(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034439
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】監視装置、監視方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240306BHJP
G06Q 30/012 20230101ALI20240306BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G06Q30/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138669
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】光野 正志
(72)【発明者】
【氏名】野村 優介
(72)【発明者】
【氏名】中川 雄介
(72)【発明者】
【氏名】村上 匡則
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB67
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】機器の稼働データに応じた保守契約の提案ができる。
【解決手段】監視装置は、保守契約を締結している複数の機器を監視する監視装置であって、処理対象の機器である対象機器を特定するデータである対象特定データを受け付ける入力部と、対象機器の稼働データを取得する取得部と、対象機器の現在の保守契約の種別である現在保守契約種別、および対象機器の稼働データに基づき対象機器に適した新たな保守契約の種別である新保守契約種別を算出する提案内容決定部と、提案内容決定部が算出した新保守契約種別を出力する出力部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守契約を締結している複数の機器を監視する監視装置であって、
処理対象の前記機器である対象機器を特定するデータである対象特定データを受け付ける入力部と、
前記対象機器の稼働データを取得する取得部と、
前記対象機器の現在の前記保守契約の種別である現在保守契約種別、および前記対象機器の稼働データに基づき前記対象機器に適した新たな前記保守契約の種別である新保守契約種別を算出する提案内容決定部と、
前記提案内容決定部が算出した前記新保守契約種別を出力する出力部と、を備える監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載の監視装置において、
前記提案内容決定部は、運転時間の適正性、負荷時間の適正性、および過負荷状態の有無のうち少なくとも1つに基づき前記新保守契約種別を算出する監視装置。
【請求項3】
請求項2に記載の監視装置において、
前記過負荷状態とは、負荷回数、温度、および稼働時間の3つのうち2つ以上が判断基準を超える状態である、監視装置。
【請求項4】
請求項1に記載の監視装置において、
前記出力部は、前記対象機器の識別情報、および前記対象機器の前記現在保守契約種別をさらに出力する、監視装置。
【請求項5】
請求項1に記載の監視装置において、
前記入力部は、ユーザインタフェースを介したユーザからの入力により前記対象特定データを取得する、監視装置。
【請求項6】
請求項1に記載の監視装置において、
前記入力部は、あらかじめ設定された条件を読み込んで前記対象特定データとする、監視装置。
【請求項7】
請求項6に記載の監視装置において、
前記あらかじめ設定された条件とは、所定期間内に故障が発生した機器の抽出である、監視装置。
【請求項8】
請求項1に記載の監視装置において、
前記対象特定データとは、前記対象機器の識別子、または前記保守契約の始期である、監視装置。
【請求項9】
保守契約を締結している複数の機器を監視する監視装置が実行する監視方法であって、
処理対象の前記機器である対象機器を特定するデータである対象特定データを受け付ける入力ステップと、
前記対象機器の稼働データを取得する取得ステップと、
前記対象機器の現在の前記保守契約の種別である現在保守契約種別、および前記対象機器の稼働データに基づき前記対象機器に適した新たな前記保守契約の種別である新保守契約種別を算出する提案内容決定ステップと、
