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特開2024-34417物質密度画像を推論する装置、CTシステム、記憶媒体、および学習済みニューラルネットワークの作成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034417
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】物質密度画像を推論する装置、CTシステム、記憶媒体、および学習済みニューラルネットワークの作成方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20240306BHJP
   A61B 6/58 20240101ALI20240306BHJP
【FI】
A61B6/03 370A
A61B6/03 373
A61B6/03 F
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138638
(22)【出願日】2022-08-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】今井 靖浩
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 夕里
(72)【発明者】
【氏名】松見 絢子
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA24
4C093AA26
4C093CA18
4C093CA32
4C093CA37
4C093EA07
4C093FD03
4C093FD09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シングルエネルギーCTのCTシステムを用いて高品質な物質密度画像を得ることができる技術を提供する。
【解決手段】CT画像11を第1の学習済みニューラルネットワーク84に入力することと、CT画像11に基づいて、第1の学習済みニューラルネットワーク84に、仮想単色X線画像21を推論させることと、CT画像11と、第1の学習済みニューラルネットワーク84により推論された仮想単色X線画像21とに基づいて、水密度画像31とヨード密度画像41とを生成することと、水密度画像31およびヨード密度画像41を第2の学習済みニューラルネットワーク94に入力することと、水密度画像31およびヨード密度画像41に基づいて、第2の学習済みニューラルネットワーク94に、水密度画像51およびヨード密度画像61を推論させることと、を含む動作を実行する1つ以上のプロセッサを含む、装置。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体から収集されたシングルエネルギーCTのデータに基づいて生成されたCT画像を第1の学習済みニューラルネットワークに入力することであって、
前記第1の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、第1のニューラルネットワークが複数の仮想単色X線画像を用いた学習を実行することにより作成されるものである、
前記CT画像を第1の学習済みニューラルネットワークに入力すること、
前記CT画像に基づいて、前記第1の学習済みニューラルネットワークに、仮想単色X線画像を推論させること、
前記CT画像と、前記第1の学習済みニューラルネットワークにより推論された仮想単色X線画像とに基づいて、第1の基準物質の密度を表す第1の物質密度画像と、第2の基準物質の密度を表す第2の物質密度画像とを生成すること、
前記第1の物質密度画像および前記第2の物質密度画像を第2の学習済みニューラルネットワークに入力することであって、
前記第2の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、第2のニューラルネットワークが複数の物質密度画像を用いた学習を実行することにより作成されるものである、
前記第1の物質密度画像および前記第2の物質密度画像を第2の学習済みニューラルネットワークに入力すること、および
前記第1の物質密度画像および前記第2の物質密度画像に基づいて、前記第2の学習済みニューラルネットワークに、前記第1の基準物質の密度を表す第3の物質密度画像と、前記第2の基準物質の密度を表す第4の物質密度画像を推論させること
を含む動作を実行する1つ以上のプロセッサを含む、装置。
【請求項2】
前記第1の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、第1のニューラルネットワークが第1の学習データセットを用いた学習を実行することにより作成されるものであり、
前記第1の学習データセットは、第1の複数の仮想単色X線画像を含む第1の画像セットと、第2の複数の仮想単色X線画像を含む第2の画像セットを含み、
前記第1の複数の仮想単色X線画像の各仮想単色X線画像が、シングルエネルギーCTのデータを収集するCTシステムの管電圧に相当する第1のエネルギーレベルの仮想単色X線画像であり、前記第2の複数の仮想単色X線画像の各仮想単色X線画像が、第2のエネルギーレベルの仮想単色X線画像である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記学習フェーズにおいて、前記第1の複数の仮想単色X線画像の各仮想単色X線画像が前記第1のニューラルネットワークの入力として使用され、前記第2の複数の仮想単色X線画像の各仮想単色X線画像が前記第1のニューラルネットワークから出力されるように、前記第1のニューラルネットワークが前記第1の学習データセットを用いた学習を実行することにより、前記第1の学習済みニューラルネットワークが作成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、前記第2のニューラルネットワークが複数の物質密度画像を含む第2の学習データセットを用いた学習を実行することにより作成されるものであり、
前記第2の学習データセットは、第1の基準物質の密度を表す第1の複数の物質密度画像を含む第3の画像セットと、前記第2の基準物質の密度を表す第2の複数の物質密度画像を含む第4の画像セットと、前記第1の基準物質の密度を表す第3の複数の物質密度画像を含む第5の画像セットと、前記第2の基準物質の密度を表す第4の複数の物質密度画像を含む第6の画像セットとを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の複数の物質密度画像の各物質密度画像および前記第2の複数の物質密度画像の各物質密度画像が、前記第1の学習済みニューラルネットワークにより推論された仮想単色X線画像に基づいて生成された画像である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の複数の物質密度画像を含む第3の画像セットと、前記第2の複数の物質密度画像を含む第4の画像セットが、
前記第1の学習済みニューラルネットワークに入力される複数の仮想単色X線画像を含む入力画像セットであって、入力画像セットの各仮想単色X線画像は、前記第1の学習済みニューラルネットワークを作成するときに使用された前記第1の複数の仮想単色X線画像と同じエネルギーレベルの仮想単色X線画像である、入力画像セットと、
前記第1の学習済みニューラルネットワークにより推論された複数の仮想単色X線画像を含む出力画像セットであって、出力画像のセットの各仮想単色X線画像が、前記入力画像セットの各仮想単色X線画像が前記第1の学習済みニューラルネットワークに入力されることにより推論された仮想単色X線画像である、出力画像セットと
に基づいて生成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第3の複数の物質密度画像の各物質密度画像および前記第4の複数の物質密度画像の各物質密度画像が、デュアルエネルギーCTのデータに基づいて生成された画像である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
学習フェーズにおいて、前記第1の複数の物質密度画像の各物質密度画像および前記第2の複数の物質密度画像の各物質密度画像が前記第2のニューラルネットワークの入力として使用され、前記第3の複数の物質密度画像の各物質密度画像および前記第4の複数の物質密度画像の各物質密度画像が前記第2のニューラルネットワークから出力されるように、前記第2のニューラルネットワークが、前記第1の複数の物質密度画像、前記第2の複数の物質密度画像、前記第3の複数の物質密度画像、および前記第4の複数の物質密度画像を用いた学習を実行することにより、前記第2の学習済みニューラルネットワークが作成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の基準物質が水であり、前記第2の基準物質がヨードである、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
シングルエネルギーCTのデータを収集するCTシステムであって、
所定の管電圧が印加されるX線管と、
1つ以上のプロセッサと
を含み、
前記1つ以上のプロセッサが、
被検体から収集されたシングルエネルギーCTのデータに基づいてCT画像を生成すること、
前記CT画像を第1の学習済みニューラルネットワークに入力することであって、
前記第1の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、第1のニューラルネットワークが複数の仮想単色X線画像を用いた学習を実行することにより作成されるものである、
前記CT画像を第1の学習済みニューラルネットワークに入力すること、
前記CT画像に基づいて、前記第1の学習済みニューラルネットワークに、仮想単色X線画像を推論させること、
前記CT画像と、前記第1の学習済みニューラルネットワークにより推論された仮想単色X線画像とに基づいて、第1の基準物質の密度を表す第1の物質密度画像と、第2の基準物質の密度を表す第2の物質密度画像とを生成すること、
前記第1の物質密度画像および前記第2の物質密度画像を第2の学習済みニューラルネットワークに入力することであって、
前記第2の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、第2のニューラルネットワークが複数の物質密度画像を用いた学習を実行することにより作成されるものである、
前記第1の物質密度画像および前記第2の物質密度画像を第2の学習済みニューラルネットワークに入力すること、および
前記第1の物質密度画像および前記第2の物質密度画像に基づいて、前記第2の学習済みニューラルネットワークに、前記第1の基準物質の密度を表す第3の物質密度画像と、前記第2の基準物質の密度を表す第4の物質密度画像を推論させること
