(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034384
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】建物
(51)【国際特許分類】
F24F 5/00 20060101AFI20240306BHJP
E04B 1/76 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
F24F5/00 K
E04B1/76 200B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138586
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】599118919
【氏名又は名称】株式会社AQ Group
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 博志
(72)【発明者】
【氏名】山口 学
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DD03
2E001DD04
2E001NA02
2E001NB01
2E001NC02
2E001ND02
2E001ND03
2E001ND08
(57)【要約】
【課題】建物内の間取りの自由度を高めつつ、複数の室内空間の空調管理を一括化させるシステムを低コストで導入することができる複数階建ての建物を得る。
【解決手段】建物10は、複数階建ての建物であって、下階の天井部24と上階の床部20の間に設けられるダクト空間室30を有し、ダクト空間室30は、空調装置40が内部に配置され、天井部24に設けられた第1吹出口44と床部20に設けられた第2吹出口46とを有し、第1吹出口44及び第2吹出口46は、空調装置40の送風口42とは分離して設けられ、送風口42から放出される空調風が第1吹出口44及び第2吹出口46を介して下階の第1室内空間12と上階の第2室内空間14に供給される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数階建ての建物であって、
下階の天井部と上階の床部の間に設けられるダクト空間室を有し、
前記ダクト空間室は、空調装置が内部に配置され、前記天井部に設けられた第1吹出口と前記床部に設けられた第2吹出口とを有し、
前記第1吹出口及び前記第2吹出口は、当該空調装置の送風口とは分離して設けられ、前記送風口から放出される空調風が前記第1吹出口及び前記第2吹出口を介して下階の室内空間と上階の室内空間に供給される、建物。
【請求項2】
下階に設けられる第1室内空間と、
上階に設けられる第2室内空間と、
前記第1室内空間及び前記第2室内空間に隣接して設けられ、前記第1室内空間と前記第2室内空間とを連通する第3室内空間と、を有する請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記ダクト空間室は、室内壁の少なくとも一部が建物外壁の一部を構成するように形成され、
前記室内壁の内側面を全周に亘って覆う断熱材を有する、請求項1に記載の建物。
【請求項4】
前記ダクト空間室は、複数の第1室内空間の前記天井部と複数の第2室内空間の前記床部とに跨って設けられ、
前記空調装置は、各室内空間の天井裏及び床下に対応して配置された複数の前記送風口を有し、
前記第1吹出口及び前記第2吹出口は、複数の前記送風口と分離して設けられ、各室内空間の室内壁に沿って配置されている、請求項1に記載の建物。
【請求項5】
前記第1吹出口及び前記第2吹出口の少なくとも一方に設けられる送風ファンと、
前記送風ファンの回転数を制御可能な制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記空調装置の運転モードに基づいて、前記第1吹出口から供給される送風量と前記第2吹出口から供給される送風量とを異なる風量に設定する、請求項1に記載の建物。
【請求項6】
前記第1室内空間又は前記第2室内空間と前記第3室内空間とを仕切る室内壁と、
前記室内壁の開口部に取り付けられた第1の建具と、を有し、
前記第1の建具は、板状の第1パネルと、
前記第1パネルの第1の端部に対して外縁部の少なくとも一部が固定されることにより前記第1パネルと共に板体を成す第2パネルと、を含んで構成され、
前記第1の端部には、前記第2パネルの外縁部を嵌合させる嵌合凹部が形成され、当該嵌合凹部の内側面は、前記第2パネルの正面に対向して配置される第1側面と前記第2パネルの背面に対向して配置される第2側面とを有し、
前記第1及び第2側面は、前記第2パネルとの間に所定の間隙を設けて配置され、前記第2パネルに貫通形成された通気孔を覆うように配置されている、請求項2に記載の建物。
【請求項7】
前記第1室内空間又は前記第2室内空間と前記第3室内空間とを仕切る室内壁と、
前記室内壁の開口部に取り付けられた第2の建具と、を有し、
前記第2の建具は、
前記開口部に回動可能に支持されて出入り用の扉部を構成する第3パネルと、