前記提案内容決定ステップにおいて算出された前記新保守契約種別を出力する出力ステップと、を含む監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置、および監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業用機器のメンテナンス方法が、定期的にメンテナンスを行う時間基準保全から機器ごとの状態に合わせてメンテナンスを行う状態基準保存へと移行している。状態基準保全を行うためには対象機器を常に監視する必要があり、これに伴ってIoT(Internet of Things)クラウドを用いた遠隔監視サービスの普及が進んでいる。過剰メンテナンスや計画外停止等の発生を抑制可能にし、適切に保守、メンテナンスを行うことができる監視装置に関する技術として、特許文献1に開示された技術が知られている。この特許文献1には、複数の故障事例について、故障に至るまでの運転時間に対する負荷率又は負荷変化率の推移を示す運転記録を取得する運転記録取得部と、複数の故障事例の前記運転記録における前記負荷率又は負荷変化率と対比する閾値を設定する閾値設定部と、前記負荷率又は負荷変化率と前記閾値との関係から導かれる値であって、運転時間に応じた装置の損耗の進行度合いを示す損耗率を取得する損耗率取得部と、前記損耗率に対する、前記複数の故障事例の故障率累積度数の推移を取得する故障率累積度数取得部と、前記故障率累積度数を前記損耗率で積分した値である評価指標を算出する評価指標算出部と、監視対象とする装置の前記負荷率又は負荷変化率と前記閾値との関係から導かれる損耗率が、前記故障事例の前記故障率累積度数の推移に基づいて決定された所定の管理値に至った場合に、メンテナンスを要する旨の通知を行う通知部と、を備え、前記閾値設定部は、前記評価指標が最小となるように前記閾値を設定する、監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている発明では、機器の稼働データに応じた保守契約の提案ができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様による監視装置は、保守契約を締結している複数の機器を監視する監視装置であって、処理対象の前記機器である対象機器を特定するデータである対象特定データを受け付ける入力部と、前記対象機器の稼働データを取得する取得部と、前記対象機器の現在の前記保守契約の種別である現在保守契約種別、および前記対象機器の稼働データに基づき前記対象機器に適した新たな前記保守契約の種別である新保守契約種別を算出する提案内容決定部と、前記提案内容決定部が算出した前記新保守契約種別を出力する出力部と、を備える。
本発明の第2の態様による監視方法は、保守契約を締結している複数の機器を監視する監視装置が実行する監視方法であって、処理対象の前記機器である対象機器を特定するデータである対象特定データを受け付ける入力ステップと、前記対象機器の稼働データを取得する取得ステップと、前記対象機器の現在の前記保守契約の種別である現在保守契約種別、および前記対象機器の稼働データに基づき前記対象機器に適した新たな前記保守契約の種別である新保守契約種別を算出する提案内容決定ステップと、前記提案内容決定ステップにおいて算出された前記新保守契約種別を出力する出力ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、機器の稼働データに応じた保守契約の提案ができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図11】対象機器決定部の処理を示すフローチャート
【
図12】提案内容決定部の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
―第1の実施の形態―
以下、
図1~
図14を参照して、監視装置および監視方法の第1の実施の形態を説明する。
【0009】
図1は、監視システム1の全体構成図である。監視システム1は、ネットワーク6により接続される1または複数の稼働拠点2、監視装置5、および1または複数の通知先9を含む。
図1では作図の都合により稼働拠点2は3つ、通知先9は2つのみを記載しているが、監視システム1に含まれる稼働拠点2および通知先9の数に制限はない。ネットワーク6は有線または無線の通信網であり、たとえばインターネット、専用線、閉域網などである。ネットワーク6は必須の構成ではなく、監視装置5とそれぞれの稼働拠点2、および監視装置5と通知先9が個別に通信できればよい。それぞれの稼働拠点2には1または複数の機器3が含まれる。
【0010】
機器3は、何らかのデータを監視装置5に出力可能な付帯機能を有する装置であり、機器3の本来の機能は限定されない。機器3はたとえば、空気圧縮機、ロボットアーム、ベルトコンベア、コントロールバルブである。本実施の形態では機器3を空気圧縮機として具体的な構成を説明する。機器3は監視装置5の監視対象である。それぞれの機器3は、機器内温度、機器内圧力、周囲温度、累積の運転時間などをネットワーク6を介して定期的、または不定期に監視装置5に送信する。以下では、機器3が送信するデータを「稼働データ」と総称する。機器3は、何らかの測定値が閾値以上となった場合や、故障が発生した場合、および修理や点検が行われた場合などに、その内容に応じた警報や通知を監視装置5に送信する。監視装置5は必要に応じて通知先9に通知を行う。
