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  • 特開-積層剥離容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034468
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】積層剥離容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
B65D1/02 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138706
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝典
(72)【発明者】
【氏名】本田 孝行
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA18
3E033BB08
3E033CA20
3E033DA03
3E033DB01
3E033DD03
3E033DE05
3E033EA03
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】胴部をスクイズして内容物を吐出した後、胴部のスクイズを解除したときに、胴部とともにヒール部においても内層体が容易に剥離することが可能な積層剥離容器を提供することである。
【解決手段】外層体2と、外層体2の内面に剥離可能に積層された減容変形自在の内層体3と、外層体2と内層体3との間に連なる外気導入口10とを備えた積層剥離容器1であって、筒状の口部4と、口部4に連なる肩部5と、肩部に連なる筒状の胴部6と、胴部6よりも大径の筒状であって周状の段差部14を介して胴部6に連なるヒール部7と、ヒール部7に連なる底部8と、を有するボトル形状であり、胴部6における内層体3の肉厚t1が、ヒール部7における内層体3の肉厚t2よりも厚くなっているとともに、段差部14に、容器内方に向けて凹む凹部20が設けられていることを特徴とする、積層剥離容器1。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外層体と、前記外層体の内面に剥離可能に積層された減容変形自在の内層体と、前記外層体と前記内層体との間に連なる外気導入口とを備えた積層剥離容器であって、
筒状の口部と、前記口部に連なる肩部と、前記肩部に連なる筒状の胴部と、前記胴部よりも大径の筒状であって周状の段差部を介して前記胴部に連なるヒール部と、前記ヒール部に連なる底部と、を有するボトル形状であり、
前記胴部における前記内層体の肉厚が、前記ヒール部における前記内層体の肉厚よりも厚くなっているとともに、
前記段差部に、容器内方に向けて凹む凹部が設けられていることを特徴とする、積層剥離容器。
【請求項2】
前記段差部に、複数の前記凹部が周方向に並べて設けられている、請求項1に記載の積層剥離容器。
【請求項3】
前記凹部が、前記胴部の側から前記ヒール部の側に向けて延びる縦リブ状に形成されている、請求項1または2に記載の積層剥離容器。
【請求項4】
前記胴部が、周状の副段差部を介して前記肩部に連なっており、
前記胴部における前記内層体の肉厚が、前記肩部における前記内層体の肉厚よりも厚くなっているとともに、
前記副段差部に、容器内方に向けて凹む副凹部が設けられている、請求項1に記載の積層剥離容器。
【請求項5】
前記副凹部が前記凹部と周方向位置を一致させて配置されている、請求項4に記載の積層剥離容器。
【請求項6】
前記副凹部が、前記肩部の側から前記胴部の側に向けて延びる縦リブ状に形成されている、請求項4または5に記載の積層剥離容器。
【請求項7】
前記胴部に、前記肩部の側から前記ヒール部の側に向けて延びる複数本の縦溝が周方向に並べて設けられている、請求項1に記載の積層剥離容器。
【請求項8】