を含む動作を実行する、CTシステム。
【請求項11】
前記第1の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、前記第1のニューラルネットワークが第1の学習データセットを学習することにより作成されるものであり、
前記第1の学習データセットは、第1の複数の仮想単色X線画像を含む第1の画像セットと、第2の複数の仮想単色X線画像を含む第2の画像セットを含み、
前記第1の複数の仮想単色X線画像の各仮想単色X線画像が、前記所定の管電圧に相当する第1のエネルギーレベルの仮想単色X線画像であり、前記第2の複数の仮想単色X線画像の各仮想単色X線画像が、第2のエネルギーレベルの仮想単色X線画像である、請求項10に記載のCTシステム。
【請求項12】
前記第2の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、前記第2のニューラルネットワークが複数の物質密度画像を含む第2の学習データセットを用いた学習を実行することにより作成されるものであり、
前記第2の学習データセットが、第1の基準物質の密度を表す第1の複数の物質密度画像を含む第3の画像セットと、前記第2の基準物質の密度を表す第2の複数の物質密度画像を含む第4の画像セットと、前記第1の基準物質の密度を表す第3の複数の物質密度画像を含む第5の画像セットと、前記第2の基準物質の密度を表す第4の複数の物質密度画像を含む第6の画像セットとを含む、請求項11に記載のCTシステム。
【請求項13】
1つ以上のプロセッサによって実行可能な1つ以上の命令が格納された、1つ以上の非一時的でコンピュータ読取可能な記録媒体であって、前記1つ以上の命令は、前記1つ以上のプロセッサに、
被検体から収集されたシングルエネルギーCTのデータに基づいて生成されたCT画像を第1の学習済みニューラルネットワークに入力することであって、
前記第1の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、第1のニューラルネットワークが複数の仮想単色X線画像を用いた学習を実行することにより作成されるものである、
前記CT画像を第1の学習済みニューラルネットワークに入力すること、
前記CT画像に基づいて、前記第1の学習済みニューラルネットワークに、仮想単色X線画像を推論させること、
前記CT画像と、前記第1の学習済みニューラルネットワークにより推論された仮想単色X線画像とに基づいて、第1の基準物質の密度を表す第1の物質密度画像と、第2の基準物質の密度を表す第2の物質密度画像とを生成すること、
前記第1の物質密度画像および前記第2の物質密度画像を第2の学習済みニューラルネットワークに入力することであって、
前記第2の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、第2のニューラルネットワークが複数の物質密度画像を用いた学習を実行することにより作成されるものである、
前記第1の物質密度画像および前記第2の物質密度画像を第2の学習済みニューラルネットワークに入力すること、および
前記第1の物質密度画像および前記第2の物質密度画像に基づいて、前記第2の学習済みニューラルネットワークに、前記第1の基準物質の密度を表す第3の物質密度画像と、前記第2の基準物質の密度を表す第4の物質密度画像を推論させること
を含む動作を実行させる、記憶媒体。
【請求項14】
学習済みニューラルネットワークの作成方法であって、
第1の学習済みニューラルネットワークを作成することであって、
前記第1の学習済みニューラルネットワークは、第1のニューラルネットワークが第1の学習データセットを用いた学習を実行することにより作成されるものであり、
前記第1の学習データセットは、第1の複数の仮想単色X線画像を含む第1の画像セットと、第2の複数の仮想単色X線画像を含む第2の画像セットを含み、
前記第1の複数の仮想単色X線画像の各仮想単色X線画像が、シングルエネルギーCTのデータを収集するCTシステムの管電圧に相当する第1のエネルギーレベルの仮想単色X線画像であり、前記第2の複数の仮想単色X線画像の各仮想単色X線画像が、第2のエネルギーレベルの仮想単色X線画像であり、
前記第1の複数の仮想単色X線画像の各仮想単色X線画像が前記第1のニューラルネットワークの入力として使用され、前記第2の複数の仮想単色X線画像の各仮想単色X線画像が前記第1のニューラルネットワークから出力されるように、前記第1のニューラルネットワークが前記第1の学習データセットを用いた学習を実行する、
前記第1の学習済みニューラルネットワークを作成すること、および
第2の学習済みニューラルネットワークを作成することであって、
前記第2の学習済みニューラルネットワークは、第2のニューラルネットワークが第2の学習データセットを用いた学習を実行することにより作成されるものであり、
前記第2の学習データセットは、第1の基準物質の密度を表す第1の複数の物質密度画像を含む第3の画像セットと、前記第2の基準物質の密度を表す第2の複数の物質密度画像を含む第4の画像セットと、前記第1の基準物質の密度を表す第3の複数の物質密度画像を含む第5の画像セットと、前記第2の基準物質の密度を表す第4の複数の物質密度画像を含む第6の画像セットとを含み、
前記第1の複数の物質密度画像の各物質密度画像および前記第2の複数の物質密度画像の各物質密度画像が、前記第1の学習済みニューラルネットワークにより推論された仮想単色X線画像に基づいて生成された画像であり、
前記第3の複数の物質密度画像の各物質密度画像および前記第4の複数の物質密度画像の各物質密度画像が、デュアルエネルギーCTのデータに基づいて生成された画像であり、
前記第1の複数の物質密度画像の各物質密度画像および前記第2の複数の物質密度画像の各物質密度画像が前記第2のニューラルネットワークの入力として使用され、前記第3の複数の物質密度画像の各物質密度画像および前記第4の複数の物質密度画像の各物質密度画像が前記第2のニューラルネットワークから出力されるように、前記第2のニューラルネットワークが、前記第1の複数の物質密度画像、前記第2の複数の物質密度画像、前記第3の複数の物質密度画像、および前記第4の複数の物質密度画像を用いた学習を実行する、
第2の学習済みニューラルネットワークを作成すること、
を含む、作成方法。
【請求項15】
被検体から収集されたシングルエネルギーCTのデータに基づいて生成されたCT画像を第1の学習済みニューラルネットワークに入力することであって、
前記第1の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、第1のニューラルネットワークが複数の仮想単色X線画像を用いた学習を実行することにより作成されるものである、
前記CT画像を第1の学習済みニューラルネットワークに入力すること、
前記CT画像に基づいて、前記第1の学習済みニューラルネットワークに、仮想単色X線画像を推論させること、
前記CT画像と、前記第1の学習済みニューラルネットワークにより推論された仮想単色X線画像とに基づいて、第1の基準物質の密度を表す第1の物質密度画像と、第2の基準物質の密度を表す第2の物質密度画像とを生成すること、
前記第1の物質密度画像を第3の学習済みニューラルネットワークに入力することであって、
前記第3の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、第3のニューラルネットワークが、前記第1の基準物質の密度を表す複数の物質密度画像を用いた学習を実行することにより作成されるものである、
前記第1の物質密度画像を第3の学習済みニューラルネットワークに入力すること、
前記第1の物質密度画像に基づいて、前記第3の学習済みニューラルネットワークに、前記第1の基準物質の密度を表す第3の物質密度画像を推論させること、
前記第2の物質密度画像を第4の学習済みニューラルネットワークに入力することであって、
前記第4の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、第4のニューラルネットワークが、前記第2の基準物質の密度を表す複数の物質密度画像を用いた学習を実行することにより作成されるものである、
前記第2の物質密度画像を第3の学習済みニューラルネットワークに入力すること、および
前記第2の物質密度画像に基づいて、前記第4の学習済みニューラルネットワークに、前記第2の基準物質の密度を表す第4の物質密度画像を推論させること、
を含む動作を実行する1つ以上のプロセッサを含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質密度画像を推論する装置、物質密度画像を推論するCTシステム、物質密度画像を推論するための命令が記憶された記憶媒体、および物質密度画像を推論する学習済みニューラルネットワークの作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体を非侵襲的に撮影する医用装置としてCTシステムが知られている。CTシステムは、短いスキャン時間で被検体の断層画像を取得することができるので、病院などの医療施設に普及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-245235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CTシステムの撮影技術として、シングルエネルギーCT(Single Energy CT、SECT)が知られている。シングルエネルギーCTは、X線管の陰極-陽極管に所定の電圧(例えば、120kVp)を印加し、X線を発生させ、被検体のCT画像を得る方法である。しかし、シングルエネルギーCTでは、異なる物質であってもCT値が近い値になることがあり、異なる物質の同定が難しい場合がある。
【0005】
そこで、デュアルエネルギーCT(Dual Energy CT、DECT)の技術が研究、開発されている(特許文献1参照)。デュアルエネルギーCTは、異なるエネルギー領域のX線を利用して物質の弁別を行う技術であり、デュアルエネルギーCTに対応したCTシステムも市販されている。
【0006】
しかし、デュアルエネルギーCTの装置は、一般的にはシングルエネルギーCTの装置よりも価格が高く、医療機関の中には、シングルエネルギーCTに対応したCTシステムは導入されているが、デュアルエネルギーCTに対応したCTシステムは導入していない医療機関も多い。そこで、デュアルエネルギーCTに対応したCTシステムを導入していない医療機関であっても、シングルエネルギーCTにより取得された画像から仮想単色X線画像を推論し、推論した仮想単色X線画像に基づいて物質密度画像を生成する技術も研究、開発されている。
