(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034453
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】遮蔽部材、什器、板体および遮蔽部材の組立方法
(51)【国際特許分類】
A47B 13/00 20060101AFI20240306BHJP
A47B 97/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A47B13/00 B
A47B13/00 Z
A47B97/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138683
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】富樫 駿輔
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NN01
3B053NP08
3B053NQ07
(57)【要約】
【課題】開口部の内周面に対して強固に固定することができ、脱落を確実に防止できる遮蔽部材を提供する。
【解決手段】天板10の厚さ方向に貫通する開口部11の内周面11aを遮蔽する遮蔽部材であって、合成樹脂により形成され、内周面11aに対向して内周面11aを遮蔽している枠板部材21と、内周面11aに係合し、内周面11aとの間で枠板部材21を挟持する打込み針22と、を備えている。打込み針22は、内周面11aに交差する方向に打ち込まれて摩擦力により天板10に固定される摩擦係合部221と、内周面11aとの間で枠板部材21を挟持する挟持部222と、を備えている。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材の厚さ方向に貫通する開口部の内周面を遮蔽する遮蔽部材であって、
合成樹脂により形成され、前記内周面に対向して当該内周面を遮蔽している面構成部と、
前記内周面に係合し、前記内周面との間で前記面構成部を挟持する係合部材と、
を備える遮蔽部材。
【請求項2】
前記面構成部は、
前記面構成部の前記板材の表面側に位置する薄肉部と、
前記薄肉部よりも厚く、前記薄肉部より前記板材の裏面側に位置する厚肉部と、を備え、
前記係合部材は、前記厚肉部を貫通して前記内周面に係合している請求項1に記載の遮蔽部材。
【請求項3】
前記厚肉部には、前記係合部材の係合位置を表示する指示部が設けられている請求項2に記載の遮蔽部材。
【請求項4】
前記指示部は、前記厚肉部の内面から前記開口部の前記内周面側に凹む指示壁部である請求項3に記載の遮蔽部材。
【請求項5】
前記係合部材は、
前記内周面に交差する方向に打ち込まれて摩擦力により前記板材に固定される摩擦係合部と、
前記内周面との間で前記面構成部を挟持する挟持部と、を備えた打込み部材である請求項1に記載の遮蔽部材。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の遮蔽部材を備えた什器であって、
前記遮蔽部材と、
前記遮蔽部材によって遮蔽される前記開口部を有する板材と、
を備える什器。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の遮蔽部材を備えた板体であって、
前記遮蔽部材と、
前記遮蔽部材によって遮蔽される前記開口部を有する板材と、
を備える板体。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の遮蔽部材を前記板材の前記開口部に取り付ける遮蔽部材の組立方法であって、
前記面構成部を前記開口部の前記内周面を遮蔽するように対向させて配置する工程と、
前記面構成部によって囲まれた内側に少なくとも打込器の打込み口を進入させ、前記打込器によって前記係合部材を前記内周面に向けて打ち込み、前記係合部材によって前記面構成部を前記内周面に固着させ、前記内周面を前記面構成部によって遮蔽した状態で前記遮蔽部材を前記板材に支持する工程と、
を有する遮蔽部材の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽部材、什器、板体および遮蔽部材の組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、デスク等の天板に、天板の厚み方向に貫通するように形成される開口部の内周面を遮蔽する遮蔽部材が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1には、天板の周縁部に開口する切開き部の内周面を遮蔽する遮蔽部材をビスよって内周面に固定する構成について記載されている。特許文献1のように、開口部の一辺が開口する場合には、開口部の内周面に遮蔽部材をビスで固定する際に、開口部の内周側にビスを締め込むドライバ等の長尺な締め込み用の工具を使用してねじ軸に対して水平姿勢に配置して、ビスを締め込むことが可能である。
特許文献2には、天板の中央部に形成された矩形状の開口部の内周面を遮蔽し、周方向に閉じた遮蔽部材について記載されている。特許文献2では、遮蔽部材の下端部に形成された爪状の係合部を開口部下端に切り欠かれた係止凹部に対して上下方向に係合させる取り付け構造であり、遮蔽部材を開口部に対して上方から落とし込むことで開口部に対して容易に装着できる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-094235号公報
