(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034425
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】ブラインドボックスの設置構造
(51)【国際特許分類】
E06B 9/323 20060101AFI20240306BHJP
A47H 1/13 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
E06B9/323
A47H1/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138651
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】荒井 庸行
(72)【発明者】
【氏名】浅利 徳男
(72)【発明者】
【氏名】藤井 啓介
(72)【発明者】
【氏名】守屋 佳代
【テーマコード(参考)】
2E043
2E182
【Fターム(参考)】
2E043AA01
2E043AA04
2E043AA05
2E043DA01
2E043DA07
2E182AA01
2E182AC15
2E182DD11
2E182EE01
2E182EE03
(57)【要約】
【課題】柱に隣接する窓を覆うブラインドを柱に干渉させることなく取り付けることが可能なブラインドボックスの設置構造を提供することである。
【解決手段】上下方向に対して傾斜して延びる窓5aと窓5aに沿って上下方向に対して傾斜して延びる柱8とを有し、窓5aが、柱8に対して、一部が柱8の下方側に位置するように隣接する建築物1におけるブラインドボックスの設置構造であって、窓5aに隣接する内壁9と柱8との間に、少なくとも窓5aの上端の高さから下端の高さにまで延びる隙間20を設け、ブラインドボックス10の一部を隙間20に配置したことを特徴とする、ブラインドボックスの設置構造。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に対して傾斜して延びる窓と前記窓に沿って上下方向に対して傾斜して延びる柱とを有し、前記窓が、前記柱に対して、一部が前記柱の下方側に位置するように隣接する建築物におけるブラインドボックスの設置構造であって、
前記窓に隣接する内壁と前記柱との間に、少なくとも前記窓の上端の高さから下端の高さにまで延びる隙間を設け、
前記ブラインドボックスの一部を前記隙間に配置したことを特徴とする、ブラインドボックスの設置構造。
【請求項2】
外壁及び前記内壁が傾斜しており、
前記柱が前記内壁に沿って傾斜しており、
前記隙間が、前記ブラインドボックスが配置された高さから前記窓の下端の高さまでの間において、前記ブラインドボックスに取り付けられたブラインドに干渉しない厚みを有する、請求項1に記載のブラインドボックスの設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の窓の内側に設置されてブラインドが取り付けられるブラインドボックスの設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばオフィスビル、商業ビルなどの建築物では、太陽光や外部からの視線を遮るために、窓の内側にブラインドが取り付けられる。ブラインドとしては、例えば、多数の横向きの羽根(スラット)を備えて上下に開閉するベネシャンブラインド、多数の縦向きの羽根(ルーバー)を備えて左右に開閉するバーチカルブラインドなどが知られている。
【0003】
上記のような建築物においては、窓の内側の天井ないし壁の張り出し部分に、ブラインドを取り付けるためのブラインドボックスが設置されるのが一般的である(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外観上のデザイン性を高めるために、建築物を、上下方向に対して傾斜して延びる窓と、窓に沿って上下方向に対して傾斜して延びる柱とを有する構成とすることが考えられる。この構成では、柱の左右方向の一方側に隣接する窓は、傾斜する柱に対して、その一部が柱の下方側に位置するように隣接し、柱の左右方向の他方側に隣接する窓は、傾斜する柱に対して、その一部が柱の上方側に位置するように隣接することになる。
【0006】
しかし、このような構成の建築物では、窓の形状は上下方向に対して傾斜して延びる平行四辺形となり、これに対してブラインドは上下方向に沿って延びる矩形形状であるため、傾斜する柱に対して、その一部が柱の下方側に位置するように当該柱に隣接する窓においては、柱が邪魔になり、窓の全体を覆うことができる位置にブラインドを取り付けることができるようにブラインドボックスを設置することができない、という問題点があった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、柱に隣接する窓を覆うブラインドを柱に干渉させることなく取り付けることが可能なブラインドボックスの設置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のブラインドボックスの設置構造は、上下方向に対して傾斜して延びる窓と前記窓に沿って上下方向に対して傾斜して延びる柱とを有し、前記窓が、前記柱に対して、一部が前記柱の下方側に位置するように隣接する建築物におけるブラインドボックスの設置構造であって、前記窓に隣接する内壁と前記柱との間に、少なくとも前記窓の上端の高さから下端の高さにまで延びる隙間を設け、前記ブラインドボックスの一部を前記隙間に配置したことを特徴とする。
