(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034377
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】対象物の情報を管理するためのシステム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240306BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】34
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138572
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】508327582
【氏名又は名称】株式会社TTES
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 久忠
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】対象物の関係者が、その対象物に関する情報を容易かつ確実に利用可能とする。
【解決手段】情報管理システム1は、構造物Tのうち管理の対象となる部分(対象物)である監視対象領域A及び監視対象領域Bの各々の表面に取り付けられた表示体11と、対象物の関係者である保守作業員X及び管理責任者Yが使用するデータ通信装置12X及びデータ通信装置12Yと、それらのデータ通信装置12との間で対象物に関する情報である対象物情報の送受信を行うサーバ装置13を備える。表示体11には、取り付けられた対象物を識別する識別情報を示すバーコードが印刷等により形成されている。保守作業員Xは、データ通信装置12Xのカメラで、例えば表示体11Aを撮影することで、表示体11Aのバーコードが示す識別情報に対応付けてサーバ装置13が記憶している監視対象領域Aに関する対象物情報をデータ通信装置12Xに表示等させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理の対象物の表面に取り付けられた、前記対象物の識別情報を表す表示体と、
前記表示体が表す前記識別情報を取得したデータ通信装置から、前記識別情報と前記対象物に関する情報である対象物情報とを受信する受信手段と、
前記識別情報と前記対象物情報とを対応付けて記憶する記憶手段と
を備え、
前記受信手段は、前記識別情報又は前記識別情報に応じた識別情報を含む情報送信の要求をデータ通信装置から受信し、
前記受信手段が受信した前記要求に応じて、前記要求に含まれる識別情報に対応付けて記憶されている前記対象物情報の少なくとも一部、又は、前記要求に含まれる識別情報に対応付けて記憶されている前記対象物情報の少なくとも一部を用いて生成された情報を、前記要求の送信元のデータ通信装置に送信する送信手段を備える
情報管理システム。
【請求項2】
前記表示体は、バーコードにより前記識別情報を表す
請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項3】
前記受信手段は、前記対象物情報として、前記対象物と前記表示体とが一緒に写った写真を表す画像情報を受信する
請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項4】
前記受信手段が、前記対象物と前記表示体とが一緒に写った写真を表す画像情報を受信した場合、当該画像情報が表す写真に写っている表示体の画像から識別情報を取得する識別情報取得手段を備え、
前記記憶手段は、前記受信手段が受信した画像情報を、前記識別情報取得手段が取得した識別情報に対応付けて記憶する
請求項3に記載の情報管理システム。
【請求項5】
前記受信手段は、前記対象物情報として、前記表示体と前記対象物に関する測定結果を示している測定装置とが映り込んだ写真を表す画像情報を受信する
請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項6】
管理の対象物は複数であり、
前記複数の対象物の各々に応じた前記表示体を備え、
前記記憶手段は前記複数の対象物の各々に関し、当該対象物の識別情報と当該対象物に関する対象物情報とを対応付けて記憶し、
前記記憶手段に記憶されている情報を用いて、前記複数の対象物の各々に対する作業のスケジュールを策定する作業スケジュール策定手段を備える
請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項7】
管理の対象物は複数であり、
前記複数の対象物の各々に応じた前記表示体を備え、
前記記憶手段は前記複数の対象物の各々に関し、当該対象物の識別情報と当該対象物に関する対象物情報とを対応付けて記憶し、
前記記憶手段に記憶されている情報を用いて、前記複数の対象物のうち作業者が作業をすべき対象物を特定する作業対象物特定手段を備える
請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項8】
管理の対象物に取り付けられた、前記対象物の識別情報を示す電波を発するパッシブ型のRFIDタグと、
前記RFIDタグから発せられた電波を受信し当該電波が示す前記識別情報を取得したデータ通信装置から、前記識別情報と前記対象物に関する情報である対象物情報とを受信する受信手段と、
前記識別情報と前記対象物情報とを対応付けて記憶する記憶手段と
を備え、
前記受信手段は、前記識別情報を含む情報送信の要求をデータ通信装置から受信し、
前記受信手段が受信した前記要求に応じて、前記要求に含まれる前記識別情報に対応付けて記憶されている前記対象物情報の少なくとも一部、又は、前記要求に含まれる前記識別情報に対応付けて記憶されている前記対象物情報の少なくとも一部を用いて生成された情報を、前記要求の送信元のデータ通信装置に送信する送信手段を備える
情報管理システム。
【請求項9】
前記対象物の表面に取り付けられた、前記RFIDタグの位置を示す表示体を備える
請求項8に記載の情報管理システム。
【請求項10】
前記RFIDタグは、URLを示す電波を発する
請求項8に記載の情報管理システム。
【請求項11】
前記RFIDタグは、プログラムの識別情報を示す電波を発する
請求項8に記載の情報管理システム。
【請求項12】
前記RFIDタグは、前記情報管理システムの管理者の連絡先情報を示す電波を発する
請求項8に記載の情報管理システム。
【請求項13】
管理の対象物は複数であり、
前記複数の対象物の各々に応じた前記RFIDタグを備え、
前記記憶手段は前記複数の対象物の各々に関し、当該対象物の識別情報と当該対象物に関する対象物情報とを対応付けて記憶し、
前記記憶手段に記憶されている情報を用いて、前記複数の対象物の各々に対する作業のスケジュールを策定する作業スケジュール策定手段を備える
請求項8に記載の情報管理システム。
【請求項14】
管理の対象物は複数であり、
前記複数の対象物の各々に応じた前記RFIDタグを備え、
前記記憶手段は前記複数の対象物の各々に関し、当該対象物の識別情報と当該対象物に関する対象物情報とを対応付けて記憶し、
前記記憶手段に記憶されている情報を用いて、前記複数の対象物のうち作業者が作業をすべき対象物を特定する作業対象物特定手段を備える
請求項8に記載の情報管理システム。
【請求項15】
前記表示体は、URLを表す
請求項1又は9に記載の情報管理システム。
【請求項16】
前記表示体は、プログラムの識別情報を表す
請求項1又は9に記載の情報管理システム。
【請求項17】
前記表示体は、前記情報管理システムの管理者の連絡先情報を表す
請求項1又は9に記載の情報管理システム。
【請求項18】
前記表示体は、表示する図形のサイズを表す
請求項1又は9に記載の情報管理システム。
【請求項19】
前記表示体は、所定のサイズ、形状及び方向の図形である基準図形を表示し、
前記対象物情報は、前記表示体を撮影した画像を表す情報を含み、
前記表示体を撮影した画像のサイズ、形状及び方向の少なくとも1つを、当該画像に含まれる前記基準図形のサイズ、形状及び方向の少なくとも1つに基づき補正する画像補正手段を備える
請求項1又は9に記載の情報管理システム。
【請求項20】
前記表示体は、所定のサイズの図形である基準図形を表示し、
前記対象物情報は、前記表示体を撮影した画像を表す情報を含み、
前記表示体を撮影した画像に含まれる前記対象物の表面に生じている模様のサイズを、当該画像に含まれる前記基準図形のサイズに基づき特定するサイズ特定手段を備える
請求項1又は9に記載の情報管理システム。
【請求項21】
前記記憶手段は、前記対象物情報に含まれる情報として、前記対象物の位置を示す緯度経度を記憶し、
前記送信手段は、前記要求に応じて、前記要求の送信元のデータ通信装置に、前記緯度経度が示す位置の描かれた地図を表示するための情報を送信する
請求項1又は8に記載の情報管理システム。
【請求項22】
前記対象物は構造物の一部であり、
前記記憶手段は、前記対象物情報に含まれる情報として、前記構造物における前記対象物の位置を示す位置情報を記憶し、
前記送信手段は、前記要求に応じて、前記要求の送信元のデータ通信装置に、前記位置情報が示す位置の描かれた前記構造物の画像を表示するための情報を送信する
請求項1又は8に記載の情報管理システム。
【請求項23】
前記受信手段は、前記識別情報と前記対象物情報を受信する際、前記対象物情報が生成された位置を示す生成位置情報を受信し、
前記生成位置情報が示す位置と、前記記憶手段が前記識別情報に対応付けて記憶している情報が示す位置との間の距離が所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段を備える
請求項1又は8に記載の情報管理システム。
【請求項24】
前記受信手段は、前記識別情報と前記対象物情報を受信する際、前記対象物情報が生成された時刻を示す生成時刻情報を受信し、
前記生成時刻情報が示す時刻と現在時刻との時間差が所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段を備える
請求項1又は8に記載の情報管理システム。
【請求項25】
コンピュータに、
管理の対象物に取り付けられた表示体が表す前記対象物の識別情報を取得する処理と、
前記対象物に関する情報である対象物情報を取得する処理と、
前記識別情報と前記対象物情報とを情報管理システムに送信する処理と、
前記識別情報を含む情報送信の要求を前記情報管理システムに送信する処理と、
前記要求の送信に応じて前記情報管理システムから送信されてきた情報を受信する処理と、
前記要求の送信に応じて送信されてきた情報を通知装置に通知させる処理と
を実行させるためのプログラム。
【請求項26】
前記コンピュータに、
前記対象物の識別情報を取得する処理として、前記表示体を撮影した画像を表す画像情報を取得する処理と、前記画像情報が表す画像から前記識別情報を認識する処理と
を実行させるための請求項25に記載のプログラム。
【請求項27】
前記コンピュータに、
前記対象物情報が、所定のサイズ、形状及び方向の図形である基準図形を含む画像を表す場合、当該画像のサイズ、形状及び方向の少なくとも1つを、当該画像に含まれる前記基準図形のサイズ、形状及び方向の少なくとも1つに基づき補正する処理
を実行させるための請求項25に記載のプログラム。
【請求項28】
前記コンピュータに、
