(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034393
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】個室型ブース
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
E04H1/12 302Z
E04H1/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138600
(22)【出願日】2022-08-31
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 諒一
(57)【要約】
【課題】構成する部品をコンパクト化することにより、工場から施工現場まで搬送する際、及び、個室型ブースの設置場所を変更する際の搬送コストを抑制することができる、個室型ブースを提供する。
【解決手段】個室型ブース1は、周壁2と、少なくとも一つの扉3と、で囲まれるとともに、周壁2及び扉3の内面側が下方に向かって開口して形成され、周壁2は、支持フレーム22と、支持フレーム22に立設される複数のパネル体と、を備え、支持フレーム22は、複数の要素フレーム71を連結して構成されるとともに、要素フレーム71の連結が解除可能とされる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁と、少なくとも一つの扉と、で囲まれるとともに、前記周壁及び前記扉の内面側が下方に向かって開口して形成され、
前記周壁は、支持フレームと、前記支持フレームに立設される複数のパネル体と、を備え、
前記支持フレームは、複数の要素フレームを連結して構成されるとともに、前記要素フレームの連結が解除可能とされる、個室型ブース。
【請求項2】
複数の前記要素フレームは、異なる複数の面で互いに連結される、請求項1に記載の個室型ブース。
【請求項3】
複数の前記要素フレームが中空形状に形成され、
互いに連結される前記要素フレームのうち、一方には連結板の基端側が固定され、他方には前記連結板の先端側が挿入され、
前記連結板の前記先端側が前記他方の要素フレームに固定されることにより、前記一方の要素フレームと前記他方の要素フレームとが連結される、請求項1に記載の個室型ブース。
【請求項4】
前記連結板として、前記一方の要素フレームと前記他方の要素フレームとの上面を連結する上側連結板と、前記一方の要素フレームと前記他方の要素フレームとの下面を連結する下側連結板と、を備える、請求項3に記載の個室型ブース。
【請求項5】
複数の前記要素フレームは、下面が開放された本体部と、前記本体部の下面を閉塞する閉塞板と、で構成され、
前記閉塞板が前記下側連結板として構成される、請求項4に記載の個室型ブース。
【請求項6】
前記閉塞板は、前記本体部よりも板厚が大きく形成される、請求項5に記載の個室型ブース。
【請求項7】
前記支持フレームは、少なくとも左側辺、右側辺、及び、後辺を備え、
前記要素フレームは、少なくとも前記左側辺を構成する左要素フレーム、少なくとも前記右側辺を構成する右要素フレーム、及び、前記後辺を構成する後要素フレームで構成される、請求項1に記載の個室型ブース。
【請求項8】
前記周壁の下端面には、複数のキャスターと、床面に対する延出長さを調節可能とされる複数の接地部材と、が設けられる、請求項1から請求項7の何れか一項に記載の個室型ブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、周壁と扉とで囲まれた個室型ブースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、周壁と扉とで囲まれた個室型ブースが開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような個室型ブースは、複数人での使用や、車いす利用者の使用を可能とするため、一人で使用するものよりも大きな寸法で形成される場合がある。この際、各部品をコンパクト化することにより、工場から施工現場までの搬送コストを抑制する必要が高まっていた。そこで、本開示は、上記に関する課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る個室型ブースは、周壁と、少なくとも一つの扉と、で囲まれるとともに、前記周壁及び前記扉の内面側が下方に向かって開口して形成され、前記周壁は、支持フレームと、前記支持フレームに立設される複数のパネル体と、を備え、前記支持フレームは、複数の要素フレームを連結して構成されるとともに、前記要素フレームの連結が解除可能とされる。
【0006】
