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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034461
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20240306BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H01L21/88 R
H01L21/88 N
H01L21/90 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138694
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 章
【テーマコード(参考)】
5F033
【Fターム(参考)】
5F033HH08
5F033HH11
5F033HH18
5F033HH19
5F033HH21
5F033JJ08
5F033JJ11
5F033JJ18
5F033JJ19
5F033JJ21
5F033KK08
5F033KK11
5F033KK19
5F033LL06
5F033MM01
5F033MM02
5F033MM12
5F033MM13
5F033NN06
5F033NN07
5F033PP14
5F033PP15
5F033PP27
5F033QQ09
5F033QQ13
5F033QQ21
5F033QQ37
5F033QQ48
5F033QQ73
5F033QQ80
5F033RR04
5F033RR05
5F033SS11
5F033TT02
5F033XX05
5F033XX06
5F033XX10
(57)【要約】
【課題】配線の抵抗を低減しつつ、信頼性を向上することができる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る半導体装置は、第1層間絶縁膜と、前記第1層間絶縁膜に設けられた下層配線層と、前記第1層間絶縁膜上に設けられ、且つ第1溝が形成された第2層間絶縁膜と、前記第2層間絶縁膜の前記第1溝内に設けられ、前記下層配線層に電気的に接続された上層配線層と、を備え、前記上層配線層は、前記第1溝内に設けられ且つTaを主成分とする第1バリアメタル膜と、前記第1溝内に第1バリアメタル膜を介して形成されたTiを主成分とする第2バリアメタル膜と、前記第1溝内に前記第1バリアメタル膜及び第2バリアメタル膜を介して設けられた第1金属を主成分とする第1導電膜と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層間絶縁膜と、
前記第1層間絶縁膜に設けられた下層配線層と、
前記第1層間絶縁膜上に設けられ、且つ第1溝が形成された第2層間絶縁膜と、
前記第2層間絶縁膜の前記第1溝内に設けられ、前記下層配線層に電気的に接続された上層配線層と、を備え、
前記上層配線層は、
前記第1溝内に設けられ且つTaを主成分とする第1バリアメタル膜と、
前記第1溝内に第1バリアメタル膜を介して形成されたTiを主成分とする第2バリアメタル膜と、
前記第1溝内に前記第1バリアメタル膜及び第2バリアメタル膜を介して設けられた第1金属を主成分とする第1導電膜と、を含む、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1導電膜中には、Tiが存在していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1バリアメタル膜、および、第2バリアメタル膜は、アモルファスであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1導電膜の主成分である前記第1金属は、W、Al、又はCuの何れかであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
第1層間絶縁膜を形成することと、
前記第1層間絶縁膜に下層配線層を形成することと、
前記第1層間絶縁膜上に、第1溝が形成された第2層間絶縁膜を形成することと、
前記第2層間絶縁膜の前記第1溝内に、前記下層配線層に電気的に接続された上層配線層を形成することと、を備え、
前記上層配線層は、
前記第1溝内に設けられ且つTaを主成分とする第1バリアメタル膜と、
前記第1溝内に第1バリアメタル膜を介して形成されたTiを主成分とする第2バリアメタル膜と、