前記対象物情報が、所定のサイズの図形である基準図形を含む画像を表す場合、当該画像に含まれる前記対象物の表面に生じている模様のサイズを、当該画像に含まれる前記基準図形のサイズに基づき特定する処理
を実行させるための請求項25に記載のプログラム。
【請求項29】
コンピュータに、
管理の対象物に取り付けられたパッシブ型のRFIDタグが発する前記対象物の識別情報を示す電波を受信する処理と、
前記対象物に関する情報である対象物情報を取得する処理と、
前記識別情報と前記対象物情報とを情報管理システムに送信する処理と、
前記識別情報を含む情報送信の要求を前記情報管理システムに送信する処理と、
前記要求の送信に応じて前記情報管理システムから送信されてきた情報を受信する処理と、
前記要求の送信に応じて送信されてきた情報を通知装置に通知させる処理と
を実行させるためのプログラム。
【請求項30】
前記コンピュータに、
前記情報管理システムから、前記対象物の位置の描かれた地図を表示するための情報を受信する処理と、
前記地図を表示するための情報を用いて、前記通知装置に前記対象物の位置の描かれた地図を表示させる処理と
を実行させるための請求項25又は29に記載のプログラム。
【請求項31】
前記コンピュータに、
前記通知装置が表示している前記地図に含まれる前記対象物の位置を示す画像に対するユーザの操作を受け付ける処理を実行させ、
前記識別情報を前記情報管理システムに送信する処理において、前記操作に応じた識別情報を送信させる
ための請求項30に記載のプログラム。
【請求項32】
前記コンピュータに、
前記情報管理システムから、構造物の一部である前記対象物の前記構造物における位置の描かれた前記構造物の画像を表示するための情報を受信する処理と、
前記構造物の画像を表示するための情報を用いて、前記通知装置に前記対象物の位置の描かれた前記構造物の画像を表示させる処理と
を実行させるための請求項25又は29に記載のプログラム。
【請求項33】
前記コンピュータに、
前記通知装置が表示している前記構造物の画像に含まれる前記対象物の位置を示す画像に対するユーザの操作を受け付ける処理を実行させ、
前記識別情報を前記情報管理システムに送信する処理において、前記操作に応じた識別情報を送信させる
ための請求項32に記載のプログラム。
【請求項34】
前記コンピュータに、
前記情報管理システムから識別情報と対象物情報とを受信する処理と、
前記情報管理システムから受信した識別情報と対象物情報を対応付けて記憶する処理と、
ユーザにより指定された識別情報に対応付けて記憶している対象物情報を前記通知装置に通知させる処理と
を実行させるための請求項25又は29に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の情報を管理するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、道路、橋梁等の構造物や、各種装置等の対象物は、それらの機能を正しく維持するために、点検、修理等を受ける必要がある。それらの点検、修理等に関する情報を管理するための技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、エレベータ等の被保守機器とホストコンピュータとの間で、保守作業を行う作業者が携帯する携帯無線装置を介して、保守管理データを送受信する保守管理システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
対象物の、例えば保守や観察等に関する情報は、長期間に渡り、複数の関係者により利用される場合が多い。そのため、例えば関係者間の引き継ぎが適切に行われなければ、情報の所在が不明となり、関係者が情報を利用できない場合がある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑み、対象物の関係者が、その対象物に関する情報を容易かつ確実に利用可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明は、管理の対象物の表面に取り付けられた、前記対象物の識別情報を表す表示体と、前記表示体が表す前記識別情報を取得したデータ通信装置から、前記識別情報と前記対象物に関する情報である対象物情報とを受信する受信手段と、前記識別情報と前記対象物情報とを対応付けて記憶する記憶手段とを備え、前記受信手段は、前記識別情報又は前記識別情報に応じた識別情報を含む情報送信の要求をデータ通信装置から受信し、前記受信手段が受信した前記要求に応じて、前記要求に含まれる識別情報に対応付けて記憶されている前記対象物情報の少なくとも一部、又は、前記要求に含まれる識別情報に対応付けて記憶されている前記対象物情報の少なくとも一部を用いて生成された情報を、前記要求の送信元のデータ通信装置に送信する送信手段を備える情報管理システムを提供する。
【0008】
また、本発明は、管理の対象物に取り付けられた、前記対象物の識別情報を示す電波を発するパッシブ型のRFIDタグと、前記RFIDタグから発せられた電波を受信し当該電波が示す前記識別情報を取得したデータ通信装置から、前記識別情報と前記対象物に関する情報である対象物情報とを受信する受信手段と、前記識別情報と前記対象物情報とを対応付けて記憶する記憶手段とを備え、前記受信手段は、前記識別情報を含む情報送信の要求をデータ通信装置から受信し、前記受信手段が受信した前記要求に応じて、前記要求に含まれる前記識別情報に対応付けて記憶されている前記対象物情報の少なくとも一部、又は、前記要求に含まれる前記識別情報に対応付けて記憶されている前記対象物情報の少なくとも一部を用いて生成された情報を、前記要求の送信元のデータ通信装置に送信する送信手段を備える情報管理システムを提供する。
【0009】
また、本発明は、コンピュータに、管理の対象物に取り付けられた表示体が表す前記対象物の識別情報を取得する処理と、前記対象物に関する情報である対象物情報を取得する処理と、前記識別情報と前記対象物情報とを情報管理システムに送信する処理と、前記識別情報を含む情報送信の要求を前記情報管理システムに送信する処理と、前記要求の送信に応じて前記情報管理システムから送信されてきた情報を受信する処理と、前記要求の送信に応じて送信されてきた情報を通知装置に通知させる処理とを実行させるためのプログラムを提供する。
【0010】
また、本発明は、コンピュータに、管理の対象物に取り付けられたパッシブ型のRFIDタグが発する前記対象物の識別情報を示す電波を受信する処理と、前記対象物に関する情報である対象物情報を取得する処理と、前記識別情報と前記対象物情報とを情報管理システムに送信する処理と、前記識別情報を含む情報送信の要求を前記情報管理システムに送信する処理と、前記要求の送信に応じて前記情報管理システムから送信されてきた情報を受信する処理と、前記要求の送信に応じて送信されてきた情報を通知装置に通知させる処理とを実行させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、対象物の関係者は、対象物に取り付けられた表示体又はRFIDタグから得られる情報を用いてその対象物に関する情報にアクセスすることで、その対象物に関する情報を容易かつ確実に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る情報管理システムの構成を示した図。
【
図2】一実施形態に係るデータ通信装置の機能構成を示した図。
【
図3】一実施形態に係るサーバ装置の機能構成を示した図。
【
図4】一実施形態に係るサーバ装置が記憶する対象物情報テーブルのデータ構成を示した図。
【
図5】一実施形態に係るデータ通信装置が表示する画面を示した図。
【
図6】一実施形態に係るデータ通信装置が表示する画面を示した図。
【
図7】一実施形態に係るデータ通信装置が表示する画面を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の一実施形態に係る情報管理システム1を説明する。
図1は情報管理システム1の構成を示した図である。情報管理システム1は、管理の対象物(以下、単に「対象物」という)に取り付けられた表示体11と、対象物の関係者(以下、単に「関係者」という)が使用するデータ通信装置12と、データ通信装置12との間で各種データを通信するサーバ装置13を備える。
【0014】
以下の説明において、対象物は、構造物Tの一部の領域であるものとする。すなわち、
図1において、監視対象領域Aと監視対象領域Bで例示される構造物Tの一部が、本実施形態において情報管理システム1により管理される対象物である。以下、「管理対象領域」という場合、管理の対象物である構造物の一部を意味する。なお、
図1に示される構造物Tは橋梁であるが、構造物Tの種類は橋梁に限られない。
【0015】
表示体11は管理対象領域の各々に取り付けられるため、情報管理システム1は管理対象領域の数に応じた数の表示体11を備える。
図1には、監視対象領域Aに取り付けられている表示体11Aと、監視対象領域Bに取り付けられている表示体11Bが例示されている。
【0016】
表示体11は、バーコードにより、管理対象領域を識別するための識別情報を表すシート状又は板状の部材である。
【0017】
表示体11の素材は、金属、プラスチック等のいずれでもよいが、風雨、紫外線等に晒されても長期間に渡り劣化しにくい耐久性の高い素材であることが望ましい。また、表示体11が管理対象領域に取り付けられる方法は、ボルトやネジによる締め付け、接着剤や両面テープ等による接着、等のいずれの方法でもよいが、風雨、紫外線等に晒されても長期間に渡り表示体11が管理対象領域から脱落しない耐久性の高い方法であることが望ましい。また、表示体11にバーコードが形成される方法は、印刷、切削、成型等のいずれの方法でもよいが、風雨、紫外線等に晒されても長期間に渡りバーコードが視認できる耐久性の高い方法であることが望ましい。
【0018】
表示体11に形成されるバーコードは、QRコード(登録商標)等の2次元バーコード、2次元でないバーコードのいずれであってもよい。
【0019】
データ通信装置12は、関係者により使用される端末装置である。対象物の関係者には、例えば、構造物T(実物)の近くまで赴く保守作業員、通常は構造物T(実物)の近くまで赴かない管理責任者等が含まれる。情報管理システム1が備えるデータ通信装置12の数は、情報管理システム1を利用する関係者の数に応じて変化する。
図1には、保守作業員Xが使用するデータ通信装置12Xと、管理責任者Yが使用するデータ通信装置12Yが例示されている。なお、一人の関係者が複数のデータ通信装置12を使用してもよいし、複数の関係者が同じデータ通信装置12を共用してもよい。
【0020】
データ通信装置12のハードウェアは、各種データを記憶するメモリと、メモリに記憶されているプログラムに従い各種データ処理を行うプロセッサと、外部の装置とネットワークを介したデータ通信を行う通信インタフェースと、ユーザに対し各種情報を表示するディスプレイと、ユーザに対し音を発音するスピーカと、ユーザの操作を受け付けるキーボード等の操作デバイスを備えるコンピュータである。なお、コンピュータが備える構成部の一部(例えば、ディスプレイ)が、本体に接続される外付けの装置であってもよい。
【0021】
データ通信装置12は、コンピュータが、データ通信装置12用のプログラムに従うデータ処理を行うことにより実現される。
【0022】