前記外層体と前記内層体とが、ポリエチレンテレフタレート製である、請求項1に記載の積層剥離容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外層体と、外層体の内面に剥離可能に積層された減容変形自在の内層体と、外層体と内層体との間に連なる外気導入口とを備えた積層剥離容器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の積層剥離容器は、醤油等の食品調味料又は飲料等の食品や、化粧水等の化粧料、シャンプー、リンス又は液体石鹸等のトイレタリー等を内容物として収納する容器として広く用いられている。積層剥離容器は、内容物を外部に吐出させた後、外気導入口から外層体と内層体との間に外気を導入して内容物の吐出に合わせて内層体を減容変形させることができる。これにより、内容物が外気と置換されることなく吐出されるようにして、内層体に収納された内容物への外気の接触を抑制し、その劣化や変質を抑制することができる。
【0003】
従来、このような積層剥離容器として、筒状の口部と、口部に連なる肩部と、肩部に連なる筒状の胴部と、胴部よりも大径の筒状であって周状の段差部を介して前記胴部に連なるヒール部と、ヒール部に連なる底部と、を有するボトル形状とされ、胴部をスクイズ(押圧)することで、容器の内部に収納されている内容物を口部から外部に押し出して吐出させることができるスクイズタイプのものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-41989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の積層剥離容器では、胴部のスクイズ性を高めるために、段差部を介して胴部をヒール部に連ねた構成としているので、内層体はヒール部において胴部におけるよりも剥離し難くなっている。そのため、胴部をスクイズして内容物を吐出した後、胴部のスクイズを解除したときに、内層体がヒール部よりも胴部において優先して外層体から剥離してしまい、当該剥離により潰れた部分が底部の側にある内容物の吐出を阻害してしまう虞がある、という問題があった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、胴部をスクイズして内容物を吐出した後、胴部のスクイズを解除したときに、胴部とともにヒール部においても内層体が容易に剥離することが可能な積層剥離容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の積層剥離容器は、外層体と、前記外層体の内面に剥離可能に積層された減容変形自在の内層体と、前記外層体と前記内層体との間に連なる外気導入口とを備えた積層剥離容器であって、筒状の口部と、前記口部に連なる肩部と、前記肩部に連なる筒状の胴部と、前記胴部よりも大径の筒状であって周状の段差部を介して前記胴部に連なるヒール部と、前記ヒール部に連なる底部と、を有するボトル形状であり、前記胴部における前記内層体の肉厚が、前記ヒール部における前記内層体の肉厚よりも厚くなっているとともに、前記段差部に、容器内方に向けて凹む凹部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の積層剥離容器は、上記構成において、前記段差部に、複数の前記凹部が周方向に並べて設けられているのが好ましい。
【0009】
本発明の積層剥離容器は、上記構成において、前記凹部が、前記胴部の側から前記ヒール部の側に向けて延びる縦リブ状に形成されているのが好ましい。
【0010】
本発明の積層剥離容器は、上記構成において、前記胴部が、周状の副段差部を介して前記肩部に連なっており、前記胴部における前記内層体の肉厚が、前記肩部における前記内層体の肉厚よりも厚くなっているとともに、前記副段差部に、容器内方に向けて凹む副凹部が設けられているのが好ましい。
【0011】
本発明の積層剥離容器は、上記構成において、前記副凹部が前記凹部と周方向位置を一致させて配置されているのが好ましい。
【0012】
本発明の積層剥離容器は、上記構成において、前記副凹部が、前記肩部の側から前記胴部の側に向けて延びる縦リブ状に形成されているのが好ましい。
【0013】
本発明の積層剥離容器は、上記構成において、前記胴部に、前記肩部の側から前記ヒール部の側に向けて延びる複数本の縦溝が周方向に並べて設けられているのが好ましい。
【0014】
