に示す例では、レンズ駆動装置LDは、レンズ保持体2x、モジュール側金属部材5x、板ばね6x、モジュール側ベース部材8x、モジュール側埋設通電部材20x、及びモジュール側形状記憶合金ワイヤSBを含む。
【0110】
レンズ保持体2xは、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂を射出成形することで形成されている。具体的には、レンズ保持体2xは、
図22に示すように、光軸OAに沿って延びるように形成された筒状部12xと、筒状部12xから径方向外側に突出するように形成された可動側台座部2Dx及び突設部2Sxと、を含む。
図22に示す例では、筒状部12xの内周面には、その内周面の上半分とレンズ体LS(
図2参照。)との間に接着剤が行き渡るように螺旋溝が形成されている。
【0111】
可動側台座部2Dxは、第1可動側台座部2D1x及び第2可動側台座部2D2xを含む。第1可動側台座部2D1x及び第2可動側台座部2D2xは、光軸OAを挟んで互いに反対方向(径方向外側)に延びるように配置されている。突設部2Sxは、第1突設部2S1x及び第2突設部2S2xを含む。第1突設部2S1x及び第2突設部2S2xは、光軸OAを挟んで互いに反対方向(径方向外側)に延びるように配置されている。具体的には、可動側台座部2Dx及び突設部2Sxは、上面視で略矩形枠状の外形を有するレンズ保持体2xの四つの角部に対応するように配置され、且つ、交互に並ぶように配置されている。そして、二つの可動側台座部2Dxのそれぞれには、板ばね6xの一部が載置され且つ固定される。
【0112】
板ばね6xは、モジュール側可動部材MBxの上側において、互いに相対的に移動するモジュール側可動部材MBx(レンズ保持体2x)とモジュール側固定部材FBx(モジュール側ベース部材8x)との間を繋ぐ可撓性の導電部材である。具体的には、板ばね6xは、例えば、銅合金、チタン銅系合金(チタン銅)、又は銅ニッケル合金(ニッケルすず銅)等を主な材料とした導電性の金属板から作製されている。
図22に示す例では、板ばね6xは、第1板ばね6Ax及び第2板ばね6Bxを含む。
【0113】
モジュール側ベース部材8xは、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂を用いた射出成形によって形成される。
図22に示す例では、モジュール側ベース部材8xは、ベース部材8と同様に、上面視で略矩形枠状の輪郭を有し、中央に開口8Kxを有する。具体的には、モジュール側ベース部材8xは、円形の開口8Kxを囲むように配置される矩形環状の枠部を有する。そして、枠部は、四つの辺部8Ex(第1辺部8E1x~第4辺部8E4x)を有する。図示例では、モジュール側ベース部材8xは、接着剤等でモジュール保持体2の下側部材2Vに固定され、モジュール保持体2とともにカメラモジュールMDの筐体を構成する。
【0114】
板ばね6xは、レンズ保持体2xに形成された可動側台座部2Dxと、モジュール側ベース部材8xに形成された固定側台座部8Dxとを繋ぐように構成されている。固定側台座部8Dxは、モジュール側ベース部材8xの枠部から上方に突出する部分であり、第1固定側台座部8D1x及び第2固定側台座部8D2xを含む。
【0115】
より具体的には、第1板ばね6Axは、レンズ保持体2xに形成された第1可動側台座部2D1xと、モジュール側ベース部材8xに形成された第1固定側台座部8D1x及び第2固定側台座部8D2xのそれぞれとを繋ぐように構成されている。第2板ばね6Bxは、レンズ保持体2xに形成された第2可動側台座部2D2xと、モジュール側ベース部材8xに形成された第1固定側台座部8D1x及び第2固定側台座部8D2xのそれぞれとを繋ぐように構成されている。
【0116】
モジュール側ベース部材8xは、八本のモジュール側形状記憶合金ワイヤSBのそれぞれの一端を支持する固定側ワイヤ支持部として機能するように構成されている。レンズ保持体2xは、八本のモジュール側形状記憶合金ワイヤSBのそれぞれの他端を支持する可動側ワイヤ支持部として機能するように構成されている。この構成により、モジュール側可動部材MBxは、八本のモジュール側形状記憶合金ワイヤSBによってモジュール側固定部材FBxに対して6自由度で移動可能な状態で支持されている。
【0117】
モジュール側ベース部材8xは、銅、鉄、又はそれらを主成分とする合金等の材料を含む導電性の金属板から形成されたモジュール側埋設通電部材20xがインサート成形によって埋め込まれるように構成されている。
【0118】
モジュール側埋設通電部材20xは、モジュール側形状記憶合金ワイヤSBの通電に用いられる部材である。図示例では、モジュール側埋設通電部材20xは、互いに独立した11個の部材(第1通電部材CD1~第11通電部材CD11)を含む。
【0119】
モジュール側金属部材5xは、モジュール側形状記憶合金ワイヤSBの端部が固定されるように構成されている。
図22に示す例では、モジュール側金属部材5xは、非磁性金属で形成され、外側金属部材5K及び内側金属部材5Wを含む。外側金属部材5Kは、モジュール側ベース部材8xの固定側台座部8Dxに接着固定されるように構成されている。内側金属部材5Wは、レンズ保持体2xの可動側台座部2Dxに接着固定されるように構成されている。
【0120】
図22に示す例では、外側金属部材5Kは、外側ターミナルプレートとも称され、第1外側ターミナルプレート5K1~第8外側ターミナルプレート5K8を含む。内側金属部材5Wは、内側ターミナルプレートとも称され、第1内側ターミナルプレート5W1~第4内側ターミナルプレート5W4を含む。
【0121】
第1板ばね6Axは、モジュール側ベース部材8xの第1固定側台座部8D1xに固定される第1部分6A1xと、モジュール側ベース部材8xの第2固定側台座部8D2xに固定される第2部分6A2xと、レンズ保持体2xの第1可動側台座部2D1xに固定される第3部分6A3xと、を有する。第1部分6A1xは、モジュール側ベース部材8xに埋設されたモジュール側埋設通電部材20x(第9通電部材CD9)にレーザ溶接等によって接続され、第3部分6A3xは、半田付け等によって第2内側ターミナルプレート5W2及び第3内側ターミナルプレート5W3のそれぞれに接続される。
【0122】
第2板ばね6Bxは、モジュール側ベース部材8xの第1固定側台座部8D1xに固定される第1部分6B1xと、モジュール側ベース部材8xの第2固定側台座部8D2xに固定される第2部分6B2xと、レンズ保持体2xの第2可動側台座部2D2xに固定される第3部分6B3xと、を有する。第2部分6B2xは、モジュール側ベース部材8xに埋設されたモジュール側埋設通電部材20x(第4通電部材CD4)にレーザ溶接等によって接続され、第3部分6B3xは、半田付け等によって第1内側ターミナルプレート5W1及び第4内側ターミナルプレート5W4のそれぞれに接続される。
【0123】
モジュール側形状記憶合金ワイヤSBは、形状記憶アクチュエータの別の一例であり、形状記憶合金ワイヤSAと同様に、電流が流れると温度が上昇し、その温度の上昇に応じて収縮する。具体的には、モジュール側形状記憶合金ワイヤSBは、モジュール保持体2の上側部材2Uの外周壁部2Aの内面に沿うように配置されており、モジュール側固定部材FBxに対してモジュール側可動部材MBxを動かすことができるように構成されている。
図22に示す例では、モジュール側形状記憶合金ワイヤSBは、略同じ長さと略同じ直径を有する第1ワイヤSB1~第8ワイヤSB8を含み、モジュール側固定部材FBxとしてのモジュール側ベース部材8xに対して、モジュール側可動部材MBxとしてのレンズ保持体2xを動かすことができるように構成されている。第1ワイヤSB1~第8ワイヤSB8のそれぞれは、形状記憶合金ワイヤSAと同様に、一端が圧着又は溶接等により外側金属部材5Kに固定され、且つ、他端が圧着又は溶接等により内側金属部材5Wに固定されている。
【0124】
