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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034433
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20240306BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240306BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240306BHJP
   B60L 58/20 20190101ALI20240306BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240306BHJP
   B60W 50/02 20120101ALI20240306BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20240306BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20240306BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B60L3/00 S
H02J7/00 X
H02J7/00 P
B60L50/60
B60L58/20
B60W60/00
B60W50/02
H02J7/34 G
H02J1/00 309B
H02J9/06 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138662
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊介
(72)【発明者】
【氏名】松本 健
【テーマコード(参考)】
3D241
5G015
5G165
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
3D241BA00
3D241DA67Z
5G015GB05
5G015JA04
5G015JA32
5G015JA56
5G015JA59
5G165BB02
5G165DA02
5G165EA02
5G165EA04
5G165GA09
5G165HA01
5G165JA09
5G165LA01
5G503AA07
5G503BA04
5G503BB02
5G503CA08
5G503DA05
5G503DA08
5G503DA13
5G503EA05
5G503FA06
5G503GB03
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC13
5H125BC30
5H125CA18
5H125EE27
5H125EE61
(57)【要約】
【課題】車両の安全性を確保しつつ利便性を向上できる制御装置および制御方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係る制御装置は、コントローラを有する。コントローラは、自動運転車両に搭載される。コントローラは、メイン電源が失陥した場合にバックアップ電源を使用して退避走行制御を行わせる。コントローラは、バックアップ電源の蓄電量が予め定められる許可閾値以上であることを条件に自動運転を許可する。コントローラは、搭載される車両の周辺状況が、容易に退避走行できる状況である場合は、許可閾値を低くする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転車両に搭載され、メイン電源が失陥した場合にバックアップ電源を使用して退避走行制御を行わせると共に、前記バックアップ電源の蓄電量が予め定められる許可閾値以上であることを条件に自動運転を許可するコントローラを有する制御装置であって、
前記コントローラは、搭載される車両の周辺状況が、容易に退避走行できる状況である場合は、前記許可閾値を低くする
制御装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記退避走行を第1の所定時間行うために必要な前記バックアップ電源の蓄電量である第1の前記許可閾値と、
前記退避走行を前記第1の所定時間より短い第2の所定時間行うために必要な前記バックアップ電源の蓄電量である第2の前記許可閾値と
を有し、
前記車両の周辺状況が、前記容易に退避走行できる状況である場合は第2の許可閾値を選択する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記車両の周辺に存在する他車両の混雑度合い、退避場所までの距離、および、退避場所の数の少なくともいずれか一つに応じて容易に退避走行できるか否かを判定する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記車両の周辺に存在する他車両の混雑度合い、退避場所までの距離、および、退避場所の数の少なくともいずれか一つに応じて退避走行の開始から完了までに要する時間を予想し、前記予想した時間に基づき容易に退避走行できるか否かを判定する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記バックアップ電源の蓄電量が充電開始閾値以下の場合に前記バックアップ電源を充電する機能を有し、
容易に前記退避走行できる状況である場合は、前記バックアップ電源の蓄電量が前記充電開始閾値以下であっても充電を行わない