本発明の積層剥離容器は、上記構成において、前記外層体と前記内層体とが、ポリエチレンテレフタレート製であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、胴部をスクイズして内容物を吐出した後、胴部のスクイズを解除したときに、胴部とともにヒール部においても内層体が容易に剥離することが可能な積層剥離容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態である積層剥離容器の正面図である。
図2図1に示す積層剥離容器の、肩部、胴部及びヒール部における縦断面図である。
図3図1に示す積層剥離容器の変形例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施の形態である積層剥離容器1について詳細に例示説明する。
【0018】
本明細書及び特許請求の範囲においては、上下方向は、図1に示すように、積層剥離容器1を正立姿勢とした状態における上下方向(軸線Oが延びる方向)を意味するものとし、径方向は、積層剥離容器1の軸線Oを通るとともに軸線Oに垂直な方向を意味するものとする。
【0019】
図1に示す積層剥離容器1は、例えば、醤油等の食品調味料又は飲料等の食品や、化粧水等の化粧料、シャンプー、リンス又は液体石鹸等のトイレタリー等の種々の内容物を収納する用途に用いることができるスクイズタイプのものであり、それぞれ合成樹脂製である外層体2と内層体3とを有する二重構造となっている。
【0020】
外層体2は積層剥離容器1の外殻を構成するものである。本実施形態では、外層体2は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の単層構造となっている。
【0021】
内層体3は、外層体2よりも厚みが薄い袋状に形成され、外層体2の内面に剥離可能に積層されている。外層体2の内面に対する内層体3の剥離は、接着状態からの剥離、相溶性のない樹脂積層物の場合における擬似接着状態からの剥離、密着状態からの離間、の何れであってもよい。内層体3の内部は収納空間Sとなっており、収納空間Sに内容物を収納することができる。内層体3は、内容物が収納空間Sから外部に注出されるのに伴って、外層体2の内面から剥離しつつ、その内容積を減少させるように減容変形自在すなわち潰れることができる。本実施形態では、内層体3もポリエチレンテレフタレート(PET)製となっている。
【0022】
上記の通り、本実施の形態では、積層剥離容器1は、外層体2及び内層体3の何れもが2軸延伸可能なポリエチレンテレフタレートで形成されたポリエチレンテレフタレート製となっている。このようなポリエチレンテレフタレートとしては、例えばホモPET等が挙げられるが、IPA(イソフタル酸)変性PET又はCHDM変性PET等の他のPETを用いることができる。外層体2を構成するポリエチレンテレフタレートと、内層体3を構成するポリエチレンテレフタレートとは同じ構成とすることも異なる構成とすることもできる。
【0023】
外層体2及び内層体3をポリエチレンテレフタレート製としたことにより、積層剥離容器1を軽量で強度が高く、また透明度の高い容器とすることができる。
【0024】
なお、外層体2及び内層体3は、ポリエチレンテレフタレート製に限らず、例えばポリプロピレン(PP)製やポリエチレン(PE)製など、他の合成樹脂材料により形成されたものとすることもできる。また、外層体2及び内層体3は、単層構造に限らず、バリア性等を向上させるための複数層の構造を有するものであってもよい。
【0025】
積層剥離容器1は、口部4と、口部4の下端に連なる肩部5と、肩部5の下端に連なる胴部6と、胴部6の下端に連なるヒール部7と、ヒール部7の下端に連なる底部8とを有するボトル形状となっている。
【0026】
本実施形態では、口部4は、軸線Oを中心とする略円筒状となっており、その外周面には注出キャップ等の部材を装着するための雄ねじ4aが一体に設けられている。また、口部4の雄ねじ4aよりも下方側にはネックリング9が一体に設けられている。
【0027】
口部4は、外周面に、雄ねじ4aに替えて、注出キャップ等の部材を打栓によってアンダーカット係合させる突起を設けた構成とすることもできる。また、口部4は、ネックリング9を備えない構成とすることもできる。
【0028】
本実施形態では、口部4に外気導入口10が設けられている。外気導入口10は、外層体2の口部4を構成する部分に当該外層体2を径方向に貫通する貫通孔として設けられている。外気導入口10は、外層体2と内層体3との間に連なっており、内層体3が外層体2から剥離するのに伴って、外層体2と内層体3との間に外気を導入することができる。
