IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ブリヂストンの特許一覧

<>
  • 特開-路面状態の判定装置及び制御装置 図1
  • 特開-路面状態の判定装置及び制御装置 図2
  • 特開-路面状態の判定装置及び制御装置 図3
  • 特開-路面状態の判定装置及び制御装置 図4
  • 特開-路面状態の判定装置及び制御装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034470
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】路面状態の判定装置及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/12 20060101AFI20240306BHJP
   G01W 1/00 20060101ALI20240306BHJP
   G01N 29/46 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G01N29/12
G01W1/00 J
G01N29/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138709
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100180655
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】石田 雅巳
(72)【発明者】
【氏名】根本 朋彰
(72)【発明者】
【氏名】筑後 知昭
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA10
2G047BA04
2G047BC04
2G047EA10
2G047EA14
2G047GD02
2G047GF24
2G047GG10
2G047GG24
2G047GG43
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で路面状態を高精度に推定可能な路面状態の判定装置及び制御装置が提供される。
【解決手段】路面状態の判定装置(10)は、車両が走行している路面の状態を判定する路面状態の判定装置であって、車両に装着されたデータ収集部によって収集された、車両で生じた音の反射音の情報を含む音データを取得するデータ取得部(131)と、取得された音データにおける所定の周波数領域におけるピークの有無に基づいて、路面の状態を判定する判定部(132)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行している路面の状態を判定する路面状態の判定装置であって、
前記車両に装着されたデータ収集部によって収集された、前記車両で生じた音の反射音の情報を含む音データを取得するデータ取得部と、
取得された前記音データにおける所定の周波数領域におけるピークの有無に基づいて、前記路面の状態を判定する判定部と、を備える、路面状態の判定装置。
【請求項2】
前記データ取得部は、前記路面の周囲の温度の情報を含む気温データを取得し、
前記判定部は、さらに前記気温データに基づいて、前記路面の状態を判定する、請求項1に記載の路面状態の判定装置。
【請求項3】
前記所定の周波数領域は、前記車両が備えるインバータの作動音が有する特定周波数を含む、請求項1又は2に記載の路面状態の判定装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記車両の走行中に前記路面の状態を判定する、請求項3に記載の路面状態の判定装置。
【請求項5】
車両に搭載されて、前記車両を制御する制御装置であって、
前記車両に装着されたデータ収集部によって収集された、前記車両で生じた音の反射音の情報を含む音データを取得するデータ取得部と、
取得された前記音データにおける所定の周波数領域におけるピークの有無に基づいて、前記車両が走行している路面の状態を判定する判定部と、を備え、
