(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024034476
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】鉄筋用ロッド支持具
(51)【国際特許分類】
G01C 15/06 20060101AFI20240306BHJP
E04G 21/12 20060101ALI20240306BHJP
E04G 21/16 20060101ALI20240306BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20240306BHJP
【FI】
G01C15/06 Z
E04G21/12 105Z
E04G21/16
G03B17/56 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138728
(22)【出願日】2022-08-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】522347531
【氏名又は名称】株式会社山城建設
(74)【代理人】
【識別番号】100192496
【弁理士】
【氏名又は名称】西平 守秀
(72)【発明者】
【氏名】山城 匡雄
【テーマコード(参考)】
2E174
2H105
【Fターム(参考)】
2E174AA01
2E174BA03
2E174DA32
2E174DA40
2E174EA07
2H105EE08
(57)【要約】
【課題】簡易な構造でありながら、鉄筋への取り付けおよび位置調整が容易であり、現場での取り付け作業性を向上することができる鉄筋用ロッド支持具を提供する。
【解決手段】本実施形態の鉄筋用ロッド支持具10は、略円弧状に湾曲して形成され、その内側で第1のロッド31を支持する第1のフック部11と、第1のフック部11とは反対の方向で略円弧状に湾曲して形成され、その内側で鉄筋40に係止する第2のフック部15と、第1のフック部11および第2のフック部15を連結する連結部18と、第1のフック部11の先端部または中央部に進退自在に螺設される締結ボルト19と、を含む。また、締結ボルト19の先端(破損防止用のチップを設けてもよい)が第1のロッド31の表面を押圧して第1のロッド31の裏面が連結部18の表面に係合することで、支持具本体が第1のロッド31に固定される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状に形成され、現場記録写真の撮影の際に鉄筋に固定されてその基準とされるロッドのロッド本体に対し、着脱自在に取り付けられる鉄筋用ロッド支持具であって、
略円弧状に湾曲して形成され、その内側で前記ロッド本体を支持する第1のフック部と、
前記第1のフック部とは反対の方向で略円弧状に湾曲して形成され、その内側で前記鉄筋に係止する第2のフック部と、
前記第1のフック部および前記第2のフック部を連結する連結部と、
前記第1のフック部の先端部または中央部に進退自在に螺設される締結ボルトと、を含み、
前記締結ボルトの先端が前記ロッド本体の表面を押圧して前記ロッド本体の裏面が前記連結部の表面に係合することで、支持具本体が前記ロッド本体に固定される、
鉄筋用ロッド支持具。
【請求項2】
前記第1のフック部および前記第2のフック部は板状部材からなり、
前記第1のフック部は、略U字状に形成されるとともにその基端部に配設され前記連結部に連結する第1の湾曲部と、平坦状に形成されるとともにその先端部に配設される平坦部と、を有し、
前記第2のフック部は、略U字状に形成されるとともにその基端部に配設され前記連結部に連結する第2の湾曲部と、前記第2の湾曲部と比べて緩やかに湾曲して形成されるとともにその先端部に配設される第3の湾曲部と、を有し、
前記第3の湾曲部は、その先端に行くに従って前記連結部に近接するように湾曲して形成される、
請求項1に記載の鉄筋用ロッド支持具。
【請求項3】
前記ロッド本体にはその長手方向に沿って目盛りが刻印されており、
前記第1のフック部の表面には前記ロッド本体の前記目盛りに対応して目盛りが刻印される、
請求項1に記載の鉄筋用ロッド支持具。
【請求項4】
前記連結部は平板状に形成されており、
前記第1のフック部と前記第2のフック部と前記連結部とは、板状部材から一体形成される、