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記容易に退避走行できる状況でなくなる場合は、前記バックアップ電源の充電を許可する
請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記許可閾値を低くした後に、前記車両の周辺状況が、前記容易に退避走行できる状況でなくなる場合は、前記許可閾値を低くする前の前記許可閾値に戻す
請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記車両の給電制御を行う電源制御装置に含まれる
請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記車両の自動運転制御を行う自動運転制御装置に含まれる
請求項1に記載の制御装置。
【請求項10】
自動運転車両に搭載され、メイン電源が失陥した場合にバックアップ電源を使用して退避走行制御を行わせると共に、前記バックアップ電源の蓄電量が予め定められる許可閾値以上であることを条件に自動運転を許可するコントローラが実行する制御方法であって、
車両の周辺状況が、容易に退避走行できる状況である場合は、前記許可閾値を低くする
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バックアップ電源を備えた自動運転車両の自動運転や電源を制御するコントローラは、自動運転中に、メイン電源が失陥するとバックアップ電源を使用してFOP(フェイルオペレーション)制御を行う。コントローラは、バックアップ電源のSOC(State Of Charge)が低い場合は、FOP制御を最後まで実行できないため、バックアップ電源のSOCが許可閾値以上のときに自動運転を許可する。
【0003】
また、コントローラでは、様々な道路状況を考慮してFOP制御を最後まで実行するために、許可閾値は比較的高い値に設定される。これにより、コントローラは、車両の安全性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-156228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コントローラは、許可閾値は比較的高い値に設定されると、バックアップ電源のSOCが許可閾値未満の場合、バックアップ電源の充電が必要になるため、自動運転が許可されるまでの時間が長くなり、利便性が低下する。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、車両の安全性を確保しつつ利便性を向上できる制御装置および制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る制御装置は、前記コントローラを有する。前記コントローラは、自動運転車両に搭載される。前記コントローラは、メイン電源が失陥した場合にバックアップ電源を使用して退避走行制御を行わせる。前記コントローラは、前記バックアップ電源の蓄電量が予め定められる許可閾値以上であることを条件に自動運転を許可する。前記コントローラは、搭載される車両の周辺状況が、容易に退避走行できる状況である場合は、前記許可閾値を低くする。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様に係る制御装置は、車両の安全性を確保しつつ利便性を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る電源制御装置の構成例を示す説明図である。
図2図2は、実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
図3図3は、実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
図4図4は、実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
図5図5は、対比例に係る電源制御装置のFOP制御を示す説明図である。
図6図6は、実施形態に係る電源制御装置のFOP制御を示す説明図である。
図7図7は、実施形態に係る電源制御装置のFOP制御を示す説明図である。
図8図8は、実施形態に係る電源制御装置のFOP制御を示す説明図である。
図9A図9Aは、実施形態に係る自動運転の許可閾値を説明する図である。
図9B図9Bは、実施形態に係る自動運転の許可閾値を説明する図である。
図9C図9Cは、実施形態に係る自動運転の許可閾値を説明する図である。
図10図10は、実施形態に係る電源制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、実施形態に係る電源制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、電源制御装置および電源制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施形態に係る電源制御装置は、自動運転機能を備える電気自動車、ハイブリット自動車、または、内燃機関によって走行するエンジン自動車などの自動運転車両に搭載される。なお、実施形態に係る電源制御装置は、メイン電源とバックアップ電源とを備え、メイン電源に電源失陥が発生した場合に、バックアップ電源によってメイン電源をバックアップしてFOP(フェイルオペレーション)を実施する任意の装置に搭載されてもよい。