データ通信装置12のハードウェアとして用いられるコンピュータの種類は、デスクトップ型PC(Personal Computer)、ラップトップ型PC、ノート型PC、タブレット型PC、移動体通信網を介した電話機能を備える小型タブレット型PCであるスマートフォン等のいずれであってもよい。
【0023】
ただし、構造物Tの近くに赴いて保守作業を行う保守作業員が使用するデータ通信装置12(例えば、
図1に示されるデータ通信装置12X)のハードウェアとして用いられるコンピュータは、移動体通信網を介してサーバ装置13とデータ通信を行う通信インタフェースと、表示体11が表すバーコード等を撮影するためのカメラと、周囲の音を拾音するマイクと、自装置の地球上の位置を示す緯度経度を測定するGNSS(Global Navigation Satellite System)ユニットを備える。
【0024】
また、保守作業員が使用するデータ通信装置12のハードウェアとして用いられるコンピュータは、携帯性の高い小型のタブレットPCやスマートフォン等が望ましい。
【0025】
図2は、データ通信装置12の機能構成を示した図である。コンピュータが、本実施形態に係るデータ通信装置12用のプログラムに従うデータ処理を実行することにより、
図2に示す構成部を備えるデータ通信装置12が実現される。以下にデータ通信装置12の機能構成を説明する。
【0026】
記憶手段120は、各種データを記憶する。
【0027】
識別情報取得手段121は、表示体11が表す管理対象領域の識別情報を取得する。識別情報取得手段121は、表示体11を撮影したバーコードを含む画像を表す画像情報を取得する画像情報取得手段1211と、画像情報取得手段1211が取得した画像情報が表す画像に含まれるバーコードから管理対象領域の識別情報をデコードし認識する識別情報認識手段1212を備える。
【0028】
対象物情報取得手段122は、撮影、録画、録音、ユーザにより入力された文字列の取得等により、対象物情報を取得する。対象物情報取得手段122が取得する対象物情報には、例えば、管理対象領域の位置を示す情報、管理対象領域を撮影した画像を表す情報、管理対象領域の物理属性等を測定装置により測定した結果を示す情報、管理対象領域に対し打撃試験を行った際の音を表す情報、保守作業員が管理対象領域を観察し評価した結果等を示す情報、管理対象領域の保守作業の手順等を示す情報(いわゆるマニュアル情報)、管理対象領域の製造者、製造年月日、製造方法、材料等を示す情報、といった様々な種類の情報が含まれ得る。
【0029】
操作受付手段123は、ユーザの操作を受け付ける。
【0030】
通知装置124は、ユーザに対し各種情報を通知する。通知装置124が情報を通知する方法には、表示、発音が含まれるが、例えば振動等、その他の方法により通知装置124が情報の通知を行ってもよい。なお、通知装置124は、その一部又は全てが、
図2に示されるように、データ通信装置12に内蔵されていてもよいし、データ通信装置12の本体に接続される外付けの装置であってもよい。
【0031】
通知指示手段125は、通知装置124に対し、ユーザに対する各種情報の通知を指示する。
【0032】
送信手段126は、サーバ装置13に各種データを送信する。
【0033】
受信手段127は、サーバ装置13から各種データを受信する。
【0034】
なお、保守作業員以外の関係者(例えば、管理責任者)が使用するデータ通信装置12は、識別情報取得手段121を備えなくてもよい。
【0035】
以上が、データ通信装置12の機能構成の説明である。
【0036】
サーバ装置13(
図1参照)は、管理対象領域の各々に関し、その管理対象領域を識別する識別情報と、その管理対象領域に関する対象物情報とを対応付けて記憶し、データ通信装置12からの要求に応じて、記憶している対象物情報を要求元のデータ通信装置12に送信するサーバ装置である。なお、サーバ装置13は1つの装置で構成されてもよいし、互いに連係動作する複数の装置(例えば、ネットワークを介して互いにデータ通信するサーバ装置群)により構成されてもよい。
【0037】
サーバ装置13のハードウェアは、各種データを記憶するメモリと、メモリに記憶されているプログラムに従い各種データ処理を行うプロセッサと、外部の装置とネットワークを介したデータ通信を行う通信インタフェースを備えるコンピュータ(又はコンピュータ群)である。
【0038】
図3は、サーバ装置13の機能構成を示した図である。コンピュータ(又はコンピュータ群)が、本実施形態に係るサーバ装置13用のプログラムに従うデータ処理を実行することにより、
図3に示す構成部を備えるサーバ装置13が実現される。以下にサーバ装置13の機能構成を説明する。
【0039】
記憶手段130は、各種データを記憶する。記憶手段130が記憶するデータには、
図4に示されるデータフィールドを含むデータテーブル(以下、「対象物情報テーブル」という)が含まれる。
【0040】
対象物情報テーブルは、管理対象領域の各々に応じたデータレコードの集まりである。各データレコードには、管理対象領域を識別する識別情報と、そのデータレコードに格納されている情報に対するアクセス権限を示すアクセス権限情報と、管理対象領域に関する複数の対象物情報が格納される。
【0041】
対象物情報テーブルに格納されるアクセス権限情報は、例えば、そのデータレコードに格納されている情報の利用が許可されているユーザ毎に、そのユーザを識別するユーザ名と、アクセス権限の種類(「フルコントロール」、「変更」、「読み取り」等)を示す。例えば、アクセス権限情報により、「読み取り」が可能とされているユーザは、そのデータレコードの情報の閲覧等は許可されるが、変更(削除を含む)は許可されない。なお、アクセス権限情報が、データフィールド毎に異なるアクセス権限を示してもよい。
【0042】
対象物情報テーブルに格納される対象物情報には、管理対象領域を含む構造物を識別する構造物名(正確には、構造物名を示す情報)(以下、「○○を示す情報」を便宜的に「○○」という)、管理対象領域を識別する領域名、管理対象領域の地球上の位置を示す緯度経度、構造物における管理対象領域の位置が含まれる。また、対象物情報テーブルに格納される対象物情報には、データ通信装置12の対象物情報取得手段122が取得した各種情報(例えば、管理対象領域を撮影した画像等)が含まれる。
【0043】
また、記憶手段130が記憶するデータには、管理対象領域を含む構造物の設置位置を含む地域の地図を表す地図データと、管理対象領域を含む構造物の形状(2次元形状又は3次元形状)を表す形状データが含まれる。
【0044】
また、記憶手段130が記憶するデータには、関係者の各々のユーザ名と認証情報(パスワード等)を格納するユーザテーブルが含まれる。関係者は、情報管理システム1を利用する際、データ通信装置12に表示されるログイン画面に自分のユーザ名と認証情報を入力する。サーバ装置13は関係者により入力されたユーザ名と認証情報の組合せをユーザテーブルに格納されている情報と照合し、その関係者が情報管理システム1の利用の許可されたいずれのユーザであるかを特定する。その後、サーバ装置13は、そのユーザに付与されているアクセス権限を対象物情報テーブルの「アクセス権限情報」欄に格納されている情報から特定し、そのアクセス権限の範囲内で、そのユーザによる対象物情報テーブル内の情報の閲覧、対象物情報テーブルに対する新しい対象物情報の登録等を行う。
【0045】
図3を参照し、サーバ装置13の機能構成の説明を続ける。受信手段131は、データ通信装置12から各種データを受信する。受信手段131が受信するデータには、管理対象領域を識別する識別情報、管理対象領域に関する対象物情報、対象物情報の送信等の要求が含まれる。
【0046】
生成手段133は、対象物情報テーブル(
図4)に記憶されている対象物情報を用いて、新たな対象物情報を生成する。生成手段133が生成する対象物情報には、例えば、対象物情報が示す複数の測定値の統計値(平均値等)、それら複数の測定値の経時変化を示すグラフ等が含まれる。生成手段133により生成された対象物情報は、生成に用いられた対象物情報を格納しているデータレコードの新たなデータフィールドに格納される。
【0047】
送信手段134は、データ通信装置12に対し各種データを送信する。送信手段134が送信するデータには、受信手段131が受信した要求に応じた対象物情報、受信手段131が受信した要求に応じた地図及び管理対象領域の緯度経度を示す情報(データ通信装置12が対象物の位置の描かれた地図を表示するために用いる情報)、受信手段131が受信した要求に応じた構造物の形状及び構造物における管理対象領域の位置を示す情報(データ通信装置12が対象物の位置の描かれた構造物の画像を表示するために用いる情報)が含まれる。
【0048】
以上が、サーバ装置13の機能構成の説明である。
【0049】
続いて、関係者が情報管理システム1を使用する手順と、その際の情報管理システム1の動作を説明する。
【0050】
まず、管理責任者Yは、情報管理システム1の対象物情報テーブル(
図4)に未登録の管理対象領域に関する基本的な対象物情報(以下、「基本情報」という)を対象物情報テーブルに登録する。すなわち、管理責任者Yは、データ通信装置12Yを用いてサーバ装置13にアクセスし、新たに管理対象とする管理対象領域(以下、「新規管理対象領域」という)の基本情報を対象物情報テーブル(
図4)に登録する。管理責任者Yが対象物情報テーブルに登録する新規管理対象領域の基本情報には、新規管理対象領域を含む構造物を識別する構造物名、構造物において新規管理対象領域を識別する領域名、新規管理対象領域の地球上の位置を示す緯度経度、構造物における新規管理対象領域の位置、構造物の製造者、構造物の製造日時、構造物の製造方法、新規管理対象領域の材料、構造物(又は、新規管理対象領域)の保守作業の手順等(いわゆるマニュアル)等が含まれる。
【0051】
なお、構造物の製造(建設)のために構築されたBIM(Building Information Modeling)のデータが、基本情報の一部として対象物情報テーブルに登録されてもよい。
【0052】
管理責任者Yが新規管理対象領域の基本情報を対象物情報テーブルに登録する段階においては、新規管理対象領域の識別情報は未定である。従って、新規管理対象領域に応じた対象物情報テーブルのデータレコードの「識別情報」欄は空欄である。
【0053】
また、管理責任者Yは、新規管理対象領域に関するアクセス権限情報を対象物情報テーブルに登録する。
【0054】
管理責任者Yにより、新規管理対象領域の基本情報とアクセス権限情報が対象物情報テーブルに登録された後、保守作業員Xにより、新規管理対象領域に対する表示体11の取り付け作業が行われる。
【0055】
保守作業員Xは、自分が表示体11を取り付ける新規管理対象領域の数に応じた枚数の表示体11を準備する。なお、表示体11の各々に形成されているバーコードが示す識別情報は、既にいずれかの管理対象領域に取り付けられ、対象物情報テーブル(
図4)に登録されているものを含み、互いに重複することがない。
【0056】
保守作業員Xが新規管理対象領域に取り付ける表示体11に形成されているバーコードが示す識別情報は、いずれの識別情報であってもよい。すなわち、保守作業員Xは表示体11を準備する際、未使用の表示体11の中から必要な枚数の表示体11をランダムに選択する。
【0057】