【0007】
しかし、一般に、シングルエネルギーCTのデータに基づいて推論された仮想単色X線画像は、デュアルエネルギーCTのデータに基づいて計算された仮想単色X線画像と比較すると、CT値の精度がやや劣るという問題がある。したがって、シングルエネルギーCTのデータにより推論された仮想単色X線画像に基づいて物質密度画像を計算した場合、計算された物質密度画像の精度には限界がある。
【0008】
このような理由から、シングルエネルギーCTのCTシステムを用いて高品質な物質密度画像を得ることができる技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点は、被検体から収集されたシングルエネルギーCTのデータに基づいて生成されたCT画像を第1の学習済みニューラルネットワークに入力することであって、
前記第1の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、第1のニューラルネットワークが複数の仮想単色X線画像を用いた学習を実行することにより作成されるものである、
前記CT画像を第1の学習済みニューラルネットワークに入力すること、
前記CT画像に基づいて、前記第1の学習済みニューラルネットワークに、仮想単色X線画像を推論させること、
前記CT画像と、前記第1の学習済みニューラルネットワークにより推論された仮想単色X線画像とに基づいて、第1の基準物質の密度を表す第1の物質密度画像と、第2の基準物質の密度を表す第2の物質密度画像とを生成すること、
前記第1の物質密度画像および前記第2の物質密度画像を第2の学習済みニューラルネットワークに入力することであって、
前記第2の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、第2のニューラルネットワークが複数の物質密度画像を用いた学習を実行することにより作成されるものである、
前記第1の物質密度画像および前記第2の物質密度画像を第2の学習済みニューラルネットワークに入力すること、および
前記第1の物質密度画像および前記第2の物質密度画像に基づいて、前記第2の学習済みニューラルネットワークに、前記第1の基準物質の密度を表す第3の物質密度画像と、前記第2の基準物質の密度を表す第4の物質密度画像を推論させること
を含む動作を実行する1つ以上のプロセッサを含む、装置である。
【0010】
また、本発明の第2の観点は、シングルエネルギーCTのデータを収集するCTシステムであって、
所定の管電圧が印加されるX線管と、
1つ以上のプロセッサと
を含み、
前記1つ以上のプロセッサが、
被検体から収集されたシングルエネルギーCTのデータに基づいてCT画像を生成すること、
前記CT画像を第1の学習済みニューラルネットワークに入力することであって、
前記第1の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、第1のニューラルネットワークが複数の仮想単色X線画像を用いた学習を実行することにより作成されるものである、
前記CT画像を第1の学習済みニューラルネットワークに入力すること、
前記CT画像に基づいて、前記第1の学習済みニューラルネットワークに、仮想単色X線画像を推論させること、
前記CT画像と、前記第1の学習済みニューラルネットワークにより推論された仮想単色X線画像とに基づいて、第1の基準物質の密度を表す第1の物質密度画像と、第2の基準物質の密度を表す第2の物質密度画像とを生成すること、
前記第1の物質密度画像および前記第2の物質密度画像を第2の学習済みニューラルネットワークに入力することであって、
前記第2の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、第2のニューラルネットワークが複数の物質密度画像を用いた学習を実行することにより作成されるものである、
前記第1の物質密度画像および前記第2の物質密度画像を第2の学習済みニューラルネットワークに入力すること、および
前記第1の物質密度画像および前記第2の物質密度画像に基づいて、前記第2の学習済みニューラルネットワークに、前記第1の基準物質の密度を表す第3の物質密度画像と、前記第2の基準物質の密度を表す第4の物質密度画像を推論させること
を含む動作を実行する、CTシステムである。
【0011】
本発明の第3の観点は、1つ以上のプロセッサによって実行可能な1つ以上の命令が格納された、1つ以上の非一時的でコンピュータ読取可能な記録媒体であって、前記1つ以上の命令は、前記1つ以上のプロセッサに、
被検体から収集されたシングルエネルギーCTのデータに基づいて生成されたCT画像を第1の学習済みニューラルネットワークに入力することであって、
前記第1の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、第1のニューラルネットワークが複数の仮想単色X線画像を用いた学習を実行することにより作成されるものである、
前記CT画像を第1の学習済みニューラルネットワークに入力すること、
前記CT画像に基づいて、前記第1の学習済みニューラルネットワークに、仮想単色X線画像を推論させること、
前記CT画像と、前記第1の学習済みニューラルネットワークにより推論された仮想単色X線画像とに基づいて、第1の基準物質の密度を表す第1の物質密度画像と、第2の基準物質の密度を表す第2の物質密度画像とを生成すること、
前記第1の物質密度画像および前記第2の物質密度画像を第2の学習済みニューラルネットワークに入力することであって、
前記第2の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、第2のニューラルネットワークが複数の物質密度画像を用いた学習を実行することにより作成されるものである、
前記第1の物質密度画像および前記第2の物質密度画像を第2の学習済みニューラルネットワークに入力すること、および
前記第1の物質密度画像および前記第2の物質密度画像に基づいて、前記第2の学習済みニューラルネットワークに、前記第1の基準物質の密度を表す第3の物質密度画像と、前記第2の基準物質の密度を表す第4の物質密度画像を推論させること
を含む動作を実行させる、記憶媒体である。
【0012】
本発明の第4の観点は、学習済みニューラルネットワークの作成方法であって、
第1の学習済みニューラルネットワークを作成することであって、
前記第1の学習済みニューラルネットワークは、第1のニューラルネットワークが第1の学習データセットを用いた学習を実行することにより作成されるものであり、
前記第1の学習データセットは、第1の複数の仮想単色X線画像を含む第1の画像セットと、第2の複数の仮想単色X線画像を含む第2の画像セットを含み、
前記第1の複数の仮想単色X線画像の各仮想単色X線画像が、シングルエネルギーCTのデータを収集するCTシステムの管電圧に相当する第1のエネルギーレベルの仮想単色X線画像であり、前記第2の複数の仮想単色X線画像の各仮想単色X線画像が、第2のエネルギーレベルの仮想単色X線画像であり、
前記第1の複数の仮想単色X線画像の各仮想単色X線画像が前記第1のニューラルネットワークの入力として使用され、前記第2の複数の仮想単色X線画像の各仮想単色X線画像が前記第1のニューラルネットワークから出力されるように、前記第1のニューラルネットワークが前記第1の学習データセットを用いた学習を実行する、
前記第1の学習済みニューラルネットワークを作成すること、および
第2の学習済みニューラルネットワークを作成することであって、
前記第2の学習済みニューラルネットワークは、第2のニューラルネットワークが第2の学習データセットを用いた学習を実行することにより作成されるものであり、
前記第2の学習データセットは、第1の基準物質の密度を表す第1の複数の物質密度画像を含む第3の画像セットと、前記第2の基準物質の密度を表す第2の複数の物質密度画像を含む第4の画像セットと、前記第1の基準物質の密度を表す第3の複数の物質密度画像を含む第5の画像セットと、前記第2の基準物質の密度を表す第4の複数の物質密度画像を含む第6の画像セットとを含み、
前記第1の複数の物質密度画像の各物質密度画像および前記第2の複数の物質密度画像の各物質密度画像が、前記第1の学習済みニューラルネットワークにより推論された仮想単色X線画像に基づいて生成された画像であり、
前記第3の複数の物質密度画像の各物質密度画像および前記第4の複数の物質密度画像の各物質密度画像が、デュアルエネルギーCTのデータに基づいて生成された画像であり、
前記第1の複数の物質密度画像の各物質密度画像および前記第2の複数の物質密度画像の各物質密度画像が前記第2のニューラルネットワークの入力として使用され、前記第3の複数の物質密度画像の各物質密度画像および前記第4の複数の物質密度画像の各物質密度画像が前記第2のニューラルネットワークから出力されるように、前記第2のニューラルネットワークが、前記第1の複数の物質密度画像、前記第2の複数の物質密度画像、前記第3の複数の物質密度画像、および前記第4の複数の物質密度画像を用いた学習を実行する、
第2の学習済みニューラルネットワークを作成すること、
を含む、作成方法である。
【0013】
本発明の第5の観点は、被検体から収集されたシングルエネルギーCTのデータに基づいて生成されたCT画像を第1の学習済みニューラルネットワークに入力することであって、
前記第1の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、第1のニューラルネットワークが複数の仮想単色X線画像を用いた学習を実行することにより作成されるものである、
前記CT画像を第1の学習済みニューラルネットワークに入力すること、
前記CT画像に基づいて、前記第1の学習済みニューラルネットワークに、仮想単色X線画像を推論させること、
前記CT画像と、前記第1の学習済みニューラルネットワークにより推論された仮想単色X線画像とに基づいて、第1の基準物質の密度を表す第1の物質密度画像と、第2の基準物質の密度を表す第2の物質密度画像とを生成すること、
前記第1の物質密度画像を第3の学習済みニューラルネットワークに入力することであって、
前記第3の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、第3のニューラルネットワークが、前記第1の基準物質の密度を表す複数の物質密度画像を用いた学習を実行することにより作成されるものである、
前記第1の物質密度画像を第3の学習済みニューラルネットワークに入力すること、
前記第1の物質密度画像に基づいて、前記第3の学習済みニューラルネットワークに、前記第1の基準物質の密度を表す第3の物質密度画像を推論させること、
前記第2の物質密度画像を第4の学習済みニューラルネットワークに入力することであって、