【0029】
肩部5は下方に向けて徐々に拡径する形状となっている。本実施の形態では、肩部5は容器外方に向けて凸のドーム状となっており、その軸線Oに垂直な断面形状は略円形である。
【0030】
肩部5は、形状が相違する2種類の凹リブ11、12(図1においては、便宜上、1本の凹リブ11、12のみに符号を付してある。)が、周方向に交互に等間隔に並べて設けられた構成とすることもできる。これらの凹リブ11、12は、それぞれ容器内方に向かって凹むとともに上下方向に延びる溝状となっている。肩部5に複数の凹リブ11、12を設けた構成とすることにより、口部4に設けられた外気導入口10から胴部6に向けて外層体2と内層体3との間に外気の通路が容易に形成されるようにすることができる。
【0031】
なお、肩部5は、下方に向けて徐々に拡径する形状であれば、その形状は種々変更可能である。また、肩部5は、凹リブ11、12が設けられない構成とすることもできる。
【0032】
胴部6は、略円筒状となっている。胴部6は可撓性を有しており、径方向内側に向けてスクイズ(押圧)されることにより径方向内側(容器内方)に向けて弾性変形することができる。また、胴部6は復元性を有しており、スクイズが解除されると変形状態から元の形状に復元することができる。積層剥離容器1は、胴部6を容器内方に向けてスクイズ(押圧)することで、収納空間Sに収納されている内容物を口部4から外部に押し出して吐出させることができる。すなわち、胴部6は、積層剥離容器1のスクイズ領域となっている。
【0033】
本実施形態では、胴部6に、肩部5の側からヒール部7の側に向けて軸線Oと平行に真っ直ぐに延びる複数本の縦溝6a(図1においては、便宜上、1本の縦溝6aのみに符号を付してある。)が周方向に並べて設けられている。このような構成により、胴部6をより押し潰し易くしてスクイズする際の操作性を高めることができるとともに、スクイズにより径方向内側に変形した胴部6の、元の形状への復元力を高めることができる。したがって、内容物の吐出後、スクイズを解除したときに、胴部6が速やかに元の形状に復元するようにして、スクイズタイプとされた積層剥離容器1の、内容物を吐出するための吐出操作性を良好なものとすることができる。
【0034】
なお、複数本の縦溝6aは、軸線Oと平行に真っ直ぐに延びる構成に限らず、軸線Oを中心として螺旋状に延びる構成であってもよい。また、胴部6に複数本の縦溝6aを設けない構成としてもよい。
【0035】
本実施形態では、胴部6の上端の外径は肩部5の下端の外径よりも小さくなっており、胴部6の上端は肩部5の下端に軸線Oを中心とした周状(円環状)の副段差部13を介して連なっている。副段差部13は、肩部5の側から胴部6の側に向けて徐々に縮径するとともに容器外方に向けて凸となる湾曲形状となっている。このような構成により、胴部6がスクイズされたときに、副段差部13ないし肩部5が胴部6とともに変形することを抑制して、胴部6の吐出操作性を高めることができる。
【0036】
ヒール部7は、胴部6よりも大径の略円筒状となっており、その上端は周状の段差部14を介して胴部6の下端に連なっている。段差部14は、胴部6の側からヒール部7の側に向けて徐々に拡径するとともに容器外方に向けて凸となる湾曲形状となっている。このような構成により、胴部6がスクイズされたときに、段差部14ないしヒール部7が胴部6とともに変形することを抑制して、胴部6の吐出操作性を高めることができる。
【0037】
なお、ヒール部7は、その外周面に周方向に延びる複数本(2本)の溝状の環状リブ7aが設けられた構成とすることができる。この構成により、ヒール部7の剛性を高めて、胴部6がスクイズされたときに、ヒール部7が胴部6とともに変形することをさらに効果的に抑制して、胴部6の吐出操作性をさらに高めることができる。
【0038】
底部8は、軸線Oを中心とする円環状の接地部8aと、接地部8aの内側に位置する中央凹部8bとを有している。底部8はヒール部7の下端を閉塞している。
【0039】
図2に示すように、積層剥離容器1は、胴部6における内層体3の肉厚(平均肉厚)t1が、ヒール部7における内層体3の肉厚(平均肉厚)t2よりも厚くなっている。