【0012】
[1.電源制御装置の構成]
図1は、実施形態に係る電源制御装置の構成例を示す説明図である。図1に示すように、実施形態に係る電源制御装置1は、メイン電源10と、外部装置100とに接続される。
【0013】
さらに、電源制御装置1は、第1一般負荷101、第1FOP負荷102、第2FOP負荷103、第3FOP負荷104、および第2一般負荷105に接続される。また、電源制御装置1は、第1系統110と、第2系統120とを備える。
【0014】
第1系統110は、メイン電源10の電力を第1一般負荷101、第1FOP負荷102、第2FOP負荷103、第3FOP負荷104、および第2一般負荷105に供給する。第2系統120は、後述するバックアップ電源20の電力を第1FOP負荷102、第2FOP負荷103、および第3FOP負荷104に供給する。
【0015】
第1一般負荷101および第2一般負荷105は、例えば、ディスプレイ、エアコン、オーディオ、ビデオ、各種ライト、ドライブレコーダ、セキュリティ装置、通信装置、および各種センサなど、自動運転に直接関与しない負荷を含む。
【0016】
第1FOP負荷102、第2FOP負荷103、および第3FOP負荷104は、自動運転用の装置である。例えば、第1FOP負荷102、第2FOP負荷103、および第3FOP負荷104は、自動運転中に動作するステアリングモータ、電動ブレーキ装置、車載カメラ、およびレーダなどを含む。第1一般負荷101、第1FOP負荷102、第2FOP負荷103、第3FOP負荷104、および第2一般負荷105は、電源制御装置1から供給される電力によって動作する。
【0017】
外部装置100は、例えば、自動運転制御装置である。外部装置100は、GPS(Global Positioning System)を備え、第1FOP負荷102、第2FOP負荷103、および第3FOP負荷104を動作させて、車両を自動運転走行制御する装置である。なお、外部装置100を自動運転制御装置とした場合、GPSの自車位置情報、地図情報、および道路交通情報などは、図示せぬナビゲーション装置から入手してもよい。
【0018】
メイン電源10は、電源制御装置1がエンジン自動車に搭載される場合、発電機12と、鉛バッテリ(以下、「PbB11」と記載する)とを含む。なお、メイン電源10の電池は、PbB11以外の任意の2次電池であってもよい。
【0019】
発電機12は、例えば、走行する車両の運動エネルギーを電気に変換して発電するオルタネータである。発電機12は、発電した電力によるPbB11および後述するバックアップ電源20の充電を行う。また、発電機12は、第1一般負荷101、第1FOP負荷102、第2FOP負荷103、第3FOP負荷104、および第2一般負荷105への電力供給を行う。
【0020】
メイン電源10は、電源制御装置1が電気自動車またはハイブリッド自動車に搭載される場合、DC/DCコンバータ(以下、「DCDC」と記載する)と、PbB11とを含む。この場合、DCDCは、発電機と、PbB11よりも電圧が高い高圧バッテリとに接続され、発電機および高圧バッテリの電圧を降圧して第1系統110に出力する。発電機は、例えば、走行する車両の運動エネルギーを電気に変換して発電するオルタネータである。高圧バッテリは、例えば、電気自動車やハイブリット自動車に搭載される車両駆動用のバッテリである。
【0021】
また、電源制御装置1は、バックアップ電源20と、コントローラ3と、第1一般負荷101、第1FOP負荷102、第2FOP負荷103、第3FOP負荷104、および第2一般負荷105に電力を供給する複数の接続部と、DCDC22とを備える。
【0022】
具体的には、電源制御装置1は、第1接続部41、第2接続部42、第3接続部43、第4接続部44、第5接続部45、第6接続部46、第7接続部47、第8接続部48、第9接続部49、および第10接続部50を備える。
【0023】
第1接続部41は、第1系統110と第2系統120とを接続および切断可能なスイッチである。なお、第1接続部41は、DCDCであってもよい。この場合、DCDCは、動作することによって第1系統110と第2系統120とを接続し、動作を停止することによって第1系統110と第2系統120との接続を切断する。
【0024】
第2接続部42は、第2系統120と第1FOP負荷102とを接続および切断可能なスイッチである。第3接続部43は、第2系統120と第2FOP負荷103とを接続および切断可能なスイッチである。第4接続部44は、第2系統120と第3FOP負荷104とを接続および切断可能なスイッチである。
【0025】
第5接続部45は、バックアップ電源20と第2系統120とを接続および切断可能なスイッチである。DCDC22は、第5接続部45に対して並列接続となるように第2系統120に接続される。
【0026】
第6接続部46は、第1系統110と第1一般負荷101とを接続および切断可能なスイッチである。第7接続部47は、第1系統110と第1FOP負荷102とを接続および切断可能なスイッチである。
【0027】
第8接続部48は、第1系統110と第2FOP負荷103とを接続および切断可能なスイッチである。第9接続部49は、第1系統110と第2一般負荷105とを接続および切断可能なスイッチである。第10接続部50は、第1系統110と第3FOP負荷104とを接続および切断可能なスイッチである。
【0028】
バックアップ電源20は、メイン電源10による電力供給ができなくなった場合のバックアップ用電源である。バックアップ電源20は、リチウムイオンバッテリ(以下、「LiB21」と記載する)を備える。なお、バックアップ電源20の電池は、LiB21以外の任意の2次電池であってもよい。