前記第3パネルの上方側に設けられ、前記開口部に回動可能に支持されて、通風用の扉部を構成する第4パネルと、を有する請求項2に記載の建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、建物の中心部に設けられた階段下のスペースを利用して、空調装置を設置するための機械室を設ける構造が開示されている。この建物では、階段下の機械室と1階の天井裏又は2階の床下に繋がる空間を利用して、空調装置からダクト延ばして分岐させ、複数の部屋に空調風を供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように建物の中心部に階段室を設けることにより、建物内の間取りに対する制約が大きくなる。さらに、複数階建ての建物では、階段室から複数の室内空間までにダクトを分岐させるための費用が高額化し、導入が容易ではないという課題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を考慮してなされたものであり、建物内の間取りの自由度を高めつつ、複数の室内空間の空調管理を一括化させるシステムを低コストで導入することができる複数階建ての建物を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る建物は、複数階建ての建物であって、下階の天井部と上階の床部の間に設けられるダクト空間室を有し、前記ダクト空間室は、空調装置が内部に配置され、前記天井部に設けられた第1吹出口と前記床部に設けられた第2吹出口とを有し、前記第1吹出口及び前記第2吹出口は、当該空調装置の送風口とは分離して設けられ、前記送風口から放出される空調風が前記第1吹出口及び前記第2吹出口を介して下階の室内空間と上階の室内空間に供給される。
【0007】
第1の態様に係る建物では、下階の天井部と上階の床部の間に設けられるダクト空間室を介して、下階の室内空間と上階の室内空間に空調風が供給される。これにより、複数の室内空間の空調管理を一括化させることができる。
【0008】
ここで、ダクト空間室には、空調装置が内部に配置されている。従って、建物内に空調装置用の機械室を設ける場合と比較して、間取りに対する制約を少なくすることができる。また、ダクト空間室では、下階の天井部に設けられた第1吹出口と上階の床部に設けられた第2吹出口とが、空調装置の送風口とは分離して設けられている。即ち、ダクト空間室の内部空間が空調風の流路を構成しており、送風口と吹出口との間をダクトや排管で連結されない。これにより、空調システムの導入費用を抑えることができる。このようにして、本態様に係る建物では、建物内の間取りの自由度を高めつつ、複数の室内空間の空調管理を一括化させるシステムを低コストで導入することができる。
【0009】
第2の態様に係る建物は、第1の態様に記載の構成において、下階に設けられる第1室内空間と、上階に設けられる第2室内空間と、前記第1室内空間及び前記第2室内空間に隣接して設けられ、前記第1室内空間と前記第2室内空間とを連通する第3室内空間と、を有する。
【0010】
第2の態様に係る建物では、第3室内空間を介して、下階の第1室内空間と上階の第2室内空間とに供給された空調風を効率良く循環させることができる。これにより、複数階建ての建物において、建物内の下階と上階の空調効率を高めることができる。
【0011】
第3の態様に係る建物は、第1の態様に記載の構成において、前記ダクト空間室は、室内壁の少なくとも一部が建物外壁の一部を構成するように形成され、前記室内壁の内側面を全周に亘って覆う断熱材を有する。
【0012】
第3の態様に係る建物では、ダクト空間室は、室内壁の少なくとも一部が建物外壁の一部を構成している。ところで、ダクト空間室の内部空間は、直接に空調風の流路を構成するため、建物の外壁部の一部を構成することにより、外気温などの屋外の環境によって空調効率が低下する場合がある。これに対して、本態様では、ダクト空間室の室内壁に、内側面を全周に亘って覆う断熱材が配置されている。これにより、屋外の環境による空調効率の低下を抑制しつつ、各階の床面積を最大限に利用してダクト空間室を設けることができる。
【0013】
第4の態様に係る建物は、第1の態様に記載の構成において、前記ダクト空間室は、複数の第1室内空間の前記天井部と複数の第2室内空間の前記床部とに跨って設けられ、前記空調装置は、各室内空間の天井裏及び床下に対応して配置された複数の前記送風口を有し、前記第1吹出口及び前記第2吹出口は、複数の前記送風口と分離して設けられ、各室内空間の室内壁に沿って配置されている。
【0014】
第4の態様に係る建物では、下階に設けられた複数の第1室内空間の天井部と上階に設けられた複数の第2室内空間の床部とに跨ってダクト空間室が設けられている。これにより、建物内の広範囲にわたる空調管理が、一つのタクト空間室を中心に行われる。また、空調装置で生成された空調風は各室内空間の天井裏及び床下に対応して配置された複数の送風口を介して行われるところ、送風口から送り出された空調風は、室内壁に沿って配置された第1及び第2吹出し口から各室内空間へ供給される。これにより、各室内空間の隅々に空調風を送り出すことができるため、空調効率を高めることができる。
【0015】
第5の態様に係る建物は、第1の態様に記載の構成において、前記第1吹出口及び前記第2吹出口の少なくとも一方に設けられる送風ファンと、前記送風ファンの回転数を制御可能な制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記空調装置の運転モードに基づいて、前記第1吹出口から供給される送風量と前記第2吹出口から供給される送風量とを異なる風量に設定する。