【0040】
また、図1図2に示すように、胴部6とヒール部7との間に設けられた段差部14には、容器内方に向けて凹む凹部20が設けられている。本実施形態では、段差部14には、複数(6つ)の凹部20が周方向に等しい間隔を空けて並べて設けられている。なお、図1には、3つの凹部20のみが示されている。
【0041】
図2に示すように、これらの凹部20は、縦断面において平らな形状となる底壁20aと、底壁20aの周囲を囲むとともに底壁20aを段差部14の外周面に連ねる湾曲した周壁20bとを有するとともに、胴部6の側からヒール部7の側に向けて延びる縦リブ状に形成されている。なお、周壁20bは、段差部14の外周面から底壁20aに向けて延びる傾斜壁であってもよい。
【0042】
内層体3において、肩部5、胴部6、ヒール部7が均等な肉厚であると、胴部6をスクイズして内容物を吐出した後、胴部6のスクイズが解除されて内層体3が外層体2に対して減容変形する際に、スクイズ部分である胴部6が先に潰れてしまい、ヒール部7の側の内容物が吐出できなくなる場合がある。そこで、上記のように、本実施の形態の積層剥離容器1では、胴部6における内層体3の肉厚(平均肉厚)t1を、ヒール部7における内層体3の肉厚(平均肉厚)t2よりも厚くするようにしている。一方で、ヒール部7の側より胴部6の側が先に潰れることを抑制するため、胴部6の側を厚肉にすると、この厚肉化の影響が段差部14にも生じ、胴部6とヒール部7との連結部分である段差部14において内層体3が外層体2から剥離し難くなる。そこで、上記のように、本実施の形態の積層剥離容器1では、胴部6とヒール部7との間に設けられた段差部14に、容器内方に向けて凹む凹部20を設けるようにしている。このように、本実施の形態の積層剥離容器1では、胴部6の下端が段差部14を介して胴部6よりも大径のヒール部7に連なる構成において、胴部6における内層体3の肉厚t1を、ヒール部7における内層体3の肉厚t2よりも厚くするとともに、胴部6とヒール部7との間に設けられた段差部14に、容器内方に向けて凹む凹部20を設けるようにしたので、胴部6をスクイズして内容物を吐出した後、胴部6のスクイズが解除されて内層体3が外層体2に対して減容変形する際に、段差部14において内層体3が凹部20を起点として剥離し、当該剥離が胴部6より肉厚の薄いヒール部7に進行することで容易に潰れることができるようにして、内層体3を胴部6とともにヒール部7においても容易に剥離させることができる。したがって、積層剥離容器1を、胴部6の可撓性及び復元性を確保するために、胴部6とヒール部7との間に周状の段差部14を設けた構成としても、積層剥離容器1を、内容物の吐出操作性を維持しつつ内層体3の外層体2からの剥離性を高めたものとすることができる。
【0043】
特に、本実施の形態のように、積層剥離容器1を、外層体2と内層体3とがポリエチレンテレフタレート製とした場合には、段差部14において内層体3が外層体2から剥離し難くなるが、本実施形態のように、胴部6における内層体3の肉厚t1を、ヒール部7における内層体3の肉厚t2よりも厚くするとともに、段差部14に凹部20を設けた構成とすることで、このような積層剥離容器1においても、段差部14において、内層体3を外層体2から剥離し易くすることができる。
【0044】
また、本実施の形態の積層剥離容器1では、凹部20を、胴部6の側からヒール部7の側に向けて延びる縦リブ状に形成するようにしたので、段差部14の上下方向の全体に亘って内層体3を外層体2から剥離し易くして、内容物の吐出の際に、段差部14において内層体3を、凹部20を起点として外層体2からさらに容易に剥離されるようにすることができる。
【0045】
さらに、本実施形態の積層剥離容器1では、段差部14に、複数の凹部20を周方向に均等な間隔で並べて設けるようにしたので、段差部14の周方向の複数個所において内層体3を外層体2から剥離し易くして、内容物の吐出の際に、段差部14において内層体3を外層体2からさらに容易に剥離されるようにすることができる。
【0046】