請求項1に記載の鉄筋用ロッド支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現場記録写真の撮影の際に鉄筋に固定されてその基準とされるロッド本体に対し、着脱自在に取り付けられる鉄筋用ロッド支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物に関する鉄筋の工事現場において、その鉄筋の配筋が規定どおりに設置されている否かを行政機関などが確認するために、その鉄筋の設置状況をその現場記録として写真撮影することが、法律的に義務づけられている。鉄筋は所定の間隔で配筋されていることを写真で記録する必要があり、この現場記録写真の撮影の際には配筋ロッド(標尺)が使用される。配筋ロッドは長尺状に形成されるとともにその長手方向に沿って目盛りが刻印されており、鉄筋に固定されることで写真撮影の目印(基準)とされる。
【0003】
その配筋ロッドの固定については、撮影の際、作業員が把持して鉄筋に対し固定して行われるのが一般的であり、その作業には複数の作業者が必要となっている。煩雑な作業となっており、従前よりその改善が求められていた。この撮影の作業を省人化または効率化を実現するため、その配筋ロッドを固定したり、または保持したりする鉄筋用ロッド支持具(以下「支持具」ともいう。)が複数提案されている。
【0004】
その従来の支持具の一例としては、現場記録写真の撮影の際に鉄筋に取り付けられて目印とされるマーカー本体を有し、このマーカー本体の正面側には、彩色が施された識別部が設けられるものが知られる(たとえば特許文献1参照)。また、この装具のマーカー本体の背面側には鉄筋を着脱可能に狭持する狭持部が設けられる。この狭持部は、鉄筋の節に係止可能な間隔で縦方向に並列される複数の狭持腕を有して設けられる。
【0005】
また、その装具の他の一例としては、ロッド本体に永久磁石が装架されるスライド金具をそのロッド本体の長手方向に摺動自在に装着することで、その永久磁石の吸着力を利用して、鉄筋にロッド本体を強固に固定しようとするものも知られる(たとえば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-008347号公報
【特許文献2】実開昭63-031321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載の装具は、挟持部およびその挟持腕の構造を有し構造が複雑である上、工事現場において配筋ロッド本体への取り付けまたは取り外しも煩雑である可能性がある。前記特許文献2に記載の装具は、永久磁石の磁力(吸着力)によりロッド本体を鉄筋に固着させる構造であるが、その吸着力を大きくする必要があり、その磁力の大きさから現場での固着位置の調整作業が煩雑となる可能性がある。これら従来の支持具は、構造の簡素化および取り付け作業性の点で、改善の余地があったといえる。
【0008】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構造でありながら、鉄筋への取り付けおよび位置調整が容易であり、現場での取り付け作業性を向上することができる鉄筋用ロッド支持具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の前述した目的は、後記の構成により達成される。
(1)長尺状に形成され、現場記録写真の撮影の際に鉄筋に固定されてその基準とされるロッドのロッド本体に対し、着脱自在に取り付けられる鉄筋用ロッド支持具であって、略円弧状に湾曲して形成され、その内側で前記ロッド本体を支持する第1のフック部と、前記第1のフック部とは反対の方向で略円弧状に湾曲して形成され、その内側で前記鉄筋に係止する第2のフック部と、前記第1のフック部および前記第2のフック部を連結する連結部と、前記第1のフック部の先端部または中央部に進退自在に螺設される締結ボルトと、を含み、前記締結ボルトの先端が前記ロッド本体の表面を押圧して前記ロッド本体の裏面が前記連結部の表面に係合することで、支持具本体が前記ロッド本体に固定される、鉄筋用ロッド支持具。
(2)前記第1のフック部および前記第2のフック部は板状部材からなり、前記第1のフック部は、略U字状に形成されるとともにその基端部に配設され前記連結部に連結する第1の湾曲部と、平坦状に形成されるとともにその先端部に配設される平坦部と、を有し、前記第2のフック部は、略U字状に形成されるとともにその基端部に配設され前記連結部に連結する第2の湾曲部と、前記第2の湾曲部と比べて緩やかに湾曲して形成されるとともにその先端部に配設される第3の湾曲部と、を有し、前記第3の湾曲部は、その先端に行くに従って前記連結部に近接するように湾曲して形成される、(1)に記載の鉄筋用ロッド支持具。