【0016】
第5の態様に係る建物では、第1吹出口及び第2吹出口の少なくとも一方に送風ファンが設けられている。そして、送風ファンの回転数を制御することにより、空調装置の運転モードに基づいて、第1吹出口から供給される送風量と第2吹出口から供給される送風量とを異なる風量に設定することができる。即ち、建物内では、低い位置に冷気が集まりやすく、高い位置に暖気が集まりやすい。このため、例えば、空調装置の運転モードが「冷房」である場合、下階の室内空間の冷却は比較的少ない風量でも容易に行えるが、上階の冷却には、下階に比べて空調風を多く供給することが望ましい。従って、空調装置の運転モードに応じて、下階側と上階側に供給される送風量を異なる風量に設定可能にすることで、複数階建ての建物の空調効率を、より一層高めることができる。
【0017】
第6の態様に係る建物は、第1の態様に記載の構成において、前記第1室内空間又は前記第2室内空間と前記第3室内空間とを仕切る室内壁と、前記室内壁の開口部に取り付けられた第1の建具と、を有し、前記第1の建具は、板状の第1パネルと、前記第1パネルの第1の端部に対して外縁部の少なくとも一部が固定されることにより前記第1パネルと共に板体を成す第2パネルと、を含んで構成され、前記第1の端部には、前記第2パネルの外縁部を嵌合させる嵌合凹部が形成され、当該嵌合凹部の内側面は、前記第2パネルの正面に対向して配置される第1側面と前記第2パネルの背面に対向して配置される第2側面とを有し、前記第1及び第2側面は、前記第2パネルとの間に所定の間隙を設けて配置され、前記第2パネルに貫通形成された通気孔を覆うように配置される。
【0018】
第6の態様に係る建物では、第1室内空間又は第2室内空間と第3室内空間とを仕切る室内壁の開口部に通気孔が形成された第1の建具が取り付けられている。これにより、室内と室外との間における視線を遮ることで室内空間の独立性を高めつつ、室内と室外の通気を確保することができる。これにより、第1の建具で開口部を閉塞した状態であっても、下階と上階との間で空調風を循環させることができる。
【0019】
具体的に、本態様の第1の建具は、板状の第1パネルと、第1パネルの第1の端部に固定される第2パネルとが一体となり、板体を構成している。また、第2パネルは、第1パネルの第1の端部において、嵌合凹部に外縁部の少なくとも一部を嵌合させて一体を成す。ここで、第2パネルの嵌合状態では、第1パネルの第1嵌合部に通気孔が覆われて、第1嵌合部の内側面(第1側面及び第2側面)との間に所定の間隔を設けた状態となる。これにより、第1の建具を正面又は背面から見た場合に通気孔が目立たないため、意匠性を高めることができる。
【0020】
第7の態様に係る建物は、第1の態様に記載の構成において、前記第1室内空間又は前記第2室内空間と前記第3室内空間とを仕切る室内壁と、前記室内壁の開口部に取り付けられた第2の建具と、を有し、前記第2の建具は、前記開口部に回動可能に支持されて出入り用の扉部を構成する第3パネルと、前記第3パネルの上方側に設けられ、前記開口部に回動可能に支持されて、通風用の扉部を構成する第4パネルと、を有する。
【0021】
第7の態様に係る建物では、第1室内空間又は第2室内空間と第3室内空間とを仕切る室内壁の開口部に通気孔が形成された第2の建具が取り付けられている。この第2の建具では、上下に配置した第3パネルと第4パネルが室内壁の開口部に回動可能に支持されている。ここで、出入り用の扉部を構成する第3パネルに対し、第4パネルは、通風用の扉部を構成している。これにより、第3パネルによって開口部が閉じられた状態であっても、開口部の上部において、第4パネルを開放することにより、室内と室外との間における視線を遮ることで室内空間の独立性を高めつつ、通気を確保することにより、下階と上階との間で空調風を循環させることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明に係る建物によれば、建物内の間取りの自由度を高めつつ、複数の室内空間の空調管理を一括化させるシステムを低コストで導入することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本実施形態に係るダクト空間室を備える建物の構造を概略的に示す縦断面図である。
【
図2】本実施形態に係るダクト空間室を概略的に示す部分縦断面図である。
【
図3】本実施形態に係る制御装置を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る制御装置による送風制御処置の流れを示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態に係るダクト空間室を備える建物の1階部分の間取りの一例を示す平面図である。
【
図6】本実施形態に係るダクト空間室を備える建物の2階部分の間取りの一例を示す平面図である。
【
図7】(A)には、本実施形態に係る第1の建具の正面図が示されており、(B)には、(A)の7B-7B線に沿った断面が拡大して示されている。
【