【特許文献2】特開2015-097686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の特許文献2に記載の遮蔽部材では、以下のような問題があった。
特許文献2の場合には、遮蔽部材の係合部の開口部に対する係合方向が上下方向となるので、遮蔽部材における開口部の内周方向への脱落を防止する力が小さく、脱落のおそれがあることから、その点で改善の余地があった。
また、特許文献2のように開口部が周方向に閉塞していて側方に開口していない場合には、上述した特許文献1のようにビス等の締結部材による締結により遮蔽部材を開口部に固定する場合のように、ドライバ等の長尺な工具をねじ軸に対して同軸となる水平姿勢に配置することが困難であり、ビスを確実にねじ込むことができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、開口部の内周面に対して強固に固定することができ、脱落を確実に防止できる遮蔽部材、什器、板体および遮蔽部材の組立方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る遮蔽部材は、板材の厚さ方向に貫通する開口部の内周面を遮蔽する遮蔽部材であって、合成樹脂により形成され、前記内周面に対向して当該内周面を遮蔽している面構成部と、前記内周面に係合し、前記内周面との間で前記面構成部を挟持する係合部材と、を備えることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る遮蔽部材では、係合部材によって遮蔽部材の面構成部を開口部の内周面との間で挟持させて固着することができ、これにより遮蔽部材を開口部の内周面を遮蔽した状態で天板に堅牢に支持させることができる。すなわち、遮蔽したい開口部の内周面に対して直接、遮蔽部材の保持力を与えることができる。したがって、本発明では、開口部の内周面からの遮蔽部材の脱落を確実に防止できる。
そして、板材が天板であって、天板の上下方向に貫通する開口部のように、下方に遮蔽部材が下がりやすい場合にはとくに効果的である。
【0009】
また、本発明に係る遮蔽部材は、前記面構成部は、前記面構成部の前記板材の表面側に位置する薄肉部と、前記薄肉部よりも厚く、前記薄肉部より前記板材の裏面側に位置する厚肉部と、を備え、前記係合部材は、前記厚肉部を貫通して前記内周面に係合していることを特徴としてもよい。
【0010】
このように構成された遮蔽部材では、板材の表面側に薄肉部が位置しているので、表面側から見た遮蔽部材の外観体裁が良好となり、意匠性を向上できる。さらに、薄肉部の裏面側を厚肉部とすることで、剛性の大きな厚肉部に係合部材の係合代を確保することができる。つまり、係合部材を厚肉部を使用して開口部の内周面に係合することで、係合部材の係合による遮蔽部材自体の割れなどの損傷が生じることを抑制できる。
したがって、遮蔽部材自体と、遮蔽部材によって遮蔽された開口部の内周面の外観体裁を良好にでき、かつ遮蔽部材の開口部からの脱落を確実に防止できる。
【0011】
また、本発明に係る遮蔽部材は、前記厚肉部には、前記係合部材の係合位置を表示する指示部が設けられていることが好ましい。
【0012】
このように構成された遮蔽部材では、遮蔽部材を開口部の内周面に固定する際に、係合部材を係合位置を表示した指示部に位置させて係合することができる。そのため、指示部を設けることにより、係合部材の係合位置が判り易くなり、遮蔽部材の板材への組み付けの作業性を向上させることができる。
【0013】
また、本発明に係る遮蔽部材は、前記指示部は、前記厚肉部の内面から前記開口部の前記内周面側に凹む指示壁部であることが好ましい。
【0014】
このように構成された遮蔽部材では、指示壁部とすることで、係合部材を係合させる位置の判別をより容易に行うことができ、遮蔽部材の板材への組み付けの作業性を向上させることができる。
【0015】
また、本発明に係る遮蔽部材は、前記係合部材は、前記内周面に交差する方向に打ち込まれて摩擦力により前記板材に固定される摩擦係合部と、前記内周面との間で前記面構成部を挟持する挟持部と、を備えた打込み部材であることが好ましい。
【0016】
このように構成された遮蔽部材では、打込み部材を開口部の内周面に交差する方向に打ち込むことで、打込み部材の摩擦係合部による摩擦力により遮蔽部材を板材に固定し、さらに打込み部材の挟持部で内周面との間で面構成部を挟持することで、遮蔽部材を確実に開口部の板材に固定できる。この場合には、ビスやボルト等のようにねじの回転方向の摩擦力で固定するものではなく、締め込む締結用の長尺な工具が不要となり、遮蔽部材を開口部の内周面に対して固着する作業が容易になる。
【0017】
また、本発明に係る什器は、上述した遮蔽部材を備えた什器であって、前記遮蔽部材と、前記遮蔽部材によって遮蔽される前記開口部を有する板材と、を備えることを特徴としている。
【0018】
本発明に係る什器では、開口部の内周面からの遮蔽部材の脱落を確実に防止できるという上述した効果を有する什器を提供できる。
【0019】
また、本発明に係る板体は、上述した遮蔽部材を備えた板体であって、前記遮蔽部材と、前記遮蔽部材によって遮蔽される前記開口部を有する板材と、を備えることを特徴としている。
【0020】
本発明に係る板体では、開口部の内周面からの遮蔽部材の脱落を確実に防止できるという上述した効果を有する板体を提供できる。
