(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034475
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】タイヤ管理装置、タイヤ管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0875 20230101AFI20240306BHJP
【FI】
G06Q10/08 332
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138720
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100211395
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】大野 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】勝野 弘之
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】タイヤを管理する技術の有用性を向上させる、タイヤ管理装置、タイヤ管理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】鉱山サイト等における保管場所に保管されている1つ以上のタイヤを管理するために用いられるタイヤ管理システムにおいて、タイヤ管理装置は、1つ以上のタイヤのタイヤ状態と前記タイヤ状態に応じて定められる保管位置とを含むタイヤ保管情報を記憶し、新たなタイヤのタイヤ状態を取得し、新たなタイヤのタイヤ状態に基づいて、新たなタイヤの保管位置を判定し、タイヤ保管情報に新たなタイヤのタイヤ状態及び保管位置を反映させた、新たなタイヤ保管情報を出力する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ管理装置であって、
1つ以上のタイヤのタイヤ状態と前記タイヤ状態に応じて定められる保管位置とを含む、タイヤ保管情報を記憶し、
新たなタイヤのタイヤ状態を取得し、
前記新たなタイヤの前記タイヤ状態に基づいて、前記新たなタイヤの保管位置を判定し、
前記タイヤ保管情報に前記新たなタイヤの前記タイヤ状態及び前記保管位置を反映させた、新たなタイヤ保管情報を出力するように構成されている、タイヤ管理装置。
【請求項2】
前記新たなタイヤの前記保管位置を判定することは、前記新たなタイヤの前記タイヤ状態を、前記タイヤ保管情報に含まれる前記1つ以上のタイヤの前記タイヤ状態と比較することを含む、請求項1に記載のタイヤ管理装置。
【請求項3】
前記新たなタイヤの前記保管位置を判定することは、前記新たなタイヤの前記タイヤ状態を、所定の基準値と比較することを含む、請求項1に記載のタイヤ管理装置。
【請求項4】
前記タイヤ状態は、タイヤの熱履歴と残溝量とを含み、
前記保管位置は、タイヤが前記熱履歴の大きさ順に並べられる第1方向における位置と、タイヤが前記残溝量の大きさ順に並べられる第2方向における位置とで定められる、請求項1から3のいずれか一項に記載のタイヤ管理装置。
【請求項5】
前記タイヤ状態は、タイヤの偏摩耗の度合いを含み、
前記新たなタイヤの前記保管位置を判定することは、前記新たなタイヤの前記偏摩耗の度合いが第1閾値範囲内にあるか否かを判定することを含む、請求項1に記載のタイヤ管理装置。
【請求項6】
前記タイヤ状態は、タイヤの外傷の度合いを含み、
前記新たなタイヤの前記保管位置を判定することは、前記新たなタイヤの前記外傷の度合いが第2閾値範囲内にあるか否かを判定することを含む、請求項1に記載のタイヤ管理装置。
【請求項7】
タイヤ状態の条件を取得し、
前記タイヤ状態の条件を満たすタイヤの前記保管位置を出力するように構成されている、請求項1に記載のタイヤ管理装置。
【請求項8】
前記タイヤ保管情報は、タイヤに設置された電子タグに記憶されたタイヤ識別情報を含む、請求項1に記載のタイヤ管理装置。
【請求項9】
タイヤ管理方法であって、
1つ以上のコンピュータに、
1つ以上のタイヤのタイヤ状態と前記タイヤ状態に応じて定められる保管位置とを含む、タイヤ保管情報を記憶することと、
新たなタイヤのタイヤ状態を取得することと、
前記新たなタイヤの前記タイヤ状態に基づいて、前記新たなタイヤの保管位置を判定することと、
前記タイヤ保管情報に前記新たなタイヤの前記タイヤ状態及び前記保管位置を反映させた、新たなタイヤ保管情報を出力することと、
を実行させる、タイヤ管理方法。
【請求項10】
1つ以上のコンピュータに、
1つ以上のタイヤのタイヤ状態と前記タイヤ状態に応じて定められる保管位置とを含む、タイヤ保管情報を記憶することと、
新たなタイヤのタイヤ状態を取得することと、
前記新たなタイヤの前記タイヤ状態に基づいて、前記新たなタイヤの保管位置を判定することと、
前記タイヤ保管情報に前記新たなタイヤの前記タイヤ状態及び前記保管位置を反映させた、新たなタイヤ保管情報を出力することと、
を含む動作を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイヤ管理装置、タイヤ管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤを管理する技術が知られている。例えば、特許文献1には、車両のタイヤを交換する際に、タイヤに設置された電子タグの情報を読み取る方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、タイヤを管理する技術の有用性の更なる向上が求められている。例えば、タイヤを交換する際にタイヤの保管場所からタイヤを効率よくピックアップするために、保管場所におけるタイヤの保管位置を管理することが求められている。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、タイヤを管理する技術の有用性を向上させる、タイヤ管理装置、タイヤ管理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔1〕本開示の一実施形態に係るタイヤ管理装置は、1つ以上のタイヤのタイヤ状態と前記タイヤ状態に応じて定められる保管位置とを含む、タイヤ保管情報を記憶し、新たなタイヤのタイヤ状態を取得し、前記新たなタイヤの前記タイヤ状態に基づいて、前記新たなタイヤの保管位置を判定し、前記タイヤ保管情報に前記新たなタイヤの前記タイヤ状態及び前記保管位置を反映させた、新たなタイヤ保管情報を出力するように構成されている。