【0011】
図2は監視装置5の構成図である。監視装置5は、機器3を監視する機能を有するサーバ装置であり、中央演算装置であるCPU(Central Processing Unit)10、メモリ11、補助記憶装置12、ネットワークインタフェース13、入力装置14および出力装置15を備えて構成される。なお以下では、監視装置5を操作する人間を「ユーザ」と呼ぶ。
【0012】
CPU10は、監視装置5の動作を統括的に制御するプロセッサである。メモリ11は、不揮発性の記憶素子からなる図示しないROM(Read Only Memory)と、揮発性の記憶素子からなる図示しないRAM(Random Access Memory)とから構成される。ROMには、BIOS(Basic Input Output System)などの不変のプログラムが格納される。またRAMは、DRAM(Dynamic RAM)などから構成され、CPU10のワーキングメモリとして利用される。
【0013】
補助記憶装置12は、ハードディスク装置やSSD(Solid State Drive)などの大容量かつ不揮発性の記憶装置から構成される。補助記憶装置12には、各種プログラムや、長期間保存すべき各種データが格納される。補助記憶装置12に格納されたプログラムやデータが分析サーバの起動時や必要時に補助記憶装置12からメモリ11にロードされ、メモリ11にロードされたプログラムをCPU10が実行することにより後述のような監視装置5全体としての各種処理が実行される。
【0014】
ネットワークインタフェース13は、例えばNIC(Network Interface Card)であり、ネットワーク6を介した監視対象の各機器3との通信時におけるインタフェースとして機能する。
【0015】
入力装置14は、例えばマウスやキーボードなどから構成され、ユーザが監視装置5に対する各種の操作入力を行うために利用される。また出力装置15は、例えば液晶パネル、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、およびプリンタなどから構成され、必要な情報を表示または印刷などにより出力するために利用される。なお入力装置14および出力装置15は、これらが一体化したタッチパネルなどから構成されてもよい。また、入力装置14および出力装置15の代わりにネットワークインタフェース13を介してデータが入出力されてもよい。
【0016】
メモリ11には、入力部30、対象機器決定部31、提案内容決定部32、出力部33、および取得部35を実現するプログラムが格納される。またメモリ11には、顧客情報管理テーブル23、稼働データ管理テーブル24、警報故障情報管理テーブル25、点検履歴管理テーブル26、修理履歴管理テーブル27、状態管理テーブル28、および、契約情報テーブル29が格納される。なお以下では、顧客情報管理テーブル23、稼働データ管理テーブル24、警報故障情報管理テーブル25、点検履歴管理テーブル26、および修理履歴管理テーブル27をまとめて機器情報データベース20と呼ぶこともある。
【0017】
図3は、顧客情報管理テーブル23の構成例を示す図である。
図3は作図の都合により2段に分けて記載しているが、上段と下段の区別は特になく項目の並びは適宜変更してもよい。顧客情報管理テーブル23には、顧客名23A、設置住所23B、製造番号23C、販売窓口23D、保守窓口23E、契約番号23F、契約日23G、および契約プラン23Hが記録される。契約プラン23Hは現在の保守契約プランを示すので、以下では「現在保守契約種別」とも呼ぶ。監視装置5は後述するように適切な保守契約プランを算出し、この保守契約プランを「新保守契約種別」とも呼ぶ。ただし、新保守契約種別が現在の保守契約プランと同一の場合もある。
【0018】
図3の1行目には次のことが記載されている。すなわち、「株式会社A」が「販売A」から購入した製造番号「XXX1234」である機器3を「xx県yy市」の稼働拠点2に設置した。さらに、製造番号「XXX1234」である機器3は、保守の窓口は「保守A」であり、契約番号「XXX13」で「2020年9月15日」に「第1プラン」で保守の契約を結んだ。なお
図3に示す例では、製造番号23Cに1つのデータしか記載していないが、他の項目が共通する場合には1つのセルに複数の製造番号を記載してもよい。
【0019】