(3)前記ロッド本体にはその長手方向に沿って目盛りが刻印されており、前記第1のフック部の表面には前記ロッド本体の前記目盛りに対応して目盛りが刻印される、(1)に記載の鉄筋用ロッド支持具。
(4)前記連結部は平板状に形成されており、前記第1のフック部と前記第2のフック部と前記連結部とは、板状部材から一体形成される、(1)に記載の鉄筋用ロッド支持具。
【0010】
前記(1)の構成によれば、第1のフック部、第2のフック部、連結部および締結ボルトを基本構造に有してを固定するものであり簡易な構造で鉄筋への固定を実現することができる。また、締結ボルトの先端がロッド本体の表面を押圧してロッド本体の裏面が連結部の表面に係合することで、支持具本体がロッド本体に固定されるため、支持具本体およびロッド本体を強固に固定しながらその取り付けが容易である。さらに、固定状態から締結ボルトを螺合孔に対し退避させることで支持具本体およびロッド本体の固定関係を解除してロッド本体の長手方向での位置調整を容易に実現することができる。このように、簡易な構造でありながら、鉄筋への取り付けおよび位置調整が容易であり、現場での取り付け作業性を向上することができる。
前記(2)の構成によれば、第1のフック部が第1の湾曲部および平坦部を含んで構成されるため、長尺状のロッド本体をその内部でガタツキを抑制して適切に保持することができる。また、第2のフック部は、第2の湾曲部および第3の湾曲部を含んで構成されるため、さまざまな径の鉄筋にも適応的に対応して安定して係合することができる。
前記(3)の構成によれば、第1のフック部の表面にはロッド本体の目盛りに対応して目盛りが刻印されるとよい。これにより、支持具本体によりロッド本体の目盛りが隠れる部分が発生する場合でも第1のフック部の目盛りがロッド本体の当該部分に代替して現場記録写真を説得的に撮影することができる。
前記(4)の構成によれば、板状部材から一体成形されるため、より簡易な構造を実現して製造コストを抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易な構造でありながら、鉄筋への取り付けおよび位置調整が容易であり、現場での取り付け作業性を向上することができる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。さらに、以下に説明される発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細はさらに明確化されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る第1実施形態の支持具が第1のロッドに取り付けられた状態の一例を示す斜視図
【
図2】
図1に示す支持具の構造の一例を説明する拡大斜視図
【
図3】
図1に示す支持具の使用状態の一例を説明する第1の模式図
【
図4】
図3に示す使用状態後の一例を説明する第2の模式図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を適宜参照しながら、本発明に係る鉄筋用ロッド支持具を具体的に開示した実施形態を詳細に説明する。
【0015】
ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。たとえばすでによく知られた事項の詳細説明または実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。また、添付図面のそれぞれは符号の向きに従って視るものとする。
【0016】
また、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0017】
たとえば、以下の実施形態ではロッドの一例としてクロスロッドを採用した場合について説明するがこれに限定されない。単一のロッドなどの、種々のタイプのロッドに対しても本発明を適用することが可能である。
【0018】
(第1実施形態)
図1~
図4に基づいて、本発明に係る鉄筋用ロッド支持具10(以下「支持具」ともいう。)の第1実施形態について説明する。
【0019】
[・支持具の全体概要および取付状態について]