本開示の一実施形態に係るタイヤ管理装置によれば、タイヤの保管場所において新たなタイヤをタイヤ状態に応じて配置することが可能になる。また、タイヤの保管場所から目的とするタイヤ状態のタイヤを効率よくピックアップすることが可能になる。したがって、タイヤを管理する技術の有用性が向上する。
【0007】
〔2〕本開示の一実施形態に係るタイヤ管理装置は、上記〔1〕に記載のタイヤ管理装置であって、前記新たなタイヤの前記保管位置を判定することは、前記新たなタイヤの前記タイヤ状態を、前記タイヤ保管情報に含まれる前記1つ以上のタイヤの前記タイヤ状態と比較することを含むことが好ましい。かかる構成を有するタイヤ管理装置によれば、新たなタイヤを、他のタイヤと相対的な位置関係によりタイヤのタイヤ状態を把握可能な位置に配置することが可能になる。
【0008】
〔3〕本開示の一実施形態に係るタイヤ管理装置は、上記〔1〕に記載のタイヤ管理装置であって、前記新たなタイヤの前記保管位置を判定することは、前記新たなタイヤの前記タイヤ状態を、所定の基準値と比較することを含むことが好ましい。かかる構成を有するタイヤ管理装置によれば、新たなタイヤを、タイヤの絶対的な位置によりタイヤのタイヤ状態を把握可能な位置に配置することが可能になる。
【0009】
〔4〕本開示の一実施形態に係るタイヤ管理装置は、上記〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載のタイヤ管理装置であって、前記タイヤ状態は、タイヤの熱履歴と残溝量とを含み、前記保管位置は、タイヤが前記熱履歴の大きさ順に並べられる第1方向における位置と、タイヤが前記残溝量の大きさ順に並べられる第2方向における位置とで定められることが好ましい。かかる構成を有するタイヤ管理装置によれば、より適切にタイヤ状態を反映させたタイヤの保管位置を判定することができる。
【0010】
〔5〕本開示の一実施形態に係るタイヤ管理装置は、上記〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載のタイヤ管理装置であって、前記タイヤ状態は、タイヤの偏摩耗の度合いを含み、前記新たなタイヤの前記保管位置を判定することは、前記新たなタイヤの前記偏摩耗の度合いが第1閾値範囲内にあるか否かを判定することを含むことが好ましい。かかる構成を有するタイヤ管理装置によれば、より適切にタイヤ状態を反映させたタイヤの保管位置を判定することができる。
【0011】
〔6〕本開示の一実施形態に係るタイヤ管理装置は、上記〔1〕から〔5〕のいずれか一項に記載のタイヤ管理装置であって、前記タイヤ状態は、タイヤの外傷の度合いを含み、前記新たなタイヤの前記保管位置を判定することは、前記新たなタイヤの前記外傷の度合いが第2閾値範囲内にあるか否かを判定することを含むことが好ましい。かかる構成を有するタイヤ管理装置によれば、より適切にタイヤ状態を反映させたタイヤの保管位置を判定することができる。
【0012】
〔7〕本開示の一実施形態に係るタイヤ管理装置は、上記〔1〕から〔6〕のいずれか一項に記載のタイヤ管理装置であって、タイヤ状態の条件を取得し、前記タイヤ状態の条件を満たすタイヤの前記保管位置を出力するように構成されていることが好ましい。かかる構成を有するタイヤ管理装置によれば、タイヤの保管場所からタイヤをより効率よくピックアップすることが可能になる。
【0013】
〔8〕本開示の一実施形態に係るタイヤ管理装置は、上記〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載のタイヤ管理装置であって、前記タイヤ保管情報は、タイヤに設置された電子タグに記憶されたタイヤ識別情報を含むことが好ましい。かかる構成を有するタイヤ管理装置によれば、タイヤの保管場所からタイヤをより効率よくピックアップすることが可能になる。
【0014】
〔9〕本開示の一実施形態に係るタイヤ管理方法は、1つ以上のコンピュータに、1つ以上のタイヤのタイヤ状態と前記タイヤ状態に応じて定められる保管位置とを含む、タイヤ保管情報を記憶することと、新たなタイヤのタイヤ状態を取得することと、前記新たなタイヤの前記タイヤ状態に基づいて、前記新たなタイヤの保管位置を判定することと、前記タイヤ保管情報に前記新たなタイヤの前記タイヤ状態及び前記保管位置を反映させた、新たなタイヤ保管情報を出力することと、を実行させる。
本開示の一実施形態に係るタイヤ管理方法によれば、タイヤの保管場所において新たなタイヤをタイヤ状態に応じて配置することが可能になる。また、タイヤの保管場所から目的とするタイヤ状態のタイヤを効率よくピックアップすることが可能になる。したがって、タイヤを管理する技術の有用性が向上する。
【0015】
〔10〕本開示の一実施形態に係るプログラムは、1つ以上のコンピュータに、1つ以上のタイヤのタイヤ状態と前記タイヤ状態に応じて定められる保管位置とを含む、タイヤ保管情報を記憶することと、新たなタイヤのタイヤ状態を取得することと、前記新たなタイヤの前記タイヤ状態に基づいて、前記新たなタイヤの保管位置を判定することと、前記タイヤ保管情報に前記新たなタイヤの前記タイヤ状態及び前記保管位置を反映させた、新たなタイヤ保管情報を出力することと、を含む動作を実行させる。