【0029】
また、電源制御装置1は、第1電圧センサ51と第2電圧センサ52とを備える。第1電圧センサ51は、第1系統110に設けられ、第1系統110の電圧を検出し、検出結果をコントローラ3に出力する。第2電圧センサ52は、第2系統120に設けられ、第2系統120の電圧を検出し、検出結果をコントローラ3に出力する。
【0030】
コントローラ3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と記載する)や各種の回路を含む。なお、コントローラ3は、その一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0031】
コントローラ3は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより、第1~第10接続部41~50およびDCDC22の動作を制御する。
【0032】
[2.電源制御装置の動作例]
次に、図2図4を参照して、電源制御装置の動作例について説明する。図2図4は、実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
【0033】
[2.1.通常時動作]
コントローラ3は、車両のイグニッションスイッチ(IG)がオンされた状態で第1系統110および第2系統120に地絡が発生していない通常時の停車中、手動運転中、または自動運転中には、図2に示すように、複数の接続部を制御する。
【0034】
具体的には、コントローラ3は、第1~第4,第6~第10接続部41~44,46~50をオンし、第5接続部45をオフする。これにより、電源制御装置1は、LiB21の通常時における放電を抑えつつ、メイン電源10から第1~第2一般負荷101,105および第1~第3FOP負荷102~104に電力を供給できる。
【0035】
[2.2.電源制御装置の地絡発生時動作]
例えば、図3に示すように、電源制御装置1では、第1系統110で地絡200が発生すると、地絡点に向けて過電流が流れるため、第1電圧センサ51によって検出される電圧が地絡閾値以下になる。
【0036】
このため、コントローラ3は、第1電圧センサ51によって検出される電圧が所定時間継続して地絡閾値以下になった場合に、第1系統110の地絡200を検知して第1接続部41をオフし、第5接続部45をオンし、第6~第10接続部46~50をオフする。
【0037】
これにより、電源制御装置1は、第1系統110で地絡200が発生しても、バックアップ電源20から第1~第3FOP負荷102~104に電力を供給するFOP制御を行うことができる。
【0038】
その後、コントローラ3は、第1系統110で地絡200が発生し、FOP制御へ移行したことを外部装置100に通知する。これにより、外部装置100は、バックアップ電源20から供給される電力によって第1~第3FOP負荷102~104を動作させて、車両を安全な場所まで退避走行させて停車させることができる。
【0039】
[2.3.充電時動作]
コントローラ3は、電源失陥のない通常動作時、LiB21の蓄電量が低下した場合に、バックアップ電源20を充電する。図4に示すように、コントローラ3は、例えば、バックアップ電源20からSOC(State Of Charge)取得ライン23を介して、定期的にLiB21のSOCを取得し、LiB21のSOCが所定値、例えば65%以下まで低下すると、DCDC22を降圧動作させる。そして、コントローラ3は、メイン電源10から第1接続部41およびDCDC22を介してバックアップ電源20に電力を供給してバックアップ電源20を充電する。
【0040】
[3.FOP制御]
電源制御装置1は、自動運転走行中に、メイン電源10が失陥するとバックアップ電源20によってFOP制御を行うが、このとき、バックアップ電源20の蓄電量が少ない場合、FOP制御を最後まで完了できない。ここでのFOP制御の完了とは、例えば、車両を安全に停止させる場所で停止させることである。このため、コントローラ3は、バックアップ電源20の蓄電量が低下すると前述した充電を行う。
【0041】
その後、一般的な電源制御装置は、バックアップ電源20の蓄電量が回復し、自動運転許可閾値まで回復したこと、つまり、バックアップ電源20の蓄電量が自動運転許可閾値以上であることを条件に自動運転を許可する指示を外部装置100に出力する。
【0042】
一般的な電源制御装置では、渋滞状況や最寄りの退避場までの距離などといった様々な道路状況を考慮してFOP制御を最後まで実行するために、許可閾値は比較的高い値に設定される。
【0043】
具体的には、様々な道路状況を考慮して、バックアップ電源20を用いたFOP制御の開始から終了までに要する想定時間を30秒とすれば、バックアップ電源20は30秒以上第2系統120の第1~第3FOP負荷102~104に電力を供給する必要がある。許可閾値はこの想定時間を考慮して定められ、想定時間を長くするほど許可閾値は高くなる。これにより、コントローラは、車両の安全性を確保している。
【0044】
しかしながら、電源制御装置では、自動運転許可閾値が比較的高い値に設定されると、バックアップ電源20の蓄電量が自動運転許可閾値未満の場合、バックアップ電源20の充電が必要になるため、自動運転が許可されるまでの時間が長くなり、利便性が低下する。
【0045】
[3.1.対比例に係るFOP制御]