そして、第1ワイヤSB1~第8ワイヤSB8のそれぞれの一端が固定される第1外側ターミナルプレート5K1~第8外側ターミナルプレート5K8のそれぞれは、モジュール側ベース部材8xに埋設されたモジュール側埋設通電部材20xを介して可撓性基板FCに形成された対応する導電パターンに電気的に接続されている。第1ワイヤSB1~第8ワイヤSB8のそれぞれの他端が固定される第1内側ターミナルプレート5W1~第4内側ターミナルプレート5W4のそれぞれは、板ばね6x(第1板ばね6Ax及び第2板ばね6Bx)、及び、モジュール側ベース部材8xに埋設されたモジュール側埋設通電部材20xを介して可撓性基板FCに形成された対応する導電パターンに電気的に接続されている。このため、レンズ駆動装置LDは、可撓性基板FCを介して、第1ワイヤSB1~第8ワイヤSB8のそれぞれを流れる電流の供給を受けることができるように構成されている。
【0125】
また、モジュール側形状記憶合金ワイヤSBは、モジュール側駆動部DMxを構成している。モジュール側駆動部DMxは、モジュール側形状記憶合金ワイヤSBの収縮を利用することにより、モジュール側ベース部材8xに対してレンズ保持体2xを移動させることができる。モジュール側形状記憶合金ワイヤSBは、第1ワイヤSB1~第8ワイヤSB8のうちの一つ又は複数が収縮するとレンズ保持体2xが移動し、その移動によって別の一つ又は複数が引き延ばされるように構成されている。
【0126】
具体的には、レンズ駆動装置LDが中立状態にあるとき、X1側から見た正面視において、第1ワイヤSB1は、その一端がその他端よりも低い位置となるように配置され、第2ワイヤSB2は、その一端がその他端よりも高い位置となるように配置され、更に、第1ワイヤSB1と第2ワイヤSB2とは交差するように配置されている。また、Z1側から見た上面視において、第1ワイヤSB1及び第2ワイヤSB2のそれぞれの一端は、第1内側ターミナルプレート5W1に固定される他端よりも外側(X1側)となるように外側金属部材5Kに固定されている。
【0127】
Y1側から見た左側面視において、第3ワイヤSB3は、その一端がその他端よりも低い位置となるように配置され、第4ワイヤSB4は、その一端がその他端よりも高い位置となるように配置され、更に、第3ワイヤSB3と第4ワイヤSB4とは交差するように配置されている。また、上面視において、第3ワイヤSB3及び第4ワイヤSB4のそれぞれの一端は、他端よりも外側(Y1側)に位置している。
【0128】
X2側から見た背面視において、第5ワイヤSB5は、その一端がその他端よりも低い位置となるように配置され、第6ワイヤSB6は、その一端がその他端よりも高い位置となるように配置され、更に、第5ワイヤSB5と第6ワイヤSB6とは交差するように配置されている。また、上面視において、第5ワイヤSB5及び第6ワイヤSB6のそれぞれの一端は、他端よりも外側(X2側)に位置している。
【0129】
Y2側から見た右側面視において、第7ワイヤSB7は、その一端がその他端よりも低い位置となるように配置され、第8ワイヤSB8は、その一端がその他端よりも高い位置となるように配置され、更に、第7ワイヤSB7と第8ワイヤSB8とは交差するように配置されている。また、上面視において、第7ワイヤSB7及び第8ワイヤSB8のそれぞれの一端は、他端よりも外側(Y2側)に位置している。
【0130】
すなわち、側面視において、第1ワイヤSB1~第8ワイヤSB8はいずれも、X軸及びY軸に対して斜めに(非平行に)延びるように配置されている。
【0131】
但し、第1ワイヤSB1と第2ワイヤSB2は、正面視において斜めに延びるように配置されていればよく、正面視において互いに交差している必要はない。第3ワイヤSB3と第4ワイヤSB4との関係、第5ワイヤSB5と第6ワイヤSB6との関係、及び、第7ワイヤSB7と第8ワイヤSB8との関係においても同様である。
【0132】
図22に示す例では、モジュール側駆動部DMxは、原理的には、モジュール側可動部材MBxの6自由度の動きを実現できるように構成されている。6自由度の動きは、光軸方向である第1方向(Z軸方向)における並進、第1方向(Z軸方向)に垂直な第2方向(X軸方向)における並進、第1方向及び第2方向のそれぞれに垂直な第3方向(Y軸方向)における並進、Z軸回りの回転、X軸回りの回転、並びに、Y軸回りの回転を含む。第1方向(Z軸方向)は、レンズ体LSの光軸OAと一致する第1回転軸RX1に平行な方向であり、第2方向(X軸方向)は、第2回転軸RX2に平行な方向であり、第3方向(Y軸方向)は、第3回転軸RX3に平行な方向である。
図22に示す例では、モジュール側駆動部DMxは、Z軸回りの回転、X軸回りの回転、及び、Y軸回りの回転については利用しないように構成されている。駆動部DMによってモジュール保持体2をZ軸回りに回動させることにより、Z軸回りのカメラモジュールMDの回転が実現されるためであり、レンズ保持体2xまでをもZ軸回りに回転させる必要はないためである。X軸回りの回転及びY軸回りの回転についても同様である。
【0133】
次に、
図23及び
図24を参照し、モジュール側金属部材5x、板ばね6x、モジュール側埋設通電部材20x、及びモジュール側形状記憶合金ワイヤSBの位置関係について説明する。
図23及び
図24は、モジュール側金属部材5x、板ばね6x、モジュール側埋設通電部材20x、及びモジュール側形状記憶合金ワイヤSBの位置関係を示す図である。具体的には、
図23は、互いに組み合わされたモジュール側金属部材5x、板ばね6x、モジュール側埋設通電部材20x、及びモジュール側形状記憶合金ワイヤSBの斜視図であり、
図24は、互いに組み合わされた内側金属部材5W及び板ばね6xの上面図である。
【0134】
板ばね6xのうちの一つである第1板ばね6Axは、
図23に示すように、モジュール側ベース部材8xの第1固定側台座部8D1x(
図22参照)に固定される第1部分6A1xと、モジュール側ベース部材8xの第2固定側台座部8D2x(
図22参照)に固定される第2部分6A2xと、レンズ保持体2xの第1可動側台座部2D1x(
図22参照)に固定される第3部分6A3xと、第1部分6A1xと第3部分6A3xを繋ぐ第4部分6A4xと、第2部分6A2xと第3部分6A3xを繋ぐ第5部分6A5xと、を有する。板ばね6xのうちの別の一つである第2板ばね6Bxは、
図23に示すように、モジュール側ベース部材8xの第1固定側台座部8D1x(
図22参照)に固定される第1部分6B1xと、モジュール側ベース部材8xの第2固定側台座部8D2x(
図22参照)に固定される第2部分6B2xと、レンズ保持体2xの第2可動側台座部2D2x(
図22参照)に固定される第3部分6B3xと、第1部分6B1xと第3部分6B3xを繋ぐ第4部分6B4xと、第2部分6B2xと第3部分6B3xを繋ぐ第5部分6B5xと、を有する。
【0135】
第1板ばね6Axの第1部分6A1xには、第1固定側台座部8D1xに形成された上側に突出する円柱状の突出部が挿通される貫通孔と、第9通電部材CD9の上端部との接合に用いられる貫通孔とが形成されている。図示例では、第1部分6A1xと第1固定側台座部8D1xとの固定は、突出部に熱かしめ又は冷間かしめを施すことによって実現される。但し、第1部分6A1xと突出部との固定は、接着剤によって実現されてもよい。図示例では、第1部分6A1xと第9通電部材CD9との接合は、レーザ溶接等の溶接によって実現される。但し、第1部分6A1xと第9通電部材CD9との接合は、半田又は導電性接着剤等によって実現されてもよい。第2板ばね6Bxの第2部分6B2xについても同様である。
【0136】
第1板ばね6Axの第3部分6A3xには、第1可動側台座部2D1xに形成された上側に突出する円柱状の突出部が挿通される貫通孔と、第2内側ターミナルプレート5W2及び第3内側ターミナルプレート5W3のそれぞれとの接合に用いられる部分とが形成されている。図示例では、第3部分6A3xと第1可動側台座部2D1xとの固定は、突出部に熱かしめ又は冷間かしめを施すことによって実現される。但し、第3部分6A3xと第1可動側台座部2D1xとの固定は、接着剤によって実現されてもよい。図示例では、第3部分6A3xと第2内側ターミナルプレート5W2及び第3内側ターミナルプレート5W3のそれぞれとの接合は、レーザ溶接等の溶接によって実現される。但し、第3部分6A3xと第2内側ターミナルプレート5W2及び第3内側ターミナルプレート5W3のそれぞれとの接合は、半田又は導電性接着剤等によって実現されてもよい。第2板ばね6Bxの第3部分6B3xについても同様である。