本開示の一実施形態に係るプログラムによれば、タイヤの保管場所において新たなタイヤをタイヤ状態に応じて配置することが可能になる。また、タイヤの保管場所から目的とするタイヤ状態のタイヤを効率よくピックアップすることが可能になる。したがって、タイヤを管理する技術の有用性が向上する。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、タイヤを管理する技術の有用性を向上させる、タイヤ管理装置、タイヤ管理方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の一実施形態に係るタイヤ管理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】タイヤの保管場所を概略的に示す平面図である。
【
図3】
図1に示される端末装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1に示されるサーバの構成を示すブロック図である。
【
図5】
図1に示されるタイヤ管理システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の一実施形態に係るタイヤ管理システム1について、図面を参照して説明する。各図において共通する部材及び部位には同一の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合があることに留意されたい。
【0019】
(タイヤ管理システムの構成)
はじめに、
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係るタイヤ管理システム1の概要について説明する。
図1は、タイヤ管理システム1の概略構成を示す図である。
図2は、タイヤ2の保管場所3を概略的に示す平面図である。
図1に示されるように、タイヤ管理システム1は、端末装置10と、サーバ20とを含む。
図1では、3つの端末装置10と1つのサーバ20が示されている。しかしながら、タイヤ管理システム1は、任意の数の端末装置10及びサーバ20を含んでいてもよい。
【0020】
図2に示されるように、タイヤ管理システム1は、例えば、鉱山サイト等における保管場所3に保管されている1つ以上のタイヤ2Bを管理するために用いられる。鉱山サイトでは、一般的に、建設車両、工事車両又は重機車両等の車両に装着されるタイヤ2をローテーション又は交換して用いるために、複数のタイヤ2のストックが保管場所3にまとめて保管されている。
【0021】
本実施形態では、タイヤ2は、特に限定されないが、鉱山サイト等で使用される、建設車両、工事車両又は重機車両等の大型車両に装着されるOR(Off The Road)タイヤであってもよい。かかる場合、タイヤ2には、例えば、直径4メートルを有するタイヤも含まれ、その運搬には専用のタイヤハンドラー等のタイヤ運搬機4を用いる必要がある。そのため、タイヤ2の保管場所3においてタイヤ2を効率よく配置又はピックアップすることを可能にする本実施形態を適用することが好適である。ただし、タイヤ2は、ORタイヤ以外のタイヤであってもよい。
【0022】
さらに、タイヤ2は、電子タグが設置されたタイヤであってもよい。電子タグは、例えば、RF(Radio Frequency)タグである。RFタグは、RFID(Radio Frequency Identification)タグとも称される。電子タグは、パッシブ型の電子タグであってもよく、或いは、アクティブ型の電子タグであってもよい。電子タグは、タイヤ2の任意の位置に設置されていてもよい。例えば、電子タグは、タイヤ2を構成するゴムの内部に埋設されていてもよい。ただし、タイヤ2は、電子タグが設置されていなくてもよい。
【0023】
再び
図1を参照して、端末装置10は、例えばスマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等のコンピュータである。端末装置10は、保管場所3の作業員により携帯して用いられてもよく、或いは、ドローン又はタイヤ運搬機4等に搭載されていてもよい。例えば、端末装置10がドローンに搭載されていることで、タイヤ2の位置確認等を遠隔で行えるため、本実施形態では好適である。
【0024】
サーバ20は、1つ以上のコンピュータで構成されている。本実施形態では、サーバ20は、1つのコンピュータで構成されているものとして説明する。しかしながら、サーバ20は、クラウドコンピューティングシステム等、複数のコンピュータによって構成されていてもよい。サーバ20は、「タイヤ管理装置」とも称される。
【0025】
ネットワーク30は、端末装置10及びサーバ20が相互に通信可能な、任意の通信網である。例えば、本実施形態におけるネットワーク30は、アドホックネットワーク、MAN(Metropolitan Area Network)、セルラーネットワーク、WPAN(Wireless Personal Area Network)、PSTN(Public Switched Telephone Network)、地上波無線ネットワーク(Terrestrial Wireless Network)、光ネットワークもしくは他のネットワーク又はこれらいずれかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0026】