図1を参照しながら、支持具10の全体概要および取付状態の一例について説明する。
図1は、本実施形態の支持具10が第1のロッド31に取り付けられた状態の一例を示す斜視図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の支持具10は、ロッド30に取り付けられる。
【0021】
本実施形態のロッド30は、いわゆるクロスロッド型であり、第1のロッド31(ロッド本体の一例)および第2のロッド32を含んで構成される。また、第1のロッド31および第2のロッド32は、長尺状の平板部材からなり、その中心部で重ね合わされておりかつ互いに回動自在に枢着される。工事現場の作業者は、第1のロッド31および第2のロッド32を、任意の位置で直交した状態で保持することが可能である。
【0022】
また、第1のロッド31および第2のロッド32の表面において、その一対の長辺部のそれぞれには、その長手方向に沿って目盛り33が刻印される。この刻印される目盛り33に基づいて、工事現場で実施される鉄筋40の配筋ピッチ(設置された鉄筋40の間隔)が測定可能にされる。
【0023】
つまり、工事現場で格子状に配筋される鉄筋40に対し、第1のロッド31は横方向(水平方向)に配筋される鉄筋42(以下「横筋」ともいう。)に沿って配置される。そして、第2のロッド32は第1のロッド31に対し回動されることで、縦方向(鉛直方向)に配筋される鉄筋41(以下「縦筋」ともいう。)に沿って配置される。そのように第1のロッド31および第2のロッド32が直交して配置された状態で、現場記録写真が撮影される。その撮影された現場記録写真によって、水平方向および鉛直方向の鉄筋40の配筋ピッチが把握および記録されることになる。
【0024】
また、本実施形態では、第1のロッド31において長手方向両端部のそれぞれにおいて、本発明に係る支持具10が取り付けられる。支持具10は、長尺状に形成され、現場記録写真の撮影の際に鉄筋40に固定されて、その基準とされる、ロッド30の第1のロッド31に対し、着脱自在に取り付けられる。支持具10は、後述のように第1のフック部11および第2のフック部15を含んで構成される。支持具10は、第1のフック部11で第1のロッド31を支持する。支持具10は、第2のフック部15で鉄筋40のうち横筋42に係止する。
【0025】
[・支持具の構造について]
図2を参照しながら、支持具10の構造の一例について説明する。
図2は、
図1に示す支持具10の構造の一例を説明する拡大斜視図である。
【0026】
図2に示すように、本実施形態の支持具10は、第1のフック部11と、第2のフック部15と、連結部18と、締結ボルト19を、を含んで構成される。第1のフック部11、第2のフック部15および連結部18のそれぞれは平板状に形成される。すなわち、第1のフック部11、第2のフック部15および連結部18のそれぞれは板状部材からなり、たとえばプレス加工などにより板状部材から一体形成される。連結部18は、第1のフック部11および第2のフック部15を連結して配設される。
【0027】
第1のフック部11は、略円弧状に湾曲して形成され、その内側で第1のロッド31を支持する。また、第1のフック部11は、第1の湾曲部12および平坦部13を有する。第1の湾曲部12は、略U字状に形成されるとともに、第1のフック部11の基端部に配設され連結部18に連結する。平坦部13は、平坦状に形成されるとともに第1のフック部11の先端部に配設される。また、平坦部13は、その先端に行くに従って連結部18に離間して延設される。第1のフック部11においてその平坦部13の表面側には、第1のロッド31の目盛り33に対応して目盛り14が刻印される。具体的には、ロッド30の第1のロッド31と略同一のスケール(ピッチ)で目盛り14が刻印される。
【0028】
第2のフック部15は、第1のフック部11とは反対の方向で略円弧状に湾曲して形成され、その内側で鉄筋40(横筋42)に係止する。また、第2のフック部15は、第2の湾曲部16および第3の湾曲部17を有する。第2の湾曲部16は、略U字状に形成されるとともに、第2のフック部15の基端部に配設され連結部18に連結する。第3の湾曲部17は、第2の湾曲部16と比べて緩やかに湾曲して形成されるとともに、第2のフック部15の先端部に配設される。また、第3の湾曲部17は、その先端に行くに従って連結部18に近接するように湾曲して形成される。
【0029】