図8】(A)には、本実施形態に係る第2の建具の正面図が示されており、(B)には、第2の建具の要部を拡大して示す側面図が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、
図1~
図8を参照して、本発明の一実施形態に係る建物10について説明する。
【0025】
図1に示されるように、建物10は、1階の居室を構成する第1室内空間12と、2階の居室を構成する第2室内空間14と、を有する2階建ての建物である。また、建物10では、第1室内空間12と第2室内空間14が、第1室内空間12及び第2室内空間14に隣接して設けられた第3室内空間16によって連通されている。
【0026】
第3室内空間16は吹き抜けや階段室等で構成することができる。
図1に示す一例では、1階の第1室内空間12と2階の第2室内空間14との間に間仕切りを設けない吹き抜けが形成されており、当該吹抜けに1階の床部18と2階の床部20とを繋ぐ階段22が設けられている。
【0027】
ここで、建物10は、1階の天井部24と2階の床部20の間に設けられるダクト空間室30を有している。このダクト空間室30は、1階の天井部24と2階の床部20の間に設けられた階間で構成されている。階間は、1階の天井部24の全域と2階の床部20の全域との間に形成してもよいし、1階の天井部24の一部を下がり天井にして2階の床部20との間に階間を設ける構成としてもよい。若しくは、2階の床部20の一部に段差を設け、床の位置が一般居室の床よりも高い小上がりを設けることにより、1階の天井部24との間に階間を設ける構成としてもよい。
【0028】
本実施形態では、ダクト空間室30を形成する床部20は、梁等で構成された建物10の構造材26に支持されている。また、天井部24は、構造材26よりも下方側に設けられ床部20との間に階間を形成している。
【0029】
また、ダクト空間室30の室内壁31(外周部)は、その一部が建物10の外壁部28で構成され、他の一部が天井部24と床部20を繋ぐ縦壁32で構成されている。縦壁32は、吹き抜けとしての第3室内空間16に面して配置されている。室内壁31は、構造材26の内側に設けられ天井部24から立ち上げられた石膏ボード34と、石膏ボード34の内側に敷設された断熱材36を含んでいる。石膏ボードは、防火材又は遮音材として設けられている。断熱材36は、外気温を遮熱するために、ダクト空間室30の室内壁の内側面を全周に亘って覆うように設けられている。
【0030】
ダクト空間室30の内部には、空調装置40が設けられている。空調装置40は、図示しない熱交換器と送風機を備える公知の室内機で構成されるため、詳細な説明は割愛する。また、空調装置40は、熱交換器を構成する冷媒管が、建物10の屋外に配置された室外機41(
図5参照)と繋がっている。空調装置40は、1階の天井部24に設けられた吸気口から第1室内空間12の空気を取り込んで、熱交換器によって冷媒と熱交換して生成された空調風を生成する。生成された空調風は、送風機の駆動により、空調装置40に設けられた送風口42からダクト空間室30へ放出される。
【0031】
図1及び
図2に示すように、1階の天井部24には、ダクト空間室30と連通する第1吹出口44が設けられている。また、2階の床部20には、ダクト空間室30と連通する第2吹出口46が設けられている。第1吹出口44及び第2吹出口46は、空調装置40の送風口42とは分離して設けられている。即ち、送風口42と第1吹出口44、及び、送風口42と第2吹出口46とがダクトによって連結されていない。
【0032】
空調装置40で生成された空調風は、第1吹出口44と第2吹出口46を介して第1室内空間12と第2室内空間14に供給される。ここで、本実施形態では、第1室内空間12と第2室内空間14とを連通させる第3室内空間16が設けられている。このため、第2吹出口46から第2室内空間14に供給された空調風は、第3室内空間16を通って第1室内空間12へ流れ、天井部24に設けられた吸気口48から、再び空調装置40に取り込まれて循環する。このようにして、ダクト空間室30の内部空間が空調風の流路となり、空調装置40で生成された空調風が1階と2階へ供給される空調システムが構築される。これにより、送風口42と吹出口44,46とを繋ぐダクトを設けずに、ダクト空間室30を中心に、2階建ての建物10の全館空調が行える構成となっている。
【0033】
本実施系の一例では、2階の床部20に設けられた第2吹出口46に電気駆動式の送風ファン38が設けられている。送風ファン38の回転数は、制御装置50からの信号により制御されている。
【0034】
(制御装置50の構成)
図3は、制御装置50の構成を示すブロック図である。この
図3に示されるように、制御装置50は、ハードウェア構成としてのCPU(Central Processing Unit:プロセッサ)52、ROM(Read Only Memory)54、RAM(Random Access Memory)56、ストレージ58、通信インタフェース60及び入出力インタフェース62を含んで構成されている。各構成は、バス64を介して相互に通信可能に接続されている。
【0035】
CPU52は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU52は、ROM54又はストレージ58からプログラムを読み出し、RAM56を作業領域としてプログラムを実行する。