【0021】
また、本発明に係る遮蔽部材の組立方法は、上述した遮蔽部材を前記板材の前記開口部に取り付ける遮蔽部材の組立方法であって、前記面構成部を前記開口部の前記内周面を遮蔽するように対向させて配置する工程と、記面構成部によって囲まれた内側に少なくとも打込器の打込み口を進入させ、前記打込器によって前記係合部材を前記内周面に向けて打ち込み、前記係合部材によって前記面構成部を前記内周面に固着させ、前記内周面を前記面構成部によって遮蔽した状態で前記遮蔽部材を前記板材に支持する工程と、を有することを特徴としている。
【0022】
本発明では、開口部の内周面に対向させて遮蔽部材の面構成部を配置した後、面構成部で囲まれた内側に進入させた打込器の打込み口から係合部材を打ち込み、係合部材によって面構成部を開口部の内周面に固着させる。このように、本発明では、係合部材を開口部の基材に対して打ち込むことで係合させる構成、すなわち係合部材の打ち込み方向の摩擦力によって面構成部を開口部の内周面に係合させる構成であるので、ビス等の締結部材を締め込むドライバ等の工具を、ねじ軸に対して同軸となる水平姿勢に配置する必要がなく、全周を閉じた開口部であっても、その開口部に打込器の少なくとも打込み口を進入させることで、打込器が斜めの姿勢であっても係合部材を確実にかつ良好な外観体裁を保って開口部の天板に打ち込むことができる。したがって、遮蔽部材の開口部からの脱落を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る遮蔽部材、什器、板体および遮蔽部材の組立方法によれば、開口部の内周面に対して強固に固定することができ、脱落を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態によるデスクを斜め前方から見た斜視図である。
【
図2】天板の開口部に設けられる遮蔽部材と配線機能部との分解斜視図である。
【
図3】天板の開口部遮蔽部材が固定された状態を示す斜視図である。
【
図4】配線機能部を天板の斜め下方から見た斜視図である。
【
図5】配線機能部を斜め上方から見た斜視図である。
【
図6】
図5に示すI-I線断面図であって、蓋部材を取り外した状態を示す図である。
【
図7】
図6において、蓋部材で開口部を塞いだ状態を示す縦断面図である。
【
図8】遮蔽部材の斜視図であって、一対の半割枠部材が組み合わされた状態を示す図である。
【
図9】遮蔽部材の斜視図であって、一対の半割枠部材が分割された状態を示す図である。
【
図11】一対の半割枠部材の係合部の状態を示す要部斜視図である。
【
図12】タッカーを使用して打込み針を打ち込む状態を示した断面図である。
【
図14】一対の半割枠部材の係合部分を厚さ方向を分断した側断面図である。
【
図15】遮蔽部材の組み立て状態を示す斜視図である。
【
図16】遮蔽部材の組み立て状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る遮蔽部材、什器、板体および遮蔽部材の組立方法について説明する。
【0026】
図1に示す本実施形態による遮蔽部材は、デスク1(什器、板体)の天板10(板材)に形成される周方向に閉塞した開口部11の内周面11aを遮蔽するための部材である。
デスク1は、天板10と、天板10の四隅にから下方に延びて床面F上に互いに離間して配設された4本の脚12と、を備えている。
【0027】
ここで、本実施形態では、デスク1に向かって着席した状態での左右方向を符号Dhとし、上方から見た平面視で左右方向Dhに直交する方向を前後方向Dfという。また、デスク1の前後方向Dfにおいて、天板10に向かう一方(
図1で紙面斜め左手前)の椅子側(不図示)を前方、前側といい、前後方向Dfで前方の反対側を後方、後側という。また、左右方向Dhおよび前後方向Dfにおいて、デスク1の中心を向く方向を内側とし、その反対側を外側とする。
なお、本実施形態のデスク1は、天板10が正方形であり、四辺のいずれの位置に着席して利用することが可能であるが、説明の便宜上、上述したように、
図1における紙面斜め左手前を前方、前側と定義する。
【0028】
デスク1は、上方から見て左右方向Dhおよび前後方向Dfの長さが同一となる正方形状をなしている。天板10は、4本の脚12の上端に固定されている。上面視して天板10の中央には、上下両方向に開口する方形(正方形)の開口部11が形成されている。脚12は、長尺で、不図示の固定ボルト等の固定手段によって天板10の四隅の下面10bに固定されている。
【0029】
開口部11は、天板10の下方の配線を天板10上に引き出すための配線用開口部である。開口部11は、天板10の厚さ方向に貫通して全周が閉じた状態で形成されている。開口部11の穴部分に位置する内周面11aは、略鉛直面を構成している。
【0030】
天板10は、木材が採用されるが、スチール製であってもよい。開口部11には、内周面11aを内側から覆う遮蔽部材20が取り付けられている。また、
図2及び
図3に示すように、遮蔽部材20が取り付けられた開口部11には、配線機能部2が設けられている。
【0031】
配線機能部2は、配線受け30と、蓋部材40と、蓋受け支持部材50と、を備えている。
【0032】
図3~
図6に示すように、配線受け30は、浅いトレー形状をなし、開口部11の下方で天板10の下面10bに取り付けられる。配線受け30は、配線ダクトとしての機能を有し、天板10の下方において配線を下方から受けるために設けられる。配線受け30上の配線は、開口部11を通じて天板10の上方に繋ぐことができる。