上記第1観点に係る個室型ブースによれば、支持フレームを構成する部品(要素フレーム)をコンパクト化することにより、工場から施工現場までの搬送コストを抑制することができる。また、個室型ブースの設置場所を変更する際の搬送コストを抑制することができる。
【0007】
上記第1観点に係る個室型ブースにおいて、要素フレームは、断面が角形や丸形等の筒部材や、断面がH形、T形、C形、L形等の形材を採用可能することが可能である。
【0008】
本発明の第2観点に係る個室型ブースは、第1観点に係る個室型ブースにおいて、複数の前記要素フレームは、異なる複数の面で互いに連結される。
【0009】
上記第2観点に係る個室型ブースによれば、支持フレームに発生するねじれを抑制することができる。
【0010】
本発明の第3観点に係る個室型ブースは、第1観点に係る個室型ブースにおいて、複数の前記要素フレームが中空形状に形成され、互いに連結される前記要素フレームのうち、一方には連結板の基端側が固定され、他方には前記連結板の先端側が挿入され、前記連結板の前記先端側が前記他方の要素フレームに固定されることにより、前記一方の要素フレームと前記他方の要素フレームとが連結される。
【0011】
上記第3観点に係る個室型ブースによれば、簡易な構成で支持フレームの組付性と意匠性を向上させることができる。
【0012】
本発明の第4観点に係る個室型ブースは、第3観点に係る個室型ブースにおいて、前記連結板として、前記一方の要素フレームと前記他方の要素フレームとの上面を連結する上側連結板と、前記一方の要素フレームと前記他方の要素フレームとの下面を連結する下側連結板と、を備える。
【0013】
上記第4観点に係る個室型ブースによれば、簡易な構成で支持フレームに発生するねじれを抑制することができる。
【0014】
本発明の第5観点に係る個室型ブースは、第4観点に係る個室型ブースにおいて、複数の前記要素フレームは、下面が開放された本体部と、前記本体部の下面を閉塞する閉塞板と、で構成され、前記閉塞板が前記下側連結板として構成される。
【0015】
上記第5観点に係る個室型ブースによれば、要素フレームの断面形状の自由度を高めることができる。
【0016】
本発明の第6観点に係る個室型ブースは、第5観点に係る個室型ブースにおいて、前記閉塞板は、前記本体部よりも板厚が大きく形成される。
【0017】
上記第6観点に係る個室型ブースによれば、要素フレームの重量増を抑えつつ剛性を高めることができる。
【0018】
本発明の第7観点に係る個室型ブースは、第1観点に係る個室型ブースにおいて、前記支持フレームは、少なくとも左側辺、右側辺、及び、後辺を備え、前記要素フレームは、少なくとも前記左側辺を構成する左要素フレーム、少なくとも前記右側辺を構成する右要素フレーム、及び、前記後辺を構成する後要素フレームで構成される。
【0019】
上記第7観点に係る個室型ブースによれば、左右寸法又は前後寸法が同じ個室型ブースを製造する場合に部品を共通化することができる。
【0020】
本発明の第8観点に係る個室型ブースは、第1観点から第7観点の何れか一に係る個室型ブースにおいて、前記周壁の下端面には、複数のキャスターと、床面に対する延出長さを調節可能とされる複数の接地部材と、が設けられる。
【0021】
上記第8観点に係る個室型ブースによれば、個室型ブースの移動/設置を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
以上における本発明に係る個室型ブースは、以下に示す効果を奏する。
【0023】
第1観点に係る個室型ブースによれば、設置前後における搬送コストを抑制することができる。
【0024】
第2観点に係る個室型ブースによれば、支持フレームに発生するねじれを抑制することができる。
【0025】
第3観点に係る個室型ブースによれば、簡易な構成で支持フレームの組付性と意匠性を向上させることができる。
【0026】
第4観点に係る個室型ブースによれば、簡易な構成で支持フレームに発生するねじれを抑制することができる。
【0027】
第5観点に係る個室型ブースによれば、要素フレームの断面形状の自由度を高めることができる。
【0028】
第6観点に係る個室型ブースによれば、要素フレームの重量増を抑えつつ剛性を高めることができる。
【0029】
第7観点に係る個室型ブースによれば、異なるサイズの個室型ブースを製造する際に部品を共通化することができる。
【0030】
第8観点に係る個室型ブースによれば、個室型ブースの移動/設置を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】一実施形態に係る個室型ブースを示した斜視図。
【
図5】支持フレームに支柱を組付ける状態を示した斜視図。