前記第4の学習済みニューラルネットワークは、学習フェーズにおいて、第4のニューラルネットワークが、前記第2の基準物質の密度を表す複数の物質密度画像を用いた学習を実行することにより作成されるものである、
前記第2の物質密度画像を第3の学習済みニューラルネットワークに入力すること、および
前記第2の物質密度画像に基づいて、前記第4の学習済みニューラルネットワークに、前記第2の基準物質の密度を表す第4の物質密度画像を推論させること、
を含む動作を実行する1つ以上のプロセッサを含む、装置である。
【発明の効果】
【0014】
(第1-第3の観点について)
第1の学習済みニューラルネットワークは、第1のニューラルネットワークが複数の仮想単色X線画像を用いた学習を実行することにより作成されている。したがって、第1の学習済みニューラルネットワークは、CT値のドメインで推論処理を行うように構成されている。そして、CT画像を第1の学習済みニューラルネットワークに入力することにより仮想単色X線画像が推論される。
次に、CT画像と、推論された仮想単色X線画像に基づいて、第1の基準物質の密度を表す第1の物質密度画像と、第2の基準物質の密度を表す第2の物質密度画像を生成する。
しかし、第1および第2の物質密度画像を計算するために使用される仮想単色X線画像は、シングルエネルギーCTのデータに基づいて生成されたCT画像から推論されている。一般に、シングルエネルギーCTのデータに基づいて推論された仮想単色X線画像は、デュアルエネルギーCTのデータに基づいて計算された仮想単色X線画像と比較すると、CT値の精度がやや劣るという問題がある。したがって、CT画像と、推論された仮想単色X線画像とに基づいて計算された第1および第2の物質密度画像の精度には限界がある。
そこで、第1-第3の観点では、第1の学習済みニューラルネットワークの他に、密度のドメインで推論処理を実行する第2の学習済みニューラルネットワークを作成している。第2の学習済みニューラルネットワークは密度のドメインで推論処理を実行する。したがって、第2の学習済みニューラルネットワークに、シングルエネルギーCTのデータに基づいて生成された第1および第2の物質密度画像を入力すると、密度のドメインで推論処理が実行される。このため、第2の学習済みニューラルネットワークに第1および第2の物質密度画像を入力することにより、第1および第2の物質密度画像よりも基準物質の密度の計算値の信頼性が高い第3および第4の物質密度画像を推論することができる。
したがって、第3および第4の物質密度画像を、デュアルエネルギーCTのデータから計算された物質密度画像の精度に近づけることが可能となる。
【0015】
(第4の観点について)
第4の観点では、第1-第3の観点において使用される第1および第2の学習済みニューラルネットワークの作成方法が提供される。
【0016】
(第5の観点について)
第5の観点では、第1の物質密度画像に基づいて第3の物質密度画像を推論する第3の学習済みニューラルネットワークと、第2の物質密度画像に基づいて第4の物質密度画像を推論する第4の学習済みニューラルネットワークを使用する例が示されている。第5の観点では、第3および第4の学習済みニューラルネットワークが密度のドメインで推論処理を実行する。したがって、第1および第2の物質密度画像よりも基準物質の密度の計算値の信頼性が高い第3および第4の物質密度画像を推論することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態におけるCTシステム100の斜視図である。
図2】CTシステム100のブロック図である。
図3】本実施形態において物質密度画像を取得するための基本的な考え方を説明するためのフロー図である。
図4】本実施形態において物質密度画像を推論するフローを示す図である。
図5】第1の学習データセット80の説明図である。
図6】患者131~13wから取得された仮想単色X線画像の説明図である。
図7】第1のニューラルネットワーク83の学習方法の説明図である。
図8】第2の学習データセット90の説明図である。
図9】画像セット300および400を用意する方法の説明図である。
図10】画像セット500および600の説明図である。
図11】第2の学習済みニューラルネットワーク94の作成方法の説明図である。
図12】被検体のスキャンの説明図である。
図13】水密度画像およびヨード密度画像を、別々の学習済みニューラルネットワークを使用して推論する一例のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、以下の形態に限定されることはない。
【0019】
図1は、本実施形態におけるCTシステム100の斜視図である。
CTシステム100は、ガントリ102を有している。ガントリ102は開口部107を有しており、その開口部107に被検体112が搬送され、被検体112のスキャンが実行される。
【0020】
図2は、CTシステム100のブロック図である。
ガントリ102には、X線管104、フィルタ部103、前置コリメータ105、および検出器アレイ108などが取り付けられている。
【0021】
X線管104は、陰極-陽極管に所定の電圧(例えば、120kVp)が印加されることにより、X線を発生する。
【0022】
フィルタ部103は、例えば、平板フィルタおよび/又はボウタイフィルタを含んでいる。
前置コリメータ105は、不要な領域にX線が照射されないようにX線の照射範囲を絞り込むための部材である。
【0023】
検出器アレイ108は複数の検出器素子202を含んでいる。複数の検出器素子202は、X線管104から照射され、撮影対象である被検体112を通過するX線ビーム106を検出する。したがって、検出器アレイ108は、ビューごとに投影データを取得することができる。
【0024】
X線検出器108により検出された投影データは、DAS(Data Acquisition Sysytem)214で収集される。DAS214は、収集した投影データに対して、サンプリング、デジタル変換などを含む所定の処理を実行する。処理された投影データは、コンピュータ216に送信される。コンピュータ216は、DAS214からのデータを記憶装置218に記憶する。記憶装置218は、プログラムや、プロセッサで実行される命令などを記憶する1つ以上の記憶媒体を含むものである。記憶媒体は、例えば、1つ以上の非一時的でコンピュータ読取可能な記録媒体とすることができる。記憶装置218は、例えば、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、コンパクトディスク読み出し/書き込み(CD-R/W)ドライブ、デジタル多用途ディスク(DVD)ドライブ、フラッシュドライブ、および/またはソリッドステート記憶ドライブを含むことができる。
【0025】
コンピュータ216は1つ又は複数のプロセッサを含んでいる。コンピュータ216は、1つ又は複数のプロセッサを使用して、DAS214、X線コントローラ210、および/又はガントリモータコントローラ212に、コマンドおよびパラメータを出力し、データ取得および/またはデータ処理などのシステム動作を制御する。
【0026】
コンピュータ216には、オペレータコンソール220が結合されている。オペレータは、オペレータコンソール220を操作することにより、CTシステム100の動作に関連する所定のオペレータ入力をコンピュータ216に入力することができる。コンピュータ216は、オペレータコンソール220を介して、コマンドおよび/またはスキャンパラメータを含むオペレータ入力を受信し、そのオペレータ入力に基づいてシステム動作を制御する。オペレータコンソール220は、オペレータがコマンドおよび/またはスキャンパラメータを指定するためのキーボード(図示せず)またはタッチスクリーンを含むことができる。
【0027】
X線コントローラ210は、コンピュータ216からの信号に基づいてX線管104を制御する。また、ガントリモータコントローラ212は、コンピュータ216からの信号に基づいてガントリモータを制御する。
【0028】
図2は、1つのオペレータコンソール220のみを示しているが、2つ以上のオペレータコンソールをコンピュータ216に結合してもよい。
【0029】
また、CTシステム100は、例えば、有線ネットワークおよび/又は無線ネットワークを介して、遠隔に位置する複数のディスプレイ、プリンタ、ワークステーションなどのデバイスが結合されるようにしてもよい。
【0030】
一実施形態では、例えば、CTシステム100は、画像保管通信システム(PACS)224を含んでいてもよいし、PACS224に結合されていてもよい。例示的な実施態様では、PACS224は、放射線科情報システム、病院情報システム、および/または内部もしくは外部ネットワーク(図示せず)などの遠隔システムに結合することができる。
【0031】
コンピュータ216は、テーブルモータコントローラ118に、テーブル116を制御するためのコマンドを供給する。テーブルモータコントローラ118は、受け取ったコマンドに基づいてテーブル116を制御することができる。特に、テーブルモータコントローラ118は、ガントリ102の開口部107内で被検体112が適切に位置決めされるように、テーブル116を移動することができる。
【0032】
前述のように、DAS214は、検出器素子202によって取得された投影データをサンプリングしてデジタル変換する。その後、画像再構成器230が、サンプリングされデジタル変換されたデータを使用して画像を再構成する。画像再構成器230は1つ又は複数のプロセッサを含んでおり、このプロセッサが画像再構成の処理を実行することができる。図2では、画像再構成器230は、コンピュータ216とは別個の構成要素として示されているが、画像再構成器230は、コンピュータ216の一部を形成するものであってもよい。また、コンピュータ216が、画像再構成器230の1つまたは複数の機能を実施してもよい。さらに、画像再構成器230は、CTシステム100から離れた位置に設けられ、有線ネットワークまたは無線ネットワークを使用してCTシステム100に動作可能に接続されるようにしてもよい。
【0033】
画像再構成器230は、再構成された画像を記憶装置218に記憶することができる。また、画像再構成器230は、再構成された画像をコンピュータ216に送信してもよい。コンピュータ216は、再構成された画像および/または患者情報を、コンピュータ216および/または画像再構成器230に通信可能に結合された表示部232に送信することができる。
【0034】
コンピュータ216および/または画像再構成器230は、被検体のスキャンにより収集されたデータの処理を実行する装置、オペレータコンソール220から受け取ったデータに基づいて各種の処理を実行する装置、各種コントローラ(118、210、212など)から受け取ったデータに基づいて各種の処理を実行する装置を構成する。