【0137】
第1板ばね6Axの第2部分6A2xには、第2固定側台座部8D2xに形成された上側に突出する円柱状の突出部が挿通される貫通孔が形成されている。図示例では、第2部分6A2xと第2固定側台座部8D2xとの固定は、突出部に熱かしめ又は冷間かしめを施すことによって実現される。但し、第2部分6A2xと第2固定側台座部8D2xとの固定は、接着剤によって実現されてもよい。第2板ばね6Bxの第1部分6B1xについても同様である。
【0138】
図24に示すように、板ばね6xは、第1回転軸RX1に対して2回回転対称となるように構成されている。そのため、板ばね6xは、レンズ保持体2xの重量バランスに悪影響を及ぼすことはほとんどない。板ばね6xは、八本のモジュール側形状記憶合金ワイヤSB(第1ワイヤSB1~第8ワイヤSB8)によって駆動されるモジュール側可動部材MBxの重量バランスに悪影響を及ぼすこともほとんどない。
【0139】
外側金属部材5K(第1外側ターミナルプレート5K1~第8外側ターミナルプレート5K8)は、
図22及び
図23に示すように、モジュール側埋設通電部材20xを介して可撓性基板FCに形成された対応する導電パターンに電気的に接続されるように構成されている。図示例では、第1外側ターミナルプレート5K1は第2通電部材CD2に接続され、第2外側ターミナルプレート5K2は第1通電部材CD1に接続され、第3外側ターミナルプレート5K3は第11通電部材CD11に接続され、第4外側ターミナルプレート5K4は第10通電部材CD10に接続され、第5外側ターミナルプレート5K5は第8通電部材CD8に接続され、第6外側ターミナルプレート5K6は第7通電部材CD7に接続され、第7外側ターミナルプレート5K7は第6通電部材CD6に接続され、第8外側ターミナルプレート5K8は第5通電部材CD5に接続されている。
【0140】
図示例では、内側金属部材5Wと板ばね6xとは互いに接合されている。具体的には、
図24に示すように、第1内側ターミナルプレート5W1及び第4内側ターミナルプレート5W4は、レーザ溶接等の溶接によって第2板ばね6Bxの第3部分6B3xに略垂直に接合されている。第2内側ターミナルプレート5W2及び第3内側ターミナルプレート5W3は、レーザ溶接等の溶接によって第1板ばね6Axの第3部分6A3xに略垂直に接合されている。
【0141】
一方で、外側金属部材5Kと板ばね6xとは互いに接合されていない。具体的には、第1外側ターミナルプレート5K1及び第2外側ターミナルプレート5K2は、第2板ばね6Bxの第1部分6B1xから離間して配置されており、第3外側ターミナルプレート5K3及び第4外側ターミナルプレート5K4は、第1板ばね6Axの第1部分6A1xから離間して配置されている。また、第5外側ターミナルプレート5K5及び第6外側ターミナルプレート5K6は、第1板ばね6Axの第2部分6A2xから離間して配置されており、第7外側ターミナルプレート5K7及び第8外側ターミナルプレート5K8は、第2板ばね6Bxの第2部分6B2xから離間して配置されている。
【0142】
次に、
図25及び
図26を参照し、モジュール側形状記憶合金ワイヤSBを流れる電流の経路について説明する。
図25及び
図26は、
図23に示す構成の一部の斜視図である。
【0143】
具体的には、
図25は、第6通電部材CD6が高電位に接続され、且つ、第4通電部材CD4が低電位に接続されたときに第7ワイヤSB7を流れる電流の経路を示し、
図26は、第5通電部材CD5が高電位に接続され、且つ、第4通電部材CD4が低電位に接続されたときに第8ワイヤSB8を流れる電流の経路を示す。以下の説明は、第7ワイヤSB7又は第8ワイヤSB8を流れる電流の経路に関するが、第1ワイヤSB1又は第2ワイヤSB2を流れる電流の経路、第3ワイヤSB3又は第4ワイヤSB4を流れる電流の経路、及び、第5ワイヤSB5又は第6ワイヤSB6を流れる電流の経路についても同様に適用される。
【0144】
第6通電部材CD6が高電位に接続され、且つ、第4通電部材CD4が低電位に接続されると、電流は、
図25の矢印AR7で示すように第7ワイヤSB7を流れる。具体的には、電流は、第6通電部材CD6、第7外側ターミナルプレート5K7、第7ワイヤSB7、第4内側ターミナルプレート5W4、並びに、第2板ばね6Bx(第3部分6B3x、第5部分6B5x、及び第2部分6B2x)を通って第4通電部材CD4に流れる。
【0145】
第5通電部材CD5が高電位に接続され、且つ、第4通電部材CD4が低電位に接続されると、電流は、
図26の矢印AR8で示すように第8ワイヤSB8を流れる。具体的には、電流は、第5通電部材CD5、第8外側ターミナルプレート5K8、第8ワイヤSB8、第4内側ターミナルプレート5W4、並びに、第2板ばね6Bx(第3部分6B3x、第5部分6B5x、及び第2部分6B2x)を通って第4通電部材CD4に流れる。
【0146】
図示例では、第7ワイヤSB7を流れる電流の経路と第8ワイヤSB8を流れる電流の経路とは部分的に重複している。具体的には、二つの電流の経路は、第4内側ターミナルプレート5W4、第2板ばね6Bx(第3部分6B3x、第5部分6B5x、及び第2部分6B2x)、並びに第4通電部材CD4を通る部分で重複している。この構成は、部品点数を削減できるという効果をもたらす。
【0147】
制御装置は、第1外側ターミナルプレート5K1~第8外側ターミナルプレート5K8のそれぞれに印加される電圧を制御することにより、第1ワイヤSB1~第8ワイヤSB8のそれぞれの伸縮を制御できる。或いは、制御装置は、第1外側ターミナルプレート5K1~第8外側ターミナルプレート5K8のそれぞれを介して第1ワイヤSB1~第8ワイヤSB8のそれぞれに供給される電流を制御することにより、第1ワイヤSB1~第8ワイヤSB8のそれぞれの伸縮を制御できる。
【0148】
制御装置は、複数のモジュール側形状記憶合金ワイヤSBに流れる電流を制御することによって、第1方向(光軸方向)と交差する方向にレンズ保持体2xを移動させてもよい。第1方向と交差する方向は、例えば、第1方向に垂直な第2方向(X軸方向)、又は、第1方向及び第2方向のそれぞれに垂直な第3方向(Y軸方向)であってもよい。制御装置は、Z軸回り、X軸回り、又は、Y軸回りでレンズ保持体2xを回転させてもよい。このようなレンズ保持体2xの動きにより、制御装置は、手振れ補正機能を実現してもよい。
【0149】
次に、
図27を参照し、モジュール側駆動部DMxの詳細について説明する。
図27は、レンズ保持体2xの6自由度の動きのそれぞれを実現する際のモジュール側形状記憶合金ワイヤSBの伸縮状態を示す表である。具体的には、
図27の「収縮」は、基準状態のモジュール側形状記憶合金ワイヤSBを収縮させることを表し、
図27の「伸張」は、基準状態のモジュール側形状記憶合金ワイヤSBを伸張させることを表す。基準状態は、カメラモジュールMD(レンズ駆動装置LD)が中立状態にあるときのモジュール側形状記憶合金ワイヤSBの状態を意味する。図示例では、カメラモジュールMD(レンズ駆動装置LD)が中立状態にあるとき、第1ワイヤSB1~第8ワイヤSB8のそれぞれは、電流が流されているため、弛んでいない。
【0150】
制御装置は、モジュール側ベース部材8xに対してX1方向(前方)にレンズ保持体2xを並進させる場合、