タイヤ管理システム1において、タイヤ管理装置であるサーバ20は、保管場所3に保管されている1つ以上のタイヤ2Bのタイヤ状態とタイヤ状態に応じて定められる保管位置とを含む、タイヤ保管情報を記憶している。新たなタイヤ2Aが保管場所3に持ち込まれた場合に、サーバ20は、例えば端末装置10から、新たなタイヤ2Aのタイヤ状態を取得する。サーバ20は、新たなタイヤ2Aのタイヤ状態に基づいて、新たなタイヤ2Aの保管位置を判定する。サーバ20は、タイヤ保管情報に新たなタイヤ2Aのタイヤ状態及び保管位置を反映させた、新たなタイヤ保管情報を出力する。これにより、保管場所3の作業員が、新たなタイヤ保管情報を参照して、保管場所3において新たなタイヤ2Aをタイヤ状態に応じて配置することができる。また、保管場所3において1つ以上のタイヤ2Bがタイヤ状態に応じて配置されることで、作業員が目的とするタイヤ状態のタイヤ2を効率よくピックアップすることができる。したがって、本実施形態に係るタイヤ管理システム1によれば、タイヤ2を管理する技術の有用性が向上する。なお、以降の説明において、新たなタイヤ2Aと、保管場所3に保管されている1つ以上のタイヤ2Bとを特に区別しない場合には、単にタイヤ2と総称するものとする。
【0027】
次に、タイヤ管理システム1の端末装置10及びサーバ20について、詳細に説明する。
【0028】
(端末装置の構成)
図3を参照して、本実施形態に係る端末装置10の構成を説明する。
図3は、端末装置10の構成を示すブロック図である。
図3に示されるように、端末装置10は、取得部11と、測位部12と、通信部13と、出力部14と、入力部15と、記憶部16と、制御部17と、を備える。端末装置10において、取得部11、測位部12、通信部13、出力部14、入力部15、記憶部16、及び制御部17は、有線又は無線で互いに通信可能に接続されている。
【0029】
取得部11は、タイヤ2に関する情報を取得することが可能な1つ以上の電子装置を含む。取得部11は、例えば、タイヤ2に設置された電子タグから情報を読み取り可能な読取機を含んでいてもよい。タイヤ2に設置された電子タグに記憶された情報には、例えば、そのタイヤ2を識別可能なタイヤ識別情報が含まれる。タイヤ識別情報は、例えば、サーバ20によって一意に払い出されるものであるが、これに限られず、タイヤ2の製造番号などであってもよい。
【0030】
タイヤ2に設置された電子タグに記憶された情報には、タイヤ識別情報に加えて、タイヤ2に関する情報が含まれていてもよい。タイヤ2に関する情報には、例えば、タイヤ2に設置されたタイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)により計測された内圧(空気圧)又は温度等の情報が含まれていてもよい。或いは、タイヤ2に関する情報には、タイヤ2のタイヤサイズ、使用期間、リトレッド回数、製造年月日、型番等、タイヤ2の状態を示す任意のデータが含まれていてもよい。
【0031】
また例えば、取得部11は、タイヤ2の画像を撮像するカメラを含んでいてもよい。取得部11は、可視光カメラ、赤外線カメラ等、画像を撮像可能な任意のカメラを含んでもよい。取得部11は、タイヤ2をカメラで撮像することで、例えば、タイヤ2の外表面に記載されたタイヤ識別情報、外表面の傷の有無、トレッド部の溝の状態等の、タイヤ2に関する情報を取得してもよい。カメラが撮像する画像は、写真等の静止画であるが、動画であってもよい。カメラは、上述した例に限られず、例えば、サーモグラフィ画像を生成可能なサーモグラフィカメラであってもよい。一般に、タイヤ2において傷の部分と他の部分では表面温度が異なるため、サーモグラフィ画像は、タイヤ2の外傷(外表面の傷)を検出する際に有益である。
【0032】
測位部12は、端末装置10の位置情報を生成することが可能な1つ以上の測位装置を含む。端末装置10の位置情報は、端末装置10が位置している地点の、2次元座標又は3次元座標等の座標である。
【0033】
測位部12は、衛星測位システムを用いた航法、自律航法、又はそれらの組み合わせにより、端末装置10の位置情報を生成する。測位部12は、衛星測位システムを用いた航法により端末装置10の位置情報を生成するために、衛星測位システムに対応する受信機を含んでいてもよい。受信機は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機である。測位部12は、自律航法により端末装置10の位置情報を生成するために加速度センサ又はジャイロセンサ等のセンサを含んでいてもよい。
【0034】
通信部13は、ネットワーク30に接続するための通信モジュールを含む。通信モジュールは、例えば4G(4th Generation)又は5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応した通信モジュールである。通信モジュールは、例えば有線LAN(Local Area Network)又は無線LAN等の規格に対応した通信モジュールであってもよい。通信モジュールは、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、又は赤外線通信等の近距離無線通信規格に対応した通信モジュールであってもよい。本実施形態において、端末装置10は、通信部13を介してネットワーク30に接続される。これによって、端末装置10は、サーバ20等と通信することができる。
【0035】
出力部14は、1つ以上の出力装置を含む。出力部14に含まれる出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ又はランプ等である。出力部14は、画像、音又は光等を出力する。
【0036】
入力部15は、1つ入力装置を含む。入力部15に含まれる入力装置は、例えばタッチパネル、カメラ、マイク、及びICカードリーダ等である。入力部15は、端末装置10の利用者による入力操作を受け付ける。
【0037】
記憶部16は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等である。記憶部16は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部16は、端末装置10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部16は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、組み込みソフトウェア、又はデータベース等を記憶する。記憶部16に記憶された情報は、例えば通信部13を介してネットワーク30から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0038】