ここで、図5を参照して、対比例に係る電源制御装置のFOP制御の一例について説明する。図5は、対比例に係る電源制御装置のFOP制御を示す説明図である。対比例に係るFOP制御では、バックアップ電源20のSOC(以下、単に「SOC」と記載する)65%が充電開始閾値、SOC80%が充電終了閾値、SOC60%が自動運転許可閾値であるものとして説明する。
【0046】
対比例に係る電源制御装置は、SOCが65%まで低下すると、バックアップ電源20の充電を開始する。対比例に係る電源制御装置は、SOCが80%まで回復すると、充電を終了する。外部装置100は、SOCが60%以上であれば自動運転を許可する。外部装置100は、SOCが自動運転許可閾値以上ある状態で自動運転開始ボタンが操作されると、自動運転を開始する。
【0047】
図5に示すように、対比例に係る電源制御装置、例えば、時刻t11において、IGがオンされて車両が起動されたときに、バックアップ電源20のSOCが充電開始閾値である65%未満であれば、バックアップ電源20の充電を開始する。
【0048】
そして、対比例に係る電源制御装置は、時刻t12において、バックアップ電源20のSOCが自動運転許可閾値である60%まで回復すると、自動運転を許可し、バックアップ電源20の充電を継続する。
【0049】
その後、例えば、時刻t14において、第1系統110に地絡200などの異常が発生し、FOP制御が開始されると、バックアップ電源20のSOCは、FOP制御による電力消費によって、時刻t14から低下する。
【0050】
このように、対比例に係る電源制御装置では、時刻t11の起動時にバックアップ電源20のSOCが自動運転許可閾値未満である場合、時刻t12でバックアップ電源20のSOCが自動運転許可閾値以上になるまで自動運転を許可できない。このため、対比例に係る電源制御装置では、起動後、早期に自動運転に移行させたいユーザにとっての利便性が低下する。
【0051】
そこで、実施形態に係る電源制御装置1のコントローラ3は、車両周辺の状況が、容易に退避走行できる状況である場合は、FOP制御の完了までに必要な電力量が少なくて済むため、自動運転許可閾値を低くする。
【0052】
具体的には、例えば、コントローラ3は、車両の周辺状況として、外部装置100から道路の渋滞情報、および、地図情報を取得する。そして、コントローラ3は、外部装置100から取得する情報に基づいて、道路が渋滞していない状況、または、車両を安全に停止させる場所(以下、退避場所という)が比較的近くにある状況の場合には、容易に退避走行できる状況であると判定する。また、コントローラ3は、車両周辺の道路が渋滞している状況、または、退避場所が比較的近くにない状況の場合には、容易に退避走行できる状況でないと判定する。
【0053】
例えば、コントローラ3は、自車両の進行方向前方の所定距離以内(例えば5Km以内)で渋滞が発生していない場合や、退避場所が所定範囲(例えば進行方向1Km)以内にある場合は、容易に退避走行できる状況であると判定する。
【0054】
容易に退避走行できる状況とは、言い換えると、バックアップ電源20によるFOP制御の開始からFOP制御の完了までの時間が予め想定した時間(例えば30秒)よりも短い所定時間(例えば20秒)以下の状況である。
【0055】
そのため、コントローラ3は、車両の周辺に存在する他車両の混雑度合い、および、退避場所までの距離、および退避場所の数の少なくとも1つ以上の情報を基にFOP制御の開始からFOP制御の完了までの時間を予想し、その予想時間が予め想定した時間(例えば30秒)よりも短い所定時間(例えば20秒)以下の場合に、容易に退避走行できる状況であると判断してもよい。
【0056】
その場合、コントローラ3は、現在のバックアップ電源20のSOCを基にFOP可能時間を推定する。このFOP可能時間は、交通量の少ない道路でFOPを行った場合の時間として実験等により予め定められた時間である。コントローラ3は、渋滞場所までの距離や退避場所までの距離に応じて補正係数(1.0以上)を算出する。コントローラ3は、推定したFOP可能時間に補正係数をかけてFOP完了までの時間(以下、FOP完了予想時間という場合がある)を予想する。補正係数は、例えば、初期値を1.0とされる。コントローラ3は、自車両の進行方向前方の所定距離以内(例えば5Km以内)で渋滞が発生している場合は、補正係数に例えば0.2を加算し、退避場所が所定範囲(例えば進行方向1Km)以内にない場合は、補正係数に例えば0.2を加算することで、最終の補正係数を算出する。
【0057】
こうして、コントローラ3は、車両の周辺に存在する他車両の混雑度合い、および、退避場所までの距離、および退避場所の数などに基づいて、FOP可能時間を算出することにより、退避走行の容易性を的確に判断できる。
【0058】
そして、コントローラ3は、車両周辺の状況が、容易に退避走行できる状況である場合は、自動運転許可閾値を低くする。これにより、コントローラ3は、バックアップ電源20のSOCが自動運転許可閾値未満の場合に、バックアップ電源20のSOCが自動運転許可閾値以上になるまでの充電時間を短縮できる。
【0059】
したがって、電源制御装置1によれば、自動運転許可閾値を低くする前よりも、早期に自動運転を許可しても、FOP制御を完了させることができるので、車両の安全性を確保しつつ利便性を向上できる。
【0060】
[3.2.実施形態に係るFOP制御]