【
図8】第一変形例に係る個室型ブースにおける支持フレームの組付構成を示した斜視図。
【
図9】第二変形例に係る個室型ブースの内部構造を示した斜視図。
【
図10】第二変形例に係る個室型ブースにおけるテーブルの分解斜視図。
【0032】
[個室型ブース1]
まず、
図1から
図7を用いて、本発明の一実施形態に係る個室型ブース1について説明する。本実施形態においては、
図1中の矢印で個室型ブース1の方向を規定する。本実施形態に係る個室型ブース1は、床面に載置された状態で、複数人数で室内を使用する場合に好適である。本実施形態に係る個室型ブース1は、左右方向の幅寸法が2000mm、前後方向の幅寸法が1200mmで形成されている。
【0033】
図1及び
図2に示す如く、本実施形態に係る個室型ブース1は、前方に開口部が形成された周壁2と、開口部を開閉可能に周壁2に設けられた扉3と、複数のキャスター26と、床面に対する延出長さを調節可能とされる複数の接地部材27と、を備えている。周壁2の上端部には天井51が設けられる。
【0034】
本実施形態において、キャスター26と接地部材27とは互いに隣接して設けられる。接地部材27は、使用者が手や道具を用いて回転させることにより、後述する支持フレーム22の下面からの床面に対する延出長さが調節可能とされる。
【0035】
本実施形態に係る個室型ブース1においては、キャスター26が床面から離間する移動不能状態と、キャスター26が床面に接地する移動可能状態と、に変更可能とされる。換言すれば、本実施形態に係る個室型ブース1によれば、個室型ブース1の移動及び設置を容易に行うことができる。
【0036】
図1から
図4に示す如く、周壁2は左右の両側部、後部、及び、前部の左右両側にパネル体を備えている。そして、周壁2における前部右側の開口部が扉3で閉塞されることにより、個室型ブース1において外部から隔離された内部空間が形成される。
【0037】
周壁2は、
図5に示す如く支持フレーム22、支柱23、及び、天井フレーム24を組付けたフレーム体と、このフレーム体に対してねじ止め等により固定される複数のパネル体と、を備える。フレーム体は長尺の金属製部材を組み合わせて平面視で矩形状に構成される。
【0038】
支持フレーム22は、フレーム体の下端部に設けられている。本実施形態において、支持フレーム22はフレーム体の左右両側、後側、前側右部、及び、前側左部に配される。
図3及び
図4に示す如く、支持フレーム22の内面はカバー部材44により被覆される。支持フレーム22の端部には、上下方向に沿って立設された四本の支柱23が設けられる。左右一対の支柱23・23の上端部は、施工現場において天井フレーム24で連結される。
【0039】
図1から
図4に示す如く、フレーム体の左右両側にはパネル体として、外パネル41、内パネル42、及び、補強パネル43が組付けられる。また、フレーム体の後側にはパネル体として後パネル45が、フレーム体の前側にはパネル体として袖パネル33・33が組付けられる。このように、本実施形態に係る個室型ブース1は、支持フレーム22、支柱23、及び、天井フレーム24で構成されたフレーム体と、支持フレーム22に立設された複数のパネル体と、により、簡易な構成で周壁2を構成している。
【0040】
図1及び
図2に示す如く、フレーム体の前側にはヒンジ31を介して扉3が設けられる。扉3は、扉フレームと、扉フレームに支持されるガラスパネルと、で構成されている。扉3には取手32が設けられている。本実施形態に係る個室型ブース1においては、扉3の回転動作により周壁2の開口部が開閉可能とされる。
【0041】
個室型ブース1においては、周壁2の下端部に設けられる支持フレーム22は、開口部の側が開放して形成される。このため、利用者が個室型ブース1の内部に出入りする際に段差を昇降する必要がなく、容易に出入りすることが可能となる。このように、本実施形態における個室型ブース1は、外側と内側との間の段差をなくすことにより、同一面上で個室型ブース1に出入りすることを可能として、個室型ブース1の利便性を向上させている。
【0042】
本実施形態に係る個室型ブース1においては、
図2に示す如く、周壁2及び扉3の内側は下方に向かって開口して形成されている。個室型ブース1は上記の如く下側に床板を設けずに開口して形成することにより、床板を設けたブースと比較して、ブース全体の高さに対する室内の有効高さを大きく確保することができる。個室型ブース1を量産化する際には、多くの空間に設置できるようにする必要があり、個室型ブース1全体の高さを高くすることには限界があるため、居室内の高さをできるだけ高くできる本実施形態の構成は好適である。
【0043】