図27の表に示すように、第1ワイヤSB1及び第2ワイヤSB2を比較的小さく収縮させ、第3ワイヤSB3及び第4ワイヤSB4を比較的大きく収縮させ、第5ワイヤSB5及び第6ワイヤSB6を比較的小さく伸張させ、且つ、第7ワイヤSB7及び第8ワイヤSB8を比較的大きく伸張させる。第1ワイヤSB1及び第2ワイヤSB2を比較的小さく収縮させ、且つ、第3ワイヤSB3及び第4ワイヤSB4を比較的大きく収縮させることは、第1ワイヤSB1及び第2ワイヤSB2のそれぞれの収縮量が第3ワイヤSB3及び第4ワイヤSB4のそれぞれの収縮量よりも小さいことを意味する。第5ワイヤSB5及び第6ワイヤSB6を比較的小さく伸張させ、且つ、第7ワイヤSB7及び第8ワイヤSB8を比較的大きく伸張させることは、第5ワイヤSB5及び第6ワイヤSB6のそれぞれの伸張量が第7ワイヤSB7及び第8ワイヤSB8のそれぞれの伸張量よりも小さいことを意味する。図示例では、制御装置は、第1ワイヤSB1及び第2ワイヤSB2を略同じ収縮量で比較的小さく収縮させ、第3ワイヤSB3及び第4ワイヤSB4を略同じ収縮量で比較的大きく収縮させ、第5ワイヤSB5及び第6ワイヤSB6を略同じ伸張量で比較的小さく伸張させ、且つ、第7ワイヤSB7及び第8ワイヤSB8を略同じ伸張量で比較的大きく伸張させている。以下の説明においても同様である。具体的には、制御装置は、第1ワイヤSB1~第8ワイヤSB8のそれぞれに供給される電流の大きさを個別に調整することによって第1ワイヤSB1~第8ワイヤSB8のそれぞれを上述のように伸縮させる。この制御装置による制御により、モジュール側駆動部DMxは、モジュール側ベース部材8xに対してX1方向(前方)にレンズ保持体2xを並進させることができる。
【0151】
制御装置は、モジュール側ベース部材8xに対してX2方向(後方)にレンズ保持体2xを並進させる場合、
図27の表に示すように、第1ワイヤSB1及び第2ワイヤSB2を比較的小さく伸張させ、第3ワイヤSB3及び第4ワイヤSB4を比較的大きく伸張させ、第5ワイヤSB5及び第6ワイヤSB6を比較的小さく収縮させ、且つ、第7ワイヤSB7及び第8ワイヤSB8を比較的大きく収縮させる。この制御装置による制御により、モジュール側駆動部DMxは、モジュール側ベース部材8xに対してX2方向(後方)にレンズ保持体2xを並進させることができる。
【0152】
制御装置は、モジュール側ベース部材8xに対してY1方向(左方)にレンズ保持体2xを並進させる場合、
図27の表に示すように、第1ワイヤSB1及び第2ワイヤSB2を比較的大きく収縮させ、第3ワイヤSB3及び第4ワイヤSB4を比較的小さく収縮させ、第5ワイヤSB5及び第6ワイヤSB6を比較的大きく伸張させ、且つ、第7ワイヤSB7及び第8ワイヤSB8を比較的小さく伸張させる。この制御装置による制御により、モジュール側駆動部DMxは、モジュール側ベース部材8xに対してY1方向(左方)にレンズ保持体2xを並進させることができる。
【0153】
制御装置は、モジュール側ベース部材8xに対してY2方向(右方)にレンズ保持体2xを並進させる場合、
図27の表に示すように、第1ワイヤSB1及び第2ワイヤSB2を比較的大きく伸張させ、第3ワイヤSB3及び第4ワイヤSB4を比較的小さく伸張させ、第5ワイヤSB5及び第6ワイヤSB6を比較的大きく収縮させ、且つ、第7ワイヤSB7及び第8ワイヤSB8を比較的小さく収縮させる。この制御装置による制御により、モジュール側駆動部DMxは、モジュール側ベース部材8xに対してY2方向(右方)にレンズ保持体2xを並進させることができる。
【0154】
制御装置は、モジュール側ベース部材8xに対してZ1方向(上方)にレンズ保持体2xを並進させる場合、
図27の表に示すように、第1ワイヤSB1、第3ワイヤSB3、第5ワイヤSB5、及び第7ワイヤSB7を略同じ伸張量で伸張させ、且つ、第2ワイヤSB2、第4ワイヤSB4、第6ワイヤSB6、及び第8ワイヤSB8を略同じ収縮量で収縮させる。この制御装置による制御により、モジュール側駆動部DMxは、モジュール側ベース部材8xに対してZ1方向(上方)にレンズ保持体2xを並進させることができる。
【0155】
制御装置は、モジュール側ベース部材8xに対してZ2方向(下方)にレンズ保持体2xを並進させる場合、
図27の表に示すように、第1ワイヤSB1、第3ワイヤSB3、第5ワイヤSB5、及び第7ワイヤSB7を略同じ収縮量で収縮させ、且つ、第2ワイヤSB2、第4ワイヤSB4、第6ワイヤSB6、及び第8ワイヤSB8を略同じ伸張量で伸張させる。この制御装置による制御により、モジュール側駆動部DMxは、モジュール側ベース部材8xに対してZ2方向(下方)にレンズ保持体2xを並進させることができる。
【0156】
制御装置は、正面視においてモジュール側ベース部材8xに対してX軸(第2回転軸RX2)の回りに時計回りにレンズ保持体2xを回転させる場合、
図27の表に示すように、第1ワイヤSB1、第2ワイヤSB2、第3ワイヤSB3、及び第8ワイヤSB8を略同じ伸張量で伸張させ、且つ、第4ワイヤSB4、第5ワイヤSB5、第6ワイヤSB6、及び第7ワイヤSB7を略同じ収縮量で収縮させる。この制御装置による制御により、モジュール側駆動部DMxは、モジュール側ベース部材8xに対してX軸(第2回転軸RX2)の回りに時計回りにレンズ保持体2xを回転させることができる。
【0157】
制御装置は、正面視においてモジュール側ベース部材8xに対してX軸(第2回転軸RX2)の回りに反時計回りにレンズ保持体2xを回転させる場合、
図27の表に示すように、第1ワイヤSB1、第2ワイヤSB2、第3ワイヤSB3、及び第8ワイヤSB8を略同じ収縮量で収縮させ、且つ、第4ワイヤSB4、第5ワイヤSB5、第6ワイヤSB6、及び第7ワイヤSB7を略同じ伸張量で伸張させる。この制御装置による制御により、モジュール側駆動部DMxは、モジュール側ベース部材8xに対してX軸(第2回転軸RX2)の回りに反時計回りにレンズ保持体2xを回転させることができる。
【0158】
制御装置は、右側面視においてモジュール側ベース部材8xに対してY軸(第3回転軸RX3)の回りに時計回りにレンズ保持体2xを回転させる場合、
図27の表に示すように、第1ワイヤSB1、第3ワイヤSB3、第4ワイヤSB4、及び第6ワイヤSB6を略同じ伸張量で伸張させ、且つ、第2ワイヤSB2、第5ワイヤSB5、第7ワイヤSB7、及び第8ワイヤSB8を略同じ収縮量で収縮させる。この制御装置による制御により、モジュール側駆動部DMxは、モジュール側ベース部材8xに対してY軸(第3回転軸RX3)の回りに時計回りにレンズ保持体2xを回転させることができる。
【0159】
制御装置は、右側面視においてモジュール側ベース部材8xに対してY軸(第3回転軸RX3)の回りに反時計回りにレンズ保持体2xを回転させる場合、
図27の表に示すように、第1ワイヤSB1、第3ワイヤSB3、第4ワイヤSB4、及び第6ワイヤSB6を略同じ収縮量で収縮させ、且つ、第2ワイヤSB2、第5ワイヤSB5、第7ワイヤSB7、及び第8ワイヤSB8を略同じ伸張量で伸張させる。この制御装置による制御により、モジュール側駆動部DMxは、モジュール側ベース部材8xに対してY軸(第3回転軸RX3)の回りに反時計回りにレンズ保持体2xを回転させることができる。
【0160】
制御装置は、上面視においてモジュール側ベース部材8xに対してZ軸(第1回転軸RX1)の回りに時計回りにレンズ保持体2xを回転させる場合、
図27の表に示すように、第1ワイヤSB1、第2ワイヤSB2、第5ワイヤSB5、及び第6ワイヤSB6を略同じ収縮量で収縮させ、且つ、第3ワイヤSB3、第4ワイヤSB4、第7ワイヤSB7、及び第8ワイヤSB8を略同じ伸張量で伸張させる。この制御装置による制御により、モジュール側駆動部DMxは、モジュール側ベース部材8xに対してZ軸(第1回転軸RX1)の回りに時計回りにレンズ保持体2xを回転させることができる。
【0161】
制御装置は、上面視においてモジュール側ベース部材8xに対してZ軸(第1回転軸RX1)の回りに反時計回りにレンズ保持体2xを回転させる場合、
図27の表に示すように、第1ワイヤSB1、第2ワイヤSB2、第5ワイヤSB5、及び第6ワイヤSB6を略同じ伸張量で伸張させ、且つ、第3ワイヤSB3、第4ワイヤSB4、第7ワイヤSB7、及び第8ワイヤSB8を略同じ収縮量で収縮させる。この制御装置による制御により、モジュール側駆動部DMxは、モジュール側ベース部材8xに対してZ軸(第1回転軸RX1)の回りに反時計回りにレンズ保持体2xを回転させることができる。
【0162】