【0036】
ストレージ32は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0037】
通信インタフェース60は、CPU52が外部サーバや他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)などの規格が用いられる。また、通信インタフェース60は、空調装置40のON/OFFや、運転モード等を設定するための操作端末66及び空調装置40と通信可能に構成されている。
【0038】
入出力インタフェース62には、第2吹出口46に設けられた送風ファン38が接続されている。具体的には、入出力インタフェース62は、送風ファン38の駆動源となる図示しない電動モータと接続されており、CPU52からの制御信号を受信して、モータの回転数を変更し、送風ファン38の回転数を制御する。
【0039】
制御装置50は、機能構成として、運転モード取得部70と、送風制御部72とを含んでいる。これらの機能は、上述したハードウェア資源を用いて実現される。即ち、各機能構成は、CPU52がROM54又はストレージ58に記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0040】
運転モード取得部70は、通信インタフェース60を介して、空調装置40又は操作端末66から、空調装置40に設定された運転モードに関する情報を取得する。運転モードとは、例えば、「冷房」「暖房」「除湿」「送風」などのモードである。
【0041】
送風制御部72は、運転モード取得部70で取得された運転モードに基づいて、送風ファン38の回転数を制御する。これにより、第1吹出口44から供給される送風量と、第2吹出口46から供給される送風量とを異なる風量に設定する。
【0042】
例えば、送風ファン38の回転数を下げることにより、第1吹出口44の送風量を第2吹出口46の送風量よりも増やすことができる。一方、送風ファン38の回転数を上げることにより、第1吹出口44の送風量よりも、第2吹出口46の送風量を増やすことができる。
【0043】
(送風制御処理の説明)
次に、制御装置50による送風制御処理の流れの一例について、
図4のフローチャートを参照して説明する。この表示処理は、例えば、ユーザによって操作端末66が操作され、空調装置40がONにされた際に実行され、CPU52がROM54又はストレージ58からプログラムを読み出して、RAM56に展開して実行することによって行われる。
【0044】
図4に示されるように、CPU52は、ステップS101で、運転モード取得部70の機能により、空調装置40の運転モードに関する情報を取得する。
【0045】
CPU52は、ステップS102で、空調装置40の運転モードが冷房であるか否かを判断する。CPU52は、運転モードが冷房であると判断した場合、ステップS103の処理に進む。一方、運手モードが冷房ではないと判断した場合、ステップS104の処理に進む。
【0046】
CPU52は、ステップS103で、送風制御部72の機能により、第1吹出口44の送風量よりも、第2吹出口46の送風量が多くなるように送風ファン38の回転数を制御する。
【0047】
即ち、気温が上昇する夏などに空調装置40の運転モードが「冷房」に設定された場合、建物10内の暖気は2階部分に滞留し易いため、2階の床部に設けられた第2吹出口46からの送風量を多くする。これにより、第2室内空間14に暖気が滞留することが抑制され、空調風の循環効率を高めることができる。
【0048】
一方、CPU52は、ステップS104で、空調装置40の運転モードが暖房であるか否かを判断する。CPU52は、運転モードが暖房であると判断した場合、ステップS105の処理に進む。一方、運手モードが暖房ではないと判断した場合、ステップS106の処理に進む。
【0049】
CPU52は、ステップS105で、第1吹出口44の送風量が、第2吹出口46の送風量よりも多くなるように送風ファン38の回転数を制御する。
【0050】
即ち、気温の低い冬などに空調装置40の運転モードが「暖房」に設定された場合、建物10内の暖気は2階部分に滞留し易いため、1階の天井部に設けられた第1吹出口44からの送風量を多くする。これにより、第1室内空間12にも充分に暖気を供給することができ、1階の居室が2階の居室に対して冷え込むことを効果的に抑制することができる。
【0051】
CPU52は、ステップS106で空調装置40の運転が停止されると、送風制御処理を終了させる。
【0052】
このように、建物10では、空調装置の運転モードに合わせて各階に供給される空調風の風量を制御することで、建物全館の空調効率を高めることができる。
【0053】
また、各階では、第1吹出口44と第2吹出口46が空調装置40の送風口42とは分離して設けられると共に、対応する室内空間12,14の室内壁80(
図1、
図5及び
図6参照)に沿って配置される。第1吹出口44と第2吹出口46が室内壁80に沿って配置されることにより、各室内空間における空調効率を高めることができる。
【0054】
以下、
図5及び
図6を参照して、建物10の具体的な間取りを例に、第1及び第2吹出口44,46と送風口42との配置について説明する。