図6図8を参照して、実施形態に係る電源制御装置1のFOP制御の一例について説明する。図6図8は、実施形態に係る電源制御装置1のFOP制御を示す説明図である。図6図8に示す、自動運転許可閾値、充電開始閾値、および充電終了閾値は、図5に示す自動運転許可閾値、充電開始閾値、および充電終了閾値と同じ値である。以下では、自動運転許可閾値を第1の許可閾値という場合がある。
【0061】
図6図8に示す、最低限のバックアップ動作保証閾値は、容易に退避走行できる状況でFOP制御を完了させるために、最低限必要なバックアップ電源20のSOCである。容易に退避走行できる状況は、例えば、自車両の進行方向前方の所定距離以内(例えば5Km以内)で渋滞が発生していない状況や、退避場所が所定範囲(例えば進行方向1Km)以内にある状況である。言い換えれば、FOP完了予想時間が予め想定した時間(例えば30秒)より短い所定時間(例えば20秒)以下の場合である。以下では、最低限のバックアップ動作保証閾値を第2の許可閾値という場合がある。
【0062】
第1の許可閾値は、例えば、退避走行を予め想定した第1の所定時間行うために必要なバックアップ電源20の蓄電量(例えば、SOCである)であり、例えば60%である。第1の所定時間は、例えば、30秒である。第2の許可閾値は、退避走行を第1の所定時間より短い第2の所定時間行うために必要なバックアップ電源20の蓄電量(例えば、SOCである)であり、例えば50%である。第2の所定時間は、例えば、20秒間である。
【0063】
図6に示すように、コントローラ3は、例えば、時刻t11において、IGがオンされて車両が起動されたときに、バックアップ電源20のSOCが約57%であり、充電開始閾値である65%未満であるため、バックアップ電源20の充電を開始する。
【0064】
このとき、コントローラ3は、車両の周囲状況が容易に退避走行できる状況と判定した場合、自動運転の許可閾値として第1の許可閾値が設定されていれば、第2の許可閾値を選択して設定する。つまり、コントローラ3は、自動運転を許可するバックアップ電源20のSOCを60%から50%に引き下げる。
【0065】
これにより、コントローラ3は、時刻t11時点のバックアップ電源20のSOCが約57%であり、第2の許可閾値以上であるため、自動運転を許可する。これにより、コントローラ3は、時刻t12になるまで自動運転を許可できなかった対比例の自動運転制御装置よりも早期に、時刻t11から安全を確保しつつ自動運転を許可できるので、ユーザの利便性を向上できる。
【0066】
また、バックアップ電源20は、容易に退避走行ができる状況のときに、SOCが第2の許可閾値以上であれば、FOP制御を完了させることができる。このため、図7に示すように、コントローラ3は、時刻t11において、バックアップ電源20のSOCが第2の許可閾値以上であり、かつ、容易に退避走行できると判定した場合は、バックアップ電源20のSOCが充電開始閾値以下であっても充電を行わないようにしてもよい(例えば、充電を禁止する)。
【0067】
この場合、バックアップ電源20は、その後、時刻t14で車両異常が発生し、FOP制御が開始されても、安全にFOP制御を完了できるだけの電力を供給可能である。これにより、コントローラ3は、バックアップ電源20の不要な充電回数を減少できるので、安全を確保しつつ、バックアップ電源20の度重なる充電による劣化を防止できる。
【0068】
ただし、コントローラ3は、例えば、図8に示すように、時刻t11において、容易に退避走行できると判定した後、外部装置100から取得する情報に基づいて、時刻t13において、容易に退避走行できる状況でなくなったと判定する、あるいは、近い将来、容易に退避走行できる状況でなくなると予想判定する場合がある。
【0069】
予想判定した場合、コントローラ3は、それまで禁止していたバックアップ電源20の充電を時刻t13において許可する。このとき、コントローラ3は、現時点から容易に退避走行できる状況でなくなる時点までの時間を算出する。
【0070】
コントローラ3は、バックアップ電源20のSOCが第1の許可閾値に達するまでの充電時間が、現時点から容易に退避走行できる状況でなくなる時点までの時間よりも短くなるように逆算した時刻t13で、容易に退避走行できる状況でなくなると予想判定する。
【0071】
これにより、コントローラ3は、その後、時刻t14において、容易に退避走行できる状況でなくなり、車両異常が発生してFOP制御が開始されても、安全にFOP制御を完了させることができる。
【0072】
また、ここでは、コントローラ3は、容易に退避走行できる状況でなくなると判定した場合に、第2の許可閾値を維持したが、これは一例である。コントローラ3は、容易に退避走行できる状況でなくなると判定した場合、自動運転を許可する閾値を第2の許可閾値から閾値を低くする前の第1の許可閾値に戻すように構成されてもよい。
【0073】
これにより、コントローラ3は、例えば、渋滞の発生が想定を超えて早く発生した場合や、バックアップ電源20の劣化により、充電に想定よりも長い時間がかかる場合に、充電が不十分なまま、自動運転を許可してしまうことを防止できる。
【0074】
ここで、第2の許可閾値の変形例について説明する。図9A図9Cは、自動運転の許可閾値を説明する図である。
【0075】
図9Aは、前述したように第2の許可閾値を50%とした例である。図9Aに示すように、通常時は自動運転の許可閾値は第1の許可閾値である60%であるが、算出したFOP完了予想時間が20秒以下であれば、自動運転の許可閾値を第2の許可閾値である50%に切り替える。
【0076】