保守作業員Xは、上記のように準備した未使用の表示体11とデータ通信装置12Xを持って、現場(この場合、構造物Tの近く)に赴く。
【0058】
保守作業員Xは、現場に到着すると、データ通信装置12Xを起動する。
図5は、保守作業員Xが新規管理対象領域に対し表示体11を取り付ける作業を行う際に、データ通信装置12Xに表示される画面を例示した図である。
【0059】
保守作業員Xは、現場に到着すると、データ通信装置12Xに対し所定の操作を行い、
図5(A)の画面(以下、「構造物指定画面」という)をデータ通信装置12Xに表示させる。構造物指定画面には、地図を表示する表示領域M1と、構造物名の入力(又はリストからの選択)を受け付けるコンボボックスC1が含まれる。
【0060】
表示領域M1には、データ通信装置12X(すなわち保守作業員X)の現在位置を含む地域の地図が表示される。表示領域M1に表示される地図には、データ通信装置12X(すなわち保守作業員X)の現在位置を示す星マークと、対象物情報テーブルの「構造物名」欄に格納されている構造物名(
図5(A)において「XXX」及び「YYY」で例示)と、それらの構造物名に応じたデータレコードの「緯度経度」欄に格納されている緯度経度が示す範囲の代表位置(例えば、中央位置)を示す円マークがオーバーレイ表示される。
【0061】
なお、保守作業員Xは、構造物指定画面に含まれる「縮小」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行うことによって、表示領域M1に表示される地図の縮尺を小さくする(すなわち、縮尺率の分母を大きくする)ことができる。また、保守作業員Xは、構造物指定画面に含まれる「拡大」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行うことによって、表示領域M1に表示される地図の縮尺を大きくする(すなわち、縮尺率の分母を小さくする)ことができる。
【0062】
また、保守作業員Xは、表示領域M1に表示される地図に対し、左右方向又は上下方向の移動を指示する操作(例えば、地図に2本指でタッチし、左右方向又は上下方向にスワイプする操作)を行うことで、保守作業員Xの現在位置から離れた地域の地図を表示領域M1に表示させることができる。
【0063】
また、保守作業員Xは、表示領域M1に表示させたい構造物の構造物名を、コンボボックスC1に入力(又はリストから選択)し「検索」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行うことで、その構造物名の構造物の設置位置を含む地域の地図を表示領域M1に表示させることができる。
【0064】
構造物指定画面の表示を行うために、データ通信装置12Xは、地図送信の要求をサーバ装置13に送信する。この要求には、データ通信装置12Xの現在位置を示す緯度経度、又は、コンボボックスC1に入力された構造物名が含まれている。
【0065】
サーバ装置13は、データ通信装置12Xから受信した地図送信の要求に緯度経度が含まれている場合、その緯度経度から所定距離以内の緯度経度を格納しており、かつ、保守作業員Xにアクセス権限が付与されているデータレコードを対象物情報テーブル(
図4)から抽出する。
【0066】
また、サーバ装置13は、データ通信装置12Xから受信した地図送信の要求に構造物名が含まれている場合、その構造物名を格納しているデータレコードを対象物情報テーブル(
図4)から検索する。そして、サーバ装置13は、検索したデータレコードに格納されている緯度経度が示す範囲を含む所定の広さの地域の緯度経度を格納しており、かつ、保守作業員Xにアクセス権限が付与されているデータレコードを対象物情報テーブルから抽出する。
【0067】
そして、サーバ装置13は、上記のように抽出したデータレコードに格納されている構造物名及び緯度経度と、それらの緯度経度が示す範囲を含む所定の広さの地域の地図とをデータ通信装置12Xに送信する。
【0068】
データ通信装置12Xは、地図送信の要求に応じてサーバ装置13から送信されてきた構造物名、緯度経度及び地図と、自装置の現在位置の緯度経度を用いて、表示領域M1に
図5(A)に示すような地図を表示する。
【0069】
保守作業員Xは、表示領域M1に表示されている地図にオーバーレイ表示されている円マークのうち、今から表示体11を取り付ける新規管理対象領域を含む構造物に応じた円マークに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行い、その構造物を選択する。保守作業員Xにより選択されている構造物に応じた円マークの線は太く表示される。従って、保守作業員Xは、現在、どの構造物が選択されているかを容易に確認できる。
【0070】
いずれかの円マークが選択されている状態において、保守作業員Xは、構造物指定画面に含まれる「決定」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行う。この操作に応じて、データ通信装置12Xは、
図5(B)の画面(以下、「対象物指定画面」という)を表示する。対象物指定画面には、構造物の画像(例えば、3次元形状を表す画像)を表示する表示領域M2と、領域名の入力(又はリストからの選択)を受け付けるコンボボックスC2が含まれる。
【0071】
表示領域M2には、構造物指定画面において保守作業員Xが選択した構造物の画像が表示される。表示領域M2に表示される画像には、データ通信装置12X(すなわち保守作業員X)の現在位置を示す星マークと、対象物情報テーブル(
図4)の「領域名」欄に格納されている領域名(
図5(B)において「AAA」及び「BBB」で例示)と、それらの領域名に応じたデータレコードの「位置」欄に格納されている構造物における管理対象領域の位置を示す四角マークがオーバーレイ表示されている。
【0072】
なお、保守作業員Xは、対象物指定画面に含まれる「縮小」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行うことによって、表示領域M2に表示される構造物の画像の縮尺を小さくする(すなわち、縮尺率の分母を大きくする)ことができる。また、保守作業員Xは、対象物指定画面に含まれる「拡大」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行うことによって、表示領域M2に表示される構造物の画像の縮尺を大きくする(すなわち、縮尺率の分母を小さくする)ことができる。
【0073】
また、保守作業員Xは、表示領域M2に表示される構造物の画像に対し、任意の方向における移動を指示する操作(例えば、画像に1本指でタッチし、任意の方向にスワイプする操作)を行うことで、表示領域M2に表示される構造物を見る方向を自由に調整(すなわち、表示領域M2に表示される構造物を自由に回転)することができる。また、保守作業員Xは、表示領域M2に表示される構造物の画像に対し、左右方向又は上下方向の移動を指示する操作(例えば、画像に2本指でタッチし、左右方向又は上下方向にスワイプする操作)を行うことで、構造物のうち、保守作業員Xの現在位置から離れた部分を表示領域M2に表示させることができる。
【0074】
また、保守作業員Xは、表示領域M2に表示させたい管理対象領域の領域名を、コンボボックスC2に入力(又はリストから選択)し「検索」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行うことで、構造物指定画面(
図5(A))において選択した構造物のうちコンボボックスC2に入力した領域名の管理対象領域を含む部分を表示領域M2に表示させることができる。
【0075】
対象物指定画面の表示を行うために、データ通信装置12Xは、形状データ送信の要求をサーバ装置13に送信する。この要求には、保守作業員Xが選択した構造物の構造物名が含まれている。サーバ装置13は、データ通信装置12Xから受信した形状データ送信の要求に応じて、その要求に含まれる構造物名に応じたデータレコードであり、かつ、保守作業員Xにアクセス権限が付与されているデータレコードを対象物情報テーブル(
図4)から抽出する。そして、サーバ装置13は、抽出したデータレコードに格納されている領域名及び位置と、要求に含まれる構造物名に応じた構造物の形状データとをデータ通信装置12Xに送信する。データ通信装置12Xは、要求に応じてサーバ装置13から送信されてきた領域名、位置及び形状データと、自装置の現在位置の緯度経度を用いて、表示領域M2に
図5(B)に示すような構造物の画像を表示する。
【0076】
表示領域M2に表示される四角マークは、その四角マークに応じた管理対象領域の識別情報が対象物情報テーブル(
図4)に登録済みであるか否かによって異なる色で表示される。例えば、識別情報が未登録の管理対象領域に応じた四角マークは赤色で表示され、識別情報が登録済みの管理対象領域に応じた四角マークは青色で表示される。すなわち、保守作業員Xが新たに表示体11を取り付けるべき管理対象領域(新規管理対象領域)は、表示領域M2において赤色の四角マークで示される。従って、保守作業員Xは、表示領域M2に表示される画像を見て、構造物のどの位置に表示体11を取り付けるべきかを容易に確認することができる。
【0077】
保守作業員Xは、眼前の構造物の、表示領域M2に表示される画像において確認した未登録の管理対象領域に、持参した表示体11のうちの任意の1枚を取り付ける。
【0078】
続いて、保守作業員Xは、表示領域M2に表示される四角マーク(赤色)のうち、表示体11を新たに取り付けた管理対象領域に応じた四角マーク(赤色)に対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行い、その管理対象領域を選択する。保守作業員Xにより選択されている管理対象領域に応じた四角マークの線は太く表示される。従って、保守作業員Xは、現在、どの管理対象領域が選択されているかを容易に確認できる。
【0079】
続いて、保守作業員Xは、対象物指定画面に含まれる「コード撮影」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行う。この操作に応じて、データ通信装置12Xは、
図5(C)の画面(以下、「コード撮影画面(識別情報登録用)」という)を表示する。コード撮影画面(識別情報登録用)には、データ通信装置12Xのカメラが撮影している画像を表示する表示領域M3が含まれる。保守作業員Xは、新たに取り付けた表示体11のバーコードが表示領域M3の中央付近に表示されるようにデータ通信装置12Xの姿勢を調整し、「縮小」ボタン又は「拡大」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行ってその画像の縮尺を変更し、バーコードの外縁が表示領域M3内の破線と概ね一致するようにする。その状態で、保守作業員Xは「決定」ボタンに所定の操作(例えば、タップ操作)を行う。
【0080】
その操作に応じて、データ通信装置12Xは、撮影した画像に含まれるバーコードをデコードし、そのバーコードが示す識別番号を取得する。
【0081】
続いて、データ通信装置12Xは識別情報登録の要求をサーバ装置13に送信する。この要求には、保守作業員Xが構造物指定画面において選択した構造物の構造物名と、対象物指定画面において選択した管理対象領域の領域名と、データ通信装置12Xのカメラが撮影した表示体11の画像と、上記のようにバーコードから取得した識別番号が含まれている。