前記第1溝内に前記第1バリアメタル膜及び第2バリアメタル膜を介して設けられた第1金属を主成分とする第1導電膜と、を含む、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
アニール処理により、前記第1導電膜中には、前記第2バリアメタル膜に含まれていたTiが拡散している
ことを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Cuを含む配線を有するLSIなどの半導体装置では、Cuの拡散防止のためにTaを含むバリアメタル膜をCu配線の側壁および底面に形成する方法が用いられるようになってきている。また、Tiを当該バリアメタル膜の材料として用いることも提案されている。
【0003】
このようなTiを主成分とするバリアメタル膜は、低コストであり且つバリアメタル膜の材料自体のCu配線中への拡散により高信頼性が得られるものであるが、成膜後の高温処理にて層間絶縁膜中の水分が当該バリアメタル膜のTiを酸化させることとなり、結果として半導体装置の配線の抵抗値が高くなる。
【0004】
一方、一般的にバリアメタル膜として使用されているTa自体は、酸化しないが、Cu配線中に拡散しないため、当該Cu配線のマイグレーションの発生を十分に抑制できないものであり、半導体装置の信頼性がTiをバリアメタル膜の材料として選択した場合よりも低くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-039019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一つの実施形態は、配線の抵抗を低減しつつ、信頼性を向上することができる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの実施形態に係る半導体装置は、
第1層間絶縁膜と、
前記第1層間絶縁膜に設けられた下層配線層と、
前記第1層間絶縁膜上に設けられ、且つ第1溝が形成された第2層間絶縁膜と、
前記第2層間絶縁膜の前記第1溝内に設けられ、前記下層配線層に電気的に接続された上層配線層と、を備え、
前記上層配線層は、
前記第1溝内に設けられ且つTaを主成分とする第1バリアメタル膜と、
前記第1溝内に第1バリアメタル膜を介して形成されたTiを主成分とする第2バリアメタル膜と、
前記第1溝内に前記第1バリアメタル膜及び第2バリアメタル膜を介して設けられた第1金属を主成分とする第1導電膜と、を含む、
ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る半導体装置を示す斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る半導体装置の分解斜視図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る半導体装置の断面構造を示す説明図である。
図4図4は、1つのビアの抵抗値と確率分布との関係を示す説明図である。
図5図5は、配線で接続された複数のビアの抵抗値と確率分布との関係を示す説明図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す説明図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す説明図である。
図8図8は、第2の実施形態に係る半導体装置の断面構造を示す説明図である。
図9図9は、第3の実施形態に係る半導体装置の断面構造を示す説明図である。
図10図10は、第4の実施形態に係る半導体装置の断面構造を示す説明図である。
図11図11は、第5の実施形態に係る半導体装置の断面構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体装置及び半導体装置の製造方法を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置を示す斜視図であり、図2は、第1の実施形態に係る半導体装置の分解斜視図である。また、図3は、第1の実施形態に係る半導体装置の断面構造を示す説明図である。
【0011】
[半導体装置]
例えば、図1に示すように、半導体装置1は、互いに貼合される、第1基板3と、第2基板2と、を備える。
【0012】
第1基板3は、例えば、CMOSイメージセンサ20から撮像画像の画像信号を読み出し、読み出した画像信号に対して種々の信号処理を行うロジック回路などを備えるロジック基板である。