また、周壁2の下端部、即ち、フレーム体の下端部は、開口部の側が開放して形成される。このため、使用者が個室型ブース1の内部に出入りする際に段差を昇降する必要がない。このように、本実施形態における個室型ブース1は、外側と内側との間の段差をなくすことにより、同一面上で個室型ブース1に出入りすることを可能として、個室型ブース1の利便性を向上させている。
【0044】
本実施形態に係る個室型ブース1においては、周壁2及び扉3の内側は下方に向かって開口して形成されており、周壁2及び扉3の下側に床部材を設けない構成としている。このため、個室型ブース1を使用する際に、使用者等の荷重を受けて床部材が変形したり異音が発声したりすることがない。また、本実施形態においては、変形等が生じないように剛性の高い床部材を設ける必要がないため、個室型ブース1の製造コストを抑制することができる。
【0045】
本実施形態に係る個室型ブース1においては
図5に示す如く、支持フレーム22は右側辺22R、左側辺22L、後辺22B、及び、前側の右部及び左部である前辺22F・22Fを備える。そして、支持フレーム22は
図6に示す如く、右側辺22R及び前辺22Fを構成する右要素フレーム71R、左側辺22L及び前辺22Fを構成する左要素フレーム71L、及び、後辺22Bを構成する後要素フレーム71Bの三本の要素フレーム71を連結して構成されるとともに、これらの要素フレーム71の連結が解除可能とされる。
【0046】
本実施形態において、それぞれの要素フレーム71は中空形状に形成されている。具体的には
図6及び
図7に示す如く、要素フレーム71は、下面が開放された本体部72と、本体部72の下面を閉塞する閉塞板73とにより角筒形状に形成されている。即ち、本実施形態において、支持フレーム22の下面に設けられるキャスター26と接地部材27とは、閉塞板73に固定されている。
【0047】
図6及び
図7に示す如く、左要素フレーム71Lと後要素フレーム71Bとを連結する際には、左要素フレーム71Lの閉塞板73を下側連結板として利用する。具体的に、左要素フレーム71Lの後端部には閉塞板73の基端側(左側)が固定されている。そして、後要素フレーム71Bの左端部に、当該閉塞板73の先端側(右側)が挿入される。
【0048】
また、
図6及び
図7に示す如く、後要素フレーム71Bの左端部上面には上側連結板74の基端側(右側)が固定されている。そして、左要素フレーム71Lの後端部に、当該上側連結板74の先端側(左側)が挿入される。
【0049】
上記の如く、それぞれの要素フレーム71に固定された連結板(下側連結板である閉塞板73及び上側連結板74)を相手側の要素フレーム71に挿入した状態で、それぞれの連結板と相手側の要素フレーム71とを固定ねじにより固定する。これにより、左要素フレーム71Lと後要素フレーム71Bとが連結される。本実施形態において、右要素フレーム71Rと後要素フレーム71Bとの連結構成は、左要素フレーム71Lと後要素フレーム71Bとの連結構成と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0050】
上記の如く、本実施形態に係る個室型ブース1において、支持フレーム22は、右要素フレーム71R、左要素フレーム71L、及び、後要素フレーム71Bの三本の要素フレーム71を連結して構成される。また、連結板から固定ねじを取り外すことにより、互いの要素フレーム71の連結が解除可能とされる。
【0051】
本実施形態に係る個室型ブース1によれば、支持フレーム22を構成する部品(要素フレーム71)をコンパクト化することができるため、工場から施工現場までの搬送コストを抑制することができる。また、各要素フレーム71の搬送の際に台車やエレベータが利用し易くなるため、作業者の負担を軽減することができる。また、個室型ブース1の設置場所を変更する際に、分解した状態での搬送が可能となり、重機等を用いる必要がなくなるため、搬送コストを抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態に係る個室型ブース1において、互いに連結される要素フレーム71のうち、一方には連結板(閉塞板73及び上側連結板74)の基端側が固定され、他方には連結板の先端側が挿入される。そして、連結板の先端側が他方の要素フレーム71に固定されることにより、一方の要素フレーム71と他方の要素フレーム71とが連結される。
【0053】
上記の如く、個室型ブース1においては簡易な構成で支持フレーム22を組付けることが可能となり、支持フレーム22の組付性を向上させることができる。また、支持フレーム22を組付けた状態においては連結板を支持フレーム22の内部に収容して、連結板が外部に露出しないため、支持フレーム22の意匠性を向上させることができる。
【0054】