【0009】
本発明のブラインドボックスの設置構造は、上記構成において、外壁及び前記内壁が傾斜しており、前記柱が前記内壁に沿って傾斜しており、前記隙間が、前記ブラインドボックスが配置された高さから前記窓の下端の高さまでの間において、前記ブラインドボックスに取り付けられたブラインドに干渉しない厚みを有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、柱に隣接する窓を覆うブラインドを柱に干渉させることなく取り付けることが可能なブラインドボックスの設置構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るブラインドボックスの設置構造が適用された建築物の正面図である。
【
図3】
図1に示す建築物の、範囲Aの部分の拡大図である。
【
図4】ブラインドボックスが設置された部分における建築物の断面図である。
【
図5】ブラインドボックスが設置された窓及び柱を室内側から見た説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係るブラインドボックスの設置構造について詳細に例示説明する。
【0013】
図1、
図2に示す建築物1は、本発明の一実施形態に係るブラインドボックスの設置構造が適用される建築物の一例として示すものである。この建築物1は、例えばオフィスビル、商業ビルなどとして利用される複数の階層を有するビルディングである。
【0014】
建築物1の1階(地上階)から3階までの部分における正面(
図1に示す側の面)の外壁2a、側面(
図2に示す側の面)の外壁2b及び正面と側面との間の角面の外壁2cは、それぞれ地面3に垂直である。これに対し、建築物1の4階よりも上階部分における正面の外壁4a、側面の外壁4b及び角面の外壁4cは、それぞれ地面3に垂直な方向(鉛直方向)に対して所定の一定の角度で上向きとなるように傾斜している。
【0015】
図1に示すように、建築物1の4階よりも上階部分における正面の外壁4aには、それぞれ上下方向に対して傾斜して延びる窓部5及び外壁パネル6が設けられている。より具体的には、本実施形態では、外壁4aには、それぞれ外壁4aの下端から上端にまで傾斜して延びる複数本のストライプ状の窓部5及び外壁パネル6が交互に横並びに配置されている。なお、建築物1は、例えば外壁パネル6が設けられずに外壁4aの全体に窓部5が設けられた構成など、外壁パネル6が設けられない構成とすることもできる。
【0016】
図3に示すように、それぞれの窓部5は、縦長で平行四辺形の板状の窓5aが各階層において上下に2枚ずつ並べて配置された構成を有している。なお、窓部5は、縦長で平行四辺形の窓5aが各階層において1枚ずつ配置された構成であってもよく、縦長で平行四辺形の窓5aが各階層において上下に3枚以上並べて配置された構成であってもよく、縦長で平行四辺形の1枚の窓5aが複数の階層に跨って配置された構成であってもよい。
【0017】
それぞれの外壁パネル6は、縦長で平行四辺形の複数のパネルユニット6aがスリット7を介して上下に並べて配置された構成を有している。それぞれのパネルユニット6aは各階層に対応した上下方向長さを有し、各階層の2つの窓5aに隣接して配置されている。なお、パネルユニット6aは、複数の階層に跨る上下方向長さを有する構成であってもよく、外壁パネル6全体が1つのパネルユニット6aで構成されてもよい。
【0018】
建築物1は、その構造体を構成する柱8を有している。柱8は外壁パネル6の内側において、上下方向に対して窓部5と同一方向に同一角度だけ傾斜して窓部5ないし窓5aに沿って延びている。
図4に示すように、建築物1の内壁9は外壁4aと同一角度で傾斜している。柱8は、コンクリート充填鋼管で形成されており、内壁9に対して室内側に配置されて内壁9に沿って内壁9と同一角度で傾斜している。なお、柱8は、例えば鉄筋コンクリートなどの他の構成であってもよい。
【0019】
図4、
図5に示すように、建築物1の室内に面する窓5aの内側には、ブラインドボックス10が設置されている。ブラインドボックス10には、窓5aを覆うブラインド11が取り付けられる。
【0020】
本実施形態では、建築物1の当該窓5aのある階層の天井12の部分には内壁9から張り出す張出し部13が設けられており、張出し部13の下面にブラインドボックス10が設置されている。ブラインドボックス10は、断面が矩形の箱型で下向きに開口しており、窓5aの上端に沿って当該窓5aの水平方向の一端側に最も張り出す部分から窓5aの下端の水平方向の他端側に最も張り出す部分までの範囲を含む長さで水平方向に延びている。
【0021】