図9Bは、第2の許可閾値の第1の変形例を示す。図9Aでは、第2の許可閾値を50%の1種類としたが、図9Bに示すようにFOP完了予想時間に応じて第2の許可閾値を多段階に変化させてもよい。図9Bでは、第2の許可閾値を、FOP完了予想時間が20秒以下なら50%、20秒~25秒なら55%と。2段階に変化させた例を示す。
【0077】
図9Cは、第2の許可閾値の第2の変形例を示す。図9Cに示すようにFOP完了予想時間に応じて第2の許可閾値をリニアに変化させてもよい。図9では、FOP完了予想時間が20秒以下の場合に第2の許可閾値を50%とした例を示したが、FOP完了予想時間や第2の許可閾値の値は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、図9A図9Cにおいて、FOP完了予想時間が10秒以下の場合に第2の許可閾値を40%としてもよい。
【0078】
図9では、横軸をFOP完了予想時間としたが、車両の周辺に存在する他車両の混雑度合い、および、退避場所の数および退避場所までの距離等を数値化し、FOP制御の容易度としてもよい。その場合、車両の周辺に存在する他車両の混雑度合いが低いほど、また退避場所の数が多いほど、また退避場所までの距離が短いほど、FOP制御の容易度が高くなる。図9A図9Cでは、横軸の左方向に行くほどFOP制御の容易度が高くなる。
【0079】
[4.コントローラが実行する処理]
次に、図10図11を参照して、電源制御装置1のコントローラ3が実行する処理について説明する。図10図11は、実施形態に係る電源制御装置のコントローラ3が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0080】
なお、通常時動作、地絡発生時動作、および充電時動作にコントローラ3が実行する制御処理について、図2図4を参照して既に説明したため、ここでは処理の説明を省略し、バックアップ電源20の充電およびFOP制御に関する処理の詳細について説明する。
【0081】
コントローラ3は、車両のIGがオンされている期間に図10に示す処理を繰り返し実行する。図10に記載の許可閾値は、図11を参照して後述する処理によって設定される第1の許可閾値または第2の許可閾値である。
【0082】
図10に示すように、コントローラ3は、IGがオンされると、まず、メイン電源10が失陥したか否かを判定する(ステップS101)。例えば、コントローラ3は、第1系統110の地絡200を検知した場合に、メイン電源10が失陥したと判定する。
【0083】
コントローラ3は、メイン電源10が失陥したと判定した場合(ステップS101,Yes)、バックアップ電源20によりFOPを行い(ステップS108)、今回の処理を終了する。コントローラ3は、メイン電源10が失陥していないと判定した場合(ステップS101,No)、バックアップ電源20の蓄電量が許可閾値以上か否かを判定する(ステップS102)。コントローラ3は、バックアップ電源20の蓄電量が許可閾値以上でないと判定した場合(ステップS102,No)、処理をステップS104へ移す。
【0084】
コントローラ3は、バックアップ電源20の蓄電量が許可閾値以上であると判定した場合(ステップS102,Yes)、自動運転走行を許可し外部装置100である自動運転制御装置に許可通知を出力する(ステップS103)。換言すれば、ステップS103の許可通知が出力されない限り自動運転制御装置は自動運転制御を開始できない。コントローラ3は、次いでバックアップ電源20の蓄電量が充電開始閾値以下か否かを判定する(ステップS104)。
【0085】
コントローラ3は、バックアップ電源20の蓄電量が充電開始閾値以下でないと判定した場合(ステップS104,No)、今回の処理を終了する。コントローラ3は、バックアップ電源20の蓄電量が充電開始閾値以下であると判定した場合(ステップS104,Yes)、バックアップ電源20の充電を開始する(ステップS105)。
【0086】
続いて、コントローラ3は、バックアップ電源20の蓄電量が目標蓄電量(充電終了閾値)に達したか否かを判定する(ステップS106)。コントローラ3は、バックアップ電源20の蓄電量が目標蓄電量に達していないと判定した場合(ステップS106,No)、バックアップ電源20の蓄電量が目標蓄電量に達するまで、ステップS106の判定処理を繰り返す。
【0087】
そして、コントローラ3は、バックアップ電源20の蓄電量が目標蓄電量に達したと判定した場合(ステップS106,Yes)、バックアップ電源20の充電を終了し(ステップS107)、今回の処理を終了する。
【0088】
また、コントローラ3は、図10に示す処理と並行して、図11に示す処理を繰り返し実行する。図11に示すように、コントローラ3は、車両の周辺状況が容易に退避走行できる状況か否かを判定する(ステップS201)。
【0089】
コントローラ3は、車両の周辺状況が容易に退避走行できる状況であると判定した場合(ステップS201,Yes)、設定中の許可閾値が第1の許可閾値か否かを判定する(ステップS202)。コントローラ3は、設定中の許可閾値が第1の許可閾値でない、つまり、第2の許可閾値であると判定した場合(ステップS202,No)、今回の処理を終了する。
【0090】
コントローラ3は、設定中の許可閾値が第1の許可閾値であると判定した場合(ステップS202,Yes)、許可閾値を第1の許可閾値から第2の許可閾値に変更して設定し(ステップS203)、今回の処理を終了する。
【0091】