また、本実施形態では、第1のフック部11の先端部には螺合孔20が形成されており、締結ボルト19がこの螺合孔20に対し進退自在に螺合(螺設)される。第1のフック部11の内側に第1のロッド31が配置された状態で、締結ボルト19の先端が第1のロッド31(ロッド本体の一例)の表面を押圧して、第1のロッド31の裏面が連結部18の表面に係合する。それにより、支持具本体が第1のロッド31に強固に固定される。
【0030】
なお、本実施形態の締結ボルト19は蝶ボルトとされる。それにより、工事現場に工具がなくてもその蝶部分を用いて作業者が容易に締結ボルト19を進退させて第1のロッド31との固定状態を強めたり(より強固に締結したり)または緩めたり(解除したり)することが可能である。ただし、これに限らず、六角ボルトなどの種々のボルトも採用することも可能である。
【0031】
また、締結ボルト19の先端に弾性体(たとえば樹脂部材またはゴム部材)のチップを配設したり、あるいは締結ボルト19の先端面よりも大きい面積を有する平板を取り付けたりしてもよい。この場合、締結ボルト19によって締結する際、締結による第1のロッド31の破損または損傷(キズなど)を防止することが可能となる。
【0032】
[・支持具の使用方法について]
図3および
図4を参照しながら、本実施形態の支持具10の使用方法の一例について説明する。
図3は、
図1に示す支持具10の使用状態の一例を説明する第1の模式図である。
図4は、
図3に示す使用状態後の一例を説明する第2の模式図である。
【0033】
図3に示すように、作業者(不図示)は、ロッド30の第1のロッド31の長手方向一方側に本実施形態の支持具10を取り付け、締結ボルト19を螺合孔20に対し、奥側に進行するようにその蝶部分を用いて回動して締結していく。その回動の結果、締結ボルト19の先端が第1のロッド31の表面を押圧して、第1のロッド31の裏面が連結部18の表面に係合することで、支持具本体が第1のロッド31に強固に固定される。その一方、第1のロッド31の長手方向他方側にも同様に支持具10が取り付けられる。このとき、支持具本体および第1のロッド31が仮固定される程度に、締結ボルト19は螺合孔20に螺合され強固に締結されない。換言すれば、この時点では、長手方向他方側の支持具10は、第1のロッド31との間に遊びを有しており、その長手方向に摺動自在(可能)に取り付けられる。このとき、作業者は、長手方向一方側の支持具10の第2のフック部15で横筋42に係止させる。
【0034】
またこのとき、
図4に示すように、作業者は、長手方向他方側の支持具10をその長手方向で摺動させて、縦筋41と物理的に干渉しない位置に調整する。そして、調整の上で、作業者は、締結ボルト19を回動操作することでさらに締め、支持具10を第1のロッド31に強固に固定する。作業者は、長手方向他方側の支持具10の第2のフックを横筋42に係止させ、ロッド30の全体を鉄筋40に対して安定的に保持させることが可能となる。
【0035】
[・本実施形態の特徴および利点について]
以上説明したように本実施形態の鉄筋用ロッド支持具10によれば、長尺状に形成され、現場記録写真の撮影の際に鉄筋40に固定されてその基準とされるロッド30の第1のロッド31(ロッド本体の一例)に対し、着脱自在に取り付けられる鉄筋用ロッド支持具10である。また、本実施形態の鉄筋用ロッド支持具10は、略円弧状に湾曲して形成され、その内側で第1のロッド31を支持する第1のフック部11と、第1のフック部11とは反対の方向で略円弧状に湾曲して形成され、その内側で鉄筋40に係止する第2のフック部15と、第1のフック部11および第2のフック部15を連結する連結部18と、第1のフック部11の先端部または中央部に進退自在に螺設される締結ボルト19と、を含む。また、締結ボルト19の先端が第1のロッド31の表面を押圧して第1のロッド31の裏面が連結部18の表面に係合することで、支持具本体が第1のロッド31に固定される。
【0036】
このため、第1のフック部11、第2のフック部15、連結部18および締結ボルト19を基本構造に有して固定するものであり簡易な構造で鉄筋40への固定を実現することができる。また、締結ボルト19の先端が第1のロッド31(ロッド本体の一例)の表面を押圧して第1のロッド31の裏面が連結部18の表面に係合する。この係合により、支持具本体が第1のロッド31に固定されるため、支持具本体および第1のロッド31を強固に固定しながらその取り付けが容易である。さらに、固定状態から締結ボルト19を螺合孔20に対し退避させることで支持具本体および第1のロッド31の固定関係を解除して第1のロッド31の長手方向での位置調整を容易に実現することができる。このように、簡易な構造でありながら、鉄筋40への取り付けおよび位置調整が容易であり、現場での取り付け作業性を向上することができる。