図4は、稼働データ管理テーブル24の構成例を示す図である。稼働データ管理テーブル24には、製造番号24A、取得日時24B、および稼働データ24Cが記録される。製造番号24Aは機器3の識別子であり、顧客情報管理テーブル23における製造番号23Cと同じ情報である。稼働データ24Cは、あらかじめ定められた項目と値の組み合わせでもよいし、そのつど設定される項目と値の組み合わせでもよい。
【0020】
図5は、警報故障情報管理テーブル25の構成例を示す図である。警報故障情報管理テーブル25には、発生日25A、製造番号25B、型式25C、および警報故障内容25Dが記録される。発生日25Aは、警告や故障が発生した日である。製造番号25Bは機器3の識別子であり、顧客情報管理テーブル23における製造番号23Cと同じ情報である。型式25Cは、機器3の型式である。警報故障内容25Dは、警報や故障の内容である。
【0021】
図6は、点検履歴管理テーブル26の構成例を示す図である。点検履歴管理テーブル26には、点検日時26A、製造番号26B、点検内容26C、運転時間26D、および対応者26Eが記録される。
図6の1行目には次のことが記載される。すなわち、「2018年8月15日」に製造番号「xxx1234」の機器3を対象として、運転時間が「500時間」だったので「A点検」を対応者「A」が実施したことが記録されている。
【0022】
図7は、修理履歴管理テーブル27の構成例を示す図である。
図7は作図の都合により2段に分けて記載しているが、上段と下段の区別は特になく項目の並びは適宜変更してもよい。修理履歴管理テーブル27には、故障発生日27A、故障内容27B、製造番号27C、運転時間27D、故障復旧日27E、故障原因27F、故障部位27G、復旧処理27Hが記録される。
図7の1行目には次のことが記載されている。すなわち、「2018年8月15日」に製造番号「XXX1234」の機器3で運転時間「500時間」の際に「オイル漏れ」の故障が発生し、「2018年8月17日」にこの故障が復旧した。さらに、この故障原因は「ヘッド」に生じた「亀裂」であり、「交換」することで復旧したことが記録されている。
【0023】
図8は、状態管理テーブル28の構成例を示す図である。状態管理テーブル28は、提案内容決定部32により参照される。状態管理テーブル28は、あらかじめ作成される。状態管理テーブル28には、状態項目28A、判断目安28B、および判断基準28Cが記録される。
【0024】
図9は、契約情報テーブル29の構成例を示す図である。契約情報テーブル29には、保守契約のグレードを表す契約プラン29A、メンテナンス29B、無償オンコール29C、パーツ保証29D、運転時間目安29Eが記録される。なお
図9および本実施の形態に示す例では、プランの番号が大きいほど手厚い対応が得られる。
【0025】
図10は、監視装置5の処理を示す概略図である。この概略図では、監視装置5の機能ブロックとデータの関係を示している。まず、入力部30が、ユーザによる入力装置14を用いた監視装置5の監視対象となる機器3を特定するためのデータ、すなわち対象特定データを取得する。ユーザが入力する対象特定データは監視する対象の機器3を特定できればよく、たとえば機器3の製造番号、機器3の購入者である顧客名、機器3の設置日でもある保守契約の始期の期間、などが想定される。入力部30は、ユーザが入力したデータを対象機器決定部31に出力する。
【0026】
対象機器決定部31は、機器情報DB20および状態管理テーブル28から、入力部30から取得したデータに関連するデータを取得する。対象機器決定部31は、後述する処理により配信する機器3を決定し、対象機器リストを提案内容決定部32に出力する。対象機器リストは機器3を特定する情報であり、たとえば列挙された製造番号である。提案内容決定部32は、対象機器決定部31から取得した対象機器リストから特定される機器3に関するデータを状態管理テーブル28および契約情報テーブル29から取得する。
【0027】
提案内容決定部32は、対象機器リストから特定される機器3に対する提案内容を後述する処理により決定し、出力部33に出力する。出力部33は、提案内容決定部32から取得した対象機器リストに対する提案内容に従い、レポートを生成して出力する。このレポートには、少なくとも新たな保守契約の提案が含まれる。レポートは後に
図14を参照して説明する。出力部33は、生成したレポートを出力装置15を介して出力してもよいし、ネットワークインタフェース13を介して出力してもよい。出力部33は、生成したレポートをWebブラウザなどの公知のプログラムに読み込ませて出力装置15を介して出力してもよい。また出力部33は、生成したレポートのデータをネットワークインタフェース13を介して出力し、不図示のユーザ端末で表示させてもよい。
【0028】