図2に示すように、積層剥離容器1は、胴部6における内層体3の肉厚(平均肉厚)t1が、肩部5における内層体3の肉厚(平均肉厚)t3よりも厚くなっているとともに、肩部5と胴部6との間に設けられた副段差部13に、容器内方に向けて凹む副凹部21が設けられた構成とすることもできる。本実施形態では、副段差部13には、複数(6つ)の副凹部21が周方向に等しい間隔を空けて並べて設けられている。なお、図1には、3つの副凹部21のみが示されている。また、これらの副凹部21は、それぞれ段差部14に設けられた対応する複数(6つ)の凹部20と周方向位置を一致させて配置されている。
【0047】
さらに、図2に示すように、これらの副凹部21は、凹部20と同様に、縦断面において平らな形状となる底壁21aと、底壁21aの周囲を囲むとともに底壁21aを副段差部13の外周面に連ねる湾曲した周壁21bとを有するとともに、肩部5の側から胴部6の側に向けて延びる縦リブ状に形成されている。なお、周壁21bは、副段差部13の外周面から底壁21aに向けて延びる傾斜壁であってもよい。
【0048】
このように、本実施形態では、胴部6の上端が副段差部13を介して胴部6よりも大径の肩部5の下端に連なる構成において、胴部6における内層体3の肉厚t1を、肩部5における内層体3の肉厚t3よりも厚くするとともに、肩部5と胴部6との間に設けられた副段差部13に、容器内方に向けて凹む副凹部21を設ける構成とすることにより、胴部6をスクイズして内容物を吐出した後、胴部6のスクイズが解除されて内層体3が外層体2に対して減容変形する際に、副段差部13において内層体3が副凹部21を起点として剥離することに加え、肩部5の肉厚が胴部6より薄いため、内層体3を肩部5から胴部6にかけて容易に剥離させることができる。したがって、積層剥離容器1を、胴部6の可撓性及び復元性を確保するために、肩部5と胴部6との間に周状の副段差部13を設けた構成としても、積層剥離容器1を、内容物の吐出操作性を維持しつつ内層体3の外層体2からの剥離性を高めたものとすることができる。
【0049】
特に、本実施形態のように、積層剥離容器1を、外層体2と内層体3とがポリエチレンテレフタレート製とした場合には、副段差部13において内層体3が外層体2から剥離し難くなるが、本実施形態のように、胴部6における内層体3の肉厚t1を、肩部5における内層体3の肉厚t3よりも厚くするとともに、副段差部13に副凹部21を設けた構成とすることで、このような積層剥離容器1においても、副段差部13において、内層体3を外層体2から剥離し易くすることができる。
【0050】
また、本実施形態では、副凹部21を、肩部5の側から胴部6の側に向けて延びる縦リブ状に形成するようにしたので、副段差部13の上下方向の全体に亘って内層体3を外層体2から剥離し易くして、内容物の吐出の際に、副段差部13において内層体3を、副凹部21を起点として外層体2からさらに容易に剥離されるようにすることができる。
【0051】
さらに、本実施形態では、副段差部13に、複数の凹部20を周方向に均等な間隔で並べて設けるようにしたので、段差部14の周方向の複数個所において内層体3を外層体2から剥離し易くして、内容物の吐出の際に、段差部14において内層体3を外層体2からさらに容易に剥離されるようにすることができる。
【0052】
さらに、本実施形態では、副段差部13に設けられた複数の副凹部21を、それぞれ段差部14に設けられた対応する複数の凹部20と周方向位置を一致させて配置するようにしたので、口部4に設けられた外気導入口10から、副凹部21に連なるように外層体2と内層体3との間に形成された外気の通路が、胴部6を通して凹部20において内層体3が外層体2から剥離した部分を通してヒール部7の側の外層体2と内層体3との間に連通されるようにして、ヒール部7において内層体3を外層体2からより容易に剥離し易くすることができる。
【0053】
この場合、図1に示すように、外気導入口10の直下に副凹部21を設けるのが好ましい。これにより、口部4に設けられた外気導入口10からヒール部7に向けて真っ直ぐに外気の通路を設けることができ、ヒール部7において内層体3を外層体2からより剥離し易くすることができる。
【0054】
なお、図3に変形例として示すように、積層剥離容器1は、副段差部13に副凹部21が設けられない構成とすることもできる。
【0055】
上記構成の積層剥離容器1は、ブロー成形品となっている。
【0056】