【0013】
また、第2基板2は、例えば、被写体を撮像するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ20などを備えるセンサ基板である。なお、半導体装置1は、第1のロジック基板と第2のロジック基板とが貼合される構成であってもよく、ロジック基板とメモリ基板とが貼合される構成であってもよい。また、半導体装置1は、3以上の基板が貼合される構成であってもよい。
【0014】
そして、図2に示すように、第1基板3は、ロジック回路などが設けられるデバイス層31と、このデバイス層31の上側表面に設けられ、複数の金属電極や配線を含む第1接続配線層32とを備える。当該電極は、一方の端面が第1接続配線層32から露出した状態で、第1接続配線層32に埋設され、例えば、デバイス層31内部の配線を介してロジック回路などに接続される。
【0015】
一方、第2基板2は、CMOSイメージセンサ20などが設けられるデバイス層21と、デバイス層21の下側表面に設けられ、第1基板3の電極と対応する位置に埋設される複数の金属電極や配線を含む第2接続配線層22とを備える。電極は、一方の端面が第2接続配線層22から露出した状態で、第2接続配線層22に埋設され、例えば、デバイス層21内部の配線を介してCMOSイメージセンサ20などに接続される。
【0016】
これら第2基板2及び第1基板3は、各貼合面が研磨されて平坦化され、貼合面に対して活性化処理が施された後、接着剤を使用せずに直接貼合される。これにより、第2基板2と第1基板3とは、第1接続配線層32と第2接続配線層22との間の分子間力による水素結合によって仮接合される。その後、第2基板2及び第1基板3には、所定の条件の加熱処理が施される。これにより、第2基板2と第1基板3とは、第1接続配線層32と第2接続配線層22との間の共有結合によって本接合される。
【0017】
このように、半導体装置1では、第2基板2が備えるCMOSイメージセンサ20の下面に設けられる電極と、第1基板3の上面に設けられる電極とを接続することができる。したがって、例えば、第1基板3が備えるロジック回路によれば、CMOSイメージセンサ20の直下から信号の読み出しを行うことができるので、基板の占有面積を低減することが可能となる。
【0018】
ここで、この第1の実施形態においては、一例として、半導体装置1の第1基板3の電極や配線等に適用される上層配線層33を含む第1接続配線層32の配線の抵抗を低減しつつ、信頼性を向上するための構成について、より詳しく説明する。かかる半導体装置1の製造方法の詳細については、図6ないし図8を参照して後述する。また、第2基板2の第2接続配線層32の構成に関しても同様に説明される。
【0019】
以下では、図3を参照して、第1の実施形態に係る半導体装置1の断面構造について説明する。なお、図3には、図1に示す半導体装置1の第1基板3の第1接続配線層32の断面の近傍の領域を選択的に図示している。
【0020】
例えば、図3に示すように、第1の実施形態に係る半導体装置1の第1基板3の第1接続配線層32は、デバイス層31(図2参照)側から順に積層される酸化シリコン層45、SiCN膜46、及び酸化シリコン層47を備える。なお、本実施形態においては、酸化シリコン層45は、第1層間絶縁膜を構成する。さらに、SiCN膜46、及び酸化シリコン層47は、第2層間絶縁膜を構成する。そして、酸化シリコン層45の内部には、デバイス層31(図2参照)の内部に設けられるロジック回路などのデバイスに接続される下層配線層36が設けられる。
【0021】
このように、第1の実施形態に係る半導体装置1は、第1層間絶縁膜45と、下層配線層36と、第2層間絶縁膜46、47と、上層配線層33と、を備える。
【0022】
なお、当該半導体装置1において、下層配線層36上にCo層などのギャップ膜がある構造の場合には、第2層間絶縁膜46、47のうちのSiCN膜46は、不要となるため、省略されるように構成される。
【0023】
そして、下層配線層36は、第1層間絶縁膜45に設けられている。なお、本実施形態においては、この下層配線層36を構成する導電膜の主成分である第2金属(主元素)は、例えば、Cuである。なお、当該導電膜の主成分である第2金属(主元素)は、例えば、W、又はAl等の他の金属であってもよい。
【0024】
また、第2層間絶縁膜46、47は、第1層間絶縁膜45上に設けられ、且つ第1溝M1が形成されている。既述のように、第2層間絶縁膜46、47は、SiCN膜46及び酸化シリコン層47を含む。