制御部17は、1つ以上のプロセッサを含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサ等であってもよい。制御部17は、プロセッサに限られず、1つ以上の専用回路を含んでもよい。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってもよい。制御部17は、上述した、取得部11、測位部12、通信部13、出力部14、入力部15、及び記憶部16等の構成要素の機能を含む、端末装置10の機能を実現させるために、それぞれの構成要素を制御する。
【0039】
(サーバの構成)
図4を参照して、本実施形態に係るサーバ20の構成を説明する。
図4は、サーバ20の構成を示すブロック図である。
図4にブロック図で示されるように、サーバ20は、通信部21と、出力部22と、入力部23と、記憶部24と、制御部25と、を備える。サーバ20において、通信部21、出力部22、入力部23、記憶部24、及び制御部25は、有線又は無線で互いに通信可能に接続されている。
【0040】
通信部21は、ネットワーク30に接続する通信モジュールを含む。通信モジュールは、例えば4G又は5G等の移動体通信規格に対応した通信モジュールである。通信モジュールは、例えば有線LAN又は無線LAN等の規格に対応した通信モジュールであってもよい。通信モジュールは、Wi-Fi、Bluetooth、又は赤外線通信等の近距離無線通信規格に対応した通信モジュールであってもよい。本実施形態において、サーバ20は、通信部21を介してネットワーク30に接続される。これによって、サーバ20は、端末装置10等と通信することができる。
【0041】
出力部22は、1つ以上の出力装置を含む。出力部22に含まれる出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ又はランプ等である。出力部22は、画像、音又は光等を出力する。
【0042】
入力部23は、1つ入力装置を含む。入力部23に含まれる入力装置は、例えばタッチパネル、カメラ、マイク、及びICカードリーダ等である。入力部23は、サーバ20の利用者による入力操作を受け付ける。
【0043】
記憶部24は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等である。記憶部24は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部24は、サーバ20の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部24は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、組み込みソフトウェア、又はデータベース等を記憶する。記憶部24に記憶された情報は、例えば通信部21を介してネットワーク30から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0044】
制御部25は、1つ以上のプロセッサを含む。プロセッサは、例えば、CPU等の汎用のプロセッサ又は特定の処理に特化した専用のプロセッサ等であってもよい。制御部25は、プロセッサに限られず、1つ以上の専用回路を含んでもよい。専用回路は、例えば、FPGA又はASICであってもよい。制御部25は、上述した通信部21、出力部22、入力部23、及び記憶部24等の構成要素の機能を含む、サーバ20の機能を実現させるために、それぞれの機能を制御する。
【0045】
(タイヤ管理システムの動作)
図5を参照して、タイヤ管理システム1の動作を説明する。
図5は、タイヤ管理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
図5に示されるフローチャートには、タイヤ管理システム1に含まれる端末装置10及びサーバ20の動作が示されている。そのため、本動作の説明は、タイヤ管理システム1の制御方法に相当するとともに、タイヤ管理システム1に含まれる端末装置10及びサーバ20(タイヤ管理装置)のそれぞれの制御方法に相当する。
【0046】
本動作の説明において、
図2に示されるように、タイヤ2の保管場所3には、1つ以上のタイヤ2Bが保管されているものとする。
【0047】
ステップS101において、サーバ20の制御部25は、記憶部24に、保管場所3に保管されている1つ以上のタイヤ2Bについてのタイヤ保管情報を記憶する。
【0048】
タイヤ保管情報は、1つ以上のタイヤ2Bのタイヤ状態と、タイヤ状態に応じて定められる保管位置とを含む。タイヤ状態は、タイヤ2の状態を表す情報である。タイヤ状態は、例えば、タイヤ2の熱履歴、残溝量、偏摩耗の度合い、又は外傷の度合い等の項目を含んでいてもよい。熱履歴は、タイヤ2の使用に伴いタイヤ2に加えられた熱の履歴である。一般的に、熱履歴が大きくなると、タイヤ2の劣化が進む。熱履歴は、例えば、タイヤ2に設置されたTPMSにより計測された温度をアレニウスの式に適用することで算出され得る。残溝量は、タイヤ2のトレッド部に設けられた溝の残量である。例えば、残溝量は、トレッド部のタイヤ赤道面を挟んだ両側で計測された溝の深さの平均値を用いて表わされてもよい。偏摩耗の度合いは、タイヤ2のトレッド部の摩耗の偏りを示す指標である。例えば、偏摩耗の度合いは、トレッド部のタイヤ赤道面を挟んだ両側で計測された溝の深さの差を用いて表わされてもよい。外傷の度合いは、タイヤ2が負った傷の程度を示す指標である。