【0035】
尚、コンピュータ216および/または画像再構成器230が実行する処理の少なくとも一部を、CTシステム100とは別の外部装置で実行されるようにしてもよい。
【0036】
本明細書で説明される様々な方法およびプロセスは、CTシステム100内の非一時的な記憶媒体に実行可能命令として記憶することができる。この実行可能命令は、1つの記憶媒体に記憶されていてもよいし、複数の記憶媒体に分散させて記憶されるようにしてもよい。CTシステム100に備えられる1つ以上のプロセッサは、記憶媒体に記憶された命令に従って、本明細書で説明される様々な方法、ステップ、およびプロセスを実行する。
CTシステム100は上記のように構成されている。
【0037】
本実施形態のCTシステム100は、シングルエネルギーCTの撮影を実行するシステムであるが、高品質な物質密度画像を取得することができるように構成されている。
【0038】
以下に、シングルエネルギーCTの撮影を実行するCTシステムを使用して物質密度画像を取得するための手法の基本的な考え方について、図3を参照しながら説明する。
【0039】
図3は、本実施形態において物質密度画像を取得するための基本的な考え方を説明するためのフロー図である。
【0040】
ステップST1では、シングルエネルギーCTの撮影を実行するCTシステム100を使用して被検体をスキャンする。本実施形態では、CTシステムの管電圧は120kVpであるが、他の管電圧を使用してもよい。
【0041】
ステップST2では、被検体をスキャンすることにより取得したデータに基づいて、CT画像11を生成する。
【0042】
ステップST3では、ステップST2で得られたCT画像11を第1の学習済みニューラルネットワーク84に入力する。そして、入力されたCT画像11に基づいて、第1の学習済みニューラルネットワーク84が仮想単色X線画像21を推論する。
【0043】
尚、第1の学習済みニューラルネットワーク84は、学習フェーズにおいて、第1のニューラルネットワーク83が、複数の仮想単色X線画像を用いた学習を実行することにより生成されるものである。第1の学習済みニューラルネットワーク84の具体的な作成方法の一例については後述する。
【0044】
CTシステム100の管電圧120(kVp)は、約70(keV)のエネルギーレベルに相当する。したがって、エネルギーレベルの観点で考えると、CT画像11は70(keV)の仮想単色X線画像に相当する。また、第1の学習済みニューラルネットワーク84は、CT画像11に基づいて、70(keV)とは異なるエネルギーレベルの仮想単色X線画像21を推論する。図3では、仮想単色X線画像21の一例として、50(keV)の仮想単色X線画像を推論する例が示されている。仮想単色X線画像21を推論した後、ステップST4に進む。
【0045】
ステップST4では、第1の学習済みニューラルネットワーク84の入力に使用されたCT画像11と、第1の学習済みニューラルネットワーク84により推論された50(keV)の仮想単色X線画像21に基づいて、第1の物質密度画像31と、第2の物質密度画像41とを生成する。第1の物質密度画像31は第1の基準物質の密度を表す画像であり、第2の物質密度画像41は第2の基準物質の密度を表す画像である。第1および第2の基準物質は、被検体の撮影部位に含まれる物質に基づいて決定することができる。2つの基準物質は、実効原子番号が大きく異なるものを選択することが望ましく、例えば、水およびヨードを、2つの基準物質として選択することができる。
【0046】
ステップST5では、ステップST4で生成された第1の物質密度画像31および第2の物質密度画像41のペアを第2の学習済みニューラルネットワーク94に入力する。そして、入力された第1の物質密度画像31および第2の物質密度画像41のペアに基づいて、第2の学習済みニューラルネットワーク94が、第1の基準物質の密度を表す第3の物質密度画像51および第2の基準物質の密度を表す第4の物質密度画像61のペアを推論する。尚、第2の学習済みニューラルネットワーク94は、学習フェーズにおいて、第2のニューラルネットワーク93が、複数の物質密度画像を用いた学習を実行することにより生成されるものである。第2の学習済みニューラルネットワーク94の具体的な作成方法の一例については後述する。
【0047】
したがって、本実施形態では、第1および第2の学習済みニューラルネットワーク84および94を使用して、物質密度画像51および61が推論される。
【0048】
第1の学習済みニューラルネットワーク84は、第1のニューラルネットワーク83が複数の仮想単色X線画像を用いた学習を実行することにより作成されている。したがって、第1の学習済みニューラルネットワーク84は、CT値のドメインで推論処理を行うように構成されている。そして、CT画像11を第1の学習済みニューラルネットワーク84に入力し、仮想単色X線画像21を推論している。CT画像11は70(keV)の仮想単色X線画像に相当し、第1の学習済みニューラルネットワーク84が推論する仮想単色X線画像21は50(keV)の仮想単色X線画像である。したがって、CT画像11および仮想単色X線画像21は、エネルギーレベルが互いに異なる画像である。これらのCT画像11および仮想単色X線画像21を用いて物質弁別処理を実行することにより、第1の物質密度画像31および第2の物質密度画像41を生成することができる。第1の物質密度画像31は、例えば水密度画像であり、第2の物質密度画像41は、例えばヨード密度画像である。したがって、ステップST4を実行することにより、2つの物質密度画像31および41を生成することができる。
【0049】
しかし、第1および第2の物質密度画像31および41を計算するために使用される仮想単色X線画像21は、シングルエネルギーCTのデータに基づいて生成されたCT画像11から推論されている。一般に、シングルエネルギーCTのデータに基づいて推論された仮想単色X線画像は、デュアルエネルギーCTのデータに基づいて計算された仮想単色X線画像と比較すると、CT値の精度がやや劣るという問題がある。したがって、CT画像11と仮想単色X線画像21とに基づいて物質密度画像31および41を計算した場合、物質密度画像31および41の精度にも限界がある。
【0050】
そこで、本実施形態では、第1の学習済みニューラルネットワーク84の他に、密度のドメインで推論処理を実行する第2の学習済みニューラルネットワーク94を作成している。第2の学習済みニューラルネットワーク94は密度のドメインで推論処理を実行する。したがって、第2の学習済みニューラルネットワーク94に、シングルエネルギーCTのデータに基づいて生成された物質密度画像31および41を入力すると、密度のドメインで推論処理が実行され、物質密度画像51および61が出力される。したがって、第2の学習済みニューラルネットワーク94は、入力された物質密度画像31および41よりも基準物質の密度の値の信頼性が高い物質密度画像51および61を推論することが可能となる。
【0051】
本願発明者は、上記の原理に従って、物質密度画像51および61を推論することを考えた。以下に、上記の原理に従って、物質密度画像51および61を推論するフローについて説明する。
【0052】
図4は、本実施形態において物質密度画像を推論するフローを示す図である。
尚、図3を参照しながら説明したように、本実施形態では、2つの学習済みニューラルネットワーク84および94を用いて物質密度画像51および61を推論しているので、2つの学習済みニューラルネットワーク84および94を事前に用意しておく必要がある。そこで、以下では、最初に、2つの学習済みニューラルネットワーク84および94を作成する学習フェーズについて説明する。そして、学習フェーズを説明した後で、上記の原理に従って物質密度画像51および61を推論するフローについて説明する。
【0053】
(学習フェーズについて)
学習フェーズでは、第1の学習済みニューラルネットワーク84と、第2の学習済みニューラルネットワーク94を作成する。以下では、最初に、第1の学習済みニューラルネットワーク84の作成方法について説明し、次に、第2の学習済みニューラルネットワーク94の作成方法について説明する。
【0054】
図5図7は、第1の学習済みニューラルネットワーク84の作成方法の説明図である。
先ず、ステップST81(図4参照)において、第1の学習済みニューラルネットワーク84を作成するために必要な第1の学習データセット80を用意する。
【0055】
図5は、第1の学習データセット80の説明図である。
第1の学習データセット80は、病院などの医療機関から入手することができる。例えば、医療機関で実際に多数の患者131~13wを造影CTスキャンすることにより取得された仮想単色X線画像を、学習データとして用意することができる。これらの仮想単色X線画像は、デュアルエネルギーCTのデータに基づいて生成された画像である。
【0056】
図6は、患者131~13wから取得された仮想単色X線画像の説明図である。
患者131~13wから得られた仮想単色X線画像には、様々な時相で取得された仮想単色X線画像が含まれているが、ここでは、説明の便宜上、患者131~13wから取得された仮想単色X線画像として、所定の時相(例えば、動脈相)で取得された70(keV)の仮想単色X線画像および50(keV)の仮想単色X線画像を考えることにする。しかし、本発明では、様々な時相の画像を学習データとして使用してもよいことに留意すべきである。
【0057】
先ず、患者131について説明する。患者131からは仮想単色X線画像A11~Ap2が取得されている。
【0058】
患者131のスライスaを参照すると、スライスaでは、2つの仮想単色X線画像A11およびA12が取得されている。仮想単色X線画像A11およびA12は、デュアルエネルギーCTのデータに基づいて生成されたものであり、エネルギーレベルが互いに異なる仮想単色X線画像である。仮想単色X線画像A11はエネルギーレベルE1(=70(keV))の仮想単色X線画像であり、仮想単色X線画像A12はエネルギーレベルE2(=50(keV))の仮想単色X線画像である。
【0059】
また、スライスaを参照すると、スライスaでは、2つの仮想単色X線画像A21およびA22が取得されている。仮想単色X線画像A21およびA22は、デュアルエネルギーCTのデータに基づいて生成されたものであり、エネルギーレベルが互いに異なる仮想単色X線画像である。仮想単色X線画像A21はエネルギーレベルE1(=70(keV))の仮想単色X線画像であり、仮想単色X線画像A22はエネルギーレベルE2(=50(keV))の仮想単色X線画像である。
【0060】