【0082】
サーバ装置13は、データ通信装置12Xから受信した識別情報登録の要求に応じて、その要求に含まれる構造物名及び領域名の組合せに応じたデータレコードを対象物情報テーブル(
図4)から検索し、要求に含まれる識別情報を検索したデータレコードの「識別情報」欄に格納する。これにより、新規管理対象領域に対する識別情報の登録が完了する。また、サーバ装置13は、同じデータレコードの新たなデータフィールドに、要求に含まれる表示体11を撮影した画像を格納する。この画像は、管理対象領域に対応付けられている識別情報の根拠を示す情報(エビデンス)として利用される。
【0083】
サーバ装置13は、上記のように新規管理対象領域に対する識別情報の登録が完了すると、完了通知をデータ通信装置12Xに送信する。データ通信装置12Xは、サーバ装置13から送信されてくる完了通知に応じて、
図5(B)の対象物指定画面を再表示する。この対象物指定画面において、先に保守作業員Xにより選択されていた四角マークは青色で表示される。保守作業員Xは、その四角マークの色により、新たに表示体11を取り付けた管理対象領域に関する識別情報の登録が正しく行われたことを確認できる。
【0084】
識別情報の登録が完了すると、保守作業員Xはその管理対象領域に関する新たな対象物情報の登録を行うことができる。
図6は、保守作業員Xが新たな対象物情報を登録する際、データ通信装置12Xが表示する画面を示した図である。
【0085】
まず、保守作業員Xは、データ通信装置12Xに対し所定の操作を行い、
図6(A)の画面(以下、「コード撮影画面(対象物情報視聴用)」という)をデータ通信装置12Xに表示させる。コード撮影画面(対象物情報視聴用)には、データ通信装置12Xのカメラが撮影している画像を表示する表示領域M4が含まれる。保守作業員Xは、新たに対象物情報の登録を行いたい管理対象領域に取り付けられている表示体11のバーコードが表示領域M4の中央付近に表示されるようにデータ通信装置12Xの姿勢を調整し、「縮小」ボタン又は「拡大」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行ってその画像の縮尺を変更し、バーコードの外縁が表示領域M4内の破線と概ね一致するようにする。
【0086】
保守作業員Xにより上記の操作が行われる間に、データ通信装置12Xがバーコードのデコードに成功すると、データ通信装置12Xは対象物情報送信の要求をサーバ装置13に送信する。この要求には、データ通信装置12Xがバーコードから取得した識別番号が含まれている。
【0087】
サーバ装置13は、データ通信装置12Xから受信した対象物情報送信の要求に応じて、要求に含まれる識別情報に応じたデータレコードを対象物情報テーブル(
図4)から検索する。続いて、サーバ装置13は、検索したデータレコードの「アクセス権限情報」欄の情報により、検索したデータレコードのアクセス権限が保守作業員Xに付与されているか否かを判定する。保守作業員Xにアクセス権限が付与されていない場合、サーバ装置13はデータ通信装置12Xにエラー通知を送信する。その場合、データ通信装置12は、例えば「この対象物に関する情報に対するアクセス権限がありません。」といったメッセージを表示する。一方、検索したデータレコードに対するアクセス権限が保守作業員Xに対し付与されている場合、サーバ装置13は、検索したデータレコードに格納されている対象物情報と、保守作業員Xに付与されているアクセス権限の種類を示す情報をデータ通信装置12Xに送信する。
【0088】
データ通信装置12Xは、対象物情報送信の要求に応じてサーバ装置13から送信されてくる対象物情報を受信すると、受信した対象物情報を用いて、
図6(B)の画面(以下、「対象物情報視聴画面」という)を表示する。対象物情報視聴画面には、保守作業員Xがデータ通信装置12Xのカメラで撮影した表示体11が取り付けられている管理対象領域の構造物名、領域名が表示される。また、対象物情報視聴画面には、その管理対象領域に関する対象物情報の情報名をリスト表示する表示領域M5と、対象物情報の内容を表示する表示領域M6が含まれる。
【0089】
保守作業員Xが表示領域M5に表示されているリスト内のいずれかの情報名に対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行うと、データ通信装置12Xは、その操作により選択された情報名に応じた対象物情報の内容を保守作業員Xに対し通知する。すなわち、保守作業員Xにより選択された情報名に応じた対象物情報が画像、テキスト等を表す場合、表示領域M6にそれらの画像、テキスト等が表示される。また、保守作業員Xにより選択された情報名に応じた対象物情報が音を表す場合、データ通信装置12Xはスピーカからその音を発音する。例えば、保守作業員Xにより選択された情報名に応じた対象物情報が音声付き動画であれば、表示領域M6に動画が表示されるとともに、スピーカから音声が発音される。
【0090】
このように、保守作業員Xは、表示体11をデータ通信装置12Xによって撮影し、リストから情報名を選択することで、希望する対象物情報を容易に視聴することができる。
【0091】
また、保守作業員Xに対し、この管理対象領域に関する新たな対象物情報の登録を行うためのアクセス権限(例えば、「フルコントロール」又は「変更」)が付与されている場合、対象物情報使用画面には、「撮影」ボタン、「録音」ボタン、「文章等登録」ボタン、「ファイル登録」ボタンが表示される。保守作業員Xは、対象物情報視聴画面に含まれる「撮影」ボタン、「録音」ボタン、「文章等登録」ボタン、「ファイル登録」ボタンのいずれかに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行うことで、眼前の管理対象領域に関し、新たな対象物情報の登録を行うための画面を表示させることができる。
図7は、それらの対象物情報の登録を行うための画面を示した図である。
【0092】
図7(A)は、保守作業員Xが対象物情報視聴画面に含まれる「撮影」ボタンに対し所定の操作(例えば、タッチ操作)を行った場合にデータ通信装置12Xが表示する画面(以下、「撮影画面」という)である。撮影画面には、データ通信装置12Xのカメラが撮影している画像を表示する表示領域M7と、撮影した画像(静止画又は動画)を他の情報から識別する情報名の入力を受け付けるテキストボックスB1が含まれる。
【0093】
保守作業員Xが撮影画面において「撮影」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行うと、データ通信装置12Xはその時点にカメラが撮影していた静止画を一時的に記憶し、その静止画を表示領域M7に表示する。また、保守作業員Xが撮影画面において「録画開始」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行い、その後、「録画停止」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行うと、データ通信装置12Xはその間にカメラが撮影していた動画と、マイクが拾音していた音を含む音声付き動画を一時的に記憶し、例えば、その動画の冒頭の静止画を表示領域M7に表示する。
【0094】
上記のように、音声付き動画が一時的に記憶された状態で、保守作業員Xが「再生開始」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行うと、一時的に記憶されている音声付き動画が表示領域M7とスピーカにより再生される。
【0095】
上記のように、画像(静止画又は音声付き動画)が一時的に記憶された状態で、保守作業員Xは、テキストボックスB1にその画像(静止画又は音声付き動画)を他の情報から識別する情報名を入力し、「登録」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行うことによって、その画像(静止画又は音声付き動画)を新たな対象物情報として対象物情報テーブルに登録することができる。
【0096】
図7(B)は、保守作業員Xが対象物情報視聴画面(
図6(B))に含まれる「録音」ボタンに対し所定の操作(例えば、タッチ操作)を行った場合にデータ通信装置12Xが表示する画面(以下、「録音画面」という)である。録音画面には、録音した音を他の情報から識別する情報名の入力を受け付けるテキストボックスB2が含まれる。保守作業員Xが録音画面において、「録音開始」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行い、その後、「録音停止」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行うと、データ通信装置12Xはその間にマイクが拾音していた音を一時的に記憶する。
【0097】
上記のように、音が一時的に記憶された状態で、保守作業員Xが「再生開始」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行うと、一時的に記憶されている音がスピーカにより再生される。
【0098】
上記のように、音が一時的に記憶された状態で、保守作業員Xは、テキストボックスB2にその音を他の情報から識別する情報名を入力し、「登録」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行うことによって、その音を新たな対象物情報として対象物情報テーブルに登録することができる。
【0099】
図7(C)は、保守作業員Xが対象物情報視聴画面(
図6(B))に含まれる「文章等登録」ボタンに対し所定の操作(例えば、タッチ操作)を行った場合にデータ通信装置12Xが表示する画面(以下、「文章等登録画面」という)である。文章等登録画面には、文字、文字列(文章)、数値、記号等(以下、「文章等」という)の入力を受け付けるテキストボックスB3と、入力した文章等を他の情報から識別する情報名の入力を受け付けるテキストボックスB4が含まれる。保守作業員Xは、テキストボックスB3に文章等を入力し、テキストボックスB4にその文章等を他の情報から識別する情報名を入力し、「登録」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行うことによって、その文章等を新たな対象物情報として対象物情報テーブルに登録することができる。
【0100】
図7(D)は、保守作業員Xが対象物情報視聴画面(
図6(B))に含まれる「ファイル登録」ボタンに対し所定の操作(例えば、タッチ操作)を行った場合にデータ通信装置12Xが表示する画面(以下、「ファイル登録画面」という)である。ファイル登録画面には、データ通信装置12Xに記憶されているデータファイルのファイル名をリスト表示する表示領域M8と、データファイルの内容を表示する表示領域M9と、表示領域M8において選択されたデータファイルを他の情報から識別する情報名の入力を受け付けるテキストボックスB5が含まれる。
【0101】