図5は、建物10の1階の間取りの一例を示す平面図であり、
図6は、建物10の2階の間取りの一例を示す平面図である。また、各図には、空調装置40、送風口42、第1吹出口44及び分岐ダクト84の位置が二点鎖線で示されている。
【0055】
図5に示されるように、1階には、玄関ホールA、洗面所B、浴室C、キッチンD、ダイニングE、リビングF等で構成された複数の第1室内空間12が設けられている。キッチンD、ダイニングE、リビングFは、建物10の中心部に大空間を形成する一つの第1室内空間12Aの中に設けられている。この第1室内空間12Aには、リビングF側の室内壁に沿って2階へと通じる階段22が設けられている。
【0056】
建物10の第3室内空間16を構成する吹抜け82は、第1室内空間12AのリビングFと連続して設けられた階段22の上方空間を利用して形成されている。
【0057】
玄関ホールAは、第1室内空間12Aと隣接し、室内壁80で仕切られた第1室内空間12Bに設けられている。第1室内空間12Aと第1室内空間12Bとの間は、扉部を構成する建具90を通じて出入り可能となっている。
【0058】
洗面所B及び浴室Cは、第1室内空間12Aと隣接し、室内壁80で仕切られた第1室内空間12Cに設けられている。第1室内空間12Aと第1室内空間12Cとの間は、扉部を構成する建具90を通じて出入り可能となっている。
【0059】
空調装置40は、第1室内空間12Cの天井裏に配置されている。空調装置40には、分岐ダクト84を介して複数の送風口42が設けられており、各送風口42は、第1室内空間12A及び第1室内空間12Bの天井裏まで延びている。即ち、
図5に示される一例では、建物10の1階に設けられた複数の第1室内空間12A~12Cに跨って、ダクト空間室30が設けられている。
【0060】
また、第1室内空間12A及び第1室内空間12Bの天井部24には、各送風口42と分離して、複数の第1吹出口44が設けられている。これらの第1吹出口44は、二つの第1室内空間12A,12Bを形成する室内壁80に沿って配置されている。これより、各室内空間12A,12Bの隅々まで空調風を行き渡らせることができる。
【0061】
図6に示されるように、2階には、階段22と連通したホールGを中心に、三つの居室H,I,JとバルコニーKが設けられている。ホールGと居室H,I,Jは、それぞれが室内壁80によって仕切られており、第2室内空間14A~15Dを構成している。ホールGと各居室H,I,Jとの間の出入りは、扉部としての建具90を通じて可能となっている。
【0062】
また、複数の第2室内空間14A~14Dの床部20には、各送風口42と分離して、複数の第2吹出口46が設けられている。これらの第2吹出口46は、四つの第2室内空間14A~14Dを形成する室内壁80に沿って配置されている。これより、各室内空間14A~14Dの隅々まで空調風を行き渡らせることができる。
【0063】
(建具90の説明)
次に、
図7及び
図8を参照して、建物10において、室内壁80の扉部を構成する建具90として、第1の建具90Aと第2の建具90Bを例として説明する。第1及び第2の建具90A,90Bは、建物10内の第1及び第2室内空間12,14と第3室内空間16とを仕切る室内壁80に設けられている。なお、各図には、説明の便宜上、建具の左右方向及び上下方向を示す矢印が記載されている。この第1及び第2の建具90A,90Bには、室内と室外との通気を確保する通気手段が設けられている。
【0064】
(第1の建具90A)
図7(A)には、第1の建具90の正面図が示されており、
図7(B)には、第1の建具90Aの横断面が示されている。第1の建具90Aは、室内壁80の開口部92に設けられたドア枠94とセットで用いられる。また、第1の建具90Aは、蝶番96を介してドア枠94に取り付けられている。すなわち、第1の建具90Aは、開き戸として用いられている。ただし、開き戸に限られるものではなく、引戸として用いられてもよいものとする。
【0065】
第1の建具90は、左右(扉部の幅方向両側)に配置される左第1パネル100及び右第1パネル102と、中央に配置される第2パネル104と、嵌合凹部110,120と、を備える。
【0066】
左第1パネル100及び右第1パネル102は、第2パネル104を挟んで第1の建具90Aの左右両側に配置されるものであり、第2パネル104よりも幅広の板状に形成されている。
【0067】
左第1パネル100において、第2パネル104と接する右端部100A(第1の端部)には、第1嵌合凹部110が形成されている。この第1嵌合凹部110には、第2パネル104の左側面を構成する外縁部104Aが挿入される。
【0068】
一方、右第1パネル102において、第2パネル104と接する左端部102Aには、第2嵌合凹部120が形成されている。この第2嵌合凹部120には、第2パネル104の右側面を構成する外縁部104Bが挿入される。
【0069】
第2パネル104は、第1の建具90Aの中央に配置されるものであり、左第1パネル100及び右第1パネル102よりも幅狭の板状に形成されている。この第2パネル104には、左第1パネル100に接する左側面の外縁部104Aに沿って複数の通気孔106が貫通形成されている。各通気孔106は、幅狭の長円形状に形成され、上下方向に所定の間隔を設けて配置されている。
【0070】