上述の構成により、制御装置は、レンズ保持体2xの6自由度の動きを実現できる。具体的には、制御装置は、第1ワイヤSB1~第8ワイヤSB8のそれぞれに供給される電流を個別に調整することにより、この6自由度の動きのそれぞれを実現できる。制御装置は、6自由度の動きのうちの複数を組み合わせることにより、レンズ保持体2xの動きを実現してもよい。図示例では、制御装置は、第1ワイヤSB1~第8ワイヤSB8のうちの一つ又は複数に電流を流すことによって、対応するモジュール側形状記憶合金ワイヤSBを収縮させてレンズ保持体2xを移動させる。そして、制御装置は、その移動によって、第1ワイヤSB1~第8ワイヤSB8のうちの別の一つ又は複数が引き延ばされることで、モジュール側形状記憶合金ワイヤSBの伸張を実現している。
【0163】
図示例では、モジュール保持体2が3自由度の動き(X軸回りの回転、Y軸回りの回転、及び、Z軸回りの回転)を実現できるため、レンズ体LSがX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のそれぞれに沿って並進可能であれば、モジュール保持体2に保持されたカメラモジュールMDにおけるレンズ体LSは、6自由度の動きを実現できる。すなわち、モジュール駆動装置100における駆動部DMと、カメラモジュールMDにおけるモジュール側駆動部DMxとの組み合わせは、レンズ体LSの6自由度の動きを実現できる。そのため、モジュール側駆動部DMxは、3自由度の動き(X軸回りの回転、Y軸回りの回転、及び、Z軸回りの回転)を利用しないように構成されていてもよい。
【0164】
また、上述のモジュール駆動装置100における第1駆動部DM1は、原理的には、第1可動部材MB1(モジュール保持体2)の6自由度の動きを実現できるように構成されている。具体的には、第1駆動部DM1は、
図27の表における「X軸方向並進」、「Y軸方向並進」、及び「Z軸方向並進」のそれぞれの欄に示されたモジュール側形状記憶合金ワイヤSBの伸縮状態と同様の形状記憶合金ワイヤSAの伸縮状態を実現することにより、第1可動部材MB1(モジュール保持体2)の「X軸方向並進」、「Y軸方向並進」、及び「Z軸方向並進」を実現できる。そのため、光学装置150は、第1駆動部DM1が第1可動部材MB1(モジュール保持体2)の「X軸方向並進」、「Y軸方向並進」、及び「Z軸方向並進」を実現し、モジュール側駆動部DMxがモジュール側可動部材MBx(レンズ保持体2x)の「X軸回転」、「Y軸回転」、及び「Z軸回転」を実現するように構成されていてもよい。
【0165】
可動部材MBの動きは、図示しない動作検出部によって検出されてもよい。動作検出部は、例えば、モジュール保持体2及び連結部材3等の可動部材MBに取り付けられる磁石と、ベース部材8等の固定部材FBに取り付けられる磁気センサとによって構成されてもよい。同様に、モジュール側可動部材MBxの動きは、図示しないモジュール側動作検出部によって検出されてもよい。モジュール側動作検出部は、例えば、レンズ保持体2x等のモジュール側可動部材MBxに取り付けられる磁石と、モジュール側ベース部材8x等のモジュール側固定部材FBxに取り付けられる磁気センサとによって構成されてもよい。
【0166】
磁気センサは、磁石の位置を検出することによって可動部材MB(モジュール側可動部材MBx)の位置を検出できるように構成されていてもよい。磁気センサは、ホール素子を利用して可動部材MB(モジュール側可動部材MBx)の位置を検出できるように構成されていてもよい。但し、磁気センサは、磁石が発生させる磁界を検出可能な巨大磁気抵抗効果(Giant Magneto Resistive effect: GMR)素子、半導体磁気抵抗(Semiconductor Magneto Resistive: SMR)素子、異方性磁気抵抗(Anisotropic Magneto Resistive: AMR)素子、又はトンネル磁気抵抗(Tunnel Magneto Resistive: TMR)素子等の磁気抵抗素子を利用して可動部材MB(モジュール側可動部材MBx)の位置を検出できるように構成されていてもよい。
【0167】
次に、
図28を参照し、第2駆動部DM2の別の構成例である第2駆動部DM2Aについて説明する。
図28は、第2駆動部DM2Aを示す図である。具体的には、
図28の上図は、金属部材5を介して連結部材3及びベース部材8に取り付けられた第2形状記憶合金ワイヤSC2の斜視図である。
図28の下図は、金属部材5、外側導電部材6、外側埋設通電部材80、及び第2形状記憶合金ワイヤSC2の斜視図であり、金属部材5、外側導電部材6、外側埋設通電部材80、及び第2形状記憶合金ワイヤSC2の位置関係を示している。
【0168】
第2駆動部DM2Aは、八本の形状記憶合金ワイヤSA(第9ワイヤSA9~第16ワイヤSA16)を含む点で、
図3に示すような、四本の形状記憶合金ワイヤSA(第9ワイヤSA9~第12ワイヤSA12)を含む第2駆動部DM2と異なる。
【0169】
また、第2駆動部DM2Aを備えるモジュール駆動装置100は、案内機構が設けられていない点で、連結部材3とベース部材8との間に案内機構GM(
図7参照)が設けられているモジュール駆動装置100とは異なる。具体的には、第2駆動部DM2Aを備えるモジュール駆動装置100では、連結部材3の四つの角部のそれぞれの外側には、
図7の下図に示すような被案内部3Nは形成されておらず、ベース部材8の四つの角部のそれぞれには、
図7の上図に示すような案内溝部8Gは形成されていない。
【0170】
また、第2駆動部DM2Aを備えるモジュール駆動装置100では、ベース部材8に埋設される外側埋設通電部材80は、互いに独立した10個の部材(第1通電部材80C1~第10通電部材80C10)を含み、ベース部材8に取り付けられる外側金属部材5Fは、互いに独立した8個の部材(第9外側ターミナルプレート5F9~第16外側ターミナルプレート5F16)を含む。また、連結部材3に取り付けられる内側金属部材5Mのそれぞれには、二本の形状記憶合金ワイヤSAが固定される。
【0171】
具体的には、第9ワイヤSA9の一端は、第9外側ターミナルプレート5F9を介して第7通電部材80C7に接続され、第13ワイヤSA13の一端は、第13外側ターミナルプレート5F13を介して第1通電部材80C1に接続されている。そして、第9ワイヤSA9及び第13ワイヤSA13のそれぞれの他端は、第5内側ターミナルプレート5M5及び左外側導電部材6Lを介して第10通電部材80C10に接続されている。
【0172】
また、第10ワイヤSA10の一端は、第10外側ターミナルプレート5F10を介して第9通電部材80C9に接続され、第14ワイヤSA14の一端は、第14外側ターミナルプレート5F14を介して第8通電部材80C8に接続されている。そして、第10ワイヤSA10及び第14ワイヤSA14のそれぞれの他端は、第6内側ターミナルプレート5M6及び左外側導電部材6Lを介して第10通電部材80C10に接続されている。
【0173】
また、第11ワイヤSA11の一端は、第11外側ターミナルプレート5F11を介して第2通電部材80C2に接続され、第15ワイヤSA15の一端は、第15外側ターミナルプレート5F15を介して第6通電部材80C6に接続されている。そして、第11ワイヤSA11及び第15ワイヤSA15のそれぞれの他端は、第7内側ターミナルプレート5M7及び右外側導電部材6Rを介して第5通電部材80C5に接続されている。
【0174】
また、第12ワイヤSA12の一端は、第12外側ターミナルプレート5F12を介して第4通電部材80C4に接続され、第16ワイヤSA16の一端は、第16外側ターミナルプレート5F16を介して第3通電部材80C3に接続されている。そして、第12ワイヤSA12及び第16ワイヤSA16のそれぞれの他端は、第8内側ターミナルプレート5M8及び右外側導電部材6Rを介して第5通電部材80C5に接続されている。
【0175】
この構成により、第2駆動部DM2Aは、第2可動部材MB2(連結部材3)の3自由度の動き(例えば、X軸回りの回転、Y軸回りの回転、及び、Z軸回りの回転)を実現できる。
【0176】
次に、
図29を参照し、モジュール駆動装置100の別の構成例であるモジュール駆動装置100Aについて説明する。
図29は、モジュール駆動装置100Aの分解斜視図である。
【0177】