判定された前記路面の状態に基づいて前記車両を制御する、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、路面状態の判定装置及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路管理者などが多大な労力を要することなく交通規制、保守、整備などを行うことができるように、道路の状況を把握するための技術が提案されている。例えば特許文献1は、路面に向けて超音波を発射し、反射率から路面の音響インピーダンスを求め、基準音響インピーダンスと比較することによって、路面に存在する物質を特定する検出方法を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-75711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、自動運転車では、安全性の観点から、道路条件に応じて自動運転の継続可否の判定が行われることがある。そのため、車両が走行中の路面状態を高精度に推定できる技術が求められている。ここで、特許文献1の技術は、超音波を発射及び受信するために、路面までの距離が既知であるように支柱に固定された送受波器を必要とする。車両は、路面までの距離が走行中に変化し、車台部分に超音波を発射するような大型の装置を後付けすることも難しい。そのため、特許文献1の検出方法を車両に適用することは困難である。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、簡易な構成で路面状態を高精度に推定可能な路面状態の判定装置及び制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の一実施形態に係る路面状態の判定装置は、車両が走行している路面の状態を判定する路面状態の判定装置であって、前記車両に装着されたデータ収集部によって収集された、前記車両で生じた音の反射音の情報を含む音データを取得するデータ取得部と、取得された前記音データにおける所定の周波数領域におけるピークの有無に基づいて、前記路面の状態を判定する判定部と、を備える。
この構成により、簡易な構成で路面状態を高精度に推定することができる。
【0007】
(2)本開示の一実施形態として、(1)において、前記データ取得部は、前記路面の周囲の温度の情報を含む気温データを取得し、前記判定部は、さらに前記気温データに基づいて、前記路面の状態を判定する。
この構成により、さらに細かい区分で、路面状態を推定することができる。
【0008】
(3)本開示の一実施形態として、(1)又は(2)において、前記所定の周波数領域は、前記車両が備えるインバータの作動音が有する特定周波数を含む。
この構成により、走行中のノイズの影響が少ない特定周波数を含む周波数領域を用いる判定によって、路面状態を高精度に推定することができる。
【0009】
(4)本開示の一実施形態として、(3)において、前記判定部は、前記車両の走行中に前記路面の状態を判定する。
この構成により、特定周波数の強い反射音を検出することが可能になり、路面状態を正確に推定することができる。
【0010】
(5)本開示の一実施形態に係る制御装置は、車両に搭載されて、前記車両を制御する制御装置であって、前記車両に装着されたデータ収集部によって収集された、前記車両で生じた音の反射音の情報を含む音データを取得するデータ取得部と、取得された前記音データにおける所定の周波数領域におけるピークの有無に基づいて、前記車両が走行している路面の状態を判定する判定部と、を備え、判定された前記路面の状態に基づいて前記車両を制御する。
この構成により、簡易な構成で路面状態を高精度に推定することができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、簡易な構成で路面状態を高精度に推定可能な路面状態の判定装置及び制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、路面状態の判定装置を含む路面状態の判定システムの構成例を示す図である。
図2図2は、図1の路面状態の判定システムの構成例を示す別の図である。
図3図3は、車両における音の周波数スペクトルを例示する図である。
図4図4は、路面状態を判定する処理を例示するフローチャートである。
図5図5は、路面状態の判定装置を含む路面状態の判定システムの別の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本開示の一実施形態に係る路面状態の判定装置及び制御装置が説明される。各図中、同一又は相当する部分には、同一符号が付されている。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0014】
図1及び図2は、路面状態の判定システムの構成例を示す図である。路面状態の判定システムは、路面状態の判定装置10を含む。図1は路面状態の判定装置10の内部構成例を含むブロック図である。図2は路面状態の判定システムの全体構成を示す。
【0015】