第2パネル104の左右側面の外縁部104A,104Bは、左第1パネル100の第1嵌合凹部110と、右第1パネル102の第2嵌合凹部120にそれぞれ挿入され、嵌合状態となる。これにより、左第1パネル100,右第1パネル102,第2パネル104が一体となり、一枚の板体を成す構造となっている。なお、左第1パネル100,右第1パネル102,第2パネル104の上端部及び下端部は、横桟等で構成した図示しない連結部材で連結されている。
【0071】
ここで、第1嵌合凹部110及び第2嵌合凹部120の詳細について説明する。
図7(B)に示されるように、第1嵌合凹部110には、第1嵌合凹部110の溝の最深部を構成する小径部112と小径部112よりも突端に位置し、溝幅の大きな大径部114と、を有している。小径部112は、第2パネル104の板厚寸法に近似している。また、大径部114は、第2パネル104の板厚寸法よりも大きく設定されている。
【0072】
一方で、第2嵌合凹部120は、第2パネル104の右側の外縁部104Bが挿入される小径部112のみで構成されている。
【0073】
第2パネル104の嵌合状態では、左右両側の外縁部104A,104Bが第1及び第2嵌合凹部110,120の小径部112に挿入され、嵌合する。ここで、第1嵌合凹部110の内側では、大径部114の内側面を構成する第1側面114aと第2側面114bとが第2パネル104の正面Xと背面Yに対向して配置される。この第1及び第2側面114a,114bは、第2パネル104の正面X及び背面Yとの間に所定の間隙を設けており、大径部114と通気孔106を経て室内及び室外の空気が、循環可能となっている。
【0074】
その一方で、大径部114の第1及び第2側面114a,114bは、通気孔106を正面側と背面側から覆うように配置される。これにより、第1の建具90Aを正面又は背面から見た場合に通気孔106が目立たないため、意匠性を高めることができる。
【0075】
(第2の建具90B)
次に、
図8を参照して、第2の建具90Bについて説明する。
図8(A)には、第2の建具90Bの正面図が示されており、
図8(B)には、第2の建具90Bの側面図が示されている。
【0076】
第1の建具90Aは、室内壁80の開口部92に設けられたドア枠94とセットで用いられる。この第1の建具90Aは、出入り用の扉部を構成する第3パネル130と、第3パネル130の上方側に配置され通気用の扉部を構成する第4パネル132と、を備える。
【0077】
第3パネル130は、蝶番96を介してドア枠94に取り付けられている。すなわち、第3パネル130は、開き戸として用いられている。
【0078】
第4の建具90は、開閉金具140を介してドア枠94の左右両側面に取り付けられている。開閉金具140は、開閉動作に連動して、第4パネル132の上端を上下にスライドさせるレール部140Aと、第4パネル132の中間部を連結するリンクアーム部140Bとを有している。第4パネル132が閉塞状態から開放されると、第4パネル132の上端が下方にスライドする。また、これに連動して、リンクアーム部140Bに支持されたパネルの中間部が回動する。これにより、第4パネル132が開放状態となり、室内及び室外の空気が、循環可能となっている。
【0079】
(作用・効果)
以上説明したように、本実施形態の建物10では、下階の天井部24と上階の床部20の間に設けられるダクト空間室30を介して、第1室内空間12と第2室内空間14に空調風が供給される。これにより、複数の室内空間の空調管理を一括化させることができる。
【0080】
ここで、ダクト空間室30には、空調装置40が内部に配置されている。従って、建物内に空調装置用の機械室を設ける場合と比較して、間取りに対する制約を少なくすることができる。また、ダクト空間室30では、下階の天井部24に設けられた第1吹出口44と上階の床部20に設けられた第2吹出口46とが、空調装置40の送風口42とは分離して設けられている。即ち、ダクト空間室30の内部空間が空調風の流路を構成しており、送風口42と吹出口44,46との間がダクトや排管で連結されない。これにより、空調システムの導入費用を抑えることができる。このようにして、建物10では、建物内の間取りの自由度を高めつつ、複数の室内空間の空調管理を一括化させる空調システムを低コストで導入することができる。
【0081】
また、建物10では、第3室内空間16を介して、下階の第1室内空間12と上階の第2室内空間14とに供給された空調風を効率良く循環させることができる。これにより、複数階建ての建物10において、建物内の下階と上階の空調効率を高めることができる。
【0082】
また、ダクト空間室30は、室内壁31の少なくとも一部が建物10の外壁部28の一部を構成している。ところで、ダクト空間室30は空調風を供給する流路となるため、室内壁31の一部が建物の外壁部28を構成した場合、外気温などの影響によって空調効率が低下する場合がある。これに対して、本実施形態では、ダクト空間室30の室内壁に、内側面を全周に亘って覆う断熱材36が配置されている。これにより、屋外の環境による空調効率の低下を抑制しつつ、各階の床面積を最大限に利用してダクト空間室30を設けることができる。
【0083】
また、
図5及び