例えば、外傷の度合いは、タイヤ2の外表面にある傷の数、大きさ、又は深さ等を用いて表わされてもよい。ただし、タイヤ2のタイヤ状態は、上述した例に限られず、タイヤ2の使用期間、リトレッド回数等、タイヤ2の状態を示す任意のデータを含んでいてもよい。保管位置は、タイヤ2が保管されている位置の情報である。保管位置は、タイヤ2が保管された位置を表す情報である。保管位置は、2次元座標等の座標で表わされていてもよく、或いは、タイヤ2の並び順(例えば、N列目の前からn番目など)で表わされていてもよい。タイヤ保管情報において、タイヤ状態と保管位置とは、各々のタイヤ2のタイヤ識別情報と関連付けられている。本実施形態では、タイヤ識別情報は、タイヤ2に設置された電子タグに記憶されたタイヤ識別情報である。これにより、端末装置10の読取機により電子タグからタイヤ識別情報を読み取ることで、タイヤ保管情報と保管場所3における実際のタイヤの保管状態との整合性の確認を容易に行うことができ、保管場所3におけるタイヤ2の管理が容易になる。
【0049】
ステップS102において、端末装置10の制御部17は、取得部11を介して、新たなタイヤ2Aに関する情報を取得する。
【0050】
新たなタイヤ2Aに関する情報の取得には、任意の手法が採用可能である。例えば、端末装置10の制御部17は、読取機である取得部11を介して、新たなタイヤ2Aに関する情報を、新たなタイヤ2Aのタイヤ識別情報と共に、新たなタイヤ2Aに設置された電子タグから読み取ってもよい。制御部17は、カメラである取得部11を介して、新たなタイヤ2Aに関する情報として、新たなタイヤ2Aのトレッド部等を撮像してもよい。或いは、制御部17は、入力部15を介して、新たなタイヤ2Aに関する情報を入力する入力操作を受け付けてもよい。制御部17は、取得した新たなタイヤ2Aに関する情報を、新たなタイヤ2Aのタイヤ識別情報と関連付けて、記憶部16に記憶してもよい。
【0051】
ステップS103において、端末装置10の制御部17は、通信部13を介して、新たなタイヤ2Aに関する情報をサーバ20に送信する。
【0052】
ステップS104において、サーバ20の制御部25は、新たなタイヤ2Aのタイヤ状態を取得する。
【0053】
サーバ20における新たなタイヤ2Aのタイヤ状態の取得には、任意の手法が採用可能である。例えば、サーバ20の制御部25は、通信部21を介して、端末装置10から新たなタイヤ2Aに関する情報を受信する。制御部25は、端末装置10から受信した新たなタイヤ2Aに関する情報に基づいて、新たなタイヤ2Aのタイヤ状態を生成し、記憶部24に記憶してもよい。或いは、制御部25は、端末装置10から受信した新たなタイヤ2Aに関する情報を、新たなタイヤ2Aのタイヤ状態として記憶部24に記憶してもよい。ただし、制御部25は、端末装置10以外の装置から取得した情報に基づいて、新たなタイヤ2Aのタイヤ状態を生成してもよい。例えば、制御部25は、制御部25は、通信部21を介して、新たなタイヤ2AのTPMSから取得した情報に基づいて、新たなタイヤ2Aのタイヤ状態を生成し、記憶部24に記憶してもよい。
【0054】
ステップS105において、サーバ20の制御部25は、新たなタイヤ2Aのタイヤ状態に基づいて、新たなタイヤ2Aの保管位置を判定する。
【0055】
保管場所3における、タイヤ2の保管位置は、タイヤ2のタイヤ状態に応じて定められている。本実施形態では、タイヤ2の保管位置は、タイヤ2のタイヤ状態のうち2つの項目に応じて、定められている。例えば、
図2に示されるように、保管場所3では、タイヤ2は、第1方向において、熱履歴の大きさ順に並べられ、第1方向とは異なる第2方向において、残溝量の大きさ順に並べられていてもよい。すなわち、保管位置は、タイヤ2が熱履歴の大きさ順に並べられる第1方向における位置と、タイヤ2が残溝量の順に並べられる第2方向における位置とで定められてもよい。例えば、
図2に示される例では、第1方向に沿って矢印方向(図面右側)に行くほどタイヤ2の熱履歴が大きくなり、タイヤ2の耐久性が小さくなるように、タイヤ2が配置されている。また、第2方向に沿って矢印方向(図面下側)に行くほどタイヤ2の残溝量が小さくなり、リトレッドの必要性が大きくなるように、タイヤ2が配置されている。これにより、保管場所3における、タイヤ2が保管されている位置によって、タイヤ2のタイヤ状態を把握することが容易になる。さらに、タイヤ2の保管位置が熱履歴と残溝量とに応じて定められることによって、より精度良くタイヤ2のタイヤ状態を把握することができる。例えば、
図2において、図面左下に位置しているタイヤ2は、熱履歴が小さく、残溝量が大きいため、タイヤ状態が良く、そのまま車両に装着して使用可能と判断されてもよい。また、図面左上に位置しているタイヤ2は、熱履歴が小さく、残溝量が小さいため、タイヤ2の耐久性は高く、リトレッドすれば使用可能であると判断されてもよい。ただし、タイヤ2の保管位置は、タイヤ2のタイヤ状態のうち1つの項目又は3つ以上の項目に応じて、定められていてもよい。また、第1方向及び第2方向の少なくとも一方は、それぞれ残溝量及び熱履歴以外の、タイヤ2のタイヤ状態の項目の順に並べられてもよい。
【0056】
新たなタイヤ2Aの保管位置の判定には、任意の手法が採用可能である。例えば、ステップS105において、サーバ20の制御部25は、新たなタイヤ2Aのタイヤ状態を、タイヤ保管情報に含まれる1つ以上のタイヤ2Bのタイヤ状態と比較して、新たなタイヤ2Aの保管位置を判定してもよい。例えば、制御部25は、新たなタイヤ2Aの熱履歴を、タイヤ保管情報に含まれる1つ以上のタイヤ2Bの熱履歴と比較して、第1方向における位置を判定してもよい。そして、制御部25は、新たなタイヤ2Aの残溝量を、タイヤ保管情報に含まれる1つ以上のタイヤ2Bの残溝量と比較して、第2方向における位置を判定してもよい。その結果、制御部25は、