以下同様に、他のスライスa~aにおいても、エネルギーレベルE1(=70(keV))およびE2(=50(keV))の仮想単色X線画像が取得されている。したがって、患者131からは、エネルギーレベルE1(=70(keV))の仮想単色X線画像A11~Ap1と、エネルギーレベルE2(=50(keV))の仮想単色X線画像A12~Ap2が取得されている。
【0061】
また、他の患者132~13wについても、患者131と同様に、スライス毎に、エネルギーレベルE1(=70(keV))およびE2(=50(keV))の仮想単色X線画像が取得されている。例えば、患者132からは、エネルギーレベルE1(=70(keV))の仮想単色X線画像B11~Bq1と、エネルギーレベルE2(=50(keV))の仮想単色X線画像B12~Bq2が取得されている。また、患者13wからは、エネルギーレベルE1(=70(keV))の仮想単色X線画像C11~Cr1と、エネルギーレベルE2(=50(keV))の仮想単色X線画像C12~Cr2が取得されている。
【0062】
したがって、第1の学習データセット80は、70(keV)の複数の仮想単色X線画像を含む第1の画像セット801と、50(keV)の複数の仮想単色X線画像を含む第2の画像セット802とを含んでいる。尚、仮想単色X線画像のエネルギーレベルは、70(keV)および50(keV)に限定されることはなく、70(keV)および50(keV)以外の他のエネルギーレベルであってもよい。また、上記の例では、患者131~13wから取得された実際の仮想単色X線画像を、学習データとして使用する場合について説明されている。しかし、患者131~13wから取得された実際の仮想単色X線画像に対して所定の前処理を実行し、前処理が実行された後の仮想単色X線画像を、学習データとして使用してもよい。
第1の学習データセット80を用意した後、ステップST82(図4参照)に進む。
【0063】
ステップST82では、第1のニューラルネットワーク83が第1の学習データセット80を用いた学習を実行することにより、第1の学習済みニューラルネットワーク84が作成される。以下に、第1のニューラルネットワーク83の学習方法について説明する。
【0064】
図7は、第1のニューラルネットワーク83の学習方法の説明図である。
先に説明したように、第1の学習データセット80は、70(keV)の仮想単色X線画像A11~Ar1を含む第1の画像セット801と、50(keV)の仮想単色X線画像A12~Ar2を含む第2の画像セット802とを含んでいる。尚、図7では、紙面の制約上、第1の画像セット801のうち、患者131から得られた仮想単色X線画像A11~Ap1と、第2の画像セット802のうち、患者131から得られた仮想単色X線画像A12~Ap2が示されている。
【0065】
先ず、患者131のスライスaから得られた仮想単色X線画像A11およびA12を用いて学習を行う。
【0066】
具体的には、70(keV)の仮想単色X線画像A11を、ニューラルネットワーク83の入力として使用し、50(keV)の仮想単色X線画像A12がニューラルネットワーク83から出力されるように、ニューラルネットワーク83が仮想単色X線画像A11およびA12を用いた学習を実行する。尚、70(keV)の仮想単色X線画像をニューラルネットワーク83の入力として使用する理由は、70(keV)のエネルギーレベルが、実際に被検体112をスキャンするために使用されるCTシステム100の管電圧(120kVp)のエネルギーレベルに相当するからである。
【0067】
尚、図7では、ニューラルネットワーク83が、スライスaの仮想単色X線画像A11およびA12を用いた学習を実行する場合について示されているが、他のスライスa~aの仮想単色X線画像も、スライスaの仮想単色X線画像A11およびA12と同様に、ニューラルネットワーク83の学習に使用される。
【0068】
更に、他の患者132~13w(図6参照)の各スライスの仮想単色X線画像も、患者131の仮想単色画像と同様に、ニューラルネットワーク83の学習に使用される。
【0069】
したがって、第1の画像セット801の70(keV)の各仮想単色X線画像がニューラルネットワーク83の入力として使用され、第2の画像セット802の50(keV)の各仮想単色X線画像がニューラルネットワーク83から出力されるように、第1の学習データセット80を用いた学習が実行される。
【0070】
このように、ニューラルネットワーク83が第1の学習データセット80を用いた学習を実行することにより、第1の学習済みニューラルネットワーク84が作成される。尚、学習フェーズでは、所定のCT値の範囲を、重点的に学習するようにしてもよい。例えば、造影剤を使用したスキャンでは、診断をする上で造影剤のCT値が重要であるので、造影剤のCT値の範囲を重点的に学習するようにしてもよい。このように集中的に学習するCT値の範囲を決めておくことにより、診断の目的に更に適合した画像を推論することができる学習済みニューラルネットワークを提供することが可能となる。
【0071】
学習済みニューラルネットワーク84は、CTシステム100の記憶装置218(図2参照)に記憶される。尚、学習済みニューラルネットワーク84を、CTシステム100がアクセス可能な外部の記憶装置に記憶してもよい。
【0072】
次に、第2の学習済みニューラルネットワーク94の作成方法について説明する。
図8図10は、第2の学習済みニューラルネットワーク94の作成方法の説明図である。
先ず、ステップST91(図4参照)において、第2の学習済みニューラルネットワーク94を作成するために必要な第2の学習データセット90を用意する。
【0073】
図8は、第2の学習データセット90の説明図である。
第2の学習データセット90は、第3の画像セット300、第4の画像セット400、第5の画像セット500、および第6の画像セット600を含んでいる。
【0074】
画像セット300は、第1の複数の物質密度画像301~30zを含んでおり、画像セット400は、第2の複数の物質密度画像401~40zを含んでいる。
【0075】
画像セット500は、第3の複数の物質密度画像501~50zを含んでおり、画像セット600は、第4の複数の物質密度画像601~60zを含んでいる。
【0076】
第1の複数の物質密度画像301~30zおよび第3の複数の物質密度画像501~50zは、第1の基準物質の密度を表す画像である。一方、第2の複数の物質密度画像401~40zおよび第4の複数の物質密度画像601~60zは、第2の基準物質の密度を表す画像である。第1および第2の基準物質は、被検体の撮影部位に含まれる物質に基づいて決定することができる。2つの基準物質は、実効原子番号が大きく異なるものを選択することが望ましく、例えば、水およびヨードを、2つの基準物質として選択することができる。以下では、説明の便宜上、第1の基準物質が水であり、第2の基準物質がヨードである例について考えることにする。したがって、以下では、画像セット300の物質密度画像301~30zは水密度画像301~30zであり、画像セット400の物質密度画像401~40zはヨード密度画像401~40zであるとして説明を続ける。また、同様に、画像セット500の物質密度画像501~50zは水密度画像501~50zであり、画像セット600の物質密度画像601~60zはヨード密度画像601~60zであるとして、説明を続ける。
【0077】
画像セット300の水密度画像301~30zおよび画像セット400のヨード密度画像401~40zは、第2のニューラルネットワーク93に入力されるデータとして使用されるものである。
【0078】
一方、画像セット500の水密度画像501~50zおよび画像セット600のヨード密度画像601~60zは、第2のニューラルネットワーク93の出力に対する正解データとして使用されるものである。
以下に、これらの画像セットを用意する方法について説明する。
【0079】
図9は、画像セット300および400を用意する方法の説明図である。
画像セット300および400は、先に作成された第1の学習済みニューラルネットワーク84を用いて生成される。
【0080】
先ず、第1の学習済みニューラルネットワーク84に入力する入力画像セット700を用意する。
入力画像セット700は仮想単色X線画像701~70zを含む。これらの仮想単色X線画像は、病院などの医療機関から入手することができる。例えば、医療機関で実際に多数の患者をスキャンすることにより取得された複数の仮想単色X線画像を、仮想単色X線画像701~70zとして用意することができる。仮想単色X線画像701~70zは、第1の学習済みニューラルネットワーク84を作成するときに第1のニューラルネットワーク83の入力として使用された仮想単色X線画像(例えば、図7参照)と同じ70(keV)の仮想単色X線画像である。仮想単色X線画像701~70zの入力画像セット700を用意した後、ステップST911に進む。
【0081】
ステップST911では、入力画像セット700の各仮想単色X線画像を、第1の学習済みニューラルネットワーク84に入力する。図9では、入力画像セット700のうち、70(keV)の仮想単色X線画像701が第1の学習済みニューラルネットワーク84に入力される例が示されている。第1の学習済みニューラルネットワーク84は、70(keV)の仮想単色X線画像701が入力されると、50(keV)の仮想単色X線画像751を推論する。
【0082】
以下同様に、入力画像セット700の他の仮想単色X線画像702~70zを第1の学習済みニューラルネットワーク84に入力し、入力された各仮想単色X線画像に対応する50(keV)の仮想単色X線画像を推論する。
【0083】
したがって、入力画像セット700の70(keV)の仮想単色X線画像701~70zを第1の学習済みニューラルネットワーク84に入力することにより、50(keV)の仮想単色X線画像751~75zを含む出力画像セット750を推論することができる。出力画像セット750を推論した後、ステップST912に進む。
【0084】
ステップST912では、70(keV)の仮想単色X線画像701~70zを含む入力画像セット700と、推論された50(keV)の仮想単色X線画像751~75zを含む出力画像セット750に基づいて、水密度画像301~30zを含む画像セット300と、ヨード密度画像401~40zを含む画像セット400を生成する。
【0085】
画像セット300および400を生成する場合、先ず、入力画像セット700から1つの仮想単色X線画像701を選択する。次に、出力画像セット750の中から、仮想単色X線画像701に基づいて推論された仮想単色X線画像751を選択する。そして、仮想単色X線画像701および仮想単色X線画像751に基づいて、水密度画像301およびヨード密度画像401を生成する。
【0086】