図6に示すように、ダクト空間室30は、複数の第1室内空間12の天井部24と複数の第2室内空間14の床部20に跨って設けることができる。これにより、建物内の広範囲の空調管理が、一つのダクト空間室30を中心に行われる。また、空調装置40で生成された空調風は各室内空間の天井裏及び床下に対応して配置された複数の送風口42を介して行われるところ、送風口42から送り出された空調風は、室内壁80に沿って配置された第1及び第2吹出し口44,46から各室内空間へ供給される。これにより、各室内空間の隅々に空調風を送り出すことができるため、空調効率を高めることができる。
【0084】
更にまた、本実施形態では、第2吹出口46に送風ファン38が設けられている。そして、送風ファン38の回転数を制御することにより、空調装置40の運転モードに基づいて、第1吹出口44から供給される送風量と第2吹出口46から供給される送風量とを異なる風量に設定することができる。
【0085】
即ち、建物内では、低い位置に冷気が集まりやすく、高い位置に暖気が集まりやすい。このため、例えば、空調装置40の運転モードが「冷房」である場合、下階の室内空間の冷却は比較的少ない風量でも容易に行えるが、上階の冷却には、下階に比べて空調風を多く供給することが望ましい。従って、空調装置40の運転モードに応じて、下階側と上階側に供給される送風量を異なる風量に設定可能にすることで、複数階建ての建物10の空調効率を、より一層高めることができる。
【0086】
また、建物10では、室内壁に設けられる第1の建具90Aに通風手段が設けられている。従って、第1室内空間12と第3室内空間16又は第2室内空間14と第3室内空間16とを仕切る室内壁80に第1の建具90Aを取り付けることで、室内と室外の通気性を確保し、下階と上階との間で空調風を循環させることができる。これにより、各室内空間12,14の独立性と空調風の循環とを両立することができる。
【0087】
第1の建具90Aは、中央に配置される第2パネル104が、左第1パネル100の右端部100Aと右第1パネル102の左端部102Aに外縁部の少なくとも一部を嵌合させて一体を成す。また、第2パネル104の外縁部104Aは、通気孔106が第1嵌合凹部110の大径部114に覆われて、大径部114の内側面(第1側面114a及び第2側面114b)との間に所定の間隔を設けた状態となる。これにより、第1の建具90Aを正面又は背面から見た場合に通気孔106が目立たず、意匠性を高めることができる。
【0088】
また、建物10内の建具90として
図8に示す第2建具90Bを採用した場合では、第3パネル130によって室内壁80の開口部92が閉じられた状態であっても、第4パネル132を開放することにより、室内と室外の通気を確保することができ、下階と上階との間で空調風を循環させることができる。
【0089】
[補足説明]
以上実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、上記本実施形態では、2階建ての建物10を例として説明したが、これに限らない。本発明の構成は、3階建て以上の複数階建ての建物にも適用することができる。この場合、建物内に複数のダクト空間室を設ける構成としてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、送風ファン38を第2吹出口46にのみ設ける構成としたがこれに限らない。第1吹出口44の一方に送風ファン38を設ける構成としてもよいし、第1吹出口44と第2吹出口46の両方に送風ファン38を設ける構成としてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、空調用の制御装置59が、空調装置40の運転モードに基づいて第1及び第2吹出口44,46から供給される送風量を調節する構成としたが、本発明はこれに限らない。例えば、夏や冬など、空調装置40が使用される季節に基づいて、送風量を設定してもよく、これらの組み合わせにより送風量を設定してもよい。
即ち、制御装置59は、空調装置40が使用される季節に基づいて、第1吹出口44から供給される送風量と第2吹出口46から供給される送風量とを異なる風量に設定する構成としてもよい。この場合は、エアコンの運転モードが「送風」である場合も、適用可能である。
【0092】
また、上記実施形態において、第1及び第2吹出口44,46の送風量は、これらの吹出口が設けられる各室について、各室に設置された操作部への操作により、各室毎に風量の強弱や空調温度を個別に設定できる構成にしてもよい。
【0093】
また、本発明の各種構成は、木造軸組工法、鉄骨軸組工法、ユニット工法等、種々の後方により建築される建物に適用可能である。
【符号の説明】
【0094】
10 建物
12 第1室内空間(下階の室内空間)
14 第2室内空間(上階の室内空間)
16 第3室内空間
20 床部
24 天井部
28 外壁部(建物外壁)
30 ダクト空間室
31 室内壁
36 断熱材
38 送風ファン
40 空調装置
42 送風口
44 第1吹出口
46 第2吹出口
59 制御装置
80 室内壁
90A 第1の建具
90B 第2の建具
100 第1パネル
104 第2パネル
X 正面
Y 背面
106 通気孔
110 第1嵌合凹部(嵌合凹部)
114a 第1側面(内側面)
114b 第2側面(内側面)
130 第3パネル
132 第4パネル