配線受け30は、略正方形の平板形状に形成された受板31と、受板31から上方に向けて延びる支持壁32と、を備える。
【0033】
受板31は、板面が天板10と平行で、かつ水平に配置されている。受板31の外周縁のうち対向する二辺31a、31aには、受板31から上方に向けて折り曲げられた支持壁32が連設している。受板31の外周縁のうち他の対向する二辺31b、31bには、上方に突出する外縁フランジ33が設けられている。受板31の上面31cに配置される配線は、周囲が支持壁32と外縁フランジ33によって受板31の上面31cよりも高くなっているので、受板31の上面31cから落下することが抑制されている。
【0034】
また、平面視して受板31の中央には、円形の開口可能部31eが形成されている。開口可能部31eは、使用用途に応じて、切り離し可能であり、切り離した状態で受板31に開口穴31fを形成することができる。
【0035】
対向する一対の支持壁32は、それぞれ同じ高さで設けられている。各支持壁32は、左右中央において上側が開口する切欠部32aが形成されている。支持壁32の左右両側が上方に支柱形状に延びている。支持壁32の4箇所の上端部には、支持壁32を天板10の下面10bに固定するための天板固定部34が設けられている。天板固定部34は、水平面を形成し、天板10の下面10bに面で当接して固定手段であるビス(図示省略)によって固定される。
【0036】
図4~
図7に示すように、蓋受け支持部材50は、天板10の下面10bにおける開口部11の四隅の隅部11c(
図2参照)に設けられる。各蓋受け支持部材50は、蓋部材40の四隅の角部を支持するために、開口部11内に突出するようにして取り付けられている。蓋受け支持部材50は、外端部が天板10の下面10bに複数のねじ(図示省略)により固定された平面視ほぼ方形の基板51と、この基板51の上面において開口部11の隅部11cに位置して蓋部材40の角部を係合するように突設された蓋係合部52と、を備えている。
【0037】
基板51は、蓋係合部52が配置されていない部分が天板固定面51aとなる。天板固定面51aは、天板10の下面10bに面で当接して固定手段のねじによって固定される。基板51の下面には、下向きに連設された柱状の支持筒53が設けられている。なお、支持筒53は、中空の筒状であってもよいし、中実であってもよい。支持筒53の外周面には、基板51の下面に接続する複数の補強リブ54が設けられている。基板51は、補強リブ54によって下方から支持されている。
【0038】
蓋係合部52は、蓋部材40の角部を構成する外縁二辺を上方から載置させた状態で係合させる。すなわち、蓋係合部52は、蓋部材40の水平方向への移動と下方への移動を規制して、天板10の開口部11を上から塞ぐように蓋部材40を配置させる。蓋係合部52は、基板51から上向きに突出する上段係合凸部55と、上段係合凸部55より低い高さの下段係合凸部56と、を有する。上段係合凸部55は、蓋部材40の後述するカバー本体41の頂部41c(
図5参照)に対向する位置に配置されている。上段係合凸部55および下段係合凸部56は、上述したように開口部11の隅部11cに対して遮蔽部材20を挟み込むように配置される。
【0039】
図5に示すように、上段係合凸部55は、蓋部材40の角部を構成する二辺に平行かつ互いに直角に交差する第1係止側面55aと第2係止側面55bとを有する。下段係合凸部56は、上面視して上段係合凸部55の第1係止側面55aから直交方向に延設されるものと、上段係合凸部55の第2係止側面55bから直交方向に延設されるものと、を有する。
【0040】
上段係合凸部55には、蓋部材40のカバー本体41の角部41bに形成される係合凹部43a(後述する)が係合する。このとき、上段係合凸部55の第1係止側面55aおよび第2係止側面55bのそれぞれが前記係合凹部43aの内周面に当接、あるいは近接している。
【0041】
下段係合凸部56の上面56aには、蓋部材40の角部が上方から載置される。下段係合凸部56の上面56aには、各下段係合凸部56が延出する方向に平行に延びて上向きに開口する係止溝56bが形成されている。この係止溝56bには、蓋部材40が蓋受け支持部材50に係合して開口部11を塞いだ状態において、後述する蓋部材40のコーナー部材43の突条43c(
図6参照)が係止される。
【0042】
図5~
図7に示すように、蓋部材40は、四隅の角部が蓋受け支持部材50に支持されることで閉塞状態を保持するように開口部11に着脱可能に装着されている。蓋部材40は、厚さが、天板10の厚みよりも小さく、かつ開口部11の大きさより若干小さな方形板状(正方形板状)をなすカバー本体41と、カバー本体41の四隅の角部41bを除いた各辺部の外周面41aから同一面方向に突出する縁カバー42と、縁カバー42の両側に延設するようにカバー本体41の四隅の各角部41bに配置されるコーナー部材43と、を備えている。カバー本体41は、例えば樹脂製である。
【0043】
縁カバー42の基端部は、カバー本体41の外周面41aの下面に固定されている。縁カバー42は、例えばゴムまたはエラストマー等からなる可撓性を有する板状部材である。四方の縁カバー42の外縁42aによって形成される外殻部は、天板10の開口部11に設けられる遮蔽部材20の内壁面に対してほぼ隙間のない状態で近接する。つまり、縁カバー42は、カバー本体41の外周面41aと遮蔽部材20の内壁面との間の隙間を閉塞する。