図2に示されるように、保管場所3において、新たなタイヤ2Aの保管位置Pを判定し、保管位置Pの座標を新たなタイヤ2Aの保管位置として記憶部24に記憶してもよい。このようなタイヤ2Aの相対的な保管位置の判定により、保管場所3の作業員は、保管場所3において、他のタイヤ2と相対的な位置関係によりタイヤ2のタイヤ状態を把握可能な位置に新たなタイヤ2Aを配置することが可能になる。そして、保管場所3の作業員は、保管場所3におけるタイヤ2の相対的な位置関係により、目的とするタイヤ状態のタイヤをタイヤの保管場所から効率よくピックアップすることが可能になる。
【0057】
上記に代えて/加えて、ステップS105において、サーバ20の制御部25は、新たなタイヤ2Aのタイヤ状態を、所定の基準値と比較して、新たなタイヤ2Aの保管位置を判定してもよい。例えば、制御部25は、所定の基準値として、熱履歴に関する第1基準値と、残溝量に関する第2基準値と、を含んでいてもよい。
図2に示されるように、第1基準値及び第2基準値は、各々保管場所3における基準線L1及び基準線L2と対応付けられていてもよい。制御部25は、新たなタイヤ2Aの熱履歴を第1基準値と比較して、新たなタイヤ2Aを第1方向において基準線L1のどちら側に保管するかを判定してもよい。そして、制御部25は、新たなタイヤ2Aの残溝量を第2基準値と比較して、新たなタイヤ2Aを第2方向において基準線L2のどちら側に保管するかを判定してもよい。その結果、制御部25は、
図2に示されるように、新たなタイヤ2Aの保管位置Pを判定し、保管位置Pの座標を新たなタイヤ2Aの保管位置として記憶部24に記憶してもよい。このようなタイヤ2Aの絶対的な保管位置の判定により、保管場所3の作業員は、保管場所3において、タイヤ2の絶対的な位置によりタイヤ2のタイヤ状態を把握可能な位置に、新たなタイヤ2Aを配置することが可能になる。そして、保管場所3の作業員は、保管場所3におけるタイヤ2の位置により、目的とするタイヤ状態のタイヤをタイヤの保管場所から効率よくピックアップすることが可能になる。なお、所定の基準値の数は、任意の数とされてもよい。
【0058】
ステップS105において、新たなタイヤ2Aの相対的な保管位置の判定と、絶対的な保管位置の判定とを併用する場合、初めに、絶対的な保管位置が判定されたのち、その中で、更に、相対的な保管位置が判定されてもよい。
【0059】
ステップS105において、サーバ20の制御部25は、新たなタイヤ2Aの偏摩耗の度合いが第1閾値範囲内にあるか否かを判定してもよい。例えば、制御部25は、新たなタイヤ2Aの偏摩耗の度合いが第1閾値範囲内にある場合に、熱履歴及び残溝量に基づいて、新たなタイヤ2Aの保管位置を判定してもよい。新たなタイヤ2Aの偏摩耗の度合いが第1閾値範囲内にない場合には、制御部25は、新たなタイヤ2Aを保管場所3に保管せずに廃棄又は修理に送ると判定してもよい。これにより、偏摩耗の度合いが許容範囲を超えたタイヤ2が保管場所3に保管されることがなくなり、保管場所3に保管されたタイヤ2のタイヤ状態を把握しやすくなる。ただし、制御部25は、新たなタイヤ2Aの偏摩耗の度合いが第1閾値範囲内にない場合に、新たなタイヤ2Aを保管場所3の所定の位置に保管すると判定してもよい。
【0060】
ステップS105において、サーバ20の制御部25は、新たなタイヤ2Aの外傷の度合いが第2閾値範囲内にあるか否かを判定してもよい。例えば、制御部25は、新たなタイヤ2Aの外傷の度合いが第2閾値範囲内にある場合に、熱履歴及び残溝量に基づいて、新たなタイヤ2Aの保管位置を判定してもよい。新たなタイヤ2Aの外傷の度合いが第2閾値範囲内にない場合には、制御部25は、新たなタイヤ2Aを保管場所3に保管せずに廃棄又は修理に送ると判定してもよい。これにより、外傷の度合いが許容範囲を超えたタイヤ2が保管場所3に保管されることがなくなり、保管場所3に保管されたタイヤ2のタイヤ状態を把握しやすくなる。ただし、制御部25は、新たなタイヤ2Aの外傷の度合いが第2閾値範囲内にない場合に、新たなタイヤ2Aを保管場所3の特定の位置に保管すると判定してもよい。
【0061】
再び
図5を参照して、ステップS106において、サーバ20の制御部25は、タイヤ保管情報に新たなタイヤ2Aのタイヤ状態及び保管位置を反映させた、新たなタイヤ保管情報を出力する。
【0062】
サーバ20の制御部25は、タイヤ保管情報に、ステップS104で取得した新たなタイヤ2Aのタイヤ識別情報及びタイヤ状態と、ステップS105で判定した新たなタイヤ2Aの保管位置Pとを加えて、新たなタイヤ保管情報を生成してもよい。その際、制御部25は、新たなタイヤ2Aを保管位置Pに加えることに伴い、既に保管場所3に保管されていた1つ以上のタイヤ2Bの保管位置を修正する必要があれば、修正する。制御部25は、新たなタイヤ保管情報の出力として、新たなタイヤ保管情報を記憶部24に記憶してもよい。制御部25は、新たなタイヤ保管情報の出力として、ディスプレイ等の出力部22に新たなタイヤ保管情報を表示させてもよい。或いは、制御部25は、新たなタイヤ保管情報の出力として、通信部21を介して、新たなタイヤ保管情報を、端末装置10に送信してもよい。これにより、ステップS107において、端末装置10の制御部17が、ディスプレイ等の出力部14を介して、受信したタイヤ保管情報を表示することができる。その結果、保管場所3の作業員は、新たなタイヤ保管情報に従って、新たなタイヤ2Aをタイヤ状態に応じた位置に配置することが可能になる。また、作業員は、タイヤ2の保管場所から目的とするタイヤ状態のタイヤ2を効率よくピックアップすることが可能になる。したがって、本開示に係るタイヤ管理システム1によれば、タイヤを管理する技術の有用性が向上する。
【0063】
さらに、タイヤ管理システム1は、タイヤ保管情報に基づく、タイヤ2の検索機能を提供してもよい。例えば、検索機能は、例えば、車両のタイヤ2交換の際に、保管場所3の作業員が、保管場所3において、車両に装着するタイヤ2を探す際に使用されてもよい。