本実施形態に係る路面状態の判定装置10は、車両20が走行している路面の状態を判定する装置である。詳細について後述するが、路面状態の判定装置10は車両20で生じた音の反射音の情報に基づいて、路面状態を判定(推定)する。路面状態は、道路の表面の状態であって、本実施形態において「Dry」、「Wet」、「Ice」及び「Snow」の4つの区分に分類される。路面状態は、これら4つの区分に限定されず、例えば一部の区分を省略してよいし、例えば舗装された道路と砂利道とを区別する区分などをさらに含んでよい。Dryは路面が乾いた状態であることを示す。Wetは路面が濡れている状態であることを示す。Iceは路面が凍結している状態であることを示す。Snowは路面が積雪している状態であることを示す。また、本明細書の説明において、音は可聴領域の周波数を有するものに限定されず、例えば20kHzを超える範囲のものも含まれる。また、作動音とは、装置が作動することによって生じる音であって、ノイズも含まれる。
【0016】
路面状態の判定装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を備える。制御部13は、データ取得部131と、判定部132と、を備える。路面状態の判定装置10は、ハードウェア構成として、例えばコンピュータであってよい。路面状態の判定装置10の構成要素の詳細については後述する。
【0017】
路面状態の判定装置10は、ネットワーク40で接続される車両20に搭載される装置(データ収集部70及び車載通信部80)の少なくとも1つとともに、路面状態の判定システムを構成してよい。ネットワーク40は例えばインターネットである。ここで、車両20は、特定の用途のものに限定されるものでなく、例えば乗用車、トラック、タクシー又はバス等であってよい。本実施形態において、車両20は、自動運転機能を備える電気自動車であるとして説明するが、自動運転機能が無くてよいし、例えばハイブリッド車などであってよい。
【0018】
本実施形態において、車両20は、データ収集部70及び車載通信部80を備える。データ収集部70は、車両20で生じた音の反射音の情報を含む音データを収集する。データ収集部70は、車両20に装着されており、本実施形態においてマイクを含むが、これに限定されない。以下に説明するように、音データとして特定周波数の音の強度が収集される必要があるが、データ収集部70はマイク以外で特定周波数の音を検出可能な装置を含んでよい。例えばデータ収集部70は、マイクに代えて、空洞共鳴器、レゾネータ又は圧力センサを含んで構成されてよい。例えば空洞共鳴器は、特定周波数の波長の1/4の長さである管長を有する気柱共鳴装置であってよい。マイクに代えて、空洞共鳴器などが用いられることによって、データ収集部70のコストが低減する場合がある。
【0019】
図2に示すように、本実施形態において、データ収集部70であるマイクは、路面からの反射音を拾うように路面に向けて車両20に装着される。ここで、図3は車両20における音の周波数スペクトルを例示する図である。縦軸は信号強度(音の強さ)を示す。横軸は周波数を示す。車両20における音は、車両20から発せられて主に路面で反射された音及び走行中のノイズなど、様々な周波数の音が含まれるが、路面状態によって異なる特徴を有する。図3に示すように、Dry及びIceでは、Wet及びSnowにないピーク(P1及びP2のような急峻な変化)が見られる。発明者がより詳細に解析したところ、路面状態がDry及びIceの場合に、高周波領域に含まれる特定周波数においてピーク(P1)があり、車両20の走行時でも、走行音などのノイズの影響をあまり受けずにピーク(P1)を検出可能であることがわかった。ここで、高周波領域は特定の周波数帯に限定されないが、概ね5kHz以上である。Dryでは別のピーク(P2)も見られるが、高周波領域でない低い周波数であって、走行音などのノイズの影響によって検出できないことがある。発明者がさらに解析を進めたところ、特定周波数におけるピーク(P1)は、車両20が備えるインバータ21(図2参照)の作動音によるものが大きいことがわかった。インバータ21は、バッテリーからの直流電力を、タイヤ30に備えられたモーターを駆動する交流電力に変換する装置である。インバータ21の作動音には個体差があるため、車両20によって特定周波数の変動があり得るが、特定周波数は概ね数kHzから十数kHz程度である。したがって、データ収集部70によって音データを収集し、車両20が備えるインバータ21の作動音が有する特定周波数を含む所定の周波数領域におけるピークの有無に基づいて、路面の状態を判定することが可能である。路面状態の判定の詳細については後述する。
【0020】
車載通信部80は、データ収集部70によって収集された、車両20で生じた音の反射音の情報を含む音データを路面状態の判定装置10に出力する。車載通信部80は例えば無線通信モジュールで構成されてよいが、特定の装置に限定されない。本実施形態において、車載通信部80は、ネットワーク40を介して、路面状態の判定装置10と通信可能であるように構成される。
【0021】