【0044】
コーナー部材43は、縁カバー42の上面とほぼ同一面となるようにして、カバー本体41の下面に不図示のねじ等の固定手段により固定されている。コーナー部材43は、蓋部材40を所定位置で天板10の開口部11に装着したときに、蓋受け支持部材50の下段係合凸部56の上面56aを上から重なった状態で載置される。
【0045】
コーナー部材43には、カバー本体41の頂部41cを挟んで隣り合うコーナー部材43同士によって上面視して直角に交差する係合凹部43aが形成されている。係合凹部43aは、蓋受け支持部材50に設けられる上段係合凸部55に係合する。係合凹部43aが上段係合凸部55に係合したときに、係合凹部43aを形成する直交する内周面がそれぞれ上段係合凸部55の第1係止側面55aおよび第2係止側面55bに対向した位置となるので、蓋部材40がカバー本体41の外周面41aに沿う直交する二方向の移動が規制される。
【0046】
各コーナー部材43の先端部下面には、カバー本体41の外周面41aと平行な突条43cが下向きに突設されている。突条43cは、蓋受け支持部材50に設けられる下段係合凸部56の係止溝56b内に上方から係止される。
【0047】
ここで、蓋部材40を開口部11に装着する方法について説明する。具体的に、蓋部材40を開口部11の内周面11aに固定された遮蔽部材20に装着する。このとき、配線受け30および蓋受け支持部材50は、天板10の下面10bに固定されている。また、後述する遮蔽部材20も開口部11の内周面11aに固定された状態である。
【0048】
蓋部材40を開口部11に装着する際には、蓋部材40を開口部11内に上方より挿入し、カバー本体41の四隅の角部41bに取り付けたコーナー部材43を、カバー本体41の頂部41cを挟んで隣り合うコーナー部材43同士によって形成される係合凹部43aを上段係合凸部55に係合させるとともに、開口部11の隅部11cに取り付けた蓋受け支持部材50に設けられる下段係合凸部56の上面56aに載置する。これにより、蓋部材40は、開口部11に装着される。
【0049】
この状態で、蓋部材40の縁カバー42を弾性変形させることにより、天板10上に載置したOA機器等のケーブルを配線受け30の受板31に落とし込んで配線することができる。また、デスクタップ等の大きな電気機器を、天板10の上方から配線受け30に載置する際は、蓋部材40を開口部11より取り外すようにしてもよい。
【0050】
図3、
図8、
図9及び
図10に示すように、遮蔽部材20は、開口部11の内周面11aに沿って配置され、開口部11の内周面11aを遮蔽するように周方向に閉塞して形成されている。遮蔽部材20は、合成樹脂により成型されることで形成されている。
【0051】
遮蔽部材20は、開口部11の内周面11aに対向する鉛直面を有する枠板部材21(面構成部)と、開口部11の内周面11aに係合し、内周面11aとの間で枠板部材21を挟持するタッカー60(打込器)用の打込み針22(係合部材、打込み部材)と、を備えている(
図11及び
図12参照)。枠板部材21は、四隅に丸みをもたせた略正方形で薄板状の枠体である。
図11及び
図12に示すように、枠板部材21は、打込み針22によって開口部11の内周面11aに固着され、内周面11aを遮蔽した状態で天板10に支持されている。
【0052】
打込み針22は、タッカー60の打込み口61から開口部11の内周面11aに対して略垂直な方向(略水平方向)に打ち込まれて摩擦力により天板10に固定される。打込み針22は、開口部11の内周面11aに交差する方向に打ち込まれて摩擦力により天板10に固定される摩擦係合部221と、内周面11aとの間で枠板部材21を挟持する挟持部222と、を備えている。打込み針22は、例えば、コ字型のステーブルが採用されるが、このような針形状に限定されることはなく、釘のような係合部材であってもよい。
【0053】
使用されるタッカー60としては、一般的に周知のものを採用できる。
図12に示すように、タッカー60は、先端部に打込み針22が打ち出される打込み口61を有するタッカー本体部62と、打込み口61と反対側に設けられる持ち手63と、持ち手63に設けられる操作部64と、が一体に設けられた手持ち可能な治具である。タッカー60では、被打込み面(ここでは後述する下部壁212の指示壁部212b)に対して打ち込み方向を垂直に向けた姿勢とする必要はなく、斜め姿勢でも水平姿勢で打ち込んだ状態とほぼ同等にかつ確実に開口部11を構成する天板10に打ち込んで係合させることができる。
【0054】
図11及び
図13に示すように、枠板部材21は、上側に位置する薄肉部の上部壁211と、上部壁211より下方に位置する厚肉部の下部壁212と、を備える。上部壁211は、内周面が下方から上方に向かうに従い漸次、開口部11の内周面11a側に向けて傾斜する傾斜面211aが形成されている。下部壁212は、内周面が鉛直面212aを形成している。すなわち、上部壁211は下部壁212より厚みが小さい。そのため、遮蔽部材20は、上端部20a側の開口が下端部20b側の開口より大きくなっている。具体的には、遮蔽部材20は天板10に取り付けられた状態で形状が維持される。そのため、遮蔽部材20が天板10に取り付けられた状態において、遮蔽部材20の上部における対向する二辺間の距離は下部における対向する二辺間の距離よりも大きくなっている。
下部壁212には、