モジュール駆動装置100Aは、モジュール保持体2と連結部材3との間に案内機構GMが設けられている点で、
図7に示すような、連結部材3とベース部材8との間に案内機構GMが設けられているモジュール駆動装置100とは異なる。
【0178】
また、モジュール駆動装置100Aは、四本の第1形状記憶合金ワイヤSC1(第1ワイヤSA1、第3ワイヤSA3、第5ワイヤSA5、及び第7ワイヤSA7)で構成される第1駆動部DM1と、八本の第2形状記憶合金ワイヤSC2(第9ワイヤSA9~第16ワイヤSA16)で構成される第2駆動部DM2とを含む点で、モジュール駆動装置100と異なる。なお、モジュール駆動装置100は、八本の第1形状記憶合金ワイヤSC1(第1ワイヤSA1~第8ワイヤSA8)で構成される第1駆動部DM1と、四本の第2形状記憶合金ワイヤSC2(第9ワイヤSA9~第12ワイヤSA12)で構成される第2駆動部DM2とを含む。
【0179】
すなわち、モジュール駆動装置100Aでは、第1駆動部DM1は、第1可動部材MB1(モジュール保持体2)の1自由度の動き(Z軸回りの回転)を実現できるように構成され、第2駆動部DM2は、第2可動部材MB2(連結部材3)の3自由度(X軸回りの回転、Y軸回りの回転、及び、Z軸回りの回転)の動きを実現できるように構成されている。
【0180】
具体的には、モジュール駆動装置100Aにおける案内機構GMは、連結部材3に対する被案内部材としてのモジュール保持体2の光軸OAの回りの回動を案内するように構成されている。
【0181】
上述のように、本開示の実施形態に係る光学装置150は、
図2に示すように、レンズ体LS及び撮像素子ISを有する光学モジュールの一例であるカメラモジュールMDを保持可能なモジュール保持体2と、モジュール保持体2を移動可能に収容する筐体HSを含む固定部材FBと、少なくともレンズ体LSの光軸OAの回りに回動するようにモジュール保持体2を移動させる駆動部DM(
図3参照)と、を備えている。また、光学装置150は、
図3に示すように、モジュール保持体2と固定部材FB(ベース部材8)との間に配置され、内側にモジュール保持体2を移動可能に配置(収容)する中間部材(連結部材3)を備えている。駆動部DMは、中間部材(連結部材3)に対してモジュール保持体2を移動させる第1駆動部DM1(内側駆動部)と、固定部材FB(ベース部材8)に対して中間部材(連結部材3)を移動させる第2駆動部DM2(外側駆動部)とを有する。第1駆動部DM1は、モジュール保持体2を含む第1可動部材MB1と中間部材(連結部材3)を含む第2可動部材MB2との間に設けられた複数の第1形状記憶合金ワイヤSC1を含んで構成され、第2駆動部DM2は、第2可動部材MB2と固定部材FB(ベース部材8)との間に設けられた複数の第2形状記憶合金ワイヤSC2を含んで構成されている。
【0182】
この構成では、光学装置150は、コイル及び磁石を含む駆動部ではなく、形状記憶合金ワイヤSAを含む駆動部DMを利用するため、周囲にある機器に対する磁気的な影響を抑制できる。また、光学装置150は、第1駆動部DM1によるモジュール保持体2の移動方向と、第2駆動部DM2によるモジュール保持体2の移動方向とを同じにすることができるため、特定の移動方向における移動が一つの駆動部のみによって実現される構成に比べ、特定の移動方向におけるモジュール保持体2の移動量を大きくすることができる。
【0183】
複数の第1形状記憶合金ワイヤSC1は、
図3に示すように、光軸方向に沿って見た上面視において、モジュール保持体2又は光学モジュールとしてのカメラモジュールMDを挟んで第1の方向(X軸方向)に離間して配置される第1ワイヤSA1及び第5ワイヤSA5、並びに、モジュール保持体2又は光学モジュールとしてのカメラモジュールMDを挟んで第1の方向(X軸方向)に垂直な第2の方向(Y軸方向)に離間して配置される第3ワイヤSA3及び第7ワイヤSA7と、第1の方向(X軸方向)に沿って見た側面視において、第1ワイヤSA1と交差するように配置される第2ワイヤSA2と、第2の方向(Y軸方向)に沿って見た側面視において、第3ワイヤSA3と交差するように配置される第4ワイヤSA4と、第1の方向(X軸方向)に沿って見た側面視において、第5ワイヤSA5と交差するように配置される第6ワイヤSA6と、第2の方向(Y軸方向)に沿って見た側面視において、第7ワイヤSA7と交差するように配置される第8ワイヤSA8と、を含んでいてもよい。そして、第1ワイヤSA1乃至第8ワイヤSA8のそれぞれは、一端が第2可動部材MB2に固定され、他端が第1可動部材MB1に固定されていてもよい。図示例では、第1ワイヤSA1乃至第8ワイヤSA8のそれぞれは、一端が外側金属部材5F(
図5参照)を介して第2可動部材MB2(連結部材3)に固定され、他端が内側金属部材5M(
図4参照)を介して第1可動部材MB1(モジュール保持体2)に固定されている。
【0184】
この構成では、光学装置150(第1駆動部DM1)は、八本の第1形状記憶合金ワイヤSC1を有するため、複数の自由度でモジュール保持体2を移動させることができる。
【0185】
第2形状記憶合金ワイヤSC2は、
図3に示すように、光軸方向に沿って見た上面視において、モジュール保持体2又は中間部材(連結部材3)を挟んで第1の方向(X軸方向)に離間して配置される第9ワイヤSA9及び第11ワイヤSA11、並びに、モジュール保持体2又は中間部材(連結部材3)を挟んで第2の方向(Y軸方向)に離間して配置される第10ワイヤSA10及び第12ワイヤSA12を含んでいてもよい。そして、第9ワイヤSA9乃至第12ワイヤSA12のそれぞれは、一端が固定部材FBに固定され、他端が第2可動部材MB2に固定されていてもよい。図示例では、第9ワイヤSA9乃至第12ワイヤSA12のそれぞれは、一端が外側金属部材5F(第9外側ターミナルプレート5F9~第12外側ターミナルプレート5F12)を介して固定部材FB(ベース部材8)に固定され、他端が内側金属部材5M(第5内側ターミナルプレート5M5~第8内側ターミナルプレート5M8)を介して第2可動部材MB2(連結部材3)に固定されている。
【0186】
この構成では、光学装置150(第2駆動部DM2)は、四本の第2形状記憶合金ワイヤSC2を有するため、例えば固定部材FB(ベース部材8)に対して中間部材(連結部材3)を光軸OAの回りに回転させるような動きを実現できる。そのため、第1駆動部DM1及び第2駆動部DM2を含む光学装置150は、第1駆動部DM1のみを含む構成に比べ、固定部材FBに対するモジュール保持体2の移動量(例えば回転量)を大きくすることができる。
【0187】
なお、光学装置150では、第9ワイヤSA9乃至第12ワイヤSA12のそれぞれは、
図3に示すように、光軸方向において、一端と他端との高さ位置が異なっていてもよい。
【0188】
この構成では、光学装置150(第2駆動部DM2)は、一端と他端との高さ位置が同じである場合に比べ、第9ワイヤSA9乃至第12ワイヤSA12のそれぞれの長さを長くできるため、通電時の第9ワイヤSA9乃至第12ワイヤSA12のそれぞれの長さの収縮量を大きくできる。
【0189】
また、光学装置150では、固定部材FBは、中間部材(連結部材3)の光軸OAの回りの回動を案内する案内機構GMを有していてもよい。
【0190】
この構成では、光学装置150は、案内機構GMを有さない場合に比べ、案内機構GMによって案内される部材の動きを安定させることができる。
【0191】
また、光学装置150では、固定部材FBは、
図8に示すように、光軸方向において中間部材(連結部材3)を挟んで互いに対向する底板部BP(底壁部)及び天板部TP(天井部)を有していてもよい。この場合、底板部BPと天板部TPとの少なくともいずれか一方には、他方側を開放させた案内溝部(案内溝部8G)が複数の箇所に設けられていてもよい。
図8に示す例では、天板部TPは、カバー部材4の上板部4Bの一部であり、底板部BPは、ベース部材8の一部である。そして、底板部BPには、上方側を開放させた案内溝部8Gが四箇所に設けられている。なお、案内溝部(案内溝部8G)は、上述の案内機構GMを構成する。また、中間部材(連結部材3)には、それぞれの案内溝部(案内溝部8G)内を移動可能な突状の被案内部(被案内部3N)が設けられていてもよい。なお、案内溝部と被案内部とで構成される案内機構GMは、好ましくは、少なくとも三つの箇所に設けられる。