【0064】
具体的には、
図5を参照して、ステップS108において、端末装置10の制御部25は、入力部15を介して、タイヤ状態の条件を入力する入力操作を受け付けてもよい。タイヤ状態の条件は、例えば、タイヤ2の熱履歴又は残溝量の少なくとも一方の条件を含んでいてもよい。制御部25は、通信部13を介して、タイヤ状態の条件をサーバ20に送信する。
【0065】
その後、ステップS109において、サーバ20の制御部25は、タイヤ状態の条件を取得する。さらに、ステップS110において、制御部25は、タイヤ保管情報からタイヤ状態の条件を満たすタイヤ2を検索し、タイヤ2の保管位置を出力する。例えば、制御部25は、通信部21を介して、タイヤ状態の条件を満たすタイヤ2の保管位置を、タイヤ2のタイヤ識別情報及びタイヤ状態と共に、端末装置10に送信してもよい。これにより、ステップS111において、端末装置10の制御部17が、ディスプレイ等の出力部14を介して、タイヤ状態の条件を満たすタイヤ2の保管位置を表示することができる。その結果、保管場所3の作業員が、タイヤ2の保管場所3から目的とするタイヤ状態のタイヤ2をより効率よくピックアップすることが可能になる。
【0066】
タイヤ保管情報に登録されたタイヤ識別情報が、タイヤ2に設置された電子タグにも記憶されている場合、端末装置10の制御部25は、取得部11を介して、タイヤ2に設置された電子タグからタイヤ識別情報を読み取ることで、検索結果に含まれる保管位置に保管されているタイヤ2が目的のタイヤ2であるか否かを判定してもよい。端末装置10は、作業員等によって、検索結果に含まれる保管位置に運ばれてもよい。或いは、端末装置10がドローンに搭載されている場合には、ドローンによって保管位置に運ばれてもよい。
【0067】
以上述べたように、本実施形態において、タイヤ管理装置であるサーバ20は、保管場所3に保管されている1つ以上のタイヤ2Bのタイヤ状態とタイヤ状態に応じて定められる保管位置とを含む、タイヤ保管情報を記憶している。新たなタイヤ2Aが保管場所3に持ち込まれた場合に、サーバ20は、例えば端末装置10から、新たなタイヤ2Aのタイヤ状態を取得する。サーバ20は、新たなタイヤ2Aのタイヤ状態に基づいて、新たなタイヤ2Aの保管位置を判定する。サーバ20は、タイヤ保管情報に新たなタイヤ2Aのタイヤ状態及び保管位置を反映させた、新たなタイヤ保管情報を出力する。
【0068】
かかる構成によれば、保管場所3の作業員が、新たなタイヤ保管情報を参照して、保管場所3において新たなタイヤ2Aをタイヤ状態に応じて配置することができる。また、保管場所3において1つ以上のタイヤ2Bがタイヤ状態に応じて配置されることで、作業員が目的とするタイヤ状態のタイヤ2を効率よくピックアップすることができる。したがって、本実施形態によれば、タイヤ2を管理する技術の有用性が向上する。
【0069】
本開示を諸図面及び実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが可能であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各実施形態に含まれる構成又は機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能である。また、各実施形態に含まれる構成又は機能等は、他の実施形態に組み合わせて用いることができ、複数の構成又は機能等を1つに組み合わせたり、分割したり、或いは一部を省略したりすることが可能である。
【0070】
例えば、上述した実施形態において、サーバ20の機能又は処理として説明された機能又は処理の全部又は一部が、端末装置10の機能又は処理として実現されてもよい。具体的には、実施形態に係るサーバ20の機能又は処理の全部又は一部を実現する処理内容を記述したプログラムを、端末装置10の記憶部16に記憶し、制御部17によって当該プログラムを読み出して実行させてもよい。同様に、端末装置10の機能又は処理として説明された機能又は処理の全部又は一部が、サーバ20の機能又は処理として実現されてもよい。
【0071】
また例えば、汎用のコンピュータを、上述した実施形態に係る端末装置10、サーバ20として機能させる実施形態も可能である。具体的には、上述した実施形態に係る端末装置10、サーバ20の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、汎用のコンピュータのメモリに格納し、プロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、本開示は、プロセッサが実行可能なプログラム、又は当該プログラムを記憶する非一時的なコンピュータ読取可能な媒体としても実現可能である。非一時的なコンピュータ読取可能な媒体には、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又は半導体メモリ等が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本開示はタイヤ管理装置、タイヤ管理方法、及びプログラムに関する。
【0073】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
持続可能な社会の実現に向けて、SDGsが提唱されている。本発明の一実施形態は「No.9_産業と技術革新の基盤を作ろう」などに貢献する技術となり得ると考えられる。
【符号の説明】
【0074】
1:タイヤ管理システム、 2(2A、2B):タイヤ、 3:保管場所、 4:タイヤ運搬機、 10:端末装置、 11:取得部、 12:測位部、 13:通信部、 14:出力部、 15:入力部、 16:記憶部、 17:制御部、 20:サーバ、 21:通信部、 22:出力部、 23:入力部、 24:記憶部、 25:制御部、 30:ネットワーク、 P:保管位置、 L1、L2:基準線