保守作業員Xが表示領域M8に表示されているリスト内のいずれかのファイル名に対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行い選択すると、データ通信装置12Xは、選択されたデータファイルの内容を保守作業員Xに対し通知する。すなわち、保守作業員Xにより選択されたファイル名に応じたデータファイルが画像、テキスト等を表す場合、表示領域M9にそれらの画像、テキスト等が表示される。また、保守作業員Xにより選択されたファイル名に応じたデータファイルが音を表す場合、データ通信装置12Xはスピーカからその音を発音する。例えば、保守作業員Xにより選択されたファイル名に応じたデータファイルが音声付き動画を表す場合、表示領域M9に動画が表示されるとともに、スピーカから音声が発音される。
【0102】
保守作業員Xは、表示領域M8に表示されているリスト内のいずれかのファイル名を選択した状態で、テキストボックスB5にその音を他の情報から識別する情報名を入力し、「登録」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行うことによって、そのデータファイルを新たな対象物情報として対象物情報テーブルに登録することができる。
【0103】
撮影画面(
図7(A))、録音画面(
図7(B))、文章等登録画面(
図7(C))又はファイル登録画面(
図7(D))において「登録」ボタンに対し所定の操作が行われると、データ通信装置12Xからサーバ装置13に対象物情報登録の要求が送信される。この要求には、コード撮影画面(対象物情報視聴用)(
図6(A))において撮影したバーコードから取得した識別情報と、登録対象の対象物情報(静止画像、音声付き動画、音、文章等又はデータファイル)と、それらの情報名が含まれる。
【0104】
サーバ装置13は、データ通信装置12Xから対象物情報登録の要求を受信すると、その要求に含まれる識別情報に応じたデータレコードを対象物情報テーブル(
図4)から検索する。続いて、サーバ装置13は、要求に含まれる対象物情報を、検索したデータレコードに格納する。なお、要求に含まれる情報名は、対象物情報の付加情報として対象物情報テーブルに格納される。
【0105】
関係者(保守作業員X等)は、登録済みの対象物情報を視聴したい管理対象領域が眼前にある場合、データ通信装置12にコード撮影画面(対象物情報視聴用)(
図6(A))を表示させ、眼前の管理対象領域に取り付けられている表示体11を撮影してデータ通信装置12に対象物情報視聴画面(
図6(B))を表示させ、対象物情報視聴画面においてリストから視聴したい対象物情報の情報名を指定することで、希望する対象物情報を視聴することができる。
【0106】
また、関係者(保守作業員X、管理責任者Y等)は、登録済みの対象物情報を視聴したい管理対象領域が眼前にない場合、データ通信装置12に対象物指定画面(
図5(B))を表示させ、表示領域M2において対象物情報を視聴したい管理対象領域に応じた四角マーク(青色)を選択した後、対象物指定画面の「情報視聴」ボタンに対し所定の操作(例えば、タップ操作)を行うことで、対象物情報視聴画面(
図6(B))をデータ通信装置12に表示させることができる。そして、関係者は、対象物情報視聴画面において表示領域M5のリストから視聴したい対象物情報の情報名を選択することで、希望する対象物情報の内容を視聴することができる。
【0107】
また、関係者は、新たに対象物情報を登録したい管理対象領域が眼前にない場合、データ通信装置12に対象物指定画面(
図5(B))を表示させ、表示領域M2において新たな対象物情報を登録したい管理対象領域に応じた四角マーク(青色)を選択した後、対象物指定画面の「情報視聴」ボタンに対し操作(例えば、タップ操作)を行い対象物情報視聴画面(
図6(B))をデータ通信装置12に表示させ、対象物情報視聴画面において「撮影」ボタン、「録音」ボタン、「文章等登録」ボタン又は「ファイル登録」ボタンに対し操作を行い、撮影画面(
図7(A))等をデータ通信装置12に表示させ、それらの画面において新たな対象物情報の登録を行うことができる。
【0108】
従って、例えば、保守作業員Xが現場で管理対象領域の状態を十分に評価することができなかった場合には、保守作業員Xが現場で撮影して登録した画像(静止画又は音声付き動画)や、現場で録音して登録した音を、現場以外の場所(オフィス等)にて視聴し、それらの画像や音に基づき管理対象領域の状態等を評価し、評価した結果を示す文章等を対象物情報テーブルに登録することができる。
【0109】
また、例えば管理責任者Yが、現場に赴くことなく、マニュアル等を示すデータファイルを対象物情報テーブルに登録したり、一般的な注意事項等を示す文章を対象物情報テーブルに登録したりできる。
【0110】
上述した情報管理システム1によれば、関係者は、管理の対象物に取り付けられている表示体11をデータ通信装置12により撮影することで、その対象物に関する対象物情報を容易に視聴することができる。
【0111】
従って、関係者は、例えば前任者等からの引き継ぎが不十分であっても、対象物に関する情報を容易かつ確実に利用することができる。
【0112】
[変形例]
上述した実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々に変形することができる。以下にそれらの変形の例を示す。なお、以下に例示の変形例の2以上が組み合わせて採用されてもよい。
【0113】
(1)表示体11が、バーコード以外の表示態様により識別情報等の情報を表してもよい。例えば、表示体11が、数字、文字、記号等の人間が容易に認識可能な表示態様により、識別情報やURLを表示してもよい。その場合、表示体11が表す情報を、データ通信装置12が既知の文字認識技術により認識してもよいし、データ通信装置12のユーザ(関係者)が表示体11から読み取ってデータ通信装置12に入力した情報をデータ通信装置12が取得してもよい。
【0114】
(2)表示体11が識別情報に加え、他の情報を示してもよい。例えば、表示体11が、データ通信装置12用のプログラムのダウンロード元のURL(Uniform Resource Locator)を示してもよい。その場合、ユーザは、そのURLが示すインターネット上の場所から、データ通信装置12用のプログラムをダウンロードできる。
【0115】
また、例えば、表示体11が表すURLが、データ通信装置12用のプログラムのダウンロード元へのリンクの貼られたWebページを示してもよい。その場合、ユーザは、そのWebページに貼られたリンクから、データ通信装置12用のプログラムをダウンロードできる。
【0116】
また、表示体11が、データ通信装置12用のプログラムの名称等の識別情報を表してもよい。その場合、ユーザは、表示体11から取得したプログラムの名称等をプログラムの検索ページにおいて入力し検索することで、データ通信装置12用のプログラムをダウンロードできる。
【0117】
また、表示体11が、情報管理システム1の管理者の連絡先情報を表してもよい。なお、情報管理システム1の管理者の連絡先情報とは、例えば、電話番号、住所、電子メールアドレス等の、ユーザが管理者と連絡を取るために用いられる情報であれば、いずれの種類の情報であってもよい。この場合、ユーザは、表示体11から取得した連絡先情報を用いて、情報管理システム1の管理者と連絡を取り、データ通信装置12用のプログラムの入手方法を知ることができる。
【0118】
(3)情報管理システム1が管理する対象物は、構造物の一部(領域)でなくてもよい。例えば、構造物全体が1つの対象物として管理されてもよい。
【0119】
また、情報管理システム1が管理する対象物は、橋梁等の建築物や建設物に限られず、他の様々な種類の物が管理の対象物となり得る。例えば、工場内に配置されている装置の各々が管理の対象物であってもよいし、試験片の各々が管理の対象物であってもよい。
【0120】
従って、関係者が対象物に対し行う管理の作業の種類は保守に関する作業に限られない。また、対象物情報テーブル(
図4)に格納される対象物情報の種類も保守に関する情報に限られない。例えば、対象物が装置であれば、その装置の操作手順等を記したマニュアルが対象物情報の一つとして対象物情報テーブルに格納され、要求に応じてデータ通信装置12に送信されてもよい。
【0121】
(4)データ通信装置12が、表示体11と、その表示体11が取り付けられた対象物とが一緒に写った写真を表す画像を、その表示体11が表す識別情報により識別される対象物の対象物情報としてサーバ装置13に送信し、サーバ装置13がその画像を、その識別情報に対応付けて対象物情報テーブルに記憶してもよい。その場合、対象物の外観を表す根拠となる画像が、識別情報の根拠となる表示体11の画像と分離不可能となっているため、その画像のエビデンスとしての価値が高い。
【0122】
また、データ通信装置12が、表示体11と、その表示体11が取り付けられた対象物に関する測定結果を示している測定装置とが一緒に写った写真を表す画像を、その表示体11が表す識別情報により識別される対象物の対象物情報としてサーバ装置13に送信し、サーバ装置13がその画像を、その識別情報に対応付けて対象物情報テーブルに記憶してもよい。その場合、対象物の物理属性等を表す根拠となる画像が、識別情報の根拠となる表示体11の画像と分離不可能となっているため、その画像のエビデンスとしての価値が高い。
【0123】
(5)表示体11のバーコードを、データ通信装置12に代えて、サーバ装置13がデコードしてもよい。その場合、データ通信装置12はバーコードから取得した情報をサーバ装置13に送信する代わりに、バーコードの画像をサーバ装置13に送信する。
【0124】
(6)情報管理システム1が管理する対象物の数は1つでもよい。
【0125】
(7)データ通信装置12用のプログラムは、Webアプリケーションプログラムであってもよい。その場合、データ通信装置12のハードウェアとして使用されるコンピュータは、Webブラウザプログラムを実行している状態において、サーバ装置13、又は、サーバ装置13以外のサーバ装置から配信されるHTML(Hyper Text Markup Language)等の記述言語により記述されたWebページの表示を指示するデータを一時的にダウンロードし、ダウンロードしたデータをWebブラウザで解釈することにより、データ通信装置12として機能する。
【0126】
(8)上述した実施形態の説明において例として示した関係者(保守作業員X等)の行う作業の手順や、その作業に応じて情報管理システム1が行う動作の順序は、適宜、変更されてよい。
【0127】
例えば、上述した実施形態の説明においては、保守作業員Xは、対象物に表示体11を取り付けた後、その表示体11をコード撮影画面(識別情報登録用)(
図5(C))において撮影することで、その対象物を識別する識別情報をサーバ装置13の対象物情報テーブル(
図4)に登録するものとした。これに代えて、保守作業員Xが、眼前の対象物に表示体11を取り付ける前に、表示体11をコード撮影画面(識別情報登録用)において撮影することで、眼前の対象物を識別する識別情報をサーバ装置13の対象物情報テーブルに登録した後、その表示体11を眼前の対象物に取り付けてもよい。ただし、前者の方が、表示体11の入れ違いが生じる可能性がない点で望ましい。
【0128】
また、上述した実施形態の説明においては、保守作業員Xは、対象物指定画面(
図5(B))において識別情報の登録対象の対象物を選択した後、コード撮影画面(識別情報登録用)(
図5(C))において表示体11を撮影するものとした。これに代えて、保守作業員Xが、コード撮影画面(識別情報登録用)において表示体11を撮影した後、対象物指定画面(
図5(B))において識別情報の登録対象の対象物を選択してもよい。
【0129】