【0025】
また、上層配線層33は、第2層間絶縁膜46、47の第1溝M1内に設けられ、下層配線層36に電気的に接続されている。
【0026】
この上層配線層33は、例えば、図3に示すように、第1バリアメタル膜34aと、第2バリアメタル膜34bと、第1導電膜35と、を含む。
【0027】
そして、第1バリアメタル膜34aは、第1溝M1内に設けられ且つTaを主成分とするバリアメタル膜である。なお、この第1バリアメタル膜34aは、例えば、Ta膜である。
【0028】
また、第2バリアメタル膜34bは、第1溝M1内に第1バリアメタル膜34aを介して形成されたTiを主成分とするバリアメタル膜である。
【0029】
また、第1導電膜35は、第1溝M1内に第1バリアメタル膜34a及び第2バリアメタル膜34bを介して設けられた第1金属を主成分とする導電膜である。本実施形態においては、この第1導電膜35の主成分である第1金属(主元素)は、Cuである。
【0030】
この第1導電膜35は、例えば、図3に示すように、第2バリアメタル膜34bに隣接している。したがって、例えば、後述のアニール処理により、この第1導電膜35中には、第2バリアメタル膜34bに含まれていたTiが拡散(存在)している。これにより、第1導電膜35を構成するCuのマイグレーションの発生を抑制することができるようになっている。
【0031】
なお、既述のように、第1導電膜35の主成分である第1金属(主元素)は、本実施形態においてはCuであるが、例えば、W、又はAl等の他の金属であってもよい。
【0032】
なお、この第1導電膜35は、例えば、図3に示すように、下層配線層36に第1及び第2バリアメタル膜34a、34bを介して電気的に接続されたビア配線膜35aと、ビア配線膜35a上に設けられた上層配線膜35bと、を含む。なお、以下では、ビア配線膜35aと上層配線膜35bとを区別せずに、簡略的に第1導電膜35としてのみ説明する場合がある。
【0033】
なお、第1バリアメタル膜34a、第2バリアメタル膜34b及び第1導電膜35は、図3に示す例では、第1溝M1内に設けられているが、第1溝M1の周囲まで連続的に設けられていてもよい。
【0034】
ここで、半導体装置1の配線の抵抗を低減しつつ、信頼性を向上させるための、第1接続配線層32の上層配線層33の近傍における構成や条件等について説明する。
【0035】
既述のように、Tiを主成分とするバリアメタル膜は、低コストであり且つバリアメタル膜の材料自体のCu配線中への拡散により高信頼性が得られるものであるが、成膜後の高温処理にて層間絶縁膜中の水分が当該バリアメタル膜のTiを酸化させることとなり、結果として半導体装置の配線の抵抗値が高くなる。一方、一般的にバリアメタル膜として使われているTa自体は、酸化しないが、Cu配線中に拡散もしないため、Cu配線のマイグレーションの発生を十分に抑制できないものであり、半導体装置の信頼性がTiをバリアメタル膜の材料として選択した場合よりも低くなる。
【0036】
図4は、1つのビアの抵抗値と確率分布との関係を示す説明図である。なお、この図4においては、実施例として、第1バリアメタル膜(10nmの膜厚を有するTa膜)と第2バリアメタル膜(5nmの膜厚を有するTi膜)とを備えたCuのビアの測定結果を示している。さらに、比較例として、20nmの膜厚を有するTa膜のみをバリアメタル膜として備えたCuのビアのサンプルの測定結果、及び、20nmの膜厚を有するTi膜のみをバリアメタル膜として備えたCuのビア配線のサンプルの測定結果も示している。
【0037】
この図4に示すように、例えば、比較例であるTiを主成分とするバリアメタル膜は、成膜後の高温処理にて層間絶縁膜中の水分が当該バリアメタル膜のTiを酸化させることとなり、ビアの抵抗が高くなる傾向がある。また、比較例であるTaを主成分とするバリアメタル膜は、成膜後の高温処理によっても酸化しないため、ビアの抵抗が低く抑えられる傾向がある。
【0038】
一方、実施例である第1バリアメタル膜(10nmの膜厚を有するTa膜)と第2バリアメタル膜(5nmの膜厚を有するTi膜)とを備えたCuのビアにおいては、Taを主成分とする第1バリアメタル膜により、層間絶縁膜中の水分がTiを主成分とする第2バリアメタル膜に到達するを抑制して、当該第2バリアメタル膜が酸化するのを抑制するため、ビアの抵抗が低く抑えられるものとなる。
【0039】