【0192】
この構成は、ボール等によって案内機構GMが実現される場合に比べ、光学装置150の構造が簡単になるという効果をもたらす。そのため、この構成は、光学装置150の製造が簡単になるという効果をもたらす。
【0193】
また、光学装置150では、底板部BPと天板部TPとの一方に案内溝部(案内溝部8G)が設けられる場合、底板部BPと天板部TPとの他方には、光軸方向において被案内部(被案内部3N)に対応する部分と隣接する規制部RPが設けられていてもよい。規制部RPは、光軸方向における被案内部(被案内部3N)の過度の動きを規制する部分である。
図8に示す例では、底板部BPとしてのベース部材8の一部に案内溝部8Gが設けられ、天板部TPとしてのカバー部材4の上板部4Bの一部は、光軸方向において連結部材3の被案内部3Nの下側凸部BEに対応する部分である上側凸部TEと隣接する規制部RPとして機能する。なお、規制部RPは、上板部4Bの天井面から下方に突出するように構成されていてもよい。
【0194】
このような構成により、規制部RPは、案内溝部8Gと被案内部3Nとの間のガタツキを抑制でき、中間部材(連結部材3)の回動を適切に案内することができる。
【0195】
また、光学装置150では、中間部材(連結部材3)は、
図5に示すように、上面視で略矩形状に形成され、四つの角部を有していてもよい。この場合、四つの角部のそれぞれには、第1形状記憶合金ワイヤSC1又は第2形状記憶合金ワイヤSC2の端部が固定される金属部材5が固定される台座部3Dが設けられていてもよい。また、台座部3Dのそれぞれは、被案内部(被案内部3N)を有していてもよい。そして、案内溝部(案内溝部8G)は、被案内部(被案内部3N)に対応して四箇所に設けられていてもよい。
【0196】
この構成では、台座部3Dに被案内部3Nが設けられるとともに、被案内部3Nがデッドスペースとなりやすい角部に配置されるため、光学装置150は、筐体HS内の空間のスペース効率を高めることができる。
【0197】
また、光学装置150では、被案内部(被案内部3N)は、
図5に示すように、光軸方向に延びる円柱状をなしていてもよい。
【0198】
この構成では、案内機構GMは、案内溝部8Gと被案内部3Nとの間の摩擦を抑制できるため、ベース部材8に対する連結部材3の移動を円滑化できるという効果をもたらす。
【0199】
なお、被案内部3Nは、光軸方向に対して傾斜するように延びる形状をなしていてもよい。例えば、被案内部3Nは、光軸OAを中心とする円の径方向外側に延びるように構成されていてもよい。この場合、案内溝部8Gは、光軸OAを中心とする円の径方向外側に凹むように構成されていてもよい。
【0200】
また、光学装置150では、第2形状記憶合金ワイヤSC2は、
図28に示すように、第1の方向(X軸方向)に沿って見た側面視において、第9ワイヤSA9と交差するように配置される第13ワイヤSA13と、第2の方向(Y軸方向)に沿って見た側面視において、第10ワイヤSA10と交差するように配置される第14ワイヤSA14と、第1の方向(X軸方向)に沿って見た側面視において、第11ワイヤSA11と交差するように配置される第15ワイヤSA15と、第2の方向(Y軸方向)に沿って見た側面視において、第12ワイヤSA12と交差するように配置される第16ワイヤSA16と、を含んでいてもよい。この場合、第13ワイヤSA13乃至第16ワイヤSA16のそれぞれは、一端が固定部材FB(ベース部材8)に固定され、他端が第2可動部材MB2(連結部材3)に固定されていてもよい。
【0201】
この構成では、光学装置150(第2駆動部DM2)は、八本の第2形状記憶合金ワイヤSC2を有するため、例えば、固定部材FB(ベース部材8)に対して中間部材(連結部材3)を光軸OAの回りに回転させるような動き、及び、第1回転軸RX1に対して光軸OAを傾けるような動き等を実現できるという効果をもたらす。
【0202】
また、光学装置150では、
図29に示すように、複数の第1形状記憶合金ワイヤSC1は、光軸方向に沿って見た上面視において、モジュール保持体2を挟んで第1の方向(X軸方向)に離間して配置される第1ワイヤSA1及び第5ワイヤSA5、並びに、モジュール保持体2を挟んで第1の方向(X軸方向)に垂直な第2の方向(Y軸方向)に離間して配置される第3ワイヤSA3及び第7ワイヤSA7を含んでいてもよい。この場合、第1ワイヤSA1、第3ワイヤSA3、第5ワイヤSA5、及び第7ワイヤSA7のそれぞれは、一端が第2可動部材MB2(連結部材3)に固定され、他端が第1可動部材MB1(モジュール保持体2)に固定されていてもよい。そして、モジュール保持体2及び中間部材(連結部材3)には、モジュール保持体2の光軸OAの回りの回動を案内する案内機構GMが形成されていてもよい。
【0203】
この構成では、光学装置150は、案内機構GMを有さない場合に比べ、案内機構GMによって案内されるモジュール保持体2の動きを安定させることができる。また、この構成は、第1駆動部DM1が四本の第1形状記憶合金ワイヤSC1によって構成されるため、第1駆動部DM1が八本の第1形状記憶合金ワイヤSC1によって構成される場合に比べ、第2駆動部DM2によって駆動される第2可動部材MB2(連結部材3及びその内側にある部材)の構成を簡略化できるという効果をもたらす。
【0204】
また、中間部材(連結部材3)には、
図29に示すように、案内溝部(案内溝部3G)が複数の箇所に設けられていてもよい。なお、案内溝部(案内溝部3G)は、上述の案内機構GMを構成する。この場合、モジュール保持体2(上側部材2U)には、それぞれの案内溝部(案内溝部3G)内を移動可能な突状の被案内部(被案内部2N)が設けられていてもよい。
図29に示す例では、連結部材3には案内溝部3Gが四箇所に設けられ、モジュール保持体2には被案内部2Nが四箇所に設けられている。
【0205】
この構成では、第1駆動部DM1は、第1可動部材MB1(モジュール保持体2)の1自由度の動き(例えば、Z軸回りの回転)を実現できるように構成され、第2駆動部DM2は、第2可動部材MB2(連結部材3)の3自由度の動き(例えば、X軸回りの回転、Y軸回りの回転、及び、Z軸回りの回転)を実現できるように構成され得る。
【0206】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態及び後述する実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形及び置換等が適用され得る。上述の実施形態及び後述の実施形態を参照して説明される特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
【0207】
例えば、上述の実施形態では、金属部材5は、接着剤を用いて各部材(モジュール保持体2、連結部材3、及びベース部材8)に固定されているが、各部材に埋設されていてもよく、各部材の表面に形成された導電パターンであってもよい。
【0208】
また、上述の実施形態では、モジュール保持体2は、カメラモジュールMDを構成するモジュール側固定部材FBxの一部であるレンズ駆動装置LDのカバー部材として機能するように構成されている。しかしながら、レンズ駆動装置LDのカバー部材は、モジュール保持体2とは別の部材であってもよい。この場合、レンズ駆動装置LDのカバー部材は、接着剤等によりモジュール保持体2に固定されてもよい。或いは、モジュール保持体2は、カメラモジュールMDを構成するモジュール側固定部材FBxに一体化されていてもよい。例えば、モジュール保持体2は、カメラモジュールMDを構成するモジュール側ベース部材8xに一体化されていてもよい。
【符号の説明】
【0209】