【0037】
また、本実施形態の鉄筋用ロッド支持具10によれば、第1のフック部11および第2のフック部15は板状部材からなる。また、第1のフック部11は、略U字状に形成されるとともにその基端部に配設され連結部18に連結する第1の湾曲部12と、平坦状に形成されるとともにその先端部に配設される平坦部13と、を有する。また、第2のフック部15は、略U字状に形成されるとともにその基端部に配設され連結部18に連結する第2の湾曲部16と、第2の湾曲部16と比べて緩やかに湾曲して形成されるとともにその先端部に配設される第3の湾曲部17と、を有する。第3の湾曲部17は、その先端に行くに従って連結部18に近接するように湾曲して形成される。
【0038】
このため、第1のフック部11が第1の湾曲部12および平坦部13を含んで構成されるため、長尺状の第1のロッド31(ロッド本体の一例)をその内部でガタツキを抑制して適切に保持することができる。また、第2のフック部15は、第2の湾曲部16および第3の湾曲部17を含んで構成されるため、さまざまな径の鉄筋40にも適応的に対応して安定して係合することができる。
【0039】
また、本実施形態の鉄筋用ロッド支持具10によれば、第1のロッド31(ロッド本体の一例)にはその長手方向に沿って目盛り33が刻印されており、第1のフック部11の表面には第1のロッド31の目盛り33に対応して目盛り14が刻印される。
【0040】
すなわち、第1のフック部11の表面には第1のロッド31(ロッド本体の一例)の目盛り33に対応して目盛り14が刻印されるとよい。これにより、支持具本体により第1のロッド31の目盛り33が隠れる部分が発生する場合でも第1のフック部11の目盛り14が第1のロッド31の当該部分に代替して現場記録写真を説得的に撮影することができる。
【0041】
また、本実施形態の鉄筋用ロッド支持具10によれば、連結部18は平板状に形成されており、第1のフック部11と第2のフック部15と連結部18とは、板状部材から一体形成される。すなわち、板状部材から一体成形されるため、より簡易な構造を実現して製造コストを抑制することができる。
【0042】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこれら実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良などが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、簡易な構造でありながら、鉄筋への取り付けおよび位置調整が容易であり、現場での取り付け作業性を向上することができる鉄筋用ロッド支持具として有用である。
【符号の説明】
【0044】
10 :支持具(鉄筋用ロッド支持具)
11 :第1のフック部
12 :第1の湾曲部
13 :平坦部
14 :目盛り
15 :第2のフック部
16 :第2の湾曲部
17 :第3の湾曲部
18 :連結部
19 :締結ボルト
20 :螺合孔
30 :ロッド
31 :第1のロッド
32 :第2のロッド
33 :目盛り
40 :鉄筋
41 :縦筋
42 :横筋
【手続補正書】
【提出日】2023-01-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状に形成され、現場記録写真の撮影の際に鉄筋に固定されてその基準とされるロッドのロッド本体に対し、着脱自在に取り付けられる鉄筋用ロッド支持具であって、
円弧状に湾曲して形成され、その内側で前記ロッド本体を支持する第1のフック部と、
前記第1のフック部とは反対の方向で円弧状に湾曲して形成され、その内側で前記鉄筋に係止する第2のフック部と、
前記第1のフック部および前記第2のフック部を連結する連結部と、
前記第1のフック部の先端部または中央部に進退自在に螺設される締結ボルトと、を含み、
前記締結ボルトの先端が前記ロッド本体の表面を押圧して前記ロッド本体の裏面が前記連結部の表面に係合することで、支持具本体が前記ロッド本体に固定され、
前記第1のフック部および前記第2のフック部は板状部材からなり、