取得部35は、それぞれの機器3から稼働データを取得して稼働データ管理テーブル24に格納する。この場合は、取得部35はネットワークインタフェース13により実現される。ただし取得部35は、それぞれの機器3から直接に稼働データを取得することは必須の構成ではなく、不図示のデータ収集装置がそれぞれの機器3から収集した稼働データを取得してもよい。監視装置5は、不図示のデータ収集装置からネットワークインタフェース13を介して稼働データを取得してもよいし、記録メディアなどを介して稼働データを取得してもよい。この場合は、取得部35はネットワークインタフェース13または不図示の記録メディア読み取り装置により実現される。
【0029】
図11は、対象機器決定部31の処理を示すフローチャートである。まずステップS31において対象機器決定部31は、機器情報DB20および状態管理テーブル28を参照し、ユーザの入力に基づき機器3を抽出してステップS32に進む。たとえばユーザの入力が『製造番号の上4桁が「XXX1」』の場合は、
図3の例では「XXX1234」と「XXX1678」が抽出される。またユーザの入力が、『契約日が「2021年3月」』の場合は、顧客情報管理テーブル23における契約日23Gが「2021年3月」である機器3の製造番号を抽出してもよいし、あらかじめ決められたルールに従い、機器3の製造番号を抽出してもよい。あらかじめ決められたルールとはたとえば、入力された年月の6か月前に契約され、かつ契約プランが第2プランの機器3を抽出することである。
【0030】
ステップS32では対象機器決定部31は、ステップS31において抽出した機器3の中から未処理の機器3を処理対象に選択する。続くステップS33では対象機器決定部31は、処理対象の機器3が、定期配信対象、警報故障件数増加、および故障率増加のいずれかに該当するか否かを判断する。対象機器決定部31は、3つの少なくとも1つに該当すると判断する場合はステップS34に進み、3つのいずれにも該当しないと判断する場合はステップS36に進む。
【0031】
定期配信対象とは、不図示のテーブルに定期配信対象として記載されているか否かにより判断してもよいし、あらかじめ定めたルールにしたがって判断してもよい。この場合のあらかじめ定めたルールとはたとえば、現在の年月が契約日から8か月目に該当し、かつ契約プランが第3プランであることである。警報故障件数増加とは、警報故障情報管理テーブル25における処理対象の機器3の警報故障の発生件数を評価し、たとえば前月よりも今月の警報故障件数が多いか否かを判断する。故障率増加とは、故障件数を運転時間で除した値を評価し、たとえば先月よりも今月の方が故障率が高いか否かを判断する。
【0032】
ステップS34では対象機器決定部31は、処理対象の機器3を追加対象に決定してステップS35に進む。ステップS36では対象機器決定部31は、処理対象の機器3は配信先対象外なので処理対象の機器3を対象機器リストに追加することなくステップS35に進む。ステップS35では対象機器決定部31は、ステップS31において抽出した機器3のうち未処理の機器3が存在するか否かを判断し、未処理の機器3が存在すると判断する場合はステップS32に戻り、全ての機器3を処理対象にしたと判断する場合はステップS37に進む。ステップS37では対象機器決定部31は、これまでステップS34において追加対象に決定した機器3をすべて含む対象機器リストを生成して
図11に示す処理を終了する。
【0033】
図12は、提案内容決定部32の処理を示すフローチャートである。提案内容決定部32は、対象機器決定部31が生成した対象機器リストに記載されている機器3を1つずつ処理対象に設定し、
図12に示す処理を実行する。たとえば対象機器リストに5つの機器3が記載されている場合には、提案内容決定部32は
図12に示す処理を5回繰り返す。
ステップS40では提案内容決定部32は、顧客情報管理テーブル23および契約情報テーブル29を参照して、処理対象の機器3の契約プラン、および該当する契約プランにおける運転時間目安29Eの値を読み込む。
【0034】
続くステップS41では提案内容決定部32は、状態管理テーブル28、および稼働データ管理テーブル24の運転時間の値を読み込み、契約プランにおける運転時間目安29Eの値と比較する。提案内容決定部32は、状態管理テーブル28の運転時間の項目に記載されているように、稼働データ管理テーブル24の運転時間の値が、運転時間目安29Eの値の±450時間未満であれば適正と判断してステップS42に進む。提案内容決定部32は、稼働データ管理テーブル24の運転時間の値が、運転時間目安29Eの値の+450時間以上の場合には超過と判断してステップS44に進む。提案内容決定部32は、稼働データ管理テーブル24の運転時間の値が、運転時間目安29Eの値の-450時間以下の場合には不足と判断してステップS46に進む。