仮想単色X線画像701は70(keV)の仮想単色X線画像であり、仮想単色X線画像751は50(keV)の仮想単色X線画像である。したがって、仮想単色X線画像701および751は、エネルギーレベルが互いに異なる画像である。これらの仮想単色X線画像701および751を用いて物質弁別処理を実行することにより、水密度画像301およびヨード密度画像401を生成することができる。
【0087】
次に、入力画像セット700から他の仮想単色X線画像702を選択し、更に、出力画像セット750の中から、仮想単色X線画像702に基づいて推論された仮想単色X線画像752を選択する。そして、仮想単色X線画像702および仮想単色X線画像752に基づいて、水密度画像302およびヨード密度画像402を生成する。
【0088】
以下同様に、入力画像セット700の中から選択された仮想単色X線画像と、出力画像セット750の中から選択された仮想単色X線画像に基づいて、水密度画像およびヨード密度画像を生成する。
【0089】
このようにして、水密度画像301~30zを含む画像セット300と、ヨード密度画像401~40zを含む画像セット400を生成することができる。したがって、画像セット300の各水密度画像、および画像セット400の各ヨード密度画像は、入力画像セット700の各仮想単色X線画像と、第1の学習済みニューラルネットワーク84により推論された出力画像セット750の各仮想単色X線画像に基づいて生成することができる。
【0090】
画像セット300および400は、図8に示すように、第2のニューラルネットワーク93の入力に使用される学習データとして用意される。
【0091】
次に、第2のニューラルネットワーク93の学習データとして使用される画像セット500および600(図8参照)について説明する。
【0092】
図10は、画像セット500および600の説明図である。
画像セット500は水密度画像501~50zを含んでおり、画像セット600は、ヨード密度画像601~60zを含んでいる。水密度画像501~50zおよびヨード密度画像601~60zは、ペアP1~Pzを構成している。各ペアは、例えば、デュアルエネルギーCTのデータに対して物質弁別処理を実行することにより弁別された水密度画像およびヨード密度画像のペアを表している。例えば、ペアP1は、デュアルエネルギーCTのデータに対して物質弁別処理を実行することにより弁別された水密度画像501およびヨード密度画像601のペアを表している。また、ペアP2は、デュアルエネルギーCTのデータに対して物質弁別処理を実行することにより弁別された水密度画像502およびヨード密度画像602のペアを表している。以下同様に、他のペアP3~Pzの各々も、デュアルエネルギーCTのデータに対して物質弁別処理を実行することにより弁別された水密度画像およびヨード密度画像のペアを表している。
これらの水密度画像501~50zおよびヨード密度画像601~60zは、例えば、デュアルエネルギーCTに対応したCTシステムで実際に患者をスキャンする医療機関から入手することができる。
【0093】
このようにして、図8に示すように、第2の学習データセット90(画像セット300~600)を用意することができる。第2の学習データセット90を用意した後、ステップST92(図4参照)に進む。
【0094】
ステップST92では、第2の学習データセット90を使用して第2の学習済みニューラルネットワーク94を作成する。
【0095】
図11は、第2の学習済みニューラルネットワーク94の作成方法の説明図である。
第2の学習済みニューラルネットワーク94は、第2のニューラルネットワーク93が第2の学習データセット90を用いた学習を実行することにより生成されるものである。
【0096】
先ず、画像セット300の中から、水密度画像301を選択する。そして、画像セット400の中から、ステップST912(図9参照)において水密度画像301と一緒に生成されたヨード密度画像401を選択する。
また、画像セット500の中から水密度画像501を選択する。さらに、画像セット600の中から、水密度画像501とペアを構成するヨード密度画像601を選択する。
そして、水密度画像301およびヨード密度画像401のペアを第2のニューラルネットワーク93の入力として使用し、水密度画像501およびヨード密度画像601のペアが第2のニューラルネットワーク93から出力されるように、第2のニューラルネットワーク93が、水密度画像301およびヨード密度画像401のペア並びに水密度画像501およびヨード密度画像601のペアを用いた学習を実行する。
【0097】
以下同様に、画像セット300から選択した水密度画像および画像セット400から選択したヨード密度画像のペアを第2のニューラルネットワーク93に入力し、画像セット500から選択した水密度画像および画像セット600から選択したヨード密度画像のペアが第2のニューラルネットワーク93から出力されるように、学習を実行する。
このようにして、画像セット300~600を含む第2の学習データセット90を用いた学習が実行され、第2の学習済みニューラルネットワーク94を作成することができる。尚、本実施形態では、ニューラルネットワーク93が、水密度画像およびヨード密度画像のペアを学習するようにしているが、水密度画像およびヨード密度画像を別々に学習させてもよい。また、水とヨードとの間には逆相関の関係があるので、この関係を考慮してニューラルネットワーク93の学習を実行するようにしてもよい。
【0098】
本実施形態では、上記のようにして作成された第1および第2の学習済みニューラルネットワーク84および94を使用して水密度画像およびヨード密度画像を推論している。以下に、学習済みニューラルネットワーク84および94を使用して水密度画像およびヨード密度画像を推論するフローについて、図4のフローを参照しながら説明する。
【0099】
ステップST1では、被検体のスキャンが実行される。具体的には、図12に示すように、被検体112に造影剤を注入し、CTシステム100を用いて被検体112の撮影部位の造影画像を取得するための造影CTスキャンを実行する。ここでは、被検体112の撮影部位に対して設定されたスライス71~7nの造影画像を取得するためのスキャンが実行されるとする。尚、スキャン時の管電圧は120kVpである。
【0100】
スキャンにより得られたデータは、DAS214(図2参照)で収集され、収集されたデータは、コンピュータ216又は画像再構成器230に送信される。そして、ステップST2(図4参照)が実行される。
【0101】
ステップST2では、コンピュータ216又は画像再構成器230のプロセッサが、ステップST1において被検体から収集されたデータに基づいて、撮影部位のスライス71~7n(図12参照)のCT画像11~1n(CT画像のセット10)を生成する。図4では、CT画像11~1nのうち、CT画像11のみを拡大して示してある。CT画像11~1nを生成した後、ステップST3に進む。
【0102】
ステップST3では、コンピュータ216のプロセッサが、CT画像を第1の学習済みニューラルネットワーク84に入力し、第1の学習済みニューラルネットワーク84に50(keV)の仮想単色X線画像を推論させる。図4では、CT画像11を第1の学習済みニューラルネットワーク84に入力し、第1の学習済みニューラルネットワーク84が50(keV)の仮想単色X線画像21を推論した様子が示されている。
【0103】
ステップST4では、コンピュータ216のプロセッサが、CT画像11と、推論された50(keV)の仮想単色X線画像21に基づいて、第1の物質密度画像31と、第2の物質密度画像41とを生成する。ここでは、第1の物質密度画像31は水密度画像であり、第2の物質密度画像41はヨード密度画像である。
【0104】
ステップST5では、コンピュータ216のプロセッサが、ステップST4において計算した水密度画像31およびヨード密度画像41のペアを第2の学習済みニューラルネットワーク94に入力し、水密度画像51およびヨード密度画像61のペアを推論する。
したがって、CT画像11から水密度画像51およびヨード密度画像61を推論することができる。
【0105】
以下同様に、コンピュータ216のプロセッサは、他のCT画像12~1nの各々についても、入力画像として第1の学習済みニューラルネットワーク84に入力し、CT画像ごとに、水密度画像およびヨード密度画像を推論する。
【0106】
したがって、CT画像11~1nの各々に対して、水密度画像およびヨード密度画像を推論することができる。尚、図4では、説明の便宜上、CT画像11に対して推論された水密度画像51およびヨード密度画像61のみが示されており、他のCT画像12~1nに対して推論された水密度画像およびヨード密度画像は図示省略されている。
【0107】
オペレータは、推論された水密度画像およびヨード密度画像を表示部に表示し、各画像を確認する。
このようにして、図4に示すフローが終了する。
【0108】
本実施形態では、学習フェーズで第1の学習済みニューラルネットワーク84および第2の学習済みニューラルネットワーク94を作成している。
【0109】
第1の学習済みニューラルネットワーク84は、第1のニューラルネットワーク83が複数の仮想単色X線画像を用いた学習を実行することにより作成されている。したがって、第1の学習済みニューラルネットワーク84は、CT値のドメインで推論処理を行うように構成されている。そして、CT画像11を第1の学習済みニューラルネットワーク84に入力し、仮想単色X線画像21を推論している。CT画像11は70(keV)の仮想単色X線画像に相当し、第1の学習済みニューラルネットワーク84が推論する仮想単色X線画像21は50(keV)の仮想単色X線画像である。したがって、CT画像11および仮想単色X線画像21は、エネルギーレベルが互いに異なる画像である。これらのCT画像11および仮想単色X線画像21を用いて物質弁別処理を実行することにより、第1および第2の物質密度画像、即ち、水密度画像31およびヨード密度画像41を生成することができる。
【0110】
しかし、水密度画像31およびヨード密度画像41を計算するために使用される仮想単色X線画像21は、シングルエネルギーCTのデータに基づいて生成されたCT画像11から推論されている。一般に、シングルエネルギーCTのデータに基づいて推論された仮想単色X線画像は、デュアルエネルギーCTのデータに基づいて計算された仮想単色X線画像と比較すると、CT値の精度がやや劣るという問題がある。したがって、CT画像11と仮想単色X線画像21とに基づいて、水密度画像31およびヨード密度画像41を計算した場合、水密度画像31およびヨード密度画像41の精度にも限界がある。
【0111】