また、本実施形態に係る個室型ブース1は、要素フレーム71を互いに連結する連結板として、互いの要素フレーム71の上面を連結する上側連結板74と、互いの要素フレーム71の下面を連結する下側連結板である閉塞板73と、を備える。
【0055】
上記の如く、複数の要素フレーム71が異なる複数の面で互いに連結される構成とすることにより、支持フレーム22に発生するねじれを簡易な構成で抑制することができる。また、本実施形態においては
図7に示す如く、上側連結板74と下側連結板である閉塞板73とのそれぞれの固定部は、平面視で重ならない位置に配置している。
【0056】
また、本実施形態に係る個室型ブース1において、それぞれの要素フレーム71は、下面が開放された本体部72と、本体部72の下面を閉塞する閉塞板73と、で構成されている。これにより、要素フレーム71の断面形状の自由度を高めることができる。
【0057】
具体的には
図4及び
図7に示す如く、支持フレーム22のうち後辺22B及び前辺22Fは、本体部72の上面に段差部75が形成されている。この段差部75には、
図4に示す如く袖パネル33の袖パネル枠33f及び後パネル45の後パネル枠45fが配置される。これにより、支持フレーム22に対して袖パネル33及び後パネル45の位置決めがなされる。このように、要素フレーム71を本体部72と閉塞板73とにより形成することにより、本体部72の形状を変更することが可能となるため、要素フレーム71の断面形状の自由度を高めることが可能となるのである。
【0058】
また、本実施形態に係る個室型ブース1においては
図3及び
図4に示す如く、それぞれの要素フレーム71における閉塞板73は、本体部72よりも板厚が大きく形成される。これにより、要素フレーム71において高い強度が求められる底面の板厚を大きくして剛性を高めると同時に、本体部72の板厚を相対的に小さくすることにより要素フレーム71の重量増を抑制することができる。特に、本実施形態においては、支持フレーム22の下面にキャスター26と接地部材27とを設ける構成としているため、閉塞板73の板厚を大きくして要素フレーム71の剛性を高める構成はより好適となる。
【0059】
また、本実施形態に係る個室型ブース1において、支持フレーム22は、右側辺22R及び前辺22Fを構成する右要素フレーム71R、左側辺22L及び前辺22Fを構成する左要素フレーム71L、及び、後辺22Bを構成する後要素フレーム71Bで構成される。これにより、個室型ブース1と左右寸法又は前後寸法が同じ個室型ブースを製造する場合に、要素フレーム71の部品を共通化することができる。
【0060】
なお、要素フレームの構成(支持フレームの形状)を本実施形態とは異なる形状とすることも可能である。具体的には
図8に示す如く、右側辺を構成する右要素フレーム171R、左側辺及び前辺を構成する左要素フレーム171L、及び、後辺を構成する後要素フレーム171Bの三本の要素フレーム171を連結するとともに、これらの要素フレーム171の連結を解除可能として構成することも可能である。このように、支持フレームの前辺を左右の何れか一方のみとすることにより、個室型ブースにおける扉を前面の他方側に寄せて配置できる。なお、この場合でも、それぞれの要素フレーム171の連結構成は前記実施形態と同様である。
【0061】
[個室型ブース201]
次に、
図9及び
図10を用いて、本発明の第二変形例に係る個室型ブース201について説明する。本実施形態においては、
図9中の矢印で個室型ブース201の方向を規定する。本実施形態に係る個室型ブース201は、左右方向の幅寸法が2000mm、前後方向の幅寸法が1600mmで形成されている。
【0062】
図9に示す如く、本変形例に係る個室型ブース201は、前方に開口部が形成された周壁202と、開口部を開閉可能に周壁202に設けられた扉203と、を備えている。周壁202の上端部には天井251が設けられる。前記実施形態に係る個室型ブース1と同様に、周壁202は、フレーム体と、このフレーム体に対して左右の両側部、後部、及び、前部の左右両側に固定される複数のパネル体(外パネル241、内パネル242、後パネル245等)と、を備える。
【0063】
図9及び
図10に示す如く、本変形例に係る個室型ブース201は、内部にテーブル206が設けられる。テーブル206は、天板261、脚部材262、支持部材263、規制部材264、及び、被覆部材265等で構成される。
【0064】
個室型ブース201にテーブル206を設置する際は、まず、後パネル245の支持部245aに沿って支持部材263を固定する。具体的には、カバー部材244の背後に配置された支持フレームに対して支持部材263をねじ止めする。支持部材263の上端には支持板263aが形成されている。支持部材263の前面は被覆部材265により被覆され、支持部材263と被覆部材265との間には、天板261に設けられたコンセントから延びるケーブルが挿通される。