次に、図5は、配線で接続された複数のビアの抵抗値と確率分布との関係を示す説明図である。なお、この図5においては、所定の加熱条件下において、実施例として、第1バリアメタル膜(10nmの膜厚を有するTa膜)と第2バリアメタル膜(5nmの膜厚を有するTi膜)とを備えたCuの複数個接続されたビアの測定結果を示している。さらに、同様の加熱条件下において、比較例として、20nmの膜厚を有するTa膜のみをバリアメタル膜として備えたCuの複数個接続されたビアのサンプルの測定結果、及び、20nmの膜厚を有するTi膜のみをバリアメタル膜として備えたCuの複数個接続されたビアのサンプルの測定結果も示している。
【0040】
この図5に示すように、例えば、比較例であるTiを主成分とするバリアメタル膜は、当該バリアメタル膜のTiがCuのビアに拡散することでCuのマイグレーションの発生が抑制されることとなり、ビアの抵抗の上昇が抑制される傾向があり、結果として信頼性の低下を抑制できる。また、比較例であるTaを主成分とするバリアメタル膜は、Cuのマイグレーションの発生を抑制しないため、マイグレーションの発生によりビアの抵抗が上昇する傾向があり、結果として信頼性が低下することとなる。
【0041】
一方、実施例である第1バリアメタル膜(10nmの膜厚を有するTa膜)と第2バリアメタル膜(5nmの膜厚を有するTi膜)とを備えたCuのビアにおいては、当該第2バリアメタル膜のTiがCuのビアに拡散することでCuのマイグレーションの発生が抑制されることとなり、結果として信頼性の低下を抑制できる。
【0042】
特に、本実施形態にかかる半導体装置1においては、例えば、第1バリアメタル膜34aは、10nm以上の膜厚を有し、第2バリアメタル膜34bは、5nm以下の膜厚を有するように、形成される。この場合、第1バリアメタル膜34a、および、第2バリアメタル膜34bは、アモルファスである。
【0043】
このように、Taを主成分とする第1バリアメタル膜34a上にTiを主成分とする第2バリアメタル膜34bが形成されているため、当該第2バリアメタル膜34bの薄膜化が可能となっている。これにより、熱によるCuの導電膜へ必要以上にTiが拡散するのを抑制するこができ、配線の低抵抗化を実現することができると考えられる。
【0044】
そして、既述のように、本実施形態に係る半導体装置1は、上層配線層3が、第1溝M1内に設けられ且つTaを主成分とする第1バリアメタル膜34aと、第1溝M1内に第1バリアメタル膜34aを介して形成されたTiを主成分とする第2バリアメタル膜34bと、第1溝M1内に第1バリアメタル膜34a及び第2バリアメタル膜34bを介して設けられた第1金属を主成分とする第1導電膜35と、を含む。特に、第1導電膜35中には、第2バリアメタル膜34bに含まれていたTiが拡散している。
【0045】
これにより、第1導電膜35を構成するCuのマイグレーションの発生を抑制することができるようになっている。
【0046】
すなわち、本実施形態に係る半導体装置1は、配線の抵抗を低減しつつ、信頼性を向上することができるものである。
【0047】
[半導体装置の製造方法]
次に、既述のように、図6ないし図7を参照して、第1の実施形態に係る半導体装置1の製造方法について説明する。図6ないし図7は、第1の実施形態に係る半導体装置1の製造工程を示す説明図である。
【0048】
なお、第2基板2のデバイス層21及び第1基板3のデバイス層31の製造工程は、一般的な半導体装置の製造工程と同様である。また、第2基板2側の第2接続配線層22の形成工程と、第1基板3側の第1接続配線層32の形成工程は、同様に説明される。
【0049】
例えば、既述の図1及び図2に示す第1基板3を製造する場合は、まず、デバイス層31の表面に、図6の(a)に示すように、例えば、CVD(ChemicAl Vapor Deposition)によって、酸化シリコン層(第1層間絶縁膜)45を形成する。そして、酸化シリコン層45の表面に、ダマシン法によって例えば、Cuを主成分とする配線(下層配線層)36を形成する。
【0050】
その後、配線36が埋め込まれた酸化シリコン層45上に、例えば、CVDによって、SiCN膜46、酸化シリコン層47を順次積層することで、第2層間絶縁膜を形成する(図6の(a))。
【0051】
続いて、図6の(b)に示すように、上層配線層33(図3参照)の形成位置に、上層配線層33の形状と同様の形状を有する第1溝M1を形成する。この工程では、まず、酸化シリコン層47上にレジスト(図示略)を形成し、当該レジストにおける上層配線層33の形成位置に、例えば、配線36の幅よりも径が小さな開口を形成する。
【0052】