【0035】
ステップS42では提案内容決定部32は、稼働データ管理テーブル24の負荷時間の値と、状態管理テーブル28に記載の負荷時間の判断目安の値を比較する。提案内容決定部32は、稼働データ管理テーブル24の負荷時間の値が状態管理テーブル28に記載の判断目安である1500時間の±450時間未満であれば適正と判断してステップS43に進む。提案内容決定部32は、負荷時間の値が1500時間の+450時間以上であれば超過と判断してステップS44に進む。提案内容決定部32は、負荷時間の値が1500時間の-450時間以下であれば不足と判断してステップS46に進む。
【0036】
ステップS43では提案内容決定部32は、状態管理テーブル28に記載の負荷回数、温度、および稼働時間の判断目安と、稼働データ管理テーブル24に記載の値とを比較する。提案内容決定部32は、負荷回数、温度、および稼働時間の3つのうち2つ以上が判断基準を超える場合に過負荷状態と判断してステップS44に進み、3つのうち判断基準を超える項目が1つ以下の場合に過負荷ではないと判断してステップS45に進む。
図8に示す状態管理テーブル28の例によれば、負荷回数が100万回±50万回未満、温度が90度以上100度以下、稼働時間が48時間以下が判断基準である。
【0037】
ステップS44では提案内容決定部32は、既存プランの1段階上を提案プランに決定してステップS47に進む。ステップS45では提案内容決定部32は、現状維持を提案プランに決定してステップS47に進む。ステップS46では提案内容決定部32は、既存プランの1段階下を提案プランに決定してステップS47に進む。ステップS47では決定した提案プランを出力部33に出力して
図12に示す処理を終了する。
【0038】
図13は、データ入力用のユーザインタフェースである入力ウインドウ40の一例を示す図である。入力ウインドウ40は、年月入力欄41、出力先ディレクトリ42、自動生成または機器指定生成を選択するラジオボタングループ43、製造番号欄44、および生成ボタン45を含む。年月入力欄41には、機器3を特定するための年月が入力される。対象機器決定部31はたとえば、顧客情報管理テーブル23の契約日23Gが年月入力欄41に入力された年月と一致する機器3を抽出する。
【0039】
出力先ディレクトリ42には、レポートが出力されるディレクトリの名称またはフルパスが入力される。ラジオボタングループ43は、機器3のリストを自動生成するか否かを設定するラジオボタンである。製造番号欄44には、処理対象とする機器3の製造番号が入力される。なおユーザは、ラジオボタングループ43の「自動生成」を選択する場合には製造番号欄44への入力は不要である。ユーザは、ラジオボタングループ43の「機器指定生成」を選択する場合には年月入力欄41への入力は不要である。
【0040】
図14は、提案内容決定部32による計算結果を含むレポートの出力ウインドウ50の一例を示す図である。ただし
図14は具体例ではなく情報のレイアウトを示している。出力ウインドウ50は、対象機器名51、警報故障履歴52、点検履歴53、修理履歴54、コメント55、対象機器の提案プランの出力結果56を含む。対象機器の提案プランの出力結果56には、提案するプラン57すなわち新保守契約種別と、既存のプラン58すなわち現在保守契約種別と、が含まれる。
【0041】
上述した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)監視装置5は、保守契約を締結している複数の機器3を監視する。監視装置5は、処理対象の機器3である対象機器を特定するデータである対象特定データを受け付ける入力部30と、対象機器の稼働データを取得する取得部35と、対象機器の現在の保守契約の種別である現在保守契約種別、および対象機器の稼働データに基づき対象機器に適した新たな保守契約の種別である新保守契約種別を算出する提案内容決定部32と、提案内容決定部32が算出した新保守契約種別を出力する出力部33と、を備える。そのため、機器の稼働データに応じた保守契約の提案ができる。
【0042】
(2)提案内容決定部32は、
図12のステップS41~S43に示す運転時間の適正性、負荷時間の適正性、および過負荷状態の有無に基づき新保守契約種別を算出する。
【0043】
(3)過負荷状態とは、負荷回数、温度、および稼働時間の3つのうち2つ以上が判断基準を超える状態である。
【0044】
(4)出力部33は、対象機器の識別情報すなわち
図14の対象機器名51、および対象機器の現在保守契約種別、すなわち
図14の既存のプラン58をさらに出力する。そのため、ユーザは対象となる機器3と現在の契約もあわせて確認できるため効率がよい。