また、コントローラ3は、車両の周辺状況が容易に退避走行できる状況でないと判定した場合(ステップS201,No)、設定中の許可閾値が第2の許可閾値か否かを判定する(ステップS204)。コントローラ3は、設定中の許可閾値が第2の許可閾値でない、つまり、第1の許可閾値であると判定した場合(ステップS204,No)、今回の処理を終了する。
【0092】
コントローラ3は、設定中の許可閾値が第2の許可閾値であると判定した場合(ステップS204,Yes)、許可閾値を第2の許可閾値から第1の許可閾値に変更して設定し(ステップS205)、今回の処理を終了する。
【0093】
ここまで、実施形態に係るコントローラ3が電源制御装置1に含まれる場合について説明したが、実施形態に係るコントローラ3は、外部装置100が自動運転制御装置である場合、自動運転制御装置に含まれてもよい。
【0094】
コントローラ3は、自動運転制御装置に含まれる場合、自動運転を許可するか否かの判定基準となる許可閾値(例えば、第1の許可閾値および第2の許可閾値)の設定については、電源制御装置1に含まれる場合と同様に、車両の周辺状況に応じて変更する。
【0095】
これにより、コントローラ3は、電源制御装置1に含まれる場合と同様に、車両の周辺状況に応じて、早期に自動運転を許可することにより、車両の安全性を確保しつつ、ユーザの利便性を向上できる。
【0096】
ただし、コントローラ3は、自動運転制御装置に含まれる場合、バックアップ電源20の充電制御については、自装置で行うのではなく、電源制御装置1が行う。
【0097】
具体的には、バックアップ電源20の充電開始、充電終了は、電源制御装置1が自ら行い、図7に示した充電の禁止は、コントローラ3が電源制御装置1に対して指示することによって、電源制御装置1にコントローラ3が含まれる場合と同様の充電制御を電源制御装置1に実行させる。
【0098】
[5.付記]
付記として、本発明の特徴を以下の通り示す。
(1)
自動運転車両に搭載され、メイン電源が失陥した場合にバックアップ電源を使用して退避走行制御を行わせると共に、前記バックアップ電源の蓄電量が予め定められる許可閾値以上であることを条件に自動運転を許可するコントローラを有する制御装置であって、
前記コントローラは、搭載される車両の周辺状況が、容易に退避走行できる状況である場合は、前記許可閾値を低くする
制御装置。
(2)
前記コントローラは、
前記退避走行を第1の所定時間行うために必要な前記バックアップ電源の蓄電量である第1の前記許可閾値と、
前記退避走行を前記第1の所定時間より短い第2の所定時間行うために必要な前記バックアップ電源の蓄電量である第2の前記許可閾値と
を有し、
前記車両の周辺状況が、前記容易に退避走行できる状況である場合は第2の許可閾値を選択する
前記(1)に記載の制御装置。
(3)
前記コントローラは、
前記車両の周辺に存在する他車両の混雑度合い、退避場所までの距離、および、退避場所の数の少なくともいずれか一つに応じて容易に退避走行できるか否かを判定する
前記(1)または(2)に記載の制御装置。
(4)
前記コントローラは、
前記車両の周辺に存在する他車両の混雑度合い、退避場所までの距離、および、退避場所の数の少なくともいずれか一つに応じて退避走行の開始から完了までに要する時間を予想し、前記予想した時間に基づき容易に退避走行できるか否かを判定する
前記(1)~(3)のいずれか一つに記載の制御装置。
(5)
前記コントローラは、
前記バックアップ電源の蓄電量が充電開始閾値以下の場合に前記バックアップ電源を充電する機能を有し、
容易に前記退避走行できる状況である場合は、前記バックアップ電源の蓄電量が前記充電開始閾値以下であっても充電を行わない
前記(1)~(4)のいずれか一つに記載の制御装置。
(6)
前記コントローラは、
前記容易に退避走行できる状況でなくなる場合は、前記バックアップ電源の充電を許可する
(5)に記載の制御装置。
(7)
前記コントローラは、
前記許可閾値を低くした後に、前記車両の周辺状況が、前記容易に退避走行できる状況でなくなる場合は、前記許可閾値を低くする前の前記許可閾値に戻す
前記(1)~(6)のいずれか一つに記載の制御装置。
(8)
前記コントローラは、
前記車両の給電制御を行う電源制御装置に含まれる
前記(1)~(7)のいずれか一つに記載の制御装置。
(9)
前記コントローラは、
前記車両の自動運転制御を行う自動運転制御装置に含まれる
前記(1)~(7)のいずれか一つに記載の制御装置。
(10)
自動運転車両に搭載され、メイン電源が失陥した場合にバックアップ電源を使用して退避走行制御を行わせると共に、前記バックアップ電源の蓄電量が予め定められる許可閾値以上であることを条件に自動運転を許可するコントローラが実行する制御方法であって、
車両の周辺状況が、容易に退避走行できる状況である場合は、前記許可閾値を低くする
制御方法。
【0099】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0100】
1 電源制御装置
10 メイン電源
11 PbB
12 発電機
20 バックアップ電源
21 LiB
3 コントローラ
41 第1接続部
42 第2接続部
43 第3接続部
44 第4接続部
45 第5接続部
46 第6接続部
47 第7接続部
48 第8接続部
49 第9接続部
50 第10接続部
51 第1電圧センサ
52 第2電圧センサ
100 外部装置
101 第1一般負荷
102 第1FOP負荷
103 第2FOP負荷
104 第3FOP負荷
105 第2一般負荷
110 第1系統
120 第2系統
200 地絡
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11