ブラインド11は、取付け部11aと、取付け部11aに支持されるとともに複数の羽根により構成されて開閉可能な本体部11bとを備えており、取付け部11aにおいてブラインドボックス10に取り付けられている。取付け部11aがブラインドボックス10に収納された状態で取り付けられることで、取付け部11aを外部から隠すことができる。本体部11bは、上端から下端に向けて、窓5aの全体を覆うことができる一定の幅及び長さを有している。
【0022】
本実施形態では、ブラインドボックス10に、ブラインド11として、本体部11bが多数の横向きの羽根(スラット)を備えて上下に開閉するように構成されたベネシャンブラインドを取り付けるようにしているが、例えば、本体部11bが多数の縦向きの羽根(ルーバー)を備えて左右に開閉するバーチカルブラインドなどの他の種類のブラインドを取り付けるようにしてもよい。
【0023】
本実施形態では、建築物1の当該窓5aのある階層の床14の部分には、窓5aの下端に合わせた高さで内壁9から張り出す張出し部15が設けられており、ブラインド11の下端は張出し部15の上に位置するようになっている。
【0024】
本実施形態のブラインドボックスの設置構造では、窓5aに隣接する内壁9と柱8との間に、少なくとも窓5aの上端の高さから下端の高さにまで延びる隙間20を設けるようにしている。そして、柱8に隣接する窓5aに対応するブラインドボックス10の一部を隙間20に配置するようにしている。より具体的には、柱8に対して下方側に位置するように当該柱8に隣接する窓5a(
図5において柱8に対して右側に隣接する窓5a)に対応するブラインドボックス10の一部を隙間20に配置するようにしている。
【0025】
窓5a及び窓5aに隣接する柱8が上下方向に対して傾斜して延びる建築物1においては、窓5aの形状が上下方向に対して傾斜して延びる平行四辺形となるのに対し、ブラインド11は一定幅で上下方向に延びる矩形形状であるため、傾斜する柱8に対して、その一部が柱8の下方側に位置するように当該柱8に隣接する窓5aにおいては、ブラインド11を当該窓5aの全体を覆うことができる位置に取り付けられるようにブラインドボックス10を設置するためには、柱8が邪魔になる。
【0026】
これに対し、本実施形態のブラインドボックスの設置構造では、上記の通り、窓5aに隣接する内壁9と柱8との間に、少なくとも窓5aの上端の高さから下端の高さにまで延びる隙間20を設け、当該窓5aに対応するブラインドボックス10の一部を隙間20に配置するようにしたので、ブラインド11を柱8に干渉させることなく窓5aの全体を覆うことができるようにブラインドボックス10に取り付けることが可能となる。
【0027】
また、傾斜する柱8に対して、その一部が柱8の上方側に位置するように当該柱8に隣接する窓5a(
図5において柱8に対して左側に隣接する窓5a)に対応するブラインドボックス10は、柱8に隣接して設けられるが、当該ブラインドボックス10に取り付けられたブラインド11は、隙間20が設けられることで、柱8に干渉することなく窓5aの全体を覆うことができる。
【0028】
本発明の一実施形態に係るブラインドボックスの設置構造が適用される建築物は、上下方向に対して傾斜して延びる窓5aと窓5aに沿って上下方向に対して傾斜して延びる柱8とを有していれば、外壁4a及び内壁9が傾斜しておらず、柱8も内壁9に対して傾斜していない構成としてもよい。
【0029】
一方、本実施形態のように、外壁4a及び内壁9が傾斜するとともに柱8が内壁9に沿って傾斜する建築物1とした場合においては、隙間20を、ブラインドボックス10が配置された高さから窓5aの下端の高さまでの間において、ブラインドボックスに取り付けられたブラインド11に干渉しない厚み、すなわちブラインドボックス10の直下の範囲(平面視におけるブラインドボックス10の投影範囲)を含む厚み(内壁9から柱8に向けた水平方向の幅)を有するように形成するのが好ましい。このような構成により、外壁4a及び内壁9が傾斜するとともに柱8が内壁9に沿って傾斜する建築物1においても、ブラインド11を、隙間20の範囲内に配置して柱8に干渉させることなくブラインドボックス10に取り付けることができる。
【0030】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0031】
例えば、本実施形態では、柱8に隣接する窓5aの上方に当該窓5aのみに対応した長さのブラインドボックス10を設けるようにしているが、当該ブラインドボックス10を当該窓5aに対して柱8とは反対側に設けられた窓5aの上方にまで跨って延びる長さに形成されたものとしてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 建築物
2a 正面の外壁
2b 側面の外壁
2c 角面の外壁
3 地面
4a 正面の外壁
4b 側面の外壁
4c 角面の外壁
5 窓部
5a 窓
6 外壁パネル
6a パネルユニット
7 スリット
8 柱
9 内壁
10 ブラインドボックス
11 ブラインド
11a 取付け部
11b 本体部
12 天井
13 張出し部
14 床
15 張出し部
20 隙間