本実施形態では、積層剥離容器1は、合成樹脂材料(ポリエチレンテレフタレート)を射出成形して形成された外層体2に対応する外体と、外体とは別に合成樹脂材料(ポリエチレンテレフタレート)を射出成形して形成された内層体3に対応する内体とを組み合わせた二重構造のプリフォーム組立体を二軸延伸ブロー成形することによって形成されている。
【0057】
この場合、内体の、延伸されて内層体3の胴部6に対応する部分に形成される部分の肉厚を、延伸されて内層体3のヒール部7に対応する部分に形成される部分の肉厚よりも厚くすることで、胴部6における内層体3の肉厚t1がヒール部7における内層体3の肉厚t2よりも厚く形成された積層剥離容器1を容易に形成することができる。
【0058】
なお、積層剥離容器1は、外層体2に対応する合成樹脂材料と内層体3に対応する合成樹脂材料とを積層した構成の積層プリフォームを二軸延伸ブロー成形することによって形成されたものとすることもできる。
【0059】
また、積層剥離容器1は、外層体2に対応する合成樹脂材料と内層体3に対応する合成樹脂材料とが積層された円筒状の積層パリソンを、分割式の金型を用いてブロー成形する押出ブロー成形(EBM:Extrusion Blow Molding)によって形成されたものとすることもできる。
【0060】
何れの場合であっても、延伸されて内層体3の胴部6に対応する部分に形成される部分の肉厚を、延伸されて内層体3のヒール部7に対応する部分に形成される部分の肉厚よりも厚くすることで、胴部6における内層体3の肉厚t1がヒール部7における内層体3の肉厚t2よりも厚く形成された積層剥離容器1を容易に形成することができる。
【0061】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0062】
例えば、前記実施形態では、段差部14に複数の凹部20を設けるようにしているが、これに限らず、段差部14に少なくとも1つの凹部20が設けられていればよい。また、段差部14に複数の凹部20を周方向に均等または不均等に並べて設けるようにしてもよい。
【0063】
また、前記実施形態では、凹部20の形状は縦リブ状とされているが、これに限らず、容器内方に向けて凹んだ形状であれば、種々の形状とすることができる。なお、段差部14に、凹部20に代えて容器外方に向けて突出する凸部を設けるようにしてもよい。この場合、凸部の径方向外側に向けた突出高さは、ヒール部7の最大径以下とする。
【0064】
さらに、前記実施形態では、段差部14は、胴部6の側からヒール部7の側に向けて徐々に拡径するとともに容器外方に向けて凸となる湾曲形状となっているが、これに限らず、例えば容器内方に向けて凸となる湾曲形状としたり、胴部6の側からヒール部7の側に向けて徐々に直線状に拡径するテーパー状の傾斜面(円錐)形状としたりするなど、種々の形状とすることができる。
【0065】
さらに、前記の実施形態では、口部4、肩部5、胴部6及びヒール部7は、それぞれ軸線Oに垂直な断面が円形となる形状を有しているが、これに限らず、例えば、当該断面が多角形又は楕円形などの他の形状とすることもできる。
【0066】
さらに、前記実施形態では、外気導入口10を、外層体2の口部4を構成する部分に、当該部分を径方向に貫通する貫通孔として設けるようにしているが、これに限らず、外層体2と内層体3との間に外気を導入することができる構成であれば、肩部5、胴部6、ヒール部7及び底部8の何れかの部分に設けるようにしてもよく、また、その形態も貫通孔に限らず、スリット状でも、外層体2と内層体3との境界に開口する隙間状のものであってもよい。
【0067】
さらに、前記実施形態では、副凹部21を凹部20と周方向位置を一致させて配置するようにしているが、これに限らず、副凹部21を凹部20に対して周方向位置をずらして配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 積層剥離容器
2 外層体
3 内層体
4 口部
4a 雄ねじ
5 肩部
6 胴部
6a 縦溝
7 ヒール部
7a 環状リブ
8 底部
8a 接地部
8b 中央凹部
9 ネックリング
10 外気導入口
11 凹リブ
12 凹リブ
13 副段差部
14 段差部
20 凹部
20a 底壁
20b 周壁
21 副凹部
21a 底壁
21b 周壁
O 軸線
S 収納空間
t1 肉厚
t2 肉厚
t3 肉厚
図1
図2
図3