図12に示すように、打込み針22が厚み方向に貫通される。そして、下部壁212を貫通した打込み針22は、開口部11の内周面11aに係合した状態となる。
【0055】
下部壁212の鉛直面212aには、打込み針22の係合位置を表示する複数の指示壁部212b(指示部)が周方向に一定の間隔をあけて設けられている。本実施形態では、枠板部材21の一辺あたり、5箇所に指示壁部212bが設けられている(
図8参照)。5箇所の指示壁部212bのうち後述する半割枠部材23、24同士の係合部分に位置する指示壁部212bは、一対の半割枠部材23、24の両者が厚み方向に重なった状態で打込み針22によって貫通される。
図11に示すように、指示壁部212bは、下部壁212の鉛直面212aにおける下端から上端(上部壁211の下端)近傍までの高さで、幅が打込み針22の挟持部222の長さより大きい寸法である。指示壁部212bは、下部壁212の鉛直面212aから開口部11の内周面11a側に凹む薄壁部となっている。
【0056】
図8及び
図9に示すように、遮蔽部材20の枠板部材21は、開口部11の内周面11aに沿う縦横二方向(左右方向Dh及び前後方向Df)のいずれか一方(ここでは、左右方向Dh)に沿う分割直線K(
図8参照)によって均等に二分割され、平面視してコ字状に形成された一対の半割枠部材23、24(第1半割枠部材23、第2半割枠部材24)を備えている。第1半割枠部材23と第2半割枠部材24とは、それぞれの端部23a、23b、24a、24bに形成される係合部を含めて同一形状である。
【0057】
図8~
図11に示すように、第1半割枠部材23における、第2半割枠部材24に対向する第1端部23aには、第2半割枠部材24の第1端部24aに向けて突出する係合凸部231が形成されている。係合凸部231は、第1端部23aにおける下部に形成されている。第1半割枠部材23における第2端部23bには、第2半割枠部材24の第2端部24bに形成される後述する係合凸部241が係合する係合凹部232が形成されている。係合凹部232は、第2端部24bにおける下部に形成されている。
第2半割枠部材24における第1端部24aには、第1半割枠部材23の係合凸部231と係合する係合凹部242が形成されている。係合凹部242は、第1端部24aにおける下部に形成されている。第2半割枠部材24における第2端部24bには、第1半割枠部材23の第2端部23bの係合凹部232に係合する係合凸部241が形成されている。係合凸部241は、第2端部24bにおける下部に形成されている。
【0058】
図9に示すように、第1半割枠部材23の係合凹部232及び第2半割枠部材24の係合凹部242には、それぞれに係合される係合凸部231、241における開口部11の内側に移動しないように規制する規制板234、244が設けられている。規制板234、244は、係合凹部232、242内の空間部分に対して枠板部材21の厚さ方向で開口部11の内側から重なった状態で設けられる。すなわち、規制板234、244は、係合凹部232、242に係合された係合凸部231、241に対して厚み方向に重なっている。規制板234、244は、係合凸部231、241の内側(開口部11の内方向)に重なっているので、一対の半割枠部材23、24が開口部11の内方向へ移動することによる位置ずれを防止できる。
【0059】
このように、一対の半割枠部材23、24は、それぞれの係合凸部231、241と係合凹部232、242との係合、及び規制板234、244と係合凸部231、241との当接によって上下方向及び開口部11の内方向への相対的な移動が規制されている。
【0060】
図11及び
図12に示すように、半割枠部材23、24の上端部20aには、開口部11の上縁部11b(表面側縁部)に上から係止するフランジ部233、243を備えている。フランジ部233、243は、枠板部材21の断面に直交する方向から見た側面視で半割枠部材23、24の上端部20aから開口部11側に向けて突出している。
【0061】
図14に示すように、係合凸部231、241及び係合凹部232、242は、フランジ部233、243より下方に形成されている。一対の半割枠部材23、24における対向するフランジ部233、243同士は当接している。
【0062】
フランジ部233、243の下方において、第1半割枠部材23に形成された係合凸部231における、第2半割枠部材24の第1端部24aを向く第1対向縁部23cは、第2半割枠部材24に形成された係合凹部242における、第1半割枠部材23の係合凸部231を向く第2対向縁部24cから離間している。すなわち、一対の半割枠部材23、24同士が閉状態に組み合わされたときに、第1対向縁部23cと第2対向縁部24cとの間には、わずかな隙間Sが形成されている。
【0063】
図15に示すように、遮蔽部材20を天板10の開口部11に取り付ける際には、先ず、枠板部材21を開口部11の内周面11aを遮蔽するように対向させて配置する。具体的には、先行して一方の第1半割枠部材23を開口部11の内周面11aの半分の領域に仮置きした状態で配置する。このとき、まだタッカー60による打込み針22の打ち込みはしない。次に、第2半割枠部材24を開口部11の内周面11aに配置し、先行した第1半割枠部材23に組みわせる。このとき、第1半割枠部材23と第2半割枠部材24のそれぞれの係合凸部231、241及び係合凹部232、242を係合させる。なお、第2半割枠部材24を先行して配置してもよい。