【0065】
支持板263aの上面には天板261の後端部が固定される。天板261の前端部には、下面に脚部材262の支持板262aが固定される。また、支持板263aの上面には左右方向に長手方向を有する棒状部材である規制部材264が載置される。規制部材264は固定板264aを介して天板261の後端部に固定される。本実施形態においては、規制部材264の上面と、天板261の上面とは、同じ高さに位置するように設定している。
【0066】
図9及び
図10に示す如く、規制部材264の長さ寸法は内パネル242の間隔とほぼ同じになるように形成されている。そして、規制部材264の左右両端部は、支柱23に開口された係止孔23a(
図5を参照)に対して、図示しないブラケットを介して係止された状態で固定される。即ち、テーブル206における天板261の変位が規制され、安定的に天板261が固定される。
【0067】
[他の変形例]
上記の実施形態は、以下に示す他の変形例に示すように適宜変形が可能である。なお、本明細書に記載する各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。
【0068】
個室型ブースにおいて、要素フレームは、断面が角形や丸形等の筒部材や、断面がH形、T形、C形、L形等の形材を採用可能することが可能である。また、要素フレーム同士の連結箇所を一箇所又は三箇所以上としても差し支えない。
【0069】
また、連結板を介さずに要素フレーム同士を直接的に連結する構成としても良い。また、要素フレームを連結板で連結する際に、連結板が要素フレームの外面に露出する構成とすることも可能である。また、要素フレームの上下面を連結する以外に、例えば外面と内面等、他の面を介して要素フレーム同士を連結する構成とすることも可能である。
【0070】
また、本実施形態においては閉塞板を下側連結板として構成したが、閉塞板と下側連結板とを別に構成することも可能である。また、要素フレームの剛性が充分確保されていれば、閉塞板と本体部との板厚を同程度としても差し支えない。
【0071】
また、支持フレームの分割構成を本実施形態と異なる構成とすることもできる。例えば、前側左部から左側、及び、後側の中途部までを繋いだコ字型の要素フレームと、前側右部から右側、及び、後側の中途部までを繋いだコ字型の要素フレームと、を連結板で連結する構成とすることも可能である。
【0072】
また、支持フレームについては、平面視での形状を矩形状以外の他の形状としても良い。例えば、支持フレームを平面視で円形状、三角形状、五角形状、台形状等の形状とすることも可能である。
【0073】
個室型ブースを構成する支持フレームは、少なくとも扉が設けられる開口部の側が開放して形成されていれば良い。即ち、支持フレームについては、開口部以外の部分が閉塞される構成とすることも可能である。
【0074】
また、パネル体及び扉を構成する素材は、ガラスパネル又は金属製のパネルに限定されるものではなく、木製又は樹脂製等の素材を採用することも可能である。また、これらの配置構成についても、本実施形態以外の構成を採用することが可能である。
【0075】
また、個室型ブースに扉の開閉機構を設ける場合、扉を開閉する構成は開き戸の他に引戸を採用することも可能である。また、個室型ブースがキャスター及び接地部材を備えない構成とすることも可能である。また、個室型ブースが袖パネルを備えない構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 個室型ブース 2 周壁
3 扉
22 支持フレーム 22R 右側辺
22L 左側辺 22F 前辺
22B 後辺 23 支柱
23a 係止孔 24 天井フレーム
26 キャスター 27 接地部材
31 ヒンジ 32 取手
33 袖パネル 33f 袖パネル枠
41 外パネル 42 内パネル
43 補強パネル 44 カバー部材
45 後パネル 45f 後パネル枠
51 天井
71R 右要素フレーム 71L 左要素フレーム
71B 後要素フレーム 72 本体部
73 閉塞板(下側連結板)
74 上側連結板 75 段差部
171R 右要素フレーム 171L 左要素フレーム
171B 後要素フレーム
201 個室型ブース(第二変形例)
202 周壁 203 扉
206 テーブル 241 外パネル
242 内パネル 244 カバー部材
245 後パネル 245a 支持部
261 天板 262 脚部材
262a 支持板 263 支持部材
263a 支持板 264 規制部材
264a 固定板 265 被覆部材