そして、開口が形成されたレジストをマスクとして使用し、RIE(Reactive Ion Etching)を行うことによって、酸化シリコン層47の表面から配線36の表面まで達するビアホールMaを形成する。
【0053】
その後、レジストに形成した開口の径を、例えば、下層配線層36の幅と同程度まで拡張して、再度RIEを行うことによって、酸化シリコン膜47の表面から当該酸化シリコン層47の厚さ方向中央程度まで、当該ビアホールMaの径を拡張するようにして配線用若しくはバッド電極用の溝Mbを形成する。これにより、図6の(b)に示す形状の第1溝M1が形成される。
【0054】
このようにして、第1層間絶縁膜45上に、第1溝M1が形成された第2層間絶縁膜(SiCN膜46、酸化シリコン膜47)を形成する。
【0055】
続いて、図6の(c)に示すように、例えば、PVD(Physical Vapor Deposition)法若しくはスパッタリング法によって、第1溝M1の内周面及び酸化シリコン層47の表面をTaの薄膜によって被覆することにより、Taを含む第1バリアメタル膜34aを形成する。さらに、PVD法若しくはスパッタリング法により、第1バリアメタル膜34aをTiの薄膜によって被覆することにより、Tiを主成分とする第2バリアメタル膜34bを形成する。
【0056】
なお、より好ましくは、第1バリアメタル膜34aと第2バリアメタル膜34bは、同一装置内且つ、連続した高真空下で成膜される。
【0057】
また、例えば、既述のように、第1バリアメタル膜34aは、10nm以上の膜厚を有し、第2バリアメタル膜34bは、5nm以下の膜厚を有するように、形成される。この場合、第1バリアメタル膜34a、および、第2バリアメタル膜34bは、アモルファスである。
【0058】
続いて、例えばPVD法若しくはスパッタリング法により、第2バリアメタル膜34bの表面にCuを成膜することで、シード膜35Xを形成する(図6の(c))。
【0059】
なお、より好ましくは、シード膜35Xは、第1バリアメタル膜34aと第2バリアメタル膜34bと、同一装置内且つ、連続した高真空下で成膜される。
【0060】
その後、図7の(a)に示すように、図6の(c)に示すシード膜35Xの表面に、例えば、電解メッキ法によってCuを析出させる。これにより、Cuを含む第1導電膜35が形成される(図7の(a))。
【0061】
その後、図7の(b)に示すように、Cuを析出させた後、アニール処理をすることにより、Cuを含む第1導電膜34中に第2バリアメタル膜34bのTi原子を拡散させる。
【0062】
このように、上層配線層33は、第1溝M1内に設けられ且つTaを主成分とする第1バリアメタル膜34aと、第1溝M1に第1バリアメタル膜34aを介して形成されたTiを主成分とする第2バリアメタル膜34bと、第1溝M1内に第1バリアメタル膜34a及び第2バリアメタル膜34bを介して設けられた第1金属(Cu)を主成分とする第1導電膜35と、を含むように形成される。特に、アニール処理により、第1導電膜35中に第2バリアメタル膜34bのTiが拡散している。
【0063】
続いて、Cuによって表面が被覆された第1基板3の表面を、例えば、CMP(ChemicAl MechanicAl Polishing)法によって研磨することにより、図7の(c)に示すように、酸化シリコン膜47上の不要なCu及びTiを含む第1導電膜膜35の上部を除去する。
【0064】
このようにして、第2層間絶縁膜47の第1溝M1内に、第1及び第2バリアメタル膜34a、34bを介して下層配線層36に電気的に接続された上層配線層33を形成する。
【0065】
すなわち、上記の工程により、図3に示すような半導体装置1の構成が完成する。したがって、本実施形態に係る半導体装置1は、上層配線層3が、第1溝M1内に設けられ且つTaを主成分とする第1バリアメタル膜34aと、第1溝M1内に第1バリアメタル膜34aを介して形成されたTiを主成分とする第2バリアメタル膜34bと、第1溝M1内に第1バリアメタル膜34a及び第2バリアメタル膜34bを介して設けられた第1金属を主成分とする第1導電膜35と、を含む。
【0066】
特に、第1導電膜35中には、第2バリアメタル膜34bに含まれていたTiが拡散している。これにより、第1導電膜35を構成するCuのマイグレーションの発生を抑制することができるようになっている。
【0067】
以上のように、第1の実施形態に係る半導体装置1によれば、配線の抵抗を低減しつつ、信頼性を向上することができる。