ここで、データ収集部70はさらに気温データを収集するために、温度センサを含んでよい。気温データは路面の周囲の温度の情報を含む。この場合に、車載通信部80は気温データも路面状態の判定装置10に出力する。
【0022】
以下、路面状態の判定装置10の構成要素の詳細が説明される。通信部11は、ネットワーク40に接続する1つ以上の通信モジュールを含んで構成される。通信部11は、例えば4G(4th Generation)、5G(5th Generation)などの移動体通信規格に対応する通信モジュールを含んでよい。通信部11は、例えば無線のLAN規格(一例としてIEEE802.11)に対応する通信モジュールを含んでよい。また、通信部11は、例えば有線のLAN規格に対応する通信モジュールを含んでよい。
【0023】
記憶部12は、1つ以上のメモリである。メモリは、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限られず任意のメモリとすることができる。記憶部12は、例えば路面状態の判定装置10に内蔵されるが、任意のインターフェースを介して路面状態の判定装置10によって外部からアクセスされる構成も可能である。
【0024】
記憶部12は、制御部13が実行する各種の算出において使用される各種のデータを記憶する。また、記憶部12は、制御部13が実行する各種の算出の結果及び中間データを記憶してよい。本実施形態において、記憶部12は、車両20の特定周波数及び特定周波数を含む所定の周波数領域の情報を記憶する。特定周波数は車両20によって変動し得るため、路面状態の判定が行われる前に、インバータ21の作動音の測定などに基づいて特定されて、その情報が記憶部12に記憶されることが好ましい。
【0025】
制御部13は、1つ以上のプロセッサである。プロセッサは、例えば汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサであるが、これらに限られず任意のプロセッサとすることができる。制御部13は、路面状態の判定装置10の全体の動作を制御する。
【0026】
ここで、路面状態の判定装置10は、以下のようなソフトウェア構成を有してよい。路面状態の判定装置10の動作の制御に用いられる1つ以上のプログラムが記憶部12に記憶される。記憶部12に記憶されたプログラムは、制御部13のプロセッサによって読み込まれると、制御部13をデータ取得部131及び判定部132として機能させる。
【0027】
データ取得部131は、車両20に装着されたデータ収集部70によって収集され、車両20で生じた音の反射音の情報を含む音データを取得する。データ取得部131は気温データを取得してよい。データ取得部131は、データ収集部70が温度センサを含む場合に、データ収集部70によって収集された気温データを取得してよい。また、データ取得部131は、データ収集部70が温度センサを含まない場合に、ネットワーク40経由で、気象情報に含まれる気温データを取得してよい。また、データ取得部131は、記憶部12から、車両20の特定周波数及び特定周波数を含む所定の周波数領域の情報を取得してよい。データ取得部131は、取得したデータなどを判定部132に出力する。
【0028】
判定部132は、取得された音データにおける所定の周波数領域におけるピークの有無に基づいて、路面の状態を判定する。判定部132は、例えば音データから図3に示すような周波数スペクトルを生成してよい。判定部132は、周波数スペクトルから、所定の周波数領域を抽出して、特定周波数におけるピークの有無を判定する。ピークの有無の判定には、公知の手法が用いられてよく、特定の手法に限定されない。判定部132は、例えば強度について極大値を抽出し、極大値に対応する周波数が特定周波数に一致するかについて判定してよい。また、判定部132は、例えば抽出された極大値の周囲(前後)の周波数の強度を極大値から減算し、閾値以上である場合にピーク(急峻な変化)であると判定してよい。判定部132は、所定の周波数領域においてピークが有る場合に、路面の状態がDry又はIceであると判定できる。また、判定部132は、所定の周波数領域においてピークが無い場合に、路面の状態がWet又はSnowであると判定できる。例えば夏季において、判定部132は、所定の周波数領域においてピークが有ればDryであると、ピークが無ければWetであると、路面状態を判定してよい。
【0029】
判定部132は、さらに気温データに基づいて、路面の状態を判定してよい。気温データを併用することによって、判定部132は、さらに細かい区分で、路面状態を推定することができる。表1は、気温データを併用する場合における判定部132の路面状態の判定方法を示す。表1において、気温が「低い」は例えば0℃以下であり、それ以外が「通常」と示されている。
【0030】
【表1】
【0031】