【0064】
次に、
図16に示すように、枠板部材21によって囲まれた内側に少なくともタッカー60の打込み口61を進入させ、タッカー60によって打込み針22を開口部11の内周面11aに向けて打ち込み、打込み針22によって枠板部材21(一対の半割枠部材23、24)を内周面11aに固着させ、内周面11aを枠板部材21によって遮蔽した状態で遮蔽部材20を天板10に支持する(
図13参照)。このようにして遮蔽部材20が開口部11の内周面11aを遮蔽するように組み立てることができる。
【0065】
なお、本実施形態では、第1半割枠部材23を先行して開口部11に配置した後に第2半割枠部材24を開口部11に配置する手順とし、開口部11内で第1半割枠部材23と第2半割枠部材24とを組み合わせているが、個別に配置する手順であることに限定されることはない。すなわち、先行して2つの第1半割枠部材23と第2半割枠部材24とを組み合わせた後で、その矩形状に組み合わせた枠板部材21を開口部11に組み付けてタッカー60で打込み針22を開口部11の内周面11aに打ち込むようにしてもよい。
【0066】
このように構成された遮蔽部材20では、天板10の厚さ方向に貫通する開口部11の内周面11aを遮蔽する。遮蔽部材20は、合成樹脂により形成され、内周面11aに対向して内周面11aを遮蔽している枠板部材21と、内周面11aに係合し、内周面11aとの間で枠板部材21を挟持する打込み針22と、を備える。
【0067】
このように本実施形態では、打込み針22によって遮蔽部材20の枠板部材21を開口部11の内周面11aとの間で挟持させて固着することができ、これにより遮蔽部材20を開口部11の内周面11aを遮蔽した状態で天板10に堅牢に支持させることができる。すなわち、遮蔽したい開口部11の内周面11aに対して直接、遮蔽部材20の保持力を与えることができる。したがって、本実施形態では、開口部11の内周面11aからの遮蔽部材20の脱落を確実に防止できる。
そして、本実施形態のように天板10である場合には、天板10の上下方向に貫通する開口部11のように、下方に遮蔽部材20が下がりやすい場合にはとくに効果的である。
【0068】
また、本実施形態では、枠板部材21は、枠板部材21の天板10の上側に位置する薄肉部の上部壁211と、上部壁211より天板10の下方に位置する厚肉部の下部壁212と、を備える。打込み針22は、下部壁212を貫通して内周面11aに係合している。
このような構成とすることで、天板10の上側に薄肉部の上部壁211が位置しているので、上方から見た遮蔽部材20の外観体裁が良好となり、意匠性を向上できる。さらに、薄肉部の上部壁211の下方を厚肉部の下部壁212とすることで、剛性の大きな下部壁212に打込み針22の係合代を確保することができる。つまり、打込み針22を厚肉部を使用して開口部11の内周面11aに係合することで、打込み針22の係合による遮蔽部材20自体の割れなどの損傷が生じることを抑制できる。したがって、遮蔽部材20自体と、遮蔽部材20によって遮蔽された開口部11の内周面11aの外観体裁を良好にでき、かつ遮蔽部材20の開口部11からの脱落を確実に防止できる。
【0069】
また、本実施形態では、厚肉部である下部壁212には、打込み針22の係合位置を表示する指示壁部212bが設けられている。
この場合には、遮蔽部材20を開口部11の内周面11aに固定する際に、打込み針22を係合位置を表示した指示壁部212bに位置させて係合することができる。そのため、指示壁部212bを設けることにより、打込み針22の係合位置が判り易くなり、遮蔽部材20の天板10への組み付けの作業性を向上させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、指示壁部212bは、厚肉部の下部壁212の内面から開口部11の内周面11a側に凹む。
この場合には、指示壁部212bとすることで、打込み針22を係合させる位置の判別をより容易に行うことができ、遮蔽部材20の天板10への組み付けの作業性を向上させることができる。
【0071】
また、本実施形態では、打込み針22は、開口部11の内周面11aに交差する方向に打ち込まれて摩擦力により天板10に固定される摩擦係合部221と、内周面11aとの間で枠板部材21を挟持する挟持部222と、を備えている。
そのため、打込み針22を開口部11の内周面11aに交差する方向に打ち込むことで、その打込み針22の摩擦係合部221による摩擦力により遮蔽部材20を天板10に固定し、さらに打込み針22の挟持部222で内周面11aとの間で枠板部材21を挟持することで、遮蔽部材20を確実に開口部11の天板10に固定できる。この場合には、ビスやボルト等のようにねじの回転方向の摩擦力で固定するものではなく、締め込む締結用の長尺な工具が不要となり、遮蔽部材20を開口部11の内周面11aに対して固着する作業が容易になる。
【0072】
また、実施形態によるデスク1や天板10を有する板体では、遮蔽部材20と、遮蔽部材20によって遮蔽される開口部11を有する天板10と、を備えているので、開口部の内周面からの遮蔽部材の脱落を確実に防止できるという上述した効果を有するものを提供できる。
【0073】