【0068】
ここで、既述の第1の実施形態では、特に、第1接続配線層32の上層配線層33近傍の構成の一例について説明した。しかしながら、この上層配線層33近傍の構成は、これに限定されるものではない。そこで、以下の第2ないし第5の実施形態では、上層配線層33近傍の構成の他の例について説明する。
【0069】
(第2の実施形態)
図8を参照し、第2の実施形態に係る半導体装置について説明する。図8は、第2の実施形態に係る半導体装置の断面構造を示す説明図である。以下の説明では、図8に示す構成要素のうち、図3に示す構成要素と同一の構成要素について、図3に示す符号と同一の符号を付することにより、その説明を省略する。なお、この第2の実施形態の図8に示す半導体装置の全体的な構成は、例えば、第1の実施形態の図1及び図2に示す半導体装置1と同様である。
【0070】
この第2の実施形態においては、第1導電膜35の主成分である第1金属は、Wであるようにしてもよい。すなわち、図8に示すように、この第1導電膜35は、下層配線層36に第1及び第2バリアメタル膜34a、34bを介して電気的に接続されたWを主成分とするビア配線膜351aと、このビア配線膜351a上に設けられたWを主成分とする上層配線膜351bと、を含むようにしてもよい。
【0071】
そして、Wを主成分とする第1導電膜35は、第2バリアメタル膜34bのTiが拡散しないが、W自体がマイグレーションを発生しにくい材料であるため、当該半導体装置1の信頼性を向上することができるものである。
【0072】
さらに、Tiを主成分とする第2バリアメタル膜34bと第2層間絶縁膜46、47との間に、Taを主成分とする第1バリアメタル膜34aが存在していることにより、当該第2層間絶縁膜46、47中の水分がTiを主成分とする第2バリアメタル膜34bに到達するのを抑制する。すなわち、Tiを主成分とする第2バリアメタル膜34bにおいて、当該第2層間絶縁膜47中の水分による酸化が抑制され、抵抗値を低減することができる。
【0073】
なお、この第2の実施形態の半導体装置のその他の構成は、第1の実施形態の半導体装置1の構成と同様である。
【0074】
すなわち、この第2の実施形態に係る半導体装置によれば、配線の抵抗を低減しつつ、信頼性を向上することができる。
【0075】
(第3の実施形態)
次に、図9を参照し、第3の実施形態に係る半導体装置について説明する。図9は、第3の実施形態に係る半導体装置の断面構造を示す説明図である。以下の説明では、図9に示す構成要素のうち、図3に示す構成要素と同一の構成要素について、図3に示す符号と同一の符号を付することにより、その説明を省略する。なお、この第3の実施形態の図9に示す半導体装置の全体的な構成は、例えば、第1の実施形態の図1及び図2に示す半導体装置1と同様である。
【0076】
この第3の実施形態においては、第1導電膜35の主成分である第1金属は、Alであるようにしてもよい。すなわち、図9に示すように、この第1導電膜35は、下層配線層36に第1及び第2バリアメタル膜34a、34bを介して電気的に接続されたAlを主成分とするビア配線膜352aと、ビア配線膜35a上に設けられたAlを主成分とする上層配線膜35bと、を含むようにしてもよい。特に、Alを主成分とする第1導電膜35中には、第2バリアメタル膜34bに含まれていたTiが拡散している。これにより、第2バリアメタル膜34bのTiがAlを主成分とする第1導電膜35のマイグレーションを抑制することで、半導体装置1の信頼性を向上することができる。
【0077】
さらに、Tiを主成分とする第2バリアメタル膜34bと第2層間絶縁膜46、47との間に、Taを主成分とする第1バリアメタル膜34aが存在していることにより、当該第2層間絶縁膜46、47中の水分がTiを主成分とする第2バリアメタル膜34bに到達するのを抑制する。すなわち、Tiを主成分とする第2バリアメタル膜34bにおいて、当該第2層間絶縁膜46、47中の水分による酸化が抑制され、抵抗値を低減することができる。
【0078】
なお、この第3の実施形態の半導体装置のその他の構成は、第1の実施形態の半導体装置1の構成と同様である。
【0079】
すなわち、この第3の実施形態に係る半導体装置によれば、配線の抵抗を低減しつつ、信頼性を向上することができる。
【0080】
(第4の実施形態)