このように、所定の周波数領域は車両20が備えるインバータ21の作動音が有する特定周波数を含み、特定周波数でのピークの有無が判定に用いられる。また、上記のように、所定の周波数領域は、走行音などのノイズの影響をあまり受けない高周波領域に対応する。そのため、本実施形態では、走行中のノイズの影響が少ない特定周波数を含む周波数領域を用いる判定によって、路面状態を高精度に推定することができる。つまり、本実施形態に係る路面状態の判定装置10は、車両20の走行中の路面状態の推定に適している。
【0032】
ここで、例えば制御部13は、車両20が自動運転で走行する道路の路面状態がIce又はSnowであると判定する場合に、手動運転に切り替えるように車両20の運転者に警告してよい。このように、路面状態の判定装置10は、判定した路面状態に基づいて車両20を制御する制御装置として機能してよい。
【0033】
図4は、路面状態の判定装置10が実行する路面状態を判定する処理を例示するフローチャートである。
【0034】
路面状態の判定装置10は、車両20が走行中になるまで待機する(ステップS1のNO)。路面状態の判定装置10は、車両20が走行中になると(ステップS1のYES)、路面状態を判定する処理を開始する。ここで、上記のように、特定周波数におけるピーク(図3のP1)は、車両20が備えるインバータ21の作動音によるものが大きい。インバータ21は、車両20の走行中に動作し、作動音が大きくなる。そのため、車両20が走行中であれば、特定周波数の強い反射音を検出することが可能になり、路面状態を正確に推定することができる。
【0035】
路面状態の判定装置10は、車両20で生じた音の反射音の情報を含む音データを取得する(ステップS2)。また、路面状態の判定装置10は、特定周波数の情報を記憶部12から取得する(ステップS3)。また、路面状態の判定装置10は、車両20が走行する路面の周囲の温度の情報を含む気温データを取得する(ステップS4)。
【0036】
路面状態の判定装置10は、表1に示すように、音データにおける所定の周波数領域におけるピークの有無及び気温データに基づいて、路面状態を判定する(ステップS5)。
【0037】
路面状態の判定装置10は、判定(推定)された路面の状態に基づいて車両20を制御する(ステップS6)。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る路面状態の判定装置10及び制御装置は、例えば超音波を発射するための装置などを必要とせず、簡易な構成で路面状態を高精度に推定可能である。また、本実施形態に係る制御装置は、推定された路面状態に基づいて、例えば自動運転の継続可否の判定などが可能であり、安全に車両20を走行させる制御が可能である。
【0039】
本開示の実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態は装置が備えるプロセッサにより実行されるプログラム及びプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0040】
図1及び図2に示される路面状態の判定装置10及び路面状態の判定システムの構成は一例であって、図1及び図2の構成に限定されるものでない。例えば路面状態の判定装置10は車両20に搭載されてよい。図5に示すように、路面状態の判定装置10が車両20に搭載される場合に、車載通信部80及びネットワーク40を介することなく、路面状態の判定装置10は音データなどを取得可能である。路面状態の判定装置10は、例えばCAN(Controller Area Network)などの車載ネットワークを用いてデータ収集部70から音データなどを取得してよい。
【0041】
また、特定周波数は、車両20が発する音であって高周波領域でピークを示すものであればよく、インバータ21の作動音の周波数に限定されない。したがって、インバータ21を備えない車両20であっても、走行音などのノイズの影響を受けにくい高周波領域にピークを有していれば、そのピークを示す音の周波数を特定周波数と設定することで上記の路面状態の判定手法が適用可能である。
【国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献】
【0042】
持続可能な社会の実現に向けて、SDGsが提唱されている。本開示の一実施形態は「No.9 産業と技術革新の基盤をつくろう」などに貢献する技術となり得ると考えられる。
【符号の説明】
【0043】
10 路面状態の判定装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
20 車両
21 インバータ
30 タイヤ
40 ネットワーク
70 データ収集部
80 車載通信部
131 データ取得部
132 判定部
図1
図2
図3
図4
図5