そこで、本実施形態では、第1の学習済みニューラルネットワーク84の他に、密度のドメインで推論処理を実行する第2の学習済みニューラルネットワーク94を作成している。第2の学習済みニューラルネットワーク94は密度のドメインで推論処理を実行する。したがって、第2の学習済みニューラルネットワーク94に、シングルエネルギーCTのデータに基づいて生成された水密度画像31およびヨード密度画像41を入力すると、密度のドメインで推論処理が実行され、水密度画像51およびヨード密度画像61が出力される。このため、第2の学習済みニューラルネットワーク94は、水密度画像31およびヨード密度画像41よりも基準物質の密度の計算値の信頼性が高い水密度画像51およびヨード密度画像61を推論することができる。
【0112】
尚、本実施形態では、ステップST5において、1つの第2の学習済みニューラルネットワーク94を使用して、水密度画像およびヨード密度画像を推論している。しかし、水密度画像およびヨード密度画像を、別々の学習済みニューラルネットワークを使用して推論してもよい(図13参照)。
【0113】
図13は、水密度画像およびヨード密度画像を、別々の学習済みニューラルネットワークを使用して推論する一例のフロー図である。
図13では、ステップST1~ST4は、図4に示すステップST1~ST4と同じであるので、ステップST1~ST4の説明は省略し、ステップST50について主に説明する。
【0114】
ステップST50では、第3の学習済みニューラルネットワーク941および第4の学習済みニューラルネットワーク942を使用して水密度画像およびヨード密度画像の推論が実行される。
第3の学習済みニューラルネットワーク941は、第3のニューラルネットワーク(図示せず)が、図8に示す水密度画像301~30z(画像セット300)および水密度画像501~50z(画像セット500)を用いた学習を実行することにより作成されるものである。また、第4の学習済みニューラルネットワーク942は、第4のニューラルネットワーク(図示せず)が、図8に示すヨード密度画像401~40z(画像セット400)およびヨード密度画像601~60z(画像セット600)を用いた学習を実行することにより作成されるものである。
【0115】
ステップST50では、コンピュータ216のプロセッサは、ステップST4において計算した水密度画像31を第3の学習済みニューラルネットワーク941に入力して水密度画像51を推論する。また、コンピュータ216のプロセッサは、ステップST4において計算したヨード密度画像41を第4の学習済みニューラルネットワーク942に入力してヨード密度画像61を推論する。
したがって、CT画像11から水密度画像51およびヨード密度画像61を推論することができる。
【0116】
以下同様に、コンピュータ216のプロセッサは、他のCT画像12~1nの各々を、入力画像として第1の学習済みニューラルネットワーク84に入力し、CT画像ごとに、水密度画像およびヨード密度画像を推論する。
【0117】
したがって、CT画像11~1nの各々に対して、水密度画像およびヨード密度画像を推論することができる。このように、水密度画像およびヨード密度画像を、2つの学習済みニューラルネットワーク941および942を使用して推論してもよい。
【0118】
尚、本実施形態では、学習フェーズにおいて、70(keV)の仮想単色X線画像を、ニューラルネットワーク83の入力として使用している(図7参照)。しかし、70(keV)とは別のエネルギーレベルの仮想単色X線画像を、ニューラルネットワーク83の入力として使用してもよい。例えば、CTシステム100の管電圧が120kVpではなく、他の管電圧を使用する場合、70(keV)とは別のエネルギーレベルの仮想単色X線画像を、ニューラルネットワーク83の入力として使用し、ニューラルネットワーク83の学習を実行することができる。例えば、CTシステム100の管電圧が120kVpではなく140kVpの場合、140kVpは約75(keV)のエネルギーレベルに相当するので、75(keV)の仮想単色X線画像をニューラルネットワーク83の入力として使用することができる。したがって、CTシステム100の管電圧が140kVpの場合、学習データとして、例えば、75(keV)および50(keV)のエネルギーレベルの仮想単色X線画像を用意することができる。そして、75(keV)の仮想単色X線画像を、ニューラルネットワーク83の入力として使用し、ニューラルネットワーク83から50(keV)の仮想単色X線画像が出力されるように、ニューラルネットワーク83の学習を実行することができる。
【0119】
本実施形態では、造影CTスキャンにより得られた学習データに基づいて第1の学習済みニューラルネットワーク84を作成している。しかし、本発明は、造影CTスキャンにより得られた学習データに基づいて学習済みニューラルネットワーク84を作成する例に限定されるものではなく、非造影スキャンにより得られた学習データに基づいて仮想単色X線画像を推論する学習済みニューラルネットワーク84を作成してもよい。
【符号の説明】
【0120】
10 CT画像のセット
11~1n CT画像
21 仮想単色X線画像
31 第1の物質密度画像(水密度画像)
41 第2の物質密度画像(ヨード密度画像)
51 第3の物質密度画像(水密度画像)
61 第4の物質密度画像(ヨード密度画像)
71~7n スライス
80 第1の学習データセット
83 第1のニューラルネットワーク
84 第1の学習済みニューラルネットワーク
90 第2の学習データセット
93 第2のニューラルネットワーク
94 第2の学習済みニューラルネットワーク
100 CTシステム
102 ガントリ
103 フィルタ部
104 X線管
105 前置コリメータ
106 X線ビーム
107 開口部
108 検出器アレイ
108 X線検出器
112 被検体
116 テーブル
118 テーブルモータコントローラ
131~13w 患者
202 検出器素子
210 X線コントローラ
212 ガントリモータコントローラ
214 DAS
216 コンピュータ
218 記憶装置
220 オペレータコンソール
224 PACS
230 画像構成器
232 表示部
300 第3の画像セット
301 水密度画像
301~30z 物質密度画像(水密度画像)
302~30z 水密度画像
400 第4の画像セット
401 ヨード密度画像
401~40z 物質密度画像(ヨード密度画像)
402~40z ヨード密度画像
500 第5の画像セット
501~50z 物質密度画像(水密度画像)
600 第6の画像セット
601~60z 物質密度画像(ヨード密度画像)
700 入力画像セット
701~70z 仮想単色X線画像
750 出力画像セット
751~75z 仮想単色X線画像
801 第1の画像セット
802 第2の画像セット
941 第3の学習済みニューラルネットワーク
942 第4の学習済みニューラルネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-09-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項6】
前記第1の複数の物質密度画像を含む第3の画像セットと、前記第2の複数の物質密度画像を含む第4の画像セットが、
前記第1の学習済みニューラルネットワークに入力される複数の仮想単色X線画像を含む入力画像セットであって、入力画像セットの各仮想単色X線画像は、前記第1の学習済みニューラルネットワークを作成するときに使用された1の複数の仮想単色X線画像と同じエネルギーレベルの仮想単色X線画像である、入力画像セットと、
前記第1の学習済みニューラルネットワークにより推論された複数の仮想単色X線画像を含む出力画像セットであって、出力画像のセットの各仮想単色X線画像が、前記入力画像セットの各仮想単色X線画像が前記第1の学習済みニューラルネットワークに入力されることにより推論された仮想単色X線画像である、出力画像セットと
に基づいて生成される、請求項5に記載の装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項14
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項14】
学習済みニューラルネットワークの作成方法であって、
第1の学習済みニューラルネットワークを作成することであって、
前記第1の学習済みニューラルネットワークは、第1のニューラルネットワークが第1の学習データセットを用いた学習を実行することにより作成されるものであり、
前記第1の学習データセットは、第1の複数の仮想単色X線画像を含む第1の画像セットと、第2の複数の仮想単色X線画像を含む第2の画像セットを含み、
前記第1の複数の仮想単色X線画像の各仮想単色X線画像が、シングルエネルギーCTのデータを収集するCTシステムの管電圧に相当する第1のエネルギーレベルの仮想単色X線画像であり、前記第2の複数の仮想単色X線画像の各仮想単色X線画像が、第2のエネルギーレベルの仮想単色X線画像であり、
前記第1の複数の仮想単色X線画像の各仮想単色X線画像が前記第1のニューラルネットワークの入力として使用され、前記第2の複数の仮想単色X線画像の各仮想単色X線画像が前記第1のニューラルネットワークから出力されるように、前記第1のニューラルネットワークが前記第1の学習データセットを用いた学習を実行する、
前記第1の学習済みニューラルネットワークを作成すること、および
第2の学習済みニューラルネットワークを作成することであって、
前記第2の学習済みニューラルネットワークは、第2のニューラルネットワークが第2の学習データセットを用いた学習を実行することにより作成されるものであり、
前記第2の学習データセットは、第1の基準物質の密度を表す第1の複数の物質密度画像を含む第3の画像セットと、2の基準物質の密度を表す第2の複数の物質密度画像を含む第4の画像セットと、前記第1の基準物質の密度を表す第3の複数の物質密度画像を含む第5の画像セットと、前記第2の基準物質の密度を表す第4の複数の物質密度画像を含む第6の画像セットとを含み、
前記第1の複数の物質密度画像の各物質密度画像および前記第2の複数の物質密度画像の各物質密度画像が、前記第1の学習済みニューラルネットワークにより推論された仮想単色X線画像に基づいて生成された画像であり、
前記第3の複数の物質密度画像の各物質密度画像および前記第4の複数の物質密度画像の各物質密度画像が、デュアルエネルギーCTのデータに基づいて生成された画像であり、
前記第1の複数の物質密度画像の各物質密度画像および前記第2の複数の物質密度画像の各物質密度画像が前記第2のニューラルネットワークの入力として使用され、前記第3の複数の物質密度画像の各物質密度画像および前記第4の複数の物質密度画像の各物質密度画像が前記第2のニューラルネットワークから出力されるように、前記第2のニューラルネットワークが、前記第1の複数の物質密度画像、前記第2の複数の物質密度画像、前記第3の複数の物質密度画像、および前記第4の複数の物質密度画像を用いた学習を実行する、
第2の学習済みニューラルネットワークを作成すること、
を含む、作成方法。