(9)表示体11に代えて、パッシブ型RFIDタグ(以下、単に「RFIDタグ」という)が対象物に取り付けられてもよい。なお、パッシブ型RFIDタグは、バッテリを持たず、外部から受信した電波により起電して得られる電力により、記憶している情報を示す電波を発し、また、その電力により外部から受信した電波が示す情報を記憶する装置を意味する。なお、RFIDタグは、対象物の表面に露出していてもよいし、対象物の表面に露出していなくてもよい。
【0130】
この場合、データ通信装置12(のハードウェアとして用いられるコンピュータ)は、RFIDタグから送信される情報を示す電波の受信を行うリーダを備える。そして、データ通信装置12は、表示体11をカメラで撮影するのに代えて、リーダによりRFIDタグから情報を読み取る。より具体的には、リーダは、電波を発し、その電波により起電されたRFIDタグから発せられる、RFIDタグに記憶されている識別情報等の情報を示す電波を受信し、その電波が示す情報を取得する。なお、保守作業員Xは、対象物に取り付けられたRFIDタグから情報を読み取らせるために、データ通信装置12を、リーダがRFIDタグと通信可能な距離まで、近付ける必要がある。
【0131】
RFIDタグが記憶し、データ通信装置12に送信する(データ通信装置12に読み取らせる)情報の種類は、上述した表示体11が表す情報と同様である。すなわち、RFIDタグは、少なくとも、対象物を識別するための識別情報を記憶し、データ通信装置12に送信する。また、RFIDタグが、識別情報に加えて、データ通信装置12用のプログラムの所在を示すURL、データ通信装置12用のプログラムの識別情報、情報管理システム1の管理者の連絡先情報等を記憶し、データ通信装置12に読み取らせてもよい。
【0132】
また、データ通信装置12がRFIDタグに情報を書き込む機能を備えるリーダライタを備え、そのリーダライタにより、RFIDタグに記憶されている情報の書き換えが行われてもよい。例えば、対象物情報テーブルに記憶される対象物情報のうち、次回作業時の注意事項等がRFIDタグに記憶されてもよい。その場合、現場で関係者がデータ通信装置12をRFIDタグに近付けると、その対象物に対する作業時の注意事項がデータ通信装置12に表示される。従って、関係者が注意事項を見落とすことなく、作業を行うことができる。
【0133】
また、RFIDタグに加えて、RFIDタグの位置を示す表示体が、対象物の表面に取り付けられてもよい。この場合、表示体は対象物を識別するための識別情報を表さなくてよい。特に、RFIDタグが対象物の表面に露出していない場合、保守作業員X等の関係者は現場においてRFIDタグを容易に見つけることができない。従って、RFIDタグの位置を示す表示体が対象物の表面に取り付けられていることで、関係者は現場でRFIDタグの位置を容易に知ることができ、その位置にデータ通信装置12を近付けることで、RFIDタグから情報を読み取らせることができる。
【0134】
情報管理システム1がRFIDタグの位置を示す表示体を備える場合、その表示体が、データ通信装置12用のプログラムの所在を示すURL、データ通信装置12用のプログラムの識別情報、情報管理システム1の管理者の連絡先情報等を表してもよい。
【0135】
(10)表示体11、又は、上記の変形例(9)に記載のRFIDタグの位置を示す表示体(以下、それらを単に「表示体」という)が、表示する図形のサイズを表してもよい。例えば、表示体がQRコードを表す場合、そのQRコード(図形の一例)が、自らのQRコードの一辺の長さをエンコードして表してもよい。また、表示体がバーコードではない図形(例えば、四角形)と、その図形のサイズを示す数字等を表示してもよい。また、表示体が表示する図形が、自ら(表示体)の全体の形状により表される図形であってもよい。例えば、表示体が正方形であれば、表示体が、その正方形の一辺の長さを表示してもよい。また、表示体が、定規を表す図形を表示してもよい。
【0136】
表示体が表示する図形のサイズを表す場合、データ通信装置12が表示体と一緒に対象物を写した写真を表す画像がデータ通信装置12の対象物情報テーブル(
図4)に対象物情報として登録され、関係者に閲覧可能となる。その場合、関係者は、その写真を見て、例えば対象物に生じているひび割れの長さ等を、サイズの分かる図形の大きさを基準に容易に知ることができる。
【0137】
(11)表示体11、又は、上記の変形例(9)に記載のRFIDタグの位置を示す表示体(以下、それらを単に「表示体」という)が、所定のサイズ、形状及び方向の図形である基準図形を表示し、データ通信装置12又はサーバ装置13が、表示体11が写るように撮影した対象物の画像のサイズ、形状及び方向の少なくとも1つを、その画像に含まれる基準図形のサイズ、形状及び方向の少なくとも1つに基づき補正する画像補正手段を備えてもよい。
【0138】
例えば、基準図形は、表示体に形成されたQRコードが示す正方形、バーコード以外の幾何学図形、表示体の全体の形状により表される図形等のいずれであってもよい。
【0139】
カメラで撮影される対象物のサイズは、カメラと対象物の間の距離や、カメラの撮影倍率によって変化する。また、データ通信装置12のカメラで撮影される対象物の形状は、カメラが対象物を撮影する方向によって変化する。また、データ通信装置12のカメラで撮影される対象物の方向は、撮影時のカメラの傾きの状態によって変化する。従って、同じ対処物を撮影した複数の画像を比較する際、それらの画像に含まれる対象物のサイズ、形状及び方向の違いが、比較の作業の妨げとなる。
【0140】
この変形例においては、データ通信装置12又はサーバ装置13が、対象物を撮影した画像を、画像に含まれる基準図形のサイズ、形状及び方向に基づき、例えば、対象物を所定の撮影倍率で、正面から、カメラの傾きがない状態で撮影した画像となるように補正(変換)する。従って、関係者は、補正された対象物の画像を複数、比較することで、比較の作業を容易に行うことができる。
【0141】
なお、画像に含まれる基準図形のサイズ、形状及び方向の少なくとも1つに基づき、画像のサイズ、形状及び方向の少なくとも1つを補正する方法としては、合同変換、相似変換、アフィン変換、射影変換等の既知の方法のいずれが採用されてもよい。
【0142】
(12)表示体11、又は、上記の変形例(9)に記載のRFIDタグの位置を示す表示体(以下、それらを単に「表示体」という)が、所定のサイズの図形である基準図形を表示し、データ通信装置12又はサーバ装置13が、表示体11が写るように撮影した対象物の画像に含まれる、対象物の表面に生じている模様のサイズを、その画像に含まれる基準図形のサイズに基づき特定するサイズ特定手段を備えてもよい。
【0143】
例えば、基準図形は、表示体に形成されたQRコードが示す正方形、バーコード以外の幾何学図形、表示体の全体の形状により表される図形等のいずれであってもよい。
【0144】
この変形例においては、データ通信装置12又はサーバ装置13が、対象物を撮影した画像に写っている模様(例えば、ひび割れ)のサイズ(例えば、長さや幅)を、基準図形のサイズに基づき特定する。従って、関係者は、データ通信装置12又はサーバ装置13により特定された対象物に生じている模様のサイズを閲覧することで、対象物の状態を容易に把握することができる。
【0145】
(13)上述した実施形態において、対象物情報として対象物情報テーブル(
図4)に登録される画像(静止画、音声付き動画等)は、撮影画面(
図7(A))に対しユーザが所定の操作を行うことによって、データ通信装置12が備えるカメラによって撮影された画像であるものとした。データ通信装置12が備えるカメラ以外のカメラによって撮影された画像が、撮影画面を介さずに、対象物情報テーブルに登録されてもよい。
【0146】
例えば、保守作業員Xが、データ通信装置12とは異なる装置であるカメラによって、表示体11が写るように対象物を撮影する。そして、保守作業員Xが、データ通信装置12Xによりサーバ装置13にログインした後、カメラに記憶されている画像をサーバ装置13にアップロードする。その際、保守作業員Xは、アップロードする画像に写っている対象物の構造物名及び領域名を指定する必要はない。
【0147】
この変形例において、サーバ装置13は、表示体11が表すバーコードをデコードする機能を備える。すなわち、サーバ装置13は、データ通信装置12が備える識別情報取得手段121と同様の機能構成を備える。サーバ装置13は、データ通信装置12からアップロードされた画像に含まれるバーコードをデコードし、そのバーコードが表す識別情報を取得する。そして、データ通信装置12からアップロードされた画像を、その識別情報に応じた対象物情報テーブルのデータレコードに登録する。
【0148】
なお、画像に含まれるバーコードをデータ通信装置12がデコードし、デコードにより取得した識別情報と画像をデータ通信装置12がサーバ装置13にアップロードしてもよい。
【0149】
この変形例によれば、現場で作業を行う関係者は、現場で任意のカメラにより対象物を撮影し、必ずしも現場でデータ通信装置12を操作しなくてもよい。
【0150】
(14)一般的に、カメラにより撮影された画像には、そのカメラが備えるレンズの特性等に応じた歪み、色や明るさの変化等が生じる。それらの特性(以下、「カメラ特性」という)は、カメラの機種毎、個体毎に異なる。また、カメラの設定によっても、カメラ特性は異なる。
【0151】
従って、データ通信装置12又はサーバ装置13が、カメラにより撮影された画像に対し、そのカメラのカメラ特性に応じた補正処理を行ってもよい。
【0152】
この変形例において、例えば保守作業員Xは、市松模様、色見本等の描かれたキャリブレーション用のシートを、対象物の撮影に用いるカメラ(例えば、データ通信装置12Xが備えるカメラ)で、例えば正面、斜め等の異なる方向から撮影する。データ通信装置12X又はサーバ装置13は、キャリブレーション用のシートを撮影した画像に表れる歪み、色、明るさを特定し、特定したそれらの情報をキャリブレーション用の情報として記憶する。その後、保守作業員Xがカメラにより対象物を撮影すると、データ通信装置12X又はサーバ装置13は、カメラにより撮影された画像を、キャリブレーション用の情報に基づき、歪みのない、標準的な色や明るさの画像となるように補正する。そして、サーバ装置13は、例えば、補正前及び補正後の画像を対象物情報テーブルに格納する。
【0153】
この変形例によれば、同じ対象物を異なるカメラや、異なる設定のカメラで撮影した複数の画像を関係者が閲覧する際、カメラ特性の違いが画像にもたらす影響が除去された画像を観察できるので、関係者が正しい比較検討を行いやすい。
【0154】
(15)サーバ装置13が、対象物情報テーブル(
図4)に格納されている情報を用いて、複数の対象物の各々に対する作業のスケジュールを策定する作業スケジュール策定手段を備えてもよい。
【0155】
例えば、対象物の種類や、対象物が置かれている環境等に応じて、点検等の作業が行われるべき頻度(例えば、前回の点検から次回の点検までの時間)に関する条件が課される場合がある。その場合、例えば管理責任者Yが、その条件を対象物情報として対象物情報テーブルに格納する。サーバ装置13の作業スケジュール策定手段は、対象物情報テーブルに格納されている各対象物の最終作業日時を参照し、各対象物の作業頻度に関する条件の全てが満たされるように、どの対象物に対しどの日時に作業が行われるべきか、を示す作業スケジュールを策定する。なお、サーバ装置13の作業スケジュール策定手段が、作業スケジュールの策定において、例えば、各対象物に対する作業に要する時間、対象物の位置に基づき定まる移動に要する時間、作業に要する人件費等に費用等を用いてもよい。