前記第1のフック部は、U字状に形成されるとともにその基端部に配設され前記連結部に連結する第1の湾曲部と、平坦状に形成されるとともにその先端部に配設される平坦部と、を有し、
前記第2のフック部は、U字状に形成されるとともにその基端部に配設され前記連結部に連結する第2の湾曲部と、前記第2の湾曲部と比べて緩やかに湾曲して形成されるとともにその先端部に配設される第3の湾曲部と、を有し、
前記第3の湾曲部は、その先端に行くに従って前記連結部に近接するように湾曲して形成され、かつその湾曲方向に沿う長さが前記第2の湾曲部の、その湾曲方向に沿う長さよりも長く設けられる、
鉄筋用ロッド支持具。
【請求項2】
長尺状に形成され、現場記録写真の撮影の際に鉄筋に固定されてその基準とされるロッドのロッド本体に対し、着脱自在に取り付けられる鉄筋用ロッド支持具であって、
円弧状に湾曲して形成され、その内側で前記ロッド本体を支持する第1のフック部と、
前記第1のフック部とは反対の方向で円弧状に湾曲して形成され、その内側で前記鉄筋に係止する第2のフック部と、
前記第1のフック部および前記第2のフック部を連結する連結部と、
前記第1のフック部の先端部または中央部に進退自在に螺設される締結ボルトと、を含み、
前記締結ボルトの先端が前記ロッド本体の表面を押圧して前記ロッド本体の裏面が前記連結部の表面に係合することで、支持具本体が前記ロッド本体に固定され、
前記ロッド本体にはその長手方向に沿って目盛りが刻印されており、
前記第1のフック部の表面には前記ロッド本体の前記目盛りに対応して目盛りが刻印される、
鉄筋用ロッド支持具。
【請求項3】
前記連結部は平板状に形成されており、
前記第1のフック部と前記第2のフック部と前記連結部とは、板状部材から一体形成される、
請求項1または2に記載の鉄筋用ロッド支持具。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状に形成され、現場記録写真の撮影の際に鉄筋に固定されてその基準とされるロッドのロッド本体に対し、着脱自在に取り付けられる鉄筋用ロッド支持具であって、
円弧状に湾曲して形成され、その内側で前記ロッド本体を支持する第1のフック部と、
前記第1のフック部とは反対の方向で円弧状に湾曲して形成され、その内側で前記鉄筋に係止する第2のフック部と、
前記第1のフック部および前記第2のフック部を連結する連結部と、
前記第1のフック部の先端部または中央部に進退自在に螺設される締結ボルトと、を含み、
前記締結ボルトの先端が前記ロッド本体の表面を押圧して前記ロッド本体の裏面が前記連結部の表面に係合することで、支持具本体が前記ロッド本体に固定され、
前記第1のフック部および前記第2のフック部は板状部材からなり、
前記第1のフック部は、U字状に形成されるとともにその基端部に配設され前記連結部に連結する第1の湾曲部と、平坦状に形成されるとともにその先端部に配設される平坦部と、を有し、
前記第2のフック部は、U字状に形成されるとともにその基端部に配設され前記連結部に連結する第2の湾曲部と、前記第2の湾曲部と比べて緩やかに湾曲して形成されるとともにその先端部に配設される第3の湾曲部と、を有し、
前記第3の湾曲部は、その先端に行くに従って前記連結部に近接するように湾曲して形成される、
鉄筋用ロッド支持具。
【請求項2】
長尺状に形成され、現場記録写真の撮影の際に鉄筋に固定されてその基準とされるロッドのロッド本体に対し、着脱自在に取り付けられる鉄筋用ロッド支持具であって、
円弧状に湾曲して形成され、その内側で前記ロッド本体を支持する第1のフック部と、
前記第1のフック部とは反対の方向で円弧状に湾曲して形成され、その内側で前記鉄筋に係止する第2のフック部と、
前記第1のフック部および前記第2のフック部を連結する連結部と、
前記第1のフック部の先端部または中央部に進退自在に螺設される締結ボルトと、を含み、
前記締結ボルトの先端が前記ロッド本体の表面を押圧して前記ロッド本体の裏面が前記連結部の表面に係合することで、支持具本体が前記ロッド本体に固定され、
前記ロッド本体にはその長手方向に沿って目盛りが刻印されており、
前記第1のフック部の表面には前記ロッド本体の前記目盛りに対応して目盛りが刻印される、
鉄筋用ロッド支持具。
【請求項3】
前記連結部は平板状に形成されており、
前記第1のフック部と前記第2のフック部と前記連結部とは、板状部材から一体形成される、
請求項1または2に記載の鉄筋用ロッド支持具。