2・・・モジュール保持体 2A・・・外周壁部 2B・・・上板部 2C・・・突出部 2CBL・・・左後側突出部 2CFR・・・右前側突出部 2Dx・・・可動側台座部 2D1x・・・第1可動側台座部 2D2x・・・第2可動側台座部 2N・・・被案内部 2NBL・・・左後側被案内部 2NBR・・・右後側被案内部 2NFL・・・左前側被案内部 2NFR・・・右前側被案内部 2Sx・・・突設部 2S1x・・・第1突設部 2S2x・・・第2突設部 2U・・・上側部材 2V・・・下側部材 2x・・・レンズ保持体 3・・・連結部材 3D・・・台座部 3DBL・・・左後側台座部 3DBR・・・右後側台座部 3DFL・・・左前側台座部 3DFR・・・右前側台座部 3E・・・辺部 3E1・・・第1辺部 3E2・・・第2辺部 3E3・・・第3辺部 3E4・・・第4辺部 3G・・・案内溝部 3GBL・・・左後側案内溝部 3GBR・・・右後側案内溝部 3GFL・・・左前側案内溝部 3GFR・・・右前側案内溝部 3K・・・開口 3N・・・被案内部 3NBL・・・左後側被案内部 3NBR・・・右後側被案内部 3NFL・・・左前側被案内部 3NFR・・・右前側被案内部 4・・・カバー部材 4A・・・外周壁部 4A1・・・第1側板部 4A2・・・第2側板部 4A3・・・第3側板部 4A4・・・第4側板部 4B・・・上板部 4K・・・開口 4S・・・収容部 5・・・金属部材 5F・・・外側金属部材 5F1・・・第1外側ターミナルプレート 5F2・・・第2外側ターミナルプレート 5F3・・・第3外側ターミナルプレート 5F4・・・第4外側ターミナルプレート 5F5・・・第5外側ターミナルプレート 5F6・・・第6外側ターミナルプレート 5F7・・・第7外側ターミナルプレート 5F8・・・第8外側ターミナルプレート 5F9・・・第9外側ターミナルプレート 5F10・・・第10外側ターミナルプレート 5F11・・・第11外側ターミナルプレート 5F12・・・第12外側ターミナルプレート 5F13・・・第13外側ターミナルプレート 5F14・・・第14外側ターミナルプレート 5F15・・・第15外側ターミナルプレート 5F16・・・第16外側ターミナルプレート 5K・・・外側金属部材 5K1・・・第1外側ターミナルプレート 5K2・・・第2外側ターミナルプレート 5K3・・・第3外側ターミナルプレート 5K4・・・第4外側ターミナルプレート 5K5・・・第5外側ターミナルプレート 5K6・・・第6外側ターミナルプレート 5K7・・・第7外側ターミナルプレート 5K8・・・第8外側ターミナルプレート 5M・・・内側金属部材 5M1・・・第1内側ターミナルプレート 5M2・・・第2内側ターミナルプレート 5M3・・・第3内側ターミナルプレート 5M4・・・第4内側ターミナルプレート 5M5・・・第5内側ターミナルプレート 5M6・・・第6内側ターミナルプレート 5M7・・・第7内側ターミナルプレート 5M8・・・第8内側ターミナルプレート 5W・・・内側金属部材 5W1・・・第1内側ターミナルプレート 5W2・・・第2内側ターミナルプレート 5W3・・・第3内側ターミナルプレート 5W4・・・第4内側ターミナルプレート 5x・・・モジュール側金属部材 6・・・外側導電部材 6Ax・・・第1板ばね 6A1x・・・第1部分 6A2x・・・第2部分 6A3x・・・第3部分 6A4x・・・第4部分 6A5x・・・第5部分 6Bx・・・第2板ばね 6B1x・・・第1部分 6B2x・・・第2部分 6B3x・・・第3部分 6B4x・・・第4部分 6B5x・・・第5部分 6EL・・・左外側固定部分 6ER・・・右外側固定部分 6GL・・・左弾性部分 6GL1・・・第1左弾性部分 6GL2・・・第2左弾性部分 6GR・・・右弾性部分 6GR1・・・第1右弾性部分 6GR2・・・第2右弾性部分 6IL・・・左内側固定部分 6IL1・・・第1左内側固定部分 6IL2・・・第2左内側固定部分 6IR・・・右内側固定部分 6IR1・・・第1右内側固定部分 6IR2・・・第2右内側固定部分 6L・・・左外側導電部材 6R・・・右外側導電部材 6x・・・板ばね 7・・・内側導電部材 7EL・・・左外側固定部分 7ER・・・右外側固定部分 7GL・・・左弾性部分 7GL1・・・第1左弾性部分 7GL2・・・第2左弾性部分 7GR・・・右弾性部分 7GR1・・・第1右弾性部分 7GR2・・・第2右弾性部分 7IL・・・左内側固定部分 7IL1・・・第1左内側固定部分 7IL2・・・第2左内側固定部分 7IR・・・右内側固定部分 7IR1・・・第1右内側固定部分 7IR2・・・第2右内側固定部分 7L・・・左内側導電部材 7R・・・右内側導電部材 8・・・ベース部材 8D・・・台座部 8DBL・・・左後側台座部 8DBR・・・右後側台座部 8DFL・・・左前側台座部 8DFR・・・右前側台座部 8Dx・・・固定側台座部 8D1x・・・第1固定側台座部 8D2x・・・第2固定側台座部 8E、8Ex・・・辺部 8E1、8E1x・・・第1辺部 8E2、8E2x・・・第2辺部 8E3、8E3x・・・第3辺部 8E4、8E4x・・・第4辺部 8G・・・案内溝部 8GBL・・・左後側案内溝部 8GBR・・・右後側案内溝部 8GFL・・・左前側案内溝部 8GFR・・・右前側案内溝部 8K、8Kx・・・開口 8x・・・モジュール側ベース部材 12x・・・筒状部 20x・・・モジュール側埋設通電部材 30・・・内側埋設通電部材 30C1・・・第1通電部材 30C2・・・第2通電部材 30C3・・・第3通電部材 30C4・・・第4通電部材 30C5・・・第5通電部材 30C6・・・第6通電部材 30C7・・・第7通電部材 30C8・・・第8通電部材 30C9・・・第9通電部材 30C10・・・第10通電部材 80・・・外側埋設通電部材 80C1・・・第1通電部材 80C2・・・第2通電部材 80C3・・・第3通電部材 80C4・・・第4通電部材 80C5・・・第5通電部材 80C6・・・第6通電部材 80C7・・・第7通電部材 80C8・・・第8通電部材 80C9・・・第9通電部材 80C10・・・第10通電部材 100、100A・・・モジュール駆動装置 150・・・光学装置 BE・・・下側凸部 BP・・・底板部 CD1・・・第1通電部材 CD2・・・第2通電部材 CD3・・・第3通電部材 CD4・・・第4通電部材 CD5・・・第5通電部材 CD6・・・第6通電部材 CD7・・・第7通電部材 CD8・・・第8通電部材 CD9・・・第9通電部材 CD10・・・第10通電部材 CD11・・・第11通電部材 CTL1・・・切断線 DM・・・駆動部 DM1・・・第1駆動部 DM2、DM2A・・・第2駆動部 DMx・・・モジュール側駆動部 FB・・・固定部材 FBx・・・モジュール側固定部材 FC・・・可撓性基板 GM・・・案内機構 GMBL・・・左後側案内機構 GMBR・・・右後側案内機構 GMFL・・・左前側案内機構 GMFR・・・右前側案内機構 HS・・・筐体 IS・・・撮像素子 J1~J6・・・保持部 LD・・・レンズ駆動装置 LS・・・レンズ体 MB・・・可動部材 MB1・・・第1可動部材 MB2・・・第2可動部材 MBx・・・モジュール側可動部材 MD・・・カメラモジュール OA・・・光軸 PM、PMF1、PMF2、PMF9、PMM1、PMM5・・・板状部 RP・・・規制部 RX1・・・第1回転軸 RX2・・・第2回転軸 RX3・・・第3回転軸 SA・・・形状記憶合金ワイヤ SA1・・・第1ワイヤ SA2・・・第2ワイヤ SA3・・・第3ワイヤ SA4・・・第4ワイヤ SA5・・・第5ワイヤ SA6・・・第6ワイヤ SA7・・・第7ワイヤ SA8・・・第8ワイヤ SA9・・・第9ワイヤ SA10・・・第10ワイヤ SA11・・・第11ワイヤ SA12・・・第12ワイヤ SA13・・・第13ワイヤ SA14・・・第14ワイヤ SA15・・・第15ワイヤ SA16・・・第16ワイヤ SB・・・モジュール側形状記憶合金ワイヤ SB1・・・第1ワイヤ SB2・・・第2ワイヤ SB3・・・第3ワイヤ SB4・・・第4ワイヤ SB5・・・第5ワイヤ SB6・・・第6ワイヤ SB7・・・第7ワイヤ SB8・・・第8ワイヤ SC1・・・第1形状記憶合金ワイヤ SC2・・・第2形状記憶合金ワイヤ SP・・・スペーサ TE・・・上側凸部 TP・・・天板部 UC・・・上側導電部材