【0156】
データ通信装置12の作業スケジュール策定手段により策定された作業スケジュールは、例えばデータ通信装置12からの要求に応じてデータ通信装置12に送信され、関係者に通知される。
【0157】
この変形例によれば、関係者は、各対象物に対し行うべき作業を望ましいタイミングで行うことができる。
【0158】
(16)サーバ装置13が、対象物情報テーブル(
図4)に格納されている情報を用いて、複数の対象物のうち、作業者が作業すべき対象物を特定する作業対象物特定手段を備えてもよい。
【0159】
例えば、関係者が、同じ作業日に、複数の対象物に対し、順次、作業を行うような場合、一般的に、作業に伴う移動時間又は移動距離が最短となるように、作業を受ける対象物の順序が決定されることが望ましい。
【0160】
この変形例において、サーバ装置13の作業対象物特定手段は、例えば、対象物情報テーブルに格納されている対象物の位置に基づき、同日に作業を受ける対象物のうち、まだ作業が行われていない対象物の間を順次、移動する最短ルートを特定する。そして、サーバ装置13は、そのように特定した最短ルートのうち、最初の対象物を示す情報(例えば、その対象物の位置を示す地図又は構造物の画像)を、現場で作業をしている関係者のデータ通信装置12に送信する。データ通信装置12は、サーバ装置13から受信した情報をユーザ(関係者)に通知する。
【0161】
サーバ装置13の作業対象物特定手段は、例えば、現場で作業をしている関係者のデータ通信装置12から、いずれかの対象物に対する作業の完了を示す対象物情報を受信する毎に、最短ルートの特定を行い、新たに特定した最短ルートのうち、最初の対象物を示す情報を、現場で作業をしている関係者のデータ通信装置12に送信する。
【0162】
この変形例によれば、現場で作業をしている関係者は、データ通信装置12の通知に従い、指定される対象物に対し順次、作業を行うことで、効率的に作業を行うことができる。また、この変形例によれば、同じ対象物に対する作業の重複や、作業が行われない対象物の発生(作業漏れ)が生じない。
【0163】
(17)データ通信装置12とサーバ装置13の間で行われる通信は、既知の暗号化技術により暗号化されて、改ざんや盗聴が防止されることが望ましい。
【0164】
(18)対象物情報の種類は、画像(静止画又は音声付き動画)、音、文章等、データファイルに限られない。例えば、音声の伴わない動画や、匂いを表す情報等が対象物情報として対象物情報テーブルに格納されてもよい。
【0165】
また、所定の入力フォームに従い入力された情報が対象物情報として対象物情報テーブルに格納されてもよい。
【0166】
(19)上述した実施形態においては、関係者は、地図(
図5(A)参照)及び構造物の図形(
図5(B)参照)に対し所定の操作を行うことにより、対象物情報の視聴や登録を行う対象物を選択するものとした。対象物の選択の方法は、地図や構造物の図形を用いる方法に限られない。
【0167】
例えば、データ通信装置12に、そのユーザに対しアクセス権限が付与されている対象物の対象物名のリストが表示され、そのリストからユーザが対象物情報の視聴や登録を行う対象物の対象物名を選択してもよい。例えば、対象物が試験片であるような場合、それらの試験片を選択するにあたり、地図や構造物の図形を用いる方法は適さない。すなわち、データ通信装置12が地図や構造物の図形を表示するか否かは、対象物の種類等に応じて適宜、決定されてよい。
【0168】
また、対象物の位置が地図や構造物の図形により確認されることが望ましい場合、リストからいずれかの対象物名を選択するユーザの操作に応じて、選択された対象物名により識別される対象物の位置を示す地図又は構造物の図形がデータ通信装置12によって表示されてもよい。このように、データ通信装置12によって表示される画面の遷移の順序等は、上述した実施形態に例示のものに限られず、適宜変更されてよい。
【0169】
(20)上述した実施形態においては、新規の対象物に関し、対象物情報テーブル(
図4)に、まず管理責任者Yにより基本情報が登録された後、保守作業員Xにより識別情報が登録されるものとした。これらの情報の登録の順序は変更されてよい。例えば、対象物情報テーブルに何も情報が登録されていない状態において、保守作業員Xが対象物に取り付けた表示体11を撮影し、サーバ装置13がその表示体11が表す識別情報を対象物情報テーブルの新規データレコードに登録してもよい。
【0170】
(21)対象物情報テーブルに新たな対象物情報が登録される際に、その対象物情報が生成された位置又は時刻に基づき、その対象物情報が正しい識別情報に対応付けて記憶されようとしているか否かの確認、又は、ユーザに対する確認の促しが行われてもよい。
【0171】
この変形例において、例えば、データ通信装置12からサーバ装置13に送信される対象物情報には、その対象物情報が生成された位置を示す生成位置情報と、その対象物情報が生成された時刻を示す生成時刻情報が付加される。
【0172】
サーバ装置13は、機能構成として、データ通信装置12から受信した対象物情報に付加されている生成位置情報が示す位置と、その対象物情報と共に受信した識別情報に応じた対象物情報テーブルのデータレコードに格納されている緯度経度が示す位置との距離が所定の閾値以下であるか否か(所定の条件の一例)を判定する判定手段を備える。そして、それらの位置間の距離が閾値以下であれば、サーバ装置13は、その対象物情報を、その対象物情報と共に受信した識別情報のデータレコードに格納する。一方、それらの位置間の距離が閾値を超えていれば、サーバ装置13は、その対象物情報を対象物情報テーブルに格納する処理を保留し、その対象物情報の送信元のデータ通信装置12に確認を促す通知を送信する。
【0173】
データ通信装置12は、対象物情報の送信に対する応答として、サーバ装置13から確認を促す通知を受信した場合、例えば「構造物名XXX、領域名AAAに対し、情報の登録が行われます。よろしいでしょうか?(Yes/No)」といったメッセージを表示する。この表示に対し、ユーザが「Yes」を選択する操作を行うと、サーバ装置13は、保留していた対象物情報テーブルに対する対象物情報の格納の処理を実行する。
【0174】
また、サーバ装置13は、判定手段により、データ通信装置12から受信した対象物情報に付加されている生成時刻情報が示す時刻と、現在時刻との時間差が所定の閾値以下であるか否か(所定の条件の一例)を判定する。そして、それらの時刻間の時間差が閾値以下であれば、サーバ装置13は、その対象物情報を、その対象物情報と共に受信した識別情報のデータレコードに格納する。一方、それらの時刻間の時間差が閾値を超えていれば、サーバ装置13は、その対象物情報を対象物情報テーブルに格納する処理を保留し、その対象物情報の送信元のデータ通信装置12に確認を促す通知を送信する。
【0175】
データ通信装置12は、対象物情報の送信に対する応答として、サーバ装置13から確認を促す通知を受信した場合、例えば「構造物名XXX、領域名AAAに対し、情報の登録が行われます。よろしいでしょうか?(Yes/No)」といったメッセージを表示する。この表示に対し、ユーザが「Yes」を選択する操作を行うと、サーバ装置13は、保留していた対象物情報テーブルに対する対象物情報の格納の処理を実行する。
【0176】
この変形例によれば、例えば、1つめの対象物の表示体11を撮影した後、1つめの対象物に関する対象物情報を登録した後、2つめの対象物の表示体11を撮影するのを失念して、2つめの対象物に関する対象物情報を登録しようとした場合、2つめの対象物に関する対象物情報が、誤って1つめの対象物の識別情報に対応付けて対象物情報テーブルに格納されてしまう、という問題が生じにくくなる。
【0177】
(22)上述した実施形態においては、対象物情報テーブルはサーバ装置13にのみ記憶され、データ通信装置12は対象物情報を表示等する際、必要な対象物情報の送信をサーバ装置13に要求し、その要求に応じてサーバ装置13から送信されてくる対象物情報を利用するものとした。
【0178】
しかしながら、データ通信装置12とサーバ装置13は必ずしも常時、データ通信が可能であるとは限らない。
【0179】
また、データ通信装置12とサーバ装置13のデータ通信が可能であっても、データ通信の速度が不足する場合や、データ通信に多くの費用が伴う場合等には、データ通信装置12とサーバ装置13の間で通信されるデータ量が低減されることが望ましい。
【0180】
従って、データ通信装置12が、サーバ装置13により記憶される対象物情報テーブルの一部又は全部を記憶し、必要に応じて、サーバ装置13から対象物情報を受信する代わりに、データ通信装置12に記憶している対象物情報を利用してもよい。
【0181】
この変形例において、例えばデータ通信装置12Xは、通信環境が良好なオフィス等において、サーバ装置13から対象物情報テーブルのサブセットを受信し、記憶する。この対象物情報テーブルのサブセットとは、サーバ装置13が記憶している対象物情報テーブルから、データ通信装置12Xのユーザである保守作業員Xに対しアクセス権限が付与されている対象物に関するデータレコードを抽出したものである。このサブセットには、サブセットが生成された時刻を示す時刻情報が付加されている。
【0182】
その後、保守作業員Xが現場において対象物情報の視聴を行う際、データ通信装置12はサーバ装置13に対し対象物情報送信の要求を送信する代わりに、自装置に記憶している対象物情報テーブル(サブセット)から必要な対象物情報を読み出し、その対象物情報の表示等を行う。
【0183】
また、保守作業員Xが現場において新たな対象物情報の登録を行う際、データ通信装置12はサーバ装置13に対し対象物情報登録の要求を送信する代わりに、新たな対象物情報をその対象物情報の識別情報と共に一時的に自装置に記憶する。
【0184】
その後、保守作業員Xがオフィス等に戻り、データ通信装置12Xが良好な通信環境下に置かれると、データ通信装置12Xは一時的に自装置に記憶していた、新規の対象物情報とその対象物情報の識別情報を含む対象物情報登録の要求をサーバ装置13に送信する。その要求に応じて、サーバ装置13は、新規の対象物情報を対象物情報テーブルに登録する。
【0185】
この変形例によれば、データ通信装置12がサーバ装置13と良好に通信できない環境下にあっても、ユーザはデータ通信装置12を用いて、対象物情報の視聴や、新たな対象物情報の登録の作業を行うことができる。
【0186】
なお、データ通信装置12が、サーバ装置13との通信の状態(例えば、通信速度、電波強度、通信に伴う費用等)に基づき、自装置が記憶している対象物情報と、サーバ装置13に記憶されている対象物情報のいずれを用いるかを選択してもよい。
【符号の説明】
【0187】
1…情報管理システム、11…表示体、12…データ通信装置、13…サーバ装置、120…記憶手段、121…識別情報取得手段、122…対象物情報取得手段、123…操作受付手段、124…通知装置、125…通知指示手段、126…送信手段、127…受信手段、130…記憶手段、131…受信手段、133…生成手段、134…送信手段、1211…画像情報取得手段、1212…識別情報認識手段。