また、本実施形態では、上述した遮蔽部材20を天板10の開口部11に取り付ける組立方法において、打込み針22を開口部11の天板10に対して打ち込むことで係合させる構成、すなわち打込み針22の打ち込み方向の摩擦力によって枠板部材21を開口部11の内周面11aに係合させる構成であるので、ビス等の締結部材を締め込むドライバ等の工具を、ねじ軸に対して同軸となる水平姿勢に配置する必要がなく、全周を閉じた開口部11であっても、その開口部11にタッカー60の少なくとも打込み口61を進入させることで、タッカー60が斜めの姿勢であっても打込み針22を確実にかつ良好な外観体裁を保って開口部11の天板10に打ち込むことができる。したがって、遮蔽部材20の開口部11からの脱落を確実に防止できる。
【0074】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0075】
例えば、上記に示す実施形態では、開口部11が形成される板材としてデスク1の天板10を一例としているが、天板10であることに限定されることはない。例えば、板材が面方向を鉛直方向に向けた壁やパーテーションであってもよく、このような鉛直方向の壁面に形成される開口部に遮蔽部材を固定する構成であってもよい。
【0076】
また、本実施形態では、平面視して略正方形の天板10で、その天板10の中央に平面視して略正方形(矩形)の開口部11が形成されているが、天板10や開口部11の平面形状や大きさ、天板10に対する開口部11の位置等の構成は適宜変更可能である。例えば、平面視して円形状の開口部であってもよい。そして、開口部は、本実施形態のように全周が閉じた開口部であることに限定されることはなく、開口部の周方向の一部が開いた形状の開口部に適用することも可能である。
【0077】
また、本実施形態では、開口部11の内周面11aに係合し、内周面11aとの間で枠板部材21を挟持する係合部材として、タッカー60によって打ち込まれる打込み針22を適用しているが、係合部材が打込み針22であることに限定されることはない。例えば、釘材のような打込み部材を採用することも可能である。要は、係合部材が、ビスのような締め込みによるものではなく、内周面11aとの間で枠板部材21を挟持する部材であればよいのである。
【0078】
また、実施形態では、枠板部材21が薄肉部の上部壁211と、厚肉部の下部壁212と、を備え、打込み針22を厚肉部の下部壁212を貫通させて開口部11の内周面11aに係合させる構成としているが、このように枠板部材21の上部の厚みを薄くする構成に限定されることはなく、枠板部材21の全体の厚みを一定にしてもよい。
【0079】
さらに、本実施形態では、厚肉部である下部壁212には係合部材の係合位置を表示する指示壁部212b(指示部)が設けられているが、このような指示壁部212bを省略することも可能である。また、本実施形態のように指示壁部212bが下部壁212の内面から開口部11の内周面11a側に凹む形状としているが、このような形状であることに制限されるものではない。例えば、指示部の他の形態として、下部壁212の内面から凹む上記指示壁部212bに代えて、下部壁212の平坦な内面(鉛直面212a)のうち係合部材の係合位置の周方向両側の位置において、開口部11の内周方向に突出し、上下方向に延びる一対のリブ状の壁部を指示部としてもよい。この場合には、一対のリブ状の壁部同士の間が係合位置であることを示すものである。また、指示部としてリブ状の壁部とすることにより、係合部材が打ち込まれる部分の遮蔽部材の剛性を高める効果もある。
そして、枠板部材21の各辺に設けられる指示壁部212bの数量もとくに限定されることはなく、指示壁部212bが係合部材の係合箇所によって決めることができる。
【0080】
さらにまた、開口部11に設けられる配線機能部2の構成は、上述した実施形態に限定されることはないし、配線機能部2を省略することも可能である。また、配線を収容する配線機能部2が開口部11に配置されることにも限定されることはなく、他の機能を有する機能部が開口部11に取り付けられる構成であってもよい。
【0081】
また、本実施形態では、半割枠部材23、24(枠板部材21)の上端部20aに開口部11の上縁部11bに上側から係止するフランジ部233、243を備えた構成としているが、このフランジ部233、243を省略することも可能である。
【0082】
また、本実施形態では、第1半割枠部材23の対向縁部23cが第2半割枠部材24の対向縁部24cから離間し、対向縁部23c、24c同士の間に隙間Sが形成された構成となっているが、このような隙間Sが形成されない構成とすることも可能である。
【0083】
また、第1半割枠部材23と第2半割枠部材24のそれぞれの係合構造は、上記実施形態に限定されることはない。例えば、第1半割枠部材23と第2半割枠部材24の係合凹部232、242を、枠板部材21の厚さ方向両側および上下両側を覆って全周が囲まれた係合孔とし、係合凸部231、241を、前記係合孔に係合する係合突片とする構成としてもよい。
【0084】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 デスク(什器、板体)
2 配線機能部
10 天板(板材)
10b 下面
11 開口部
11a 内周面
20 遮蔽部材
20a 上端部
20b 下端部
21 枠板部材(面構成部)
211 上部壁(薄肉部)
211a 傾斜面
212 下部壁(厚肉部)
212a 鉛直面
212b 指示壁部(指示部)
22 打込み針(係合部材、打込み部材)
221 摩擦係合部
222 挟持部
23 第1半割枠部材
24 第2半割枠部材
30 配線受け
40 蓋部材
50 蓋受け支持部材
60 タッカー(打込器)