次に、図10を参照し、第4の実施形態に係る半導体装置について説明する。図10は、第4の実施形態に係る半導体装置の断面構造を示す説明図である。以下の説明では、図10に示す構成要素のうち、図3に示す構成要素と同一の構成要素について、図3に示す符号と同一の符号を付することにより、その説明を省略する。なお、この第4の実施形態の図10に示す半導体装置の全体的な構成は、例えば、第1の実施形態の図1及び図2に示す半導体装置1と同様である。
【0081】
この図10に示すように、第4の実施形態に係る半導体装置は、下層配線層36と上層配線層33との間に設けられ、上層配線層33と下層配線層36との間を電気的に接続するビア配線層39をさらに備えるようにしてもよい。
【0082】
このビア配線層39は、例えば、図10に示すように、第1バリアメタル膜37aと、第2バリアメタル膜37bと、第2導電膜38と、を含む。
【0083】
そして、第1バリアメタル膜37aは、第2溝M2内に設けられ且つTaを主成分とするバリアメタル膜である。なお、この第1バリアメタル膜37aは、例えば、Ta膜である。
【0084】
また、第2バリアメタル膜37bは、第2溝M2内に第1バリアメタル膜37aを介して形成されたTiを主成分とするバリアメタル膜である。
【0085】
また、第2導電膜38は、第2溝M2内に第1バリアメタル膜37a及び第2バリアメタル膜37bを介して設けられた金属を主成分とする導電膜である。本実施形態においては、この第2導電膜38の主成分である金属(主元素)は、Cuである。
【0086】
この第4の実施形態に係る半導体装置においても、第2バリアメタル膜34b、37bのTiがCuを主成分とする第1導電膜35、第2導電膜38のマイグレーションを抑制することで、当該半導体装置の信頼性を向上することができる。さらに、Tiを主成分とする第2バリアメタル膜34b、37bにおいて、当該第2層間絶縁膜46、47中の水分による酸化が抑制され、抵抗値を低減することができる。
【0087】
なお、この第4の実施形態の半導体装置のその他の構成は、第1の実施形態の半導体装置1の構成と同様である。
【0088】
すなわち、この第4の実施形態に係る半導体装置によれば、配線の抵抗を低減しつつ、信頼性を向上することができる。
【0089】
(第5の実施形態)
次に、図11を参照し、第5の実施形態に係る半導体装置について説明する。図11は、第5の実施形態に係る半導体装置の断面構造を示す説明図である。以下の説明では、図11に示す構成要素のうち、図3に示す構成要素と同一の構成要素について、図3に示す符号と同一の符号を付することにより、その説明を省略する。なお、この第5の実施形態の図11に示す半導体装置の全体的な構成は、例えば、第1の実施形態の図1及び図2に示す半導体装置1と同様である。
【0090】
この図11に示すように、第5の実施形態に係る半導体装置は、例えば、Wを主成分とする下層配線層36と上層配線層33との間に設けられ、上層配線層33と下層配線層36との間を電気的に接続するビア配線層391をさらに備えるようにしてもよい。
【0091】
このビア配線層391は、例えば、図10に示すように、バリアメタル膜371と、第2導電膜381と、を含む。
【0092】
そして、バリアメタル膜371は、第2溝M2内に設けられ且つTiを主成分とするバリアメタル膜である。なお、このバリアメタル膜371は、例えば、Ti膜又はTiN膜である。
【0093】
また、第2導電膜381は、第2溝M2内にバリアメタル膜371を介して設けられた金属を主成分とする導電膜である。本実施形態においては、この第2導電膜381の主成分である金属(主元素)は、Wである。
【0094】
この第5の実施形態に係る半導体装置においても、第2バリアメタル膜34bのTiがCuを主成分とする第1導電膜35のマイグレーションを抑制することで、当該半導体装置の信頼性を向上することができる。さらに、Tiを主成分とする第2バリアメタル膜34bにおいて、当該第2層間絶縁膜47中の水分による酸化が抑制され、抵抗値を低減することができる。
【0095】
なお、この第5の実施形態の半導体装置のその他の構成は、第1の実施形態の半導体装置1の構成と同様である。
【0096】
すなわち、この第5の実施形態に係る半導体装置によれば、配線の抵抗を低減しつつ、信頼性を向上することができる。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1 半導体装置
22 第2接続配線層
32 第1接続配線層
34a 第1バリアメタル膜
34b 第2バリアメタル膜
35 第1導電膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11