【0045】
(5)入力部30は、ユーザインタフェースを介したユーザからの入力により対象特定データを取得する。そのため、ユーザから指定された機器3を対象として、適切な保守契約プランを算出できる。
【0046】
(6)対象特定データとは、対象機器の識別子、または保守契約の始期である。そのため対象機器決定部31は、機器3の識別子を用いて指定された機器3を確実に対象とすることができ、さらに指定された保守契約の始期、すなわち顧客情報管理テーブル23の契約日23Gを用いて定期点検が必要な機器3を対象とすることもできる。
【0047】
(変形例1)
入力部30は、あらかじめ設定された抽出条件を読み込む、データ読み込み部でもよい。あらかじめ設定された条件は、補助記憶装置12やメモリ11に格納されてもよいし、CD-ROMなどの記録メディアに記録されてもよいし、ネットワーク接続される他の装置に格納されてもよい。入力部30が抽出条件を読み込む読み込み元は、あらかじめ設定されてもよいしユーザから指定されてもよい。
【0048】
あらかじめ設定された条件が補助記憶装置12やメモリ11に格納される場合には、入力部30はメモリ11からデータを読み込む不図示のメモリコントローラや、補助記憶装置12からデータを読み込む不図示のディスクコントローラにより実現される。あらかじめ設定された条件が記録メディアに記録される場合には、入力部30は不図示の記録メディアコントローラにより実現される。あらかじめ設定された条件がネットワーク接続される他の装置に格納される場合には、入力部30はネットワークインタフェース13により実現される。
【0049】
あらかじめ設定された抽出条件とは、「過去1年間の修理回数が1回以上の機器」や「保守契約日が所定の年月である機器」である。たとえば入力部30が「過去1年間の修理回数が1回以上の機器」という抽出条件を読み込むと、対象機器決定部31は次の処理を行う。すなわち対象機器決定部31は、
図11のステップS31において修理履歴管理テーブル27を参照して故障発生日27Aが現在の日付から1年以内のレコードにおける製造番号27Cを列挙する。
【0050】
この変形例1によれば、次の作用効果が得られる。
(7)入力部30は、あらかじめ設定された条件を読み込んで対象特定データとする。そのため入力部30は、ユーザから逐一入力を受けなくても処理を実行できる。
【0051】
(8)あらかじめ設定された条件とは、所定期間内に故障が発生したことである。そのため監視装置5は、所定期間内に故障が発生した機器3を対象に適切な保守契約プランを作成して提示できる。
【0052】
(変形例2)
出力部33は、レポートを通信により出力してもよい。たとえば顧客情報管理テーブル23に、メールアドレスさらに記載され、出力部33は生成したレポートを記載されたメールアドレスに送付してもよい。また顧客情報管理テーブル23に計算結果を通知するためのIPアドレスが記載され、出力部33は生成したレポートを記載されたIPアドレスの所定の通信ポートに所定の通信プロトコルで送付してもよい。
【0053】
(変形例3)
提案内容決定部32は、
図12のステップS41~S43に示す運転時間の適正性、負荷時間の適正性、および過負荷状態の有無に基づき新保守契約種別を算出した。しかし提案内容決定部32は、運転時間の適正性、負荷時間の適正性、および過負荷状態の有無、の3つ全てを利用する必要はなく3つのうち少なくとも1つに基づき新保守契約種別を算出してもよい。
【0054】
上述した各実施の形態および変形例において、機能ブロックの構成は一例に過ぎない。別々の機能ブロックとして示したいくつかの機能構成を一体に構成してもよいし、1つの機能ブロック図で表した構成を2以上の機能に分割してもよい。また各機能ブロックが有する機能の一部を他の機能ブロックが備える構成としてもよい。
【0055】
上述した各実施の形態および変形例において、プログラムは予め補助記憶装置12に格納されるとしたが、監視装置5が不図示の入出力インタフェースを備え、必要なときに入出力インタフェースと監視装置5が利用可能な媒体を介して、他の装置からプログラムが読み込まれてもよい。ここで媒体とは、例えば入出力インタフェースに着脱可能な記憶媒体、または通信媒体、すなわち有線、無線、光などのネットワーク、または当該ネットワークを伝搬する搬送波やディジタル信号、を指す。また、プログラムにより実現される機能の一部または全部がハードウエア回路やFPGAにより実現されてもよい。
【0056】
上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1 :監視システム
3 :機器
5 :監視装置
30 :入力部
31 :対象機器決定部
32 :提案内容決定部
33 :出力部
35 :取得部